以下、本発明の実施例に係る画像読取装置1について図面に基づいて説明する。図1は、本画像読取装置1の構成を示す概略縦断面図である。画像読取装置1は、第1読取手段2で原稿Pの第1面(外側面)のみを読み取る片面読取機であって、原稿Pの第2面(内側面)を読み取る第2読取手段を、オプションとして後から追加可能に構成されたものである。以下、各構成について更に詳細に説明する。
本画像読取装置1は、図1に示すように、本体フレーム3に設けられたFBS4と、原稿押圧板5に設けられたADF6とから構成されている。FBS4は、図に詳細は示さないが、厚みのある原稿P等を読み取る場合に用いられるものであり、本体フレーム3のプラテンガラス7上に載置された原稿Pの外側面の画像が、第1読取手段2により読み取られるものとなっている。一方、ADF6は、シート状の原稿Pを読み取る場合に用いられるものであり、給紙トレイ8にセットされた原稿Pが最上紙Ptから1枚ずつ分離されて搬送路9へと送られ、この原稿Pの外側面の画像が第1読取手段2により読み取られ、排紙トレイ10へと排出される構成となっている。
ADF6は、図1に示すように、読み取るべき原稿Pの束が載置される給紙トレイ8と、この原稿Pの束から最上紙Ptを取り出して給紙口から搬送路9へ繰り込むピックアップローラ11、セパレートローラ12、及び分離パッド13と、給紙トレイ8と排紙トレイ10とを連通する横U字形状の搬送路9と、フィードローラ14及びプレスローラ15で構成され、搬送路9に適宜配設されて原稿Pを下流へ搬送する搬送ローラ16と、プレスローラ15をフィードローラ14に圧接する押圧バネ17と、押圧バネ17が嵌着されてなる押圧バネ取付部材18と、搬送路9の最下位置に配置された第1読取手段2と、図示しないプラテンローラを収容するためのローラ溝19と、該ローラ溝19の開口を覆うフィルム体(蓋部材)20と、搬送路9の最下流端に配置された排出ローラ21と、この排出ローラ21に圧接された押圧ローラ22と、排出口から排出された原稿Pを受ける排紙トレイ10と、排出された原稿Pの後端部を、排出ローラ21の周面から排紙トレイ10へと案内する落下補助リブ23と、原稿Pの排出完了を検出するリードセンサ24と、を具備してなるものである。本実施例では、図に示すように、ADF6が、上フレーム25、中間第1フレーム26、中間第2フレーム(中間フレーム)27、及び下フレーム28により構成され、この各フレームに前記各部材が取り付けられている。
第1読取手段2は、本体フレーム3上のプラテンガラス7を通して、搬送路9を搬送される原稿Pに光を照射する光源Sと、原稿Pからの反射光を所定の方向へ導くための反射ミラーMと、該反射光を収束させるレンズLと、収束光を電気信号に変換する電荷結合素子(Charge Coupled Device、以下「CCD」という。)Qとを備えてなる所謂CCDイメージセンサであり、図に示すように、搬送路9の下方において水平方向に移動可能に配設された移動式の画像読取手段である。尚、第1読取手段2としては、CCDに替えてCISを採用することも可能である。
搬送路9は、図1に示すように、給紙トレイ8から斜め下方へ傾斜して折返し部29に至り、この折返し部29で折り返されて最下位置に至り、この最下位置から斜め上方へ傾斜することで略横U字形状に湾曲して形成された搬送経路である。この搬送路9は、各フレーム部材、すなわち、上フレーム25、中間第1フレーム26、中間第2フレーム27、及び下フレーム28所定の間隔をおいて互いに向かい合うことにより形成されている。本実施例では、搬送路9の最下流部は、下フレーム28のガイド面28aと、この下フレーム28の上方に所定間隔をおいて配置された中間第2フレーム27のガイド面によって略水平となるように形成されており、原稿Pを排出口から水平方向に排出させているが、これに限られず、搬送路9の最下流部を斜め上方へ傾斜させ、原稿Pを排出口から斜め上方へ向って排出させることも可能である。
