JP3778882B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーマチャが軸方向へ駆動される電磁アクチュエータに関し、例えば燃料噴射装置のインジェクタに用いて好適な技術である。
【0002】
【従来の技術】
可動子の駆動力を大きくするには、アーマチャの吸引力を高めるためにステータの有効磁路面積、あるいはアーマチャの磁路面積を大きくする必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ステータあるいはアーマチャの有効磁路面積を大きくすると、電磁コイルのON-OFF時に発生する渦電流損失が大きくなるため、応答性が悪化してしまう。
応答性を高めるために、応答性に大きく作用するステータやアーマチャの材料に焼結磁性材を用いる提案が成されている。焼結磁性材は、図12に示すように、絶縁皮膜(例えば、酸化物等)で覆われた磁性体金属粉(例えば、鉄粉等)と樹脂との複合材であり、これらを圧縮して所定の形状(ステータ形状やアーマチャ形状)に作成したものである。
【0004】
この焼結磁性材は、渦電流の発生が少ないという利点がある反面、強度や硬度が小さく、且つ脆いという欠点がある。
このため、ステータがアーマチャを吸引して、アーマチャがステータに衝突した衝突エネルギーによって焼結磁性材製のステータやアーマチャが破損する可能性があった。
【0005】
上記の不具合を、燃料噴射装置を例に説明する。
例えば、ディーゼルエンジン用のコモンレール式燃料噴射装置では、一般にインジェクタ(燃料噴射弁)として電磁式が用いられる。従来のインジェクタは、弁体の背面に設けた圧力制御室に高圧燃料を導入し、この圧力制御室の高圧燃料を噴射毎に低圧側にリークさせることで弁体の開弁動作を実現させていた。そのため、噴射毎に燃料のリークが発生する。
【0006】
一方、近年では、軽油の代替燃料として、燃料の気化性や発火燃焼性、エミッション等を考慮してDME(ジメチルエーテル)や、セタン価向上のための添加剤を加えたLPG(液化石油ガス)といった液化ガス燃料を使用することが検討されている。
【0007】
液化ガス燃料を用いる場合、噴射燃料の漏れ量が特に増える傾向にあり、インジェクタから漏れ燃料を回収するための装置が必要になる。具体的な例を示すと、気化した液化燃料を回収するためのパージタンクや、パージタンク内のガス燃料(気体)を圧縮して液化させるための圧縮ポンプ等が必要になる。このため、燃料噴射装置としてのコストが上昇してしまう。
【0008】
そこで、特願2001−144252で提案したように、燃料のリークレス化を図るべく、電磁アクチュエータによりニードルを直接動かす、いわゆる直接駆動方式のインジェクタを採用することが考えられる。その構成を図10を参照して説明する。
【0009】
図10に示すインジェクタ100のニードル101は、図中上下方向に延びる長尺状をなし、ニードル101の上端には、アーマチャ102がレーザー溶接等により固着されている。ボディ103およびノズルボディ104には、貫通孔105、106が設けられ、その貫通孔105、106にニードル101が収容されている。アーマチャ102に対向してステータ107が配置されており、電磁コイル108の通電時にアーマチャ102がステータ107に吸引されると、ニードル101がスプリング109の付勢力に抗して図示の閉弁位置から開弁位置に移動する。これにより、噴孔110が開放されて、コモンレール等より供給される高圧燃料が噴射される。
上記図10の構成のインジェクタ100では、燃料リークが生じないことから、漏れ燃料の回収装置(パージタンク、圧縮ポンプ等)が不要になり、高コスト化が抑制できる。
【0010】
しかしながら、高圧燃料が与えられるインジェクタ100においてアーマチャ102を作動させるには、ステータ107に大きな吸引力が要求される。このため、ステータ107の有効磁路面積を大きくする必要が生じる。
しかし、上述したように、ステータ107の有効磁路面積を大きくすると、電磁コイル108のON-OFF時に発生する渦電流損失が大きくなるため、応答性が悪化してしまい、特に小噴射量での調量精度が悪くなってしまう。
【0011】
インジェクタ100の応答性を高めるために、応答性に大きく作用するステータ107に焼結磁性材を用いることが考えられる。しかし、焼結磁性材は、上述したように強度や硬度が小さく、且つ脆いために、液化ガス燃料が漏れないようにするための極めて強い力による押しつけ固定、溶接、圧入等の結合手段を用いることができなく、組付けが困難であり、焼結磁性材製のステータ107をインジェクタ100に搭載するのが困難であった。
【0012】
また、特願2001−308495(図11参照)で提案したように、アーマチャ102の周囲の薄肉円筒部111(磁気絞り)をステータ107と一体化する構造では、焼結磁性材が脆いため、薄肉円筒部111の加工が困難であり、さらにインジェクタ100の作動時においてアーマチャ102がステータ107に衝突した衝突エネルギーによって焼結磁性材よりなるステータ107が破損する可能性があり、焼結磁性材製のステータ107では実使用できないといった問題もある。
【0013】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、ステータの材料に、渦電流の発生が少ないが、脆くて破損しやすい焼結磁性材を用いて応答性を高めるとともに、ステータがアーマチャを吸引した際に発生する衝突エネルギーを焼結磁性材製のステータに与えずにハウジングに逃がすことで焼結磁性材の破損を防ぐことのできる電磁アクチュエータの提供にある。
また、本発明の第2の目的は、アーマチャの材料に、渦電流の発生が少ないが、脆くて破損しやすい焼結磁性材を用いて応答性を高めるとともに、ステータがアーマチャを吸引した際に発生する衝突エネルギーを焼結磁性材製のアーマチャに直接与えないようにして焼結磁性材の破損を防ぐことのできる電磁アクチュエータの提供にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する電磁アクチュエータは、電磁コイルが通電されると、焼結磁性材製のメインステータおよび軟質磁性材製のサブステータよりなるステータに磁力が発生し、ステータにアーマチャが吸引される。すると、アーマチャがステータ側に移動して、軟質磁性材製のサブステータにアーマチャが衝突する。この衝突エネルギーは、サブステータからハウジングへ逃がされるため、焼結磁性材製のメインステータが割れ等によって破損する不具合がない。
