JP3781116B2 - 走査露光方法及び走査露光装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばスリットスキャン方式、又はステップ・アンド・スキャン方式等でマスクパターンを感光性の基板上に逐次露光する走査露光方法及び装置に関し、特にオートフォーカス又はオートレベリングを行いながら走査露光方式で露光を行う場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、又は薄膜磁気ヘッド等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、レチクル(又はフォトマスク等)のパターンを感光材が塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する投影露光装置が使用されている。従来の投影露光装置としては、ウエハの各ショット領域を順次投影光学系の露光フィールド内に移動させて、各ショット領域にそれぞれレチクルのパターン像を一括露光するというステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置(ステッパー)が多く使用されていた。
【0003】
このようなステッパー方式の投影露光装置においては、ウエハの各ショット領域を投影光学系の結像面に合わせ込むためのオートフォーカス機構、及びオートレベリング機構が設けられている。これらオートフォーカス機構、及びオートレベリング機構は、投影光学系の露光フィールド内の所定の計測点(又は計測領域)でのフォーカス位置(又は傾斜角)を計測し、この計測結果に基づいて例えばサーボ系によりウエハのフォーカス位置(又は傾斜角)を補正するものである。この場合、ウエハは露光中静止しているため、オートフォーカス機構、及びオートレベリング機構の応答速度が遅くとも、特に不都合はなかった。
【0004】
これに対して、最近の半導体素子等においてはパターンが益々微細化しているため、投影光学系の解像力を高めることが求められている。解像力を高めるための手法には、露光光の波長の短波長化、又は投影光学系の開口数の増大等の手法があるが、何れの手法を用いる場合でも、従来例と同じ程度の露光フィールドを確保しようとすると、露光フィールドの全面で結像性能(ディストーション、像面湾曲等)を所定の精度に維持することが困難になってきている。そこで最近見直されているのが、所謂スリットスキャン方式、又はステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光方式の投影露光装置である。
【0005】
この走査露光方式の投影露光装置では、矩形状、円弧状、又は2次元的に配置された複数の台形状等の照明領域(以下、「スリット状の照明領域」という)に対してレチクル及びウエハを相対的に同期して走査しながら、そのレチクルのパターンがウエハ上に露光される。従って、ステッパー方式と同じ面積のパターンをウエハ上に露光する場合、走査露光方式では、ステッパー方式に比べて投影光学系の露光フィールドを小さくすることができ、露光フィールド内での結像性能が向上する可能性がある。
【0006】
また、従来レチクルの大きさの主流は6インチサイズであり、投影光学系の投影倍率の主流は1/5倍であったが、半導体素子等の回路パターンの大面積化により、倍率1/5倍のもとでのレチクルの大きさは6インチサイズでは間に合わなくなっている。そのため、投影光学系の投影倍率を例えば1/4倍に変更した投影露光装置を設計する必要がある。そして、このような被転写パターンの大面積化に応えるためにも、走査露光方式が有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる走査露光方式の投影露光装置においても、走査露光中にウエハの各ショット領域を結像面に合わせ込む機構が必要である。ところが、走査露光方式でステッパー方式と同様に、実際の露光領域内でウエハのフォーカス位置(又は傾斜角)を計測し、この計測結果に基づいて補正を行うものとしても、ウエハが走査されていると共に、オートフォーカス機構(又はオートレベリング機構)の応答速度が所定の値であるために、実際の露光領域を結像面に合わせ込むのが困難であるという不都合がある。
【0008】
また、その応答速度を考慮して、実際の露光領域に対して走査方向に手前側の計測点でウエハのフォーカス位置を先読みし、この先読みした結果に基づいて露光領域でのフォーカス位置(又は傾斜角)を補正する方法も考えられる。しかしながら、このような先読み方式をそのまま採用した場合、ウエハの周辺部等においてウエハの表面の高さが大きく変化する領域があると、オートフォーカス機構(又はオートレベリング機構)での補正量が大きくなり過ぎて、実際の露光領域が結像面に追従できない恐れがある。これを避けるためには、ウエハの走査速度を低くすればよいが、それでは露光工程のスループットが低下してしまう。
【0009】
更に、例えばウエハとウエハホルダとの間にレジスト残屑等の大きな異物が挟まれている場合にも、ウエハの表面の高さが大きく変化する。従って、異物が存在する領域での先読み情報をそのまま使用すると、フォーカス位置又は傾斜角の補正量が大きくなり過ぎて、実際の露光面が結像面に追従できない恐れがある。更に、異物が存在する領域では高さが部分的に大きく変化するため、その異物が存在する領域での先読み情報をそのまま使用すると、他の領域でのフォーカス位置又は傾斜角が実際の値から大きく外れてしまう恐れがある。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑み、走査露光方式で露光する際に、走査速度を低くすることなく、ウエハ等の感光性の基板上の実際の露光領域を投影光学系の結像面に対して正確に合わせ込むと共に、感光性の基板表面の高さが大きく変化するような場合にも、全体としてオートフォーカス又はオートレベリングの追従精度を悪化させないようにすることを目的とする。
【0011】
更に、本発明は、例えばその基板の裏面等に大きな異物が存在して、その基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる走査露光方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査露光方法は、例えば図1〜図3に示すように、転写用のパターンが形成されたマスク(12)上の所定形状の照明領域を照明し、この照明領域内のパターンを投影光学系(8)を介して感光性の基板(5)上に投影し、その照明領域に対してマスク(12)を所定方向に走査するのと同期して基板(5)をその照明領域と共役な露光領域(24)に対して所定方向(±Y方向)に走査することにより、マスク(12)上のパターンを逐次基板(8)上に露光する方法において、例えば図10に示すように、その照明領域に共役な露光領域(24)に対してその走査方向に手前側でその走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点(AF21〜AF29)でその基板のその投影光学系の光軸方向の高さを先読みし、このように先読みされた高さに基づいてその露光領域内のその基板の高さ(フォーカス位置)を制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部がその投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さの制御を行うものである。
【0013】
この場合、その先読みされた高さに基づいて基板(5)の傾斜角の制御(レベリング)をも行い、その計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系(8)の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することが望ましい。
【0014】
また、その露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測するのと並行して、露光領域(24)内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25C)でも基板(5)の高さを計測し、それぞれの計測点で得られた計測結果に基づいてその基板の高さおよび傾斜角をそれぞれ制御することが望ましい。
【0015】
また、そのように先読みされた高さより基板(5)の表面の高さ分布を求め、この高さ分布より基板(5)の表面又は底面に付着している異物の検出を行うことが望ましい。
更に、基板(5)の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板(5)の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことが望ましい。
【0016】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することが望ましい。
更に、本発明の走査露光装置は、マスク(12)上の転写用のパターンの一部を投影光学系(8)を介して感光性の基板上の所定形状の露光領域(24)に投影し、そのマスクをその投影光学系に対して所定方向に走査するのと同期してその基板をその所定方向に対応する方向に走査することにより、そのマスクのパターンを逐次その基板上に転写露光する走査露光装置において、露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点(AF21〜AF29)で基板の投影光学系の光軸方向の高さを先読みするフォーカス位置検出系(60〜71A)と、該先読みされた高さに基づいて露光領域内の基板の高さを制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外して前記基板の高さの制御を行う制御系(22A)と、を有することを特徴とするものである。
【0017】
【作用】
斯かる本発明の走査露光方法及び装置によれば、マスク(12)及び基板(5)を同期して走査して基板(5)上にマスク(12)のパターン像を露光する際に、基板(5)上で走査方向に対して手前側の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測する。その後、先読み方式で高さが計測された領域がマスク(12)のパターン像の露光領域(24)に達した際に、先読みした高さに基づいてその領域の高さを設定する。これにより、走査露光方式でも走査速度を低くすることなく、基板(5)の露光面が投影光学系(8)の結像面にほぼ正確に合わせ込まれる。即ち、オートフォーカスが行われる。
【0018】
また、例えば図10に示すように、複数の計測点(AF21〜AF29)で先読みされた高さの一部が結像面(39)に対して所定の許容範囲を超えた外れた場合には、許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さの制御を行う。このことにより、基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる。また、オートフォーカスの制御量が急激に大きくなり全体として追従精度が悪化することもなくなる。一般に基板(5)上で高さが急激に変化する部分は、基板(5)の周辺部の露光に適さない部分であることが多いため、その部分での計測データを無視しても影響は少ない。
【0019】
次に、そのように基板(5)を走査しながら所定の計測点で高さを先読みすることにより、基板(5)上での非走査方向の傾斜角も検出でき、検出された傾斜角に基づいて基板(5)の傾斜角の制御(レベリング)をも行うことができる。この際にも、その計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系(8)の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することにより、オートレベリングを行うときの追従精度が全体として悪化することがなくなる。
【0020】
また、その照明領域と共役な露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測するのと並行して、露光領域(24)内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25C)でも基板(5)の高さを計測する場合には、露光領域(24)内の計測データと先読みされた計測データとを用いて、より高精度にオートフォーカスが行われる。
【0021】
また、先読みされた高さより基板(5)の表面の高さ分布を求めると、基板(5)の表面又は底面に異物が付着している場合、その部分の高さが周辺部に対して大きく例えば凸状に変化する。従って、その高さ分布から異物の付着領域が検出できる。
