JP3761467B2 - 鳥害防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、田畑や果樹園等に飛来し、あるいはその周辺に生息して農作物や播種後の種子等を食害する野鳥等を追い払う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、稲や米の栽培では、案山子を立てて人の姿としたり、キラキラするリボンを捻りながら張り、風で揺れることによる太陽光線の乱反射を発生させたり、また、農作物の上に害鳥には見えない細い糸を張り、飛来した害鳥の体に触れることで脅威とし、飛来を防止するなど多種多様であったが、いずれも効果は少なく、このため、例えば特開平5−123093号公報のような威嚇音を発生したり、実開平5−70281号公報や特開2001−190212号公報のような怪鳥や猛禽類の模型で脅したり、特開平8−9866号公報や特開平10−248472号公報のような磁石による飛来を防止したり、実開平7−17083号公報のような追い払う鳥害防止装置が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、威嚇音を発生するものは近所の住民に騒音で迷惑が掛かり、怪鳥や猛禽類の模型で脅すものは案山子と同様直ぐに馴れてしまい、磁石による飛来の防止は効果の範囲が狭い。実開平7−17083号公報のような釣り竿を自動車用ワイパーモーターで不規則に減速回転しても直ぐに馴れて竿に害鳥が留まってしまう。また、音響発生装置や可動装置を用いるときは電源を必要とするが通常商用電源が身近で無い事が課題であり、広範囲にわたり効果を持続させることが要求されている。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、周辺環境へ悪影響を及ぼすことも無く、田畑や果樹園等において、簡易に、効果を持続して発揮する事のできる鳥害防止装置を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の鳥害防止装置は上記目的を達成するために、可撓性材料からなる鳥尺の回転体を所要の場所に立設し、駆動部で旋回させるものである。本発明によれば、回転体の可撓性により害鳥を追い払う効果を持続する。
【0006】
また、他の手段は、回転体を棒状として、糸状材で吊り下げて旋回させるものである。そして、本発明によれば糸状材が脅威となり、害鳥を追い払う効果を持続することが出来る。
【0007】
また、回転体は、伸縮自在の弾性体で吊り下げたものである。そして本発明によれば、陽動的な回転体の動きが、害鳥を追い払う効果を持続することができる。
【0008】
また、他の手段は、本装置の回転する部分に猛禽類模型体、光線反射材、永久磁界等を取着するものである。本発明によれば、各部材の特性が相乗効果を発揮し、害鳥を追い払う効果を持続することができる。
【0009】
また、他の手段は、駆動部の動力源を電動機としたものである。そして電動機によれば、その特性上、害鳥が馴れ無い様にするための効果的な運転の制御を簡易にできる。
【0010】
また、他の手段は、駆動部の動力源を風力としたものである。そして風力の性質上、本装置を設ける場所においては調達が容易であると共に、ランニングコストを不要とすることができる。
【0011】
また、他の手段は、スピーカーと、害鳥の忌避音を発生する音声発生制御部と、鳥害の飛来感知器を備えた音声発生装置を備えたものである。そして本発明によれば、害鳥が飛来したときのみ忌避音を発生するので、周辺環境へ悪影響を抑制することができる。
【0012】
また、他の手段は、駆動部ならびに音声発生装置の動力源として、商用電源のほかに自然エネルギーおよび化学エネルギーを用いるものである。そしてエネルギーの複合利用により動力源の調達が容易になり、太陽光発電や風力発電を電源にするとランニングコストを不要とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、ピアノ線材あるいは鋼板等の可撓性材料からなる棒状または帯状で長尺の回転体を、立設した支柱の上端部に旋回自在に支持し駆動部によって旋回させることで鳥などを追い払うものであり、回転体は回転動作と共に軸方向へ撓みによる反曲運動が発生し、比較的緩やかな回転であっても鳥などに対して視覚的及び触覚的な脅威を与える不規則な動きを繰り返す作用を有する。
【0014】
また、回転体を棒状とし、一端を立設した支柱の軸心周りに係止し、先端を支柱の上端部から釣糸状の強靭な糸状材で旋回自在に吊り下げたものであり、糸状材は吊り下げ長さを延長しても質量の増加は少なく、駆動部並びに支柱に対する負荷の増加は少なく回転体の回転動作範囲を拡大でき、また細い糸状材は鳥などの視覚に留り難く接触することで脅威を与える作用を有する。