【0015】
また、焼結磁性材製のメインステータは、硬度が硬くて割れにくい軟質磁性材のサブステータによってハウジングに組付けられるため、溶接や圧入固定の困難な破損しやすい焼結磁性材製のメインステータをハウジングに組付けることができる。
もちろん、ステータを構成するメインステータは、渦電流の発生の少ない焼結磁性材製であるため、電磁コイルのON-OFF時に発生する渦電流損失が小さく、高い応答性を得ることができる。
【0016】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する電磁アクチュエータは、サブステータが、アーマチャと直接当たる第1サブステータと、この第1サブステータを支持するとともに、アーマチャを収容するアーマチャ室を形成し、ハウジングに支持される第2サブステータとによって構成されるものであり、さらに第1サブステータにおけるアーマチャとの当接面に硬化処理が施されるものである。
このように、アーマチャに直接当たる第1サブステータを別部品で構成するため、アーマチャとの当接面に対して硬化処理(例えば、硬質クロムメッキ等)を容易に施すことができる。つまり、衝突による耐摩耗性に優れたサブステータを安価に製造でき、結果的に信頼性の高い電磁アクチュエータのコスト上昇を抑えることができる。
もちろん、アーマチャに直接当たる第1サブステータが別部品で構成されるため、第1サブステータの材質を高い硬度の軟質磁性材(例えば、電磁ステンレス鋼等)で形成することもでき、電磁アクチュエータの信頼性を高めることができる。
【0017】
〔請求項3の手段〕
上記請求項2の手段を採用する電磁アクチュエータは、サブステータが2つの部材(第1、第2サブステータ)によって設けられるものである。
これに対し、この請求項3の手段を採用する電磁アクチュエータは、サブステータが1つの部材によって設けられるものである。
このように部品点数が抑えられるため、応答性の高い電磁アクチュエータのコストを抑えることができる。
【0018】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する電磁アクチュエータは、アーマチャ室を形成する部分のサブステータに、磁気絞りとなる薄肉円筒部が設けられたものである。
本発明では、ステータを構成するメインステータは、脆い焼結磁性材製であるが、磁気絞りとなる薄肉円筒部は上述のように軟質磁性材製のサブステータに形成される。
このため、磁気絞りの薄肉円筒部を別部品で構成しなくても済むため、応答性の高い電磁アクチュエータのコストを抑えることができる。
【0019】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する電磁アクチュエータは、燃料噴射装置におけるインジェクタに搭載されるものである。
このため、インジェクタの応答性を高めることができ、従来技術では調量精度の低かった小噴射領域まで高い調量精度を得ることができる。
【0020】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段を採用する電磁アクチュエータは、アーマチャがインジェクタにおいて噴孔を開閉するニードルを直接駆動するものである。つまり、電磁アクチュエータがインジェクタのニードルを直接動かす、いわゆる直接駆動方式である。
このため、燃料噴射装置において燃料のリークレス化を図ることができ、燃料のリークレス化に伴ってインジェクタから漏れ燃料を回収するための装置が不要になる。
つまり、燃料のリークレス化を図った燃料噴射装置において、インジェクタの応答性(調量精度)を高めることができる。
【0021】
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段を採用する電磁アクチュエータは、サブステータが、アーマチャを収容するアーマチャ室を形成し、そのアーマチャ室に燃料が満たされるものであり、アーマチャ室とメインステータとはサブステータによって区画されて、アーマチャ室に満たされた燃料はメインステータに触れない構造を採用するものである。
このように、燃料が焼結磁性材製のメインステータに触れないため、燃料によって焼結磁性材を劣化させる不具合が発生しない。
具体的な一例を示すと、燃料にDME(ジメチルエーテル)を使用する場合、DMEが焼結磁性材に触れると、焼結磁性材を構成する絶縁皮膜で覆われた磁性材粉末を接合するための樹脂を劣化させる不具合があるが、この請求項7の手段を採用することにより、燃料にDMEを使用しても、そのDMEが焼結磁性材に触れないため、焼結磁性材に含まれる樹脂を劣化させる不具合がない。
【0022】
また、請求項7の手段を採用することにより、メインステータが配置された室内を通って燃料が外部に漏れる不具合が発生しない。このため、燃料漏れを防ぐシール構造を簡素化できる。
具体的な一例を示すと、燃料に液化ガス燃料を用いる場合、液化ガス燃料は超高圧であるため、通常の液体燃料よりも高いシール性が要求される。このため、シール構造に要するコストが高くなってしまうが、この請求項7の手段を採用することにより、液化ガス燃料がメインステータの配置された室側に通じる部分がないため、簡素で高いシール性を確保できる。
もう一つ具体的な一例を示すと、燃料にDMEを使用する場合は、DMEがシール材を構成するOリング等の樹脂部材を劣化させる不具合があるが、この請求項7の手段を採用することにより、DMEがメインステータの配置された室側に通じる部分がないため、Oリング等のシール部材を使用することなく、高いシール性を確保できる。
【0023】
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段を採用する電磁アクチュエータは、アーマチャが、燃料が満たされたアーマチャ室において軸方向に移動可能に支持されるものであり、サブステータとアーマチャが当接した状態においてサブステータとアーマチャの間にダンパ室が形成されるものである。