更に、このように基板(5)の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板(5)の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことにより、周辺部が正確に結像面に合焦される。この場合、検出された異物が小さく、オートフォーカス又はオートレベリング機構で追従可能なときには、その異物に起因する凹凸情報を用いた方が合焦精度は高まることが予想される。そこで、追従可能な範囲の最大の大きさをその所定の大きさとして、追従できない大きさの異物の高さ情報を無視することにより、不要な合焦動作が防止できる。
【0022】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することによって異物の存在する位置が分かる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。本実施例は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置で露光を行う際に本発明を適用したものである。
図1は本実施例で使用される投影露光装置を示し、この図1において、図示省略された照明光学系からの露光光ELによる矩形の照明領域(以下、「スリット状の照明領域」という)によりレチクル12上のパターンが照明され、そのパターンの像が投影光学系8を介してウエハ5上に投影露光される。この際、図1の紙面に垂直な方向にY軸を取ると、露光光ELのスリット状の照明領域に対して、レチクル12が+Y方向(又は−Y方向)に一定速度Vで走査されるのに同期して、ウエハ5は−Y方向(又は+Y方向)に一定速度V・β(βは投影光学系8の投影倍率)で走査される。投影倍率βは例えば1/4、又は1/5である。
【0024】
レチクル12及びウエハ5の駆動系について説明するに、レチクル支持台9上にY軸方向に移動自在にレチクルY駆動ステージ10が載置され、このレチクルY駆動ステージ10上にレチクル微小駆動ステージ11が載置され、レチクル微小駆動ステージ11上にレチクル12が真空チャック等により保持されている。レチクル微小駆動ステージ11は、投影光学系8の光軸に垂直な面内で図1の紙面に平行なX方向、Y方向及び回転方向(θ方向)にそれぞれ微小量だけ且つ高精度にレチクル12の位置制御を行う。レチクル微小駆動ステージ11上には移動鏡21が配置され、レチクル支持台9上に配置された干渉計14によって、常時レチクル微小駆動ステージ11のX方向、Y方向及びθ方向の位置がモニターされている。干渉計14により得られた位置情報S1が主制御系22Aに供給されている。
【0025】
一方、ウエハ支持台1上には、Y軸方向に移動自在にウエハY軸駆動ステージ2が載置され、その上にX軸方向に移動自在にウエハX軸駆動ステージ3が載置され、その上にZレベリングステージ4が設けられ、このZレベリングステージ4上にウエハ5が真空吸着によって保持されている。Zレベリングステージ4上にも移動鏡7が固定され、外部に配置された干渉計13により、Zレベリングステージ4のX方向、Y方向及びθ方向の位置がモニターされ、干渉計13により得られた位置情報も主制御系22Aに供給されている。主制御系22Aは、ウエハ駆動装置22B等を介してウエハY軸駆動ステージ2、ウエハX軸駆動ステージ3及びZレベリングステージ4の位置決め動作を制御すると共に、装置全体の動作を制御する。
【0026】
また、ウエハ側の干渉計13によって計測される座標により規定されるウエハ座標系と、レチクル側の干渉計14によって計測される座標により規定されるレチクル座標系の対応をとるために、Zレベリングステージ4上のウエハ5の近傍に基準マーク板6が固定されている。この基準マーク板6上には各種基準マークが形成されている。これらの基準マークの中にはZレベリングステージ4側に導かれた照明光により裏側から照明されている基準マーク、即ち発光性の基準マークも設けられている。
【0027】
本例のレチクル12の上方には、基準マーク板6上の基準マークとレチクル12上のマークとを同時に観察するためのレチクルアライメント顕微鏡19及び20が装備されている。この場合、レチクル12からの検出光をそれぞれレチクルアライメント顕微鏡19及び20に導くための偏向ミラー15及び16が移動自在に配置され、露光シーケンスが開始されると、主制御系22Aからの指令のもとで、ミラー駆動装置17及び18によりそれぞれ偏向ミラー15及び16は露光光ELの光路外に退避される。
【0028】
図1の走査露光方式の投影露光装置には、斜め入射型の多点フォーカス位置検出系が装着されている。本例の多点フォーカス位置検出系は、露光領域内、及び露光領域に対して走査方向に手前側でそれぞれウエハのフォーカス位置(投影光学系8の光軸方向の位置)を検出する先読み方式である。
図2は本実施例の多点フォーカス位置検出系の光学系を示し、この図2において、レチクル12上のパターン形成面(レチクル面)とウエハ5の露光面とは投影光学系8に関して共役になっている必要があるが、レチクル面はあまり変動しない。そこで、斜め入射型の多点のフォーカス位置検出系によってウエハ5の露光面が投影光学系8の結像面に焦点深度の範囲内で合致しているかどうか(合焦しているかどうか)のみを検出し、この検出結果に基づいてウエハ5の露光面のフォーカス位置及び傾斜角の制御を行う。
【0029】
多点のフォーカス位置検出系において、露光光ELとは異なりウエハ5上のフォトレジストを感光させない照明光が、図示省略された照明光源から光ファイバ束60を介して導かれている。光ファイバ束60から射出された照明光は、集光レンズ61を経てパターン形成板62Aを照明する。パターン形成板62Aを透過した照明光は、レンズ63、ミラー64及び照射対物レンズ65を経てウエハ5の露光面に投影され、ウエハ5の露光面にはパターン形成板62A上のパターンの像が投影光学系8の光軸AX1に対して斜めに投影結像される。ウエハ5で反射された照明光は、集光対物レンズ66、回転方向振動板67及び結像レンズ68を経て受光器69Aの受光面に再投影され、受光器69Aの受光面には、パターン形成板62A上のパターンの像が再結像される。この場合、主制御系22Aは加振装置70を介して回転方向振動板67に後述のような振動を与え、受光器69Aの多数の受光素子からの検出信号が信号処理装置71Aに供給され、信号処理装置71Aは、各検出信号を加振装置70の駆動信号で同期検波して得た多数のフォーカス信号を主制御系22Aに供給する。
【0030】
図3(b)は、図2の本例のパターン形成板62Aを示し、図3(b)に示すように、パターン形成板62Aの第1列目には9個のスリット状の開口パターン72−11〜72−19が形成され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の開口パターン72−21〜72−59が形成されている。即ち、パターン形成板62Aには、合計で45個のスリット状の開口パターンが形成されており、これらのスリット状の開口パターンの像が図2のウエハ5の露光面上にX軸及びY軸に対して斜めに投影される。
【0031】
図3(a)は、本例の投影光学系8の下方のウエハ5の露光面を示し、この図3(a)において、投影光学系8の円形の照明視野23に内接するX方向に長い矩形の露光フィールド24内に図2のレチクル12のパターンが露光され、この露光フィールド24に対してY方向にウエハ5が走査(スキャン)される。本例の多点フォーカス位置検出系により、露光フィールド24のY方向の上側のX方向に伸びた第1列の9個の計測点AF11〜AF19よりなる先読み領域25A、第2列の計測点AF21〜AF29よりなる先読み領域25B、露光フィールド24内の第3列の計測点AF31〜AF39よりなる計測領域25C、露光フィールド24のY方向の下側の第4列の計測点AF41〜AF49よりなる先読み領域25D、及び第5列の計測点AF51〜AF59よりなる先読み領域25Eにそれぞれスリット状の開口パターンの像が投影される。
【0032】
図3(c)は、本例の多点フォーカス位置検出系の受光器69Aを示し、この受光器69A上の第1列目には9個の受光素子75−11〜75−19が配置され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の受光素子75−21〜75−59が配置されている。即ち、受光器69Aには、合計で45個の受光素子が配列されており、各受光素子上にはスリット状の絞り(図示省略)が配置されている。また、それら受光素子75−11〜75−59上にそれぞれ図3(a)の計測点AF11〜AF59に投影されたスリット状の開口パターンの像が再結像される。各受光素子75−11〜75−59の検出信号は信号処理装置71Aに供給されている。そして、ウエハ5の露光面で反射された光を、図2の回転方向振動板67で振動することで、受光器69A上では再結像された各像の位置が絞りの幅方向であるRD方向に振動する。
【0033】
また、図3(a)の各計測点AF11〜AF59上のスリット状の開口の像は、投影光学系8の光軸に対して斜めに投影されているため、ウエハ5の露光面のフォーカス位置が変化すると、それら投影像の受光器69A上での再結像位置はRD方向に変化する。従って、信号処理装置71A内で、各受光素子75−11〜75−59の検出信号をそれぞれ回転方向振動板67の加振信号で同期検波することで、計測点AF11〜AF59のフォーカス位置にそれぞれ対応する45個のフォーカス信号が得られる。これら45個のフォーカス信号の内の所定のフォーカス信号より後述のように、ウエハの露光面の傾斜角(レベリング角)及び平均的なフォーカス位置を算出する。これら計測されたレベリング角及びフォーカス位置は図2の主制御系22Aに供給され、主制御系22Aは、その供給されたレベリング角及びフォーカス位置に基づいて駆動装置22B及びZレベリングステージ4を介してウエハ5のレベリング角及びフォーカス位置の設定を行う。
【0034】
従って、本例では図3(a)に示す45個の全ての計測点AF11〜AF59のフォーカス位置を計測することができる。但し、本例では、図4に示すように、ウエハのスキャン方向に応じてそれら45個の計測点中で実際にフォーカス位置を計測する点(以下、「サンプル点」という)の位置を変えている。また、本実施例では、先読み領域25A若しくは25B(又は25E若しくは25D)のみでフォーカス位置の先読みを行う「先読みモード」と、それら先読み領域の他に露光フィールド24内の計測領域25Cでもフォーカス位置を計測する「分割先読みモード」とを有している。先ず、単純な先読みモードでは、例えばウエハを−Y方向に走査するときには、先読み領域25D内の全ての計測点AF41〜AF49をサンプル点として計測を行う。逆に、ウエハを+Y方向に走査する際には、先読み領域25B(又は25A)内の計測点がサンプル点となる。なお、露光フィールド24のY方向の幅が広く、先読み領域25D(又は25B)が露光フィールド24に近づき過ぎた場合や、ウエハの走査速度が速いような場合には、それよりも走査方向に手前側の先読み領域25E(又は25A)内の計測点をサンプル点とすることがある。これは以下の分割先読みモードでも同様である。
【0035】
次に、分割先読みモードでは、図4(a)に示すように、露光フィールド24に対して+Y方向にウエハをスキャンする場合には、先読み領域25B中の奇数番目の計測点AF21,AF23,‥‥,AF29、及び露光フィールド24内の計測領域25C中の偶数番目の計測点AF32,AF34,‥‥,AF38がサンプル点となる。逆に、図4(b)に示すように、露光フィールド24に対して−Y方向にウエハをスキャンする場合には、先読み領域25D中の奇数番目の計測点AF41,AF43,‥‥,AF49、及び露光フィールド24内の計測領域25C中の偶数番目の計測点AF32,AF34,‥‥,AF38がサンプル点となる。
【0036】
更に、先読みモード、及び分割先読みモードの何れでも、走査露光時のフォーカス位置の計測結果は、ウエハ側のステージの移動座標に応じて逐次変化していくため、それらフォーカス位置の計測結果は、ステージのスキャン方向(Y方向)の座標及び非スキャン方向(X方向)の計測点の座標よりなる2次元のマップとして図1の主制御系22内の記憶部に記憶される。このように記憶された計測結果を用いて、露光時のウエハのフォーカス位置及びレベリング角が算出される。そして、際に図1のZレベリングステージ4を駆動してウエハの露光面のフォーカス位置及びレベリング角を設定する場合は、計測結果に従ってオープンループ制御によりZレベリングステージ4の動作が制御される。
【0037】
なお、レチクル及びウエハの走査速度は常に一定ではなく、ウエハ上のフォトレジストの感度等に応じて変更される。このように走査速度が変更される場合には、以下のようなデータ処理を行うことが望ましい。即ち、先ず、先読みモード、及び分割先読みモードの何れでも、走査露光時のフォーカス位置の計測結果(計測データ)は、ウエハ側のステージの移動に同期して所定のサンプリング周波数で、主制御系22A内のバッファメモリ内のアドレスに順次記憶される。また、図1の主制御系22A内には、ウエハ側のステージの走査速度VW 、及び先読み領域の中心から露光フィールドの中心までの走査方向の間隔Gscの情報が供給されている。そして、走査露光の開始後に、実際に図1のZレベリングステージ4を駆動してウエハの露光面のフォーカス位置及びレベリング角を設定する場合は、主制御系22Aでは、内部のバッファメモリ内で現在先読みデータが格納されるアドレスに対して、(間隔Gsc/走査速度VW )で表される時間だけ前に読み込まれた計測結果を読み出し、このように読み出した結果を用いてオープンループ制御によりZレベリングステージ4の動作を制御する。これにより、走査速度が変化しても正確に合焦が行われる。
