JP3798254B2 - 空調方法、ヒートポンプおよび空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空調方法、ヒートポンプおよび空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン駆動式ヒートポンプを空調装置(いわゆるエアコンと称する。)として用いたエンジン駆動式ヒ−トポンプエアコンは、エンジンにより駆動される圧縮機を用いて冷房および暖房を行う空調機である。ヒートポンプサイクル自体は電気式エアコンと同じである。ただし、電気式エアコンでは圧縮機を電動モータで駆動する点がエンジン駆動式のものと異なる。エンジン駆動式のものはエンジン排熱等を熱源として暖房に利用できる利点がある。
【0003】
図7は、従来のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成の代表的な一例を示すブロック図である。エアコン本体は、室内機10と室外機12とで構成される。室内機10には室内熱交換器14が搭載されている。室外機12には、レシーバタンク16、膨張弁18、室外熱交換器20、排熱回収器22、アキュムレータ24、圧縮機26、四方弁28、エンジン30、ラジエータ32、ポンプ34および三方弁36が搭載されている。
【0004】
室内熱交換器14、レシーバタンク16、膨張弁18、室外熱交換器20、排熱回収器22、アキュムレータ24および圧縮機26は、この順序で環状に冷媒管で結合され、冷媒の流路を構成している。ただし、排熱回収器22とアキュムレータ24との間、および圧縮機26と室内熱交換器14との間は、それぞれ共通の四方弁28を介して結合されている。四方弁28によって冷媒の流れを変えることにより、冷房運転と暖房運転とが切り替えられる。図7は暖房運転時の様子を示しており、冷媒は、室内熱交換器14、レシーバタンク16、膨張弁18、室外熱交換器20、排熱回収器22、アキュムレータ24および圧縮機26の順に流れる。冷房運転時の冷媒の流れは室内熱交換器14、アキュムレータ24、圧縮機26、排熱回収器22、室外熱交換器20、レシーバタンク16および冷房用膨張弁(図に示していない。)の順に流れる。
【0005】
エンジン30、排熱回収器22、三方弁36、ラジエータ32およびポンプ34は、この順序で環状に冷却水管で結合され、冷却水の流路を構成している。ポンプ34と三方弁36との間が、ラジエータ32のバイパス用の冷却水管によって結合されている。
【0006】
図7を参照して、暖房運転時の空調機の動作を説明する。
【0007】
▲1▼室外熱交換器20および排熱回収器22で気化した冷媒は、圧縮機26にて高温、高圧のガスになる(図7のA→B)。
【0008】
▲2▼圧縮機26にて高温、高圧となった冷媒ガスは室内熱交換器14を凝縮器として液化する(図7のB→C)。このとき室内空気は、凝縮器からの熱の放出によって温風となり、暖房効果を生ずる。
【0009】
▲3▼液化した冷媒は膨張弁18で減圧される(図7のC→D)。
【0010】
▲4▼減圧された冷媒は室外熱交換器20で外気から熱を奪い、さらに排熱回収器22に入ってエンジン30の冷却水から熱を奪って蒸発する(図7のD→A)。すなわち、エンジン駆動式ヒートポンプは室外熱交換器20と排熱回収器22との2種類の蒸発器を持つ。
【0011】
▲5▼蒸発した冷媒ガスは再び圧縮機26に戻り、同様のサイクルを繰り返す。
【0012】
図8は、従来構成の説明図であって、上述のヒートポンプサイクルにおける冷媒状態を示すモリエル線図(P−h線図)である。図8中のA、B、CおよびDの冷媒状態は、図7に示すA、B、CおよびDの位置での冷媒状態にそれぞれ対応している。AおよびB点では、冷媒は気相状態にあり、C点では、冷媒は液相状態にあり、D点では気液混合状態にある。図8の線図中、横軸は比エンタルピh[kJ/kg]であり、縦軸は圧力P[MPa]である。A→Bは圧縮工程、B→Cは凝縮工程、C→Dは膨張工程、およびD→Aは蒸発工程である。曲線aは飽和曲線を示す。A、B、CおよびDにおける比エンタルピの値を、それぞれhA、hB、hCおよびhDとする。
【0013】
冷媒循環量W[kg/h]とすると、暖房熱量は(hB−hC)×W[kJ/h]、外気採熱量と排熱回収量の合計熱量は(hA−hD)×W[kJ/h]、圧縮仕事量は(hB−hA)×W[kJ/h]で表される。また、損失を無視すれば、暖房熱量=外気採熱量+排熱回収量+圧縮仕事量の関係がある。
【0014】
エンジン駆動式ヒートポンプの場合、排熱を利用することにより、暖房能力、すなわち最大暖房熱量が増大する。
【0015】
また、一次エネルギー換算成績係数PER(Primary Energy Ratio)の暖房運転時の値PERhは、
PERh=(暖房熱量[kJ/h])/(圧縮機の動力源が消費する一次エネルギー換算熱量[kJ/h])
で表されるが、この値も排熱を利用することにより向上する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
エンジン駆動式エアコンは、排熱を利用できるので、暖房能力と成績係数が増大するが、排熱を利用すると、冷媒蒸発温度と圧力が上昇するため、外気採熱量が減少する傾向がある。特に、外気温度が冷媒蒸発温度よりも低くなると、冷媒から外気へ放熱してしまう。よって、外気温度が低い場合は、室外熱交換器は利用せずに、エンジン排熱だけを利用した方が暖房能力と成績係数とを高く保つことができる。したがって従来は、外気温度が低い場合、室外熱交換器の送風ファンを止めたり室外熱交換器をバイパスするなどにより、エンジン排熱だけで冷媒を蒸発させるように制御しているものが多い。このように、外気温度が低くなると外気採熱ができなくなるという問題がある。