中間第2フレーム(中間フレーム)27は、図1に示すように、搬送路9の最上流部の内側ガイド面を構成する上蓋部材30と、搬送路9の最下流部の内側ガイド面を構成する上ガイド部材31とで構成されるものであり、上ガイド部材31に設けられた係合爪32を、上蓋部材30に設けられた係合溝33に係合させることにより、上ガイド部材31の上部を覆うようにして上蓋部材30を取り付けている。ここで、図に詳細は示さないが、係合溝33の上下幅は、係合爪32の厚みより若干大きく形成され、係合爪32を係合溝33に係合させた時に、係合爪32と係合溝33の間には上下方向に若干の遊びが生じるものとなっている。これにより、上ガイド部材31と上蓋部材30は、この遊び分だけ互いに上下動自在となっている。
このように、上ガイド部材31と上蓋部材30とを固定せず、互いに上下動自在としたことにより、搬送路9の最上流部と最下流部における上下幅を、それぞれ独立して調整することが可能となっている。本実施例では、図1及び図2に示すように、下フレーム28のガイド面28aにおけるローラ溝19の下流側に所定高さの突起34を設け、この突起34で上ガイド部材31の底面31aを下方から支持することにより、搬送路9の最下流部を、搬送すべき原稿Pの原稿厚に応じた適正な上下幅としている。尚、突起34の数は本実施例に限られず、ローラ溝19の上流側に設けることも可能である。また、これと同様に、図に詳細は示さないが、上フレーム25のガイド面に突起34を設けることにより、搬送路9の最上流部を適正な上下幅とすることが可能である。
更に、上ガイド部材31と上蓋部材30を互いに上下動自在としたことにより、後述するように、上ガイド部材31にCISを取り付けた場合に、CISの読取画質を良好に保つことが可能となっている。より詳細に説明するに、図1に示すように、上蓋部材30には、コイルバネ35によって上方向に付勢された分離パッドホルダ36が嵌合されており、この分離パッドホルダ36の上面に貼設された分離パッド13がセパレートローラ12に圧接されている。分離パッド13は、原稿Pに対する摩擦係数がセパレートローラ12の原稿Pに対する摩擦係数より低く、且つ原稿P同士の摩擦係数より高いものであり、例えばウレタン系樹脂で成形することが可能である。このような構成により、給紙トレイ8に載置された原稿Pの束から最上紙Ptが分離されて搬送路9に繰り込まれるものとなっている。ここで、セパレートローラ12と分離パッド13の間を原稿Pが通過する時に、上蓋部材30には振動が生じるが、前記係合爪32と係合溝33の間に若干の遊びを設けたことにより、この振動が上ガイド部材31に伝達しにくくなっている。これにより、上蓋部材30に生じた振動が、上ガイド部材31に取り付けられるCISの読取画質に影響を及ぼすことを低減している。
また、中間第2フレーム27は、上下方向に回動自在に設けられている。すなわち、中間第2フレーム27は、図1に示すように、その上端部が、画像読取装置1の図示しないフレームに両端部が固定された固定軸37に対して回動自在に取り付けられている。これにより、搬送路9において紙詰まりが発生した時に、図11に示すように、上フレーム25をヒンジ38を支点として上方へ開いた上で、中間第2フレーム27を固定軸37を支点として上方へ回動させることにより、搬送路9の最下流部を露呈させ、搬送路9に詰まった原稿Pを取り出すことができるものとなっている。
尚、中間第2フレーム27は、後述するように、CISを容易に取り付け、また取り外すことが可能な構成となっている。これにより、片面読取機である画像読取装置1を製造販売した後に、ユーザから両面読取機に変更したいとの要望があった場合に、ADF6ごと取り外して工場へ持ち帰らなくても、サービスマンがユーザのオフィス等へ行き、その場で中間第2フレーム27にCISを取り付けて両面読取機に変更することができる、という利点がある。
下フレーム28は、ADF6の最下部に配置されるものである。本実施例に係る画像形成装置1は、ローラ溝19が形成された下フレーム28を用いて片面読取機を構成している。これにより、樹脂等を成型して下フレーム28を製作する際に、両面読取機と金型を共通化することができ、生産コストの低減を図ることが可能となっている。図2は、下フレーム28の構成を示す概略平面図である。