【0038】
この場合、先読みモードでは、予め計測された結果に基づいて露光フィールド24内での露光が行われる。即ち、図5(a)に示すように、例えばウエハを+Y方向に走査するときには、第2列の先読み領域25B中の所定のサンプル点でウエハ上の領域26のフォーカス位置の計測が行われ、その後図5(b)に示すようにウエハ上の領域26が露光フィールド24内に達したときに、図5(a)での計測結果に基づいて、ウエハ上の領域26のフォーカシング及びレベリング制御が行われる。一方、分割先読みモードでは、その領域26のフォーカシング及びレベリング制御を行う際に、図4(a)及び(b)に示したように、露光フィールド24内の計測領域25C中のサンプル点、即ちその領域26で露光中に計測されるフォーカス位置のデータも合わせて使用される。この分割先読みモードでは、露光フィールド24内の計測領域25Cでの計測データは追従誤差(ウエハの露光面と投影光学系の結像面との姿勢の差分)の補正用として使用される。
【0039】
図6は本例のZレベリングステージ4及びこの制御系を示し、この図5において、Zレベリングステージ4の上面部材は下面部材上に3個の支点28A〜28Cを介して支持されており、各支点28A〜28Cはそれぞれフォーカス方向(Z方向)に伸縮自在になっている。各支点28A〜28Cの伸縮量を調整することにより、Zレベリングステージ4上のウエハ5の露光面のフォーカス位置、スキャン方向の傾斜角θY 及び非スキャン方向の傾斜角θX を所望の値に設定することができる。各支点28A〜28Cの近傍にはそれぞれ、各支点のフォーカス方向の変位量を例えば0.01μm程度の分解能で計測できる高さセンサー29A〜29Cが取り付けられている。なお、フォーカス方向(Z方向)への位置決め機構として、よりストロークの長い高精度な機構を別に設けても良い。
【0040】
Zレベリングステージ4のレベリング動作を制御するために、主制御系22Aはフィルタ部30A及び30Bにそれぞれ刻々に変化する非スキャン方向の設定すべき傾斜角θX 及びスキャン方向の設定すべき傾斜角θY を供給する。フィルタ部30A及び30Bはそれぞれ異なるフィルタ特性でフィルタリングして得られた傾斜角を演算部31に供給し、主制御系22Aは演算部31にはウエハ5上の露光対象とする領域の座標W(X,Y)を供給する。更に、不図示の信号ラインを介して主制御系22Aは、演算部31に対してウエハの露光面の設定すべきフォーカス位置の情報をも供給する。演算部31は、座標W(X,Y)、フォーカス位置、及び2つの傾斜角に基づいて駆動部32A〜32Cに設定すべき変位量の情報を供給する。各駆動部32A〜32Cにはそれぞれ高さセンサー29A〜29Cから支点29A〜29Cの現在の高さの情報も供給され、各駆動部32A〜32Cはそれぞれ支点29A〜29Cの高さを演算部31に設定された高さに設定する。
【0041】
これにより、ウエハ5の露光面のスキャン方向の傾斜角及び非スキャン方向の傾斜角がそれぞれ所望の値に設定される。
また、支点28A,28B及び28Cが配置されている位置をそれぞれ駆動点TL1,TL2及びTL3と呼ぶと、駆動点TL1及びTL2はY軸に平行な1直線上に配置され、駆動点TL3は駆動点TL1とTL2との垂直2等分線上に位置している。そして、投影光学系によるスリット状の露光フィールド24が、ウエハ5上のショット領域SAij上に位置しているものとすると、本例では、支点28A〜28Cを介してウエハ5のレベリング制御を行う際に、そのショット領域SAijのフォーカス位置は変化しない。従って、レベリング制御とフォーカス制御とが分離した形で行われるようになっている。また、ウエハ5の露光面のフォーカス位置の設定は、3個の支点28A〜28Cを同じ量だけ変位させることにより行われる。
【0042】
次に、本例のレベリング動作及びフォーカシング動作につき詳細に説明する。先ず、レベリング用の傾斜角及びフォーカシング用のフォーカス位置の算出法を示す。
(A)傾斜角の算出法
図5に示すように、各列の計測点において非スキャン方向のm番目のサンプル点のX座標をXm 、スキャン方向のn番目のサンプル点のY座標をYn として、X座標Xm 及びY座標Yn のサンプル点で計測されたフォーカス位置の値をAF(Xm ,Yn )で表す。また、非スキャン方向のサンプル数をM、スキャン方向のサンプル数をNとして、次の演算を行う。但し、和演算Σm は添字mに関する1〜Mまでの和を表す。
【0043】
SX=Σm Xm ,SX2=Σm Xm 2,SMZ=Σm AF(Xm ,Yn ),
SXZ=Σm (AF(Xm ,Yn )・Xm ) (1)
同様に、和演算Σn が添字nに関する1〜Nまでの和を表すものとして、次の演算を行う。
SY=Σn Yn ,SY2=Σn Yn 2,SNZ=Σn AF(Xm ,Yn ),
SYZ=Σn (AF(Xm ,Yn )・Yn ) (2)
そして、(1)式及び(2)式を用いて次の演算を行う。
【0044】
An=(SX・SMZ−M・SXZ)/(SX2−M・SX2) (3)
Am=(SY・SNZ−N・SYZ)/(SY2−N・SY2) (4)
次に、各Anより、最小自乗近似によりスキャン方向のn番目のサンプル点における非スキャン方向(X方向)の傾斜角AL(Yn )を求め、各Amより、最小自乗近似により非スキャン方向のm番目のサンプル点におけるスキャン方向(Y方向)の傾斜角AL(Xm )を求める。その後、次のような平均化処理により非スキャン方向の傾斜角θX 及びスキャン方向の傾斜角θY を求める。
【0045】
θX =(Σn AL(Yn ))/N (5)
θY =(Σm AL(Xm ))/M (6)
(B)フォーカス位置算出法
フォーカス位置の算出法には平均化処理法と最大最小検出法とがあり、本例では最大最小検出法でフォーカス位置を算出する。参考のため、平均化処理法では、上述のフォーカス位置の値AF(Xm ,Yn )を用いて、次式よりウエハ5の露光面の全体としてのフォーカス位置〈AF〉を計算する。
【0046】
〈AF〉=(Σn Σm AF(Xm ,Yn ))/(M・N) (7)
次に、最大最小検出法では、最大値及び最小値を表す関数をそれぞれMax( )及びMin( )として、次式よりウエハ5の露光面の全体としてのフォーカス位置AF′を計算する。
AF′=(Max(AF(Xm ,Yn ))+Min(AF(Xm ,Yn )) (8)
そして、図5(b)に示すように、計測された領域26が露光フィールド24に達したときには、(5)式、(6)式、(8)式の検出結果θX ,θY 及びAF′に基づいて、図6の3個の支点28A〜28Cがそれぞれ高さセンサー29A〜29Cの計測結果を基準としてオープンループで駆動される。具体的に、オートフォーカス制御は、3個の支点28A〜28Cを同時に駆動することにより実行され、オートレベリング制御は、図6に示す露光フィールド24内のフォーカス位置が変化しないように実行される。
【0047】
即ち、図6において、露光フィールド24の中心点と支点28A,28BのX方向の間隔をX1 、露光フィールド24の中心点と支点28CのX方向の間隔をX2 、露光フィールド24の中心点と支点28AのY方向の間隔をY1 、露光フィールド24の中心点と支点28BのY方向の間隔をY2 として、非スキャン方向の傾斜角θX の結果に基づき、支点28A,28Bと支点28CとにそれぞれX1 :X2 の比で逆方向の変位が与えられ、スキャン方向の傾斜角θY の結果に基づき、支点28Aと支点28BとにそれぞれY1 :Y2 の比で逆方向の変位が与えられる。
【0048】
次に、本実施例における露光動作の一例につき図7〜図9を参照して説明する。先ず、図7は、本実施例のウエハ5のショット配列を示し、この図7において、ウエハ5上にX方向及びY方向にそれぞれ所定ピッチでショット領域SA1,SA2,…,SA20が配列されている。1層目への露光を行う際にはショット領域SA1〜SA20は仮想的なものであり、2層目への露光を行う際にはショット領域SA1〜SA20には既にそれぞれ同一又は異なる回路パターンが形成されている。
【0049】
そして、先ず第1のショット領域SA1に露光を行う際には、露光フィールド24に対してウエハ5をY方向に走査し、それに同期してレチクル12(図1参照)を−Y方向に走査する。この結果、ウエハ5に対して相対的に露光フィールド24は軌跡33Aに沿って移動する。この際に、分割先読みモードでは、先読み領域25D、及び露光フィールド24内の計測領域25C内の所定の計測点でフォーカス位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハ5のフォーカシング及びレベリングが実行される。但し、そのショット領域SA1は、ウエハ5の周辺部にあるため、実測されたフォーカス位置のデータをそのまま使用すると、フォーカス位置、及びレベリング角の補正量が大きくなり過ぎて追従精度が悪化する。そのため、以下のように実測されたフォーカス位置のデータが所定の許容値から外れたときには、そのデータを無視するようにしている。
【0050】
即ち、図8(a)は、ショット領域SA1への露光を開始するために、ウエハ5のY方向への走査を開始した直後の状態を示し、この図8(a)において、露光フィールド24及び先読み領域25Dは、ウエハ5の周辺部の薄い部分(ウエハ5に塗布されたフォトレジスト層の膜厚が大きく変化する周辺領域)に位置している。また、本例の多点フォーカス位置検出系では、予め計測点においてその仮想的な基準面が投影光学系8の結像面と一致している、すなわちウエハ5の露光面(例えば表面)が投影光学系8の結像面に合致しているときに、検出されるフォーカス位置が0になるようにキャリブレーションが行われているものとする。このとき、先読み領域25D(ウエハ5の表面)で計測されるフォーカス位置ΔZは、そのまま結像面39のフォーカス位置からの差分を表しており、そのフォーカス位置ΔZはかなり大きな値となる。そこで、本実施例では、予め許容値Δmaxを定め、その計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値がその許容値Δmaxを超える場合には、そのフォーカス位置ΔZを無視する。具体的に、ショット領域SA1への露光を行う前に、ショット領域SA1の例えば中央部でフォーカス位置を計測しておき、図8(a)の状態では計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値がその許容値Δmaxを超えるものとすると、図8(a)の状態ではその予め計測されたフォーカス位置のデータに基づいてZレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角を制御する。
【0051】
その後、ウエハ5を更に+Y方向に走査して図8(b)のように、先読み領域25Dがショット領域SA1にかかると、計測されるフォーカス位置の絶対値は許容値Δmax以下になるため、その実測されたフォーカス位置に基づいて、Zレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角を制御する。これにより、図8(a)の状態から図8(b)の状態に移行する過程で、ウエハ5のフォーカス位置又はレベリング角(傾斜角)が大きく変動することがなくなるため、図8(b)の状態からショット領域SA1に露光を開始する際に、ショット領域SA1の露光面は正確に結像面に合わせ込まれる。従って、ウエハ5の走査速度を低くすることなく、オートフォーカス及びオートレベリングの追従精度が良好であり、ショット領域SA1の全面に高い解像度でレチクルのパターンが露光される。
【0052】
次に、図7において、ショット領域SA1への露光終了後に隣のショット領域SA2への露光を行う際には、図1のウエハX軸駆動ステージ3を介してウエハ5を−X方向にステッピングさせる。これにより、露光フィールド24はウエハ5に対して+X方向に移動して、ショット領域SA2への走査開始位置に至る。その状態から、露光フィールド24に対してウエハ5を−Y方向に走査し、それに同期してレチクル12(図1参照)を+Y方向に走査する。この結果、ウエハ5に対して相対的に露光フィールド24は軌跡33Bに沿って移動する。この際に、分割先読みモードでは、先読み領域25B、及び露光フィールド24内の計測領域25C内の所定の計測点でフォーカス位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハ5のフォーカシング及びレベリングが実行される。但し、そのショット領域SA2も、ウエハ5の周辺部にあるため、実測されたフォーカス位置のデータをそのまま使用すると、フォーカス位置、及びレベリング角の補正量が大きくなり過ぎて追従精度が悪化する恐れがある。そのため、以下のようにしている。
【0053】
