JP3764323B2 - 差込継手式推進管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推進工法で直接地中に推進される推進管であって、差込方式により管を接続する差込継手式推進管に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道、ガス等の流体流路の管路を形成する布設管や電力・通信ケーブル等の保護管を地中に埋設する方法として地上からの開削が不可能な場合や地上からの開削が望ましくない場合には、所定の位置に掘削した立坑内に設置した推進装置によって管体を相互に順次接続しながら地中に推進させる推進工法が採用されている。この推進工法には外管となる管を推進し、その中に電力・通信ケーブル管等の本管を引き込む、いわゆる二重管方式もあるが、経済的理由から本管である電力・通信ケーブル管等を直接地中に推進する直押し推進工法が広く採用されている。
【0003】
このような直押し推進工法に使用される管体には、一般にポリエチレン等の合成樹脂を鋼管外面に被覆した被覆鋼管が用いられ、また管相互の接続方式として、溶接継手式やネジ継手式、あるいは差込継手式が用いられている。しかし、溶接継手式には施工上の問題点が多いため、最近では専らネジ継手式や差込継手式に移行しつつある。
【0004】
ここで、ネジ継手式は、例えば特開平10−131666号公報に示すように、一般にテーパネジの雄ネジと雌ネジをそれぞれ管端部に設けたものであり、そのため、かかるテーパネジのネジ継手部を管端に溶接している。そしてさらに、このネジ継手部の外面は、管推進時の摩耗、損傷等を防止する目的で、硬度が被覆鋼管のポリエチレン被覆よりも大きい防食保護層で被覆されている。また、ネジ継手部のシール性を確保するために、ネジ結合時、パッキンを介して継手部端面同士を突き当て、その外周上を熱収縮性シートで覆い固定する構造となっている。熱収縮性シートはネジ継手部の端部に設けられた段差部によって形成される環状のU字溝内に熱収縮させて固定される。
【0005】
ネジ継手式はその継手強度によって直押しを可能にするものであるが、その反面、ネジ継手部で軸方向の変位を吸収できないため、地震等による地盤変位により軸方向の変位が生じた場合にはシール性が損なわれる可能性がある。また、管路の曲がりに対する自由度はきわめて小さく制限されており、施工条件の制約を受けることが多い。さらに、ネジ継手式は製作コストが高くなり、経済性を重視する場合には適用が難しくなる。
【0006】
一方、差込継手式はネジ継手式に比べてコスト面でも施工面でもはるかに有利であると考えられている。このような差込継手式の例は特開平10−61848号公報に示されている。この公報に示す差込継手式は、継手本体の内部に直管状大径部と先細りテーパ部を設けたものであり、直管状大径部には、差し込まれた管端部の外周面に密接してシール作用をなすシール部材が装着され、先細りテーパ部には、差込側管端部の外周面に係合して抜け止め作用をするようにC形リングの抜け止め部材が装着されている。この構成によると、管差込時には、挿入側管端部によってC形リングの抜け止め部材を押し広げつつ挿入し、その管端部の外周面にシール部材が密接してシールするとともに、管端部外周面に設けられた凹溝部に抜け止め部材が係合し、かつ管の引き抜きに対しては上記先細りテーパ部とのテーパ面同士の接触によって抜け止め部材をより縮径させるため、管の引き抜きを防止することができる。
【0007】
しかし、この差込継手式では、上記のような管の抜け止め機構を持っているため、管差込前においてはリング状抜け止め部材を管軸に対して常に直角に保持する必要があり、その対策が複雑な構造となる。また、管の挿入角度が制限されるため、管路の曲がりに対する自由度は小さい。さらに、製作コストが高くなる要素を含んでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
差込継手式に要求される性能は、施工の容易性とシールの確実性を同時に満たすものでなければならない。施工の容易性については、厳密に管軸を一致させなくても差込が可能であることが要求される。シールの確実性については、ある程度の管軸の曲がりを許容するとともに、そのような状態にあってもシール性が確保されることが要求される。そして、製作コストが安価になるということもまた重要な条件である。上記従来の差込継手式の構成ではこれらの要求条件を必ずしも満足させるものではない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、施工が容易で、かつある程度の管軸の曲がりに対してもシールを確実に行うことができ、しかも製作コストの安価な差込継手式推進管を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る差込継手式推進管は、推進工法により直接地中に推進する推進管であって、該推進管が被覆鋼管からなり、該被覆鋼管の一方の端部に差込方式により管を接続する継手部を設けた差込継手式推進管において、
前記継手部は、前記被覆鋼管の端部に溶接された短管部材からなるソケットと、該ソケットおよびその溶接部の外面に被覆した防食保護層とからなり、