図に示すように、下フレーム28は、原稿Pを下流へと搬送する搬送ローラ16と、原稿Pを搬送路9から排紙トレイ10へと排出する排出ローラ21と、排出ローラ21の上流側に形成されたローラ溝19と、ローラ溝19の上流側直前部に形成されたフィルム貼付面39と、このフィルム貼付面39に幅方向一端部20aが貼付されてローラ溝19の開口を覆うフィルム体20と、排出口から排出された原稿Pの後端部を排出ローラ21の周面から排紙トレイ10へと案内する落下補助リブ23と、中間第2フレーム27の上ガイド部材31を下方から支持する突起34と、ローラ溝19の上流側に配置されて原稿Pの通過を検知するリードセンサ24と、排紙トレイ10に排出された原稿Pを取り出すための排出原稿取り出し用凹部40と、原稿押圧板5を本体フレーム3に対して開閉自在に取り付けるためのヒンジ機構41と、を具備してなるものである。また、下フレーム28のガイド面28aには、図に示すように、原稿Pの搬送方向に延びる複数の搬送補助リブ42が形成されており、搬送路9を搬送される原稿Pと下フレーム28との接触面積を小さくして摩擦を低減させることにより、原稿Pのスムーズな搬送を可能としている。
図3は、図1においてローラ溝19近傍について拡大した概略縦断面図である。図に示すように、下フレーム28におけるローラ溝19の上流側直前部に平坦なフィルム貼付面39が形成され、このフィルム貼付面39に幅方向一端部20aが貼付されたフィルム体20によりローラ溝19の開口が覆われている。
ローラ溝19は、図2及び図3に示すように、排出ローラ21の上流側に、搬送路9側に開口するように形成された縦断面が略U字型形状の溝であり、プラテンローラを収容するためのものである。本実施例では、画像読取装置1を片面読取機として構成したので、ローラ溝19の内部にはプラテンローラが収容されていない。このローラ溝19は、その開口の原稿搬送方向幅がプラテンローラの外径より大きくなっている。これは、ローラ溝19にプラテンローラを取り付ける場合に、ローラ溝19の上方からプラテンローラを取り付けることを可能とするためである。これにより、下フレーム28を分解してローラ溝19の下方からプラテンローラを取り付ける場合と比べて取付作業が容易となり、作業性を向上させることができるという利点がある。尚、本実施例では、ローラ溝19は下フレーム28に形成されているが、これに限られず、CISの配置位置に応じて、例えば、ローラ溝19を上フレーム25に形成することも可能である。
フィルム貼付面(蓋部材取付部)39は、図3に示すように、下フレーム28のガイド面28aから前記フィルム体20の厚み分だけ段落ちして、すなわち、ガイド面28aより低くなるように形成されたものであり、フィルム体20を貼付しやすいよう、その表面は平坦面となっている。このように、フィルム貼付面39が、ガイド面28aから段落ちして形成されたことにより、フィルム体20を貼付する際にその位置決めを容易に行うことができ、また、フィルム体20の幅方向一端部20aをフィルム貼付面39に貼付したときに、フィルム体20の表面がガイド面28aと略面一となり、搬送路9を搬送される原稿Pの先端部が、フィルム体20の上流側縁部20bに引っ掛かるのを防止することができる。尚、ガイド面28aに設けられた搬送補助リブ42は、図2及び図3に示すように、フィルム貼付面39の手前までしか設けられておらず、搬送路9を搬送される原稿Pが引っ掛からないよう、その端部42aが面取りされている。また、本実施例では、フィルム貼付面39をローラ溝19の上流側にのみ設けているが、ローラ溝19の下流側にもフィルム貼付面39を設け、図に詳細は示さないが、フィルム体20の幅方向一端部20aを上流側のフィルム貼付面39に、幅方向他端部20cを下流側のフィルム貼付面39にそれぞれ貼付することも可能である。
フィルム体(蓋部材)20は、ポリエチレン等からなる略矩形のシート状の部材であり、ローラ溝19の開口を覆うためのものである。すなわち、図2及び図3に示すように、本画像読取装置1は、ローラ溝19の形成された下フレーム28を用いて構成され、このローラ溝19の内部にはプラテンローラが収容されないので、ローラ溝19はその開口が露呈された状態となる。従って、このローラ溝19の開口を覆い隠すことにより、搬送路9を搬送される原稿Pがローラ溝19の内部に巻き込まれて紙詰まりが発生するのを防止している。ここで、図に詳細は示さないが、フィルム体20の裏面における幅方向一端部20aには粘着面が設けられており、この粘着面を介してフィルム貼付面39に貼付されるものとなっている。また、このフィルム体20は、その長手寸法が、フィルム貼付面39の長手寸法と略等しく、幅寸法が、ローラ溝19の幅寸法にフィルム貼付面39の幅寸法を加えたものより若干大きくなるよう形成されている。