即ち、図9(a)は、ショット領域SA2の中央部への露光を行っている状態を示し、この図9(a)において、先読み領域25Bでのフォーカス位置の計測結果の結像面からのずれ量は許容値以内であるため、計測結果に基づいてオートフォーカス及びオートレベリングが行われる。
ところが、その後ウエハ5が更に−Y方向に走査されて、図9(b)に示すように、先読み領域25Bがウエハ5の周辺部の薄い部分に移動すると、先読み領域25Bで計測されるフォーカス位置ΔZ(即ち、結像面からのずれ量)の絶対値は上述の許容値Δmaxを超えてしまう。そこで、先読み領域25Bで計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値が許容値Δmaxを超えたときには、そのフォーカス位置ΔZのデータを無視して、Zレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角をそれまでに設定されていた値に維持して露光を行う。
【0054】
但し、図9(b)の状態で、先読み領域25Bで計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値が許容値Δmaxを超えるのは、回路パターンが露光されないウエハ5の周辺部であると共に、先読みされたデータが実際に使用されるまでは時間遅れがあるため、ショット領域SA2への露光に関しては絶対値が許容値Δmaxを超えるデータを無視しても殆ど影響はない。しかしながら、このように絶対値が許容値Δmaxを超えるデータを無視することにより、図9(b)の状態からZレベリングステージ4のフォーカス位置及びレベリング角が大きく変化することがなくなる。即ち、Zレベリングステージ4の無駄な動作がなくなり、制御系の安定性が高まる利点がある。
【0055】
図7に戻り、その後同様にしてウエハ5上のショット領域SA3〜SA20への走査露光が行われる。また、各ショット領域SA3〜SA20に対する露光フィールド24の相対的な走査方向をそれぞれ矢印で示す。この場合、中央部のショット領域SA3〜SA18では先読み領域での計測データをそのまま使用してオートフォーカス及びオートレベリングが実行されるが、周辺部のショット領域SA19,SA20では、部分的に先読み領域での計測データが無視される。これにより、ウエハ5の各ショット領域をそれぞれ結像面に合わせ込んだ状態で、且つZレベリングステージ4が無駄な動きをすることなく効率的に走査露光方式での露光が行われる。
【0056】
なお、図7ではウエハ上の走査方向に対して周辺部のショット領域への露光を行う場合について説明したが、ウエハ上の非走査方向(X方向)に対して周辺部のショット領域への露光を行う場合につき、図10を参照して説明する。
図10は、ウエハ5上のX方向のエッジ部に近接して配置されたショット領域SAを示し、この図10において、ショット領域SAを露光フィールド24に対して+Y方向(紙面内右方向)に走査することによりショット領域SAへの露光が行われる。従って、分割先読みモードでは、露光フィールド24の手前側の先読み領域25B内の計測点AF21,AF23,…,AF29で計測されたフォーカス位置のデータ、及び露光フィールド24内の計測領域の計測点で計測されたフォーカス位置のデータが使用される。
【0057】
また、図10では、ショット領域SAの走査方向の両端部がウエハ5からはみ出しているものとする。このような場合でも、例えばショット領域SA内に2個の同じ回路パターン34A及び34Bが形成されるときには、回路パターン34Aの部分だけは正常に露光されるため、ショット領域SAの全体が無駄になることはない。しかしながら、露光フィールド24に対してショット領域SAを+Y方向に走査すると、先読み領域25B内の端部の計測点AF21でのフォーカス位置の絶対値は、初期位置35Aでは許容値Δmaxを超え、中間の位置35Bでは許容値Δmax以内となり、走査終了に近い位置35Cでは再び許容値Δmaxを超えてしまう。即ち、計測点AF21でのフォーカス位置の絶対値は、Y方向の両端の区間ΔY1及びΔY3では許容値Δmaxを超え、中央の区間ΔY2では許容値Δmax以内となる。
【0058】
そこで、このような場合には、区間ΔY1及びΔY3での計測データを使用するときには計測点AF21での計測データを無視し、区間ΔY2での計測データを使用するときには計測点AF21での計測データも使用するようにする。これにより、ショット領域SAのフォーカス位置及び傾斜角が、ウエハ5の周辺部の露光に適さない領域の計測データによって誤った値に設定されることが防止され、少なくとも回路パターン34Aの領域には高い解像度でレチクルのパターンが露光される。
【0059】
更に、先読み領域の計測点での計測値がウエハ周辺部の欠けショット(図10のショット領域SAのようなショット領域)で許容値Δmaxを超えた場合だけでなく、ウエハの内部についても計測値について許容値(閾値)を設定してもよい。
つまり、露光領域中にはプロセス段差以外に、例えばウエハの裏面のレジスト残屑のような異物に起因するZレベリングステージ4では追従できないような大きさの凹凸が存在する場合があり、このような場合、先読み領域内の計測値の一部にフォーカス位置の特異的な大きな変動として現れる。例えば図10において、ショット領域SAの裏面に異物Qが付着していると、区間ΔY1内で先読み領域25B内の計測点AF23での計測値が大きく変動し、この計測値をそのまま使用すると、Zレベリングステージ4では追従できないためにその異物Qの付着領域の近くの領域が合焦されなくなる。そこで、本例では、ウエハの内部において先読み領域内の1つ又は複数個の計測点でのフォーカス位置の計測値が、所定の許容値を超えたとき、所定の大きさを超える異物がウエハ裏面にあると認識すると共に、主制御系22A内のバッファメモリに、異物が存在するウエハ上の位置の座標(又は異物が存在するショット領域の位置)、及びそのときのフォーカス位置の変動量を記憶する。
【0060】
また、この際のフォーカス位置の変動量としては、Z方向のみの変位を用いてもよいが、ウエハステージの移動に伴うフォーカス位置の変化量を用いてもよい。
そして、このフォーカス位置の変動量が局所的な変化の場合は、一例としてその異物が存在する位置でのフォーカス位置の計測値を、高さ及び傾斜角の制御情報としては除外する。その局所的な変化とはZレベリングステージ4の追従性能から判断され、Zレベリングステージ4の追従応答以上のフォーカス変化量のみを無視するのが最もよい。
【0061】
また、主制御系22A内に格納された異物情報はウエハの露光終了時に付属のCRTディスプレイ上に異物マップとして表示してもよい。また、オンライン回線を用いてホストコンピュータ上に異物情報を送り、異物情報をオンライン回線上のホストコンピュータで管理してもよい。
なお、上述実施例においては、ウエハの露光面の多点のフォーカス位置を計測するために、2次元的に配列されたスリット状の開口パターン像をウエハ上に投影する多点フォーカス位置検出系が使用されている。しかしながら、その代わりに、例えばウエハ上の1列の先読み領域に対しては、非スキャン方向に細長いスリット状になっているパターンの像を投影し、その非スキャン方向の全体のフォーカス位置を計測するフォーカス位置検出系を使用しても良い。また、明暗パターンを投影してそのパターン像の横ずれ量を検出する画像処理方式のフォーカス位置検出系を用いて、ウエハの露光面上の2次元的なフォーカス位置の分布を計測する場合でも、上述実施例と同様の分割先読み等を適用することにより、高精度なフォーカシング及びレベリングを行うことができる。
【0062】
なお、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0063】
【発明の効果】
本発明の走査露光方法及び走査露光装置によれば、基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる。また、計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することにより、オートレベリングを行うときの追従精度が全体として悪化することがなくなる。
【0064】
また、照明領域と共役な露光領域に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点で基板の高さを計測するのと並行して、露光領域内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点でも基板の高さを計測する場合には、露光領域内の計測データと先読みされた計測データとを用いて、より高精度にオートフォーカスが行われる。
【0065】
また、先読みされた高さより基板の表面の高さ分布を求めると、基板の表面又は底面に異物が付着している場合、その部分の高さが周辺部に対して大きく例えば凸状に変化する。従って、その高さ分布から異物の付着領域が検出できる。
更に、このように基板の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことにより、周辺部が正確に結像面に合焦される。この場合、検出された異物が小さく、オートフォーカス又はオートレベリング機構で追従可能なときには、その異物に起因する凹凸情報を用いた方が合焦精度は高まることが予想される。そこで、追従可能な範囲の最大の大きさをその所定の大きさとして、追従できない大きさの異物の高さ情報を無視することにより、不要な合焦動作が防止できる。
【0066】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することによって異物の存在する位置が分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による走査露光方法の一実施例が適用される投影露光装置を示す構成図である。
【図2】 図1の投影露光装置の多点フォーカス位置検出系の光学系を示す構成図である。
【図3】 (a)は実施例において投影光学系による露光フィールドを含む領域に2次元的な配列で投影されたスリット状の開口パターン像を示す平面図、(b)は多点フォーカス位置検出系のパターン形成板上の開口パターンを示す図、(c)は受光器上の受光素子の配列を示す図である。
【図4】 (a)は実施例で分割先読みを行う場合のサンプル点を示す図、(b)は逆方向にスキャンする場合で且つ分割先読みを行う場合のサンプル点を示す図である。
【図5】 先読みしたフォーカス位置を用いて露光を行う場合を示す説明図である。
【図6】 実施例のオートフォーカス及びオートレベリング用の機構並びにその制御部を示す構成図である。
【図7】 ウエハ上のショット配列の一例を示す平面図である。
【図8】 分割先読み方式でショット領域SA1に露光を行う場合の動作の説明に供する要部の拡大断面図である。
【図9】 分割先読み方式でショット領域SA2に露光を行う場合の動作の説明に供する要部の拡大断面図である。
【図10】 ウエハ5上の非走査方向のエッジ部に近いショット領域に露光を行う場合の説明に供するウエハの部分拡大平面図である。
【符号の説明】
2 ウエハY軸駆動ステージ
4 Zレベリングステージ
5 ウエハ
8 投影光学系
10 レチクルY駆動ステージ
12 レチクル
22A 主制御系
24 スリット状の露光フィールド
25A,25B,25D,25E 先読み領域
25C 計測領域
62A パターン形成板
69A 受光器
71A 信号処理装置
AF11〜AF59 計測点
SA1〜SA20 ショット領域
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばスリットスキャン方式、又はステップ・アンド・スキャン方式等でマスクパターンを感光性の基板上に逐次露光する走査露光方法及び装置に関し、特にオートフォーカス又はオートレベリングを行いながら走査露光方式で露光を行う場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、又は薄膜磁気ヘッド等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、レチクル(又はフォトマスク等)のパターンを感光材が塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写する投影露光装置が使用されている。従来の投影露光装置としては、ウエハの各ショット領域を順次投影光学系の露光フィールド内に移動させて、各ショット領域にそれぞれレチクルのパターン像を一括露光するというステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置(ステッパー)が多く使用されていた。
【0003】
このようなステッパー方式の投影露光装置においては、ウエハの各ショット領域を投影光学系の結像面に合わせ込むためのオートフォーカス機構、及びオートレベリング機構が設けられている。これらオートフォーカス機構、及びオートレベリング機構は、投影光学系の露光フィールド内の所定の計測点(又は計測領域)でのフォーカス位置(又は傾斜角)を計測し、この計測結果に基づいて例えばサーボ系によりウエハのフォーカス位置(又は傾斜角)を補正するものである。この場合、ウエハは露光中静止しているため、オートフォーカス機構、及びオートレベリング機構の応答速度が遅くとも、特に不都合はなかった。
