JP3763268B2 - 組電池の容量調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車等に用いられる組電池において、組電池を構成する各セルの容量のバラツキを補正する組電池の容量調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気自動車等に搭載される組電池のセル間の容量(電圧)バラツキを補正するために、各セルごとに容量調整回路を設けて一定電流にて放電を行い、全セルの容量を統一する容量調整装置が知られている(特開2000−40530号公報)。この容量調整装置では、例えば外部充電器を用いて電池を充電する際に、各セルの電圧を検出し、全セルが基準となる電圧、例えば全セルの平均電圧となるように、容量の調整を行う。
【0003】
一方で、組電池の保護を目的として、電気自動車の通常走行時において全セルの電圧値を検出し、あるセルの電圧値が所定の放電停止電圧値以下になると、セルの放電を停止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術において、ある1つのセルの電圧値が所定の放電停止電圧値以下になると、組電池全体として放電を停止していた。よって、例えば劣化の進行したセルの電圧値が放電停止電圧値以下になっても他のセルは放電可能な状態であるが、この他のセルの放電可能な電力を利用できない。従って、組電池に充電された電力を有効に利用することができず、組電池を搭載した電気自動車等の航続可能距離が短くなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、組電池を構成する複数のセルの中から劣化したセルを検出して、劣化パターンに応じた容量調整を行うことにより、組電池に充電された電力の有効利用を可能とする組電池の容量調整装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1を参照して本発明を説明する。
(1)請求項1の発明は、組電池1を構成する複数のセルごとに設けられ、セルの容量を調整する容量調整回路7と、複数のセルの電圧に基づいて、劣化しているセルを検出する劣化セル検出装置2,3と、劣化セル検出装置2,3により検出された劣化セルの放電特性、および、正常であるセルの放電特性を演算する放電特性演算装置3と、放電特性演算装置3により演算された放電特性に基づいて、劣化セルの容量領域が正常であるセルの容量領域と一致するように、セル容量調整回路7による容量調整を制御する容量調整制御装置2,3を備えることにより、上記目的を達成する。
(2)請求項2の発明は、請求項1の組電池の容量調整装置において、放電特性演算装置3は、セルの放電深度(DOD)と電圧とに基づいて、放電特性を演算することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2の組電池の容量調整装置において、複数のセルの電圧と所定電圧とをそれぞれ比較し、所定電圧より低い電圧のセルを異常セルとして検出する異常セル検出装置2,3をさらに備え、異常セル検出装置2,3により異常セルが検出されたときは、容量調整回路7によるセルの容量調整を行わないことを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3の組電池の容量調整装置において、異常セル検出装置は、所定のタイミングにて、異常セルの検出を行うものであって、劣化セル検出装置2,3は、異常セル検出装置2,3により異常セルの検出を行う回数が所定の回数以上となったときに、劣化セルの検出を行うことを特徴とする。
【0007】
なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図1と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1〜4の発明によれば、劣化セル検出装置により組電池を構成する複数のセルの中から劣化しているセルを検出し、検出した劣化セルと正常であるセルの放電特性を演算して、演算した放電特性に基づいて、劣化セルの容量領域が正常であるセルの容量領域と一致するように、容量調整を行うので、組電池の使用可能容量を最大にすることができ、組電池に充電された電力を有効に利用することができる。
(2)請求項2の発明によれば、セルの放電深度(DOD)と電圧とに基づいて、放電特性を演算するので、セルの劣化パターンを確実に特定することができる。
