JP3767709B2 - カラー画像表示装置の色調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタを用いず単板の画素表示部を用いて構成したカラー画像表示装置の色調整方法に係り、特に、単一基板上に形成された各色表示用の画素の組ごとにマイクロレンズ等の集光部材を対向配置すると共に、同一光路上に配置された複数のダイクロイックミラーにより白色光を色分解して得た各色光を集光部材に互いに異なる角度で入射させ、集光部材からの各色ごとの出射光を各色表示用の画素に分配入射させることで高輝度化を図ったカラー画像表示装置の色調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶パネルを光スイッチング素子として利用し、液晶パネル上の画像を投射光学系によってスクリーン上に拡大投影するようにした液晶プロジェクタや液晶プロジェクションTV等の開発が盛んに行われている。これらの装置は、薄型で軽量、鮮鋭な画像、地磁気の影響を受けないこと、レジ調整不要等の優れた性能を有している。
【0003】
このような液晶表示装置には、B(青),R(赤),G(緑)の3色のカラーフィルタを備えた液晶パネルを1枚用いて構成した単板方式と、モノクロ液晶パネルをB,R,Gの各光路ごとに設けて構成した3板方式とがある。このうち、単板方式は構造が簡単で小型化・軽量化および低価格化が容易であるが、その一方、カラーフィルタによる光吸収が多いため、高輝度化に難点があると共に、冷却の点でも不利である。
【0004】
このような問題に対処すべく、例えば特開平4−60538号公報あるいは「ASIA DISPLAY ’95,p887」には、液晶画素を駆動する3個の画素ごとに1個の集光用マイクロレンズを対向配置し、このマイクロレンズの各々にそれぞれ異なる方向からB,R,Gの3色を入射させて集光し、その出射光をB,R,Gの3色に対応した画素にそれぞれ入射させるようにした単板方式のカラー液晶表示装置が開示されている。このカラー液晶表示装置では、画素と画素との間の領域(画素駆動用のスイッチング素子であるTFTが形成されたブラックマトリクス部分)に入射した光をも有効利用することができ、実質的な開口率が高くなるので、高輝度化が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカラー液晶表示装置では、各マイクロレンズにそれぞれ異なる方向から入射するB,R,Gの各色光の入射角は、同一光路上に配設した3枚のダイクロイックミラーの角度をそれぞれ調整することで設定されるが、その調整如何によっては、マイクロレンズから出射する各色光は、それぞれ対応する色用の画素のみならず、隣接する他色用の画素にも入射してしまうことがある。この場合には表示画像の色純度が低下し、画品位を著しく損なうおそれがある。
【0006】
しかしながら、従来は、上記のような構成のカラー液晶表示装置におけるダイクロイックミラーの有効な調整方法がなく、特に、高精細化、高画質化、および高輝度化等の要求が強いカラー液晶プロジェクタ等においては、ダイクロイックミラーの調整方法が製造上の大きな課題となっていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高精細な(画素ピッチの小さい)単板方式のカラー画像表示装置においても色純度が低下しないようにダイクロイックミラーの角度調整を最適化することができるカラー画像表示装置の色調整方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るカラー画像表示装置の色調整方法は、色表示の基本となる複数色の各々に対応して設けられると共に自らを透過する色光をその色用の画像信号に応じて変調する画素と、複数画素ごとに共通に配設された集光部材と、白色光を前記色表示の基本となる複数色光に色分解するための複数のダイクロイックミラーとを備え、前記ダイクロイックミラーにより色分解された各色光を前記共通の集光部材に互いに異なる角度で入射させ、集光部材からの各色ごとの出射光を各色用の画素に分配入射させるようにしたカラー画像表示装置において、一の色光と補色関係にある色用の画素のみを通過した当該一の色光の光量の総和を測定し、その測定結果を基に、白色光を当該一の色光に色分解するためのダイクロイックミラーの角度調整を行うように構成したものである。
【0009】