【0004】
これに対して、最近の半導体素子等においてはパターンが益々微細化しているため、投影光学系の解像力を高めることが求められている。解像力を高めるための手法には、露光光の波長の短波長化、又は投影光学系の開口数の増大等の手法があるが、何れの手法を用いる場合でも、従来例と同じ程度の露光フィールドを確保しようとすると、露光フィールドの全面で結像性能(ディストーション、像面湾曲等)を所定の精度に維持することが困難になってきている。そこで最近見直されているのが、所謂スリットスキャン方式、又はステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光方式の投影露光装置である。
【0005】
この走査露光方式の投影露光装置では、矩形状、円弧状、又は2次元的に配置された複数の台形状等の照明領域(以下、「スリット状の照明領域」という)に対してレチクル及びウエハを相対的に同期して走査しながら、そのレチクルのパターンがウエハ上に露光される。従って、ステッパー方式と同じ面積のパターンをウエハ上に露光する場合、走査露光方式では、ステッパー方式に比べて投影光学系の露光フィールドを小さくすることができ、露光フィールド内での結像性能が向上する可能性がある。
【0006】
また、従来レチクルの大きさの主流は6インチサイズであり、投影光学系の投影倍率の主流は1/5倍であったが、半導体素子等の回路パターンの大面積化により、倍率1/5倍のもとでのレチクルの大きさは6インチサイズでは間に合わなくなっている。そのため、投影光学系の投影倍率を例えば1/4倍に変更した投影露光装置を設計する必要がある。そして、このような被転写パターンの大面積化に応えるためにも、走査露光方式が有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる走査露光方式の投影露光装置においても、走査露光中にウエハの各ショット領域を結像面に合わせ込む機構が必要である。ところが、走査露光方式でステッパー方式と同様に、実際の露光領域内でウエハのフォーカス位置(又は傾斜角)を計測し、この計測結果に基づいて補正を行うものとしても、ウエハが走査されていると共に、オートフォーカス機構(又はオートレベリング機構)の応答速度が所定の値であるために、実際の露光領域を結像面に合わせ込むのが困難であるという不都合がある。
【0008】
また、その応答速度を考慮して、実際の露光領域に対して走査方向に手前側の計測点でウエハのフォーカス位置を先読みし、この先読みした結果に基づいて露光領域でのフォーカス位置(又は傾斜角)を補正する方法も考えられる。しかしながら、このような先読み方式をそのまま採用した場合、ウエハの周辺部等においてウエハの表面の高さが大きく変化する領域があると、オートフォーカス機構(又はオートレベリング機構)での補正量が大きくなり過ぎて、実際の露光領域が結像面に追従できない恐れがある。これを避けるためには、ウエハの走査速度を低くすればよいが、それでは露光工程のスループットが低下してしまう。
【0009】
更に、例えばウエハとウエハホルダとの間にレジスト残屑等の大きな異物が挟まれている場合にも、ウエハの表面の高さが大きく変化する。従って、異物が存在する領域での先読み情報をそのまま使用すると、フォーカス位置又は傾斜角の補正量が大きくなり過ぎて、実際の露光面が結像面に追従できない恐れがある。更に、異物が存在する領域では高さが部分的に大きく変化するため、その異物が存在する領域での先読み情報をそのまま使用すると、他の領域でのフォーカス位置又は傾斜角が実際の値から大きく外れてしまう恐れがある。
【0010】
本発明は斯かる点に鑑み、走査露光方式で露光する際に、走査速度を低くすることなく、ウエハ等の感光性の基板上の実際の露光領域を投影光学系の結像面に対して正確に合わせ込むと共に、感光性の基板表面の高さが大きく変化するような場合にも、全体としてオートフォーカス又はオートレベリングの追従精度を悪化させないようにすることを目的とする。
【0011】
更に、本発明は、例えばその基板の裏面等に大きな異物が存在して、その基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる走査露光方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査露光方法は、例えば図1〜図3に示すように、転写用のパターンが形成されたマスク(12)上の所定形状の照明領域を照明し、この照明領域内のパターンを投影光学系(8)を介して感光性の基板(5)上に投影し、その照明領域に対してマスク(12)を所定方向に走査するのと同期して基板(5)をその照明領域と共役な露光領域(24)に対して所定方向(±Y方向)に走査することにより、マスク(12)上のパターンを逐次基板(8)上に露光する方法において、例えば図10に示すように、その照明領域に共役な露光領域(24)に対してその走査方向に手前側でその走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点(AF21〜AF29)でその基板のその投影光学系の光軸方向の高さを先読みし、このように先読みされた高さに基づいてその露光領域内のその基板の高さ(フォーカス位置)を制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部がその投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さの制御を行うものである。
【0013】
この場合、その先読みされた高さに基づいて基板(5)の傾斜角の制御(レベリング)をも行い、その計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系(8)の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することが望ましい。
【0014】
また、その露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測するのと並行して、露光領域(24)内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25C)でも基板(5)の高さを計測し、それぞれの計測点で得られた計測結果に基づいてその基板の高さおよび傾斜角をそれぞれ制御することが望ましい。
【0015】
また、そのように先読みされた高さより基板(5)の表面の高さ分布を求め、この高さ分布より基板(5)の表面又は底面に付着している異物の検出を行うことが望ましい。
更に、基板(5)の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板(5)の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことが望ましい。
【0016】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することが望ましい。
更に、本発明の走査露光装置は、マスク(12)上の転写用のパターンの一部を投影光学系(8)を介して感光性の基板上の所定形状の露光領域(24)に投影し、そのマスクをその投影光学系に対して所定方向に走査するのと同期してその基板をその所定方向に対応する方向に走査することにより、そのマスクのパターンを逐次その基板上に転写露光する走査露光装置において、露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点(AF21〜AF29)で基板の投影光学系の光軸方向の高さを先読みするフォーカス位置検出系(60〜71A)と、該先読みされた高さに基づいて露光領域内の基板の高さを制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外して前記基板の高さの制御を行う制御系(22A)と、を有することを特徴とするものである。
【0017】
【作用】
斯かる本発明の走査露光方法及び装置によれば、マスク(12)及び基板(5)を同期して走査して基板(5)上にマスク(12)のパターン像を露光する際に、基板(5)上で走査方向に対して手前側の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測する。その後、先読み方式で高さが計測された領域がマスク(12)のパターン像の露光領域(24)に達した際に、先読みした高さに基づいてその領域の高さを設定する。これにより、走査露光方式でも走査速度を低くすることなく、基板(5)の露光面が投影光学系(8)の結像面にほぼ正確に合わせ込まれる。即ち、オートフォーカスが行われる。
【0018】
また、例えば図10に示すように、複数の計測点(AF21〜AF29)で先読みされた高さの一部が結像面(39)に対して所定の許容範囲を超えた外れた場合には、許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さの制御を行う。このことにより、基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる。また、オートフォーカスの制御量が急激に大きくなり全体として追従精度が悪化することもなくなる。一般に基板(5)上で高さが急激に変化する部分は、基板(5)の周辺部の露光に適さない部分であることが多いため、その部分での計測データを無視しても影響は少ない。
【0019】
次に、そのように基板(5)を走査しながら所定の計測点で高さを先読みすることにより、基板(5)上での非走査方向の傾斜角も検出でき、検出された傾斜角に基づいて基板(5)の傾斜角の制御(レベリング)をも行うことができる。この際にも、その計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系(8)の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することにより、オートレベリングを行うときの追従精度が全体として悪化することがなくなる。
【0020】
また、その照明領域と共役な露光領域(24)に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25D)で基板(5)の高さを計測するのと並行して、露光領域(24)内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点(25C)でも基板(5)の高さを計測する場合には、露光領域(24)内の計測データと先読みされた計測データとを用いて、より高精度にオートフォーカスが行われる。
【0021】
また、先読みされた高さより基板(5)の表面の高さ分布を求めると、基板(5)の表面又は底面に異物が付着している場合、その部分の高さが周辺部に対して大きく例えば凸状に変化する。従って、その高さ分布から異物の付着領域が検出できる。
更に、このように基板(5)の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板(5)の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことにより、周辺部が正確に結像面に合焦される。この場合、検出された異物が小さく、オートフォーカス又はオートレベリング機構で追従可能なときには、その異物に起因する凹凸情報を用いた方が合焦精度は高まることが予想される。そこで、追従可能な範囲の最大の大きさをその所定の大きさとして、追従できない大きさの異物の高さ情報を無視することにより、不要な合焦動作が防止できる。
【0022】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することによって異物の存在する位置が分かる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。本実施例は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置で露光を行う際に本発明を適用したものである。
図1は本実施例で使用される投影露光装置を示し、この図1において、図示省略された照明光学系からの露光光ELによる矩形の照明領域(以下、「スリット状の照明領域」という)によりレチクル12上のパターンが照明され、そのパターンの像が投影光学系8を介してウエハ5上に投影露光される。この際、図1の紙面に垂直な方向にY軸を取ると、露光光ELのスリット状の照明領域に対して、レチクル12が+Y方向(又は−Y方向)に一定速度Vで走査されるのに同期して、ウエハ5は−Y方向(又は+Y方向)に一定速度V・β(βは投影光学系8の投影倍率)で走査される。投影倍率βは例えば1/4、又は1/5である。
【0024】