(3)請求項3の発明によれば、異常セルと劣化セルとを明確に区別して、異常セルを検出したときには容量調整を行わないので、異常セルの放電特性に基づいた誤った容量調整が行われるのを防ぐことができる。
(4)請求項4の発明によれば、所定のタイミングで行われる異常セルの検出回数が所定の回数以上となったときに劣化セルの検出を行うので、セルが劣化する可能性の低い状態での不必要な劣化セルの検出を行うことがない。これにより、劣化セル検出装置を駆動する電力消費を抑えることができるとともに、劣化セルを検出する際の演算負荷を低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による組電池の容量調整装置を電気自動車に適用した一実施の形態の構成を示す図である。組電池1は、複数のモジュール10を直列に接続することにより構成される。モジュール10は、複数のセル10−1,10−2,…,10−nを直列に接続して構成される。各セルには、容量調整回路7が設けられている。容量調整回路7は、抵抗8とトランジスタ9とを直列に接続して構成され、セルコントローラ2と接続されている。セルコントローラ2は、モジュール10を構成する各セルの電圧を検出するとともに、各セルの容量調整を行うために容量調整回路7の制御を行う。後述するバッテリコントローラ3からの信号に基づいてセルの容量調整を行う時は、容量調整を行うセルのトランジスタ9をオンにする。これにより、セルに蓄えられた電力が抵抗8で消費されて放電が行われる。
【0010】
モジュール10ごとに設けられているセルコントローラ2は、バッテリコントローラ3と通信線で接続されており、様々な情報をやり取りする。バッテリコントローラ3は、組電池1の全体を管理・制御するコントローラであり、セルコントローラ2から入力される様々な情報に基づいて、セルコントローラ2にセルの容量調整を行う命令信号を送信する。バッテリコントローラ3は、トルクプロセッシングコントローラ(TPC)6とも接続されている。
【0011】
トルクプロセッシングコントローラ6は、不図示のアクセルセンサからのアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)、ブレーキセンサ(不図示)のブレーキペダル操作量、車速センサ(不図示)からの車速情報などに基づいて、同期モータ7のトルク指令値を演算する。演算したトルク指令値は、モータコントローラ5に送られる。モーター・コントローラ(MC)5は、トルクプロセッシングコントローラ6からのトルク指令値、不図示の回転センサにより検出される同期モータ7の回転位置情報などに基づいて、インバータ4から三相同期モータ7へ供給する電流指令値を演算する。なお、インバータ4は、組電池1の両端と接続されており、組電池1の直流電力を交流電力に変換する。このように組電池1に蓄えられた電力がインバータ4を介して、モータ7へ供給されて、モータ7が回転することによって、図示しない駆動系、タイヤを介して、電気自動車が駆動する。
【0012】
図2〜図5は、本発明による組電池の容量調整装置による容量調整の制御手順を示すフローチャートである。容量調整は、不図示のイグニッションスイッチ(IGN−SW)をオフにした後の組電池の充電時に行われる場合と、イグニッションスイッチをオンにしたときの電気自動車の走行開始前に行われる場合とがある。図2は、組電池1の充電時に行われる制御手順であり、図3は、組電池を搭載した電気自動車のイグニッションスイッチがオンされたときに行われる制御手順を示している。また、図4は、異常セルを検出するためのサブルーチンであり、図5は、セルの劣化分布(放電特性分布)を判定するためのサブルーチンである。まず始めに、図2に示すフローチャートを用いて、組電池1の充電時に行われる容量調整方法について説明する。なお、これらの制御は主にバッテリコントローラ3により行われる。
【0013】
ステップS10では、不図示のイグニッションスイッチがオフされているか否かを判定する。オフされていると判定するとステップS20に進み、オフされていないと判定するとオフされるまで待機する。ステップS20では、セルコントローラ2により各セルの電圧を検出して、ステップS30に進む。ステップS30では、充電開始の指示があったか否かを判定する。この判定は、組電池1の充電をする際に用いられる不図示の充電パドルが、組電池1を搭載した電気自動車に差し込まれたか否かを検出することにより行われる。充電開始の指示があったと判定するとステップS40に進み、指示がないと判定すると本制御を終了する。
