JP3766940B2 - 既存建築物の耐震補強方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、既存建築物の耐震補強方法、特に、その既存柱、既存梁及び既存床に沿って補強柱及び補強梁からなる補強フレームを構築して既存建築物を補強する耐震補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存建築物の耐震補強方法には、例えば、次の▲1▼〜▲4▼のようなものがある。
▲1▼ 既存建築物の鉄筋コンクリート造の柱の外側に、その長手方向に延在させて配された複数の添え筋と該添え筋の外側にその長手方向に間隔をおいて配された複数のフープ筋とからなる補強鉄筋を配置し、この補強鉄筋の外側に型枠を配置し、型枠の内側面と柱の外側面との間の隙間をモルタル又はコンクリートで埋め、モルタル又はコンクリートの硬化後に型枠を外す方法。
▲2▼ 既存建築物の鉄筋コンクリート造の柱の外側を、鉄板等からなる補強用部材で覆い、この補強用部材の内側面と柱の外側面との間の隙間をモルタル又はコンクリートで埋める方法。
▲3▼ 既存鉄筋コンクリート造等の建築物の架構の柱及び梁に間隔をおいて多数のアンカー用鉄棒を植設し、前記架構の内側に金属枠体を配し、該金属枠体をアンカー用鉄棒を介して柱及び梁に取付け、前記金属枠体内に金属製のブレース材を配し、このブレース材の両端部等を金属枠体に固着し、ブレース材にて架構を補強する方法。
▲4▼ 既存鉄筋コンクリート造等の建築物の架構の柱及び梁に間隔をおいて多数のアンカー用鉄筋を植設し、前記架構内に縦鉄筋と横鉄筋とからなる壁鉄筋を配し、この壁鉄筋をアンカー用鉄筋を介して柱及び梁に取付け、壁鉄筋の周囲に割裂防止筋を配し、壁鉄筋及び割裂防止筋の両側に型枠を配し、型枠間の隙間をモルタル又はコンクリートで埋め、モルタル又はコンクリートの硬化後に型枠を外し、耐震壁を構築する方法。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲1▼及び▲2▼の耐震補強方法は、柱や梁の部材の断面を増大させて、それらを強化させ、それらの剪断耐力を増加させるものであり、部材の剪断耐力は増大するが、架構の曲げ耐力が増加しないため、建築物のトータルの強度の大幅な上昇は見込めないことが多い。
上記▲3▼のブレースを新設する耐震補強方法及び上記▲4▼の耐震壁を新設する耐震補強方法は、剪断耐力の大幅な上昇が見込め、基準値を満足させるのに有効な方法である。しかし、ブレース又は耐震壁(めくら壁)を新設することが、従来の建物動線を致命的に遮断する場合が多く、その建築物の部屋の使い勝手を悪くしてしまうという欠点がある。
また、多量のコンクリートを使う耐震補強方法は、建築物自体の重量の上昇を招き、逆に建築物の耐震性を低下させることになる恐れがある。
この発明の解決しようとする課題は、上記▲1▼〜▲4▼のような従来技術が有している欠点を有しない既存建築物の耐震補強方法を提供すること、換言すると、既存建築物の柱、梁及び床からなる架構を補強フレームで覆うことにより(既存建築物の内部にブレースや耐震壁を設けることなく)、その使い勝手を損ねることなく、その剪断耐力を大幅に上昇させ得る既存建築物の耐震補強方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の既存建築物の耐震補強方法は、少なくとも既存柱、既存梁及び既存床を備えた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震補強方法において、既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築するものである。
【0005】
この発明の好適な実施形態にあっては、例えば、次の(A)〜(D)ようにする。
(A)仕口補強体の床上部分を鋼板製の外上ダイヤフラムで構成し、その床下部分を鋼製の外下ダイヤフラムと、外中ダイヤフラムと、外下ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを連結する仕口柱部材及び接続板とで構成し、既存柱の周囲の既存床のその下側に既存梁が存在しない部分に既存柱に沿って既存床を貫通する縦溝孔を設け、前記仕口柱部材と一体化される鋼製の床柱部材を前記縦溝孔に通し、仕口柱部材及び床柱部材と補強柱とを一体化する。
