JP3791060B2 - ゴム・樹脂にダイヤモンド状炭素膜を形成する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム、樹脂などの柔軟な物質にダイヤモンド状炭素膜(DLC)を形成する方法に関する。
ゴムは造形性に優れ、柔軟性があって弾力性に富むからさまざまな用途に用いられる。ワイパーの摺動子、バルブの弁座、真空装置のOリング、各種パッキンなどに用いられる。柔軟に変形する特性を利用したものである。
【0002】
樹脂はゴム程でないが、やはり弾力性に富み、何よりも賦形性に優れておりどのような形状のものであっても金型に材料を導き固化することによって一挙に作製する事ができる。
ダイヤモンド状炭素膜というのはダイヤモンド構造をもつ炭素の薄膜であって硬度や耐摩耗性に優れた被膜である。
【0003】
【従来の技術】
ゴムは柔軟性に富みどのような形状にも相応して自在に変形するだけあって、対象物に密接に付着してしまい滑り摩擦が大きい。樹脂はゴムほどでないが、やはり対象物に応じて変形し摩擦もかなり大きい事が多い。ゴムは滑り止めに利用することもある。これは積極的に摩擦の大きさを有効利用しているのである。その他にも摩擦が大きくても差し支えない場合が多い。その場合は問題がない。
【0004】
ところがゴム製品であって柔軟性を利用しつつ一方で滑り摩擦が低い方が良いという特殊な場合がある。例えば自動車のワイパーのゴムの場合は水に濡れたガラス窓との摺動抵抗が小さい方が良い。摺動による摩擦が大きいと次第にゴムが摩滅する。ワイパーの場合は、潤滑剤である二硫化モリブデンMoS2 の粉末を表面に付着させている。これによって摺動特性は改善される。耐摩耗性も優れており、ガラスに対するゴムの滑りは良好である。しかしながら1年2年と使用すると表面に付着させた二硫化モリブデンが剥げてしまう。
【0005】
すると摩擦抵抗が増えてくる。ガラスに対する滑りが悪くなる。水が存在するガラス面であるから水の潤滑作用によってゴムは滑り続ける。しかし潤滑材による低摩擦という特性が失われるので抵抗が増える。ためにゴムの一部が摩損してくる。よくみれば細かいギザギザがゴムの接触面に発生する。ギザギザのあるワイパーで擦ると水の模様が同心円上状にガラスに残る。このためワイパーを定期的あるいは随時交換する必要がある。
【0006】
バルブのパッキンなどにもゴムを使う事が多い。ゴムは変形しやすく細かい凹凸のある空間をも閉止することができる。パッキンの他にも弁座やOリングとしてもゴムを使う。ゴムと言っても様々のものを利用する。これらは弁体やネジ、フランジと密接に接触し撓むことによってガスや液体の流れを完全に遮断している。一旦封じると再び開かないというものではなく、ネジを外してOリングを取るということもある。水道のゴムパッキンの場合はシャフトと強く押しあった状態でシャフトが回転する。滑り摩擦が大きいと操作性が悪くなる。ゴムの摩損も大きくなる。弁座(バルブシート)としてゴムを使う事も多いが、長い間閉状態を持続すると弁体と弁座が強く膠着してしまう。無理に弁体を廻すとゴムシートを傷つける。
【0007】
このような欠点を克服するために、例えばシリコーンオイルをゴムに含浸させることがある。このオイルは潤滑性に優れておりゴムからにじみ出て摩擦を減らす作用を発揮する。しかしこれとて何時しか枯渇する。すると高摩擦状態になりゴムが損傷を受けやすくなる。
【0008】
この他にもゴムが摺動部材として使われる事もある。その場合でもゴム自体は高摩擦係数の材料であるから低摩擦材料を被覆したり含浸させたりする。いずれも剥離摩損枯渇し消失する。摩擦を永遠に低減するためには十分でない。
ゴムの柔軟な特性を生かしつつ低摩擦にし耐摩耗性に優れたものにする技術が望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ゴムを低摩擦にして長寿命でしかも操作が容易な部材を提供する事が目的である。さらに樹脂の場合も低摩擦にして長寿命の部材を提供する。
【0010】