【0014】
ステップS40では、異常セルの判定を行う。この異常セルの判定を、図4に示すサブルーチンに基づいて説明する。ステップS300では、図4に示すサブルーチンによる制御、すなわち異常セルの検出を行った回数nをカウントするために、前回の回数nに1を加えたn+1を今回のカウント数nとする。なお、このカウント数nの初期値には、0が設定されている。次のステップS310では、後述するタイマ計測時間が所定時間Xを越えたか否かを判定する。所定時間Xを経過していない、すなわち、充電終了時から所定の時間が経過していない場合には、充電終了時からの短時間にセルに異常が発生する可能性は少ないので、サブルーチンによる制御を終了する。タイマ計測時間が所定時間Xを経過していると判定すると、ステップS320に進む。
【0015】
ステップS320では、セルコントローラ2により各セルの電圧を検出する。全セルの電圧を検出すると、ステップS330に進む。ステップS330では、ステップS320で検出した各セルの電圧と所定値とを比較することにより、異常セルの検出を行う。すなわち、検出したセル電圧の中で所定値より低い値のものがあるときは、セルが劣化しているのではなく、異常が発生していると判定してステップS340に進む。異常セルが存在しないと判定すると、本制御を終了する。ステップS340では、異常セルの発生を報知するフラグをセットする。これにより、次回イグニッションスイッチがオンされた時に、異常セルの発生をドライバに報知する。この報知は、インジケータ15やブザー16を用いて行われる。
【0016】
ステップS310,S330において、NOと判定されたときは、図4に示すサブルーチンを終了して、図2に示すフローチャートのステップS60に進む。ステップS340で、報知フラグがセットされたときは、図2に示すフローチャートのステップS100に進む。以下、図2に示すフローチャートのステップS60から説明を続ける。
【0017】
ステップS60では、図4に示すサブルーチンに基づく異常セルの判定回数が、所定の回数である50回になったか否かを判定する。組電池1の劣化は急激に進むものではないので、セル電圧分布の判定は毎回行わずに、予め定めた所定回数に1回だけ行うものとする。本実施の形態では、この所定回数を50回としたので、50回に一度だけ後述する劣化セルの検出を行う。ステップS60で、判定回数n=50であると判定するとステップS70に進み、n=50ではないと判定するとステップS100に進む。
【0018】
ステップS70では、劣化セルを検出して、劣化セルの放電特性分布判定を行う。この放電特性分布判定を図5に示すサブルーチンに基づいて説明する。以下で説明する処理では、セルのDOD(Depth of Discharge:放電深度)の変化に対する電圧の変化が小さい領域である電圧の高い領域と、セルのDODの変化に対する電圧変化の大きい領域である電圧の低い領域での電圧値に基づいて劣化セルを検出するとともに、セルのDOD−電圧分布が図6(a)〜(e)に示す5つのパターンのうちのいずれであるかを判定する。初めに、図6(a)〜(e)に示すDOD−電圧パターンについて、説明する。
【0019】
図中、実線で示しているのは正常であるセルのDOD−電圧特性であり、破線で示しているのは劣化しているセルのDOD−電圧特性である。ここで、正常であるセルの容量を10としたときの劣化セルの容量を8、容量調整による容量放電分をαとする。パターン▲1▼は、劣化セルをフル充電したとき(DOD=0)、正常なセルは90%充電(DOD=10%)であり、かつ、劣化セルを完全に放電したとき(DOD=100%)、正常なセルのDODは90%である。すなわち、劣化セルの容量領域が正常なセルの容量領域と完全に一致している。この場合、後述するように劣化セルが容量調整セルとして選択されることはなく、使用可能容量は実質的に最大となる8である。
【0020】
パターン▲2▼は、正常セルの容量領域と劣化セルの容量領域の上限(DOD=0%)が一致している場合である。この場合、後述するように劣化セルが容量調整セルに選択されるので、劣化セルの実質使用可能容量は8−αとなる。すなわち、放電容量α分が使用不可能となるので、セルの容量を有効利用するための容量調整が必要となる。パターン▲3▼は、劣化セルの容量領域の上限が正常セルの容量領域よりも高く、また、劣化セルの容量を全て放電しても正常セルの容量が残る場合である。この場合も、後述するように劣化セルが容量調整セルに選択されるので、使用可能容量は8−αとなる。すなわち、放電容量α分が使用不可能となるので、セルの容量を有効利用するための容量調整が必要となる。