(B)鋼製の仕口補強体の床下部分は、既存梁と既存柱との接合部の近傍の既存床の下面を覆う部分と前記接合部の近傍の既存梁を受け入れる溝部と補強梁の床下梁部材の上弦部材の取付部とを備えた外中ダイヤフラムと、既存梁の幅よりも幅広で前記接合部の近傍の既存梁の下側を覆う部分と補強梁の床下梁部材の底連結部材の取付部とを備えた外下ダイヤフラムと、既存梁と既存柱との接合部分の既存梁が接合されていない部分を覆う複数の仕口柱部材と、既存柱の周囲の既存床のその下側に既存梁が存在しない部分に既存柱に沿って既存床を貫通させて設けた複数の縦溝孔にそれぞれ通す複数の床柱部材と、前記接合部分の近傍の既存梁の両側面を覆う複数対の接続板とからなり、前記接合部の近傍の既存梁の梁成に対応させて外中ダイヤフラムと外下ダイヤフラムとを配置し、外中ダイヤフラムと外下ダイヤフラムとの間に各仕口柱分材及び各接続板を配置し、各仕口柱部材の上部及び下部を外中ダイヤフラム及び外下ダイヤフラムの既存梁側の部分に接合し、各対の接続板の上部及び下部を既存梁の幅に対応する間隔を保って外中ダイヤフラム及び外下ダイヤフラムの既存梁方向に延びる部分に接合し、仕口柱部材と床柱部材とを接合して一体のものとして構成する。
【0006】
(C)既存床を貫通させた鋼製の連結部材(例えば、ボルト、スタッド)にて外上ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを既存床を挾んで接合する。
(D)補強梁の床下梁部材の構成部分(上弦部材、下弦部材、ラチス材及び底連結部材)は既存梁に植設したアンカーを用いて既存梁に固着する。また、仕口補強体の床下部分(外下ダイヤフラム、外中ダイヤフラム、仕口柱部材及び接続板)は既存梁等に植設したアンカーを用いて既存梁等に固着する。そして、それらの座屈を防止する。
(E)鋼製の補強梁の床上梁部材を既存梁の幅よりも幅広にし、補強梁の床下梁部材を対の平面トラスを既存梁の幅に合わせて平行に配し各平面トラスの下弦部材を鋼製の底連結部材で連結して横断面略U形にして形成し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材(例えば、ボルト、スタッド)にて補強梁の床上梁部材と床下梁部材の平面トラスの上弦部材とを既存床を挾んで接合する。
(F)補強梁の床下梁部材の対の平面トラスの上弦部材は山形鋼で構成し、各平面トラスの下弦部材を連結する底連結部材は、既存梁の幅よりも幅広につくる。
(G)補強梁の床上梁部材は、鋼製のモザイク板を接合して構成し、また、仕口補強体の外上ダイヤフラム、外下ダイヤフラム及び外中ダイヤフラムも鋼製のモザイク板を接合して構成する。
(H)仕口補強体の外上ダイヤフラムをつくるための鋼製のモザイク板又は補強梁の床上梁部材をつくるための鋼製のモザイク板の下面の所定位置に、鋼製の連結部材(例えば、ボルト、スタッド)又はナットを溶接等の接合手段により強固に接合しておくと、ボルトの頭部やナットが前記板の上側に突出しない。
(I)既存床に貫通させて穿設した孔又は溝孔の内周面と該孔又は溝孔に通された連結用の部材の外周面との間の隙間はモルタル、セメント、接着剤等の充填材で埋めるようにする。
【0007】
【作用】
この出願の発明は、既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築するから、補強フレーム単独で耐震上の耐力を有し、この耐力を既存建築物に累加することができる。
【0008】
【実施例】
実施例は、図1〜図10に示され、この出願の発明を鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震補強に適用した例である。
図1及び図6に示す既存建築物1は、鉄筋コンクリート造で多層に建築され、横断面四角形の多数の既存柱2(1本だけ図示)が横断面矩形の多数の既存梁3(4本だけ図示)で連結され、既存床4が既存梁3の上側に既存梁3及び既存柱2と一体に構築されている。
補強フレーム10は、補強柱11、補強梁12、仕口補強体13等で構成される。
補強柱11は、図1及び図2に示すように、既存柱2の下部の既存床4の床面と既存柱2の上部の既存梁3の下面との間の既存柱2を覆う鋼製の筒体で構成される。図示の既存柱2は、横断面が四角形であるため、既存柱2の外形と一致する内形を備えた鋼製の四角筒体で補強柱11が構成されている。
補強柱11は、例えば、前記四角筒体をその中心軸線と四角筒体の一つの平面の長手方向に延びる2等分線とを含む平面にて2等分した形状(横断面がコ字状)の鋼製の樋状体を用意し、対の樋状体を外側から既存柱2に嵌め、対の樋状体の互いに対面する長手方向の端縁を溶接等の接合手段により接合して形成する。
【0009】
補強梁12は、床上梁部材12A、床下梁部材12B及び連結部材で構成される。
床上梁部材12Aは、図1及び図2に示すように、既存梁3の直上の既存床4の上側に、多数の鋼製のモザイク板Pm1を一列に並べ、それらの突合せ部分を溶接(下向き隅肉溶接)等の接合手段により互いに接合してなる幅W1の板状体で構成される。幅W1は、例えば、既存梁4の幅Wの倍以上である。