このダンパ室は、アーマチャがステータに吸引されてステータに衝突する時に、衝撃を緩和するダンパ効果を発揮するため、衝突エネルギーを小さくすることができる。このため、インジェクタの開弁時においてアーマチャがステータに衝突して発生するバウンスが抑制される。
また、燃料に液化ガス燃料を用いる直接駆動方式の場合、液化ガス燃料は粘度が低いためにバウンスが顕著に発生する問題があるが、ダンパ室を設けたことにより上記問題を解決できる。
【0024】
〔請求項9の手段〕
請求項9の手段を採用する電磁アクチュエータは、電磁コイルが通電されると、ステータに磁束が発生し、ステータに焼結磁性材製のアーマチャが吸引される。すると、アーマチャがステータ側に移動して、可動子の先端に設けられた一方の大径部がステータに衝突する。このように、衝突は、ステータと可動子で発生するため、焼結磁性材製のアーマチャが割れ等によって破損する不具合がない。
【0025】
また、焼結磁性材製のアーマチャは、可動子の周囲に装着されて、可動子に設けられた2つの大径部に挟まれて固定されるものであるため、溶接や圧入固定の困難な破損しやすい焼結磁性材製のアーマチャであっても可動子に固定することができる。
もちろん、アーマチャは、渦電流の発生の少ない焼結磁性材製であるため、電磁コイルのON-OFF時に発生する渦電流損失が小さく、高い応答性を得ることができる。
【0026】
〔請求項10の手段〕
請求項10の手段を採用する電磁アクチュエータは、上述した請求項5の手段と同様、燃料噴射装置におけるインジェクタに搭載されるものである。
このため、インジェクタの応答性を高めることができ、従来技術では調量精度の低かった小噴射領域まで高い調量精度を得ることができる。
【0027】
〔請求項11の手段〕
請求項11の手段を採用する電磁アクチュエータは、上述した請求項6の手段と同様、アーマチャがインジェクタにおいて噴孔を開閉するニードルを直接駆動するものである。つまり、電磁アクチュエータがインジェクタのニードルを直接動かす、いわゆる直接駆動方式である。
このため、燃料噴射装置において燃料のリークレス化を図ることができ、燃料のリークレス化に伴ってインジェクタから漏れ燃料を回収するための装置が不要になる。
つまり、燃料のリークレス化を図った燃料噴射装置において、インジェクタの応答性(調量精度)を高めることができる。
【0028】
〔請求項12の手段〕
請求項12の手段を採用する電磁アクチュエータは、アーマチャが、燃料が満たされたアーマチャ室において軸方向に移動可能に支持されるものであり、ステータと一方の大径部が当接した時、一方の大径部の周囲にはステータとアーマチャの間にダンパ室が形成されるものである。
このダンパ室は、上記請求項8の手段と同様、アーマチャがステータに吸引されてステータに衝突する時に、衝撃を緩和するダンパ効果を発揮するため、衝突エネルギーを小さくすることができる。このため、インジェクタの開弁時においてアーマチャがステータに衝突して発生するバウンスが抑制される。
また、燃料に液化ガス燃料を用いる直接駆動方式の場合、液化ガス燃料は粘度が低いためにバウンスが顕著に発生する問題があるが、ダンパ室を設けたことにより上記問題を解決できる。
【0029】
〔請求項13の手段〕
請求項13の手段を採用する電磁アクチュエータは、インジェクタの噴射する燃料として液化ガス燃料を用いるものである。
このように、液化ガス燃料を使用する場合は、インジェクタに与えられる燃料の圧力が超高圧になるため、超高圧燃料下においてアーマチャを作動させるには、ステータに大きな吸引力が要求され、ステータおよびアーマチャの有効磁路面積を大きくする必要があるが、ステータ、アーマチャに焼結磁性材を用いているため、ステータおよびアーマチャの有効磁路面積を大きくしても電磁コイルのON-OFF時に発生する渦電流損失が小さく、高い応答性を得ることができ、特に小噴射量での調量精度を改善できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、複数の実施例と変形例を用いて説明する。
なお、以下の実施例では、DMEやLPG等の液化ガスを燃料とする車両用ディーゼルエンジンに燃料噴射を行う燃料噴射装置のインジェクタ(燃料噴射弁)に本発明を適用した例を示す。
この実施例に示すインジェクタは、電磁アクチュエータによってニードルを直接駆動する直動タイプであり、コモンレール内に蓄えられた高圧の蓄圧燃料が供給され、開弁動作に伴って液化ガス燃料を噴射するようになっている。
また、以下の実施例では、ノズル側(閉弁方向)を下、反ノズル側(開弁方向)を上として説明するが、説明の便宜上の上下であって、実際の搭載時とは関係ないものである。
【0031】
〔第1実施例の構成〕
図1は、インジェクタ1の断面構造の構成を示す図面である。
この図1において、燃料タンク(図示しない)内に貯蔵された液化ガス燃料(DMEあるいはLPG)は、サプライポンプ(高圧ポンプ:図示しない)に内蔵されたフィードポンプ(低圧ポンプ:図示しない)によってサプライポンプへ吸引され、このサプライポンプにて高圧に圧縮された後にコモンレール(燃料蓄圧容器:図示しない)に供給される。コモンレールでは、噴射圧相当(例えば、40MPa程度)の液化された高圧ガス燃料が蓄圧される。
コモンレールには、エンジンの各気筒に対して1つのインジェクタ1が接続されており、各インジェクタ1はECU(エンジン・コントロール・ユニットの略:図示しない)からの駆動信号に従って噴射作動を行う。
【0032】
以下においてインジェクタ1の構成を詳しく説明する。
インジェクタ1のケーシングは、ボディ2およびノズルボディ3を結合したものであり、それらはリテーニングナット4の締め付けにより一体化されている。ボディ2およびノズルボディ3には、同軸の貫通孔5、6が設けられ、その貫通孔5、6には、長尺状のニードル7が収容されている。
【0033】
ニードル7は、上記貫通孔5、6内を上下方向に摺動するものであり、上下2箇所に摺動部8、9を有する。
ノズルボディ3の先端部には、複数の噴孔11が設けられており、ニードル7の先端がノズルボディ3に当接(着座)することで噴孔11が閉じ、ニードル7の先端がノズルボディ3から離間(離座)することで噴孔11が開くようになっている。
【0034】