【0017】
この問題は、温度レベルの異なる2種類の蒸発器(室外熱交換器20および排熱回収器22)を圧力の等しい同一の蒸発工程に使用するために生じる。
【0018】
この発明は上述した問題点の解決を図るためになされたものであり、したがってこの発明の目的は、排熱利用に影響されることなく外気採熱を可能とし、しかも、比較的高い成績係数と暖房能力とを達成できる空調方法およびヒートポンプを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明の空調方法によれば、室内熱交換器と、室外熱交換器および排熱回収熱交換器との間に冷媒を循環させて室内の空調を行う方法であって、暖房運転にあたり、室内熱交換器の出口と排熱回収熱交換器の入口との間に第1弁を設け、排熱回収熱交換器の出口と室内熱交換器の入口との間に第2弁を設け、および排熱回収熱交換器の出口と室外熱交換器の入口との間に第3弁を設けておき、第1暖房サイクルと、第2暖房サイクルとを実行する。
【0020】
第1暖房サイクルは、室外熱交換器で外気を利用して冷媒を蒸発させる第1工程と、室外熱交換器で蒸発した冷媒を圧縮機で圧縮する第2工程と、圧縮機で圧縮された冷媒を室内熱交換器で凝縮させる第3工程と、室内熱交換器で凝縮した冷媒を膨張弁で減圧・膨張させて室外熱交換器に送給する第4工程とを含んでいる。
【0021】
第2暖房サイクルでは、充填モード及び暖房モードが交互に実施される。充填モードは、室内熱交換器で凝縮した冷媒を非減圧状態で排熱回収熱交換器に送給する第5工程からなる。暖房モードは、排熱回収熱交換器で圧縮機の動力源であるエンジンの排熱を利用して冷媒を蒸発させる第6工程と、排熱回収熱交換器で蒸発した冷媒を室内熱交換器に送給する第7工程と、室内熱交換器で冷媒を凝縮させる第8工程とからなる。
そして、排熱回収熱交換器中に収容されている凝縮した冷媒の収容レベルが予め設定した第1設定レベル以下であることを検知して、第1及び第3弁を開いて排熱回収熱交換器の出口側を入口側よりも低圧にするとともに、第2弁を閉じて充填モードに切り替える。また、凝縮した冷媒の収容レベルが、第1設定レベルより高い、予め設定した第2設定レベル以上であることを検知して、第1及び第3弁を閉じるとともに、第2弁を開いて暖房モードに切り替える。
【0022】
この方法によれば、室外熱交換器と排熱回収熱交換器とを独立した経路とし、それぞれ異なる圧力で冷媒を蒸発させることが出来る。そして、室外熱交換器では外気採熱により、排熱回収熱交換器では排熱利用により、それぞれ冷媒を気化させる。従って、排熱利用に影響されることなく外気採熱が可能となり、従来方法に比べて暖房能力および成績係数の向上が図れる。
【0023】
また、排熱回収熱交換器では、凝縮した冷媒を膨張弁で減圧することなく高圧のまま加熱・蒸発させるため、大きな動力を用いずに、第2暖房サイクルを循環させることが出来る。
【0024】
また、この発明のヒートポンプによれば、室内熱交換器と、室外熱交換器および排熱回収熱交換器との間に冷媒を循環させて室内の空調を行うヒートポンプであって、暖房運転において、室外熱交換器は外気を利用して冷媒を蒸発させるものであり、室外熱交換器で蒸発した冷媒は四方弁を経て圧縮機に送給され、圧縮機で圧縮された冷媒はこの四方弁を経て室内熱交換器に送給され、室内熱交換器で凝縮した冷媒は膨張弁を経て室外熱交換器に送給されるように構成されており、排熱回収熱交換器は圧縮機の動力源であるエンジンの排熱を利用して冷媒を蒸発させるものであり、排熱回収熱交換器で蒸発した冷媒は室内熱交換器に送給され、室内熱交換器で凝縮した冷媒は非減圧状態で排熱回収熱交換器に送給されるように構成されている。そして、このヒートポンプは、室内熱交換器の出口と膨張弁の入口との間が受液器すなわちレシ−バタンクを介して結合され、受液器の出口および膨張弁の入口間の結合部と排熱回収熱交換器の入口との間が第1弁を介して結合され、排熱回収熱交換器の出口と四方弁の出口および室内熱交換器の入口間の結合部との間が第2弁を介して結合され、排熱回収熱交換器の出口および第2弁の結合部と膨張弁の出口および室外熱交換器の入口間の結合部との間が第3弁を介して結合されている。
【0025】
この装置によれば、上述した空調方法を実施することができる。
【0027】
各弁の開閉を次のように制御する。排熱回収熱交換器内の冷媒液面の低下を検知したとき、第1および第3弁を開き、第2弁を閉める。排熱回収熱交換器の冷媒の出口側が膨張弁の出口の低圧側に開放されるため、排熱回収熱交換器の冷媒の出口側は入口側(受液器側)に比べて低圧になる。このため、受液器から排熱回収熱交換器への液冷媒の移動が短時間に行われる。この結果、排熱回収熱交換器に液冷媒が新たに充填される(充填モ−ド)。
【0028】
排熱回収熱交換器に冷媒が充填され、冷媒液面が所定の高さになったとき、第1および第3弁を閉めて、第2弁を開く。その結果、冷却水により冷媒が加熱されて蒸発することによって、シェル内の圧力が上昇し、排熱回収熱交換器から室内熱交換器へ蒸発した冷媒が移動し、よって、暖房運転が行われる(暖房モ−ド)。
【0029】
このように、充填モードと暖房モードとを交互に繰り返すバッチ方式の運転が実現される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、図は、この発明が理解できる程度に形状、結合関係および配置関係を概略的に示すものに過ぎない。よって、この発明は、図示例に何ら限定されることがない。
