JP3762522B2 - エンドトキシン活性中和剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、テオブロマ カカオ(Theobroma cacao)の種実からの抽出物の分画成分であるエンドトキシン活性中和剤に関するものである。
【0002】
すなわち、この発明は、食品として利用されているテオブロマ カカオの種実、すなわちカカオの実からの抽出物の分画成分がエンドトキシン活性中和剤として有効であることを利用したものであり、人体へ直接使用して生体中におけるエンドトキシの作用を抑制するための製剤として用いることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すべてのグラム陰性菌外膜表層に共通に存在するエンドトキシンは腸管バリアー破綻により血中へ移行したり、グラム陰性細菌感染症により血中に遊離されることで多種の細胞や生体成分に結合して、エンドトキシンショック、致死、発熱、炎症、Shwartzman反応、過度の免疫増強作用や凝固−補体系の活性化などを惹起する。
【0004】
この発明は、このようなエンドトキシンによる弊害を、従来知られていなかったカカオの実からの抽出物の分画成分により防止しようとするものである。
【0005】
すなわち、食品であるカカオの実からの抽出物の分画成分がエンドトキシン活性を中和・無毒化し、かつ、経口摂取により血中へ移行することはエンドトキシンによって惹起される障害を防止する上で重要なことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の発明者は、カカオの実の抽出液から分画した分画成分がエンドトキシン活性中和剤として有効であることを見出し、この発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の発明者の得た知見によると、カカオの実からの抽出物又はその画分成分がエンドトキシン活性中和剤として有効であり、かつ、経口摂取により生体中へ移行することが知れた。
【0008】
次にこの発明を具体的に説明する。
〔原料〕
この発明に用いる原料のカカオの実は、胚乳部を取り出し、脱脂処理して用いる。すなわち、カカオの実の胚乳部を脱脂したものであるココア、又はそれを更に脱脂処理したものが用いられる。
【009】
〔抽出物の調製法〕
原料である脱脂したカカオの実、すなわちココアを水又はアルコール溶液に懸濁し、ゆるやかに攪拌して抽出した後、濾過、遠心分離、フィルタープレスなどの公知の方法により抽出残渣と分離した抽出溶液を得た。なお、抽出する場合、酢酸、クエン酸、乳酸、塩酸などの酸を加えた酸性溶液やアンモニア、炭酸アルカリ塩、有機酸アルカリ塩などを加えたアルカリ性溶液として抽出処理してもよい。すなわち、抽出は、pH2〜12の範囲で行うことが可能である。
【0010】
抽出は、常温にて行ってもよいが、好ましい濃度とするには時間がかかるので加熱して行うのがよい。加熱は80〜100℃で行うのが望ましい。
〔抽出物の分画〕
上記の方法により得られた抽出溶液を減圧乾燥した後、水で再溶解してものを等容量のクロロホルム、次いで酢酸エチルで溶媒抽出して得られる水層を分離する。
【0011】
このようにして得られた水層をセファデックスG−75を用いて分子分画クロマトグラフィーにより分離し、分子量50,000以上の分画を分取した。この分画したものは、淡褐色をした溶液であり、これをエンドトキシン活性中和剤として用いた。
【0012】
又、このエンドトキシン活性中和剤は、定性反応により、ポリフェノールであることを確認した。
【0013】
なお、このようにして得たエンドトキシン活性中和剤は、溶液であるが、これを凍結乾燥、減圧乾燥などにより乾燥物してもよい。
【0014】
〔エンドトキシン活性中和能の測定〕
このようにして得たエンドトキシン活性中和剤は、エンドトキシン活性を中和することにより、血管内皮細胞上への接着因子(E−セレクチン)の発現誘導を抑制することで白血球細胞が血管内皮細胞へ接着することを阻害した。すなわち、血管内皮細胞を培養プレートで前培養し、培養プレートの底面に血管内皮細胞の単層を形成させ、そこへ血管内皮細胞の接着因子を誘導する因子(エンドトキシンあるいはIL1−βあるいはTNF−α)とエンドトキシン活性中和剤を加えて所定時間培養して接着因子の発現誘導を行ってから白血球細胞を加え、一定時間培養後各ウエル内の血管内皮細胞に接着した白血球細胞の数を数えた結果、エンドトキシン活性中和剤を加えずに同様に処理したときの数に比べ、エンドトキシンを誘導因子として用いた場合だけが血管内皮細胞へ接着した白血球細胞の数が極端に少なかったのに対してIL1−β、TNF−αを誘導因子として用いた場合は血管内皮細胞へ接着した白血球細胞の数に変化は認められなかった。