レチクル12及びウエハ5の駆動系について説明するに、レチクル支持台9上にY軸方向に移動自在にレチクルY駆動ステージ10が載置され、このレチクルY駆動ステージ10上にレチクル微小駆動ステージ11が載置され、レチクル微小駆動ステージ11上にレチクル12が真空チャック等により保持されている。レチクル微小駆動ステージ11は、投影光学系8の光軸に垂直な面内で図1の紙面に平行なX方向、Y方向及び回転方向(θ方向)にそれぞれ微小量だけ且つ高精度にレチクル12の位置制御を行う。レチクル微小駆動ステージ11上には移動鏡21が配置され、レチクル支持台9上に配置された干渉計14によって、常時レチクル微小駆動ステージ11のX方向、Y方向及びθ方向の位置がモニターされている。干渉計14により得られた位置情報S1が主制御系22Aに供給されている。
【0025】
一方、ウエハ支持台1上には、Y軸方向に移動自在にウエハY軸駆動ステージ2が載置され、その上にX軸方向に移動自在にウエハX軸駆動ステージ3が載置され、その上にZレベリングステージ4が設けられ、このZレベリングステージ4上にウエハ5が真空吸着によって保持されている。Zレベリングステージ4上にも移動鏡7が固定され、外部に配置された干渉計13により、Zレベリングステージ4のX方向、Y方向及びθ方向の位置がモニターされ、干渉計13により得られた位置情報も主制御系22Aに供給されている。主制御系22Aは、ウエハ駆動装置22B等を介してウエハY軸駆動ステージ2、ウエハX軸駆動ステージ3及びZレベリングステージ4の位置決め動作を制御すると共に、装置全体の動作を制御する。
【0026】
また、ウエハ側の干渉計13によって計測される座標により規定されるウエハ座標系と、レチクル側の干渉計14によって計測される座標により規定されるレチクル座標系の対応をとるために、Zレベリングステージ4上のウエハ5の近傍に基準マーク板6が固定されている。この基準マーク板6上には各種基準マークが形成されている。これらの基準マークの中にはZレベリングステージ4側に導かれた照明光により裏側から照明されている基準マーク、即ち発光性の基準マークも設けられている。
【0027】
本例のレチクル12の上方には、基準マーク板6上の基準マークとレチクル12上のマークとを同時に観察するためのレチクルアライメント顕微鏡19及び20が装備されている。この場合、レチクル12からの検出光をそれぞれレチクルアライメント顕微鏡19及び20に導くための偏向ミラー15及び16が移動自在に配置され、露光シーケンスが開始されると、主制御系22Aからの指令のもとで、ミラー駆動装置17及び18によりそれぞれ偏向ミラー15及び16は露光光ELの光路外に退避される。
【0028】
図1の走査露光方式の投影露光装置には、斜め入射型の多点フォーカス位置検出系が装着されている。本例の多点フォーカス位置検出系は、露光領域内、及び露光領域に対して走査方向に手前側でそれぞれウエハのフォーカス位置(投影光学系8の光軸方向の位置)を検出する先読み方式である。
図2は本実施例の多点フォーカス位置検出系の光学系を示し、この図2において、レチクル12上のパターン形成面(レチクル面)とウエハ5の露光面とは投影光学系8に関して共役になっている必要があるが、レチクル面はあまり変動しない。そこで、斜め入射型の多点のフォーカス位置検出系によってウエハ5の露光面が投影光学系8の結像面に焦点深度の範囲内で合致しているかどうか(合焦しているかどうか)のみを検出し、この検出結果に基づいてウエハ5の露光面のフォーカス位置及び傾斜角の制御を行う。
【0029】
多点のフォーカス位置検出系において、露光光ELとは異なりウエハ5上のフォトレジストを感光させない照明光が、図示省略された照明光源から光ファイバ束60を介して導かれている。光ファイバ束60から射出された照明光は、集光レンズ61を経てパターン形成板62Aを照明する。パターン形成板62Aを透過した照明光は、レンズ63、ミラー64及び照射対物レンズ65を経てウエハ5の露光面に投影され、ウエハ5の露光面にはパターン形成板62A上のパターンの像が投影光学系8の光軸AX1に対して斜めに投影結像される。ウエハ5で反射された照明光は、集光対物レンズ66、回転方向振動板67及び結像レンズ68を経て受光器69Aの受光面に再投影され、受光器69Aの受光面には、パターン形成板62A上のパターンの像が再結像される。この場合、主制御系22Aは加振装置70を介して回転方向振動板67に後述のような振動を与え、受光器69Aの多数の受光素子からの検出信号が信号処理装置71Aに供給され、信号処理装置71Aは、各検出信号を加振装置70の駆動信号で同期検波して得た多数のフォーカス信号を主制御系22Aに供給する。
【0030】
図3(b)は、図2の本例のパターン形成板62Aを示し、図3(b)に示すように、パターン形成板62Aの第1列目には9個のスリット状の開口パターン72−11〜72−19が形成され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の開口パターン72−21〜72−59が形成されている。即ち、パターン形成板62Aには、合計で45個のスリット状の開口パターンが形成されており、これらのスリット状の開口パターンの像が図2のウエハ5の露光面上にX軸及びY軸に対して斜めに投影される。
【0031】
図3(a)は、本例の投影光学系8の下方のウエハ5の露光面を示し、この図3(a)において、投影光学系8の円形の照明視野23に内接するX方向に長い矩形の露光フィールド24内に図2のレチクル12のパターンが露光され、この露光フィールド24に対してY方向にウエハ5が走査(スキャン)される。本例の多点フォーカス位置検出系により、露光フィールド24のY方向の上側のX方向に伸びた第1列の9個の計測点AF11〜AF19よりなる先読み領域25A、第2列の計測点AF21〜AF29よりなる先読み領域25B、露光フィールド24内の第3列の計測点AF31〜AF39よりなる計測領域25C、露光フィールド24のY方向の下側の第4列の計測点AF41〜AF49よりなる先読み領域25D、及び第5列の計測点AF51〜AF59よりなる先読み領域25Eにそれぞれスリット状の開口パターンの像が投影される。
【0032】
図3(c)は、本例の多点フォーカス位置検出系の受光器69Aを示し、この受光器69A上の第1列目には9個の受光素子75−11〜75−19が配置され、第2列目〜第5列目にもそれぞれ9個の受光素子75−21〜75−59が配置されている。即ち、受光器69Aには、合計で45個の受光素子が配列されており、各受光素子上にはスリット状の絞り(図示省略)が配置されている。また、それら受光素子75−11〜75−59上にそれぞれ図3(a)の計測点AF11〜AF59に投影されたスリット状の開口パターンの像が再結像される。各受光素子75−11〜75−59の検出信号は信号処理装置71Aに供給されている。そして、ウエハ5の露光面で反射された光を、図2の回転方向振動板67で振動することで、受光器69A上では再結像された各像の位置が絞りの幅方向であるRD方向に振動する。
【0033】
また、図3(a)の各計測点AF11〜AF59上のスリット状の開口の像は、投影光学系8の光軸に対して斜めに投影されているため、ウエハ5の露光面のフォーカス位置が変化すると、それら投影像の受光器69A上での再結像位置はRD方向に変化する。従って、信号処理装置71A内で、各受光素子75−11〜75−59の検出信号をそれぞれ回転方向振動板67の加振信号で同期検波することで、計測点AF11〜AF59のフォーカス位置にそれぞれ対応する45個のフォーカス信号が得られる。これら45個のフォーカス信号の内の所定のフォーカス信号より後述のように、ウエハの露光面の傾斜角(レベリング角)及び平均的なフォーカス位置を算出する。これら計測されたレベリング角及びフォーカス位置は図2の主制御系22Aに供給され、主制御系22Aは、その供給されたレベリング角及びフォーカス位置に基づいて駆動装置22B及びZレベリングステージ4を介してウエハ5のレベリング角及びフォーカス位置の設定を行う。
【0034】
従って、本例では図3(a)に示す45個の全ての計測点AF11〜AF59のフォーカス位置を計測することができる。但し、本例では、図4に示すように、ウエハのスキャン方向に応じてそれら45個の計測点中で実際にフォーカス位置を計測する点(以下、「サンプル点」という)の位置を変えている。また、本実施例では、先読み領域25A若しくは25B(又は25E若しくは25D)のみでフォーカス位置の先読みを行う「先読みモード」と、それら先読み領域の他に露光フィールド24内の計測領域25Cでもフォーカス位置を計測する「分割先読みモード」とを有している。先ず、単純な先読みモードでは、例えばウエハを−Y方向に走査するときには、先読み領域25D内の全ての計測点AF41〜AF49をサンプル点として計測を行う。逆に、ウエハを+Y方向に走査する際には、先読み領域25B(又は25A)内の計測点がサンプル点となる。なお、露光フィールド24のY方向の幅が広く、先読み領域25D(又は25B)が露光フィールド24に近づき過ぎた場合や、ウエハの走査速度が速いような場合には、それよりも走査方向に手前側の先読み領域25E(又は25A)内の計測点をサンプル点とすることがある。これは以下の分割先読みモードでも同様である。
【0035】
次に、分割先読みモードでは、図4(a)に示すように、露光フィールド24に対して+Y方向にウエハをスキャンする場合には、先読み領域25B中の奇数番目の計測点AF21,AF23,‥‥,AF29、及び露光フィールド24内の計測領域25C中の偶数番目の計測点AF32,AF34,‥‥,AF38がサンプル点となる。逆に、図4(b)に示すように、露光フィールド24に対して−Y方向にウエハをスキャンする場合には、先読み領域25D中の奇数番目の計測点AF41,AF43,‥‥,AF49、及び露光フィールド24内の計測領域25C中の偶数番目の計測点AF32,AF34,‥‥,AF38がサンプル点となる。
【0036】
更に、先読みモード、及び分割先読みモードの何れでも、走査露光時のフォーカス位置の計測結果は、ウエハ側のステージの移動座標に応じて逐次変化していくため、それらフォーカス位置の計測結果は、ステージのスキャン方向(Y方向)の座標及び非スキャン方向(X方向)の計測点の座標よりなる2次元のマップとして図1の主制御系22内の記憶部に記憶される。このように記憶された計測結果を用いて、露光時のウエハのフォーカス位置及びレベリング角が算出される。そして、際に図1のZレベリングステージ4を駆動してウエハの露光面のフォーカス位置及びレベリング角を設定する場合は、計測結果に従ってオープンループ制御によりZレベリングステージ4の動作が制御される。
【0037】
なお、レチクル及びウエハの走査速度は常に一定ではなく、ウエハ上のフォトレジストの感度等に応じて変更される。このように走査速度が変更される場合には、以下のようなデータ処理を行うことが望ましい。即ち、先ず、先読みモード、及び分割先読みモードの何れでも、走査露光時のフォーカス位置の計測結果(計測データ)は、ウエハ側のステージの移動に同期して所定のサンプリング周波数で、主制御系22A内のバッファメモリ内のアドレスに順次記憶される。また、図1の主制御系22A内には、ウエハ側のステージの走査速度VW 、及び先読み領域の中心から露光フィールドの中心までの走査方向の間隔Gscの情報が供給されている。そして、走査露光の開始後に、実際に図1のZレベリングステージ4を駆動してウエハの露光面のフォーカス位置及びレベリング角を設定する場合は、主制御系22Aでは、内部のバッファメモリ内で現在先読みデータが格納されるアドレスに対して、(間隔Gsc/走査速度VW )で表される時間だけ前に読み込まれた計測結果を読み出し、このように読み出した結果を用いてオープンループ制御によりZレベリングステージ4の動作を制御する。これにより、走査速度が変化しても正確に合焦が行われる。
【0038】
この場合、先読みモードでは、予め計測された結果に基づいて露光フィールド24内での露光が行われる。即ち、図5(a)に示すように、例えばウエハを+Y方向に走査するときには、第2列の先読み領域25B中の所定のサンプル点でウエハ上の領域26のフォーカス位置の計測が行われ、その後図5(b)に示すようにウエハ上の領域26が露光フィールド24内に達したときに、図5(a)での計測結果に基づいて、ウエハ上の領域26のフォーカシング及びレベリング制御が行われる。一方、分割先読みモードでは、その領域26のフォーカシング及びレベリング制御を行う際に、図4(a)及び(b)に示したように、露光フィールド24内の計測領域25C中のサンプル点、即ちその領域26で露光中に計測されるフォーカス位置のデータも合わせて使用される。この分割先読みモードでは、露光フィールド24内の計測領域25Cでの計測データは追従誤差(ウエハの露光面と投影光学系の結像面との姿勢の差分)の補正用として使用される。
【0039】
図6は本例のZレベリングステージ4及びこの制御系を示し、この図5において、Zレベリングステージ4の上面部材は下面部材上に3個の支点28A〜28Cを介して支持されており、各支点28A〜28Cはそれぞれフォーカス方向(Z方向)に伸縮自在になっている。各支点28A〜28Cの伸縮量を調整することにより、Zレベリングステージ4上のウエハ5の露光面のフォーカス位置、スキャン方向の傾斜角θY 及び非スキャン方向の傾斜角θX を所望の値に設定することができる。各支点28A〜28Cの近傍にはそれぞれ、各支点のフォーカス方向の変位量を例えば0.01μm程度の分解能で計測できる高さセンサー29A〜29Cが取り付けられている。なお、フォーカス方向(Z方向)への位置決め機構として、よりストロークの長い高精度な機構を別に設けても良い。