【0021】
パターン▲4▼は、正常セルの容量領域と劣化セルの容量領域の下限(DOD=100%)が一致している場合である。この場合、後述するように劣化セルは容量調整セルとして選択されないので、使用可能容量は実質最大となる8となる。すなわち、容量調整を行う必要はない。パターン▲5▼は、劣化セルの容量領域の下限が正常セルの容量領域よりも低く、正常セルの容量領域の上限が劣化セルの容量領域の上限よりも高い場合である。この場合、劣化セルの容量のうち、正常セルの容量下限より低い領域の容量βは使用不可能となるので使用可能容量は8−βとなり、後述するように容量調整が必要となる。なお、図6(e)では、β=1(10%)より使用可能容量は7である。
【0022】
以下、図5に示すサブルーチンに基づいて、劣化セルの放電特性分布判定方法を説明する。ステップS400では、異常セルの判定回数nをリセットして、ステップS410に進む。ステップS410では、セルの平均電圧が所定値Zより小さいか否かを判定する。セルの平均電圧が所定値Zより小さいと判定すると、ステップS420に進む。セルの平均電圧が所定値Z以上である場合、すなわち、セルのDODの変化に対する電圧変化が小さい領域であると判定すると、セルを充電しても電圧(容量)の変化がとらえられず、劣化セルを検出することができないので、劣化セルの検出を行わずにステップS480に進む。
【0023】
ステップS420では、全セルを充電することにより、ある1つのセルの電圧が所定値ZまたはWになったか否かを判定する。この所定値は、Wのみ、あるいはZのみとしてもよいが、演算速度を向上させるために本実施の形態では、WとZの2つ設けている(図7参照)。いずれのセル電圧も、ZまたはWに到達していないと判定すると、到達するまで充電を続ける。なお、ある1つのセルの電圧が所定値ZまたはWに到達したときも、ステップS430に進むとともに、引き続き充電を行う。
【0024】
ステップS430では、1つのセルの電圧が所定値ZまたはWに到達したときの他のセル電圧を記憶する。電圧を記憶するとステップS440に進む。ステップS440では、充電を続けることにより、ある1つのセルの電圧が所定値Yに到達したか否かを判定する。所定値Yに到達したと判定するとステップS450に進み、いずれのセル電圧も所定値Yに到達していないと判定すると、到達するまで充電を続ける。ステップS450では、ある1つのセルの電圧が所定値Yに到達したときの全セル電圧を記憶する。
【0025】
ステップS460では、ステップS430で記憶した低電圧時の電圧値と、ステップS450で記憶した高電圧時の電圧値とに基づいて、劣化している可能性のあるセルを検出する。セルの劣化は、セル全体のうちの一部のセルで発生するので、全セルの電圧値を考慮して劣化セルを検出する。すなわち、大部分のセルの電圧値はほぼ等しいので、大部分のセルの電圧値と異なる電圧値のセルを劣化セルと特定することができる。劣化セルを検出すると、ステップS470に進む。ステップS470では、ステップS460で検出した劣化セルの電圧と放電深度(DOD)との関係(放電特性分布)が、図6に示す▲1▼から▲5▼のいずれのパターンに当てはまるかを判定する。分布パターンの判定は、図6(a)〜(e)から分かるように、DODの高い領域と低い領域における正常セルの電圧値と劣化セルの電圧値との関係に基づいて行うことができる。ステップS460で、複数の劣化セルを検出したときは、各劣化セルについて、図6に示す▲1▼から▲5▼のいずれのパターンに当てはまるかを判定する。劣化セルのDOD−電圧分布(放電特性分布)を特定すると、サブルーチンを終了する。
【0026】
また、ステップS480では、セルの平均電圧が高く、上述した理由により劣化セルの検出ができないので、放電により劣化セルの放電特性分布パターンの特定を行うための処理を行う。すなわち、全セルを充電することにより、ある1つのセルの電圧が所定値Yになったか否かを判定する。所定値Yに到達したと判定するとステップS490に進み、いずれのセル電圧も所定値Yに到達していないと判定すると、到達するまで充電を続ける。ステップS490では、ある1つのセルの電圧が所定値Yに到達したときの全セル電圧を記憶して、サブルーチンを終了する。