次にダイヤモンド状炭素というものを説明する。DIAMOND LIKE CARBON といいDLCと略記する。ダイヤモンド構造を取り炭素間はsp3 混成軌道によって結合されている。炭素といってもいくつかの態様がある。グラファイトは六方晶であって、黒くて導電性があり柔らかく摩耗性も劣る。ダイヤモンドは立方晶であり極めて硬くて絶縁性であり透明である。アモルファス炭素は一部にダイヤモンド結合をもつが全体として長距離秩序がない。これは薄膜にしかならないが、耐摩耗性にも優れ低摩擦係数である。メタン、エタンなどの炭化水素を原料ガスとしてCVD法によって作られる。
【0011】
ダイヤモンド状炭素というものはアモルファス炭素と同じものである。バルクの大きいものはできないので基材の上に薄膜として作られる。基材はSiウエハ−、金属などである。平滑なSiウエハ−には綺麗に乗る。金属の場合もダイヤモンド状炭素膜を形成できる。滑りが良くなり硬くて内部を保護する作用があるので摺動部材の表面処理法としては優れたものである。DLC膜ともいうがこれは金属やSiなどの平滑な面をもつ固体の上にしか薄膜形成できないと思われていた。剛体があってこそ薄膜を保持できるのであるし、基材を加熱しなければ薄膜形成できないのであるから固体基材であるのは当然の事のように思える。
【0012】
固体基材の上にDLCを被覆するという技術の改良については多くの提案がなされている。いずれも炭化水素を原料ガスとしてCVD法によって作られる。CVD法としては、フィラメントに通電しその熱によって原料を励起するフィラメント熱CVD法、高周波または抵抗加熱ヒ−タによってサセプタを加熱し原料ガスを励起する熱CVD法、高周波、直流によって電極間にプラズマを発生させプラズマによって励起するプラズマCVD法、マイクロ波によって原料ガスを励起するマイクロ波プラズマCVD法、ランプによって原料ガスを光励起する光CVD法などがある。励起方法によってさまざまのものがある。上記のもの以外にも、紫外線励起法、電子線励起法などがある。
【0013】
▲1▼特開昭61−146791号は、紫外線励起による光CVD法によってダイヤモンド状炭素膜をSiウエハ−の上に形成するものである。水銀ランプ、エキシマレ−ザの紫外光を炭化水素ガス+水素ガスからなる原料ガスに当てて分解し、加熱したSiウエハ−の上に流すとダイヤモンド膜またはダイヤモンド状炭素膜ができると述べている。
【0014】
▲2▼特開昭61−151096号は、Siウエハ−に気体放電が起こらない条件で電子線を照射し、さらに原料ガスを流し、原料ガスを電子線で励起して600℃程度に加熱し気相反応を起こさせてダイヤモンド薄膜或いはダイヤモンド状炭素膜を形成する。
【0015】
これらは何れも金属やSiウエハ−の上にダイヤモンド状炭素膜を形成するものである。ガスを励起するために、フィラメント加熱、高周波加熱、抵抗加熱、マイクロ波、高周波放電、直流放電、可視光線、紫外光線、電子線等を用いている。紫外線、電子線はガスを分解するためのエネルギーを与えるものである。熱やマイクロ波、高周波振動と同じ機能を果たしている。しかしながらゴムの上にダイヤモンド膜やダイヤモンド状炭素膜を被覆したものは皆無である。
【0016】
その理由は次のようであろう。膜形成のためには基材をかなり高温に加熱しなければならない。ゴムはそのような高温に耐えないであろう。又たとえゴムに膜を被覆できたとしてもゴムが伸び縮みすると薄膜が取れてしまうだろうと予想される。さらにゴムにダイヤモンド状炭素膜を被覆することによって、何らかの利益があるということも気づかれていないようである。
【0017】
このような状況であり現在ゴムにダイヤモンド状炭素を被覆するという試みもなされていない。しかし前述のようにゴムにダイヤモンド状炭素膜を被覆することには確かな利益がある。本発明はゴムの上にダイヤモンド状炭素膜を被覆する事を第一の目的とする。さらに類似の物質として、樹脂にダイヤモンド状炭素膜を被覆することを第2の目的とする。柔軟なゴムにダイヤモンド状炭素膜を被覆する事によって、柔軟でありながら低摩擦係数の物質を実現することが本発明の第3の目的である。柔軟であって摺動特性に優れた物質を提供する事が本発明の第4の目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
