JP3768203B2

JP3768203B2 - 動物用排泄物処理材

Info

Publication number: JP3768203B2
Application number: JP2003140887A
Authority: JP
Inventors: 昇太郎望月
Original assignee: 昇太郎望月
Priority date: 2003-05-19
Filing date: 2003-05-19
Publication date: 2006-04-19
Anticipated expiration: 2023-05-19
Also published as: US20040231610A1; CA2465241A1; CN1550129A; JP2004337130A; US20050160998A1; EP1479291A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は石膏ボードの廃材を尿吸収材の原料して用いた動物用排泄物処理材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
猫等の動物用排泄物処理材として、木材パルプを粒状にした吸水性粒状物、又は木材パルプを通水性シートと遮水性シート間に内包した吸水性シーツが広く販売されている。
【０００３】
代表例として特許文献１においては、木材パルプに無機充填材を配合し、重量を付加した吸水性粒状物を提供している。
【０００４】
又特許文献２においては、木材パルプに無機充填材、澱粉、吸水性ポリマーを選択的に配合して吸水性粒状物の核部分を形成し、該核部分を染料にて染色し、更に該染色した核部分の表面をパルプにて被覆し、該被覆層を通して核部分に排尿が吸収されると、該核部分を染色せる染料分が被覆層に浸潤して被覆層を染色し、使用後と使用前を判別できるようにした動物用排泄物処理材を提供している。
【０００５】
又特許文献２は上記被覆層を通して核部分に排尿が吸収されると、該核部分内に含有する非水溶性顔料を被覆層を通し透視せしめ、使用後と使用前を判別できるようにした動物用排泄物処理材を提供している。
【０００６】
【特許文献１】
特公平３−８７３８号公報（特開平１−２５７１８号公報）
【０００７】
【特許文献２】
特許第２５３４０３１号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
而して上記特許文献１、２における排泄物処理材は無機充填材の含有によって、粒状物の飛散を防止し、粒状物が猫の毛に付着する問題を有効に解決する作用効果を有する。
【０００９】
然しながら無機充填材として掲げられた長石、滑石、炭酸カルシウムは吸水性を減殺し、排尿吸収材としての本来の機能を減殺する問題点を有している。
【００１０】
この種排泄物処理材には、排尿を瞬時に吸収する急速吸水性と、吸収した尿を内部に保持する保水性が求められるが、木材パルプは保水性に優れている反面、急速吸水性において充分な性能が得られず、排尿が便器に敷かれた広面域の処理材に浸潤し、不経済なる問題点を有している。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明は表面に石膏ボード用原紙が貼付された石膏ボードの廃材を利用した動物用排泄物処理材を提供する。
【００１２】
第一の発明は上記廃石膏ボードを破砕して片面に石膏薄層を結着せる破砕紙片を形成し、この破砕紙片の粉砕物を尿吸収材として用いる。該粉砕物は内部に石膏粉を捕捉する棉状離解物から成り、又は微細石膏片を結着する棉状離解物から成り、この棉状離解物を単独又は他の材料と混合して粒状に圧縮造粒して成る動物用排泄物処理材を提供する。
【００１３】
又第二の発明は上記廃石膏ボードを直接粉砕して得られた粉砕物を尿吸収材として用いる。上記と同様、該粉砕物は石膏ボード用原紙が棉状に離解された、内部に石膏粉を捕捉する棉状離解物又は微細石膏片を結着する棉状離解物から成り、この棉状離解物を単独又は他の材料と混合して粒状に圧縮造粒して成る動物用排泄物処理材を提供する。
【００１４】
上記石膏ボードは建物の壁、天井等の下地材、即ち断熱及び防音材として広く使用されており、建物の取り壊しに伴って多量の石膏ボードの廃材が発生する。
【００１５】
これら廃石膏ボードは破砕機にかけて石膏と紙とに分離し、更に紙はこれに付着している石膏分を除去した上で焼却処理している。
【００１６】