より具体的には、ダイクロイックミラーの角度調整は、当該一の色光と補色関係にある色用の画素のみを通過した当該一の色光の光量の総和が最小になるように行う。この場合、当該一の色光の光量の総和は、当該一の色光のみを透過する色分離フィルタを用いて行い、必要に応じて積分球または拡散板を用いる。色表示の基本となる複数色としては、例えば赤、緑、および青の3原色を採用することができる。
【0010】
このカラー画像表示装置の色調整方法では、一の色光と補色関係にある色用の画素のみを通過した当該一の色光の光量の総和が求められ、その光量の総和を基に、白色光を当該一の色光用のダイクロイックミラーの角度調整が行われる。すなわち、調整対象である色用の画素ではなく、これと補色関係にある隣接画素を透過した当該調整対象の色光を洩れ光として測定し、その洩れ光のレベルに基づいて当該色用のダイクロイックミラーの調整が行われる。各ダイクロイックミラーの角度調整は、色表示の基本となる複数色分解用のすべてのダイクロイックミラーをカラー画像表示装置に組み込んだのちに行うようにすることが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここでは、画像表示装置の一例として、カラーフィルタ(CF)を用いない単板の液晶パネルで構成したカラー液晶プロジェクタ(以下、単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタという。)における色調整方法を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタの色調整方法を説明するための装置配置構成および装置構造を表すものである。ここではまず、単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタ自体の構成および作用を簡単に説明する。
【0013】
〔単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタの構成および作用〕
この単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタ100は、筐体1と、白色光源2と、インテグレータ3と、リレーレンズ4と、コリメータレンズ5と、同一光路上に設けられたダイクロイックミラー6B,6R,6Gと、LCDパネル8を駆動制御するLCD駆動装置7と、ダイクロイックミラー6B,6R,6Gで色分解されたB,R,Gの各色光をカラー画像信号に応じて強度変調する液晶(LCD)パネル8と、LCDパネル8からの出射光を集光してスクリーン(本図では図示せず)上に色合成する投影レンズ9とを備えている。
【0014】
白色光源2としては、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。インテグレータ3は、白色光源2から出射した白色光を拡散させ、液晶パネル8における面内照度分布が均一になるようにするためのものである。LCD駆動装置7は、B,R,Gのうちのある色について調整を行う場合に、その色と補色関係にある色のみをラスタ表示することができるという補色表示機能を備えている。この機能は、具体的には、例えばR色の調整を行う場合にLCDパネル8上のB画素およびG画素のみをシャッタ開状態にして入射光を透過させ、R画素はシャッタ閉状態にして光を透過させないという機能である。この場合の補色表示は、最大限のコントラストで行うことができること(具体的には、B画素およびG画素の光透過率が100%、R画素の光透過率は0%となること)が望ましい。
【0015】
ダイクロイックミラー6B,6R,6Gは互いに微小角をなすように配置されており、コリメータレンズ5から出射した白色平行光を略45°の角度で選択的に反射してB,R,Gの3色に色分解し、それぞれをLCDパネル8に異なる角度で入射させる機能を有している。この例では、ダイクロイックミラー6B,6R,6Gは、図1および図2に示したように、R光がLCDパネル8に垂直に入射し、B光およびG光がR光に対してそれぞれ〔+θ〕,〔−θ〕の角度をもってLCDパネル8に入射するように配置されている。但し、LCDパネル8に垂直入射する光がB光(またはG光)であり、垂直方向に対して〔+θ〕,〔−θ〕の角度で入射する光がR光/G光(またはR光/B光)であるように配置してもよい。ダイクロイックミラー6B,6R,6Gの配置角度は、図1における紙面と平行な方向(振れ角方向)、および紙面と垂直な方向(あおり角方向)の2方向に微調整可能であり、これにより入射角〔+θ〕,〔−θ〕の微調整ができるようになっている。この微調整機構は、例えばマイクロメータ等を治具として取り付けて構成することができる。