【0015】
なお、血管内皮細胞および白血球細胞の前培養時あるいは両者の接着反応時におけるエンドトキシン活性中和剤の添加には効果が認められなかった。
【0016】
エンドトキシン活性中和剤は、エンドトキシン活性を中和することにより、マウスマクロファージ様細胞からのエンドトキシンおよびIFN−γによって誘導される誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現と一酸化窒素の産生も阻害した。すなわち、マウスマクロファージ様細胞を培養プレートで培養し、そこへマウスマクロファージ様細胞の誘導型一酸化窒素合成酵素を誘導する因子(エンドトキシンおよびIFN−γ)とエンドトキシン活性中和剤を加えて所定時間培養して培地中のNO産生量を測定した結果、エンドトキシン活性中和剤を加えずに同様に処理したときの量に比べ、エンドトキシン単独、エンドトキシンおよびIFN−γを誘導因子として用いた場合共に培地中のNO産生量が抑制された。
【0017】
〔ココア中の活性成分の血中移行〕
12時間以上絶食したボランティアーの人にココア35gを水280mlと共に経口摂取させ、1及び3時間後に採血して公知の方法により血清を得た。また、対照として摂取直前に採血を行い、同様に血清を得た。経口摂取後の血清はオブロマ カカオの種実からの抽出物の分画成分と同様にエンドトキシンにより誘導されるE−セレクチンの発現を抑制することによって白血球細胞が血管内皮細胞へ接着することを阻害した。すなわち、血管内皮細胞を培養プレートで培養し、培養プレートの底面に血管内皮細胞の単層を形成させ、そこへ血管内皮細胞の接着因子を誘導する因子(エンドトキシン)と血清を加えて所定時間培養して接着因子の発現誘導を行ってから白血球細胞を加え、一定時間培養後各ウエル内の血管内皮細胞に接着した白血球細胞の数を数えた結果、摂取後1及び3時間目の血清を加えたものは対照に比べてが血管内皮細胞へ接着した白血球細胞の数が減少した。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0019】
実施例1 (水による抽出処理の例)
カカオの実からの抽出液の調製
脱脂したココア50gに500mlの沸騰した純水を加えて懸濁し、沸騰した水浴中で攪拌しながら1時間抽出を行った。これを25℃まで冷却した後、15,000×g,10分間、25℃で遠心分離して上澄みを得、更にこの上澄みを定性濾紙No2で濾過して得られた400mlの濾液を水抽出液とした。
【0020】
抽出液の有機溶媒による分画
この水抽出液300mlを分液ロートに移し、更にクロロホルム300mlを加え、10分間激しく攪拌して均質化した。これを4℃で2日間放置して水層(上層)とクロロホルム層(下層)を分離した。この水層(270ml)を再び分液漏斗に戻し、酢酸エチル270mlを加えて10分間激しく攪拌して均質化した後、4℃で2日間放置して水層(下層)と酢酸エチル層(下層)を分離した。この様にして得られた水層(285ml)を200mlまで40℃で減圧濃縮して混在する有機溶媒を除いたものを水抽出液の水溶性画分とした。
【0021】
分子分画クロマトグラフィーによる分画
この水溶性画分2mlを40℃で減圧濃縮し1mlとしたものをセファデクスG−75,medium(ファルマシア社製)カラム(直径1.6cm、長さ97cm、容積190ml)を用い、水を溶出液として分子量により分画した結果が図1.である。各画分の容量は3.0mlである。A280は280nmにおける吸光度を、A490は490nmにおける吸光度を示す。
【0022】
このうち、分子量50,000以上の画分である21番目から25番目のフラクションを分取して、水抽出液から得たエンドトキシン活性中和剤とした。
【0023】
実施例2 (80%エタノールによる抽出処理の例)
カカオの実からの抽出液の調製
脱脂したココア50gに500mlの80%エタノールを加えて懸濁し、室温で攪拌しながら1時間抽出を行った。これを15,000×g,10分間、25℃で遠心分離して上澄みを得、更にこの上澄みを定性濾紙No2で濾過して得られた450mlの濾液を得た。この濾液を25℃で減圧乾燥したものを純水で溶解して450mlに容量を合わせたものを80%エタノール抽出液とした。
【0024】
抽出液の有機溶媒による分画