【0043】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示すブロック図である。エアコン本体は室内機10と室外機44とで構成される。室内機10には室内熱交換器14が搭載されている。室外機44には室外熱交換器20および排熱回収熱交換器46が搭載されている。また、室外機44には補助排熱回収熱交換器22も搭載されている。そのほかに室外機44には、レシーバタンク(受液器)48、膨張弁18、アキュムレータ24、圧縮機26、四方弁28、エンジン30、ラジエータ32、ポンプ34、三方弁36、第1弁50a、第2弁50b、第3弁50c、三方弁52および三方弁53が搭載されている。
【0044】
上述の圧縮機26は、エンジン30により駆動され、冷媒を圧縮して圧力を高める機械である。また、膨張弁18は、液化した高圧の冷媒を絞り膨張により減圧させかつ冷媒流量を調節するための弁である。熱交換器とは、異なる温度の二流体間で熱の授受を行わせる装置のことをいう。レシーバタンク(受液器)48は、ヒートポンプにおいて冷媒回路内の冷媒量分布を調整する目的で、主として凝縮器(この例の室内熱交換器14に相当する。)の出口に設けられる冷媒液貯留用の容器である。アキュムレータ24は液分離器であり、液冷媒が圧縮機に吸収されることを防ぐために用いられる。ラジエータ32は、温度の高い冷却水から熱を外気に放熱(図1中、矢印Sで示す。)することにより、冷却水を冷却する熱交換器である。
【0045】
この実施の形態のエアコンすなわち空調機は、室内熱交換器14と室外熱交換器20および排熱回収熱交換器46との間に冷媒を循環させて室内の空調を行う。そのため、このエアコンには、室内熱交換器14と室外熱交換器20との間に冷媒を流すための第1の冷媒流路(図1中、黒塗りの矢印Xで示す循環流路)、および室内熱交換器14と排熱回収熱交換器46との間に冷媒を流すための第2の冷媒流路(図1中、白抜きの矢印Yで示す循環流路)がそれぞれ設けられている。
【0046】
第1の冷媒流路Xは、室内熱交換器14、レシーバタンク48、膨張弁18、室外熱交換器20、補助排熱回収熱交換器22、アキュムレータ24および圧縮機26がこの順序で環状に冷媒管で結合されたものである。ただし、補助排熱回収熱交換器22とアキュムレータ24との間、および圧縮機26と室内熱交換器14との間は、それぞれ共通の四方弁28を介して結合されている。四方弁28によって冷媒の流れを変えることにより、冷房運転と暖房運転とが切り替えられる。図1は暖房運転時の様子を示しており、冷媒は、室内熱交換器14、レシーバタンク48、膨張弁18、室外熱交換器20、補助排熱回収熱交換器22、アキュムレータ24および圧縮機26の順に流れる。冷房運転を行うためには、室内熱交換器14とレシーバタンク48との間に冷房用膨張弁(図示していない)を設けておく。冷房運転時の冷媒は、室内熱交換器14、アキュムレータ24、圧縮機26、補助排熱回収熱交換器22、室外熱交換器20、レシーバタンク48および冷房用膨張弁の順に流れる。
【0047】
暖房運転において、上述の室外熱交換器20は外気を利用して冷媒を蒸発させるものである。上述した構成によれば、室外熱交換器20で蒸発した冷媒は、第1の冷媒流路X上の補助排熱回収熱交換器22およびアキュムレータ24を経て、圧縮機26に送給される。圧縮機26で圧縮された冷媒は、第1の冷媒流路X上の室内熱交換器14に送給される。さらに、室内熱交換器14で凝縮した冷媒は、第1の冷媒流路X上のレシーバタンク48および膨張弁18を経て、室外熱交換器20に送給される。このような順次の冷媒の流れによる暖房サイクルを第1暖房サイクルとする。
【0048】
また、レシーバタンク48の出口側(膨張弁18に結合される側)の冷媒管は2つに分岐してる。第1の冷媒流路X上の一方の冷媒管は、上述した膨張弁18の入口に結合されている(膨張弁18の出口は室外熱交換器20の入口に結合されている。)。そして、第2の冷媒流路Y上の他方の冷媒管は第1弁50aの入口に結合されている。第1弁50aの出口と排熱回収熱交換器46の入口との間は結合されている。また、排熱回収熱交換器46の出口と室内熱交換器14の入口との間は第2弁50bを介して結合されている。さらに、排熱回収熱交換器46および第2弁50bの結合部と、膨張弁18および室外熱交換器20間の結合部との間が第3弁50cを介して結合されている。室内熱交換器14、レシーバタンク48、第1弁50a、排熱回収熱交換器46および第2弁50bは、この順序で環状に冷媒管で結合され、第2の冷媒流路を構成している。室内熱交換器14の入口からレシーバタンク48の出口までの流路は、第1および第2の冷媒流路XおよびYに共通である。
【0049】
上述の排熱回収熱交換器46は、圧縮機26の動力源であるエンジン30の排熱を利用して冷媒を蒸発させるものである。上述した構成によれば、排熱回収熱交換器46で蒸発した冷媒は、第2の冷媒流路Y上の第2弁50bを経て室内熱交換器14に送給される。室内熱交換器14で凝縮した冷媒は、後述するように、第2の冷媒流路Y上のレシーバタンク48および第1弁50aを経て、排熱回収熱交換器46に送給される。室内熱交換器14通過後の冷媒は、膨張弁18を通らずに、したがって非減圧状態で排熱回収熱交換器46に送給される。
【0050】
また、エンジン30、三方弁53、排熱回収熱交換器46、三方弁52、補助排熱回収熱交換器22、三方弁36、ラジエータ32およびポンプ34は、この順序で環状に冷却水管で結合され、冷却水の流路を構成している。図1において、この冷却水流路を矢印Wで示す。
【0051】
三方弁53は、エンジン30と排熱回収熱交換器46との間に設けてあり、三方弁53と三方弁52の間が、排熱回収熱交換器46のバイパス用の冷却水管によって結合されている。暖房運転時は、冷却水が排熱回収熱交換器46を流れるように制御するが、冷房時はバイパスするように制御する。
