JP3795145B2 - 炭化珪素の成長法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭化珪素の結晶成長に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素(シリコンカーバイド、SiC)は珪素(Si)に比べて高硬度で薬品にも侵されにくく、ワイドギャップもあることから、パワーデバイスや耐環境デバイス、高温動作デバイス等へ応用される半導体材料である。
【0003】
従来の炭化珪素の成長法は、例えば特開昭62-36813号公報に記載されたものが提案されている。以下に前記の一般的な炭化珪素の成長法を示す。
図9は炭化珪素の結晶成長装置の構造を示している。図9において、91は反応炉、92はカーボン製のサセプタであり、その上に珪素からなる基板93が設置される。基板93は主としてウェハーそのままか、あるいはウェハーを所望のサイズに切り出して用いられる。サセプタ92は反応炉91のまわりに設置された誘導加熱装置95により加熱される。反応炉91の周辺部94には冷却水を循環している。反応炉91中に炭素を含む反応ガス(例えばプロパン、C38)および水素を導入して圧力を大気圧以下に調整し、誘導加熱装置95に高周波電力を印加して、基板93を1200〜1400℃に加熱することによって基板93の表面に炭化処理を施し、その後さらに珪素を含む反応ガス(例えばシラン、SiH4)を導入することにより、基板93の表面に立方晶系の3C−SiCと称される炭化珪素が成長する。図10は基板93上に成長された炭化珪素の概略断面図を示しており、基板93上全面に炭化珪素101が成長し、炭化珪素堆積基板102が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の従来の構成では、基板93である珪素とその上に成長した炭化珪素101の熱膨張、熱収縮の度合いが異なるため、炭化珪素101の結晶成長後に働く内部応力により、炭化珪素堆積基板102に反りを生じたり、成長した炭化珪素101に無作為にクラックが発生するという問題点を有していた。このような基板の反りは、炭化珪素を用いた素子を作製する際のフォトリソグラフィを要するパターニング工程において、フォトマスクと基板が密着せず、予期できない像のぼけを生じさせるため、基板の各部でパターニングのばらつきを生じさせる。また無作為にクラックが発生すると、炭化珪素101上に形成される素子の多くが不良となり、歩留まりが悪化してコスト増の原因となる。
【0005】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、基板の反りを緩和し、無作為なクラックの発生を抑制する炭化珪素の成長法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の炭化珪素の成長法は、基板表面に炭化珪素膜を成長させる方法であって、基板の少なくとも一部が物理的または化学的に表面改質されている基板を用い、表面改質が酸素イオンまたは炭素イオンによるイオン注入によって成されることを特徴とする。
【0007】
前記方法においては、表面改質が、基板表面の少なくとも一部に堆積された薄膜を除去することにより成されることが好ましい。また、薄膜が少なくとも炭素を含むことが好ましい。また、薄膜がアモルファス状炭素であることが好ましい。また、アモルファス状炭素が、炭素、水素以外の不純物を含んでいることが好ましい。また、不純物が窒素であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。
【0009】
参考形態1
以下、図1を用いて、本発明の参考形態1について説明する。図1において、11は珪素からなる基板であり、12は部分的に堆積された単結晶珪素からなる堆積物である。この堆積物12は、例えば次ようにして得ることができる。
【0010】
(1)基板11を熱酸化炉に入れ、ウェット酸化により、約1000℃で約3時間熱酸化して珪素酸化物を約1μm堆積する。
(2)その後に、スパッタ法によりさらに珪素酸化物を2μm堆積する。
(3)次に、この珪素酸化膜の上からフォトレジストを塗布して、フォトリソグラフィにより堆積物12のためのパターンニングを施す。