ボディ2の下部には、圧縮コイルスプリング12を収容するバネ室13が形成されており、ニードル7は、バネ受け部材14およびニードル7に形成された鍔部15を介して圧縮コイルスプリング12の復元力を受け、常に下方へ付勢されている。なお、圧縮コイルスプリング12とバネ受け部材14との間には、シム16が配置され、このシム16の厚さによってニードル7の閉弁方向の付勢力が調整される。
ボディ2の下端には、バネ室13の下部を形成するディスタンスピース17が配置されている。このディスタンスピース17は、リテーニングナット4の締め付け力を受けるノズルボディ3によってボディ2の下部に組付けられている。
【0035】
ボディ2の上側には、コモンレールから高圧燃料を受けるインレット21が取り付けられている。このインレット21は、ガスケット22を挟むようにしてボディ2に組付けられており、インレット21の内部には、異物の侵入を防止するためのフィルタ23が圧入固定されている。
【0036】
ボディ2の上側には、インレット21から供給された高圧燃料をニードル7と、貫通孔5、6との間のクリアランス(ニードル7の周囲)に導く第1燃料通路24、およびこの第1燃料通路24によって供給される高圧燃料を後述するアーマチャ室25に導く第2燃料通路26が形成されている。
第1燃料通路24からニードル7の周囲に導かれた高圧燃料は、ノズルボディ3の貫通孔6とニードル7の間に形成されるノズル室27に導かれ、ニードル7が上昇すると噴孔11から噴射される。
【0037】
[第1実施例の特徴]
次に本発明が適用された電磁アクチュエータ31を図1、図2を参照して説明する。
電磁アクチュエータ31は、請求項1に記載されたように、大別して、通電によって磁力を発生する電磁コイル32と、この電磁コイル32の発生する磁力によって電磁石となるステータ33と、電磁コイル32およびステータ33を収容するハウジング34(電磁アクチュエータ31をボディ2に組付けるリテーニングナットの役割を果たすとともに、電磁コイル32の外周に磁束を通す役割を果たす)と、軸方向(上下方向)に移動可能に支持され、磁力が与えられたステータ33に吸引されるアーマチャ35とを備える。
そして、ステータ33は、表面を絶縁皮膜で覆った磁性体金属粉と樹脂との複合材を固めてなる焼結磁性材製のメインステータ36と、このメインステータ36をハウジング34に固定するとともに、ステータ33に吸引されたアーマチャ35と衝突し、このアーマチャ35の衝突エネルギーをハウジング34に伝達する軟質磁性材製のサブステータ37とによって構成される。
【0038】
次に、上記電磁アクチュエータ31の各部品を詳細に説明する。
電磁コイル32は、細いエナメル線を巻回した筒状を呈するものであり、樹脂部材38にモールドされた状態で電磁アクチュエータ31に組み込まれている。樹脂部材38には、電磁コイル32のコイル端に接続された端子39がモールドされており、ECUによって電磁コイル32が通電されると、電磁コイル32が磁力を発生する。
【0039】
メインステータ36は、表面を絶縁皮膜(例えば、樹脂皮膜)で覆った磁性体金属粉(例えば、鉄粉)をプレス機等によって所定の形状(この実施例では中心に貫通孔36aが形成された略円筒形状)に圧縮したものを焼結して固めたものであり、渦電流の発生は少ないが、強度や硬度が小さく、且つ脆いという欠点を有する。
【0040】
サブステータ37は、請求項2に記載されるように、アーマチャ35と直接当たる第1サブステータ41と、この第1サブステータ41を支持するとともに、アーマチャ35を収容するアーマチャ室25を形成してハウジング34に支持される第2サブステータ42とによって構成される。
第1サブステータ41は、アーマチャ室25と、メインステータ36が配置された室とを区画する円板部41aと、メインステータ36の貫通孔36aに挿通されるピン41bとを有するものであり、ピン41bの上端が第2サブステータ42の天井部42aに形成された凹部42b内に圧入固定されるものである。この結果、メインステータ36が、第1サブステータ41の円板部41aと、第2サブステータ42の天井部42aとの間に挟まれ、メインステータ36とサブステータ37(第1、第2サブステータ41、42)とが組付けられる。
【0041】
第1サブステータ41におけるアーマチャ35との当接面(下端面)には、硬化処理(例えば、クロムメッキ)が施されており、繰り返して衝突される部分の耐摩耗性が高められている。
また、第1サブステータ41は、高い硬度の軟質磁性材(例えば、電磁ステンレス鋼等)で形成されており、これによっても繰り返して衝突される部分の耐摩耗性が高められている。
【0042】
第2サブステータ42は、アーマチャ室25を形成するとともにメインステータ36を収容する室を形成する円筒部42cと、上述した天井部42aとを有するものであり、磁束の通過が容易な軟質磁性材(例えば、鉄等)によって形成されている。
また、この第2サブステータ42には、第2サブステータ42の下側とメインステータ36が配置された上側との間の磁束流れを少なくして、アーマチャ35の吸引力を高めるための磁気絞りとなる薄肉円筒部43が設けられている。この薄肉円筒部43を第2サブステータ42と一体に設けたため、部品点数が少なくて済み、コストを抑えることが可能になる。
【0043】
上述したように、アーマチャ35を収容するアーマチャ室25には、第2燃料通路26を介して高圧燃料が供給されて、アーマチャ室25には高圧燃料が満たされるものであるが、第1サブステータ41の円板部41aの周囲が、第2サブステータ42の円筒部42cの内壁に圧入されて、アーマチャ室25とメインステータ36が配置される室とが区画されるようになっている。このため、アーマチャ室25に満たされた燃料はメインステータ36が配置された室には侵入できない構造になっている。
このように、燃料がメインステータ36を構成する焼結磁性材に触れない構造であるため、燃料にDMEを使用する場合であっても、DMEがメインステータ36を構成する焼結磁性材に含まれる樹脂を劣化させる不具合がない。
【0044】
また、アーマチャ室25に満たされた燃料はサブステータ37によって囲まれてメインステータ36が配置された室には侵入できない構造になっているため、メインステータ36が配置された室内を通って燃料が外部に漏れる不具合が発生しない。このため、燃料漏れを防ぐシール構造を簡素化できる。