【0027】
再び図2に示すフローチャートに戻って、ステップS80から説明を行う。ステップS80では、ステップS70で特定した劣化セルの放電特性分布に基づいて、劣化セルの容量調整を行う必要があるか否かを判定する。上述したように、特定した放電特性分布が▲1▼か▲4▼のパターンであれば容量調整を行う必要がないので、ステップS100に進む。特定した放電特性分布が、▲2▼、▲3▼、▲5▼のパターンであれば容量調整を行う必要があるのでステップS90に進む。
【0028】
ステップS90では、劣化セルの容量調整を行う。この容量調整方法を、図8を用いて説明する。まず初めに、分布パターンが▲2▼であるときの容量調整方法について説明する。正常セルをフル充電したときの容量をA、劣化セルをフル充電したときの容量をBとする。劣化セルの容量を全て放電(DOD=100%)したとき、正常セルの残存容量はA−Bである。従って、セルの充電時に劣化セルに対して(A−B)/2だけ容量調整を行う。容量調整は、例えば、充電を一旦停止して劣化セルの容量を(A−B)/2だけ放電させ、その後再び充電をすることにより行うことができる。この容量調整を行うことにより、図6に示す分布パターン▲1▼の放電特性と同じ分布となる。
【0029】
分布パターンが▲3▼であるときの正常セルをフル充電したときの容量をC+D、劣化セルをフル充電したときの容量をC+E(D>E)とする。また、劣化セルがDOD=0%(フル充電)の時の正常セルの残存容量は、C+D−βとする。この場合、劣化セルをフル充電したときの劣化セルの容量と正常セルの容量との差は、(C+D−β)−(C+E)=D−E−βとなるので、セルの充電時に劣化セルに対して(D−E−β)/2だけ容量調整を行う。この容量調整を行うことにより、図6に示す分布パターン▲1▼の放電特性と同じ分布となる。
【0030】
分布パターンが▲5▼であるときの正常セルをフル充電したときの容量をF+G、劣化セルをフル充電したときの容量をG+H(F>H)とする。また、正常セルがDOD=0%(フル充電)の時の劣化セルの残存容量は、F+G−γとする。この場合、正常セルをフル充電したときの劣化セルの容量と正常セルの容量との差は、(F+G−γ)−(G+H)=F−H−γとなるので、セルの充電時に正常セルに対して(F−H−γ)/2だけ容量調整を行う。この容量調整を行うことにより、図6に示す分布パターン▲1▼の放電特性と同じ分布となる。
【0031】
再び図2に示すフローチャートに戻って説明を続ける。ステップS90にて、特定した分布パターンによる容量調整を行うと、ステップS100に進む。ステップS100では、充電を完了したか否かを判定する。この判定は、セル電圧を検出することにより行う。充電を完了したと判定するとステップS110に進み、完了していないと判定すると、充電を完了したと判定するまでセルの充電を続ける。
【0032】
ステップS110では、全セルの電圧を検出してステップS120に進む。ステップS120では、タイマをスタートさせる。このタイマは、上述した図4に示すサブルーチンにて用いられたタイマである。すなわち、充電終了後の経過時間を計測するためのものである。タイマをスタートさせるとステップS130に進み、充電を終了する。なお、充電を終了してもタイマは作動している状態とする。
【0033】
次に、本発明による組電池の容量調整装置を搭載した電気自動車が走行を開始する前に容量調整を行うときの処理手順を図3を用いて説明する。ステップS140では、不図示のイグニッションスイッチがオンされたか否かを判定する。オンされたと判定するとステップS150に進み、オンされていないと判定するとオンされるまで待機する。ステップS150では、報知フラグがセットされているか否かを判定する。すなわち、図4に示すサブルーチンのステップS340で報知フラグがセットされたときは、ステップS160に進み、報知フラグがセットされていないと判定するとステップS170に進む。ステップS160では、上述したように、インジケータ15やブザー16を用いて異常セルの発生をドライバに報知して、本制御を終了する。
【0034】
ステップS170では、図2に示すフローチャートのステップS120でスタートさせたタイマが所定時間Xを越えたか否かを判定する。所定時間Xを経過していない、すなわち、充電終了時から所定の時間が経過していない場合には、充電が終了してからセルに異常が発生する可能性は少ないので、ステップS200に進む。タイマ計測時間が所定時間Xを越えていると判定すると、ステップS180に進む。
