JP3744732B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載される配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体から成る絶縁基体の内部及び表面にタングステン、モリブデン等の高融点金属材料から成る配線導体層、スルーホール導体層、電源導体層および接地導体層を形成した構造を有しており、絶縁基体表面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載されるとともに各電子部品の電極が配線導体層等に電気的に接続させるようになっている。
【0003】
かかる配線基板は、一般に、セラミックスの積層技術及びスクリーン印刷等の厚膜形成技術を採用することによって製作されており、具体的には以下の方法によって製作される。
【0004】
即ち、(1)まず、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、酸化珪素(SiO2 )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等から成るセラミックス原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿物を作り、次にこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に形成して複数枚のセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得る。そして少なくとも1つのセラミックグリーンシートの上面側から下面側にかけて金属製の打ち抜きピンを押圧し、各セラミックグリーンシートの所定位置に厚み方向に貫通するスルーホールを形成する。
【0005】
(2)次に、前記セラミックグリーンシートの表面及びスルーホール内に、タングステンやモリブデン粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た導電ペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布する。
【0006】
(3)そして最後に前記導電ペーストを印刷塗布した各セラミックグリーンシートを上下に積層するとともに還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成し、有機溶剤、溶媒を気化除去するとともに、セラミックグリーンシートと導電ペーストとを焼結一体化することによって絶縁基体の内部及び表面に所定パターンの配線導体層を有する配線基板が完成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上記電子部品の電極と配線導体層との接続方法としては、半導体素子等の電子部品の高密度化、小型化に対応するためセラミック配線基板の表面に露出するスルーホール導体層に半導体素子の電極を半田等の電気的接続手段を介し直接接続する、所謂、フリップチップ方式のボンディングが多用されつつあり、少なくとも半導体素子等の電極が接続されるスルーホール導体層は、半導体素子の電極配置に合わせて高密度で形成することが必要となっている。
【0008】
しかしながら、上記従来の配線基板においては、スルーホール導体層を形成するためのスルーホールがセラミックグリーンシートの上面側から下面側にかけて金属製の打ち抜きピンを押圧することによって形成されており、該打ち抜きピンは機械的強度の関係から直径を80μm未満とすることができず、その結果、打ち抜きピンを用いて形成されるスルーホール及び該スルーホール内に形成されるスルーホール導体層は直径が80μm以上となり、スルーホール導体層を高密度に形成することができず、高密度で形成された半導体素子等の電極を接続することができないという欠点を有していた。
【0009】
またこの従来の配線基板においては、配線導体層がセラミックグリーンシートに導電ペーストをスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布することによって形成されており、該スクリーン印刷法による導電ペーストの印刷塗布はスクリーンメッシュの関係から線幅及び隣接間隔を70μm以下とすることができず、その結果、形成される配線導体層はその線幅が太く、隣接間隔も広いものとなり、配線導体層を高密度に形成することができないという欠点を有していた。
【0010】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は配線導体層及びスルーホール導体層を高密度に形成することができる配線基板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線基板の製造方法は、(1)有機樹脂組成物にセラミック粉末を分散させたセラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストとを作製する工程と、(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、(3)前記光硬化セラミックシートの表面に、セラミックグリーンシートの表面に形成される配線用導体層に対応する溝を形成し、前記セラミックグリーンシートの表面に、前記感光性導電ペーストを被着させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像してセラミックグリーンシートの表面に配線用導体層を形成する工程と、(4)前記光硬化セラミックシートのスルーホール内に前記感光性導電ペーストを被着させてスルーホール用導体層を形成する工程と、(5)前記配線用導体層と該配線用導体層に対応する前記溝とが一致するように、前記スルーホール用導体層が形成された光硬化セラミックシートを前記配線用導体層が形成されたセラミックグリーンシートの上に積層し、焼成することにより、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層を形成する工程とから成る。
【0012】
