JP3752524B2 - フェライト系耐熱鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、フェライト系耐熱鋼に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、630 ℃を超える高温でも耐水蒸気酸化性が劣化せず、優れた長時間クリープ強度を発揮することのできる高Crフェライト系耐熱鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ボイラ、原子力発電設備、化学工業装置等は、一般に、高温、高圧下で長時間使用されるため、これらの装置に用いられる耐熱鋼は、そのような使用温度における強度、耐食性及び耐酸化性とともに、常温での靱性等に優れることが要求される。
【0003】
耐熱鋼には、オーステナイト系ステンレス鋼(たとえばJIS−SUS321H鋼、同SUS347H鋼)、低合金鋼(たとえばJIS−STBA24(2・1/4 Cr−1Mo))、また、9〜12Cr系の高Crフェライト鋼(たとえばJIS−STBA26(9Cr−1Mo鋼))等が知られている。中でも高Crフェライト鋼は、低合金鋼に対し、500 〜650 ℃の温度域での強度及び耐食性に優れている。また、高Crフェライト鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べ、熱伝導率が高く、しかも熱膨張率が小さいため、耐熱疲労性に優れ、スケール剥離が起こりにくい。さらには、応力腐食割れを起こしにくいという長所もある。
【0004】
一方、火力発電では、熱効率の向上を図るために、ボイラの蒸気条件の高温化、高圧化が進められており、現状の超臨界圧条件538 ℃、246 気圧から650 ℃、350 気圧という超々臨界条件での操業が将来計画されている。このような蒸気条件の変化にともないボイラ用鋼管に要求される性能はますます過酷化し、上記高Crフェライト鋼でも適用が難しくなりつつある。それと言うのも、高Crフェライト鋼は、高温における長時間クリープ強度及び耐酸化性が低下する傾向にあり、特に耐水蒸気酸化特性の点からは630 ℃程度までが限界であると考えられているからである。ここで、水蒸気酸化とは、高温高圧の水蒸気に曝される表面で生じる酸化現象を言う。水蒸気酸化が起こると、鋼表面には酸化皮膜(スケール層)が生成するが、このスケール層は、温度変化にともなって剥離しやすくなる。スケール層の剥離は、上記ボイラ用鋼管の場合には、詰まり等のトラブルの原因となる。
【0005】
そこで、高Crフェライト鋼の特性を改善するために、Wの含有が考えられている。たとえば特開平3−97832 号公報には、W含有量を従来品よりも高くした高Crフェライト鋼が記載されている。また、特開平4−371551号及び特開平4−371552号の両公報には、W及びMoを含有し、MoとWの含有量を適正な割合に調整するとともに、Co及びBの両者を含有する、高温強度及び靱性の向上した高Crフェライト鋼が記載されている。
【0006】
だが、これら高Crフェライト鋼は、いずれもWを多量に含有しており、高温クリープ強度には優れるが、Wは、Mo、Cr等とともにフェライト生成元素であるため、多量となると、鋼中にδ−フェライト相が生成し、靱性が低下する。このような靱性低下に対しては、高Crフェライト鋼の組織をマルテンサイト組織単相とすることが有効である。そこで、たとえば特開平5−263196号公報には、Cr含有量を従来品より低くした耐熱鋼が記載されている。また、特開平5−311342号から311346号公報には、オーステナイト生成元素であるNi、Cu、Co等を含有することにより、δ−フェライト相の生成を抑制し、靱性の改善を図った高Crフェライト鋼が記載されている。
【0007】
しかしながら、上記特開平5−263196号公報に記載された耐熱鋼では、Mo、Ni等が、鋼表面に生成するCr2 O3 を主体とするスケール層を緻密で安定なコランダム型から脆いスピネル型に変化させるため、剥離が発生し、耐水蒸気酸化性が劣化する。