ゴム又は樹脂を基材とし、基材に電子線或いは紫外線を照射し、架橋反応を起こさせ未結合炭素を表面に多数生成し、その後プラズマCVD法によって基材の上にダイヤモンド状炭素膜を被覆する。或いは電子線照射、紫外線照射の後にフッ素含有ガス、水素ガスの何れかのプラズマに基材をさらしその後プラズマCVD法によってダイヤモンド状炭素膜を被覆する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゴム、樹脂などの柔軟な基材を電子線又は紫外線によって架橋させると共に未反応炭素を表面に多数分布させ、その後プラズマCVD法によってダイヤモンド状炭素膜(DLC)をゴム、樹脂の上に被覆する。架橋反応させた後、水素、フッ素含有ガスの何れかのプラズマに曝すとさらによい。これは未反応炭素を含む表面を覆い不純物による汚染から未結合炭素を保護する作用がある。
【0020】
[1.基材]基材はゴム又は樹脂である。
ゴムといっても多くの種類があるが、本発明は次のゴムに適用可能である。
(1)ゴム…天然ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム
【0021】
本発明によって樹脂の上にもダイヤモンド状炭素膜を被覆できる。樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の二つに大別される。本発明が適用される熱硬化性樹脂は次の通りである。
【0022】
(2)熱硬化性樹脂…フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラニン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂
本発明の方法によってダイヤモンド状炭素膜を被覆できる熱可塑性樹脂は次のようである。
【0023】
(3)熱可塑性樹脂
(a)ビニル系…ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリ2塩化ビニル、塩素化ポリエーテル、
(b)ポリエステル系…ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS
【0024】
(c)ポリエチレン系…ポリプロピレン、ポリアセタール
(d)アクリル系…ポリメチルメタクリレート、変性アクリル
(e)ナイロン系…6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロン
【0025】
(f)セルロース系…エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース
(g)ポリカーボネート…フェノキシ、ポリエステル
(h)フッ素樹脂系…3ふっ化塩化エチレン、4ふっ化エチレン、4ふっ化エチレン・6ふっ化プロピレン、ふっ化ビニリデン、
(i)ポリウレタン
【0026】
基材はこのようにゴム、樹脂などである。これまでこのような自在に曲がり得る材料に硬質のダイヤモンド状炭素膜を形成できなかった。
【0027】
[2.前処理の1:紫外線、電子線照射]
それを本発明はゴム、樹脂に適当な前処理を施す事によって可能とした。前処理は二つある。前処理の一つは紫外線照射、電子線照射である。これにより高分子を架橋させる。同時に最表面に未結合の表面原子を含むようにする。未結合原子が表面に残ると上にダイヤモンド状炭素膜が形成されたときに炭素膜とゴム、樹脂との密着性を強化して容易に剥離しないようにする作用がある。紫外線、電子線には未結合原子の生成を通じてダイヤモンド状炭素膜との結合性を高揚し結果として、これまで不可能であったゴム、樹脂のダイヤモンド状炭素膜被覆を可能にするのである。
【0028】
[3.前処理の2:プラズマ処理]