この80%エタノール抽出液300mlを分液ロートに移し、更にクロロホルム300mlを加え、10分間激しく攪拌して均質化した。これを4℃で2日間放置して水層(上層)とクロロホルム層(下層)を分離した。この水層(310ml)を再び分液漏斗に戻し、酢酸エチル310mlを加えて10分間激しく攪拌して均質化した後、4℃で2日間放置して水層(下層)と酢酸エチル層(下層)を分離した。この様にして得られた水層(350ml)を200mlまで40℃で減圧濃縮して混在する有機溶媒を除いたものを80%エタノール溶液抽出液の水溶性画分とする。
【0025】
分子分画クロマトグラフィーによる分画
この水溶性画分2mlを40℃で減圧濃縮し1mlとしたものをセファデクスG−75,mediumカラム(直径1.6cm,長さ97cm;容積190ml)を用い、水を溶出液として分子量により分画した。その溶出パターンは、実施例1に示した図1と同様であった。
【0026】
実施例1と同様に、分子量50,000以上のフラクションである21番目から25番目のフラクションの画分を分取して、エタノール溶液抽出液から得たエンドトキシン活性中和剤とした。
【0027】
実施例1及び2において得た水抽出液並びにエタノール溶液抽出液、水並びにエタノール溶液の抽出液を各々有機溶媒で分画した水溶性画分及びこれらの水溶性画分を分子分画クロマトグラフィーにより分画したそれぞれのエンドトキシン活性中和剤をそれぞれ別々に0.2μmフィルターで滅菌濾過してエンドトキシン活性中和能を測定した。次に、その結果につき、説明する。
【0028】
試験例1
分子分画クロマトグラフィーによる抽出液中のエンドトキシン活性中和能保有成分の性質
実施例1または実施例2により得た水あるいは80%エタノール溶液による抽出液から分画したエンドトキシン活性中和剤を酒石酸鉄比色法(食品分析法、p813、光琳書房)により測定した結果、ポリフェノールの性質を示した。
【0029】
また、ポリフェノールの吸光度を求めると280nm、490nm、540nmの波長の所に吸収がみられるが、エンドトキシン活性中和剤の各波長の吸光度を求めた結果、表1のようになった。これより各波長の吸光度の比率を求めた結果、ポリフェノールであることが確認された。
【0030】
【表1】
Figure 0003762522
【0031】
試験例2
エンドトキシンによる血管内皮細胞上への接着因子(E−セレクチン)の発現誘導活性中和能の測定
血管内皮細胞としてヒト臍帯静脈内皮細胞(森永生科学研究所製)を用いる。10%牛胎児血清および5μgゲンタマイシンを含むMCDB105培地(MCDB105(+)培地、SIGMA社製)を培地とし、タイプIコラーゲン(森永生科学研究所製)でコートされたフラスコ(ファルコン製)中で培養された血管内皮細胞をトリプシン−EDTA溶液で回収後、ニグロシン液を用いて生細胞数を数え、5×105 生細胞/mlになるようにMCDB105(+)培地に懸濁した。この細胞液をタイプIコラーゲンでコートされた24穴細胞培養プレート(住友ベークライト製)に500μl(2.5×105 生細胞/穴)ずつ播き、37℃、5%CO2 ガス培養器中で一夜培養して単層を形成させた後、培養上清を取り除き、次いで、1.0ml/穴のMCDB105(+)培地で洗浄した。
【0032】
次いで、MCDB105(+)培地を1.0ml/穴ずつ加えて、3時間、37℃、5%CO2 ガス培養器中で培養した後、培養上清を取り除き、次いで、1.0ml/穴のMCDB105(+)培地で洗浄した。
【0033】
次いで、接着因子(E−セレクチン)の発現誘導のため、1.0μg/mlエンドトキシン(大腸菌由来;DIFCO社製)あるいは2.0ng/mlIL1−β(SIGMA社製)あるいは2.0ng/mlTNF−α(SIGMA社製)を含むMCDB105(+)培地を1.0ml/穴ずつ加えて、3時間、37℃、5%CO2 ガス培養器中で培養した。次いで、誘導のための培地を除き、1.0ml/穴のMCDB105(+)培地で洗浄した。
【0034】
次いで、1.0×106 生細胞/のヒト由来白血球細胞(HL−60株、あるいはU−937株)を含むMCDB105(+)培地を1.0ml/穴ずつ加え、15分間、37℃、5%CO2 ガス培養器中で培養した。次いで、ヒト由来白血球細胞を含む培地を除いた後、Ca2+,Mgを含むD−PBSで血管内皮細胞へ接着しなかったヒト由来白血球細胞を洗浄して除いた後、顕微鏡下で血管内皮細胞へ接着したヒト由来白血球細胞の数を測定し、更に写真に撮影した。写真では、血管内皮細胞が黒色を呈するのに対してヒト由来白血球細胞が白色の粒子として観察され容易に計数する事が出来た。
【0035】