他方破砕石膏は混入している破砕紙片を取り除いた上で石膏ボード、又はセメント原料等として再利用することが試行されているが、大部分は産業廃棄物処分場に投棄されているのが現状である。
【００１７】
上記廃石膏ボードの表面には石膏ボード用原紙が貼付され、この原紙は石膏に強力に結合している。従って該石膏ボードを破砕して得られた破砕紙片は、片面に石膏薄層が残存して結着した複合構造を有する。
【００１８】
従って又上記破砕紙片を粉砕して得られた棉状離解物は微細石膏片又は石膏粉を確実に保有する。
【００１９】
本発明は上記紙と石膏とが強く結合した複合構造に着目し、これを吸水材として用い、上記急速吸水性と保水性を富有する動物用排泄物処理材を構成したものである。よって動物用排泄物処理材を安価に提供し、加えて省資源、環境保全に寄与するものである。
【００２０】
上記破砕紙片を粉砕して得られた粉砕物、又は廃石膏ボードを粉砕して得られた粉砕物は、紙の繊維が離解された棉状離解物と微細石膏片とが結合した複合構造を有するか、又は紙の繊維が離解されて形成された棉状離解物の内部に石膏粉が捕捉された複合構造を有し、この両者の複合構造が相補して、動物用排泄物処理材に求められる急速吸水性と保水性を発揮する。
【００２１】
この急速吸水性と保水性とは、廃石膏ボードに由来する棉状離解物に微細石膏片が強く結着した複合構造、又は棉状離解物の内部に石膏粉が捕捉された複合構造によって適切に達成される。加えて石膏の特性により、尿の脱臭効果が期待できる。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下図１乃至図５に基づき、本発明に係る動物用排泄物処理材の実施形態について説明する。
【００２３】
図１に示すように、産業廃棄物として排出される石膏ボード１は、石膏２の対向する表面に補強のための石膏ボード用原紙３が貼付された構造を有する。この石膏ボード１は石膏分が石膏ボード用原紙３の繊維内に滲入して強く結合した構造を有する。
【００２４】
上記石膏ボード１の廃材を破砕機にかけ、図２に示すように、石膏２と石膏ボード用原紙３とを一緒に細かく破砕し、該破砕に伴い破砕紙片３ａから破砕石膏２ａの大部分を強制分離する。
【００２５】
図２、図３に示すように、この破砕石膏２ａから強制分離された破砕紙片３ａの片面には石膏薄層２ｂが残留し、この石膏薄層２ｂが破砕紙片３ａと強く結着した複合構造を有する。この破砕紙片３ａは廃棄物処理場から容易に且つ安価に且つ大量に入手できる。
【００２６】
上記石膏薄層２ｂが結着した破砕紙片３ａを既知のハンマークラッシャーに代表される粉砕機にかけ粉砕する。
【００２７】
又は上記廃石膏ボード１を直接粉砕機にかけ粉砕する。
【００２８】
上記各粉砕により、図４Ａに示すように、破砕紙片３ａの繊維又は廃石膏ボード１の原紙３のパルプ繊維を離解して、微細石膏片２ｃを結着する棉状離解物３ｂを得る。
【００２９】
又は図４Ｂに示すように、上記粉砕により破砕紙片３ａの繊維又は廃石膏ボード１の原紙３のパルプ繊維を離解して、内部に略均一に石膏粉の粒子２ｄを捕捉している棉状離解物３ｂを得る。
【００３０】
又図４Ｃに示すように、上記粉砕により棉状離解物３ｂを構成する各パルプ繊維３ｄの外周面に石膏粉２ｄ′がまぶし付けされる。
【００３１】
上記棉状離解物３ｂを組成物として動物用排泄物処理材を形成する。即ち図５Ａ、Ｂに示すように、上記棉状離解物３ｂを単独又は他の材料と混合し、造粒機にかけ、圧縮造粒して吸水性粒状物４を得る。この吸水性粒状物４を動物用排泄物処理材として用いる。
【００３２】
前記のように、棉状離解物３ｂには他の材料を混合して、吸水性粒状物４を形成できる。
【００３３】
上記混合材として、澱粉、ＣＭＳ（カルボキシメチルスターチ）、ＣＭＣ（カルボキシメチルセルロース）等の植物性粘着材の一又は二以上を用いる。又はこれら植物性粘着材と保水材たる吸水性ポリマーとを併用する。
【００３４】
好ましい例として、上記棉状離解物３ｂの集合材に澱粉又はＣＭＳ又はＣＭＣを混合し、この混合材に噴霧等の方法により貧加水して撹拌し、これを既知の造粒機にかけ圧縮造粒し、乾燥して吸水性粒状物４を形成する。
【００３５】
上記澱粉に代表される植物性粘着材は貧加水された水分により粘着性を発揮し、これをバインダーとして棉状離解物３ｂが互いに結合し、粒状形態を保持する。
【００３６】
上記澱粉及びＣＭＳ、ＣＭＣ、吸水性ポリマーは吸水性を富有すると共に、澱粉及びＣＭＳ並びにＣＭＣは排泄物の水分を吸収すると粘着性を発揮し、吸水性粒状物４相互間を塊状に粘着し、凝固材として機能する。