【0016】
なお、LCDパネル8の前後にはそれぞれ偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0017】
図2は図1におけるLCDパネル8の断面構造を拡大して表すものである。この図に示したように、LCDパネル8は、画素電極が多数形成された画素基板81と、対向電極およびマイクロレンズ(本図では共に図示せず)が形成された対向基板82と、画素基板81と対向基板82とによって挟まれた液晶層83とを備えている。画素基板81は、ガラス基板81aと、ガラス基板81aの片面側(図の光入射側)に図の下方から上方に向かって規則的に(周期的に)配置されたB光,R光,G光用の画素電極81B,81R,81Gと、これらの各画素電極に対して画像信号に応じた電圧を印加するためのスイッチング素子として機能するTFT(図示せず)等からなるブラックマトリクス部81bとを備えている。各TFTは例えばポリシリコンからなるゲート電極、ドレイン電極およびソース電極(いずれも図示せず)を備えている。このうち、ゲート電極は、図の紙面方向に上下に走るアドレス配線(図示せず)に接続され、ソース電極は図の紙面に垂直な方向に走るB,R,Gのデータ配線(図示せず)に接続され、ドレイン電極は各画素電極81B,81R,81Gに接続されている。そして、アドレス配線とデータ配線とによって選択された画素電極にB,R,Gの画像信号電圧が選択的に印加されることによって、その画素電極と対向電極82dとの間の液晶層83中の液晶分子の配向が変化し、ここを通過する光の偏光方向を変化させるようになっている。ブラックマトリクス部81bは、図示しないアルミニウム等の金属膜で遮光され、光照射によってTFTが誤動作することがないようになっている。
【0018】
一方、対向基板82はガラス基板82aと、ガラス基板82aの一方の面側((光出射側)に形成された集光用のマイクロレンズ82bと、マイクロレンズ82bの上に密着配置されたカバーガラス82cとを備えている。
【0019】
対向電極82dは、カバーガラス82cの全面あるいは必要な領域(すなわち、少なくとも画素基板81の画素電極81B,81R,81Gと対向する領域)に形成された透明電極であり、一定の電位に固定されている。
【0020】
マイクロレンズ82bは、例えば基板をレンズ状にエッチングして透明樹脂を埋め込む方法や選択的イオン拡散法による屈折率分布型レンズとして形成されるが、その他の任意の方法で形成されたものであってもよい。また、マイクロレンズ82bは、通常は図の紙面と垂直方向に軸を有する蒲鉾型レンズとして形成されるが、そのほか、一般の球面状またはそれに近い曲面のレンズであってもよい。
【0021】
マイクロレンズ82bは、画素基板81の3つの画素電極81B,81R,81Gに対して1個ずつ形成配置されている。そして、異なる3つの方向から各マイクロレンズに入射したB,R,Gの光束はそれぞれ集光され、液晶層83を経て画素電極81B,81R,81Gにそれぞれ入射するようになっている。ここで、例えば垂直入射のR光に着目すると、マイクロレンズ82bの焦点は、通常は画素電極81R上もしくはその近傍に設定するが、必要に応じてガラス基板81aの内部の深い所に設定するようにしてもよい。他の光(B光およびG光)についても同様である。
【0022】
次に、このような構成の単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタの作用を説明する。
【0023】
図1に示したように、白色光源2から出た白色光は、インテグレータ3で光拡散を受けたのち、リレーレンズ4を経てコリメータレンズ5によって平行光となり、ダイクロイックミラー6B,6R,6Gに入射する。この平行白色光は、ダイクロイックミラー6B,6R,6GによってB,R,Gの3色に色分解されたのち、図示しない前側偏光板を経て直線偏光にされ、LCDパネル8のマイクロレンズ82bにそれぞれ異なる方向から入射する。LCDパネル8は、B,R,Gの各色光をカラー画像信号に応じて強度変調して出射する。
【0024】
ここで、マイクロレンズ82bのうちの1つのマイクロレンズMLに入射する光について考える。R光はガラス基板82aに垂直に入射するので、マイクロレンズMLの光軸が通る画素電極81R上またはその近傍に焦点を結ぶ。また、B光はガラス基板82aに入射角θで入射し、屈折角ψで屈折したのち、これと同じ入射角ψでマイクロレンズMLに入射し、マイクロレンズMLの光軸と角ψをなす直線が通り画素電極81Rと隣り合っている画素電極81B上またはその近傍に焦点を結ぶ。同様に、G光はガラス基板82aに入射角〔−θ〕で入射し、屈折角ψで屈折したのち、これと同じ入射角ψでマイクロレンズMLに入射し、マイクロレンズMLの光軸と角〔−ψ〕をなす直線が通り画素電極81Rと隣り合っている画素電極81G上またはその近傍に焦点を結ぶ。