また、上記特開平5−311342号公報等に記載された高Crフェライト鋼は、Ni、Cu等を多量に含有するため、A1 変態点及びA3 変態点が低い。その結果、焼きもどし軟化抵抗が小さく、また、炭窒化物の凝集粗大化も早く、長時間クリープ強度が低くなる。さらには、含有するNi、Cu等は、特開平5−263196号公報に記載された耐熱鋼の場合と同様に、スケール層を脆い構造に変え、耐水蒸気酸化性を劣化させる。
【0008】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の高Crフェライト鋼の欠点を解消し、630 ℃を超える高温でも耐水蒸気酸化性が劣化せず、優れた長時間クリープ強度を発揮することのできる高Crフェライト鋼を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、重量%で、
C : 0.06 〜 0.18 %、 Si: 1.0 %以下、 Mn:0〜 1.5 %、
P : 0.030 %以下、 S : 0.015 %以下、Cr: 8.0 〜 13.0 %、
W :0〜 4.0 %、 Mo:0〜 2.0 %(ただし、W+2Mo≦ 4.0 %)、
Nb: 0.030 〜 0.14 %、V : 0.10 〜 0.50 %、N : 0.10 %以下、
B :0〜 0.030 %、 O : 0.010 %以下、 sol. Al:0〜 0.050 %
含有し、さらに、
RhおよびIrの少なくとも1種を、合計重量%で、 0.3 〜 5.0 %含有し、
残部:Fe及び不可避的不純物からなる
ことを特徴とするフェライト系耐熱鋼(請求項1)を提供する。
【0010】
また、この出願の発明は、上記耐熱鋼について、その態様の一つとして、重量%で、Rh0.3 〜5.0 %、Ir0.6 〜5.0 %であって、
0.3 %≦Rh+(1/2)Ir≦5.0 %
の割合でRhおよびIrの少なくとも1種が含有されているフェライト系耐熱鋼(請求項2)も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以上のとおりの特徴を有するこの発明のフェライト系耐熱鋼は、高長時間クリープ強度、耐水蒸気酸化性等の特性と、鋼の化学成分及び金属組織(ミクロ組織)との関係を詳細に検討した結果得られた以下の知見に基づいて完成されたものである。
(1)長時間クリープ強度
Rh及びIrは、Coと同族で、オーステナイト生成元素であり、鋼に含有させると、A1 変態点を著しく低下させ、焼き戻し軟化抵抗を小さくすると従来では考えられていた。
【0013】
しかしながら、Mo及びWを含有する高Crフェライト鋼では、Rh、Irを含有しても、A1 変態点の低下は顕著でなく、また、Coに見られる炭窒化物の凝集粗大化の助長作用も示さない。しかも、Rh、Irの含有によりマルテンサイトラス組織が微細化され、マルテンサイト相が強化される。この現象は、従来鋼に行われていた熱処理と同じ熱処理でも確認される。焼き入れ状態での硬化は、従来鋼とさほどの差は認められないが、焼き戻し軟化抵抗は著しく大きくなる。高Crフェライト鋼は、焼きならし及び焼き戻し処理によって炭窒化物が析出したマルテンサイト組織を有する。このマルテンサイト組織は、630 ℃を超える高温では時間につれて回復軟化しやすいが、これが抑制される。
【0014】
以上の結果として、630 ℃を超える温度における長時間クリープ強度が飛躍的に改善され、優れた長時間クリープ特性が維持される。
(2)耐水蒸気酸化性
Rh、Irの含有は、Mo、W等が多量に存在している場合でも、Cr2 O3 を主体とする緻密なコランダム型のスケール層をスピネル型の脆い構造に変化させない。このため、スケール層の破壊が生じず、630 ℃を超える温度における耐水蒸気酸化性は劣化しない。
【0015】