実施例のモザイク板Pm1の平面視の形状は、図2に示すように、短辺がW1/2で長辺がL1(例えば、L1はW1より長い)の二つの矩形Pm1a,Pm1bをそれらの長辺の半分が重なるように長手方向にずらして接合した形状であるが、これに限定するものではない。
図示の実施例では、各モザイク板Pm1には、その既存梁3の上面に対面しない部分に4個のボルト孔bh1が穿設されているが、ボルト孔の数は4以上にするのがよい。
【0010】
床下梁部材12Bは、図1及び図6に示すように、1対の平面トラス12B1を底連結板12B2にて接合して断面略U字形にしたラチス梁形式のものである。平面トラス12B1は、不等辺山形鋼からなる上弦部材12B1aと鋼板製の幅狭の下弦部材12B1bとの間に鋼製のラチス部材12B1cをジクザク状に配し、ラチス部材12B1cの上部及び下部を上弦部材12B1aの不等辺山形鋼の短辺部及び下弦部材12B1bに溶接等の接合手段により接合して製作する。 底連結板12B2は既存梁3の幅Wよりも幅が広く床上梁部材12Aの幅W1よりも幅が狭い幅W2の鋼製の板体で構成され、この底連結板12B2の上側に1対の平面トラス12B1を既存梁3の幅Wに合わせて平行に配置し、各平面トラス12B1の下弦部材12B1bの下端縁を底連結板12B2の上面に溶接等の接合手段により接合して床下梁部材12Bとする。又は底連結板12B2の上面に1対の下弦部材12B1bを溶接等の接合手段により接合してから、この下弦部材12B1bにラチス部材12B1cと上弦部材12B1aを接合して構成するようにしてもよい。
上弦部材12B1aの不等辺山形鋼の長辺部分に床上梁部材12Aのボルト孔bh1に対応させてボルト孔bh2をそれぞれ穿設し、各ラチス部材12B1cにも、ボルト孔bh2を穿設する。
なお、図7に示すように、1対の下弦部材12B1bと底連結板12B2とを横断面が[ 形の鋼材で構成して、床下梁部材12Bを製作してもよい。
【0011】
仕口補強体13は、図1〜図5及び図8に示すように、鋼製の外上ダイヤフラム13A1からなる床上部分13Aと、鋼製の外下ダイヤフラム13B1、外中ダイヤフラム13B2、仕口柱部材13B3、床部柱部材13B4及び接続板13B5からなる床下部分13Bとを連結部材で連結して構成される。
外上ダイヤフラム13A1は、既存梁3と既存柱2との接合部の近傍の既存床4の上面を覆う部分13A1aと、補強梁12の床上梁部材12Aの取付部13A1b1のある既存梁方向に延びる部分13A1bとを備え、例えば、4枚の鋼板製のモザイク板Pm2を接合して製作される。
実施例のモザイク板Pm2の形状は、例えば、図2に示すように、短辺がW1/2で長辺がL2(例えば、L2はW1より大きい)の長い矩形Pm2aと、短辺がW1/2で長辺がL3(例えば、L3はL2よりW1/2だけ短い)の短い矩形Pm2bと、前記矩形Pm2a,Pm2bをつなぐ直角三角形Pm2cとからなる平面視略L字形の形状である。
モザイク板Pm2の長い矩形Pm2aの部分の既存梁3の上面と重ならない部分に二つのボルト孔bh3を穿設し、その短い矩形Pm2b部分の既存梁3の上面と重ならない部分に一つのボルト孔bh3を穿設する。
図2に示すように、既存柱2の周囲の既存床4上に4枚のモザイク板Pm2を配置し、互いに隣接するモザイク板Pm2の矩形Pm2a,Pm2b部分の長い辺と短い辺とを溶接(例えば、下向き隅肉溶接)等の接合手段により接合して仕口補強体13の床上部分13Aとなる外上ダイアフラム13A1を形成する。
【0012】
外下ダイヤフラム13B1は、図5に示すように、既存梁3と既存柱2との接合部の近傍の既存床4の下側を覆う部分13B1aと、接合部の近傍の既存梁3の下面を覆いかつ補強梁12の床下梁部材12Bの底連結部材12B2の取付部13B1b1のある既存梁方向に延びる部分13B1bとを備え、例えば、4枚の鋼板製のモザイク板Pm3を接合して製作される。
実施例のモザイク板Pm3の形状は、例えば、図5に示すように、短辺がW1/2で長辺がL4(例えば、L4はL2より少々大きい)の二つの長い矩形Pm3a,Pm3bと直角三角形Pm3cとからなる平面視略L字形の形状である。
既存柱2の周囲の既存梁3の近傍の既存梁3の下面に接するように4枚のモザイク板Pm3が配され、互いに隣接するモザイク板Pm3の矩形Pm3a,Pm3b部分の長い辺を溶接等の接合手段により接合して外下ダイヤフラム13B1が形成される。
中ダイヤフラム13B2は、既存梁3と既存柱1との接合部の近傍の既存床4の下面を覆う部分13B2aと、接合部の近傍の既存梁3を受け入れる溝部13B2cと補強梁12の床下梁部材12Bの上弦部材12B1の取付部13B2b1とのある既存梁方向に延びる部分13B2bとを備え、例えば、4枚の鋼製のモザイク板Pm4で構成される。