【0025】
このとき、与えられた画素信号に応じて画素電極81B,81R,81Gへの印加電圧が変化し、これに応じて液晶層83中を通過するB,R,Gの各色光の偏光方向が変調を受ける。
【0026】
画素基板81の画素電極81B,81R,81G上またはその近傍にそれぞれ焦点を結んだB,R,Gの各色光は、再びそれぞれ拡がってガラス基板81aから出射し、図示しない後側偏光板を選択的に透過したのち、投影レンズ30によって集光されてスクリーン40上に色合成される。
【0027】
次に、上記のような構成の単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタの色調整方法を説明する。
【0028】
〔ダイクロイックミラーの角度調整方法の説明〕
本調整方法では、図1に示したように、単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタ100の光出射側に色分離フィルタ10を配置すると共に、この色分離フィルタ10の光出射側に積分球11を配置する。そして、色分離フィルタ10を通った光を積分球11に入射させてその平均照度を測定しながら、その測定値が後述する所定の条件を満たすようにダイクロイックミラー6B,6R,6Gの角度調整を行う。積分球11は光センサ12を備え、この光センサ12によって光電変換された検出電圧が平均照度として照度計13に表示されるようになっている。色分離フィルタ10は、B,R,Gのうちいずれか一色のみを透過させるという機能を有するものである。その材質等は特に問わないが、色純度特性、すなわち分光透過特性が十分良いものを使用するのが望ましい。なお、色分離フィルタ10としては、B透過用、R透過用およびG透過用の3種類が必要であるが、これらをターレット式に組み込み、回転またはスライド操作によってワンタッチでフィルタを交換できるようにすると作業性が良く、好適である。
【0029】
次に、図1〜図3を参照して、本発明に係るカラー画像表示装置の色調整方法を具体的に説明する。ここでは、簡単のため、ダイクロイックミラー6Bの角度調整は図1の紙面内での回転方向にのみ行うものとして説明する。但し、紙面と垂直方向(あおり方向)に調整する場合にも適用できるのはもちろんである。
【0030】
まず、例えばR色の調整を行う場合の手順を説明する。R色の調整はダイクロイックミラー6Rの角度調整により行う。この場合、色分離フィルタ10としてはR透過用フィルタ10Rを用い、LCDパネル8のラスタ表示は、調整対象のR色と補色関係にあるG/B表示とする。この場合、LCD駆動装置7は、図2の画素基板81上の各TFTを選択的に駆動制御することにより、G画素PG およびB画素PB のみをシャッタ開状態とし、R画素PR はシャッタ閉状態とする。この状態でダイクロイックミラー6Rの角度を微調整すると、R光の焦点位置が図2の上下方向に振れる。理想的には焦点は文字通り「点」であるが、実際にはマイクロレンズ82bの収差や回折等の影響によって焦点がぼやけてしまう。その結果、R光束の一部が目標であるR画素PR からはみ出し、隣接するブラックマトリクス部81b、さらには隣り合う画素(G画素PG およびB画素PB )にも差しかかることとなる。これらの隣接画素PG ,PB には、マイクロレンズ82bから互いに異なる角度で出射するG光およびB光もそれぞれ入射している。この結果、G画素PG を通る光は、R光の一部(以下、R洩れ光という。)およびG光となり、B画素PB を通る光は、R洩れ光およびB光となる。したがって、最終的にLCDパネル8から出射する光は、G光、B光、並びにG画素PG およびB画素PB を通過したR洩れ光の混合したものとなる。
【0031】
これらの混合光が色分離フィルタ10Rに入射すると、このうちG光およびB光がカットされて、G画素PG およびB画素PB を通過したR洩れ光のみが通過し、積分球11に入射する。積分球11の光センサ12は、積分球11の内面での乱反射の結果得られる照度の積分値(平均照度)を検出し、照度計13にその値を表示する。このようにして得られた値は、ダイクロイックミラー6Rによって分離生成後マイクロレンズ82bで集光されたR光のうち、LCDパネル8の画素基板81におけるR画素PR 以外の画素PG ,PB を通過したR洩れ光の総和を表している。