従って、フィルム体20の幅方向一端部20aをフィルム貼付面39に貼付したとき、幅方向他端部20cが、ローラ溝19を挟んでフィルム貼付面39の対向側に設けられた搬送補助リブ42上にまで延ばすことができ、ローラ溝19の下流側縁部19aがフィルム体20によって覆われ、搬送路9を搬送される原稿Pの先端部がローラ溝19の下流側縁部19aに引っ掛かって紙詰まりが発生するのを防止している。尚、搬送補助リブ42は、図に示すように、原稿Pの先端部が引っ掛からないよう、その両端部42aが面取りされている。また、フィルム体20には、図2に示すように、前記リードセンサ24との干渉を回避するための切欠部43が形成されている。
また、フィルム体20としては、原稿Pとの接触時に生じる摩擦が小さくなるよう、滑りの良い素材を用い、その表面は平滑とするのが好適である。更に、フィルム体20は、自重によって撓まない程度の強度が必要である。これは、フィルム体20が自重により撓んでその幅方向他端部20cがローラ溝19内に垂れ下がると、ローラ溝19の下流側縁部19aが露呈され、この下流側縁部19aに原稿Pの先端部が引っ掛かるからである。尚、本実施例では、蓋部材としてフィルム体20を用いているが、蓋部材の材質・形状はこれに限られず、例えば、樹脂等からなる板状のものとすることも可能である。
排出ローラ21は、搬送路9を搬送される原稿Pを排紙トレイ10へと排出するためのものである。図2及び図3に示すように、排出ローラ21は、図示しないモータによって回転駆動されるローラ軸21aと、このローラ軸21aの軸方向に所定間隔で設けられた複数のローラ本体21bを備えるなるものであり、ローラ軸21bが下フレーム28によって回転自在に軸支され、下フレーム28に形成された凹欠部44にローラ本体21bが収装されている。本実施例では、ローラ軸21aに5個のローラ本体21bを取り付けるものとしているが、ローラ本体21bを取り付ける間隔及び個数は、原稿サイズ等に応じて適宜設計変更が可能である。
落下補助リブ23は、図2及び図3に示すように、前記凹欠部44のローラ軸21a方向片側に、下フレーム28の下端壁28bから排紙トレイ10側へ突出するようにして設けられたものであり、排出口から排出された原稿Pの後端部が、前記各凹欠部44間の下端壁28bの上隅部28cに引っ掛かることを回避するためのものである。すなわち、図に示すように、落下補助リブ23には案内部23aが形成されており、排出された原稿Pの後端部は、排出ローラ21の周面を滑り落ちたあと、落下補助リブ23の案内部23aを滑り落ち、前記下端壁28bの上隅部28cには接触しにくくなっている。この時、原稿Pの後端部と案内部23aとの接触面積は、原稿Pの後端部が下端壁28bの上隅部28cに接触する場合と比較して小さくなり、生じる摩擦力も低減するので、原稿Pの後端部は、よりスムーズに排紙トレイ10へと落下するものとなっている。本実施例では、図に示すように、原稿Pの後端部が案内部23aをよりスムーズに滑り落ちることができるよう、案内部23aを急傾斜として形成している。また、落下補助リブ23は、図3に示すように、排出ローラ21の周面よりローラ軸21a側の位置を頂部23bとすることにより、排出された原稿Pの後端部が、落下補助リブ23の頂部23bに引っ掛かることを防止している。尚、落下補助リブ23をローラ本体21bのローラ軸21a方向両側に設けることも可能である。
リードセンサ24は、図2に示すように、ローラ溝19の上流側に配置され、原稿Pの排出完了を検出するものである。すなわち、リードセンサは24、原稿Pの先端及び後端の通過を検知して、図示しない制御部に対して検知信号を発する。この検知信号を受け取った制御部は、リードセンサ24から排出口までの距離を考慮して、排出ローラ21の回転を制御し、また、原稿Pの排出完了のタイミングを予測するものとなっている。