本発明の配線基板の製造方法は、(1)有機樹脂組成物にセラミック粉末を分散させたセラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた感光性セラミックグリーンシートと、金属粉末に有機溶剤を添加した導電ペーストとを作製する工程と、(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、(3)前記光硬化セラミックシートの表面に、前記セラミックグリーンシートの表面に形成される配線用導体層に対応する溝を形成する工程と、(4)前記セラミックグリーンシートの表面に感光性レジストフィルムを載置させ、かつ所定位置に光を照射し所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去して所定パターンの貫通穴を有するレジスト膜を形成する工程と、(5)前記レジスト膜の貫通穴内、及び光硬化セラミックシートのスルーホール内に導電ペーストを充填し、しかる後レジスト膜を除去してセラミックグリーンシートの表面に配線用導体層を、光硬化セラミックシートのスルーホール内にスルーホール用導体層を形成する工程と、(6)前記配線用導体層と該配線用導体層に対応する前記溝とが一致するように、前記スルーホール用導体層が形成された光硬化セラミックシートを前記配線用導体層が形成されたセラミックグリーンシートの上に積層し、焼成することにより、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層を形成する工程とから成る。
【0013】
本発明の配線基板の製造方法によれば、配線導体層を形成するための導電ペーストを感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させて感光性となしたことからセラミックグリーンシートの表面に導電ペーストを被着させ、その後、所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによって配線用導体層を形成する、所謂、フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成することができるため配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものになすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0014】
また本発明の配線基板の製造方法によれば、セラミックグリーンシートの表面にフォトリソグラフィー技術により微細な所定パターンの貫通穴が形成されているレジスト膜を被着し、そしてその貫通穴内に導電ペーストを充填することによって配線用導体層を形成することから配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものとなすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
さらに本発明の配線基板の製造方法によれば、絶縁基体を形成するためのセラミックグリーンシートを、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を添加分散させて感光性となしたことから、セラミックグリーンシートの所定位置に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによってスルーホールを極めて簡単に、かつ直径が60μm以下の小さな径に形成することができ、これによってスルーホール内に形成されるスルーホール導体層もその直径を60μm以下の小さいものとしてスルーホール導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の配線基板の製造方法を図1(a)乃至(i)に示す実施例に基づいて説明する。
まず、図1(a)に示す如く、感光性セラミックグリーンシート1を形成する。
前記感光性セラミックグリーンシート1はセラミック粉末に、光反応性化合物、光重合開始剤、光重合促進剤から成る感光性樹脂組成物および必要に応じて有機バインダー、紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、非感光性ポリマー等を混合して感光性泥漿物を作り、前記感光性泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって形成される。
【0016】
前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられるセラミック粉末としてはガラスセラミックス粉末、酸化アルミニウム粉末、ムライト粉末、窒化アルミニウム粉末、結晶化ガラス粉末等が使用され、例えば、ガラスセラミックス粉末が使用される場合には、酸化マグネシウム(MgO)10.8重量%、酸化アルミニウム(Al2 O3 )28.0重量%、酸化珪素(SiO2 )43.8重量%、酸化亜鉛(ZnO)7.1重量%、残部がホウ素(B2 O3 )から成るガラス成分80重量%に対し、酸化珪素(SiO2 )粉末を20重量%としたものが好適に使用される。
【0017】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光反応性化合物は光反応性の炭素−炭素不飽和結合を有するアクリル系またはメタクリル系のモノマーもしくはオリゴマーであり、光硬化して感光性セラミックグリーンシート1を後述する現像液に不溶となすことにより、フォトリソグラフィー法によるスルーホール形成を可能とする作用を有し、例えば、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドラフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化ノニルフェニールアクリレート、ジンクジアクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート、1.4ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロピシ化ネオペンチルグリコールアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリストールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタアクリレートエステル及び上記のアクリレートをメタクリレートに置き換えたものがあり、これらの1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