つまり、アーマチャ室25に満たされる液化ガス燃料は超高圧であるため、通常の液体燃料よりも高いシール性が要求され、シール構造に要するコストが高くなってしまう。これに対して本実施例では、液化ガス燃料がメインステータ36の配置された室側に通じる部分がない構造であるため、簡素で高いシール性を確保できる。
また、燃料にDMEを使用する場合は、DMEがシール材を構成するOリング等のゴム系シール材を劣化させる不具合があるが、Oリング等のゴム系シール材を用いることなくアーマチャ室25のDMEをシールできるため、DMEの漏れを確実に防ぐことができる。
【0045】
アーマチャ35は、ステータ33への吸引力を高めるために、強磁性体材料である軟鉄等によって形成されている。このアーマチャ35は、短い円柱形状を呈するものであり、下面の中央に形成された凹部35a内にニードル7の上端を圧入することで、ニードル7と一体化されている。このため、電磁コイル32がONされてアーマチャ35がステータ33に吸引されることでニードル7が上昇し、電磁コイル32がOFF されてステータ33の吸引力が無くなると、圧縮コイルスプリング12の付勢力によってニードル7が下降する。
【0046】
ここで、サブステータ37とアーマチャ35が当接した状態において、サブステータ37とアーマチャ35の間にダンパ室44が形成される。この構造を図2を用いて説明する。
互いに対向するサブステータ37の端面とアーマチャ35の端面のうち、サブステータ37の端面は平坦に形成されている。これに対し、アーマチャ35の端面には、外縁部に環状の突起45が形成されている。この突起45は、アーマチャ35の上昇時におけるストッパの役目も担っており、ニードル7が上昇する時、アーマチャ35の突起45がサブステータ37に当接する位置でニードル7の上昇位置、すなわち開弁ストローク(ニードル7のリフト量)が規定される。
なお、ステータ33とボディ2の間に配置されたシム46の厚さを変更することにより、ニードル7のリフト量が調整できるようになっている。
【0047】
環状の突起45には、少なくとも1ヵ所以上の切欠(図示しない)が形成され、ニードル7が下降する際に、ダンパ室44内に燃料が入りやすくなっている。これによって、電磁コイル32をOFF した時の応答性の劣化を防ぐことができる。
ここで、アーマチャ35の変位ストロークに対するダンパ室44の容積変化率が大きいほど、ダンパ効果が大きくなる。言い換えれば、突起45の高さが小さい方がダンパ効果が大きくなる。だだし、突起45の高さが小さすぎると加工精度を出すのが困難になる。そこで、この実施例では、突起45の高さを0.1〜0.3mmとしている。
【0048】
電磁コイル32がONされて、アーマチャ35が上昇する過程において、アーマチャ35の突起45とサブステータ37の円板部41aとの距離が短くなり、それに伴い、アーマチャ35とサブステータ37の円板部41aとの間の容積が小さくなる。この容積内の燃料は、突起45とサブステータ37の間の隙間を通って抜けるが、その隙間はアーマチャ35のリフトとともに狭くなり、油圧ダンパとして作用する。この結果、アーマチャ35の突起45がサブステータ37に衝突する際の衝撃エネルギーを小さくすることができ、開弁時におけるアーマチャ35およびニードル7のバウンスの発生を抑制できる。
特にこの実施例では、燃料に粘度の低い液化ガス燃料を用いるため、バウンスが発生しやすいが、上述のようにダンパ室44を設けたことによりバウンスの発生問題を解決できる。
【0049】
ハウジング34は、上述した電磁アクチュエータ31の各構成部品を内部に組付けた状態でボディ2の上端に締結されるものであり、ハウジング34をボディ2に強くねじ込むことにより、ボディ2とサブステータ37の下端との間でシム46が強く挟み付けられる。この結果、ゴム系のシール部材を用いることなくアーマチャ室25のシール性を確保できる。
この実施例のハウジング34は、メインステータ36と同様、焼結磁性材製のものである。このように、ハウジング34も焼結磁性材で設けることにより、渦電流損失が減少し、電磁弁の応答性をより向上することができる。この場合、アーマチャ35の衝突エネルギーがサブステータ37を介して焼結磁性材製のハウジング34に伝達されるが、サブステータ37とハウジング34の接触面積が大きいため、衝突エネルギーの分散がなされ、ハウジング34の破損を防ぐことができる。
なお、ハウジング34をサブステータ37と同様、軟質磁性材製で設けて、メインステータ36のみを焼結磁性材で設けても良い。
【0050】
〔第1実施例の作動〕
(開弁時)
ECUから与えられる駆動信号によって電磁コイル32が通電されると、焼結磁性材製のメインステータ36および軟質磁性材製のサブステータ37よりなるステータ33に磁力が発生し、アーマチャ35がステータ33に吸引され、圧縮コイルスプリング12の付勢力に抗してニードル7が上方にリフトする。そして、アーマチャ35がステータ33(具体的には、サブステータ37)に当接すると、開弁動作が終わり、それ以降は開弁状態が保持される。このニードル7の上昇によってニードル7の先端がノズルボディ3から離間(離座)し、噴孔11が開いて液化ガス燃料が噴孔11より噴射される。
【0051】
(閉弁時)
ECUから与えられる駆動信号によって電磁コイル32の通電が停止されると、ステータ33によるアーマチャ35の吸引力が無くなり、圧縮コイルスプリング12の付勢力によってニードル7が下降する。そして、ニードル7がノズルボディ3のシートに当接すると、閉弁動作が終わり、それ以降は閉弁状態が保持される。このようにニードル7が下降してニードル7の先端がノズルボディ3に当接(着座)することで、噴孔11が閉じて液化ガス燃料の噴射が停止される。
【0052】
〔第1実施例の効果〕
インジェクタ1に組み込まれた電磁アクチュエータ31は、上述したように電磁コイル32が通電された際、ステータ33にアーマチャ35が吸引されて、アーマチャ35が軟質磁性材製のサブステータ37に衝突するが、この衝突エネルギーは、サブステータ37からハウジング34へ逃がされる。このため、脆い焼結磁性材製のメインステータ36が割れ等によって破損する不具合が発生しない。
【0053】