カカオの実からの抽出成分の各分画を含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数を抽出物添加区の数とし、カカオの実からの抽出液と等容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数を対照区の数として求め、次の式によりカカオの実の抽出液の各分画のエンドトキシン活性中和能を計算した。
【0036】
【数1】
Figure 0003762522
【0037】
1) エンドトキシンによる血管内皮細胞上への接着因子(E−セレクチン)の発現誘導活性に対する水抽出液の中和能の特異性
実施例1の水抽出液を250分の1量添加したMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数を抽出物添加区の数とし、水抽出液と等容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数を対照区の数として測定し、その数からエンドトキシン活性中和能を計算した結果を表2に示した。
【0038】
【表2】
Figure 0003762522
【0039】
誘導反応時に水抽出物を添加し、エンドトキシンを誘導因子として用いた場合だけが血管内皮細胞へ接着したヒト白血球細胞の数が対照区に比べ、減少して中和能を示したのに対してIL1−β、TNF−αを誘導因子として用いた場合は血管内皮細胞へ接着した白血球細胞の数に変化は認められなかった。また、血管内皮細胞および白血球細胞の前培養時あるいは両者の接着反応時における水抽出液の添加には効果が認められなかった。
【0040】
この結果から、水抽出液は、エンドトキシンに特異的に結合することによってその活性を中和すると結論された。
【0041】
2) 有機溶媒抽出による水溶性画分中のエンドトキシン活性中和能保有成分の挙動
1.0μg/mlエンドトキシン共存下で実施例1および2に記載の水溶性画分を各々100分の1量添加したMCDB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数を水溶性画分添加区の数とし、水溶性画分と等容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数を対照区の数として測定し、その数からエンドトキシン活性中和能を計算した結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
Figure 0003762522
【0043】
水あるいは80%エタノール抽出物中のエンドトキシン活性中和能保有成分は有機溶媒抽出後も水層に残存することから水溶性であると結論された。
【0044】
3) 分子分画クロマトグラフィー分画成分のエンドトキシン活性中和能保有成分の挙動
1.0μg/mlエンドトキシン共存下で実施例1及び2により得られたエンドトキシン活性中和剤を10分の1量添加したMCDB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数が画分と等容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数に比べて明らかに減少した画分を図1に示した。図1に示すように、エンドトキシン活性中和能を示した画分は、フラクション21から25であった。
【0045】
すなわち、水あるいは80%エタノール抽出物中の水溶性画分中のエンドトキシン活性中和能を保有する成分は、分子量50,000以上の高分子であると結論された。
【0046】
4) 分子分画クロマトグラフィーにより得たエンドトキシン活性中和剤の熱安定性
表4に示すように、分子分画して得たエンドトキシン活性中和剤を121℃で30分間加熱処理した前後のものを10分の1量添加したMCDB105(+)培地を加え、1.0μg/mlエンドトキシン共存下で接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数は等容量の純水を含むMCDB105(+)培地を加えた穴の接着ヒト由来白血球細胞数に比べて明らかに減少し、かつ、加熱前後での変化が認められなかった。
【0047】
【表4】
Figure 0003762522
【0048】
水あるいは80%エタノール抽出物中の水溶性画分中の分子量50,000以上の高分子であるエンドトキシン活性中和能保有成分は熱安定性を有すると結論された。
【0049】
試験例3