【0018】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光重合開始剤は紫外線等の光エネルギーによりラジカルを生じ、このラジカルにより光反応性化合物に光硬化の反応を開始させる作用を有し、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジル−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンゾアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソビチロニトリル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−4ジエチルチオキサントン、2,2ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ジフェニルジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、及び、エオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられ、上記化合物中の1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる光重合促進剤は光反応性化合物の光硬化の反応を促進する作用をなし、例えば4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジメチルアミノエチルベンゾエートなどがあり、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる有機バインダーは、セラミック粉末と結合してこれを有機溶剤中に分散させる作用をなし、イソブチルメタクリレート(i−BMA)とアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体を用いることができる。
【0021】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる紫外線吸収剤は、光硬化の反応を起こすために照射された紫外線が感光性セラミックグリーンシート1の内部でセラミック粉末により散乱されて不要な部分まで光硬化をさせてしまい、例えばスルーホールの形成精度を劣化させてしまうということを防ぐ作用をなし、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ビンダードアミン系の化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる熱重合禁止剤はフリーラジカルを吸収する性質があり、感光性セラミックグリーンシート1に環境中から加わる弱い熱エネルギーにより感光性樹脂組成物の一部から小量のフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルにより光反応性化合物が部分的に重合して現像液に溶解し難くなってフォトリソグラフィー法によるスルーホールの形成が困難になるのを防止する作用をなし、例えば、キノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ニトロソアルミニウム塩、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノールが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
また前記感光性セラミックグリーンシート1を形成する際に用いられる非感光性ポリマーは、光反応性化合物の作用を補完してセラミック粉末をシート状に成形することを補助する作用をなし、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等の樹脂にカルボン酸を置換した樹脂を置換した樹脂が挙げられ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,6ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ポリプロピレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、コハク酸2−メタクリロイルオキシエチル、マレイン酸2−メタクリロイルオキシエチル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘプタデカフルオデシル及びこれらの有機酸をアクリル酸で置き換えたものの共重合体が挙げられ、置換するカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酸およびこれらの酸無水物が使用される。
【0024】
次に、図1(b)に示す如く、セラミックグリーンシート2を形成する。
前記セラミックグリーンシート2はポリアクリル酸エステル等のアクリル系、またはポリビニルブチラール等のポリマーから成るバインダーと、アセトン、トルエン等の有機溶剤とを主成分とする有機樹脂組成物にセラミック粉末を添加混合し分散させることによって泥漿物を作り、次に前記泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形することによって形成される。
【0025】
前記セラミックグリーンシート2を形成する際に用いられるセラミック粉末としては、ガラスセラミックス粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化アルミニウム粉末、結晶化ガラス粉末等が使用され、例えば、ガラスセラミックス粉末が使用される場合には、酸化マグネシウム(MgO)10.8重量%、酸化アルミニウム(Al2 O3 )28.0重量%、酸化珪素(SiO2 )43.8重量%、酸化亜鉛(ZnO)7.1重量%、残部がホウ素(B2 O3 )から成るガラス成分80重量%に対し、酸化珪素(SiO2 )粉末を20重量%としたものが好適に使用される。
【0026】