前記被覆鋼管の他方の端部に、前記ソケットの内面に弾性的に密接するとともに、管軸の曲がりを許容するように密接する円形フランジ部を有する断面が略L形で、デュロメータ硬さが60〜80の合成ゴムからなるシール部材を固定したことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の差込継手式推進管において、前記ソケットは、その内面が一定の長さと深さを有する段付面となっており、差込口端側の大径の内面部に前記シール部材の円形フランジ部を密接させることを特徴とする。前記防食保護層は、硬度が前記被覆鋼管の被覆層より大きく、推進方向の先端部がテーパ面となっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の差込継手式推進管は上記のように単純な構成であるが、その効果はきわめて大きい。すなわち、被覆鋼管の一方の管端部にソケットが溶接され、他方の管端部にソケット内面とのシール作用をなす円形フランジ部を有するシール部材が固定される。このため、前の推進管のソケット内に次の推進管の管端部を差し込むだけで直押し推進を行うことができる。また、差込側の管軸を厳密に一致させる必要はなく、ある程度まで管軸の曲がりを許容する。したがって、曲線推進施工が可能となる。
また、シール部材の円形フランジ部がソケット内面に弾性的に密接した状態で軸方向の変位を許容するため、地震等の地盤変位による軸方向の変位を吸収することができ、かつ、継手部におけるシール作用を常に安定に保持することができる。
よって、施工が容易であり、また継手部におけるシール性が曲線推進のもとでも常に安定して確保されており、しかも安価にできる。
【0013】
管軸の曲がりを確実に規制するためにはソケット内面を段付面とし、その小径側内面部に管端外周縁を当接させ、もしくは段付部に管端部外面を当接させることで、管軸の曲げ角度を規制することができる。また、このように管軸が曲がった状態でもシール部材の円形フランジ部が曲げ方向に対応して良く追従するのでシール性が損なわれることはない。
【0014】
シール部材のデュロメータ硬さを60〜80とした理由は次のとおりである。
デュロメータ硬さが60に満たないものでは、柔らかすぎて管自重によりシール部材がつぶれてしまいシール機能が著しく低下するからであり、またデュロメータ硬さが80を超えると、逆に硬すぎて取付が困難になり作業性が悪くなるからである。
【0015】
継手部を覆う防食保護層の硬度を被覆鋼管の被覆層より硬くし、推進方向の先端部をテーパ面とすることにより、推進抵抗を小さくするとともに、推進時における防食保護層および被覆鋼管の摩耗、損傷等が少なくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す差込継手式推進管の半断面図である。図1において、1は被覆鋼管で、鋼管11の外面をポリエチレン樹脂等の被覆層12で被覆したものである。2は被覆鋼管1の一方の管端部に溶接されたソケット、3はその溶接部、4はソケット2および溶接部3の外面に被覆した防食保護層である。5は被覆鋼管1の他方の管端部に固定した合成ゴムからなるシール部材である。
【0017】
ソケット2は、被覆鋼管1の管端部の外周に嵌合する短管部材からなり、この短管部材を隅肉溶接で全周溶接して被覆鋼管1と接合する。溶接に際し、あらかじめ管端部の被覆層12を除去して鋼母材部を露出させておく。また、ソケット2の内面は段付部21により小径の内面部22と大径の内面部23とに形成されている。差込口6の開口端側にシール部材5によってシールされる大径の内面部23を設ける。小径の内面部22は管軸の曲げ角度を規制するように長さL1と隙間が決められる。大径側内面部23はシール部材5のシール面となっているので、軸方向の変位が生じてもシール性が確保できるように長さL2と、シール部材5の円形フランジ部の外径に対応する段付部21の深さが決められる。
【0018】
ソケット2の外面および溶接部3の外面は被覆鋼管1の被覆層12より硬度の大きい合成樹脂の防食保護層4により被覆する。また、防食保護層4には推進方向の先端部にテーパ部41を設ける。テーパ部41は被覆鋼管1の被覆層12まで覆うように延ばす。防食保護層4には、例えば、前記の特開平10−131666号公報に記載されているようなノルボルネン系単量体(ジシクロペンタジエン等)を用いることができ、またエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることもできる。
このような防食保護層4の構成によって、推進抵抗を小さくし、かつ、推進時における防食保護層4および被覆鋼管1の摩耗、損傷等をできるだけ少なくすることができる。
【0019】
この実施の形態に示す差込式の継手部10は、上記のように、被覆鋼管1の管端部に溶接されたソケット2と、ソケット2の上面および溶接部3の上面を覆う防食保護層4とから構成されている。
【0020】
被覆鋼管1の先端部にはシール部材5を固定する。管端部の被覆層12をあらかじめ除去し、そのショルダー部13をシール部材5のストッパーとしている。シール部材5は、例えば、JIS K 6353に規定される水道用ゴムを用いることができ、デュロメータ硬さが60〜80の合成ゴムからなる。デュロメータ硬さを60〜80とした理由は前述のとおりである。また形状的には、断面が略L形に形成され、リング状の本体部51に円形フランジ部52を設けた形状である。円形フランジ部52の外径はソケット2の大径側の内面部23より大きくする。円形フランジ部52の厚さはどの断面も同じにしてもよいし、あるいは、基部を厚くし、外周部を薄くしてバネ性を強くしてもよい。また、図4に示すように、円形フランジ部52を複数設けてもよい。リング状の本体部51は被覆鋼管1の管端部におけるショルダー部13に密着させる。また、シール部材5の本体部51の外周端部がテーパ状に形成されるため、管の挿入・芯合わせが容易である。