【００３７】
即ち吸水性粒状物４はトレー等の便器に多数敷設して猫等の排尿に供するが、この尿を吸水した吸水性粒状物４は限定された範囲で相互に粘着し、塊状になる。ユーザーはこの塊状になった部分を便器から取り出し、水洗トイレに流し、新たな吸水性粒状物を便器に供給する。
【００３８】
既知のように、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物等から成る吸水性ポリマーは、排泄物の水分を吸収するとゼラチン状に変質して多量の水分を保持し、保水材として機能する。この吸水性ポリマーの混合により、排泄物の水分が広範囲に広がるのを防止する。
【００３９】
上記棉状離解物３ｂを主材として吸水性粒状物４を形成する場合、図５Ｂに示すように、該粒状物４に吸水性被覆層９を形成することができる。
【００４０】
この吸水性被覆層９は核部分４ａと同様、既述した棉状離解物３ｂを組成物とする。好ましくは、この棉状離解物３ｂに澱粉、ＣＭＳ、ＣＭＣ、吸水性ポリマーを選択的に混合し、上記被覆層９を形成する。
【００４１】
上記吸水性粒状物４の核部分４ａは高密度に圧縮造粒し、この核部分４ａに上記棉状離解物３ｂと上記澱粉又はＣＭＳ又はＣＭＣ又は水性ポリマーの混合物をまぶし付けし、粗密度の吸水性被覆層９を形成する。
【００４２】
この吸水性被覆層９は上記棉状離解物３ｂが担持する石膏粉又は微細石膏片による急速吸水性を発揮する。
【００４３】
上記吸水性粒状物４の吸水材には、抗菌剤や脱臭剤を配合することを妨げない。
【００４４】
又上記吸水性粒状物４の吸水材には、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の重量付加材を配合することを妨げない。
【００４５】
又棉状離解物３ｂと一緒に、廃石膏ボードに由来しないパルプ繊維又は木粉、その他の植物性繊維を混合することができる。
【００４６】
又図５Ａに示す被覆層９を有しない吸水性粒状物４の内部、又は図５Ｂに示す吸水性粒状物４の核部分４ａの内部に染料又は顔料を含有することができる。
【００４７】
又は図５Ｂに示す核部分４ａの外周面に染料又は顔料をコーティングし、該コーティング層１０を上記被覆層９で覆う。
【００４８】
上記吸水性粒状物４は排尿を吸収すると、染料又は顔料によって同粒状物４を発色し、使用済みであることを認識できる。
【００４９】
以上説明した石膏成分との複合材である棉状離解物３ｂは、殊にその石膏成分が吸水性粒状物４に急速吸水性能を付与し、紙成分は保水性を発揮し、動物用排泄物処理材としての適性を付与する。
【００５０】
加えて動物用排泄物処理材を安価に提供すると共に、省資源、環境保全に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】廃石膏ボードの断面図。
【図２】上記廃石膏ボードの破砕状態を示す拡大断面図。
【図３】Ａは上記廃石膏ボードを破砕して得られた破砕紙片を一部切欠して示す平面図、Ｂは同破砕紙片の断面図。
【図４】Ａは上記破砕紙片を粉砕して得られた棉状離解物の複合構造を示す拡大図、Ｂは同他の複合構造を示す拡大図、Ｃは棉状離解物を構成するパルプ繊維の拡大図。
【図５】Ａは上記棉状離解物を組成物とする吸水性粒状物の断面図、Ｂは吸水性被覆層を形成した同吸水性粒状物の断面図。
【符号の説明】
１…廃石膏ボード、２…石膏、２ａ…破砕石膏、２ｂ…石膏薄層、２ｃ…微細石膏片、２ｄ…石膏粉の粒子、２ｄ′…石膏粉、３…石膏ボード用原紙、３ａ…破砕紙片、３ｂ…棉状離解物、３ｄ…パルプ繊維、４…吸水性粒状物、４ａ…核部分、９…被覆層、１０…コーティング層

Claims

表面に石膏ボード用原紙が貼付された廃石膏ボードを破砕して得られた、片面に石膏薄層を結着せる破砕紙片を原料とし；該破砕紙片を粉砕して得られた、内部に石膏粉の粒子を捕捉する棉状離解物又は微細石膏片を結着する棉状離解物を組成物とし；該棉状離解物を単独又は他の材料と混合して粒状に圧縮造粒して成ることを特徴とする動物用排泄物処理材。
表面に石膏ボード用原紙が貼付された廃石膏ボードを粉砕して得られた粉砕物を組成物とし；該粉砕物は石膏ボード用原紙が棉状に離解された、内部に石膏粉の粒子を捕捉する棉状離解物又は微細石膏片を結着する棉状離解物から成り；該棉状離解物を単独又は他の材料と混合して粒状に圧縮造粒して成ることを特徴とする動物用排泄物処理材。