次に前記感光性セラミックグリーンシート1の上面に図1(c)に示す如く、フォトマスクパターン3を被着形成する。
【0027】
前記フォトマスクパターン3は微細加工が可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって感光性セラミックグリーンシート1の上面に形成され、その形状は形成しようとするスルーホールの形状に対応したものとなっている。
【0028】
次に前記上面にフォトマスクパターン3が被着されている感光性セラミックグリーンシート1に対し、フォトマスクパターン3側から、例えば、約300mj/cm2 の強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン3の存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせて光硬化させるとともにフォトマスクパターン3で覆われた紫外線の照射されていない領域、即ち、未硬化の領域を現像により除去することによって図1(d)に示す如く、所定位置にスルーホール4aが形成された光硬化セラミックシート1aを得る。
【0029】
前記感光性セラミックグリーンシート1に紫外線等の光を照射してスルーホール4aを有する光硬化セラミックシート1aを形成した場合、フォトマスクパターン3が微細加工の可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成されているためスルーホール4aの径は60μm以下の小さな径とすることができ、同時にスルーホール4aの形成がフォトマスクパターンを介して紫外線等の光を照射し、未硬化の領域を現像で除去するという極めて簡単な作業で行うことができる。
【0030】
なお、前記スルーホール4aを形成するための未硬化の感光性樹脂組成物を除去する現像液としては、例えば、トリエタノールアミン等の有機アルカリの溶液が使用され、該トリエタノールアミン等の有機アルカリから成る溶液は未硬化の感光性セラミックグリーンシート1中の有機バインダーの有するカルボキシル基から水素イオンを奪い、このカルボキシル基をイオン化することによって水溶性となし、現像液または洗浄水中に溶解させる。
【0031】
また前記スルーホール4aを有する光硬化セラミックシート1aを形成する場合、感光性セラミックグリーンシート1に含有されているセラミック粉末の平均粒径を約2μm(マイクロトラック法でD50)としておくと、紫外線の透過が良好で光硬化を均一に行わせることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1のセラミック粉末はその平均粒径を約2μmとしておくことが好ましい。
【0032】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光反応性化合物は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して5〜12重量部としておくとスルーホール4aを感光性セラミックグリーンシート1の厚み方向に均一に形成することが容易となる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光反応性化合物はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して5〜12重量部としておくことが好ましい。
【0033】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合開始剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.5〜5重量部としておくと光硬化の反応を感光性セラミックグリーンシート1中で均一に開始させることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合開始剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.5〜5重量部としておくことが好ましい。
【0034】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合促進剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して2〜5重量部としておくと感光性セラミックグリーンシート1中で均一に光硬化の反応を促進させることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有されている光重合促進剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して2〜5重量部としておくことが好ましい。
【0035】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される有機バインダーは、その添加量がセラミック粉末100重量部に対して10〜25重量部としておくと、セラミック粉末を有機溶剤中に均一に分散させることが容易であり、また後の焼成の際に容易に分解してセラミックから成る絶縁基体中に残留することがない。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される有機バインダーはその添加量をセラミック粉末100重量部に対して10〜25重量部としておくことが好ましい。
【0036】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される紫外線吸収剤は、その添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.01〜2重量部としておくと紫外線を過度に吸収することなく効果的に吸収し、不要な部分の光硬化を抑えることができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される紫外線吸収剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.01〜2重量部としておくことが好ましい。
【0037】