また、焼結磁性材製のメインステータ36は、上述したように割れにくい軟質磁性材のサブステータ37によってハウジング34に組付けられる構造であるため、溶接や圧入固定の困難な破損しやすい焼結磁性材製のメインステータ36をインジェクタ1に組付けることができる。
【0054】
さらに、ステータ33を構成するメインステータ36は、渦電流の発生の少ない焼結磁性材製であるため、電磁コイル32のON-OFF時に発生する渦電流損失が小さく、高い応答性を得ることができる。このことを、図3、図4を参照して説明する。
図3は、ECUから与えられる駆動信号(電磁コイル32のON-OFF制御を行う信号)と、ニードル7のリフト波形(リフト量)との関係を示すものである。
この図3から読み取ることができるように、従来(ステータの材質全てが軟質磁性材によって構成されるもの)はステータ33に生じる渦電流損により、開弁開始および閉弁開始が遅く、ニードル波形の傾きが緩やかなことからも分かるように、ニードル7の移動時間も長い。
これに対し、本実施例のインジェクタ1は、メインステータ36を渦電流の発生の少ない焼結磁性材で設けたため、ステータ33に発生する渦電流損失が小さく、開弁開始および閉弁開始が早く、ニードル7の移動時間も短い。このように、本実施例のインジェクタ1は、従来より開閉弁の応答性が良い。
【0055】
図4にECUから与えられる駆動信号幅(電磁コイル32のON時間)に対する噴射量の関係を示す。
この図4から読み取ることができるように、従来(図中破線B)では2.3ms以下の小噴射量域の噴射量特性はリニアな特性を示さず、調量精度が良くない。
これに対し、本実施例のインジェクタ1(図中実線A)は、応答性の向上(開閉弁開始時間の短縮およびニードル7の移動速度の向上)により、1.2msまでリニアな噴射量特性を示し、小噴射量での調量精度を向上できる。
【0056】
〔第2実施例〕
図5に示す電磁アクチュエータ31の断面構造図を参照して第2実施例を説明する。なお、以下の実施例では、上述した実施例に対して異なる主要部分を説明するものであり、同一機能物は同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
上記の第1施例では、サブステータ37を2つに分けた例を示した。これに対し、この第2実施例は請求項3の手段を採用するものであり、この実施例のサブステータ37は、1つの軟質磁性体よりなるもので、アーマチャ35を収容するアーマチャ室25を形成し、アーマチャ35が直接衝突する天井部42aとハウジング34との間でメインステータ36を支持する構造を採用する。
この実施例のサブステータ37は、ハウジング34がボディ2に締め付けられることによって、電磁コイル32をモールドする樹脂部材38と、シム46との間に挟み付けられて支持されるものであり、ステータ33の衝突エネルギーは、樹脂部材38およびシム46を介してハウジング34に伝わり、衝突エネルギ−によってメインステータ36が破損しないように設けられている。
【0058】
ハウジング34は、上記の第1実施例と同様、焼結磁性材で設けても良いし、軟質磁性材で設けても良い。ハウジング34を焼結磁性材で設ける場合は、メインステータ36とハウジング34を一体に形成することもできる。
【0059】
〔第3実施例〕
図6に示す電磁アクチュエータ31の断面構造図を参照して第3実施例を説明する。
この実施例のサブステータ37は、第2実施例同様、1つの軟質磁性体よりなるもので、アーマチャ室25を形成する筒状部の下部がインジェクタ1のボディ2にねじ込まれて、電磁アクチュエータ31をボディ2に固定する構造を採用している。
【0060】
ハウジング34は、サブステータ37の外側段差37aと電磁コイル32をモールドする樹脂部材38との間に挟み付けられる内向鍔34aを有した筒状を呈する。なお、この内向鍔34aは、アーマチャ35の下側部分に磁束を与える磁路の役目も果たすものである。
メインステータ36は、サブステータ37の天井部37bの中心部から上に延びたピン37cが挿通される貫通孔36aを備えるとともに、ハウジング34の上端を下方に押しつける外向鍔36bが形成されている。
そして、ピン37cの上端にナット51をねじ込む構造を採用しており、ナット51をねじ込むことにより、その力で外向鍔36bと外側段差37aの間でメインステータ36およびハウジング34が強く挟まれて固定される。
【0061】
なお、ナット51を用いず、直接ネジ等でメインステータ36とハウジング34をサブステータ37に固定しても良い。
【0062】
〔第4実施例〕
図7に示す電磁アクチュエータ31の要部断面構造図を参照して第4実施例を説明する。
この第4実施例は、請求項9の手段を採用して、アーマチャ35を焼結磁性材で設けたものである。焼結磁性材は、従来技術の項でも説明したように、溶接や圧入による固定ができない。そこでこの第4実施例では、焼結磁性材製のアーマチャ35を、ニードル7(可動子に相当する)に設けた2つの大径部52、53の間に挟んで固定するものである。
また、焼結磁性材製のアーマチャ35は脆いため、ステータ33に衝突すると、破損する可能性がある。そこでこの第4実施例では、2つの大径部52、53のうちの一方の大径部52をアーマチャ35よりもステータ33側に突出して設け、アーマチャ35がステータ33に吸引された際に、ステータ33と一方の大径部52とが衝突するように設けられるものである。
【0063】
焼結磁性材製のアーマチャ35は、中心部分にニードル7(具体的には、後述するサブニードル7a)が挿通される貫通孔35bが形成されている。
ニードル7は、アーマチャ35の貫通孔35bに挿通されるサブニードル7aと、このサブニードル7aの下部に溶接あるいは圧入によって接合されたメインニードル7bとから構成される。
サブニードル7aおよびメインニードル7bは、共にステンレス等の軟質磁性材製であり、サブニードル7aの上側端部には、外径方向に広げられた一方の大径部52が形成されている。
なお、一方の大径部52の下面には、テーパ面が形成されており、アーマチャ35がテーパ面でゆるく圧迫されるようになっている。
【0064】
メインニードル7bの上端は、サブニードル7aの下端より径大の他方の大径部53が設けられており、その上面にはサブニードル7aの下端を嵌め入れる凹部7cが形成されている。