【0040】
Zレベリングステージ4のレベリング動作を制御するために、主制御系22Aはフィルタ部30A及び30Bにそれぞれ刻々に変化する非スキャン方向の設定すべき傾斜角θX 及びスキャン方向の設定すべき傾斜角θY を供給する。フィルタ部30A及び30Bはそれぞれ異なるフィルタ特性でフィルタリングして得られた傾斜角を演算部31に供給し、主制御系22Aは演算部31にはウエハ5上の露光対象とする領域の座標W(X,Y)を供給する。更に、不図示の信号ラインを介して主制御系22Aは、演算部31に対してウエハの露光面の設定すべきフォーカス位置の情報をも供給する。演算部31は、座標W(X,Y)、フォーカス位置、及び2つの傾斜角に基づいて駆動部32A〜32Cに設定すべき変位量の情報を供給する。各駆動部32A〜32Cにはそれぞれ高さセンサー29A〜29Cから支点29A〜29Cの現在の高さの情報も供給され、各駆動部32A〜32Cはそれぞれ支点29A〜29Cの高さを演算部31に設定された高さに設定する。
【0041】
これにより、ウエハ5の露光面のスキャン方向の傾斜角及び非スキャン方向の傾斜角がそれぞれ所望の値に設定される。
また、支点28A,28B及び28Cが配置されている位置をそれぞれ駆動点TL1,TL2及びTL3と呼ぶと、駆動点TL1及びTL2はY軸に平行な1直線上に配置され、駆動点TL3は駆動点TL1とTL2との垂直2等分線上に位置している。そして、投影光学系によるスリット状の露光フィールド24が、ウエハ5上のショット領域SAij上に位置しているものとすると、本例では、支点28A〜28Cを介してウエハ5のレベリング制御を行う際に、そのショット領域SAijのフォーカス位置は変化しない。従って、レベリング制御とフォーカス制御とが分離した形で行われるようになっている。また、ウエハ5の露光面のフォーカス位置の設定は、3個の支点28A〜28Cを同じ量だけ変位させることにより行われる。
【0042】
次に、本例のレベリング動作及びフォーカシング動作につき詳細に説明する。先ず、レベリング用の傾斜角及びフォーカシング用のフォーカス位置の算出法を示す。
(A)傾斜角の算出法
図5に示すように、各列の計測点において非スキャン方向のm番目のサンプル点のX座標をXm 、スキャン方向のn番目のサンプル点のY座標をYn として、X座標Xm 及びY座標Yn のサンプル点で計測されたフォーカス位置の値をAF(Xm ,Yn )で表す。また、非スキャン方向のサンプル数をM、スキャン方向のサンプル数をNとして、次の演算を行う。但し、和演算Σm は添字mに関する1〜Mまでの和を表す。
【0043】
SX=Σm Xm ,SX2=Σm Xm 2,SMZ=Σm AF(Xm ,Yn ),
SXZ=Σm (AF(Xm ,Yn )・Xm ) (1)
同様に、和演算Σn が添字nに関する1〜Nまでの和を表すものとして、次の演算を行う。
SY=Σn Yn ,SY2=Σn Yn 2,SNZ=Σn AF(Xm ,Yn ),
SYZ=Σn (AF(Xm ,Yn )・Yn ) (2)
そして、(1)式及び(2)式を用いて次の演算を行う。
【0044】
An=(SX・SMZ−M・SXZ)/(SX2−M・SX2) (3)
Am=(SY・SNZ−N・SYZ)/(SY2−N・SY2) (4)
次に、各Anより、最小自乗近似によりスキャン方向のn番目のサンプル点における非スキャン方向(X方向)の傾斜角AL(Yn )を求め、各Amより、最小自乗近似により非スキャン方向のm番目のサンプル点におけるスキャン方向(Y方向)の傾斜角AL(Xm )を求める。その後、次のような平均化処理により非スキャン方向の傾斜角θX 及びスキャン方向の傾斜角θY を求める。
【0045】
θX =(Σn AL(Yn ))/N (5)
θY =(Σm AL(Xm ))/M (6)
(B)フォーカス位置算出法
フォーカス位置の算出法には平均化処理法と最大最小検出法とがあり、本例では最大最小検出法でフォーカス位置を算出する。参考のため、平均化処理法では、上述のフォーカス位置の値AF(Xm ,Yn )を用いて、次式よりウエハ5の露光面の全体としてのフォーカス位置〈AF〉を計算する。
【0046】
〈AF〉=(Σn Σm AF(Xm ,Yn ))/(M・N) (7)
次に、最大最小検出法では、最大値及び最小値を表す関数をそれぞれMax( )及びMin( )として、次式よりウエハ5の露光面の全体としてのフォーカス位置AF′を計算する。
AF′=(Max(AF(Xm ,Yn ))+Min(AF(Xm ,Yn )) (8)
そして、図5(b)に示すように、計測された領域26が露光フィールド24に達したときには、(5)式、(6)式、(8)式の検出結果θX ,θY 及びAF′に基づいて、図6の3個の支点28A〜28Cがそれぞれ高さセンサー29A〜29Cの計測結果を基準としてオープンループで駆動される。具体的に、オートフォーカス制御は、3個の支点28A〜28Cを同時に駆動することにより実行され、オートレベリング制御は、図6に示す露光フィールド24内のフォーカス位置が変化しないように実行される。
【0047】
即ち、図6において、露光フィールド24の中心点と支点28A,28BのX方向の間隔をX1 、露光フィールド24の中心点と支点28CのX方向の間隔をX2 、露光フィールド24の中心点と支点28AのY方向の間隔をY1 、露光フィールド24の中心点と支点28BのY方向の間隔をY2 として、非スキャン方向の傾斜角θX の結果に基づき、支点28A,28Bと支点28CとにそれぞれX1 :X2 の比で逆方向の変位が与えられ、スキャン方向の傾斜角θY の結果に基づき、支点28Aと支点28BとにそれぞれY1 :Y2 の比で逆方向の変位が与えられる。
【0048】
次に、本実施例における露光動作の一例につき図7〜図9を参照して説明する。先ず、図7は、本実施例のウエハ5のショット配列を示し、この図7において、ウエハ5上にX方向及びY方向にそれぞれ所定ピッチでショット領域SA1,SA2,…,SA20が配列されている。1層目への露光を行う際にはショット領域SA1〜SA20は仮想的なものであり、2層目への露光を行う際にはショット領域SA1〜SA20には既にそれぞれ同一又は異なる回路パターンが形成されている。
【0049】
そして、先ず第1のショット領域SA1に露光を行う際には、露光フィールド24に対してウエハ5をY方向に走査し、それに同期してレチクル12(図1参照)を−Y方向に走査する。この結果、ウエハ5に対して相対的に露光フィールド24は軌跡33Aに沿って移動する。この際に、分割先読みモードでは、先読み領域25D、及び露光フィールド24内の計測領域25C内の所定の計測点でフォーカス位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハ5のフォーカシング及びレベリングが実行される。但し、そのショット領域SA1は、ウエハ5の周辺部にあるため、実測されたフォーカス位置のデータをそのまま使用すると、フォーカス位置、及びレベリング角の補正量が大きくなり過ぎて追従精度が悪化する。そのため、以下のように実測されたフォーカス位置のデータが所定の許容値から外れたときには、そのデータを無視するようにしている。
【0050】
即ち、図8(a)は、ショット領域SA1への露光を開始するために、ウエハ5のY方向への走査を開始した直後の状態を示し、この図8(a)において、露光フィールド24及び先読み領域25Dは、ウエハ5の周辺部の薄い部分(ウエハ5に塗布されたフォトレジスト層の膜厚が大きく変化する周辺領域)に位置している。また、本例の多点フォーカス位置検出系では、予め計測点においてその仮想的な基準面が投影光学系8の結像面と一致している、すなわちウエハ5の露光面(例えば表面)が投影光学系8の結像面に合致しているときに、検出されるフォーカス位置が0になるようにキャリブレーションが行われているものとする。このとき、先読み領域25D(ウエハ5の表面)で計測されるフォーカス位置ΔZは、そのまま結像面39のフォーカス位置からの差分を表しており、そのフォーカス位置ΔZはかなり大きな値となる。そこで、本実施例では、予め許容値Δmaxを定め、その計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値がその許容値Δmaxを超える場合には、そのフォーカス位置ΔZを無視する。具体的に、ショット領域SA1への露光を行う前に、ショット領域SA1の例えば中央部でフォーカス位置を計測しておき、図8(a)の状態では計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値がその許容値Δmaxを超えるものとすると、図8(a)の状態ではその予め計測されたフォーカス位置のデータに基づいてZレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角を制御する。
【0051】
その後、ウエハ5を更に+Y方向に走査して図8(b)のように、先読み領域25Dがショット領域SA1にかかると、計測されるフォーカス位置の絶対値は許容値Δmax以下になるため、その実測されたフォーカス位置に基づいて、Zレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角を制御する。これにより、図8(a)の状態から図8(b)の状態に移行する過程で、ウエハ5のフォーカス位置又はレベリング角(傾斜角)が大きく変動することがなくなるため、図8(b)の状態からショット領域SA1に露光を開始する際に、ショット領域SA1の露光面は正確に結像面に合わせ込まれる。従って、ウエハ5の走査速度を低くすることなく、オートフォーカス及びオートレベリングの追従精度が良好であり、ショット領域SA1の全面に高い解像度でレチクルのパターンが露光される。
【0052】
次に、図7において、ショット領域SA1への露光終了後に隣のショット領域SA2への露光を行う際には、図1のウエハX軸駆動ステージ3を介してウエハ5を−X方向にステッピングさせる。これにより、露光フィールド24はウエハ5に対して+X方向に移動して、ショット領域SA2への走査開始位置に至る。その状態から、露光フィールド24に対してウエハ5を−Y方向に走査し、それに同期してレチクル12(図1参照)を+Y方向に走査する。この結果、ウエハ5に対して相対的に露光フィールド24は軌跡33Bに沿って移動する。この際に、分割先読みモードでは、先読み領域25B、及び露光フィールド24内の計測領域25C内の所定の計測点でフォーカス位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハ5のフォーカシング及びレベリングが実行される。但し、そのショット領域SA2も、ウエハ5の周辺部にあるため、実測されたフォーカス位置のデータをそのまま使用すると、フォーカス位置、及びレベリング角の補正量が大きくなり過ぎて追従精度が悪化する恐れがある。そのため、以下のようにしている。
【0053】
即ち、図9(a)は、ショット領域SA2の中央部への露光を行っている状態を示し、この図9(a)において、先読み領域25Bでのフォーカス位置の計測結果の結像面からのずれ量は許容値以内であるため、計測結果に基づいてオートフォーカス及びオートレベリングが行われる。
ところが、その後ウエハ5が更に−Y方向に走査されて、図9(b)に示すように、先読み領域25Bがウエハ5の周辺部の薄い部分に移動すると、先読み領域25Bで計測されるフォーカス位置ΔZ(即ち、結像面からのずれ量)の絶対値は上述の許容値Δmaxを超えてしまう。そこで、先読み領域25Bで計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値が許容値Δmaxを超えたときには、そのフォーカス位置ΔZのデータを無視して、Zレベリングステージ4のフォーカス位置、及びレベリング角をそれまでに設定されていた値に維持して露光を行う。
【0054】
但し、図9(b)の状態で、先読み領域25Bで計測されたフォーカス位置ΔZの絶対値が許容値Δmaxを超えるのは、回路パターンが露光されないウエハ5の周辺部であると共に、先読みされたデータが実際に使用されるまでは時間遅れがあるため、ショット領域SA2への露光に関しては絶対値が許容値Δmaxを超えるデータを無視しても殆ど影響はない。しかしながら、このように絶対値が許容値Δmaxを超えるデータを無視することにより、図9(b)の状態からZレベリングステージ4のフォーカス位置及びレベリング角が大きく変化することがなくなる。即ち、Zレベリングステージ4の無駄な動作がなくなり、制御系の安定性が高まる利点がある。
【0055】
図7に戻り、その後同様にしてウエハ5上のショット領域SA3〜SA20への走査露光が行われる。また、各ショット領域SA3〜SA20に対する露光フィールド24の相対的な走査方向をそれぞれ矢印で示す。この場合、中央部のショット領域SA3〜SA18では先読み領域での計測データをそのまま使用してオートフォーカス及びオートレベリングが実行されるが、周辺部のショット領域SA19,SA20では、部分的に先読み領域での計測データが無視される。これにより、ウエハ5の各ショット領域をそれぞれ結像面に合わせ込んだ状態で、且つZレベリングステージ4が無駄な動きをすることなく効率的に走査露光方式での露光が行われる。