また前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される熱重合禁止剤はセラミック粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくと熱エネルギーにより生じた小量のフリーラジカルを効果的に吸収することができるとともに、光硬化の反応を妨げることがなく、スルーホール3を任意の箇所に精度良く形成することができる。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1に含有される熱重合禁止剤はその添加量をセラミック粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0038】
また前記感光性セラミックグリーンシート1は、その厚みが10μm未満の場合、機械的強度が弱く、容易に破断して、取扱いが困難となり、また60μmを超えると、光硬化のために照射される紫外線等の光が感光性セラミックグリーンシート1の下面側に到達し難くなってスルーホール3の形成の解像度が低下する恐れがある。従って、前記感光性セラミックグリーンシート1は、その厚みを10〜60μmの範囲としておくことが好ましい。
【0039】
そして次に図1(e)に示す如く、光硬化セラミックシート1aのスルーホール4a内に感光性導電ペースト5を充填し、同時に前記セラミックグリーンシート2に必要に応じて外部導出用のスルーホール4bを形成するとともにセラミックグリーンシート2の上面および外部導出用スルーホール4b内に感光性導電ペースト5をスクリーン印刷法やスピンコート法等によって所定厚みに被着充填する。
【0040】
前記感光性導電ペーストは、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、モリブデン、タングステンまたはこれらの合金、あるいはこれらを主成分とする合金から成る金属粉末に、光反応性化合物、光重合開始剤、光重合促進剤から成る感光性樹脂組成物および有機バインダー、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、熱重合禁止剤、無機添加物を混合して形成されている。
【0041】
次に前記セラミックグリーンシート2の表面に被着させた感光性導電ペースト5上に図1(f)に示す如く、フォトマスクパターン6を被着形成する。
【0042】
前記フォトマスクパターン6は、例えば、感光性導電ペースト上に感光性フォトレジストを被着させるとともに所定パターンのメタルマスクを介して光を照射し、所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去する、所謂フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成され、その形状は、形成しようとする配線導体層の形状に対応したものとなっている。
【0043】
次に前記上面にフォトマスクパターン6が被着されている感光性導電ペースト5に対し、フォトマスクパターン6側から、例えば、約50〜3000mj/cm2 の強度の紫外線を照射し、フォトマスクパターン6の存在しない部分に紫外線を照射させ、紫外線が照射された領域の感光性樹脂組成物に光重合を起こさせて光硬化させるとともにフォトマスクパターン6で覆われた紫外線の照射されていない領域、即ち、未硬化の領域を現像により除去することによって図1(g)に示す如く、所定位置に所定パターンの配線用導体層7及びスルーホール用導体層8aが被着充填されたセラミックグリーンシート2を得る。
【0044】
また、同時に光硬化セラミックシート1aのスルーホール4a内に充填した感光性導電ペースト5にも、上記同様に紫外線を照射して光硬化させ、図1(h)に示す如く、スルーホール用導体層8bを形成しておく。
【0045】
前記感光性導電ペースト5に紫外線等の光を照射して所定パターンの配線用導体層7及びスルーホール用導体層8a、8bを形成した場合、フォトマスクパターン6が微細加工の可能なフォトリソグラフィー技術を採用することによって形成されているため配線用導体層7はその線幅、隣接間隔を60μm以下の細く、狭いものとなすことができ、同時に配線用導体層7及びスルーホール用導体層8a、8bの形成がフォトマスクパターンを介して紫外線等の光を照射し、未硬化の領域を現像で除去するという極めて簡単な作業で行うことができる。
【0046】
なお、前記感光性導電ペースト5における未硬化の感光性樹脂組成物を除去する現像液としては、例えば、前述の感光性セラミックグリーンシート1にスルーホールを形成する際に使用される現像液と同様のものが使用される。
【0047】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される金属粉末は、その粒径が0.5μm未満となると光硬化のために照射される紫外線等の光に散乱が生じやすく、また10μmを超えると形成される配線用導体層7の表面が粗くなり、かつ線幅が100μm以下の微細な配線用導体層7を精度良く形成することが難しくなる傾向がある。従って、前記感光性導電ペースト5中の金属粉末はその粒径を0.5μm〜10μmの範囲としておくことが好ましい。
【0048】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される光反応性化合物は、光反応性の炭素−炭素二重結合を有する有機化合物であり、重合反応で光硬化することにより導電ペーストを現像液に不溶性となす作用を有し、例えば、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、トリデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0049】
前記光反応性化合物は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部以下では硬化が弱いため良好な配線用導体層7を形成することが困難となる傾向があり、また10重量部を超えると導電ペーストの表面がべとついて作業性が低下する恐れがある。従って、前記光反応性化合物はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1から0重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0050】