このようなRh、Irの含有による効果は、少なくともいずれかの添加が、重量%で0.3〜5%、さらには、Rhの場合には0.3 重量%以上で、Irの場合には0.6 重量%で顕著となる。一方、5重量%を超える多量となると、Rh、Irいずれの場合にも効果は飽和する。そこで、Rh、Irの含有量は、それぞれ、0.3 〜5.0 重量%、0.6 〜5.0 重量%が適当である。
【0016】
なお、上記効果は、Rh及びIrの両者を含有する場合にも認められる。ただ、この場合には、効果の顕著性及び飽和の観点から重量%で0.3 %≦Rh+(1/2) Ir≦5.0 %が適当である。
この発明のフェライト系耐熱鋼における他の元素及びその含有量については、以下の通りである。
<1>C
Cは、重要なオーステナイト生成元素であり、δ−フェライト相の抑制効果を有する。また、鋼の焼き入れ性を著しく高め、マルテンサイト相母相を形成するのに必要不可欠な元素でもある。MC型(炭窒化物M(C,N)という形態をとることもある。なお、MはV、Nb等の合金元素である。)、M7C3 型、及びM23C6 型の炭化物を形成する。鋼が630 ℃を超える高温下で長時間使用されると、微細なこれら炭化物(たとえばVC、NbC)の析出が進行し、長時間クリープ強度を維持する働きをする。この効果を得るには、含有率0.06重量%以上が必要である。一方、0.18重量%を超えると、炭化物の凝集と粗大化が起こり、長時間クリープ強度を逆に低下させてしまう。このため、Cの含有率は、0.06〜0.18重量%が適当である。
<2>Si
Siは、溶鋼の脱酸剤であると同時に、高温における耐水蒸気酸化性を向上させるのに有効な元素でもある。だが、過剰となる場合には、鋼の靱性を低下させるので、含有率は1.0 重量%以下が適当である。溶鋼の脱酸がAlにより十分可能な時には、Siは省略してもよい。したがって、Siの含有率は、好ましくは0〜1.0 重量%とする。
<3>Mn
Mnは、通常、SをMnSとして固定し、鋼の熱間加工性を向上させるために添加される元素であり、十分脱硫された鋼には特に必要としないが、高応力下での短時間クリープ強度の向上に有効ともなる。だが、含有率1.5 重量%を超えると、鋼の靱性低下を招く。そこで、Mnの含有率は、0〜1.5 重量%が適当である。
<4>Cr
Crは、高温における耐食性、耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性を確保する上で必要不可欠な元素である。Crの含有により、鋼表面には、Cr酸化物を主体とする緻密な酸化皮膜が形成され、この酸化皮膜が、鋼に高温における耐食性、耐酸化性(耐水蒸気酸化性を含む)を与える。
【0017】
また、Crは、炭化物を形成してクリープ強度を向上させる働きも持っている。
これらの効果を得るためには、含有率8.0 重量%以上は必要である。ただ、13.0重量%を超えると、δ−フェライト相が生成しやすくなり、靱性の低下が起こる。Crの含有率は、8.0 〜13.0重量%が適当である。
<5>W
Wは、クリープ強度を高め、高温での維持に有効な元素の一つである。固溶状態にあってはマルテンサイト相母相を強化し、高温下でFe7 W6 型のμ相、Fe2 W型のLaves 相等を主体とする金属間化合物を形成し、これが微細に析出して長時間クリープ強度を向上させる。また、Cr炭化物中にも一部固溶し、炭化物の凝集、粗大化を抑制する。
【0018】
微量添加では固溶強化、1.0 重量%を超える添加では析出強化が顕著となる。一方、4.0 重量%を超えると、δ−フェライト相が生成しやすくなり、靱性の低下が起こる。なお、他の強化元素で十分強化されている場合には、Wは省略することも可能である。したがって、Wの含有率は、0〜4.0 重量%が適当である。
<6>Mo
Moは、Wと同様に、微量では固溶強化、1.0 重量%を超える添加では析出強化に寄与し、クリープ強度を高める。Moの析出強化は、Wに比べ600 ℃以下の低温側で顕著である。他の強化元素で十分強化されている場合には、Wと同様に、Moは省略することも可能である。
【0019】
また、Moは、M23C6 型及びM7 C3 型炭化物という形態では、高温で安定であり、長時間クリープ強度の確保にも有効となる。