【0056】
なお、図7ではウエハ上の走査方向に対して周辺部のショット領域への露光を行う場合について説明したが、ウエハ上の非走査方向(X方向)に対して周辺部のショット領域への露光を行う場合につき、図10を参照して説明する。
図10は、ウエハ5上のX方向のエッジ部に近接して配置されたショット領域SAを示し、この図10において、ショット領域SAを露光フィールド24に対して+Y方向(紙面内右方向)に走査することによりショット領域SAへの露光が行われる。従って、分割先読みモードでは、露光フィールド24の手前側の先読み領域25B内の計測点AF21,AF23,…,AF29で計測されたフォーカス位置のデータ、及び露光フィールド24内の計測領域の計測点で計測されたフォーカス位置のデータが使用される。
【0057】
また、図10では、ショット領域SAの走査方向の両端部がウエハ5からはみ出しているものとする。このような場合でも、例えばショット領域SA内に2個の同じ回路パターン34A及び34Bが形成されるときには、回路パターン34Aの部分だけは正常に露光されるため、ショット領域SAの全体が無駄になることはない。しかしながら、露光フィールド24に対してショット領域SAを+Y方向に走査すると、先読み領域25B内の端部の計測点AF21でのフォーカス位置の絶対値は、初期位置35Aでは許容値Δmaxを超え、中間の位置35Bでは許容値Δmax以内となり、走査終了に近い位置35Cでは再び許容値Δmaxを超えてしまう。即ち、計測点AF21でのフォーカス位置の絶対値は、Y方向の両端の区間ΔY1及びΔY3では許容値Δmaxを超え、中央の区間ΔY2では許容値Δmax以内となる。
【0058】
そこで、このような場合には、区間ΔY1及びΔY3での計測データを使用するときには計測点AF21での計測データを無視し、区間ΔY2での計測データを使用するときには計測点AF21での計測データも使用するようにする。これにより、ショット領域SAのフォーカス位置及び傾斜角が、ウエハ5の周辺部の露光に適さない領域の計測データによって誤った値に設定されることが防止され、少なくとも回路パターン34Aの領域には高い解像度でレチクルのパターンが露光される。
【0059】
更に、先読み領域の計測点での計測値がウエハ周辺部の欠けショット(図10のショット領域SAのようなショット領域)で許容値Δmaxを超えた場合だけでなく、ウエハの内部についても計測値について許容値(閾値)を設定してもよい。
つまり、露光領域中にはプロセス段差以外に、例えばウエハの裏面のレジスト残屑のような異物に起因するZレベリングステージ4では追従できないような大きさの凹凸が存在する場合があり、このような場合、先読み領域内の計測値の一部にフォーカス位置の特異的な大きな変動として現れる。例えば図10において、ショット領域SAの裏面に異物Qが付着していると、区間ΔY1内で先読み領域25B内の計測点AF23での計測値が大きく変動し、この計測値をそのまま使用すると、Zレベリングステージ4では追従できないためにその異物Qの付着領域の近くの領域が合焦されなくなる。そこで、本例では、ウエハの内部において先読み領域内の1つ又は複数個の計測点でのフォーカス位置の計測値が、所定の許容値を超えたとき、所定の大きさを超える異物がウエハ裏面にあると認識すると共に、主制御系22A内のバッファメモリに、異物が存在するウエハ上の位置の座標(又は異物が存在するショット領域の位置)、及びそのときのフォーカス位置の変動量を記憶する。
【0060】
また、この際のフォーカス位置の変動量としては、Z方向のみの変位を用いてもよいが、ウエハステージの移動に伴うフォーカス位置の変化量を用いてもよい。
そして、このフォーカス位置の変動量が局所的な変化の場合は、一例としてその異物が存在する位置でのフォーカス位置の計測値を、高さ及び傾斜角の制御情報としては除外する。その局所的な変化とはZレベリングステージ4の追従性能から判断され、Zレベリングステージ4の追従応答以上のフォーカス変化量のみを無視するのが最もよい。
【0061】
また、主制御系22A内に格納された異物情報はウエハの露光終了時に付属のCRTディスプレイ上に異物マップとして表示してもよい。また、オンライン回線を用いてホストコンピュータ上に異物情報を送り、異物情報をオンライン回線上のホストコンピュータで管理してもよい。
なお、上述実施例においては、ウエハの露光面の多点のフォーカス位置を計測するために、2次元的に配列されたスリット状の開口パターン像をウエハ上に投影する多点フォーカス位置検出系が使用されている。しかしながら、その代わりに、例えばウエハ上の1列の先読み領域に対しては、非スキャン方向に細長いスリット状になっているパターンの像を投影し、その非スキャン方向の全体のフォーカス位置を計測するフォーカス位置検出系を使用しても良い。また、明暗パターンを投影してそのパターン像の横ずれ量を検出する画像処理方式のフォーカス位置検出系を用いて、ウエハの露光面上の2次元的なフォーカス位置の分布を計測する場合でも、上述実施例と同様の分割先読み等を適用することにより、高精度なフォーカシング及びレベリングを行うことができる。
【0062】
なお、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0063】
【発明の効果】
本発明の走査露光方法及び走査露光装置によれば、基板の表面の高さが部分的に大きく変化しているような場合でも、それ以外の部分をその結像面にほぼ正確に合わせ込むことができる。また、計測された複数の計測点での高さの一部が投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外してその基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することにより、オートレベリングを行うときの追従精度が全体として悪化することがなくなる。
【0064】
また、照明領域と共役な露光領域に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点で基板の高さを計測するのと並行して、露光領域内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点でも基板の高さを計測する場合には、露光領域内の計測データと先読みされた計測データとを用いて、より高精度にオートフォーカスが行われる。
【0065】
また、先読みされた高さより基板の表面の高さ分布を求めると、基板の表面又は底面に異物が付着している場合、その部分の高さが周辺部に対して大きく例えば凸状に変化する。従って、その高さ分布から異物の付着領域が検出できる。
更に、このように基板の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、その異物の付着位置で先読みされた高さの情報を基板の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことにより、周辺部が正確に結像面に合焦される。この場合、検出された異物が小さく、オートフォーカス又はオートレベリング機構で追従可能なときには、その異物に起因する凹凸情報を用いた方が合焦精度は高まることが予想される。そこで、追従可能な範囲の最大の大きさをその所定の大きさとして、追従できない大きさの異物の高さ情報を無視することにより、不要な合焦動作が防止できる。
【0066】
また、検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することによって異物の存在する位置が分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による走査露光方法の一実施例が適用される投影露光装置を示す構成図である。
【図2】 図1の投影露光装置の多点フォーカス位置検出系の光学系を示す構成図である。
【図3】 (a)は実施例において投影光学系による露光フィールドを含む領域に2次元的な配列で投影されたスリット状の開口パターン像を示す平面図、(b)は多点フォーカス位置検出系のパターン形成板上の開口パターンを示す図、(c)は受光器上の受光素子の配列を示す図である。
【図4】 (a)は実施例で分割先読みを行う場合のサンプル点を示す図、(b)は逆方向にスキャンする場合で且つ分割先読みを行う場合のサンプル点を示す図である。
【図5】 先読みしたフォーカス位置を用いて露光を行う場合を示す説明図である。
【図6】 実施例のオートフォーカス及びオートレベリング用の機構並びにその制御部を示す構成図である。
【図7】 ウエハ上のショット配列の一例を示す平面図である。
【図8】 分割先読み方式でショット領域SA1に露光を行う場合の動作の説明に供する要部の拡大断面図である。
【図9】 分割先読み方式でショット領域SA2に露光を行う場合の動作の説明に供する要部の拡大断面図である。
【図10】 ウエハ5上の非走査方向のエッジ部に近いショット領域に露光を行う場合の説明に供するウエハの部分拡大平面図である。
【符号の説明】
2 ウエハY軸駆動ステージ
4 Zレベリングステージ
5 ウエハ
8 投影光学系
10 レチクルY駆動ステージ
12 レチクル
22A 主制御系
24 スリット状の露光フィールド
25A,25B,25D,25E 先読み領域
25C 計測領域
62A パターン形成板
69A 受光器
71A 信号処理装置
AF11〜AF59 計測点
SA1〜SA20 ショット領域
Claims (7)
- マスク上の転写用のパターンの一部を投影光学系を介して感光性の基板上の所定形状の露光領域に投影し、前記マスクを前記投影光学系に対して所定方向に走査するのと同期して前記基板を前記所定方向に対応する方向に走査することにより、前記マスクのパターンを逐次前記基板上に転写露光する走査露光方法において、
前記露光領域に対して前記走査方向に手前側で前記走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点で前記基板の前記投影光学系の光軸方向の高さを先読みし、
該先読みされた高さに基づいて前記露光領域内の前記基板の高さを制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部が前記投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外して前記基板の高さの制御を行うことを特徴とする走査露光方法。 - 前記先読みされた高さに基づいて前記基板の傾斜角の制御をも行い、前記計測された複数の計測点での高さの一部が前記投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外して前記基板の高さ及び傾斜角をそれぞれそれ制御することを特徴とする請求項1記載の走査露光方法。
- 前記露光領域内に対して走査方向に手前側で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点で前記基板の高さを計測するのと並行して、前記露光領域内で走査方向に交差する方向に配列された一列の計測点で前記基板の高さを計測し、
前記それぞれの計測点で得られた計測結果に基づいて前記基板の高さおよび傾斜角をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の走査露光方法。 - 前記先読みされた高さより前記基板の表面の高さ分布を求め、該高さ分布より前記基板の表面又は底面に付着している異物の検出を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の走査露光方法。
- 前記基板の表面又は底面に所定の大きさを超える異物が付着していると判定されたときに、前記異物の付着位置で先読みされた高さの情報を前記基板の高さ又は傾斜角の制御情報として使用しないことを特徴とする請求項4記載の走査露光方法。
- 前記検出された異物情報を、ディスプレイ上に異物マップとして表示することを特徴とする請求項4又は5に記載の走査露光方法。
- マスク上の転写用のパターンの一部を投影光学系を介して感光性の基板上の所定形状の露光領域に投影し、前記マスクを前記投影光学系に対して所定方向に走査するのと同期して前記基板を前記所定方向に対応する方向に走査することにより、前記マスクのパターンを逐次前記基板上に転写露光する走査露光装置において、
前記露光領域に対して前記走査方向に手前側で前記走査方向に交差する方向に配列された複数の計測点で前記基板の前記投影光学系の光軸方向の高さを先読みするフォーカス位置検出系と、
該先読みされた高さに基づいて前記露光領域内の前記基板の高さを制御するに際して、該計測された複数の計測点での高さの一部が前記投影光学系の結像面に対して所定の許容範囲を超えて外れたときに、該許容範囲を外れた高さのデータを除外して前記基板の高さの制御を行う制御系と、
を有することを特徴とする走査露光装置。
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