前処理の二つ目は、フッ素ガス、水素ガスのプラズマにゴム、樹脂基材を曝すことである。2段階目の前処理は必須ということではない。省略することもできる。フッ素、水素ガスのプラズマにさらすと、最外表面の未結合表面原子をフッ素、水素が覆うので、不純物が付着するのを防ぐことができる。不純物が付かないから、ダイヤモンド状炭素膜との密着性が増すのである。フッ素含有ガスとしては、フッ素(F2 )ガス、3フッ化窒素(NF3 )ガス、6フッ化硫黄(SF6 )ガス、4フッ化炭素(CF4 )ガス、4フッ化ケイ素(SiF4 )ガス、6フッ化ケイ素(Si2 F6 )ガス、3フッ化塩素(ClF3 )ガス、フッ化水素(HF)ガスなどである。
【0029】
このプラズマ処理は、同種類のプラズマを用いて複数回、或いは異なる種類のガスを用いて複数回行っても良い。
【0030】
[4.ダイヤモンド状炭素膜形成]
前処理の後、ダイヤモンド状炭素膜を薄膜形成法によってゴム、樹脂の上に形成するのであるが、ゴムや樹脂は高温に耐えないから、比較的低温で行える薄膜形成法を選ばなければならない。そのようなものとしては、次の3つの方法が可能である。
【0031】
(イ)プラズマCVD法
(ロ)スパッタリング法
(ハ)イオンプレーティング法
【0032】
これらの方法は比較的低い温度の基板にも薄膜形成することができる。フィラメントCVD法、ランプCVD法、蒸着法などは不適である。基材は積極的に加熱しなくても、プラズマやイオンの衝突によって熱が生じるから、むしろ基材を冷却して温度を調節する。
【0033】
ゴム、樹脂といっても上記に例を詳しく上げたように様々のものがある。それぞれ耐熱性に差がある。品質が劣化する温度はゴム、樹脂の種類によってまちまちである。対象となるものの物性に応じて許される基板加熱温度を決める。冷却装置によって基材を冷却して許容温度を越えないようにする。
前処理としてプラズマ処理をする場合は、上記の3つの薄膜形成法の内、プラズマCVD法が特に適する。同一の装置でプラズマ処理と薄膜形成を連続して実施できるからである。
【0034】
ダイヤモンド状炭素膜を形成するためのガスはキャリヤガスと、炭化水素を含む原料ガスからなる。
キャリヤガス…水素ガス、不活性ガス(Ar、Ne、Xe、Heなど)
原料ガス…メタン(CH4 )、エタン(C2 H5 )、プロパン(C3 H8 )、ブタン(C4 H10)、アセチレン(C2 H2 )、ベンゼン(C6 H6 )
【0035】
[5.用途]
ゴム、樹脂は様々の用途に利用されるが本発明は以下に列挙した用途に適用できる。もちろんそれ以外にも多くの分野に応用することができる。
【0036】
(a)ゴム…ワイパーのブレード、バルブシート、バルブパッキン、フィルム、チューブ、絶縁シート、ブッシングなどに用いられる。
(b)熱可塑性樹脂…水道配管、建材、床材などの建築材料、フィルム、レコード、網、台所用品、玩具、装飾品、文房具、ケースなどの一般家庭用品、レンズ、プリズム、など光学部品、シーリング、パッキンなどの自動車用品、衝撃吸収材、ギヤ、ベアリングなどの機械部品などに用いられる。
【0037】
(c)熱硬化性樹脂…フィルム、レコード、網、ボタン、台所用品、玩具、装飾品、文房具、ケース、食器、スポーツ用品などの家庭用品、絶縁物、端子などの電気部品、燃料タンク、自動車ボディー、ベアリングなどの機械部品に用いられる。
【0038】
[6.特性]
ダイヤモンド状炭素膜を被覆したゴム、樹脂は次のような優れた特性を発揮する。一つは摩擦係数が極めて小さいということである。摺動抵抗が生地のゴムや樹脂よりも格段に小さい。滑りが極めて良い。ゴムはべたりと平滑な金属や木材表面につくものであるが、ダイヤモンド状炭素膜を被覆したものはスルリと滑る。それだけでない。耐摩耗性に優れている。繰り返し摩擦によって摩滅しない。潤滑剤を表面に分散させたというのではないから長年の使用によっても耐摩耗性が低下しない。
【0039】
最も重要なことはダイヤモンド状炭素膜が基材から剥離しないという事である。ゴムであるから自在に曲げることができるし伸ばすこともできる。曲げても伸ばしてもダイヤモンド状炭素膜が剥がれないのである。これは驚くべき性質である。前処理によって未反応の原子が表面に発生するようにしているからダイヤモンド状炭素膜の炭素が未反応原子と新たな化学結合を形成する。この化学結合がダイヤモンド状炭素膜とゴム、樹脂を強固に結び付けているのである。前処理のないものは、すぐに剥離してしまう。本発明が提案する前処理の有用性が明確に分かる。