また、前記感光性導電ペースト5中に含有される光重合開始剤は光エネルギーによりラジカルを生じて光反応性化合物に重合反応を生じさせる作用を有し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4ジエチルチオキサントン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0051】
前記光重合開始剤はその添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満となると光硬化のための重合反応が開始され難くなる傾向があり、また5重量部を超えると硬化が進行し過ぎて所定パターンの配線用導体層8を形成することが難しくなる。従って、前記光重合開始剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0052】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される光重合促進剤は光反応性化合物の重合反応を促進する作用を有し、例えば4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等を用いることができる。
【0053】
前記光重合促進剤はその添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では光硬化を促進する効果が得られず、また10重量部を超えると重合が不必要な部分まで過度に進んで所定パターンの配線用導体層8を形成することが難しくなる。従って、前記光重合促進剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0054】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される有機バインダーは金属粉末を均一に分散させる作用を有し、例えばメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体を用いることができる。
【0055】
前記有機バインダーは、その添加量が金属粉末100重量部に対して1重量%未満となると感光性導電ペーストの流動性が高くなりすぎて、スルーホール3を有する光硬化セラミックシート1aの表面に均一厚みに被着させることが困難となり、また15重量%を超えるとこの感光性導電ペーストを使用して形成される配線導体やスルーホール導体の電気抵抗が高くなってしまう。従って、前記有機バインダーはその添加量を金属粉末100重量部に対して1〜15重量部とすることが好ましい。
【0056】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される紫外線吸収剤は照射された紫外線が感光性導電ペーストの内部で金属粉末により散乱されて不要な部分まで光硬化してしまうのを防ぐ作用を有し、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′メチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール等を用いることができる。
【0057】
また前記紫外線吸収剤は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では紫外線の散乱を防ぐ作用が不十分であり、10重量部を超えると紫外線の吸収量が大きくなるため光硬化が進み難くなり露光効率が低下して生産性が低下してしまう傾向にある。従って、前記紫外線吸収剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部としておくことが好ましい。
【0058】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される熱重合禁止剤は、感光性導電ペーストに加わる熱エネルギーにより感光性樹脂組成物の一部が分解してフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルにより光反応性化合物が部分的に重合して感光性導電ペーストの粘度が高くなってしまい、光硬化セラミックシート1aの表面に印刷塗布することが困難になるという問題を防ぐ作用を有し、例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン等を用いることができる。
【0059】
前記熱重合禁止剤は、その添加量が金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満ではフリーラジカルを吸収する作用が弱く、また5重量部を超えると感光性導電ペーストの表面がべとつき作業性が低下するおそれがある。従って前記熱重合禁止剤はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
【0060】
また前記感光性導電ペースト5中に含有される無機添加物は、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ホウ素等の金属酸化物やガラスから成り、この感光性導電ペースト5を使用して形成される配線導体およびスルーホール導体を絶縁基体に強固に接合させる作用を有する。
【0061】
前記無機添加物は金属粉末100重量部に対して0.1重量部未満では配線導体及びスルーホール導体と絶縁基体との接合強度を強くする作用が不十分となり、また10重量部を超えると形成される配線導体やスルーホール導体の電気抵抗が高くなる恐れがある。従って、前記無機添加物はその添加量を金属粉末100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましい。
【0062】
そして最後に、前記配線用導体層7およびスルーホール用導体層8aを有するセラミックグリーンシート2の上に、スルーホール用導体層8bを有する光硬化セラミックシート1aを積層するとともに焼成し、セラミック粉末および金属粉末を一体焼結させることにより、図1(i)に示す如くセラミックから成る絶縁基体1bの内部及び表面に配線導体層7a及びスルーホール導体層8cを有する製品としての配線基板が完成する。
【0063】