(4)その後、バッファード弗酸(弗酸:弗化アンモニウム=1:7の混合溶液)を用いて、堆積物12を形成したい部分の珪素酸化物を取り除く。
(5)その後、堆積物12となる珪素を、水素希釈したシランを原料ガスとして化学蒸着(CVD)法により堆積し、先の珪素酸化物をバッファード弗酸を用いて下地の珪素酸化物ごとリフトオフにより除去する。
【0011】
堆積物12の結晶性の善し悪しは特に問わない。堆積物12は図7の太線71で示した格子状に形成した。太線71の幅に相当する堆積物12の幅Wは0.5μm〜1mm、高さは0.5〜50μm程度が好ましい。本実施の形態では幅、高さはそれぞれ10μm、1μmとした。また、図7の72で示される素子形成領域の長さL、L’はともに5mmとした。この堆積物12を具備した基板13を、堆積物12が上向き(サセプタと接する面とは反対向き)となるように図9の反応炉91の所定位置(サセプタ92上の基板93の位置)に設置した。反応炉91を十分に真空引きした後、水素を毎分2l、プロパンを毎分約3ccほど反応炉91内に導入し、反応炉91内の圧力を約100Torrとし、サセプタ92の温度を熱電対で1500℃に制御して堆積物12を具備した基板13の表面を10分間炭化処理した。
【0012】
その後、水素を毎分2l、プロパンを毎分0.4cc(希釈水素量毎分50cc)、シランを毎分1cc(希釈水素量毎分50cc)ほど反応炉91内に導入し、反応炉91内の圧力を炭化処理時とほぼ同じとして、堆積物12を具備した基板13上に炭化珪素14を成長させた。堆積時間1時間で、図7に示される素子形成領域72には約3μmの炭化珪素が成長した。
【0013】
炭化珪素14成長後の基板16の断面図を図1(c)に示す。炭化珪素14は図に見られるように成長し、基板11として珪素の(100)面を用いた場合、X線源としてCuのKα線を用いたX線回折パターンにおいて、2θ=41゜および90゜付近に炭化珪素のポリタイプのうちの立方晶系である3C−SiCの(200)および(400)に相当する顕著な信号が見られた。堆積物12であった珪素は炭化珪素14の堆積後は部分的に消失しており、図1(c)に示したように空洞15が見られた部分もあった。堆積物12であった珪素は、炭化珪素14堆積前の炭化処理の際に、炭化珪素成長のための珪素供給源として再蒸発する。空洞15の基板側17には逆ピラミッド状に掘られたピットが部分的に見られた。空洞15の上部の炭化珪素18の高さは炭化珪素14の膜厚とほぼ同じであった。図7の素子形成領域72となる炭化珪素14の平坦な部分19と、堆積した珪素の影響による盛り上がった凸部18の境界部分20においては、結晶成長のフェイズが異なっており、この部分にクラックが生じやすいことを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。なお、平坦な部分19にはクラックは発生しなかった。すなわち、凸状の炭化珪素18を成長させることにより、炭化珪素堆積基板16全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、堆積物を有しない従来基板102に対し、基板の反りを約15%緩和できた。凸部18は必要に応じて、研磨等により除去する。
【0014】
なお、上記の参考形態1においては、堆積物12を単結晶珪素としたが、多結晶珪素やアモルファス状珪素では、堆積物上部に成長する炭化珪素18が多結晶となり、同じ炭化珪素成長条件においても、成長時間が1時間程度で大きさが2〜4μmの粒塊を生じた。これによっても炭化珪素堆積基板16の内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、堆積物を有しない従来基板102に対し、基板の反りを10〜15%緩和できた。
【0015】
アモルファス状珪素を堆積した基板は、例えば上記と同様の方法で、珪素基板を熱酸化してフォトリソグラフィによりパターニングを施した後、スパッタ法によりアモルファス状珪素を堆積し、不要な珪素を下部の珪素酸化膜ごと除去することにより得られ、多結晶珪素を堆積した基板は、このアモルファス状珪素堆積基板を熱処理して非晶質部を再結晶化することにより得られる。