実施例のモザイク板Pm4の形状は、例えば、短辺が(W1−W)/2で長辺がL5の端部に切欠きのある長い矩形Pm4a,短辺が(W1−W)/2で長辺がL6(例えば、L6はL5より少々短い)の端部に切欠きのある長い矩形Pm4bと直角三角形Pm4cとからなる図4に示す平面視略L字状の形状である。
各モザイク板Pm4の長い矩形Pm4a,Pm4bに沿ってモザイク板Pm2のボルト孔bh3に対応させてボルト孔bh4が穿設される。
【0013】
仕口柱部材13B3は、図1及び図4に示すように、既存柱2と既存梁3との接合部の既存梁3が接合されていない既存柱2の部分2bを覆い得る形状及び寸法の鋼製の横断面L字形の部材で構成される。
既存柱2の周囲の既存床4のその直下に既存梁3が存在しない部分に、既存柱2に沿って既存床4を貫通する平面視L字形の縦溝孔4aを穿設する。
床部柱部材13B4は、図3に示すように、前記縦溝孔4aに対応する既存柱2の部分を覆い得る形状及び寸法の横断面L字形の鋼製の部材で構成される。
なお、仕口柱部材13B3と床部柱部材13B4とは一体に形成してもよいし、別個に製作して、組み付け時に溶接等の接合手段により接合するようにしてもよい。
接続板13B5は、図1、図4及び図8に示すように、既存柱2よりの既存梁3の両側面を覆い得る形状及び寸法の鋼製の板体で構成される。
【0014】
外中ダイヤフラム13B2と外下ダイヤフラム13B1と間に、仕口柱部材13B3及び接続板13B5を配し、仕口柱部材13B3及び接続板13B5の上端縁を外中ダイヤフラム13B2の既存柱側の端縁の下側及び溝部13B2c側の端縁の下側に溶接等の接合手段により接合し、接続板13B5及び仕口柱部材13B3の下端縁を外下ダイヤフラム13B1の上面及び既存柱側の端縁の上側に溶接等の接合手段により接合し、仕口柱部材13B3及び接続板13B5の上下方向の端縁同士を溶接等の接合手段により接合して仕口補強体13の床下部分13Bが形成される。
仕口補強体13の床下部分13Bの既存柱2及び既存梁3への取付等を容易にするためには、例えば、モザイク板Pm4とモザイク板Pm3との間に仕口柱部材13B3及び接続板13B5を配し、仕口柱部材13B3及び接続板13B5の上端縁をモザイク板Pm4の既存柱側の端縁の下側及び溝部13B2c側の端縁の下側に接合5し、接続板13B5及び仕口柱部材13B3の下端縁をモザイク板Pm3の上面及び既存柱側の端縁の上側に接合し、かつ仕口柱部材13B3及び接続板13B5の上下方向の端縁同士を互いに接合して仕口補強体13の床下部分13Bの分割(4分割)床下部分13B’を製作し、これを仕口部の既存柱2及び既存梁3へ取付け、互いに溶接等の接合手段により接合して仕口補強体13の床下部分13Bを形成するようにする。
【0015】
次に、補強フレーム10を使う既存建築物1の耐震補強方法を説明する。
鉄筋コンクリート造の既存建築物1に補強フレーム10を取付ける以前に、既存柱2の周囲の既存床4のその直下に既存梁3が存在しない部分に、既存柱2に沿って既存床4を貫通する平面視L字形の縦溝孔4aを穿設する。また、既存梁3と既存床4との接合線より少々離れた既存床4の部分に、床上梁部材12Aのモザイク板Pm1のボルト孔bh1に対応させて、既存床4を貫通するボルト孔4bを穿設し、仕口補強体13の床上部分13Aの外上ダイヤフラム13A1のモザイク板Pm2の各ボルト孔bh3に対応する既存床4の各部分にこれを貫通するボルト孔4cを穿設する。さらに、既存梁3の両側面の床下梁部材12Bの各ラチス部材12B1cのボルト孔bh 5 に対応する各部分に、それぞれナット又はボルトの植込孔を穿設し、各植込孔内に樹脂、セメント等の接着材とナット又はボルトとを挿入し、ナット又はボルトを前記接着材を介して既存梁3の側部に植設する。
【0016】
それから、既存梁3の下側の既存柱2に、その外側からコ字状の対の樋状体を嵌め、各樋状体の長手方向の端縁を溶接等の接合手段により接合して、下側の補強柱11を構築する。
次に、各既存柱2の周囲の既存床4上に、4枚の鋼製のモザイク板Pm2を図2に示すように配置し、互いに隣接するモザイク板Pm2の矩形Pm2a,Pm2b部分の長い辺を溶接等の接合手段により接合して外上ダイヤフラム13A1を形成する。
既存梁3直上の既存床4上に、モザイク板Pm1を一列に並べ、かつそれらの突合せ部分を溶接(下向きすみ肉溶接)等の接合手段により互いに接合し、床上梁部材12Aを形成する。そして、床上梁部材12Aの両端を外上ダイヤフラム13A1の取付部13A1b1に溶接(下向きすみ肉溶接)等の接合手段により接合する。
【0017】