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0016】
【実施例】
(参考例1)
図1及び図2に示すように、鳥害防止装置1は鋼管を用いた円柱状の支柱2の上端に電動機を内蔵する駆動部3を固定し、稲田など本装置を必要とする所へ下端を埋めこみ鉛直に立設する。駆動部3の上面には支柱2の軸心に一致させて内蔵する電動機回転軸4に連結して回転板5を取付ける。そしてピアノ線材を所要太さの棒状に形成した所定長さの回転体6を2本、支柱2の軸心に対向して回転板5の周端から突出するように固定する。回転体6の先端にはそれぞれ脅し部材7として重りを兼ねた猛禽類模型体7aを設け、静止時には枝垂れ状、回転時には円弧を描いて撓うようにする。更に回転体6の所々には脅し部材7としてキラキラと光線を反射するようにアルミ蒸着をしたプラスチックフィルムをひらひらなびくリボン7bとして吊り下げ、他に忌避物としての永久磁石を取付ける。また、駆動部3の下方の支柱2には害鳥の鳴き声を集音するマイクロフォン8と忌避音を発生するスピーカー9を設け、マイクロフォン8とスピーカー9の間には太陽光発電素子10が太陽光を都合良く受けるように配置する。そして支柱2の下方に箱体の操作部11を設け、内部に太陽光発電素子10からの電力を蓄積し必要に応じて供給する蓄電池及び商用電源の電源スイッチ等の配電器具と、マイクロフォン8ならびにスピーカー9との音声発生回路12を構成する集音用の増幅器13、集音した害鳥の鳴き声を選別するフイルター14、害鳥の忌避音を有する音声ボード15および忌避音用の増幅器16を配設している。
【0017】
上記の構成において各部の働きについて順次説明する。スズメ、カラス、鳩等の害鳥は、遠方から稲田等に直接飛来せず、まず、近くの電線やフェンス、時には案山子などに留まり、周囲を警戒したり、威嚇したりする。その時大きな鳴き声を上げる。この鳴き声をマイクロフォン8でキャッチすると駆動部3の電動機を運転して回転板5に固定された回転体6が回転する。同時に音声ボード15の猛禽類の鳴き声や忌避音がスピーカー9から鳴り響き、回転体6は猛禽類模型体7aならびにヒラヒラなびきながらキラキラと光線の乱反射をするリボン7bと共に旋回しながら陽動的な反曲運動を行う。そして聴覚からの恐怖感と、反曲運動を伴い旋回する物体に対する視覚的・本能的な恐怖感・嫌悪感から害鳥は速やかに退散する。また、曇天で日射が弱く、あるいは回転体6の回転が弱い場合においても陽動的な反曲運動があるから、リボン7bの光線乱反射の低下は少なく、反射猛禽類模型体7aの動きがリアルであり、害鳥が馴れて回転体6に止まるようなことはない。また、駆動部3は電動機を用いているから、回転体6の回転調節を不規則なものにすることも容易であり、害鳥が慣れないようにすることができる。
【0018】
なお、鳴き声を集音するマイクロフォン8は各現場毎に電線やフェンスのある方向に向けておくとより効果的である。また、回転体6の材質形状は装置の規模によっては、竹材やカーボンファイバー等を棒状に限らず板状に形成してもよい。
【0019】
(参考例2)
図3に示す鳥害防止装置17は、参考例1における支柱の上端に設けた電動機を内蔵する駆動部の回転板部分をサポニウス風車18としたもので、参考例1と同様箇所には同符号を付し説明は省略する。この構成により電動機は風による回転数が所定に達すると発電機となり、太陽光発電素子10からの電力と共に蓄電池に蓄積されるものである。そして充電はされないが回転する風力があるときに害鳥が飛来した場合には風力のみを用い、風力による回転では不足の場合には商用電源並びに自然エネルギーによる蓄電池の電力で発電機でもある電動機を駆動する。
【0020】
このように自然エネルギーによる電力は変動が大きく、例えば、害鳥は早朝や日没前に食欲が旺盛で、この時間帯に作物は食害に逢い易い。所がこの時間帯の太陽光は弱く、また風力も弱いため発電量は少ない。そのため蓄電池を設けて青天日中の太陽光の強い時や、夜間でも発電できる風力による余剰電力を蓄積し、必要時に都度利用できるようにするのが効果的である。
【0021】
なお、風車はプロペラ型風車でもよい。
【0022】
(参考例3)
図4に示すものは、参考例1における可撓性を有する長尺棒状の回転体を固形棒状とし、支柱の上端部から糸状材で旋回自在に吊り下げたものであり、参考例1と同様箇所には同符号を付し説明は省略する。すなわち鳥害防止装置19は、立設した円柱状の支柱20の下方外周で地表から所要高さの位置に、筒状の回転輪21を回転自在に装着し、支柱20に外付けした電動機22でベルト駆動する。支柱20は必要とする所へ下端を埋めこみ鉛直に立設し、上端からは地表に支線20aを張架しアンカー20bで固定する。回転輪21の外周には所定長さの棒状の回転体23を2本、支柱20の軸心に対向して突出するように固定し、さらに支柱19の上方外周に補助環24を回転自在に装着し、回転体23の先端部を釣糸のように細く強靭なピアノ線材の吊下げ線25で繋ぎ止め水平に保持する。このように回転体23は回転輪21と吊下げ線25によって両端を保持されるから相当長尺とすることができ、そのため支柱20も支線20aを張架し強化されている。そして回転体23には脅し部材7としての猛禽類模型体7a、光線反射プラスチックフィルムのリボン7bを要所に配置する。