以上のように構成される片面読取機である画像読取装置1は、CISとプラテンローラを設置することで、両面読取機とすることが可能である。図4は、画像読取装置1にCISとプラテンローラを設置して両面読取機とした画像読取装置50を示す概略縦断面図である。尚、図において、画像読取装置1と同じ構成については図1と同じ符号を付し、ここでは詳細な説明は省略する。図に示すように、画像読取装置50は、画像読取装置1の中間第2フレーム27にCIS51が取り付けられると共に、下フレーム28のローラ溝19を覆うフィルム体20が取り外されて、ローラ溝19にプラテンローラ52が配置されたものである。また、ローラ溝19の上流側には、片面読取機の場合と同様にリードセンサ24が配置されているが、このリードセンサ24は、前述のように原稿Pの排出完了を検出する役割に加えて、CISによる原稿の読取開始のタイミングを制御する役割も果たしている。
図5乃至図8は、上ガイド部材31の構成を示す図であり、図5は概略斜視図、図6は概略底面図、図7は図5におけるA−A断面を示す図、図8はCIS51の上ガイド部材31への取り付け構造を示す分解斜視図である。上ガイド部材31は、図5に示すように、上部が開口された略箱型の形状を有する樹脂等からなる部材である。この上ガイド部材31は、図5乃至図8に示すように、その底部を貫通して形成された開口部53と、この開口部53の原稿幅方向両側に突設された読取手段支持部54と、この読取手段支持部54の若干内側に形成された挿通穴55と、原稿搬送方向両端部に設けられた係合爪32とを具備してなるものである。この上ガイド部材31に、水平部56、垂直部57、及び取付部58を具備してなる位置決め部材59が両端部に取り付けられたCIS51と、このCIS51の位置を原稿搬送方向と直交する方向に調整する高さ調整ねじ60と、前記排出ローラ21に圧接される押圧ローラ22とがそれぞれ取り付けられている。
読取手段支持部54は、図7及び図8に示すように、CIS51の両端部を下方から支持するためのものであり、前記開口部53の原稿幅方向両側に、底部から上方へ突出してそれぞれ設けられている。この読取手段支持部54は円筒形状を有し、その上面は、CIS51の両端部を安定して載置できるよう、平坦な面として形成されている。また、読取手段支持部54には、その上面から上ガイド部材31の底面31aまで達するねじ孔61が形成されている。尚、読取手段支持部54の形状は、円筒形状に限られず、例えば、角柱形状であってもよく、CIS51の両端部を下方から支持できるよう所定の高さ寸法を有し、ねじ孔61が形成されていれば、適宜設計変更が可能である。
挿通穴55は、CIS51の両端部に取り付けられた位置決め部材59の垂直部57が挿通されるものであり、図7及び図8に示すように、読取手段支持部54の原稿幅方向内側に、底部を貫通するように形成されている。この挿通穴55は、横断面が略矩形であり、その原稿搬送方向寸法は、位置決め部材59の垂直部57の原稿搬送方向寸法より大きく、また、原稿幅方向寸法は、垂直部57の原稿幅方向寸法と略等しいか若干大き目に形成されている。従って、位置決め部材59の垂直部57を挿通穴55に挿通させた時に、図に詳細は示さないが、垂直部57と挿通穴55との間には原稿搬送方向に若干の隙間が生じるので、この隙間分だけ、位置決め部材59は原稿搬送方向に所定範囲内で移動可能となっている。尚、所定範囲とは、前記隙間の大きさを意味しており、上ガイド部材31を構成する各部材の製造誤差の累積、及び組み立て誤差等が最大でどの程度の大きさとなるかを予測して、その最大値より若干大きめとしておくのが好適である。このように、CIS51を、上ガイド部材31に対してねじ等で固定せず、原稿搬送方向に移動可能に取り付けたことにより、CIS51をプラテンローラ52に対して直接位置決めして、プラテンローラ52の直上位置へと移動させることが可能となっている。これにより、CIS51とプラテンローラ52の相対的な位置関係が、上ガイド部材31を構成する各部材の製造誤差の累積、及び組み立て誤差等の影響を受けることを防止している。