【0032】
ここで、本調整方法では、上記したR洩れ光のレベルが最小となる点をベスト位置としてダイクロイックミラー6Rの調整を行う。これにより、G画素PG を通過したR洩れ光とB画素PB を通過したR洩れ光の強度をほぼ等しくすることが可能となる。これは次のような理由による。
【0033】
図4は、R洩れ光の総和が、G画素PG を通過したR洩れ光とB画素PB を通過したR洩れ光との強度比とどのような関係にあるかを表すものである。この図で、横軸はG画素PG を通過したR洩れ光とB画素PB を通過したR洩れ光との強度比を表し、縦軸はR洩れ光の総和を表す。なお、各軸とも単位は任意としている。この図に示したように、G画素PG を通過したR洩れ光とB画素PB を通過したR洩れ光とは、R洩れ光の総和が最小となるときに略等しくなっている。この点を踏まえて、本調整方法では、LCDパネル8から出射するR洩れ光の総和が最小となるようにダイクロイックミラー6Rの角度調整を行うことにより、R画素PR に隣接するG画素PG およびB画素PB をそれぞれ通過したR洩れ光のレベルを等しくし、色バランスを良好にすることができる。しかも、実際上、R洩れ光は混色成分として存在することから、上記のような調整を行うことにより、GおよびB色についての色純度を最適化することもできる。
【0034】
次に、G色の調整を行う場合の手順を説明する。G色の調整はダイクロイックミラー6Gの角度調整により行う。この場合、色分離フィルタ10としてはG透過用フィルタ10Gを用い、LCDパネル8のラスタ表示は、調整対象のG色と補色関係にあるR/B表示とする。この場合、LCD駆動装置7は、図2の画素基板81上の各TFTを選択的に駆動制御し、R画素PR およびB画素PB のみをシャッタ開状態とし、G画素PG はシャッタ閉状態とする。この場合、R画素PR を通る光は、G光の一部(以下、G洩れ光という。)およびR光となり、B画素PB を通る光は、G洩れ光およびB光となる。したがって、最終的にLCDパネル8から出射する光は、R光、B光、並びにR画素PR およびB画素PB を通過したG洩れ光の混合したものとなる。この混合光が色分離フィルタ10Gに入射すると、このうちR光およびB光がカットされて、R画素PR およびB画素PB を通過したG洩れ光のみが通過し、積分球11に入射する。これにより、照度計13に平均照度が表示される。こうして得られた値は、ダイクロイックミラー6Gによって分離生成後マイクロレンズ82bで集光されたG光のうち、LCDパネル8の画素基板81におけるG画素PG 以外の画素PR ,PB を通過したG洩れ光の総和を表している。そして、このG洩れ光の総和が最小となるようにダイクロイックミラー6Gを調整する。これにより、G画素PG に隣接するR画素PR およびB画素PB をそれぞれ通過したG洩れ光のレベルを等しくし、色バランスを良好にすることができ、しかも、RおよびB色についての色純度を最適化することができる。
【0035】
B色の調整も上記と同様の原理に基づき、ダイクロイックミラー6Bの角度調整により行う。この場合、色分離フィルタ10としてはB透過用フィルタ10Bを用い、LCDパネル8のラスタ表示は、調整対象のB色と補色関係にあるR/G表示とする。そして、LCDパネル8の画素基板81におけるB画素PB 以外の画素PR ,PG を通過したB洩れ光の総和が最小となるようにダイクロイックミラー6Bを調整することにより、B画素PB に隣接するR画素PR およびG画素PG をそれぞれ通過したB洩れ光のレベルを等しくし、色バランスを良好にすることができ、しかも、GおよびR色についての色純度を最適化することができる。
【0036】
次に、本実施の形態における色調整方法の効果について、考え得る他の色調整方法と対比しながら説明する。
【0037】
〔本実施の形態における色調整方法の効果〕
図1に示したような単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタにおいては、原理的に、上記した方法の他に次の2つの方法が考えられる。
【0038】