1対のモザイク板Pm3とモザイク板Pm4とを一つの仕口柱部材13B3及び1対の接続板13B5で接合してつくった仕口補強体13の床下部分13Bの一つの分割(4分割)床下部分13B’を、既存柱2の周囲の既存床4の下側に配し、仕口柱部材13B3と一体になっている床柱部材13B4を既存床4の縦溝孔4aに差し込み、外上ダイヤフラム13A1の各ボルト孔bh3、既存床4の各ボルト孔4c、及び外中ダイヤフラム13B2の各ボルト孔bh4にそれぞれボルトb2を通し、各ボルトb2の先のねじ部にナットn2をねじ込んで分割床下部分13B’を仮取付する。同じやり方で4個の分割床下部分13B’を仮取付してから、各分割床下部分13B’を溶接等の接合手段によって接合して、仕口補強体13の床下部分13Bを構成する。
それから、各ボルトb2・ナットn2を本締め付けし、かつ床柱部材13B4の上端をこれに対面する外上ダイヤフラム13A1の既存柱2に面する部分13A1a1に溶接等の接合手段によって接合して、仕口補強体13の床上部分13Aと床下部分13Bとを一体化する。
それから、仕口補強体13の床下部分13Bの外下ダイヤフラム13B1の既存柱2側の端縁の下側とこれに対面する下側の補強柱11の上端とを溶接等の接合手段によって接合する。
なお、必要に応じて、既存梁3に植設したアンカーを用いて、仕口補強体13の床下部分13Bの外下ダイヤフラム13B1及び接続板13B5を既存梁3に接合し、また、その床下部分13Bの仕口柱部材13B3を既存柱3に植設したアンカーを用いて既存柱2に接合するようにしてもよい。
【0018】
既存梁3の下側に床下梁部材12Bを配し、その対の平面トラス12b1間に既存梁3を位置させ、その上弦部材12B1aの不等辺山形鋼の長辺部分を既存床4の下側面に当て、床上梁部材12Aの各ボルト孔bh1、既存床4の各ボルト孔4b、及び上弦部材12B1aの各ボルト孔bh2にそれぞれボルトb1を通し、各ボルトb1の先のねじ部にナットn1をねじ込んで締め付ける。そして、床上梁部材12Aと床下梁部材12Bとを既存床4を挟んで一体化し、補強梁12を構築する。
また、床下梁部材12Bの各ラチス部材12B1cのボルト孔bh5にボルトを通し、このボルトの先のねじ部をこれに対応させて既存梁3の側面に植設したナットにねじ込んで締め付け、床上梁部材12Aを既存梁3に固着する。
なお、既存梁3に植設したアンカーを用いて、床下梁部材12Bのラチス部材12B1c以外の部材を既存梁3に固着するようにしてもよい。
床下梁部材12Bの上弦部材12B1aの端部、下弦部材12B1bの端部及び底連結板12B2の端部を、仕口補強体13の外中ダイアフラム13B2の端部13B2b1、床下部分13Bの接続板13B5の端部13B5b1及び外下ダイアフラム13B1の端部13B1b1に溶接等の適宜の接合手段により接合し、また、床下梁部材12B1のラチス部材12B1cの仕口補強体13よりのものの下側の部分を接続板13B5の端部13B5b1に溶接、ボルト・ナット接合等の適宜の接合手段により接合し、床下梁部材12Bと仕口補強体13の床下部分13Bとを一体化する。
図5に示すものは、床下梁部材12Bの底連結板12B2の端部と外下ダイアフラム13B1の端部13B1b1とが添え板14とボルト・ナットを用いて接合されている。
【0019】
次に、既存梁3の上側の既存柱2に、その外側からコ字形の対の樋状体を嵌め、各樋状体の長手方向の端縁を溶接等の接合手段により接合して、上側の補強柱11を構築する。
それから、上側の補強柱11の下端部を、仕口補強体13の床下部分13Bの床柱部材13B4の上部に溶接等の接合手段により接合するとともに、その床上部分13Aの外上ダイアフラム13A1の既存柱2側の端縁13A1a1に溶接等の適宜の接合手段により接合し、仕口補強体13の上部と上側の補強柱11とを一体化する。
上述の補強柱11、補強梁12及び仕口補強体13を既存柱2及び既存梁3に取付けて補強フレーム10を構築する補強方法を、順次上階等の既存柱2及び既存梁3に施すことにより、多層の鉄筋コンクリート造の既存建築物1を耐震補強する。
【0020】
補強梁12の床上梁部材12Aの上面及び仕口補強体13の床上部分13Aの外上ダイヤフラム13A1の上面にボルトの頭部及びナットを露出させたくない場合には、例えば、次の〔1〕及び〔2〕のようにする。
〔1〕モザイク板Pm1,Pm2の下面の所定位置に前記下面に対して直角にボルトを溶接する。そして、既存梁3の直上の既存床4上にモザイク板Pm1,Pm2を配する際に、モザイク板Pm1,Pm2に溶接したボルトを既存床3のボルト孔4b,4cに差し込むようにする。
〔2〕モザイク板Pm1,Pm2の下面の所定位置にナットnを溶接する。そして、既存梁3の直上の既存床4上にモザイク板12A1,13A1aを配する際に、モザイク板Pm1,Pm2に溶接したナットnを既存床3のボルト孔4b,4cの上端部の拡径凹部に嵌め込むようにする。
