JP3763963B2 - ごみ焼却炉におけるストーカ温度制御装置及びこれを備えたごみ焼却炉の燃焼制御装置 - Google Patents
ごみ焼却炉におけるストーカ温度制御装置及びこれを備えたごみ焼却炉の燃焼制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉におけるストーカ温度の制御装置及びこれを備えた燃焼制御装置に関し、特に、ストーカ上におけるごみの量を把握しながらストーカ温度を望ましい温度範囲内に維持すると共に、最適な燃焼を行うための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ごみ焼却炉では多種多様なごみを炉内に供給し燃焼させるため、燃焼状態が時間的に変化する。すなわち、ごみ焼却炉においては、ホッパから炉内へのごみの供給はフィーダにより行われる。炉内底部にはストーカが設けられ、燃焼すべきごみを載置して炉内をごみの入り口側から出口方向に移動させる。このストーカは通常、複数のゾーンに分割されている。炉内へ供給されたごみは、各ゾーンのストーカの動きにより移送され、その間に輻射熱を受けて乾燥、昇温し、着火燃焼する。
【0003】
一般に、フィーダの動作は予め設定した周期で繰り返し行われるが、ごみ質や炉内でのごみの堆積状況の違いにより各周期において炉内に供給されるごみの量はかなり変化する。ごみの供給が過剰になるとフィーダ動作により供給されるごみは、炉内に堆積したごみの表層だけを移送し、ストーカによる移送で行われている乾燥・昇温・着火・燃焼プロセスを乱し、燃焼を不安定にする。また、供給が過少になるとごみ枯れを起こし燃焼が急激に悪化する。
【0004】
ストーカの各ゾーンのごみ層厚は、乾燥・昇温・着火・燃焼のプロセスで、炉の出口側に進むにつれ徐々に薄くなる。しかし、ごみ質の変化によりゾーン毎にそのプロセスの進行度合いが異なるため、各ゾーンのごみ層厚、すなわちごみ層の形状は常に変化する。この変化が大きくなると一時的な過剰燃焼やごみ枯れなどを引き起こす。
【0005】
従来、このようなごみ焼却炉内の燃焼の自動制御は、余熱利用のために設置されたボイラからの発生蒸気量、炉内温度、燃焼排ガス酸素濃度などの操業情報や、炉内の火炎の画像情報を利用して燃焼状態の時間的変化を捉え、これに応じてごみの供給量、ごみの移送量、一次燃焼空気流量・温度とその各ゾーンへの配分比、二次燃焼空気量・温度などを操作し燃焼を安定させるようにしていた。
【0006】
しかし、炉内の燃焼状態の変化を捉えるためには、上述したような情報だけでは炉内のごみ量や、ごみの堆積状況を把握することは難しく、結果として安定した燃焼を継続するために不可欠な炉内における安定したごみ層の形成が困難であった。
【0007】
更に、ごみ焼却炉の燃焼制御方式として、炉出口温度の安定化、ボイラからの発生蒸気量の安定化などを目的としたACC(自動燃焼制御)システムが知られており、このACCシステムに関して多くの提案がなされている。しかし、これらの提案は、制御対象である炉出口温度、発生蒸気量や、排ガス中の酸素濃度、有害ガス濃度、あるいは炉内画像を画像処理して得られるごみの燃え切り点位置あるいは燃焼位置などの付加情報で制御系を構成しているが、ごみ層の厚みそのものを計測、制御しようとする方式は提案されていない。
【0008】
これに対し、本出願人は、上記した従来の燃焼制御方式の欠点を解決するために、炉内のごみの量、特に堆積状況を把握して制御することにより、安定した燃焼を確保し得るごみ焼却炉の燃焼制御方式を提案した。これは、特願平8−209931号に開示されている。
【0009】
以下に、この燃焼制御方式を、図5を参照して説明する。図5は水平ストーカ式ごみ焼却炉とその計装系の構成を示す概略断面図である。焼却すべきごみ11はホッパ12に供給され、ホッパ12の底部に設けられたフィーダ13の周期的なオン/オフ動作により、焼却炉の炉内14に供給される。炉内14の底部には炉内14に供給されたごみ11を載置し、炉内14の出口15、すなわち焼却灰の出口に向かってごみを移動させるストーカ16が設けられている。ストーカ16は、ここでは4つのゾーン16−1〜16−4に分割され、各ゾーン毎にストーカ16の速度、すなわちごみの移送速度を操作できる構成になっている。