そして、図7に示すように、焼結磁性材製のアーマチャ35を組付けたサブニードル7aの下端をメインニードル7bの凹部7cに嵌め入れ、その嵌め入れた部分を凹部7c内に圧入あるいは溶接することで、2つの大径部52、53の間において焼結磁性材製のアーマチャ35が固定される。
【0065】
アーマチャ35の外周の上端には、拡径部35cが形成されており、拡径部35cとステータ33の薄肉円筒部43(磁気絞り)との間のクリアランスが数μmに設けられている。このように設けられることにより、アーマチャ35がステータ33に吸引され、ニードル7(具体的にはサブニードル7a)の頂部(拡径部35c)がステータ33に当接する際、一方の大径部52の周囲の空間がダンパ室44として作用する。つまり、サブニードル7aがステータ33に衝突する際にダンパ室44の圧力が増加するため、衝突エネルギーが小さくなり、開弁時のバウンスを低減することができる。
ここで、アーマチャ35は、燃料と直接接触するため、燃料としてDMEを使用する場合、アーマチャ35の表面をメッキ等により皮膜処理することでアーマチャ35を構成する焼結磁性材の劣化を防止できる。
【0066】
〔第5実施例〕
図8に示す電磁アクチュエータ31の要部断面構造図を参照して第5実施例を説明する。
この第5実施例は、上記第4実施例と同様、アーマチャ35を焼結磁性材で設けたものである。
この第5実施例は、ニードル7は1つの部材よりなるものであり、焼結磁性材製のアーマチャ35は、第4実施例と同様、下面にテーパ面が形成された一方の大径部52と、ニードル7の側面に形成された被カシメ溝7dにカシメ付けられる他方の大径部53との間で固定される。
【0067】
この実施例における他方の大径部53は、被カシメ溝7dにカシメ付けられることによって変形してニードル7の側面に固定されるEリング等のカシメ部材であるが、代わりに平バネを用いても良い。
他方の大径部53として平バネを用いる場合、閉弁時にアーマチャ35からニードル7に伝わる慣性力を平バネの弾性力によって減衰することが可能になり、閉弁時のバウンスを低減することができる。
【0068】
〔第6実施例〕
上記の実施例では、DMEやLPG等の液化燃料を噴射するインジェクタ1を例に示したが、それ以外の燃料を噴射するインジェクタ1に本発明を適用しても良い。すなわち、軽油やガソリンを噴射するインジェクタ1に本発明を適用してインジェクタ1の応答性を高めるようにしても良い。
そこで、第6実施例として、ガソリンを噴射するインジェクタ1に本発明を適用した例を図9を参照して説明する。
【0069】
ガソリンを噴射するインジェクタ1は、気筒内に直接燃料を噴射するため、吸気管に燃料を噴射するタイプより高燃圧となる。このため、アーマチャ35とメインステータ36の対向磁路面積が大きくなり、メインステータ36に軟質磁性材を用いると渦電流損失が大きく応答性が悪い。
そこで、軟質磁性材製のインジェクタ1のボディ2には、磁気絞りとなる薄肉円筒部43が設けられており、この薄肉円筒部43の内部に焼結磁性材のメインステータ36を挿入し、サブステータ37をボディ2の燃料通路61内に圧入することでメインステータ36を固定している。このように設けられることによって、開弁時に発生するアーマチャ35の衝突エネルギーは、サブステータ37からボディ2に伝えられ、メインステータ36の破損が防がれる。つまり、この第6実施例では、メインステータ36を覆うボディ2は、開弁時の衝撃をサブステータ37を介して受け止めるハウジング(請求項1のハウジングに相当する)を兼ねるものである。
【0070】
サブステータ37の中心には燃料通路37dが貫通しており、上側に圧縮コイルスプリング12を保持する面が形成されている。なお、燃料通路37dに別部材を挿入固定し、その挿入固定した別部材によって圧縮コイルスプリング12を保持する構造を採用しても良い。
【0071】
電磁コイル32をボディ2に組付ける筒状ナット62は、ボディ2にねじ込まれて電磁コイル32をボディ2に固定するとともに、電磁コイル32の外周に磁束を通すという役目からすると、第1〜第5実施例で示したハウジング34に相当するものであるが、この発明では開弁時の衝撃をサブステータ37を介して受け止めるのをハウジングと称しているため、この第6実施例ではハウジングとは呼ばずに、筒状ナット62としている。
しかし、第6実施例の筒状ナット62は、第1〜第5実施例で示したハウジング34に相当するものであるため、この筒状ナット62は焼結磁性材で設けられている。このように設けられることにより、メインステータ36とともに渦電流損失を低減することができ、インジェクタ1の応答性をより高めることができる。
【0072】
〔変形例〕
上記の実施例では、本発明の電磁アクチュエータ31をインジェクタ1に適用した例を示したが、リニアソレノイドとして広く適用可能なものである。
上記の実施例では、ステータ33もしくはアーマチャ35の一方に焼結磁性材を用いた例を示したが、ステータ33とアーマチャ35の両方に焼結磁性材を用いても良い。つまり、第1、第2、第3、第6実施例と、第4、第5実施例を組み合わせるなどしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】インジェクタの断面図である(第1実施例)。
【図2】電磁アクチュエータの断面図である(第1実施例)。
【図3】駆動信号に対するニードルのリフト波形を示すグラフである(第1実施例)。
【図4】駆動信号幅に対する噴射量を示す特性図である(第1実施例)。
【図5】電磁アクチュエータの断面図である(第2実施例)。
【図6】電磁アクチュエータの断面図である(第3実施例)。
【図7】電磁アクチュエータの要部断面図である(第4実施例)。
【図8】電磁アクチュエータの要部断面図である(第5実施例)。
【図9】インジェクタの断面図である(第6実施例)。
【図10】インジェクタの断面図である(従来例)。
【図11】インジェクタの断面図である(従来例)。
【図12】焼結磁性材の概念図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ
7 ニードル(可動子)
11 噴孔
25 アーマチャ室
31 電磁アクチュエータ
32 電磁コイル
33 ステータ