【0035】
ステップS180では、セルコントローラ2により各セルの電圧を検出する。全セルの電圧を検出すると、ステップS190に進む。ステップS190では、ステップS180で検出した各セルの電圧と所定値とを比較することにより、異常セルの検出を行う。検出したセル電圧の中に所定値より低い値を示すものがあるときは、異常が発生していると判定してステップS160に進み、セルに異常が発生している旨を報知する。異常セルが存在しないと判定すると、ステップS200に進む。
【0036】
ステップS200では、セルの平均電圧が所定値Zより小さいか否かを判定する。セルの平均電圧が所定値Zより小さいと判定すると、ステップS210に進む。セルの平均電圧が所定Z以上である場合、すなわち、セルのDODの変化に対する電圧変化が小さい領域であると判定すると、上述したように劣化セルの特定ができないので、本制御を終了する。
【0037】
ステップS210では、ある1つのセルの電圧が所定値ZまたはWになったか否かを判定する。この所定値は、Wのみ、あるいはZのみとしてもよいが、演算速度を向上させるために本実施の形態では、WとZの2つ設けている。ある1つのセルの電圧が所定値ZまたはWに到達したと判定すると、ステップS220に進む。いずれのセル電圧も、ZまたはWに到達していないと判定すると、本制御を終了する。
【0038】
ステップS220では、1つのセルの電圧が所定値ZまたはWに到達したときの全セル電圧を記憶する。全セル電圧を記憶するとステップS230に進む。ステップS230では、充電時に記憶した高電圧領域における電圧と、イグニッションオン時に検出した低電圧領域における電圧とに基づいて、劣化セルの検出を行う。すなわち、図2に示すフローチャートのステップS490で記憶したセル電圧と、図3に示すフローチャートのステップS220で検出したセル電圧とに基づいて、劣化セルの特定を行う。劣化セルの特定方法は、図5に示すサブルーチンのステップS460で行う処理と同じなので、説明を省略する。劣化セルを特定すると、ステップS240に進む。ステップS240では、劣化セルの放電特性分布パターンを特定する。この特定方法も、図5に示すサブルーチンのステップS470と同じなので、その説明は省略する。分布パターンを特定すると、ステップS250に進む。
【0039】
ステップS250では、ステップS240で特定した劣化セルの放電特性分布に基づいて、劣化セルの容量調整を行う必要があるか否かを判定する。ステップS250とS260で行う処理は、図2に示すフローチャートのステップS80,S90と同じなので、その説明は省略する。
【0040】
以上、本発明による組電池の容量調整装置によれば、イグニッションオフ後にセルの充電を開始するとともに異常セルの判定を行う(ステップS10〜S40)。異常セルの判定回数が所定の回数(例えば50回)に達したと判定すると、劣化セルの放電特性分布パターンの判定を行う。放電特性分布パターンを判定する手順は、まず全セルの平均電圧が所定値Zより小さいか否かを判定する(ステップS410)。所定値Zより小さいと判定すると、充電中のある1つのセル電圧が所定値ZまたはWに到達したか否かを判定し、到達したと判定すると全セルの電圧を記憶する(ステップS420〜S430)。さらに充電を継続し、ある1つのセル電圧が所定値Yに到達したか否かを判定し、到達したと判定すると全セルの電圧を再び記憶する(ステップS440〜S450)。記憶した低電圧側での全セル電圧と高電圧側での全セル電圧とに基づいて劣化セルを特定し、劣化セルの放電特性分布パターンを判定する(ステップS460〜S470)。劣化セルの放電特性分布パターンを判定すると、放電特性分布パターンに基づいてセルの容量調整が必要か否かを判定し、必要であると判定すると放電特性分布パターンに基づいた容量調整を行う(ステップS80〜S90)。充電完了後は、全セルの電圧を検出した後にタイマをスタートさせてセルの充電を終了する(ステップS100〜S130)。
【0041】