【0052】
また、三方弁52は、排熱回収熱交換器46と補助排熱回収熱交換器22との間に設けてあり、三方弁52と三方弁36との間が、補助排熱回収熱交換器22のバイパス用の冷却水管によって結合されている。通常は、補助排熱回収熱交換器22を用いないので、三方弁52を制御して、冷却水を補助排熱回収熱交換器22に流さずにバイパス用の冷却水管に流すようにする。補助排熱回収熱交換器22に冷却水を流すのは、室外熱交換器20の除霜を行う場合と、排熱回収熱交換器46から流れ出た冷却水の温度が予め設定された設定温度より高い場合である。
【0053】
三方弁36とポンプ34との間が、ラジエータ32のバイパス用の冷却水管によって結合されている。冷却水の温度が低い場合は、冷却水をラジエータ32に流さずにバイパス用の冷却水管に流すように三方弁36を制御する。
【0054】
この実施の形態では、排熱回収熱交換器46は、シェル内に冷却水管が収められた構造のシェルアンドコイル熱交換器またはシェルアンドチューブ熱交換器である。冷却水管内に圧縮機26の動力源(エンジン30)からの冷却水が流され、シェル内に冷媒が充填されるように構成してある。シェル内の冷媒は冷却水の熱を奪って気化する。気化した冷媒は、比重の差によりシェル上部に自然かつスムーズに移動する。このように、冷媒液の加熱および冷媒ガスの移動が効率良く行われるので、冷媒ガスがシェル内に滞留しにくく、良好な熱交換率が得られる。
【0055】
また、第1、第2および第3弁50a、50bおよび50cは、それぞれ電磁弁54a、54bおよび54cにより構成されている。さらに、各電磁弁54a〜54cの流路方向後段には、それぞれ逆止弁56a、56bおよび56cが設けられている。すなわち、第1弁50aは電磁弁54aおよび逆止弁56aにより、第2弁50bは電磁弁54bおよび逆止弁56bにより、および第3弁50cは電磁弁54cおよび逆止弁56cにより、それぞれ構成されている。電磁弁の後段に逆止弁を設けている理由は、電磁弁の閉止状態を維持するためである。
【0056】
暖房運転時は、各弁50a〜50cを構成している電磁弁の開閉を次のように制御する。排熱回収熱交換器46内の冷媒液面の低下を検知したとき、第1および第3弁50aおよび50cを開き、第2弁50bを閉める。排熱回収熱交換器46の冷媒の出口側が膨張弁18の低圧側(図1中のD点)に開放されるため、排熱回収熱交換器46の冷媒の出口側(図1中のE点)は入口側(レシーバタンク48側)に比べて低圧になる。シェル内の冷媒ガスは膨張弁18の低圧側(室外熱交換器20の入口側)に吸い出されるため、(図1中、白抜き矢印Zで示す。)レシーバタンク48から排熱回収熱交換器46への液冷媒の移動が短時間に行われる。この結果、排熱回収熱交換器46に液冷媒が新たに充填される。以上が室内熱交換器14で凝縮した冷媒を非減圧状態で排熱回収熱交換器46に送給する充填モードである。尚、この充填モ−ドの場合には、膨張弁18を通る冷媒の量は、一時的に減少するが、上述した第1暖房サイクルは、駆動状態にある。
【0057】
排熱回収熱交換器46に冷媒が充填され、冷媒液面が所定の高さになったときは、第1および第3弁50aおよび50cを閉めて、第2弁50bを開く。この結果、排熱回収熱交換器46で圧縮機26の動力源であるエンジンの排熱を利用して蒸発した冷媒ガスが室内熱交換器14へ送給されるようになり、室内熱交換器14に送給された冷媒ガスが室内熱交換器14で凝縮して第2暖房サイクルの暖房運転が行われる。以上が暖房モードである。この暖房モ−ドでは、上述した第1および第2暖房サイクルの駆動が併存する。
【0058】
このように、各弁の開閉制御により、充填モードと暖房モードとを交互に繰り返すバッチ方式の運転が行われる。
【0059】
上述した弁の開閉制御を行うために、排熱回収熱交換器46内には、シェル内に収容されている冷媒の収容レベル、従って冷媒液面(気液接触面)の高さを検知するための冷媒液面検知手段(不図示)が設けられる。この冷媒液面検知手段は、高さの異なる2つの、すなわち第1の設定レベルと、この第1の設定レベルより高い第2の設定レベルを基準レベルとする。そして、この場合には、液面レベルが第1の設定レベル以下であるか、或いは、第2の設定レベル以上であるかを検知するように構成されている。冷媒液面検知手段は、冷媒液の液面レベルが第1の設定レベル、ここでは低液面レベル、以下であることを検知すると、弁の開閉制御手段(不図示)にその旨の信号を出力する。その信号を受けて開閉制御手段は、充填モードへ移行するための弁の開閉制御(第1および第3弁50aおよび50cを開き、第2弁50bを閉める。)を行う。また、冷媒液面検知手段は、冷媒液の液面レベルが第2の設定レベルすなわち高液面レベル以上であることを検知すると、弁の開閉制御手段にその旨の信号を出力する。その信号を受けて開閉制御手段は、暖房モードへ移行するための弁の開閉制御(第1および第3弁50aおよび50cを閉めて、第2弁50bを開く。)を行う。
【0060】
冷媒液面検知手段の検知方式には、例えば以下に示す(1)〜(3)の周知の方式を用いることができる。
【0061】
(1)電極棒方式
2本の電極棒をシェル内に挿入しておく。液面が上昇して2本の電極が液に埋没すると電極間に電流が流れ、液面が下降して電極が液面上に露出すると電流が絶たれることを利用する。
【0062】
(2)フロートスイッチ方式
液面の昇降に従って上下する浮きで接点を開閉するスイッチを利用する。
【0063】
(3)温度差方式
冷媒をキャピラリーチューブ(細管)で吸い出し、発熱線で加熱して加熱前後の冷媒温度を測定する。冷媒が液であれば加熱した熱量は冷媒の蒸発に使われるので温度差が小さいが、冷媒がガスであればその温度差が大きくなることを利用する。