既存床4に穿設したボルト孔4b,4c又は縦溝孔4aとボルトb1,b2又は床部柱部材13B4との間の隙間にモルタル、セメン、接着剤等の充填材を充填し、地震時等の既存床4等に作用する水平力を充填材を介して各ボルト等に伝え、各ボルト等を通して補強フレーム10に迅速に伝達させ得るようにする。
実施例では、モザイク板Pm1,Pm2を既存梁3及び既存床4に組み付けながら、仕口補強体13の床上部分13A及び補強梁12の床上梁部材12Aを形成する場合を説明した。補強梁12の床下梁部材12b及び仕口補強体13の床下部分13Bをそれぞれ多数の構成部分に分けて工場等で生産し、それらの構成部分を工事現場に搬入し、それらを既存建築物1の既存柱2、既存梁3及び既存床4に組み付けながら、補強梁12の床下梁部材12B及び仕口補強体13の床下部分13Bを構築するようにしてもよい。
なお、補強梁12、仕口補強体13等で補強された既存床4の上側には、必要に応じて、フリーアクセスフロアFaが設けられる。
【0021】
【発明の効果】
この発明は、特許請求の範囲の欄に記載した構成を備えることにより、次の(イ)〜(ヌ)の効果を奏する。
(イ)請求項1記載の既存建築物の耐震補強方法は、少なくとも既存柱、既存梁及び既存床を備えた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震補強方法において、既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築するから、補強フレーム単独で耐震上の耐力を有し、この耐力を既存建築物に累加することができる。
また、請求項1記載の耐震補強方法は、ブレース、耐震壁等を新たに設けないから、既存建築物の建物動線を遮断することがなく、その使い勝手を損ねることが全くなく、その剪断耐力を大幅に上昇させることができる。
さらに、請求項1記載の耐震補強方法は、既存建築物へ加える加工はその既存床に連結部材を貫通させるための孔又は溝孔を設けるだけである。また、補強による有効なスペースの減少は、天井を設置する場合には、床の上面が補強梁の床上梁部材の鋼板の厚さだけ上がり、柱の断面が既存柱を覆う補強柱の鋼板の厚さだけであり、既存建築物の機能、美観等を損ねることがない。従来の耐震補強方法のように、部屋の使用勝手の阻害、部屋の有効面積の減少、産業廃棄物の大量発生の問題等は生じない。
【0022】
(ロ)請求項2記載の既存建築物の耐震補強方法は、仕口補強体の床上部分を鋼板製の外上ダイヤフラムで構成し、その床下部分を鋼製の外下ダイヤフラムと、外中ダイヤフラムと、外下ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを連結する仕口柱部材及び接続板とで構成し、既存柱の周囲の既存床のその下側に既存梁が存在しない部分に既存柱に沿って既存床を貫通する縦溝孔を設け、前記仕口柱部材と一体化される鋼製の床柱部材が前記縦溝孔に通され、仕口柱部材及び床柱部材と補強柱とが一体化されるから、補強フレームの一部を構成する上側の補強柱と下側の補強柱とを仕口補強体の仕口柱部材及び床柱部材を介して一体化でき、既存建築物を損ねることなく補強柱、補強梁及び仕口補強体からなる補強フレームを構築することができ、その耐震上の耐力を増大させることができる。
(ハ)請求項3に記載されているようにして、鋼製の仕口補強体の床下部分をつくると、補強柱と補強梁との接合が容易な仕口補強体が得られ、補強フレームの構成部材の既存建築物への組み付けの施工性が向上する。
【0023】
(ニ)請求項4記載の既存建築物の耐震補強方法は、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて外上ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを既存床を挾んで接合するから、仕口補強体の床上部分と床下部分とを容易かつ確実に一体化することができる。
(ホ)請求項5記載の既存建築物の耐震補強方法は、補強梁の床下梁部材及び仕口補強体の床下部分の構成部分をこれらに対応する既存建築物の部分に植設したアンカーを用いて既存建築物に固着するから、地震時等における補強柱、補強梁及び仕口補強体からなる補強フレームの座屈を防止することができる。
(ヘ)請求項6記載の既存建築物の耐震補強方法は、鋼製の補強梁の床上梁部材を既存梁の幅よりも幅広にし、補強梁の床下梁部材を対の平面トラスを既存梁の幅に合わせて平行に配し各平面トラスの下弦部材を鋼製の底連結部材で連結して横断面略U形にして形成し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて補強梁の床上梁部材と床下梁部材の平面トラスの上弦部材とを既存床を挾んで接合するから、補強梁の床上梁部材と床下梁部材とを容易かつ確実に一体化することができる。 そのうえ、対の平面トラスを用いて床下梁部材をつくるから、容易に軽量化することができ、既存梁への組付等も容易になる。