【0016】
また、珪素に限らず、他の単結晶、多結晶、アモルファス状(珪素酸化物や珪素窒化物、炭素系材料等も含む)の堆積物においても、その上部に成長する炭化珪素の結晶性を下げるか、あるいは粒塊を生じ、結晶性の良い平坦な炭化珪素と明らかに区別できる結晶成長を引き起こすようなものであれば、同様の効果が得られる。
【0017】
参考形態2
以下、図2を用いて、本発明の参考形態2について説明する。図2において、21は表面に段差を設けた珪素からなる基板である。このような段差は、例えば図2(a)の珪素からなる基板11を、1000℃で3時間ウェット酸化して珪素酸化物を形成した後に、フォトリソグラフィにより部分的に珪素酸化物を取り除き(図2(b)のLoに対応する部分)、その後、残された珪素酸化物をマスクとして、露出している珪素表面を再び同条件で熱酸化を行い、バッファード弗酸により珪素酸化物を除去することにより得られる。図2(b)に示した段差の高さHは、熱酸化時間により調整される。段差はここでは1μmとし、基板上面から見た場合、図7に示した太線71に沿ったように段差を形成した。すなわち隣り合う素子形成領域72が段差を有している。段差Hは0.5〜10μm程度が好ましい。図7に示された素子形成領域の長さL、L’は5mmとした。図2(b)のLoは、Lと同様、5mmとした。以上のようにして段差を設けた図2(b)の基板21を、段差を設けた面が上向き(サセプタと接する面とは反対向き)となるように図9の反応炉91の所定位置に設置した。以下、参考形態1で示した条件の下で、段差を設けた基板21上に炭化珪素を成長させた。その断面を図2(c)に示す。基板21の表面に設けられた段差に沿って、堆積時間1時間で、約3μmの炭化珪素22が成長した。基板表面の凹部23および凸部24においては結晶性および平坦性が良好な炭化珪素が成長した。この部分が素子形成領域72に相当する。凹部23および凸部24内にはクラックは発生しなかったが、その境界部分、すなわち段差を有する部分25においては、結晶成長のフェイズが異なっており、この部分に選択的にクラックが生じやすいことを確認した。このような段差を有する基板状に炭化珪素を成長させることにより、炭化珪素堆積基板26全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、表面改質層を有しない従来基板102に対し、基板の反りを約15%緩和できた。
【0018】
なお、本参考形態2で述べた基板の段差は、凹凸が交互に繰り返される必要性はなく、図2(b)に示したような凹凸状に限らず、図3の31のような階段状であっても、凹凸が例えば凹凹凹凸凹のようにランダムであっても差し支えない。
【0019】
また、段差Hは0.5〜10μm程度であるが、この段差をあまり大きくとりすぎると、フォトリソグラフィ等のプロセスにより素子作製を行う場合、凹部24ではフォトマスクが密着せず、微細加工が困難となるため、その場合は、凹部23には微細加工を必要としない素子を形成する。あるいは、図2(b)において、凹部23は犠牲にして、凹部23には素子を形成せず、LoをLに対して十分に小さくすればよい。例えば、L=10mmに対し、Lo=1mmとすればよい。
【0020】
(実施の形態
以下、図4を用いて、本発明の実施の形態1について説明する。図4において、43は基板11の表面に部分的にイオン注入により表面改質を施した基板である。イオン注入領域は模式的に41で示している。基板11は珪素基板を用いた。基板11上にアルミニウムを真空蒸着により約1μm形成し、フォトリソグラフィによりイオン注入領域に相当する部分のアルミニウム薄膜を除去して窓開けを行い、このパターニングされたアルミニウムをマスクとしてイオン注入後、アルミニウムマスクを燐酸により除去した。イオン注入領域41は、図7の太線71で示されているように形成した。太線71の幅、すなわちイオン注入領域の幅Wは0.5μm〜1mm程度が適当であるがここでは50μmとした。基板のごく表層のみを表面改質すればよいので、イオン注入のエネルギーは比較的小さくした。素子形成領域72を示す長さL、L´は5mmとした。
【0021】