【0064】
次に図1を参照して、暖房運転時のエアコンの動作を説明する。まず、室外熱交換器20を含む第1の冷媒流路Xにおける第1暖房サイクル(図1中の黒塗り矢印で示される流れ)について説明する。
【0065】
▲1▼室外熱交換器20で気化した冷媒は、補助排熱回収熱交換器22、四方弁28およびアキュムレータ24を経て圧縮機26に送られる。気化した冷媒は、圧縮機26にて高温、高圧のガスになる(図1のA→B)。
【0066】
▲2▼圧縮機26にて高温、高圧となった冷媒ガスは、四方弁28を経て、室内熱交換器14に送られ、この室内熱交換器14を凝縮器として液化する(図1のB→C)。このとき室内空気は、凝縮器からの熱の放出によって温風(図中、矢印Qで示す。)となり、暖房効果を生ずる。
【0067】
▲3▼液化した冷媒はレシーバタンク48および膨張弁18を経て室外熱交換器20に送られる。その際に冷媒液は膨張弁18で減圧される(図1のC→D)。
【0068】
▲4▼減圧された冷媒は室外熱交換器20で外気から熱を奪って(図中、矢印Pで示す。)蒸発する(図1のD→A)。
【0069】
▲5▼蒸発した冷媒ガスは再び圧縮機26に戻り、同様の第1暖房サイクルを繰り返す。
【0070】
次に、排熱回収熱交換器46を含む第2の冷媒流路Yにおける第2暖房サイクル(図1中の白抜き矢印Yで示される流れ)について説明する。
【0071】
▲1▼排熱回収熱交換器46で気化した冷媒は、第2弁50bを経て室内熱交換器14に送られる。冷媒ガスは室内熱交換器14を凝縮器として液化する(図1のE→C)。このとき室内空気は、凝縮器からの熱の放出によって温風Qとなり、暖房効果を生ずる。
【0072】
▲2▼液化した冷媒はレシーバタンク48および第1弁50aを経て排熱回収熱交換器46に送られる。その際に冷媒液は膨張弁18を通らないために減圧されず、高温・高圧の状態で排熱回収熱交換器46に入る。
【0073】
▲3▼高温・高圧の冷媒液は排熱回収熱交換器46で、エンジン30から流路Wを経て送られる高温の冷却水から熱を奪って蒸発する。
【0074】
▲4▼蒸発した冷媒ガスは再び室内熱交換器14に戻り、同様の第2暖房サイクルを繰り返す。
【0075】
以上説明したように、この実施の形態のエアコンでは、室外熱交換器20と排熱回収熱交換器46とを独立した経路とし、それぞれ異なる圧力で冷媒を蒸発させることが出来る。従って、通常の暖房モードにおいては、第1暖房サイクルへのエンジン30からの排熱の寄与はなく、第1暖房サイクルでは外気からの採熱によって冷媒を蒸発させる外気採熱運転が行われる。一方、第2暖房サイクルでは外気採熱を行わずに、エンジン30の排熱を利用して冷媒を蒸発させる。このように、この発明のヒ−トポンプ、従って、空調機によれば、これら第1および第2暖房サイクルの組み合わせ駆動により、排熱利用に影響されることなく外気採熱を可能とし、その結果、従来に比べて暖房能力および成績係数が向上する。
【0076】
また、第2暖房サイクルでは、膨張弁18によって冷媒を減圧させる工程が無いため、第2暖房サイクルを循環させるための動力は不要である。ただし、第2暖房サイクルの経路に冷媒を循環させる際に、若干の圧力損失が生じ、さらに、充填モードでガス冷媒が膨張弁18の低圧側に吸い出されるため、多少圧力が低下する。しかし、その後の暖房モードにおいて、排熱回収熱交換器46で冷媒の加熱および蒸発が行われることによって、自然に昇圧する。よって、やはり圧縮機などの動力は不要である。
【0077】
なお、三方弁52を制御して、補助排熱回収熱交換器22に冷却水を供給することにより、室外熱交換器20の除霜が行える。また、排熱回収熱交換器46通過後の冷却水の温度が、設定した値よりも高い場合、補助排熱回収熱交換器22に冷却水を供給することにより、冷却水の温度を下げることができる。その際に冷却水から奪われた熱量は冷媒の気化に利用される。よって、ラジエータ32からの無駄な放熱を抑えることができる。
【0078】
このような、三方弁52の制御は、例えば下記の通りに行えばよい。排熱回収熱交換器46の冷却水の戻り流路に温度センサを設けておく。センサが測定した冷却水の温度を判定部に送る。この判定部には、予め、三方弁52の切り替えを行う制御信号を出力させるための基準温度値を設定温度として設定しておく。測定温度が判定部に入力すると、この測定温度を設定温度と比較する。測定温度の方が設定温度より高ければ、三方弁52を通る冷却水が補助排熱回収熱交換器22を流れるように切り替える制御信号を当該三方弁52に出力する。
【0079】
一方、測定温度の方が設定温度より低ければ、三方弁52を通る冷却水が補助排熱回収熱交換器22をバイパスして流れるように切り替える制御信号を当該三方弁52に出力する。
【0080】
尚、この三方弁52の切り替え制御は、上述した2通りのみならず、設計に応じた任意好適な切り替え制御とすることが可能である。
【0081】
三方弁53は、冷却水が暖房運転時は排熱回収熱交換器46を通り、また、冷房運転時は、冷却水がこの排熱回収熱交換器46をバイパスして三方弁52に入るように、制御する。また、三方弁36は、ワックス弁などが用いられるため、三方弁36を通る冷却水の温度が高い場合には、冷却水が自動的にラジエータ32を流れるように切り替わる。
【0082】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、電磁弁の開閉によって運転されるバッチ方式のヒートポンプエアコンにつき説明した。このエアコンでは、第2暖房サイクルを循環させるために圧縮機などの動力を必要としない。ところで、第2暖房サイクルの経路に冷媒を循環させる際の圧力損失分を補うために圧縮機やポンプを使用すると、充填モードを行う必要が無くなり、連続運転が可能となる。