図9は、CIS51の構成を示す分解斜視図である。図に示すように、CIS51は、CIS本体62と、このCIS本体62の長手方向両端部に取り付けられた左右一対の位置決め部材59とを具備してなるものである。CIS本体62は、図に詳細は示さないが、原稿Pに対して光源から光を照射し、その反射光を収束性ファイバで光導電素子上に収束して読み取る固定式の読取手段である。このCIS51が精度良く画像読み取りを行うためには、CIS51から原稿Pまでの距離が、そのCIS本体62の焦点距離と一致している必要がある。従って、本発明では、CIS51の直下に、このCIS51に回転自在に圧接され、原稿PをCIS51に密着させるプラテンローラ52を配置することにより、CIS51から原稿Pまでの距離をCIS本体62の焦点距離と一致させるものである。ここで、プラテンローラ52がCIS51に圧接されているとは、CIS51から原稿Pまでの距離がCIS本体62の焦点距離に一致した状態を広く指し示し、その実施態様は、CIS本体62の種類等により異なるものである。例えば、本実施例では、A3サイズの原稿Pに対応可能なCIS本体62を使用しており、このCIS本体62は焦点距離が比較的深いものである。従って、CIS51の直下に読取ガラス63を配置して、この読取ガラス63に圧接するようプラテンローラ52を配置することで、原稿Pを読取ガラス63に密着させている。これにより、CIS51から原稿Pまでの距離を、読取ガラス63の厚み分だけ確保して、CIS本体62の焦点距離に一致させている。しかし、焦点距離の浅いCIS本体62を用いる場合には、読取ガラス63を設置せずに、プラテンローラ52を、開口部53を通してCIS本体62の図示しない読取領域に直接圧接することも可能である。また、CIS本体62の両端部には、位置決め部材59を取り付けるための貫通孔64が形成されている。尚、本実施例では、CIS本体62と位置決め部材59を別部材として構成したが、もちろん両者を一体化して形成することも可能である。
位置決め部材59は、搬送路9を搬送される原稿Pに対して、CIS51の原稿搬送方向の位置、及び原稿搬送方向と直交する方向の位置、本実施例では原稿Pからの高さ位置を位置決めするものである。図10は、位置決め部材59の構成を示す概略斜視図である。図に示すように、位置決め部材59は、CIS51の原稿Pからの高さ位置の位置決めを行う水平部56と、原稿搬送方向の位置決めを行う垂直部57と、CIS本体62に取り付けるための取付部58とを備えてなるものである。
水平部56は、図10に示すように、平板状の部材であり、その裏面が、前記読取手段支持部54を受ける面である受け面56aとなっている。本実施例では、受け面56aを平坦な面として形成し、また、読取手段支持部54の上面を平坦な面として形成したことにより、CIS51の両端部を読取手段支持部54上に安定して載置することが可能となっている。
垂直部57は、図10に示すように、水平部56の一端部から該水平部56と略直交して下方へ延び、その下端部に、下方に向って開口したU字形状の溝であるU字溝57aが形成されている。このU字溝57aの形状は、図7に示すように、プラテンローラ52のローラ軸52aと嵌合する形状であれば、U字形状に限定されず、例えば凹型の溝とすることも可能である。但し、U字溝57aの原稿搬送方向幅は、ローラ軸52aと嵌合した状態で垂直部57が原稿搬送方向に位置ずれしないよう、ローラ軸52aの外径と略等しくするのが好適である。これにより、CIS51は、原稿Pに対する原稿搬送方向の位置が確実に位置決めされ、良好な画像読み取りを行うことができる。
取付部58は、図10に示すように、水平部56の上部に突設された略円筒形状を有するものであり、その上端部は小径に形成されている。また、取付部58には、その上端部側からねじ孔65が形成されている。この取付部58の上端部を、図9に示すように、CIS本体62の貫通孔64に嵌合させ、ねじ66をねじ孔65に螺合させることにより、位置決め部材59をCIS本体62の両端部にそれぞれ固定している。
以上のように構成されたCIS51は、図7(a)に示すように、上ガイド部材31によって担持されている。本発明において担持とは、CISが上ガイド部材によって下方から支持され、且つ、原稿搬送方向にも、原稿Pからの高さ方向にも移動可能な状態であることをいう。本実施例では、図8に示すように、位置決め部材59の垂直部57が挿通穴55に挿通され、水平部56の受け面56aが読取手段支持部54上に接離可能に載置されることにより、CIS51が上ガイド部材31によって担持されている。尚、接離可能とは、受け面56aと読取手段支持部54とが接合された状態にあり、受け面56aに力を加えることで両者を離間させることが可能な構成をいう。このように、読取手段支持部54を設けて、この上にCIS51を載置したのは、図8に示すように、読取手段支持部54に形成されたねじ孔61に高さ調整ねじ60を螺合して、この高さ調整ねじ60によってCIS51の高さ位置を調整可能とするためである。しかし、CIS51の高さ方向への位置調整が不要な場合には、読取手段支持部54設けず、CIS本体62を上ガイド部材31の底部の上に直接載置することにより、CIS51を上ガイド部材31で担持することも可能である。