まず、炭素イオンを約20keVのエネルギーで注入した。ドーズ量は1×1015個/cm2とした。これにより基板11のごく表面部分を炭素化改質し、表面改質部41を形成した。この炭素化改質済み基板43を、表面改質部41が上向き(サセプタと接する面とは反対向き)となるように図9の反応炉91の所定位置に設置した。以下、実施の形態1で示した条件の下で、表面改質部41を設けた基板43上に、堆積時間1時間で約3μmの炭化珪素を成長させた。その断面を図4(c)に示す。表面改質を施していない部分42では、結晶性のよい平坦な炭化珪素44が成長した。この部分が図7の素子形成領域72に相当する。ところが、炭素イオンによる表面改質部41上(図4(c)の45)には、原料ガスの炭素を過剰としたときに成長する炭化珪素のモフォロジーを有する、すなわち、平坦性の乏しい、表面が荒れた炭化珪素45が成長した。このように、基板11の表面に、荒れた炭化珪素45を部分的に成長させることにより、炭化珪素堆積基板46全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、表面改質層を有しない従来基板102に対し、基板の反りを約10%緩和できた。
【0022】
次に、炭素イオンの代わりに、酸素イオンを約30keVのエネルギーで注入した場合を説明する。注入イオン以外のプロセスは、上の炭素イオン注入の場合と同様である。酸素イオンを注入した場合、基板11のごく表層は珪素酸化物が形成される。以下、実施の形態1で示した条件の下で、酸素イオンによる表面改質部41を設けた基板43上に炭化珪素を成長させたところ、表面改質部41上(図4(c)の45)では、結晶性に乏しい粒塊状の炭化珪素45が成長したが、表面改質を施していない部分42に関しては、結晶性に優れた平坦な炭化珪素44が成長した。この部分がやはり素子形成領域72に相当する。先の炭素イオンの場合と同様に、粒塊状の炭化珪素45を部分的に成長させることにより、炭化珪素堆積基板46全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、表面改質層を有しない従来基板102に対し、基板の反りを約10%緩和できた。
【0023】
参考形態3
以下、図5を用いて、本発明の参考形態3について説明する。図5において、51は基板11の表面に部分的に堆積したアモルファス状炭素薄膜である。基板は珪素基板を用いた。アモルファス状炭素51を部分的に堆積する方法は特に問わないが、ここでは、基板11上にアルミニウムを300nm真空蒸着して、フォトレジストによるパターニングを行い、図7の太線71の部分のアルミニウムを燐酸により除去し、その基板を用いてアモルファス状炭素51を全面に堆積し、再び燐酸を用いてリフトオフにより、図7の素子形成領域72(図5(b)のLに相当する部分)上のアルミニウムとアモルファス状炭素薄膜を除去して、図7の太線71で示したようなパターンとなるように部分的堆積を行った。アモルファス状炭素51の幅Wは0.5μm〜1mm程度が妥当であり、ここでは約100μmとした。素子形成領域を表す長さL、L´は5mmとした。アモルファス状炭素51の堆積方法については数多くの方法が知られているが、どのような方法でも差し支えない。ここでは炭素を含む気体、または液体を気化したガスを熱フィラメントとグリッド電極を備えた真空チャンバー内に導入し、減圧下で熱フィラメントに約600Wの電力を印加して、熱フィラメントとグリッド電極間に設けられた負荷を介して300Vの電圧を印加して炭素含有ガスをイオン化し、その炭素含有クラスターを電界で加速して、グリッド電極に対して−1700Vの電圧を印加した電極に設けた基板11上に、アモルファス状炭素を堆積時間1.5時間で、約300nmほど堆積して図5(b)のアモルファス状炭素堆積基板52を得た。アモルファス状炭素形成のための炭素供給源としては、メタン等の炭化水素や、ベンゼン等の有機溶媒が挙げられる。このような原料ガスを用いると、形成されるアモルファス状炭素51には炭素の他に水素が含有する。原料ガスに窒素ガスを含有させるか、または窒素と炭素があらかじめ結合した分子を原料ガスとして用いることにより、アモルファス状炭素51に窒素を数%以上含有させて、不活性ガス中400℃で加熱すると、堆積していたアモルファス状炭素51をほぼ除去することができ、基板の表面には炭素による表面改質層53が形成される。ここでは原料ガスとして有機溶媒のピリジンを用いた。このとき、上記の方法でアモルファス状炭素を堆積させると、アモルファス状炭素中の炭素原子に対し、窒素原子を約5%含有しており、窒素雰囲気で、400℃、1時間熱処理することにより、表面改質層53を形成した。