2.0 重量%を超えると、δ−フェライト相が生成しやすくなり、靱性が低下するため、含有率は、0〜2.0 重量%が適当である。
なお、W及びMoを同時含有する場合には、含有率は、好ましくは、W+2Mo≦4.0 重量%とする。
<7>V
Vは、微細な炭窒化物を形成してクリープ強度を向上させる。この効果は、含有率0.10重量%以上で現れ、0.50重量%で飽和する。したがって、Vの含有率は、0.10〜0.50重量%が適当である。
<8>Nb
Nbは、窒化物及び炭窒化物を形成し、鋼の強度及び靱性を向上させる。この効果は、含有率0.030 重量%以上で現れ、0.14重量%で飽和する。したがって、Vの含有率は、0.030 〜0.14重量%が適当である。
<9>N
Nは、Cと同様に、重要なオーステナイト生成元素であり、δ−フェライト相の生成を抑制する効果を有する。また、鋼の焼き入れ性を高め、マルテンサイト相を形成する元素でもある。さらには、M(C、N)型炭窒化物を形成する。
【0020】
このようなNは、C及びRh、Ir等によりδ−フェライト相の生成が十分抑制され、かつ、630 ℃を超える高温におけるクリープ強度を重視する場合には、添加は特に必要でない。一方、焼き入れ性を十分高め、δ−フェライト相の生成抑制を重視する場合には、好ましく添加される。多量の添加は、窒化物の粗大化につながり、靱性の低下が著しくなる。しがって、Nの含有率は、0〜0.10重量%が適当である。
<10>B
Bは、微量の含有で、主にM23C6 型等の炭化物を微細に分散析出させ、凝集粗大化を抑制する。高温長時間クリープ強度の向上に効果がある。また、厚肉材などで熱処理後の冷却速度が遅い場合には、焼き入れ性を高め、高温強度を向上させる。
【0021】
このようなBは、主として高い高温強度が望まれる場合に含有することができ、省略することも可能である。含有する場合には、上記効果は、含有率0.0005重量%以上で顕著となる。含有率が0.030 重量%を超えると、粗大な析出物が現れ、靱性低下を引き起こすので、上限は0.030 重量%とする。したがって、Bの含有率は、0〜0.030 重量%が適当である。
<11>sol.Al
Alは、主に溶鋼の脱酸剤として添加される。鋼中では、Alは、酸化物とこれ以外の形態で存在し、後者は、分析上、塩酸可溶Al(sol.Al)と呼ばれている。上記脱酸効果が得られれば、sol.Alは、特に必要ない。一方、0.050 重量%を超えると、クリープ強度の低下を招く。sol.Alの含有率は、0〜0.050 重量%が適当である。
<12>P及びS
P及びSは、各々、不可避的不純物として含まれる。熱間加工性、溶接部の靱性等に悪影響を及ぼす元素であるため、含有率はできる限り低くするのが好ましい。Pは0.030 重量%以下、Sは0.015 重量%以下とする。
<13>O
Oも不可避的不純物として含有されるが、粗大な酸化物となって偏在すると、靱性等に悪影響を及ぼす。靱性を確保する上では、極力含有率を抑えるのが好ましい。含有率0.010 重量%以下であれば靱性への影響は十分小さい。そこで、Oの含有率は、0.010 重量%以下とする。
【0022】
また、この発明のフェライト系耐熱鋼については、工業的に用いられている通常の製造設備及び製造プロセスにより製造することができる。
たとえば、電気炉、転炉等の炉で精錬し、脱酸剤及び合金元素を添加して成分調整を行う。特に厳密な成分調整が必要な場合には、合金元素を添加する前に、溶鋼に真空処理を行うことができる。
【0023】
こうして所定の化学組成に調整された溶鋼を、次いで、連続鋳造法又は造塊法によりスラブ、ビレット又は鋼塊に鋳造した後、鋼管、鋼板等に成形する。
継ぎ目無し鋼管を製造する場合には、たとえばビレットを押出し、又は鍛造によって製管することができる。鋼板の場合には、スラブを熱間圧延し、熱延鋼板とすることができる。この熱延鋼板を冷間圧延すると冷延鋼板が得られる。熱間加工後に冷間圧延等の冷間加工を行う場合には、通常の冷間加工に先立って、焼き鈍し及び酸洗処理を行うのが好ましい。
【0024】