また、図4に示すように、CIS51の上面には付勢バネ67の一端部が固定され、この付勢バネ67の他端部が上蓋部材30に固定されており、上蓋部材30は、上フレーム25の内側面に下方に向って突設された図示しない突片が当接することで上方向への移動が規制されているので、CIS51が付勢バネ67によって下方に付勢され、受け面56aが読取手段支持部54に圧接されている。従って、搬送路9の最下流部を上方に傾斜して形成した場合でも、CIS51が、その自重によって原稿搬送方向に位置ずれすることがなく、良好な画像読み取りが可能となっている。しかし、本実施例では、搬送路9の最下流部が水平に形成されており、読取手段支持部54上に載置されたCIS51はその自重によって位置ずれしないので、付勢バネ67を省略することも可能である。
図7(a)は、CIS51が上ガイド部材31に担持された状態における図5のA−A断面図であるが、図に示すように、上ガイド部材31は、前記付勢バネ67の付勢力により、また、上ガイド部材31自身の自重により、その底部に取り付けられた読取ガラス63がプラテンローラ52に対して圧接されている。これにより、搬送路9を搬送される原稿Pは、プラテンローラ52によって読取ガラス63に密着されるものとなっている。一方、CIS51は、その両端部が読取手段支持部54上に載置され、その自重により、また、付勢バネ67から受ける付勢力により読取手段支持部54に対して押圧されている。この時、CIS本体62から、読取ガラス63に密着された原稿Pまでの距離D1が、CIS本体62の焦点距離と等しくなっており、CIS本体62による良好な画像読み取りが可能となっている。
このように、CIS51は、上ガイド部材31に対してねじ等により固定されず、上下方向にも原稿搬送方向にも移動自在に設けられている。これにより、CIS51を上ガイド部材31に容易に着脱することが可能となっている。更に、原稿Pが前記分離パッド13とセパレートローラ12の間を通過する時に生じる振動がCIS51による原稿Pの読取画質に影響を及ぼすことを防止している。すなわち、前述のように、中間第2フレーム27を構成する上蓋部材30と上ガイド部材31を互いに上下動自在に係合することにより、前記振動が上蓋部材30から上ガイド部材31に伝達するのを低減しているが、これに加えて、CIS51を上ガイド部材31にねじ等で固定せずに取り付けることにより、前記振動が上ガイド部材31からCIS51に伝達するのを低減している。これにより、前記振動がCIS51の読取画質に影響を及ぼすことを相乗的に防止している。一方、プラテンローラ52についても、ローラ溝19に容易に着脱することが可能となっている。すなわち、前述のように、中間第2フレーム27が上下方向に回動自在に設けられているので、上フレーム25を開いて中間第2フレーム27を上方向に回動させることにより、ローラ溝19に容易にアクセスすることができ、且つ、ローラ溝19の開口の原稿搬送方向幅がプラテンローラ52の外径より大きくなっているので、ローラ溝19の上方からプラテンローラ52を取り付けることが可能となっている。以上より、片面読取機である画像読取装置1を製造販売した後に、ユーザから両面読取機に変更したいとの要望があった場合に、ADF6ごと取り外して工場へ持ち帰らなくても、サービスマンがユーザのオフィス等へ行き、その場で中間第2フレーム27にCIS51を取り付け、下フレーム28にプラテンローラ52を取り付けることで容易に両面読取機に変更することが可能となっている。