【0024】
以上のようにして形成された、図5(c)の基板54を、表面改質部53が上向き(サセプタと接する面とは反対向き)となるように図9の反応炉91の所定位置に設置した。以下、実施の形態1で示した条件の下で、アモルファス状炭素による表面改質部53を設けた基板54上に、堆積時間1時間で約3μmの炭化珪素を成長させた。その断面を図5(d)に示す。あらかじめ基板表面が露出していた部分には、結晶性の優れた平坦な炭化珪素55が成長した。この部分が素子形成領域72に相当する。ところが、炭素による表面改質層53上には、炭素過剰の条件で成長させた時と同様のモフォロジーとなり、図5(d)の56の部分には表面が荒れたガタガタの結晶が成長した。この荒れた結晶部56により、炭化珪素堆積基板57全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、表面改質層を有しない従来基板102に対し、基板の反りを約10%緩和できた。
【0025】
なお、以上の説明では基板11上にアモルファス状炭素51を堆積したが、炭素を含み、そのほとんどが除去可能な膜であれば、同様に実施可能である。また上で述べた例の場合、窒素を含有させることにより、熱処理によってアモルファス状炭素51が除去可能となるが、窒素に限らず他の不純物でもかまわない。
【0026】
参考形態4
以下、図6を用いて、本発明の参考形態4について説明する。図6において、61は基板11に設けられた溝である。この溝61はダイシング機等で形成する。本実施の形態では簡便な方法として、ダイヤモンドカッターを用いて溝61を形成した。基板は珪素基板を用いた。溝61の幅Wは約50μm、深さDは約50μmとした。溝61は図7の線71で示したように格子状とした。素子形成領域を表す長さL、L´は5mmとした。この溝61を設けた面が下向き(サセプタと接する面)となるように図9の反応炉91の所定位置に設置した。以下、実施の形態1で示した条件の下で、溝61を設けた基板62上に、堆積時間1時間で約3μmの炭化珪素を成長させた。その断面を図6(c)に示す。図のように、溝61を設けていない部分には結晶性の優れた炭化珪素63が成長した。この部分が素子形成領域72に相当する。ところが、裏面に溝61がある場合、その表面に成長した炭化珪素64は、溝61による熱分布の影響を受けて、結晶性が低下し白濁した。溝61の幅50μmに対して、基板表面に成長した結晶性の悪い炭化珪素64の基板面方向の幅は1〜1.5mm程度であった。このような溝61を設けることにより、成長させる炭化珪素の結晶性を部分的に低下させることによって、炭化珪素堆積基板65全体での内部応力を低減することができ、基板サイズが3インチの場合、溝を有していない従来基板102に対し、基板の反りを約10%緩和できた。
【0027】
なお、溝の幅W、深さDはそれぞれ50μm、50μmとしたが、幅Wは5μm〜1mm、深さDは10〜300μm程度でも実施可能である。深さについては基板11の厚さに依存するが、炭化珪素成長時の熱等により、基板11自体が割れない程度とする。また図6(b)(c)においては、溝はくさび状で示しているが、角状でもよく、その他特に形状にとらわれるものではない。
【0028】
また、以上の説明では溝61を基板11に形成した例で説明したが、図9のサセプタ92と基板93の接触面において、基板11にではなくサセプタ92に同様の溝を形成してもよい。
【0029】
上記発明の参考形態1から4において、基板11上に形成される堆積物12や表面改質層41、溝61は、例えば、図7に示した格子状に形成したが、図8のようにドット81に示されるような堆積物12や表面改質層41、溝61を多く形成してもよい。この場合、82全体が素子形成領域となる。
【0030】