【0040】
さらに重要なことは、ダイヤモンド状炭素膜被覆によって、基材本来の柔軟な性質が失われないということである。押せば歪むしひねると曲がる。従来ゴムが使われていた部材には、そのまま本発明のダイヤモンド状炭素被膜ゴムを使う事ができる。自動車のワイパーを例に挙げたが、本発明のゴムをワイパーに利用すると、耐摩耗性に優れつつ水滴排除機能は損なわれない。長年の使用によって摩滅せず寿命が著しく延びる。潤滑剤を表面に含浸させた従来のワイパー用ゴムよりも格段に優れている。
【0041】
ダイヤモンド状炭素膜によって表面硬度が高くなるから基材が傷つくのを防ぐこともできる。絶縁性が高い、光透過性が良い、高硬度などのダイヤモンド状炭素膜本来の特性はゴム、樹脂の上に形成した場合でも維持される。
【0042】
【実施例】
図1は本発明において前処理の為に用いた紫外線照射装置の概略を示す。気密容器1の内部に紫外線ランプ2が設けられる。それに対向する位置にサンプル3を設置するようになっている。ガスがガス導入口4から気密容器1の内部に導入される。ポンプ5によって容器1の内部を真空に引く事ができる。ガスを補給せず真空状態で紫外線を照射しても良い。或いは不活性ガス(Ar、Kr、Ne、He)や活性のガス(N2 、O2 )などを導入してその雰囲気で紫外線照射しても良い。
【0043】
図2は本発明において前処理の為に用いる電子線照射装置の概略の構成を示す。図3はこれによってゴム、樹脂などの試料を前処理している有り様を示す。縦長の装置であって、上方から直流高電圧ケーブル6、ブッシング7、SF6 ガスを内蔵する容器、加速管9、走査装置10、等を備える。さらにその下には三角形状の走査管11、ゴールドリング12がある。走査管11は真空に引かれている。その最下端にはチタン箔13が取り付けられる。これは走査管11内部の真空を維持するために必要である。電子線はチタン箔13を透過して大気圧中に出て行く。大気圧といっても窒素ガスを充満させている。試料は走査管11の直下を通り過ぎる。その間に電子線が試料に照射される。
【0044】
図3において操作盤16によって電子線照射の作業がなされる。直流電源15から高い直流電圧がケーブル6を通って電子線照射装置に供給される。直流電流によってフィラメントを加熱し電子を生じる。上下方向に掛かっている電圧の差によって電子が加速管9の方へ引き出される。加速管には複数の電極と絶縁物があって、直流電圧によって電子が加速される。加速された電子ビームは走査装置10によって二次元的に或いは一次元的に走査される。
【0045】
これは交番磁場によって電子線を周期的に振ることによってなされる。走査管11(スキャナ)の直下にはコンベヤ17があって、ゴム、樹脂などの試料がコンベヤ17によって運ばれる。電子線が照射されることによって試料には架橋反応が起こり、未結合の原子が表面に多数出現するようになる。図3でポリエチレンの例を示す。照射によって繊維を構成する分子間で架橋が起こる。樹脂に電子線照射して架橋させると言うのはよく知られた技術である。本発明では電子線によって未結合原子を多数生成するようにしているのである。これがダイヤモンド状炭素膜との密着性を増大させるのである。
【0046】
前処理1としては紫外線でも電子線でも何れでも良い。両方を併用しても良いのである。
前処理2と薄膜形成を行う装置を図4に示す。これはプラズマCVD装置である。ダイヤモンド状炭素膜を形成するには先述のように、スパッタリング、イオンプレーティングなども使う事ができる。いずれも冷却に注意してゴム、樹脂を劣化させないようにしながら薄膜を作製できる。プラズマによる前処理2をする場合はプラズマCVD装置を使うと、前処理2と薄膜作製の両方を同じ装置で行う事ができるから便利である。実施例は全てプラズマCVD装置を使った。
【0047】