【0083】
図2は、第2の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示すブロック図である。以下、第1の実施の形態のエアコンと異なる点について主として説明する。
【0084】
エアコン本体は室内機10と室外機44aとで構成される。室外機44aには、エンジン30または電動モータ60を動力源とする第2圧縮機58が新たに追加されている。一方、第2の実施の形態の構成例における室外機44aからは、第1の実施の形態に含まれていたレシーバタンク48および弁50a〜50cが削除されている。
【0085】
この例では、排熱回収熱交換器46がレシーバタンク48のあった位置に設けられ、排熱回収熱交換器46はレシーバタンクとして兼用される。すなわち、排熱回収熱交換器46は、室内熱交換器14の出口と膨張弁18の入口との間に結合されていて、かつ、その出口は、第2圧縮機58の入口に結合されている。尚、室内熱交換器14に結合する管と膨張弁18に結合する管は、液冷媒を流すために排熱回収熱交換器46の下部に結合され、第2圧縮機58に結合する管は蒸発したガス冷媒を流すため、排熱回収熱交換器46の上部に結合されている。尚、冷却水は、第1の実施の形態の場合と同様に、冷却水流路Wによって、排熱回収熱交換器46を循環する。
【0086】
また、第2圧縮機58の出口側の冷媒管は、四方弁28と室内熱交換器14とを結ぶ冷媒管に結合される。室内熱交換器14の入口から排熱回収熱交換器46までの流路は、第1と第2の冷媒流路XおよびYで共通である。
【0087】
次に、図2を参照して、暖房運転時のエアコンの動作を説明する。室外熱交換器20を含む第1の冷媒流路Xにおける第1暖房サイクル(図2中の黒塗り矢印で示される流れ)については、第1の実施の形態で行った説明と実質的に変わりない。以下、排熱回収熱交換器46を含む第2の冷媒流路Yにおける第2暖房サイクル(図2中の白抜き矢印で示される流れ)について説明する。
【0088】
▲1▼排熱回収熱交換器46で気化した冷媒は、第2圧縮機58に送られる。冷媒は第2圧縮機58により圧縮された後、室内熱交換器14に送られる(図2のE→F)。冷媒ガスは室内熱交換器14を凝縮器として液化する(図2のF→C)。このとき室内空気は、凝縮器からの熱の放出によって温風Qとなり、暖房効果を生ずる。
【0089】
▲2▼液化した冷媒は排熱回収熱交換器46に送られる。その際に冷媒液は膨張弁18を通らないので減圧されず、高温・高圧の状態で排熱回収熱交換器46に入る。
【0090】
▲3▼高温・高圧の冷媒液は排熱回収熱交換器46で、エンジン30から流路Wを経て送られる高温の冷却水から熱を奪って蒸発する。
【0091】
▲4▼蒸発した冷媒ガスは再び第2圧縮機58に戻り、同様の第2暖房サイクルを繰り返す。
【0092】
以上説明したように、図2の構成例では、排熱回収熱交換器46で蒸発した冷媒を、第2圧縮機58によって圧縮してから、室内熱交換器14に送るために、第2暖房サイクルの経路に冷媒を循環させる際の圧力損失分をこの第2圧縮機58により補うことができる。このため連続運転が可能となる。
【0093】
また、この構成によれば、排熱回収熱交換器46をレシーバタンクとして用いることができるので、レシーバタンクを省略できる。
【0094】
[第3の実施の形態]
図3は、第3の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示すブロック図である。以下、第1の実施の形態のエアコンと異なる点について主として説明する。
【0095】
エアコン本体は室内機10と室外機44bとで構成される。室外機44bには、ポンプ62および逆止弁64が新たに追加されている。一方、この第3の実施の形態では、室外機44bからは、第1の実施の形態で説明した弁50a〜50cが削除されている。
【0096】
この第3の実施の形態の構成例では、排熱回収熱交換器からの蒸発した冷媒を室内熱交換器に連続的に送給するために、この室内熱交換器からの凝縮した冷媒を排熱回収熱交換器に強制的に送給するように構成している。
【0097】
このため、第3の実施の形態の構成例では、弁50a〜50cを用いずに、排熱回収熱交換器46を経る第2暖房サイクルを連続的に行わせる構成となっている。
【0098】
すなわち、この構成例では、排熱回収熱交換器46に上述したと同様な冷媒液面検知手段(図示していない)を設け、第1の設定レベル(低液面レベル)と第2の設定レベル(高液面レベル)を基準レベルとして設定しておく。冷媒液面検知手段は、冷媒の液面レベルが第1の設定レベル(低液面レベル)以下であることを検知すると、ポンプの運転制御手段(図示していない)にその旨の信号を出力する。その信号を受けてポンプの運転制御手段はポンプを稼働させる。また、液面検知手段は、冷媒の液面レベルが第2の設定レベル(高液面レベル)以上であることを検知すると、ポンプの運転制御手段にその旨の信号を出力する。その信号を受けてポンプ制御手段は、ポンプを停止させる。
【0099】
上述のポンプ62は、レシーバタンク48の出口と排熱回収熱交換器46の入口との間に結合されている。また、ポンプ62の出口と排熱回収熱交換器46の入口との間に逆止弁64が挿入されている。排熱回収熱交換器46の出口側の冷媒管は、四方弁28と室内熱交換器14とを結ぶ冷媒管に結合される。室内熱交換器14の入口からレシーバタンク48の出口までの流路は第1と第2の冷媒流路XおよびYで共通である。
【0100】