【0010】
また、ストーカ16の下側には一次燃焼空気17を供給するためのダクト18が設けられている。このダクト18はストーカ16の各ゾーン16−1〜16−4の下側にそれぞれ開口する4つの開口部18−1〜18−4を備えている。4つの開口部18−1〜18−4のダクト18からの分岐部には、ストーカ16の各ゾーン16−1〜16−4への一次燃焼空気17の供給量を制御するためのダンパ19−1〜19−4が設けられている。また、各ダンパ19−1〜19−4とストーカ16の各ゾーン16−1〜16−4間の開口部18−1〜18−4内にはそれぞれ圧力計20と流量計21が設置されており、ストーカ16のゾーン16−1〜16−4毎の圧力Psi、空気流量Fiを計測できるように構成されている。
【0011】
他方、炉内14には圧力計22が設けられており、炉内圧力Po を測定する。炉内14にはまた、二次燃焼空気供給口23が設けられ、炉内14に二次燃焼空気24が送り込まれる。更に、炉内14の出口15付近の内壁には炉内14のごみの堆積状態や燃焼状態を撮像するための炉内カメラ25が設けられている。炉内14の天井部分には燃焼排ガス26の排出口27が設けられている。排出口27には酸素濃度計28が設けられている。そして、一次燃焼空気17を供給するダクト18内及び二次燃焼空気供給口23内にはそれぞれ流量計29、30が設置されている。
【0012】
ゾーン毎のごみ層厚指標の推定は以下のようにして行われている。炉内及び各ゾーンのストーカ16下側の圧力計22、20により、ゾーン毎の炉内圧力との差圧を求め、求めた差庄と、管内流圧力について一般に成り立つ圧損式を利用し、ストーカ16とごみ層による圧損係数を求める。これらの値から事前に求めたストーカ16だけの圧損係数を除き、ごみ層のみによる圧損係数を求める。このようにしてゾーン毎に求めたごみ層による圧損係数をごみ層厚の指標とする。
【0013】
具体的な数式を用いて更に説明すると、まず、あるダクトと炉内の2点a−b間を流れる気体の圧力について、一般に、次のような圧損式が成り立つ。
【0014】
Pa−Pb=(1/2)ζabρω2 (1)
ここで、Pa及びPbはあるダクトと炉内のa点及びb点における圧力、ζabは圧損係数、ρは流体密度、そしてωは流速である。
【0015】
この(1)式からストーカの4つのゾーンのうちのi番目のゾーン16−i上にごみが存在しない場合には次式が成り立つ。
【0016】
ζsi={2(Psi*−P0 *)/ρ}・(Ai/Fi*)2 (2)
ここで、ζsiはiゾーンのストーカ16−iの圧損係数、P0 *はストーカ上にごみが存在しない場合において圧力計22で測定される炉内圧力、Psi*は同じくストーカ16−i上にごみが存在しない場合において圧力計20により測定される、ストーカ下側のダクト開口部18−i内の圧力、Aiは開口部18−iのダクトからの分岐部における面積、そしてFi*はごみが存在しない場合にiゾーンにおいて流量計21で測定される燃焼空気量である。
【0017】
次に、ストーカ16−i上にごみが存在する場合における、ごみ層のみによる圧損係数ζriは次式により求められる。
【0018】
ζri={2(Psi−P0 )/ρ}・(Ai/Fi)2 −ζsi (3)
このようなストーカ16上に存在するごみ層の圧損係数ζriが炉内の目視によるごみ層厚と適合することから、ストーカ16のゾ一ン毎のごみ層圧損係数をごみ層厚の指標として用いることにより、炉内のごみ層形状を推定出来る。
【0019】