【0023】
上記の構成において、スピーカー9が鳴り響き、電動機22が回転輪21を回転すると、回転体23は猛禽類模型体7aならびにリボン7bをひらめかしながら旋回する。それでも害鳥が回転体23に止まろうと近寄ると細く見え難い吊下げ線25に接触し、一度体に異物が接触した害鳥は二度と近寄らない。また、回転体23は相当長尺とすることができるから広範囲にわたっての効力を発揮することができる。
【0024】
(実施例1)
図5に示すものは、参考例3における回転輪の外周に突出す回転体の接続を上下動可能とし、突出した先端部を支柱の上端部から繋ぎ止める吊下げ線の形状材質に伸縮性を持たせたものであり、参考例1、2及び3と同様箇所には同符号を付し説明は省略する。すなわち鳥害防止装置26は、立設した円柱状の支柱20の下方外周に回転自在に装着された電動機21でベルト駆動する筒状の回転輪27の外周には所定長さの棒状の回転体28を2本、支柱20の軸心に対向して突出して蝶番状に上下動自在に接続し設け、支柱19上方の補助環24と回転体28の先端部を引張コイルばねの吊下げ線29で繋ぎ止め水平に保持する。
【0025】
この構成により、回転体28は旋回すると引張コイルばねの弾みで上下方向の陽動的な動作をするので、害鳥への威嚇が効果的である。また、回転輪の外周と回転体の接続が固定であっても回転体28の材質形状に可撓性があれば同様の効果が発揮できる。
【0026】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように本発明によれば、立設した支柱の上端に可撓性を有する長尺の回転体を回動自在に支持し、要所に猛禽模型体や光線反射材を取着して下方へ撓らせ旋回させることで、長尺の回転体が旋回と共に、その可撓性によって反曲運動が発生し不規則な動作を行い、害鳥への威嚇強化すると共にその馴化を防止できるという効果のある害鳥防止装置を提供できる。
【0027】
また、長尺の回転体を棒状としてその先端を支柱の上端から糸状材で旋回自在に吊下げ、他端を支柱の周りに回動自在に支持し猛禽模型体や光線反射材を取着して旋回させることで、視覚的な威嚇と共に視認困難糸状材に接触することで威嚇と共に脅威感を与え、害鳥の接近を排除する効果の強化ができる害鳥防止装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1の鳥害防止装置を示す外観斜視図
【図2】 同参考例1の音声発生回路ブロック図
【図3】 同参考例2の鳥害防止装置を示す外観斜視図
【図4】 同参考例3の鳥害防止装置を示す外観斜視図
【図5】 同実施例1の鳥害防止装置を示す外観斜視図
【符号の説明】
1、17、19、26 鳥害防止装置
2、20 支柱
3 駆動部
4 電動機回転軸
5 回転板
6、23、28 回転体
7 脅し部材
7a 猛禽類模型体
7b 光線反射材料
8 マイクロフォン
9 スピーカー
10 太陽光発電素子
11 操作部
12 音声発生回路
18 サポニウス風車
21、27 回転輪
22 電動機
20a 支線
20b アンカー
24 補助環
25、29 吊り下げ線
Claims (6)
- 所定高さに立設した支柱の軸芯周りに旋回自在となるように長尺の回転体の一端を係着、前記回転体の他端を前記支柱の上端から伸縮自在の弾性体で形成された糸状材で旋回自在、上下動自在に吊り下げ、駆動部で旋回させることで鳥等を追い払う鳥害防止装置。
- 回転体および/または糸状材の適所には、猛禽類模型体および/または光線反射材料および/または永久磁石を取着してなるものとしたことを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止装置。
- 駆動部の動力源は電動機とした請求項1または2に記載の鳥害防止装置。
- 駆動部の動力源は風力とした請求項1または2に記載の鳥害防止装置。
- 支柱部の適所に、スピーカーを具備し、近所に害鳥が飛来した時、害鳥の忌避音を周辺に向けて自動的に発生し得る音声発生回路を並置した、請求項1から4のいずれかに記載の鳥害防止装置。
- 電動機および/または音声発生装置の電源として、商用および/または太陽光発電および/または風力発電および/または蓄電池および/またはそれらの組み合せとした、請求項1から5のいずれかに記載の鳥害防止装置。
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