真空チャンバ20には排気ポンプ21が圧力調整弁22を通じて接続されており排気口27から内部の気体を引き出す事ができるようになっている。平行平板電極23、25の間に高周波を印加することによって高周波電界をチャンバ内部に形成し、これによってガスをプラズマにする。上方には接地電極23がある。下方には高周波電極25がある。両者は平行に対向するように設けられる。高周波電極25の上に試料基板24(ゴム、樹脂)が戴置される。
【0048】
高周波電極25の内部にはヒ−タ26と冷却装置(図示せず)が内蔵される。もちろん熱電対のような温度測定装置もある。温度を測定しながら、ヒ−タと冷却装置によって試料基板24を任意の温度に保つことができる。ゴム、樹脂を対象とするので多くの場合ヒ−タは使わず、冷却機構のみを利用することによって温度管理できる。
【0049】
ガスはプラズマ処理の為の水素ガス、フッ素含有ガス、薄膜形成時の為の炭化水素ガス、キャリヤガスとして水素、不活性ガスなどが必要である。ガスボンベ28から圧力調整弁32、マスフローコントローラ(MFC)33を経て、ガス入口34から真空チャンバ20にガスが導入される。MFC33はガス流量を正確に制御する。
【0050】
高周波電源30はマッチングボックス29を経て、高周波電極25、接地電極23に電力を与える。マッチングボックスはインピーダンス整合のために必要である。電極間に高周波が印加されると、電子が電気間で加速されてガス分子に衝突するから電子を失いプラズマ35を形成する。
【0051】
次に実施例と比較例について述べる。試料は何れも、ポリエチレンシートであって、寸法は1mm×100mm×100mmである。1番〜10番までのケースがある。2番〜9番は実施例であり、1番と10番は比較例である。1〜10番の前処理1、2、薄膜形成法については予め表1にして示す。
【0052】
【表1】
【0053】
比較例1は前処理なしにプラズマCVD法によってポリエチレンシートの上にダイヤモンド状炭素膜を形成したものである。比較例10は基材シートそのものであって薄膜形成していないものである。
実施例2は紫外線照射した後プラズマCVD法によってダイヤモンド状炭素膜を作製している。実施例3は電子線照射した後プラズマCVDによって薄膜形成したものである。
【0054】
実施例4と実施例7は紫外線照射+水素ガスプラズマ処理の後、薄膜形成したものである。実施例5と実施例8は紫外線照射+SF6 プラズマ処理の後、ダイヤモンド状炭素膜形成したものである。実施例6と実施例9は紫外線照射+水素プラズマ処理+SF6 プラズマ処理の後ダイヤモンド状炭素膜を作製している。
【0055】
[A.紫外線照射条件]実施例2、4〜9の紫外線照射条件は全て同一である。
紫外線強度 15mW/cm2 (λ=254nmにおいて)
照射距離 10mm
照射時間 100sec
照射面積 200mm×200mm
【0056】
[B.電子線照射条件] 実施例3の前処理条件
加速電圧 200keV
電子線電流 100mA
照射時間 30sec
走査幅 450mm
【0057】
[C.水素ガスプラズマ処理条件]実施例4、6、7、9での条件は全て同じである。
前処理用ガス 水素ガス(H2 ) 100sccm
高周波電力 13.56MHz 300W
真空度 0.1Torr
処理時間 10min
【0058】
[D.フッ素化合物ガスプラズマ処理条件]実施例5、6、8、9での条件は共通である。
前処理用ガス 6ふっ化硫黄(SF6 ) 100sccm
高周波電力 13.56MHz 300W
真空度 0.1Torr
処理時間 10min
【0059】
[E.プラズマCVD薄膜形成条件]実施例2〜9と比較例1において共通である。
高周波電極の寸法 Φ280mm
原料ガス メタン(CH4 )ガス 100sccm
高周波電力 13.56MHz 300W
成膜真空度 0.1Torr
成膜速度 50nm/min(500Å/min)
成膜時間 10min
【0060】
C、D、Eにおいてプラズマが基材に衝突することによって基材が加熱される。冷却装置によって基材の温度を約80℃に保った。最高でも150℃を越えないように冷却装置を制御した。
【0061】
【表2】
【0062】