作製した鋼管及び鋼板は、必要に応じて焼き鈍し等の熱処理を行い、所定の特性に調整する。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を示し、この発明のフェライト系耐熱鋼についてさらに詳しく説明する。
容量10kgの真空高周波誘導炉で原料を溶解し、成分調整した。化学組成は、表1に示した通りである。
【0026】
【表1】
【0027】
そして、直径70mmの鋼塊に鋳造した後に、得られたインゴットを温度1250〜1000℃で熱間鍛造し、45mm角、長さ400mm にした。さらに、1100〜900 ℃で熱間圧延し、15mm角とした。
表1の実施例1〜6に示される供試材については、次いで、1100℃で1時間保持した後に空冷の焼きならし処理を行い、また、800 ℃で1時間保持した後に空冷の焼き戻し処理を行った。
【0028】
一方、表1の比較例1及び比較例2に示される供試材に対しては、これらの鋼に通常行われる熱処理を行った。すなわち、950 ℃で1時間保持した後に空冷の焼きならし処理を行い、また、750 ℃で1時間保持した後に空冷の焼き戻し処理を行った。これら比較例1及び比較例2に示される供試材は、各々、ASTM−A213−T91及びDIN−X20CrMoWV121に規定される化学組成とした。
【0029】
これら8種の供試材について、試験片を採取し、高温クリープ強度及び耐水蒸気酸化性の評価を行った。
[高温クリープ強度]
クリープ破断試験で評価した。試験条件は以下の通りとした。
[耐水蒸気酸化性]
水蒸気酸化試験で評価した。試験条件は以下の通りとした。
【0030】
試験環境:水蒸気雰囲気、700 ℃
保持時間:1000時間
測定項目:スケール層の厚さ
測定結果は、表2に示した通りである。
【0031】
【表2】
【0032】
実施例1〜6に示される供試材は、650 ℃、140MPaでのクリープ破断時間は、いずれも3000時間以上、700 ℃、120MPaでのクリープ破断時間は、いずれも100 時間以上であった。また、700 ℃×1000時間の水蒸気酸化試験におけるスケール層の厚さは、平均で77μm以下であった。
一方、比較例1及び比較例2に示される供試材は、クリープ破断時間が実施例1〜6に示される供試材に比べ著しく劣っていた。耐水蒸気酸化性については、比較例1に示される供試材は、スケール層の厚さが実施例1〜6に示される供試材の2倍程度であり、耐水蒸気酸化性が劣る。
【0033】
以上の結果から、この発明のフェライト系耐熱鋼は、630 ℃を超える高温において、耐水蒸気酸化性が劣化せず、優れたクリープ強度を発揮することが確認される。
もちろんこの発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、630 ℃を超える高温でも耐水蒸気酸化性の劣化のない、優れた長時間クリープ強度を発揮するフェライト系耐熱鋼が提供される。
Claims (2)
- 重量%で、
C : 0.06 〜 0.18 %、 Si: 1.0 %以下、 Mn:0〜 1.5 %、
P : 0.030 %以下、 S : 0.015 %以下、Cr: 8.0 〜 13.0 %、
W :0〜 4.0 %、 Mo:0〜 2.0 %(ただし、W+2Mo≦ 4.0 %)、
Nb: 0.030 〜 0.14 %、V : 0.10 〜 0.50 %、N : 0.10 %以下、
B :0〜 0.030 %、 O : 0.010 %以下、 sol. Al:0〜 0.050 %
含有し、さらに、
RhおよびIrの少なくとも1種を、合計重量%で、 0.3 〜 5.0 %含有し、
残部:Fe及び不可避的不純物からなる
ことを特徴とするフェライト系耐熱鋼。 - 重量%で、Rh0.3 〜5.0 %、Ir0.6 〜5.0 %であって、
0.3 %≦Rh+(1/2)Ir≦5.0 %
の割合でRhおよびIrの少なくとも1種が含有されている請求項1のフェライト系耐熱鋼。
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