【0024】
(ト)請求項7記載の既存建築物の耐震補強方法は、補強梁の床下梁部材の対の平面トラスの上弦部材を山形鋼で構成し、対の平面トラスの下弦部材を連結する底連結部材を既存梁の幅よりも幅広につくるから、補強梁の床下梁部材の耐力を容易に増大させることができ、既存床を貫通させた連部材による補強梁の床上梁部材と床下梁部材の平面トラスの上弦部材との接合性もよくなる。
(チ)請求項8記載の既存建築物の耐震補強方法は、補強梁の床上梁部材、仕口補強体の外上ダイヤフラム、外下ダイヤフラム及び外中ダイヤフラムを、複数の鋼製のモザイク板を接合して構成するから、モザイク板を接合しながら既存建築物に組み付けることができ、補強フレームの組立作業等が容易になる。
(リ)請求項9記載の既存建築物の耐震補強方法は、補強梁の床上梁部材又は仕口補強体の外上ダイヤフラムを構築するための鋼製のモザイク板の下面の所定位置に、鋼製の連結部材(例えば、ボルト、スタッド、ナット)を溶接等の接合手段により強固に接合するから、ボルトの頭部やナットがモザイク板の上面に突出することがない。
(ヌ)請求項10記載の既存建築物の耐震補強方法は、既存床に穿設された孔又は溝孔の内周面と該孔又は溝孔に通された連結用の部材の外周面との間の隙間をモルタル、セメント、接着剤等の充填材で埋めるから、既存建築物に作用する地震力等を直ちに充填材及び連結用の部材を介して補強柱、補強梁及び仕口補強体からなる補強フレームに伝達することができ、その地震力等を補強フレームで受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のこの発明の耐震補強方法により補強された既存建築物を図2のA−A線で断面した要部の正面図
【図2】図1に示す既存建築物をそのB−B線で断面した要部の平面図
【図3】図1に示す既存建築物をそのC−C線で断面した要部の平面図
【図4】図1に示す既存建築物をそのD−D線で断面した要部の平面図
【図5】図1に示す既存建築物をそのE−E線で断面した要部の平面図
【図6】図1に示す既存建築物の補強された梁をそのF−F線で断面した要部の側面図
【図7】既存建築物の補強された他の形式の梁を図1のF−F線と同じ線で断面した要部の平面図
【図8】図1に示す既存建築物の補強された仕口部をそのG−G線で断面した要部の側面図
【図9】実施例の下面にボルトを溶接したモザイク板の正面図
【図10】実施例の下面にナットを溶接したモザイク板の正面図
【符号の説明】
1 既存建築物
2 既存柱
3 既存梁
4 既存床
4a 縦溝孔
4b,4c ボルト孔
10 補強フレーム
11 補強柱
12 補強梁
12A 床上梁部材
12B 床下梁部材
12B1a 上弦部材
12B1b 下弦部材
12B1c ラチス部材
12B2 底連結部材
13 仕口補強体
13A 仕口補強体の床上部分
13A1 外上ダイヤフラム
13B 仕口補強体の床下部分
13B1 外下ダイヤフラム
13B2 外中ダイヤフラム
13B3 仕口柱部材
13B4 床柱部材
13B5接続板
bh1〜bh5 ボルト孔
b1〜b2 ボルト
Fa フリーアクセスフロア
n1〜n2 ナット
Pm1〜Pm4 モザイク板
Claims (10)
- 少なくとも既存柱、既存梁及び既存床を備えた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震補強方法において、既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築することを特徴とする既存建築物の耐震補強方法。
- 既存柱、既存梁及び既存床を備えた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側部分を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築する既存建築物の耐震補強方法において、仕口補強体の床上部分を鋼板製の外上ダイヤフラムで構成し、その床下部分を鋼製の外下ダイヤフラムと、外中ダイヤフラムと、外下ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを連結する仕口柱部材及び接続板とで構成し、既存柱の周囲の既存床のその下側に既存梁が存在しない部分に既存柱に沿って既存床を貫通する縦溝孔を設け、前記仕口柱部材と一体化される鋼製の床柱部材が前記縦溝孔に通され、仕口柱部材及び床柱部材と補強柱とが一体化されることを特徴とする既存建築物の耐震補強方法。