次に図3を参照して、暖房運転時のエアコンの動作を説明する。室外熱交換器20を含む第1の冷媒流路における第1暖房サイクル(図3中の黒塗り矢印で示される流れ)については、第1の実施の形態で行った説明と実質的に変わりない。以下、排熱回収熱交換器46を含む第2の冷媒流路における第2暖房サイクル(図3中の白抜き矢印で示される流れ)について説明する。
【0101】
▲1▼排熱回収熱交換器46で気化した冷媒は室内熱交換器14に送られる。冷媒ガスは室内熱交換器14を凝縮器として液化する(図5のF→C)。このとき室内空気は、凝縮器からの熱の放出によって温風Qとなり、暖房効果を生ずる。
【0102】
▲2▼液化した冷媒はレシーバタンク48を経てポンプ62に送られる。冷媒はポンプ62により昇圧される(図5のC→E)。続いて冷媒は逆止弁64を経て排熱回収熱交換器46に送られる。以上の過程で冷媒液は膨張弁18を通らないために減圧されず、高温・高圧の状態で排熱回収熱交換器46に入る。
【0103】
▲3▼高温・高圧の冷媒液は排熱回収熱交換器46で、エンジン30から流路Wを経て送られる高温の冷却水から熱を奪って蒸発する。
【0104】
▲4▼蒸発した冷媒ガスは再び室内熱交換器14に戻り、同様の第2暖房サイクルを繰り返す。
【0105】
以上説明したように、図3の構成例では、排熱回収熱交換器46内の冷媒液面が低下してきたらポンプ62を稼働して、レシーバタンク48から排熱回収熱交換器46へ冷媒を移動させる。このため連続運転が可能となる。
【0106】
【実施例】
次に、第1の実施の形態で説明したヒートポンプエアコンを構成する室外機44の暖房能力測定結果につき説明する。ここでは、ヤマハ発動機(株)製のYCJ80EN−C(商品名)をベース機として用いて構成した室外機44を、測定対象として用いている。
【0107】
図4は、測定装置の構成を示すブロック図である。測定対象の室外機44は温度調節が可能な冷凍試験室66に設置される。観測室68には、冷媒/水熱交換器70、水槽72、ボイラ74および冷却塔76が設置される。図1において室内熱交換器14内に延在していた部分に相当する冷媒管は、冷媒/水熱交換器70内に設けられる。冷媒管内の冷媒の圧力は圧力計78によって測定される。また、ポンプ80により水槽72から水が汲み上げられ、この水が冷媒/水熱交換器70と水槽72との間に循環される。水の流量は流量計82により測定される。冷媒/水熱交換器70流入前の水温が温度計84により測定され、冷媒/水熱交換器70流出後の水温が温度計86により測定されて、これらの温度差が求められる。これら流量および温度差から、冷媒/水熱交換器70における放熱量が求められる。
【0108】
また、ポンプ88により水槽72から水が汲み上げられ、この水が冷却塔76、ボイラ74および水槽72間に循環される。この水の流路に三方弁90が挿入されていて、この三方弁90の開閉とボイラの運転/停止が圧力計78の測定結果に応じて制御される。この制御の結果、室内機を用いる場合と冷媒の凝縮圧力が等しくなる。よって、冷媒/水熱交換器70を使用する図4の構成の測定装置は、冷媒/水熱交換器70の代わりに室内機を使用する場合と等価な条件で運転しているとみなすことができる。また、室外機44を構成するエンジンの回転数は専用のサービスチェッカにより制御する。
【0109】
なお、あらかじめ、観測室68に設置した室内機を使用して、室内機吸込空気をJIS条件に合わせて運転し、冷媒の蒸発圧力(低圧)と凝縮圧力(高圧)とを測定しておく。室内機としては、一例として、ヤマハ発動機(株)製のYESJ90D−A(商品名)が用いられる。
【0110】
測定条件は以下の通りである。エンジン回転数は、最高回転数(定格回転数)2500rpmに設定する。また、外気の乾球温度が7℃(JIS標準)、0℃、−10℃の場合についてそれぞれ測定を行う。
【0111】
また、補助排熱回収熱交換器を使用せず、排熱回収熱交換器を使用する場合につき測定を行う。比較対照として、排熱回収熱交換器を使用せず、補助排熱回収熱交換器を使用する場合についても測定を行う。前者は第1の実施の形態で説明した新方式の通常時の暖房運転であり、後者は在来方式の暖房運転に相当する。
【0112】
測定結果を表1、図5および図6にそれぞれ示す。図5は、暖房能力の外気温度依存性を示すグラフである。図6は、PERの外気温度依存性を示すグラフである。
【0113】
表1の6Bガスとはエンジンの燃料である。また、「新熱交」とは排熱回収熱交換器のことであり、「旧熱交」とは補助排熱回収熱交換器のことである。
【0114】
図5の横軸は外気温度を℃単位で示すものであり、縦軸は暖房熱量を[kW]で示すものである。図6の横軸は外気温度を℃単位で示すものであり、縦軸はPERを示すものである。図5および図6の各図において、実線aは在来方式の測定結果を示し、実線bは新方式の測定結果を示す。
【0115】
【表1】
【0116】
これらの測定結果の通り、外気温度約7℃での暖房能力は、在来方式で8.69[kW]に対し、新方式では10.02[kW]と増加している。また、成績係数は0.74から0.88へ0.14向上している。
【0117】
また、外気温度7℃より0℃の方が成績係数が高いが、これは7℃ではラジエータからの放熱があるためと思われる。これは排熱を完全に使い切っていないことを意味するので、排熱回収熱交換器の熱交換面積を大きくすることにより改善される余地が残されている。
【0118】
外気温度−10℃では効果が小さいのは、定格回転数では室外熱交換器での冷媒蒸発圧力が低く、低圧異常で停止してしまうため、圧力が120kPaを下回った場合は、排熱回収熱交換器を通った後の冷却水を補助排熱回収熱交換器にも通すように三方弁を制御することにより、低圧異常を回避する制御を組み込んだためと思われる。電動ヒートポンプでは運転が可能であることを考えると、膨張弁制御が最適ではなく、改善の余地が残されていると思われる。