また、イグニッションオン後の電気自動車の走行開始前に容量調整を行う場合、イグニッションスイッチがオンされると異常セルの存在を示す報知フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS140〜S150)。報知フラグがセットされていなければ、タイマ計測時間が所定時間Xを越えているか否かを判定し、越えていないと判定すると異常セルの検出を行う(ステップS170〜S190)。異常セルが存在しないと判定すると、全セルの平均電圧が所定値Zより小さいか否かを判定する(ステップS200)。所定値Zより小さいと判定すると、ある1つのセル電圧が所定値ZまたはWに到達したか否かを判定し、到達したと判定すると全セルの電圧を記憶する(ステップS210〜S220)。その後、充電時に記憶した高電圧側でのセル電圧と、イグニッションオン時に検出した低電圧側でのセル電圧とに基づいて劣化セルを特定し、劣化セルの放電特性分布パターンを判定して、放電特性分布パターンに基づいた容量調整を行い、本制御を終了する(ステップS230〜S260)。このように、劣化セルの放電特性分布パターンに応じた容量調整を行うことにより、組電池の使用可能容量を最大にすることができる。これにより、組電池を搭載した電気自動車等の航続距離を向上させることができる。
【0042】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることはない。例えば、劣化セルの劣化パターンは、放電深度(DOD)と電圧値とに基づいて特定したが、充電率(SOC)などの他のパラメータを用いて特定してもよい。また、劣化パターンも図6に示す5つのパターンに限定されることはない。本発明による組電池の容量調整装置は、組電池を使用するものであれば、電気自動車以外のすべてのものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組電池の容量調整装置を適用した車両の第1の実施の形態を説明するシステム構成図である。
【図2】本発明による組電池の容量調整装置を搭載した電気自動車のイグニッションオフ後の組電池の充電時に、容量調整を行うための制御手順を示すフローチャートである。
【図3】組電池を搭載した電気自動車が走行開始するときに行われる容量調整の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】異常セルを判定するためのサブルーチンである。
【図5】劣化セルの劣化分布を判定するためのサブルーチンである。
【図6】劣化セルの放電特性分布パターンを示す図である。
【図7】セル電圧値Y、W、Zの関係を示す図である。
【図8】放電特性分布パターン別の容量調整方法を示す図である。
【符号の説明】
1…組電池、2…セルコントローラ、3…バッテリコントローラ、4…インバータ、5…モータコントローラ、6…トルクプロセッシングコントローラ、7…モータ、8…抵抗、9…トランジスタ、10…モジュール、15…インジケータ、16…ブザー
Claims (4)
- 組電池を構成する複数のセルごとに設けられ、前記セルの容量を調整する容量調整回路と、
前記複数のセルの電圧に基づいて、劣化しているセルを検出する劣化セル検出装置と、
前記劣化セル検出装置により検出された劣化セルの放電特性、および、正常であるセルの放電特性を演算する放電特性演算装置と、
前記放電特性演算装置により演算された放電特性に基づいて、劣化セルの容量領域が正常であるセルの容量領域と一致するように、前記セル容量調整回路による容量調整を制御する容量調整制御装置を備えたことを特徴とする組電池の容量調整装置。 - 請求項1に記載の組電池の容量調整装置において、
前記放電特性演算装置は、前記セルの放電深度(DOD)と電圧とに基づいて、前記放電特性を演算することを特徴とする組電池の容量調整装置。 - 請求項1または2に記載の組電池の容量調整装置において、
前記複数のセルの電圧と所定電圧とをそれぞれ比較し、前記所定電圧より低い電圧のセルを異常セルとして検出する異常セル検出装置をさらに備え、
前記異常セル検出装置により前記異常セルが検出されたときは、前記容量調整回路による前記セルの容量調整を行わないことを特徴とする組電池の容量調整装置。 - 請求項3に記載の組電池の容量調整装置において、
前記異常セル検出装置は、所定のタイミングにて、前記異常セルの検出を行うものであって、
前記劣化セル検出装置は、前記異常セル検出装置により前記異常セルの検出を行う回数が所定の回数以上となったときに、前記劣化セルの検出を行うことを特徴とする組電池の容量調整装置。
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