34 ハウジング
35 アーマチャ
36 メインステータ
37 サブステータ
41 第1サブステータ
42 第2サブステータ
43 薄肉円筒部
44 ダンパ室
52 一方の大径部
53 他方の大径部
Claims (13)
- 通電によって磁力を発生する電磁コイルと、
この電磁コイルの発生する磁力が与えられて電磁石となるステータと、
前記電磁コイルおよび前記ステータを収容するハウジングと、
軸方向に移動可能に支持され、磁力が与えられた前記ステータに吸引されるアーマチャと、
を備える電磁アクチュエータにおいて、
前記ステータは、
表面を絶縁皮膜で覆った磁性体金属粉と樹脂との複合材を固めてなる焼結磁性材製のメインステータと、
このメインステータを前記ハウジングに固定するとともに、前記ステータに吸引された前記アーマチャと衝突し、このアーマチャの衝突エネルギーを前記ハウジングに伝達する軟質磁性材製のサブステータと、
によって構成されることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記サブステータは、
前記アーマチャと直接当たる第1サブステータと、
この第1サブステータを支持するとともに、前記アーマチャを収容するアーマチャ室を形成し、前記ハウジングに支持される第2サブステータと、によって構成され、
前記第1サブステータにおける前記アーマチャとの当接面に硬化処理を施したことを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記サブステータは、
前記アーマチャと直接当たるとともに、前記アーマチャを収容するアーマチャ室を形成し、前記ハウジングに支持される1つの部材であることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項2または請求項3に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャ室を形成する部分の前記サブステータには、磁気絞りとなる薄肉円筒部が設けられたことを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記電磁アクチュエータは、燃料噴射装置におけるインジェクタに搭載されることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項5に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャは、前記インジェクタにおいて噴孔を開閉するニードルを駆動することを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項5または請求項6に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記サブステータは、前記アーマチャを収容するアーマチャ室を形成し、そのアーマチャ室に燃料が満たされるものであり、前記アーマチャ室と前記メインステータとは前記サブステータによって区画されて、前記アーマチャ室に満たされた燃料は前記メインステータに触れない構造を採用することを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項7に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャは、燃料が満たされた前記アーマチャ室において軸方向に移動可能に支持されるものであり、
前記サブステータと前記アーマチャが当接した状態において前記サブステータと前記アーマチャの間にダンパ室が形成されることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 通電によって磁力を発生する電磁コイルと、
この電磁コイルの発生する磁力が与えられて電磁石となるステータと、
軸方向に移動可能に支持され、磁力が与えられた前記ステータに吸引されるアーマチャと、
このアーマチャに固定された可動子と、
を備える電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャは、表面を絶縁皮膜で覆った磁性体金属粉と樹脂との複合材を固めてなる焼結磁性材製であり、
この焼結磁性材よりなる前記アーマチャは、前記可動子が貫通配置されるとともに、前記可動子に設けられた2つの大径部に挟まれて固定され、さらに前記2つの大径部のうちの一方の大径部が前記アーマチャよりも前記ステータ側に突出して設けられ、
前記アーマチャが前記ステータに吸引された際に、前記ステータと前記一方の大径部とが衝突するように設けられることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項9に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記電磁アクチュエータは、燃料噴射装置におけるインジェクタに搭載されることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項10に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記可動子は、前記インジェクタにおいて噴孔を開閉するニードルであることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項10または請求項11に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャは、燃料が満たされたアーマチャ室において軸方向に移動可能に支持されるものであり、
前記ステータと前記一方の大径部が当接した時、前記一方の大径部の周囲には、前記ステータと前記アーマチャの間にダンパ室が形成されることを特徴とする電磁アクチュエータ。 - 請求項5〜請求項8、請求項10〜請求項12のいずれかに記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記インジェクタの噴射する燃料は、液化ガス燃料であることを特徴とする電磁アクチュエータ。
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