以上のようにして求められるごみ層厚指標は、各ゾーンでの適正な値を経験的に求めることが出来る。これは、実際に炉の運転を通して炉出口温度や発生蒸気量の推移、炉内の観察などから得られるものである。したがって、このごみ層厚指標を所望の目標値となるように制御することにより、燃焼制御が可能となる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では、ごみ層厚指標の目標値をどのようにして設定するかということまでは考慮していない。また、ゾーン毎のごみ層形状の制御においては、ストーカの温度をも考慮する必要がある。これは、ストーカの温度は、350℃以下に維持される必要があるからである。
【0021】
そこで、本発明の課題は、上記の方法でごみ層形状を制御する場合において、各ゾーンのごみ層厚さ指標の目標値を、各ストーカ温度、現在の各ごみ層厚さ指標や炉内画像を画像処理して得られる燃え切り点位置のような情報に基づいてあらかじめ作成された知識ベースから求めることで、ストーカの温度を望ましい範囲内に制御することのできるストーカ温度制御装置を提供しようとするものである。
【0022】
本発明の他の課題は、上記のストーカ温度制御装置を備えたごみ焼却炉の燃焼制御装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、炉内底部に設けられ、燃焼すべきごみを載置して前記炉内をごみの入り口側から出口方向に移動させる複数のゾーンからなるストーカを備えたごみ焼却炉において、前記複数のゾーン毎に前記ストーカの温度を測定する温度測定手段と、炉内を撮像する撮像手段と、該撮像手段により得られた炉内画像から画像処理によって炉内の燃え切り点位置を算出する画像処理手段と、前記複数のゾーン毎のごみ層厚を検出する手段と、炉内の燃焼状況を示す指標として、少なくとも前記算出された燃え切り点位置と、前記検出されたごみ層厚とを用い、ゾーン毎のストーカ温度目標値と前記温度測定手段により測定されたゾーン毎のストーカ温度との差に応じて、あらかじめ作成されている知識ベースに基づいてごみ層厚指標目標値を算出する手段と、前記算出されたごみ層厚指標目標値と前記検出されたごみ層厚とから前記ストーカの各ゾーンのごみ層厚を制御してストーカ温度の制御を行うごみ層厚制御手段とを備えたことを特徴とするストーカ温度制御装置が提供される。
【0024】
本発明によればまた、炉内底部に設けられ、燃焼すべきごみを載置して前記炉内をごみの入り口側から出口方向に移動させる複数のゾーンからなるストーカと、前記複数のゾーン毎に前記ストーカの下側から燃焼空気を供給するためのダクトとを備えたごみ焼却炉において、前記複数のゾーン毎にその下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧を測定する差圧測定手段と、前記複数のゾーン毎に前記ストーカの温度を測定する温度測定手段と、炉内を撮像する撮像手段と、該撮像手段により得られた炉内画像から画像処理によって炉内の燃え切り点位置を算出する画像処理手段と、あらかじめごみの無い状態にて測定された前記複数のゾーンの下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧に基づいて算出された前記複数のゾーン毎の圧損係数を用いて、燃焼状態にある時の前記複数のゾーンの下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧と前記燃焼空気の量とから前記複数のゾーン毎のごみ層厚指標を算出する手段と、炉内の燃焼状況を示す指標として、少なくとも前記算出された燃え切り点位置と、前記算出されたごみ層厚指標とを用い、ゾーン毎のストーカ温度目標値と前記温度測定手段により測定されたゾーン毎のストーカ温度との差に応じて、あらかじめ作成されている知識ベースに基づいてごみ層厚指標目標値を算出する手段と、前記算出されたごみ層厚指標目標値と前記算出されたごみ層厚指標とから前記ストーカの各ゾーンのごみ層厚を制御してストーカ温度の制御を行うごみ層厚制御手段とを備えたことを特徴とするストーカ温度制御装置が提供される。
【0025】
なお、前記ごみ層厚制御手段は、前記算出されたごみ層厚指標目標値と前記算出されたごみ層厚指標とから、ごみ供給用のフィーダのオン/オフ周期、前記ストーカの速度を制御して前記複数のゾーン毎のごみ層厚を目標値になるように制御する。