(1)B,R,Gのダイクロイックミラーを1枚だけ装置本体(単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタ)に組み込み、そのダイクロイックミラー以外のある色の単色ラスタ表示(例えば、ダイクロイックミラー6Gを調整するときはBラスタ表示)状態にした上で、そのラスタ表示をしている色の画素(ここではB画素)を通過した調整対象の色光(ここではG光)の光量を測定する。次に、他の一色の単色ラスタ表示(ここではRラスタ表示)状態にした上で、そのラスタ表示をしている色の画素(ここではR画素)を通過した調整対象の色光(ここではG光)の光量を測定する。そして、各測定値が最小となり、かつ両測定値が等しくなるようにダイクロイックミラー6Gを調整する。そして、このような調整を各ダイクロイックミラーについて順次行う。
【0039】
(2)3枚のダイクロイックミラーを装置本体に組み込んだ上で、調整対象である色(例えばG)の単色ラスタ表示(Gラスタ表示)を行い、この状態で調整対象のダイクロイックミラー6Gを調整する。そして、LCDパネルから出射するG光の光量が最大となるように調整する。この調整を各ダイクロイックミラーについて順次行う。
【0040】
しかしながら、上記の2つの方法には、それぞれ次のような欠点がある。
すなわち、まず(1)の方法では、LCDパネルの画素を駆動する信号(単色ラスタ表示のための駆動信号)の切り換えを各ダイクロイックミラーごとに行わなければならず、しかも、ダイクロイックミラーの交換に時間を要する。このため、作業性が極端に悪く、量産性に乏しい。
【0041】
また、(2)の方法で調整を行った場合、LCDパネルには斜め方向から光が入射するようになることから、調整対象画素を通過する光量が最大となるときのダイクロイックミラー位置と、調整対象画素の両側隣接画素における洩れ光の光量が等しくなるときのダイクロイックミラー位置とは必ずしも一致しない。このため、そのような調整をしたとしても、色純度は著しく低下してしまう。
【0042】
これに対し、本実施の形態に係る色調整方法では、3枚のダイクロイックミラー6B,6R,6Gをすべて組み込んだ状態で各ダイクロイックミラーについての調整が可能であり、また、それぞれのダイクロイックミラーの調整中においてはラスタ表示駆動信号を切り換える必要がない。このため、作業性が極めてよく、量産性に適している。また、本実施の形態に係る色調整方法では、調整対象画素の両側隣接画素における洩れ光の光量の総和が最小となるようにダイクロイックミラーを調整すれば、当該両側隣接画素における洩れ光の光量が互いに等しくなるようにすることができるので、色再現範囲および色純度を十分に確保するような調整が可能となり、画品位を高めることができる。
【0043】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その均等の範囲で種々変形可能である。例えば、上記の各実施の形態では、画素電極駆動用のTFTを画素基板の側に配置したLCDパネルを例にとって説明したが、このTFTを対向基板側に配置するようにしたLCDパネルについても本発明の調整方法を適用できる。さらに、集光機能を有するものであればマイクロレンズ以外のものを集光部材として使用したLCDパネルについても本発明の調整方法を適用することは可能である。
【0044】
また、本実施の形態では、積分球を用いて平均照度を得るようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、拡散板を用いて行うようにしてもよい。この場合には、積分球の場合に比べて調整に要するスペースを小さくできる点で有利である。さらに、積分球や拡散板を使用せず、投影スクリーン上の何箇所か(中央部や四隅部等)に照度計を直接配置して測定するようにしてもよい。但し、この場合には、ダイクロイックミラーの回転調整によって表示画面の輝度むら(ホットスポット)が変動するので測定誤差が生ずる可能性がある。これに対し、積分球や拡散板を用いた場合には全光束の平均照度を得ることができるので、表示画面のホットスポットの変動を相殺でき、表示領域全域における調整が可能となる点で有利である。
【0045】