炭化珪素の素子形成領域となる部分の間隔L、L´は、0.1〜20mm程度とする。堆積物12や表面改質層41、溝61の方向を、基板の劈開方向または炭化珪素の成長軸方向に沿わせておけば、内部応力に伴いクラックが発生した場合でも、炭化珪素の素子形成領域に影響を与えない。仮に無作為なクラックが発生しても、炭化珪素の素子形成領域72が堆積物12や表面改質層1、溝61の影響により分離されているので、クラックを阻止できる。
【0031】
堆積物12や表面改質層41、段差、溝61を示す図7の太線71は90゜直交する配置で構成し、図8のドット81は図7の線71の交点上に配置したが、選択する基板の結晶面によって、線71やドット81の配置を変化させてもよい。またドット81の形状も円形や角形など特に問わない。
【0032】
基板11は珪素としたが、珪素表面に部分的に、または全面にバッファー層や初期成長層を具備した基板であってもよい。また、基板11はジャストカット基板であっても、オフカット基板であってもよく、原料ガスの供給比を制御することにより、(100)や(111)面等の基板を選択する。さらに、珪素に限らず、炭化珪素が成長可能な基板であれば、どの材質を選択しても差し支えない。
【0033】
また、本発明においては反応炉は図9のように縦型反応炉で説明したが、面上に炭化珪素を堆積させる手段であれば、横型の反応炉であったり、サセプタと基板が接していない反応炉であっても、その他どのような堆積方法でも実施可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明は、炭化珪素を成長させる基板に表面改質を施すことにより、炭化珪素堆積基板の内部応力を低減して基板の反りを緩和し、無作為なクラックの発生を抑制できる優れた炭化珪素の成長法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態1における概略工程を示す断面図
【図2】 本発明の参考形態2における概略工程を示す断面図
【図3】 本発明の参考形態2における階段状の段差を有する基板断面図
【図4】 本発明の実施の形態1における概略工程を示す断面図
【図5】 本発明の参考形態3における概略工程を示す断面図
【図6】 本発明の参考形態4における概略工程を示す断面図
【図7】 本発明の参考形態の基板上に形成した堆積物、段差、表面改質部、溝の概略平面図
【図8】 参考形態の堆積物、段差、溝をドット状に配置した概略平面図、および本発明の実施形態1をドット状に配置した概略平面図
【図9】 本発明の炭化珪素結晶成長装置の概略断面図
【図10】 従来の炭化珪素堆積基板の概略断面図
【符号の説明】
11 珪素基板
12 堆積物
13 堆積物を具備した基板
14、22、44、55、63 炭化珪素
21 段差を有する基板
31 階段状の段差を有する基板
41 イオン注入による表面改質部
43 イオン注入による表面改質基板
51 アモルファス状炭素
53 アモルファス状炭素除去後の表面改質部
54 アモルファス状炭素除去後の表面改質基板
61 溝
62 溝を設けた基板
71 堆積物、段差、表面改質部、溝の概略を示す線
81 堆積物、段差、表面改質部、溝を示すドット
91 反応炉
92 サセプタ

Claims (7)

  1. 基板表面に炭化珪素膜を成長させる方法であって、基板の少なくとも一部が物理的または化学的に表面改質されている基板を用い、
    前記表面改質が酸素イオンまたは炭素イオンによるイオン注入によって成される炭化珪素の成長法。
  2. 表面改質が、基板表面の少なくとも一部に堆積された薄膜を除去することにより成される請求項に記載の炭化珪素の成長法。
  3. 薄膜が少なくとも炭素を含む請求項に記載の炭化珪素の成長法。
  4. 薄膜がアモルファス状炭素である請求項2または3に記載の炭化珪素の成長法。
  5. アモルファス状炭素が、炭素、水素以外の不純物を含んでいる請求項に記載の炭化珪素の成長法。
  6. 不純物が窒素である請求項に記載の炭化珪素の成長法。
  7. 基板が珪素である請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素の成長法。
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