【0026】
前記知識ベースとしては、知識推論あるいはファジー推論を用いることが好ましい。
【0027】
また、前記炉内の燃焼状況を示す指標としては更に、炉内温度、前記画像処理手段により算出される燃焼位置、前記炉内の排ガスの出口側に設けられるボイラの発生蒸気量の少なくとも1つを用いても良い。
【0028】
本発明によれば更に、上記のストーカ温度制御装置を備えたごみ焼却炉の燃焼制御装置が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
図2を参照して、本発明が適用されるごみ焼却炉は、図5で説明したごみ焼却炉に更に、温度測定装置が設けられている。すなわち、ストーカ16には各ゾーン毎にそれぞれ、ストーカの温度を測定するための温度測定装置31−1〜31−4が設けられている。ここでは、各ゾーンを代表する位置のストーカに直接熱電対が埋め込まれて温度測定が行われる。その他の構成については、図5と同じなので同一番号を付して説明は省略する。
【0030】
本発明の特徴であるストーカ温度の制御は、以下のような観点に基づいている。ストーカ16における各ゾーン16−1〜16−4は、そこに堆積しているごみの燃焼による輻射や接触により加熱され、燃焼していないごみの接触や燃焼空気により冷却される。また、燃焼の結果として生じる焼却灰は、断熱材として燃焼火炎の輻射が直接ストーカ16を加熱することを防ぐ。ストーカ16の温度はこれら加熱・冷却の結果として上下するので、ごみ質の変動による燃焼状態の変化によって大きく影響を受ける。
【0031】
以上のことからストーカの温度を下げるためには、燃焼を抑制しつつごみの移送速度を大きくし、燃焼位置を移動させ燃焼していないごみで冷却するという第1の方法と、ごみの移送速度を小さくし、燃えているごみを灰にして燃焼空気で冷却する第2の方法とが考えられる。これらはそれぞれ、ごみ層を厚くする、薄くすることに対応する。
【0032】
これらの操作によるストーカ温度の応答に比較して、ごみ層形状制御の応答は十分速いので、ごみ層厚指標の目標値を設定することでストーカ温度制御が実現できる。
【0033】
複数の各ゾーン16−1〜16−4に対してごみ層厚指標の目標値を設定するためには、そのゾーンでの選択が次のゾーンのごみ層や発生蒸気量などに影響することから、各ゾーンのストーカ温度、現在のごみ層形状、燃え切り点位置、燃焼位置などの複数の計測値を考慮する必要がある。
【0034】
このために、本形態によるストーカ温度制御装置は、図1に示すように、ストーカ温度制御部1を備えており、特にストーカ温度制御部1内に、上記の考慮すべき点をすべてEXPERTのような知識推論やファジー推論などを用いて知識ベースとしてあらかじめ作成しておく。
【0035】
以下に、本発明によるストーカ温度制御装置を実現するために必要な構成について説明する。各ゾーン16−1〜16−4毎のストーカ温度を測定するために温度測定装置31−1〜31−4が用いられる。複数のゾーン16−1〜16−4毎にその下側の圧力と炉内14の圧力との差圧を測定するために、圧力計20−1〜20−4と圧力計22とが用いられる。複数のゾーン16−1〜16−4毎の一次燃焼空気量を測定するために流量計21−1〜21−4が用いられる。炉内カメラ25は、炉内画像を得るために用いられる。画像処理装置2は、炉内カメラ25により得られた炉内画像から画像処理によって炉内の燃え切り点位置あるいは燃焼位置を算出するために用いられる。なお、燃え切り点位置、燃焼位置の算出方法については、例えば特開平7−55125公報等に開示されているので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0036】