高さ調整ねじ60は、CIS51の原稿Pからの高さ位置を調整して、CIS本体62の焦点距離に一致させるためのものであり、読取手段支持部54の上面から出没可能となるようにねじ孔61に螺合されている。本実施例では、図7及び図8に示すように、ねじ孔61が、読取手段支持部54の上面から上ガイド部材31の底面31aまで達するように形成され、このねじ孔61より長尺のねじ部60aを有する高さ調整ねじ60が、上ガイド部材31の底面31a側からねじ孔61に螺合されている。この高さ調整ねじ60の先端は、図7(a)に示すように、読取手段支持部54の上面と略面一となっており、CIS51を読取手段支持部54上に載置した時に、高さ調整ねじ60の先端が受け面56aに当接するものとなっている。これにより、高さ調整ねじ60を進める方向に回し、図7(b)に示すように、その先端を読取手段支持部54の上面から突出させて受け面56aを持ち上げることで、CIS51を原稿Pから遠ざけることができ、CIS51を原稿Pから遠ざけ過ぎた場合には、高さ調整ねじ60を後退させる方向に回して、CIS51を原稿Pに近づけることが可能となっている。従って、上ガイド部材31を構成する各部材の製造誤差の累積、及び組み立て誤差等により、また、CIS51の各個体間における焦点距離のばらつきにより、CIS51から原稿Pまでの距離が、そのCIS本体62が有する焦点距離に一致せず画像不具合が発生する場合に、CIS51の両端部について、原稿Pからの高さ位置を高さ調整ねじ60でそれぞれ調整し、CIS51から原稿Pまでの距離D2をCIS本体62の焦点距離と合わせることにより、CIS51による良好な画像読み取りを行なうことが可能となっている。尚、高さ調整ねじ60は、ねじ孔61より長尺のねじ部60aを有するものに限られず、例えば、図に詳細は示さないが、所謂止めねじのように、頭部がなく全長に渡ってねじ部を有するものをねじ孔61に埋没させるように螺合させることも可能である。
また、本実施例では、高さ調整ねじ60を上ガイド部材31の底面31a側からねじ孔61に螺合させたので、CIS51の原稿Pからの高さ位置を調整したい場合には、図11に示すように、上フレーム25を開いて、中間第2フレーム27を上方へ回動させることで、上ガイド部材31の底面31a側から図示しないドライバ等を用いて前記高さ調整ねじ60を回すことが可能となっている。従って、中間第2フレーム27を画像読取装置50から取り外して分解することなく、CIS51の位置を容易に調整することができるので、調整作業に要する手間と時間を削減することができる、という利点がある。
押圧ローラ22は、図5及び図6に示すように、両端部が上ガイド部材31に回転自在に支持されたローラ軸22aと、このローラ軸22aの軸方向に所定の間隔で設けられ、上ガイド部材31の底部を貫通して形成された角穴68から一部を突出させるように設けられたローラ本体22bとを具備してなるものである。この押圧ローラ22の各ローラ本体22b間には、図4に示すように、ローラ軸22aを下方に付勢するようにしてコイルスプリング69が配設されており、このコイルスプリング69の他端は上蓋部材30に取り付けられている。従って、押圧ローラ22は、そのローラ本体22bが排出ローラ21に圧接され、排出ローラ21の回転に従動して回転するものとなっている。これにより、搬送路9を搬送される原稿Pは、その先端部が排出ローラ21と押圧ローラ22によってニップされ、下流側へと搬送されるものとなっている。
以下、画像読取装置50における、CIS51の原稿搬送方向の位置決め動作について説明する。本画像読取装置50では、CIS51による良好な画像読み取りを行なうために、原稿Pが読取ガラス63と接触する位置の直上、すなわち、プラテンローラ52と読取ガラス63が接触する位置の直上にCIS本体62の図示しない読取領域が配置されていることが必要である。従って、本画像読取装置50では、図8に示すように、CIS本体62の両端部に、U字溝57aが形成された垂直部57を有する位置決め部材59を取り付け、この垂直部57を挿通穴55に挿通させることで、CIS51を上ガイド部材31に対して原稿搬送方向に所定範囲内で移動可能としている。これにより、図11に示すように、上方へ回動させて開いた中間第2フレーム27を下方へ回動させて閉じる時に、位置決め部材59が、そのU字溝57aをプラテンローラ52のローラ軸52aに嵌合させるように原稿搬送方向へ若干移動することで、CIS51がプラテンローラ52の直上に配置される。このように、CIS51をプラテンローラ52に対して直接位置決めすることにより、上ガイド部材31を構成する各部材の製造誤差の累積や組み立て誤差等により、CIS51がプラテンローラ52の直上位置から原稿搬送方向に位置ずれして、画像不具合が発生するのを防止することができる。