また、本実施の形態では、色表示の基本となる複数色を赤、緑、および青の3原色として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色を基本色として採用してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、B,R,Gの各色光を強度変調する手段が液晶パネルである場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、他のタイプの素子を用いたカラー画像表示装置にも同様に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項6記載のカラー画像表示装置の色調整方法によれば、調整対象である色用の画素ではなくこれと補色関係にある両側隣接画素を透過した当該調整対象の色光を洩れ光として測定し、その洩れ光のレベルに基づいて当該色用のダイクロイックミラーを調整するようにしたので、複数のダイクロイックミラーをすべて組み込んでから各色光ごとの調整を行うことが可能となると共に、それぞれのダイクロイックミラーの調整中においてはラスタ表示の設定は1種類のみで足り、ラスタ表示駆動信号を切り換える必要がない。このため、量産時における色調整作業を簡略化して製造工数を削減することができるという効果がある。
【0048】
特に、請求項2記載のカラー画像表示装置の色調整方法によれば、光量の総和が最小になるようにダイクロイックミラーを調整するようにしたので、調整の目標ポイントが明確であり、調整作業が容易である。しかも、この光量の総和が最小となるときに、調整対象画素と補色関係にある画素(両側隣接画素)に洩れる洩れ光レベルが略等しくなることから、色再現範囲および色純度を十分に確保するような調整が可能となり、画品位を向上できるという効果がある。
【0049】
また、請求項5または請求項6記載のカラー画像表示装置の色調整方法によれば、積分球または拡散板を用いて光量の総和を測定するようにしたので、表示画面におけるホットスポットの変動を相殺した表示領域全域における調整が可能となる。特に、拡散板を用いた場合には、作業スペースを低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカラー画像表示装置の色調整方法を説明するための装置配置図である。
【図2】図1におけるLCDパネルの構造および作用を表す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るカラー画像表示装置の色調整方法を説明するための図である。
【図4】R洩れ光の総和が、G画素を通過したR洩れ光とB画素を通過したR洩れ光との強度比とどのような関係にあるかを表す図である。
【符号の説明】
2…白色光源、3…インテグレータ、4…リレーレンズ、5…コリメータレンズ、6B,6R,6G…ダイクロイックミラー、7…LCD駆動装置、8…LCDパネル、9…投影レンズ、10…色分離フィルタ、11…積分球、12…光センサ、13…照度計、81…画素基板、81a…ガラス基板、81b…ブラックマトリクス部、81B,81R,81G,…画素電極、82…対向基板、82a…ガラス基板、82b…マイクロレンズ(集光部材)、82c…カバーガラス、82d…対向電極、100…単板CFレス方式カラー液晶プロジェクタ
Claims (6)
- 色表示の基本となる複数色の各々に対応して設けられると共に自らを透過する色光をその色用の画像信号に応じて変調する画素と、複数画素ごとに共通に配設された集光部材と、白色光を前記色表示の基本となる複数色光に色分解するための複数のダイクロイックミラーとを備え、前記ダイクロイックミラーにより色分解された各色光を前記共通の集光部材に互いに異なる角度で入射させ、集光部材からの各色ごとの出射光を各色用の画素に分配入射させるようにしたカラー画像表示装置において、
一の色光と補色関係にある色用の画素のみを通過した前記一の色光の光量の総和を測定し、
その測定結果を基に、白色光を前記一の色光に色分解するためのダイクロイックミラーの角度調整を行うことを特徴とするカラー画像表示装置の色調整方法。 - 前記光量の総和が最小になるように、前記一の色光を色分解するダイクロイックミラーの角度調整を行うことを特徴とする請求項1記載のカラー画像表示装置の色調整方法。
- 前記一の色光と補色関係にある色用の画素のみを通過したすべての色の光から前記一の色光のみを色分離フィルタによって分離し、この分離した一の色光の光量を測定するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカラー画像表示装置の色調整方法。
- 前記色表示の基本となる複数色が、赤、緑、および青の3原色であることを特徴とする請求項2記載のカラー画像表示装置の色調整方法。
- 前記光量の総和の測定は、積分球を用いて行うことを特徴とする請求項1記載のカラー画像表示装置の色調整方法。
- 前記光量の総和の測定は、拡散板を用いて行うことを特徴とする請求項1記載のカラー画像表示装置の色調整方法。
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