ごみ層厚指標計算部3は、あらかじめごみの無い状態にて測定された複数のゾーン16−1〜16−4の下側の圧力と炉内14の圧力との差圧に基づいて算出された複数のゾーン毎の圧損係数を用いて、燃焼状態にある時の複数のゾーン16−1〜16−4の下側の圧力と炉内14の圧力との差圧と燃焼空気量とから複数のゾーン16−1〜16−4毎のごみ層厚指標を算出する。ごみの無い状態にて算出された圧損係数は、圧損係数保持部4に保持されている。ごみ層厚指標計算部3における計算方法も、上記公報に詳しく開示されているので、説明は省略する。
【0037】
ストーカ温度制御部1は、炉内の燃焼状況を示す指標として、少なくとも上記の燃え切り点位置と、上記のごみ層厚指標とを用い、ゾーン毎に与えられるストーカ温度目標値と温度測定装置31−1〜31−4により測定されたゾーン毎のストーカ温度との差に応じて、あらかじめ作成されている知識ベースに基づいてごみ層厚指標目標値を算出する。
【0038】
ごみ層厚制御部5は、ストーカ温度制御部1から与えられるごみ層厚指標目標値とごみ層厚指標計算部3から与えられるごみ層厚指標とからストーカ16の各ゾーン16−1〜16−4のごみ層厚を制御してストーカ温度の制御を行う。
【0039】
図3、図4を参照して、知識ベースの一例として、知識推論を利用してストーカ温度を一定の範囲に制御する例を以下に説明する。図3においては、ゾーン16−1の温度が適温、ゾーン16−2の温度がやや高温、ゾーン16−3の温度がやや低温、ゾーン16−4の温度が適温、各ゾーンのごみ層厚指標がすべて標準、燃え切り点位置が炉入口側の場合を想定する。
【0040】
これは、今まで燃えていたごみが高質で燃え易く、標準のごみ層形状ではゾーン16−2に燃焼が偏ってしまった結果と推論される。この場合は、ゾーン16−2のごみ層厚指標目標値を厚目に設定することで、そこでの燃焼プロセスの進行を遅くし、未燃焼のごみでゾーン16−2の温度を適温に戻すことを試みる。新しく送られてくるごみが現状のごみ質またはそれを下回れば、ゾーン16−2の温度は低下して適温となり、ゾーン16−2で燃え切れないごみがゾーン16−3に移動してくるのでゾーン16−3の温度も適温になる。この場合は炉内ごみ量が増える方向なので、発生蒸気量、公害等への影響も小さい。
【0041】
しかし、現状を上回るごみ質の場合はゾーン16−2において燃焼が抑制し切れず、さらに温度が高くなる可能性がある。この場合は、図4に示されるように、前に述べた状態から、ゾーン16−2がごみ層やや厚目で高温、ゾーン16−3がやや高温という状態に変化することになる。この場合は、高質ごみが継続していると推論され、さらにごみ層を厚くする余裕が無いので、ゾーン16−2のごみ層を薄く設定し直し、ストーカ温度を下げる。
【0042】
なお、以上で説明したストーカ温度制御装置を一般の自動燃焼制御装置に組み込むことで、発生蒸気量などの操業目標を安定して達成し、異常高温による機器へのダメージを最小限にとどめ、さらに緊急避難的な燃焼制御による公害の発生を無くすことが可能となる。
【0043】
上記の実施の形態は、水平ストーカ式のごみ焼却炉に関して説明したが、他の形状のストーカ式ごみ焼却炉にも適用することができる。また、ゾーンの数は4つに制限されないことは言うまでもない。
【0044】
更に、図1の形態では、ごみ層厚指標計算部3において、あらかじめごみの無い状態にて測定された複数のゾーンの下側の圧力と炉内の圧力との差圧に基づいて算出された複数のゾーン毎の圧損係数を用いて、燃焼状態にある時の複数のゾーンの下側の圧力と炉内の圧力との差圧と燃焼空気の量とから複数のゾーン毎のをごみ層厚指標を算出するようにしているが、これは、複数のゾーン毎のごみ層厚を実際に計測するセンサで代用することもできる。この場合、差圧を計測する手段や、図1における圧損係数保持部4は不要である。
【0045】
【発明の効果】
上述のように、本発明ではごみ質の変動に対してもストーカの温度を常に一定範囲内に抑えながら、全体のごみ層の変動も一定の範囲内の変動に抑えることが可能となる。また、知識ベースを実操業データにあわせて更新することで、操業目標や公害への悪影響を最小にするストーカ温度制御が実現できる。