【0021】
次に、この実施の形態に示す差込継手式推進管の作用をさらに図2、図3を参照して説明する。
【0022】
この推進管は、シール部材5側を前方にし、継手部10側を後方にして直押しで推進される。次の推進管を接続する場合、図2(a)に示すように、先の推進管Aの管軸15と次の推進管Bの管軸16とは厳密に一致させる必要はない。この状態で、図示しない推進機により次の推進管Bを継手部10内に差し込むと、図2(b)のようになり、被覆鋼管1の管端同士が当接し、推進管A、Bを推進させることができる。このとき、継手部10内において、推進管B側のシール部材5の円形フランジ部52は推進管A側のソケット2の大径側内面部23に後傾した状態で弾性的に密接し、かつ、そのシール部材5の本体部51は管端部のショルダー部13に密着しているため、地下水等の外水の侵入を完全に阻止することができる。このようにして、次々に推進管を差込式で接続しながら推進することができる。
【0023】
また、この継手部10は被覆鋼管1の被覆層12より硬度が大きい防食保護層4で被覆されており、推進方向の先端部はテーパ部41となっているので、推進抵抗が小さく、推進時における防食保護層4および被覆鋼管1の摩耗、損傷等を少なくすることができる。
【0024】
この継手部10の差込継手構造は、ソケット2の大径側内面部23の長さL2によって推進管の軸方向の変位を許容する構成となっている。この長さL2は小径側内面部22の長さL1と同様に継手構造上あまり短くては適当でないが、それぞれ50mm以上あれば十分である。また、L1+L2の長さは140mm程度でよい。
上記のように、ソケット2の大径側内面部23の長さL2および小径側内面部22の長さL1を適当に設定することにより、地震等による地盤変位に基づく軸方向の変位が生じても、推進管の接続が外れることがなく、しかもシール部材5の円形フランジ部52が大径側内面部23とのシール状態を保ちつつ軸方向に変位可能であるため、継手部10のシール性が損なわれることなく常に安定にシール性を保持することができる。
【0025】
さらに図3に示すように、この実施の形態では管軸の曲げ角度θが最大4度となっている。推進管Bの先端外周縁がソケット2の小径側内面部22に当接するか、もしくは推進管Bの先端部外周面が段付部21に当接することで、曲げ角度θが規制される。このように管軸16が曲がった状態でも、推進管Bの先端面の大部分を推進管Aの後端面に当接することができ、推進荷重を伝達可能なので、曲線管路の施工が可能である。しかもシール部材5の円形フランジ部52の外周縁部が管軸16の曲げ方向に対応して良く追従して大径側内面部23に弾性的に密接するので、継手部10のシール性を確実に保持することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被覆鋼管の一方の端部に継手部を構成するソケットを溶接し、他方の端部にソケット内面に弾性的に密接するフランジ部を持つシール部材を固定した構成であるので、施工が容易で、曲線推進が可能であるとともに、軸方向の変位を吸収でき、かつ、曲線推進のもとでも継手部におけるシール性を確実に保持することができる。しかも、安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の差込継手式推進管の半断面図である。
【図2】(a)は差込前の継手部の状態を示す半断面図で、(b)は差込後の継手部の状態を示す断面図である。
【図3】曲線推進時の継手部の状態を示す断面図である。
【図4】継手部におけるシール構造の他の例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 被覆鋼管
2 ソケット
3 溶接部
4 防食保護層
5 シール部材
6 差込口
10 継手部
11 鋼管
12 被覆層
13 ショルダー部
21 段付部
22 小径側内面部
23 大径側内面部
41 テーパ部
51 本体部
52 円形フランジ部

Claims (3)

  1. 推進工法により直接地中に推進する推進管であって、該推進管が被覆鋼管からなり、該被覆鋼管の一方の端部に差込方式により管を接続する継手部を設けた差込継手式推進管において、
    前記継手部は、前記被覆鋼管の端部に溶接された短管部材からなるソケットと、該ソケットおよびその溶接部の外面に被覆した防食保護層とからなり、
    前記被覆鋼管の他方の端部に、前記ソケットの内面に弾性的に密接するとともに、管軸の曲がりを許容するように密接する円形フランジ部を有する断面が略L形で、デュロメータ硬さが60〜80の合成ゴムからなるシール部材を固定したことを特徴とする差込継手式推進管。
  2. 前記ソケットは、その内面が一定の長さと深さを有する段付面となっており、差込口端側の大径の内面部に前記シール部材の円形フランジ部を密接させることを特徴とする請求項1記載の差込継手式推進管。
  3. 前記防食保護層は、硬度が前記被覆鋼管の被覆層より大きく、推進方向の先端部がテーパ面となっていることを特徴とする請求項1記載の差込継手式推進管。
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