摩擦係数は10gの荷重を加えたアルミのピンを20mm/secの速度で移動させて抵抗を測ることによって求めた。摩耗特性はダイヤモンドピンに荷重10gを掛けながら20mm/secの速度で移動させ1時間当たりの摩耗深さを測定している。基材表面の未結合原子の割合は、エネルギーロススペクトル分析装置(EELS)によって測定した。表面に存在する炭素原子の全数を100%としてそのうち未結合の手(ダングリングボンド)を持つ原子の割合を求めた。未結合炭素の数は紫外線、電子線照射によって増える。これがダイヤモンド状炭素膜の成分と強固に結びつくので膜が剥離しないのである。
【0063】
実施例は全て摩擦係数が1以下である。滑りが良いのである。バルブシート、パッキンとして長年使用しても弁棒、弁体がこじり付くということがない。摩耗特性も0.7以下であり耐摩耗性に優れている事が歴然としている。
密着性においても本発明の実施例はそれぞれ良好である。ゴムを折り畳んでも曲げても引き伸ばしても容易には剥げない。実施例6、9で特に密着性が高いが、これは水素プラズマ処理とSF6 プラズマ処理の二つを行っているからであろう。
【0064】
【発明の効果】
本発明は、ゴムや樹脂のように柔軟に撓み曲がる材料に、硬質の被膜であるダイヤモンド状炭素膜を被覆することに初めて成功している。前処理によってゴム、樹脂とダイヤモンド状炭素膜の結合性を高めているから、ゴムや樹脂を引っ張り曲げても被膜は剥がれない。しかもゴム本来の弾性は殆ど損なわれない。摩擦係数が低いので滑り抵抗が小さい。耐摩耗性も良い。硬質の膜であるからゴムなどの基材を外的な衝撃から守る事ができる。優れた複合材料を提供する事ができる。
【0065】
例えば自動車のワイパーのブレードのゴムに本発明を適用すると摺動特性に優れ摩耗しないブレードとなる。寿命が長くなる。従来のブレードのように縁がギザギザにならない。水切り性能が低下しない。ブレード交換の頻度をより少なくできる。本発明によるワイパーブレードの20万回の往復試験をした。試験前と試験後での顕微鏡写真に差がない。縁にぎざぎざができないし摩耗も殆どない。
【0066】
例えばバルブのシートに利用すると耐摩耗性が高くなるから使用によって疲労して開閉のトルクが高くなるというような不都合もない。パッキンのゴムとして広く利用することができる。その他にも建材、家庭用品として多様な用途を見込む事ができる。優れた発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が前処理を行うために用いた紫外線照射装置の概略構成図。
【図2】本発明が前処理を行うために用いた電子線照射装置の概略正面図。
【図3】本発明が前処理を行うために用いた電子線照射装置、操作盤、直流電源の図。
【図4】本発明がダイヤモンド状炭素膜形成のために用いたプラズマCVD装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 真空チャンバ(機密容器)
2 紫外線ランプ
3 サンプル
4 ガス入口
5 真空ポンプ
6 直流高電圧ケーブル
7 ブッシング
8 SF6 ガス
9 加速管
10 走査装置
11 走査管(スキャナ)
13 チタン箔
14 ウインドウ
15 直流電源
16 操作盤
17 コンベヤ
20 真空チャンバ
21 真空ポンプ
22 圧力調整弁
23 接地電極
24 基板
25 高周波電極
26 ヒ−タ
27 排気口
28 ガスボンベ
29 マッチングボックス
30 高周波電源
32 圧力調整弁
33 マスフローコントローラ
34 ガス入口
35 プラズマ
Claims (1)
- 基材であるゴム或いは樹脂に紫外線または電子線或いは両方を照射して表面に未結合炭素原子を生成したのち、フッ素含有ガス或いは水素ガスのプラズマにさらす処理を行い、炭化水素ガスを原料として供給しこれを励起して気相反応させ、ゴム或いは樹脂の表面にダイヤモンド状炭素膜を形成するようにした事を特徴とするゴム・樹脂にダイヤモンド状炭素膜を形成する方法。
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