- 鋼製の仕口補強体の床下部分が、既存梁と既存柱との接合部の近傍の既存床の下面を覆う部分と前記接合部の近傍の既存梁を受け入れる溝部と補強梁の床下梁部材の上弦部材の取付部とを備えた外中ダイヤフラムと、既存梁の幅よりも幅広で前記接合部の近傍の既存梁の下側を覆う部分と補強梁の床下梁部材の底連結部材の取付部とを備えた外下ダイヤフラムと、既存梁と既存柱との接合部分の既存梁が接合されていない部分を覆う複数の仕口柱部材と、既存柱の周囲の既存床のその下側に既存梁が存在しない部分に既存柱に沿って既存床を貫通させて設けた複数の縦溝孔にそれぞれ通す複数の床柱部材と、前記接合部分の近傍の既存梁の両側面を覆う複数対の接続板とからなり、前記接合部の近傍の既存梁の梁成に対応させて外中ダイヤフラムと外下ダイヤフラムとが配置され、外中ダイヤフラムと外下ダイヤフラムとの間に各仕口柱部材及び各接続板が配置され、各仕口柱部材の上部及び下部が外中ダイヤフラム及び外下ダイヤフラムの既存梁側の部分に接合され、各対の接続板の上部及び下部が既存梁の幅に対応する間隔を保って外中ダイヤフラム及び外下ダイヤフラムの既存梁方向に延びる部分に接合され、仕口柱部材と床柱部材とが接合されて一体に構成されていることを特徴とする請求項2記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて外上ダイヤフラムと外中ダイヤフラムとを既存床を挾んで接合することを特徴とする請求項2又は3記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 補強梁の床下梁部材及び仕口補強体の床下部分の構成部分をこれらに対応する既存建築物の部分に植設したアンカーを用いて既存建築物に固着することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 既存柱、既存梁及び既存床を備えた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の既存建築物の既存柱の周囲を覆うように鋼製の補強柱を設け、既存梁上の既存床の上側に鋼製の補強梁の床上梁部材を配し、かつ既存梁の下側に既存梁の下側部分を覆うように補強梁の床下梁部材を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて床上梁部材と床下梁部材とを既存床を挾んで接合して補強梁を構築し、既存柱と既存梁との接合部である既存仕口部の上側に鋼製の仕口補強体の床上部分を配し、既存仕口部の下側に仕口補強体の床下部分を配し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて仕口補強体の床上部分と床下部分とを既存床を挾んで接合して仕口補強体を構築し、補強柱及び補強梁を仕口補強体に接合して剛性や耐力の大きい補強フレームを構築する既存建築物の耐震補強方法において、鋼製の補強梁の床上梁部材を既存梁の幅よりも幅広にし、補強梁の床下梁部材を対の平面トラスを既存梁の幅に合わせて平行に配し各平面トラスの下弦部材を鋼製の底連結部材で連結して横断面略U形にして形成し、既存床を貫通させた鋼製の連結部材にて補強梁の床上梁部材と床下梁部材の平面トラスの上弦部材とを既存床を挾んで接合することを特徴とする既存建築物の耐震補強方法。
- 補強梁の床下梁部材の対の平面トラスの上弦部材が山形鋼で構成され、各平面トラスの下弦部材を連結する底連結部材が既存梁の幅よりも幅広につくられていることを特徴とする請求項6記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 補強梁の床上梁部材、仕口補強体の外上ダイヤフラム、外下ダイヤフラム及び外中ダイヤフラムのいずれかを、鋼製のモザイク板を接合して構築することを特徴とする請求項1〜4、6のいずれかの項記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 補強梁の床上梁部材を構築するための鋼製のモザイク板又は仕口補強体の外上ダイヤフラムを構築するための鋼製のモザイク板の下面の所定位置に、鋼製の連結部材又はナットを溶接等の接合手段により強固に接合することを特徴とする請求項8記載の既存建築物の耐震補強方法。
- 既存床に穿設された孔又は溝孔の内周面と該孔又は溝孔に通された連結用の部材の外周面との間の隙間をモルタル、セメント、接着剤等の充填材で埋めることを特徴とする請求項1〜4、6のいずれかの項記載の既存建築物の耐震補強方法。
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