【0046】
また、ストーカの各ゾーン毎のごみ層厚を適正に保つことにより、ストーカ上を移動するごみ層を適正に形成することができ、これによってごみの燃焼を炉内全体に亘って安定に維持することができる。したがって、ストーカ温度制御装置を、一般の自動燃焼制御装置に組み込むことにより、COやNOxなどの公害物質の発生の抑制、安定した自動運転の継続、及び発生蒸気量の制御等の操業目標を従来以上に確実に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるストーカ温度制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明が適用される水平ストーカ式ごみ焼却炉とその計装系の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明において用いられる知識ベースの一例として知識推論を用いる場合の動作例を説明するための図である。
【図4】本発明において用いられる知識ベースの一例として知識推論を用いる場合の動作例を説明するための図である。
【図5】従来の水平ストーカ式ごみ焼却炉とその計装系の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11 ごみ
12 ホッパ
13 フィーダ
14 炉内
15 出口
16 ストーカ
16−1〜16−4 ゾーン
17 一次燃焼空気
20、20−1〜20−4、22 圧力計
21、21−1〜21−4、29、30 流量計
23 二次燃焼空気供給口
24 二次燃焼空気
25 炉内カメラ
26 燃焼排ガス
27 燃焼排ガス排出口
28 酸素濃度計
31−1〜31−4 温度測定装置
Claims (3)
- 炉内底部に設けられ、燃焼すべきごみを載置して前記炉内をごみの入り口側から出口方向に移動させる複数のゾーンからなるストーカと、前記複数のゾーン毎に前記ストーカの下側から燃焼空気を供給するためのダクトとを備えたごみ焼却炉において、前記複数のゾーン毎にその下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧を測定する差圧測定手段と、
前記複数のゾーン毎に前記ストーカの温度を測定する温度測定手段と、
炉内を撮像する撮象手段と、
該撮像手段により得られた炉内画像から画像処理によって炉内の燃え切り点位置を算出する画像処理手段と、
あらかじめごみの無い状態にて測定された前記複数のゾーンの下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧に基づいて算出された前記複数のゾーン毎の圧損係数を用いて、燃焼状態にある時の前記複数のゾーンの下側の圧力と前記炉内の圧力との差圧と前記燃焼空気の量とから前記複数のゾーン毎のごみ層厚指標を算出する手段と、
炉内の燃焼状況を示す指標として、少なくとも前記算出された燃え切り点位置と、前記算出されたごみ層厚指標とを用い、ゾーン毎のストーカ温度目標値と前記温度測定手段により測定されたゾーン毎のストーカ温度との差に応じて、あらかじめ作成されている知識ベースに基づいてごみ層厚指標目標値を算出する手段と、
前記算出されたごみ層厚指標目標値と前記算出されたごみ層厚指標とから前記ストーカの各ゾーンのごみ層厚を制御するごみ層厚制御手段とを備えたことを特徴とするストーカ温度制御装置。 - 請求項1記載のストーカ温度制御装置において、前記ごみ層厚制御手段は、前記算出されたごみ層厚指標目標値と前記算出されたごみ層厚指標とから、ごみ供給用のフィーダのオン/オフ周期、前記ストーカの速度を制御して前記複数のゾーン毎のごみ層厚指標を目標値になるように制御することを特徴とするストーカ温度制御装置。
- 請求項2記載のストーカ温度制御装置において、前記知識ベースとして、知識推論あるいはファジー推論を用いることを特徴とするストーカ温度制御装置。
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