【0119】
以上のように、新方式の、暖房能力の増大および成績係数の向上の効果を確認することができた。
【0120】
【発明の効果】
この発明の空調方法によれば、室外熱交換器と排熱回収熱交換器とを独立した経路とし、それぞれ異なる圧力で冷媒を蒸発させることが出来る。そして、室外熱交換器では外気採熱により、排熱回収熱交換器では排熱利用により、それぞれ冷媒を気化させる。従って、排熱利用に影響されることなく外気採熱が可能となり、従来方法に比べて暖房能力および成績係数の向上が図れる。
【0121】
また、排熱回収熱交換器では、凝縮した冷媒を膨張弁で減圧することなく、高圧のまま加熱・蒸発させるため、大きな動力を用いずに第2暖房サイクルを循環させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示す図である。
【図3】第3の実施の形態のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示す図である。
【図4】測定装置の構成を示す図である。
【図5】暖房能力の外気温度依存性を示す図である。
【図6】PERの外気温度依存性を示す図である。
【図7】従来のエンジン駆動式ヒートポンプエアコンの構成を示す図である。
【図8】従来のヒートポンプサイクルにおける冷媒状態を示す図である。
【符号の説明】
10:室内機
12,44,44a,44b:室外機
14:室内熱交換器
16,48:レシーバタンク
18:膨張弁
20:室外熱交換器
22:補助排熱回収熱交換器(従来構成では排熱回収器)
24:アキュムレータ
26:圧縮機
28:四方弁
30:エンジン
32:ラジエータ
34,62,80,88:ポンプ
36,52,53,90:三方弁
46:排熱回収熱交換器
50a:第1弁
50b:第2弁
50c:第3弁
54a,54b,54c:電磁弁
56a,56b,56c,64:逆止弁
58:第2圧縮機
60:電動モータ
66:冷凍試験室
68:観測室
70:冷媒/水熱交換器
72:水槽
74:ボイラ
76:冷却塔
78:圧力計
84,86:温度計
82:流量計
Claims (3)
- 室内熱交換器と、室外熱交換器および排熱回収熱交換器との間に冷媒を循環させて室内の空調を行う方法であって、暖房運転にあたり、
前記室内熱交換器の出口と前記排熱回収熱交換器の入口との間に第1弁を設け、前記排熱回収熱交換器の出口と前記室内熱交換器の入口との間に第2弁を設け、および前記排熱回収熱交換器の出口と前記室外熱交換器の入口との間に第3弁を設けておき、
前記室外熱交換器で外気を利用して冷媒を蒸発させる第1工程と、
前記室外熱交換器で蒸発した冷媒を圧縮機で圧縮する第2工程と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記室内熱交換器で凝縮させる第3工程と、
前記室内熱交換器で凝縮した冷媒を膨張弁で減圧・膨張させて前記室外熱交換器に送給する第4工程とを含む第1暖房サイクル、並びに
前記室内熱交換器で凝縮した冷媒を非減圧状態で前記排熱回収熱交換器に送給する第5工程からなる充填モード、及び
前記排熱回収熱交換器で前記圧縮機の動力源であるエンジンの排熱を利用して冷媒を蒸発させる第6工程と、
前記排熱回収熱交換器で蒸発した冷媒を前記室内熱交換器に送給する第7工程と、
前記室内熱交換器で冷媒を凝縮させる第8工程とからなる暖房モードを含み、前記充填モード及び前記暖房モードを交互に実施する第2暖房サイクル
を行い、
前記排熱回収熱交換器中に収容されている前記凝縮した冷媒の収容レベルが予め設定した第1設定レベル以下であることを検知して、前記第1及び第3弁を開いて前記排熱回収熱交換器の出口側を入口側よりも低圧にするとともに、前記第2弁を閉じて前記充填モードに切り替え、及び
前記凝縮した冷媒の収容レベルが、前記第1設定レベルより高い、予め設定した第2設定レベル以上であることを検知して、第1及び第3弁を閉じるとともに、前記第2弁を開いて前記暖房モードに切り替える
ことを特徴とする空調方法。 - 室内熱交換器と、室外熱交換器および排熱回収熱交換器との間に冷媒を循環させて室内の空調を行うヒートポンプであって、暖房運転において、
前記室外熱交換器は外気を利用して冷媒を蒸発させるものであり、
前記室外熱交換器で蒸発した冷媒は四方弁を経て圧縮機に送給され、
前記圧縮機で圧縮された冷媒は前記四方弁を経て前記室内熱交換器に送給され、
前記室内熱交換器で凝縮した冷媒は膨張弁を経て前記室外熱交換器に送給されるように構成されており、
前記排熱回収熱交換器は前記圧縮機の動力源であるエンジンの排熱を利用して冷媒を蒸発させるものであり、
前記排熱回収熱交換器で蒸発した冷媒は前記室内熱交換器に送給され、
前記室内熱交換器で凝縮した冷媒は非減圧状態で前記排熱回収熱交換器に送給されるように構成されており、
前記室内熱交換器の出口と前記膨張弁の入口との間が受液器を介して結合され、
前記受液器の出口および前記膨張弁の入口間の結合部と前記排熱回収熱交換器の入口との間が第1弁を介して結合され、
前記排熱回収熱交換器の出口と前記四方弁の出口および前記室内熱交換器の入口間の結合部との間が第2弁を介して結合され、
前記排熱回収熱交換器の出口および前記第2弁間の結合部と前記膨張弁の出口および前記室外熱交換器の入口間の結合部との間が第3弁を介して結合されている
ことを特徴とするヒートポンプ。 - 請求項2に記載のヒートポンプを具える空調装置。
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