エンドトキシンによるマウスマクロファージ様細胞からの誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現と一酸化窒素の産生誘導活性中和能の測定
マウスマクロファージ様細胞J774.1を10%牛胎児血清および20μgゲンタマイシン、7.5mMHEPESを含むフェノールレッドを含まないRPMI1640培地(RPMI1640(+)培地)(SIGMA社製)を培地中で培養し、ニグロシン液を用いて生細胞数を数え、1.0×106 生細胞/mlになるようにRPMI1640(+)培地に懸濁した。この細胞液を24穴細胞培養プレート(住友ベークライト製)に1.0ml(1.0×106 生細胞/穴)ずつ播き、37℃、5%CO2 ガス培養器中で一夜培養して細胞を接着させた後、培養上清を取り除き、次いで、1.0ml/穴のRPMI1640(+)培地で洗浄した。
【0050】
次いで、各穴にRPMI1640(+)培地を800μlずつ加えて、これに実施例1の水抽出液、水溶性画分あるいは純水を100μlずつ加えた後、更に100ユニット/mlIFN−γ(SIGMA社製)、1.0μg/mlエンドトキシン(DIFCO社製)、両者を含むRPMI1640(+)培地あるいはRPMI1640(+)培地を加えて、37℃、5%CO2 ガス培養器中で24時間培養した後、培養上清500μl を遠心チューブへ移し、1分間、15,000回転/分、4℃で遠心した。上澄み100μlを酵素免疫測定用96穴プレート(ヌンク社製)の各穴に取り、これに100μl/穴の10mg/mlグリースロイミン試薬(和光純薬製)を加えて、37℃、10分間反応させた後、546nm(対照:630nm)の吸光度を測定してNO2−量とする。
【0051】
図2に示したごとく実施例1の水抽出液、分子分画したエンドトキシン活性中和剤画分はエンドトキシンあるいはIFN−γ+エンドトキシンで誘導される誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現を抑制することからエンドトキシン活性中和能を有すると結論された。
【0052】
試験例4
ココア中のエンドトキシン活性中和能保有成分の血中移行
12時間以上絶食したボランティアーの人にココア35gを水280mlと共に経口摂取させ、1及び3時間後に採血して公知の方法により血清を得た。また、対照として摂取直前に採血を行い、同様に血清を得た。試験例2に記載の方法で求めた1.0μg/mlエンドトキシン共存下で各血清を5分の1量添加したMCDB105(+)培地を加えて接着因子の誘導を行った穴の接着ヒト由来白血球細胞数を図3に示した。
【0053】
経口摂取後の血清を添加した穴は対照の血清を添加した穴に比べて接着細胞数が減少することからココアのエンドトキシン活性を中和する能力を有する成分は経口摂取によって血中へ移行することが確認された。
【0053】
【本発明の効果】
本発明においてテオブロマ カカオの種実、すなわちカカオの実からの抽出物又はその画分がエンドトキシン活性中和剤として有効であり、かつ、経口摂取により生体中へ移行することを見出したが、これを応用してエンドトキシンにより引き起こされるエンドトキシンショック、致死、発熱、炎症、Shwartzman反応、過度の免疫増強作用や凝固−補体系の活性化などの障害をココアの経口摂取により穏やかに、かつ、安全に防止することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水溶性画分の分子分画クロマトグラフィーの各フラクションの280nm及び490nmの吸光度を示す。なお、活性画分を示す太線部分は、エンドトキシン活性中和能がみられたフラクションを示している。
【図2】試験例3におけるNO発生量を示す図。
【図3】試験例5のココアを摂取したボランティアーから採取した血液から得た血清を用いた場合の接着ヒト由来白血球数を示す図。

Claims (1)

  1. テオブロマ カカオ(Theobroma cacao)の脱脂した胚乳部から水又はアルコール溶液で抽出した抽出物から分画した成分であり、しかも、
    1) 水溶性で、
    2) 分子量が50,000以上であり、
    3) 121℃、30分間の加熱に対しても熱安定であり、
    4) ポリフェノールの性質を示し、
    5) 経口摂取することにより血中へ移行し、
    6) エンドトキシン(グラム陰性細菌外膜由来リポポリサッカロイド;LPS)と特異的に結合する、
    性質を有することを特徴とするエンドトキシン活性中和剤。
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