なお、上記セラミックグリーンシート2と光硬化セラミックシート1aとを積層する際、光硬化セラミックシート1aの下面に予めセラミックグリーンシート2の上面に形成した配線用導体層7が嵌合収容されるような溝部を形成しておくと、セラミックグリーンシート2と光硬化セラミックシート1aとをより一層確実に密着させることができ、絶縁基体1bに密着不良等の不具合の発生する危険性を極めて低くすることができる。従って、前記光硬化セラミックシ−ト1aはその下面にセラミックグリーンシート2の上面に形成した配線用導体層7に対応する溝部を形成しておくことが好ましい。
【0064】
前記溝部は、例えば、フォトマスクパターン6を形成する際に用いたメタルマスクを光硬化セラミックシート1aの下面に押圧し、配線用導体層の厚みと同じ深さにまで押しこむことにより容易に形成することができる。
【0065】
次に本発明の他の実施例を図2に基づき説明する。
なお、図中、図1と同一箇所には同一符号が付してある。
まず図2(a)に示す如く、感光性セラミックグリーンシート1とセラミックグリーンシート2とを形成する。
【0066】
これらの感光性セラミックグリーンシート1及びセラミックグリーンシート2は、前述の図1に示す感光性セラミックグリーンシート1及びセラミックグリーンシート2に使用した材料、方法を用いることによって形成される。
【0067】
次に、前記感光性セラミックグリーンシート1の上面に、図2(b)に示す如く、フォトマスクパターン3を被着形成するとともにこのフォトマスクパターン3側から紫外線を照射し、フォトマスクパターン3で覆われていない領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して、図1(c)に示す如く、スルーホール4aを有する光硬化セラミックシート1aを得る。
【0068】
前記フォトマスクパターン3は、図1に示すフォトマスクパターンと同様の材料及び形成方法を用いることによって形成され、また、スルーホール4aも図1の場合と同様に紫外線照射、現像を行うことによって形成される。
【0069】
次に、図2(d)に示す如く、セラミックグリーンシート2に必要に応じて外部導出用スルーホール4bを形成するとともに、セラミックグリーンシート2の表面に感光性レジストフィルム9を被着させる。
【0070】
前記感光性レジストフィルム9はアクリル系やスチレン系のラジカル重合性モノマー等を結合剤に、アクリル酸エステル系等の感光性モノマーとベンゾフェノン等の光重合開始剤の光重合反応を主成分とし、用途に応じて染料や熱重合禁止剤、密着助剤等を添加したもので形成されている。
【0071】
次に前記感光性レジストフィルム9の所定領域に、例えば、所定パターンのメタルマスクを介して約30〜150mj/cm2 の強度の光を照射し、光が照射された所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去させて図2(e)に示す如くセラミックグリーンシート2上に所定パターンの貫通穴9bを有するレジスト膜9aを形成する。
【0072】
前記レジスト膜9aの貫通穴9bは、感光性レジストフィルム9の所定位置に光を照射し、所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去する、所謂、フォトリソグラフィー技術を施すことによって形成されているため貫通穴9bはその幅及び隣接間隔を60μm以下の極めて微細なものとなすことができる。
【0073】
なお、前記貫通穴9bを形成するための非硬化の感光性レジストフィルム9を除去する現像液としては、例えば、無機アルカリ現像液や有機アミン系の現像液が好適に使用される。
【0074】
また前記感光性レジストフィルム9はその厚みが50μmを超えた場合、光硬化のために照射される光が感光性レジストフィルム9の下面側に到達し難くなって貫通穴9bの形成の解像度が低下する恐れがある。従って、前記感光性レジストフィルム9は、その厚みを50μm以下としておくことが好ましい。
【0075】
次に図2(f)に示す如く、前記セラミックグリーンシート2の外部導出用スルーホール4b及びレジスト膜9aの貫通穴9b内に導電ペースト10をスクリーン印刷法等により充填し、同時に光硬化セラミックシート2のスルーホール4a内にも導電ペースト10を充填してスルーホール用導体層11を形成する。 前記導電ペースト10は配線基板の配線導体層及びスルーホール導体層を形成し、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、モリブデン、タングステンまたはこれらの合金、あるいはこれらを主成分とする合金から成る金属粉末に、有機バインダー、溶媒、分散剤等を添加混合して形成されている。
【0076】
前記金属粉末、有機バインダー、溶媒、分散剤等から成る導電ペースト10は、有機バインダーの量が金属粉末100重量部に対して1重量部未満になると導電ペースト10の流動性が悪くなって、レジスト9aの貫通穴9b内の全域に均一厚みに充填することが困難となり、また15重量部を超えると該導電ペーストを使用することによって形成される配線導体層及びスルーホール導体層の電気抵抗値が高いものとなってしまう。従って、前記金属粉末、有機バインダー、溶媒、分散剤等から成る導電ペースト10は有機バインダーの量を金属粉末100重量部に対して1乃至15重量部の範囲としておくことが好ましい。
【0077】
前記セラミックグリーンシート2の上面に形成されているレジスト膜9aは、その貫通穴9b内に導電ペースト10が充填された後、セラミックグリーンシート2より剥離され、これによって図2(g)に示す如く、セラミックグリーンシート2の上面及び導出用スルーホール4b内に所定パターンの配線用導体層7及びスルーホール用導体層12が形成される。
【0078】
前記配線用導体層7はレジスト膜9aの貫通穴9bが60μm以下の幅に、かつ60μm以下の隣接間隔に形成することができるためセラミックグリーンシート2の上面に幅及び隣接間隔を60μm以下として所定パターンに形成することができる。
【0079】
そして最後に、前記配線用導体層7およびスルーホール用導体層12を有するセラミックグリーンシート2の上に、スルーホール用導体層11を有する光硬化セラミックシート1aを積層するとともに焼成し、セラミック粉末および金属粉末を一体焼結させることにより、図2(h)に示す如くセラミックから成る絶縁基体1bの内部及び表面に配線導体層7a及びスルーホール導体層13を有する製品としての配線基板が完成する。
【0080】
この場合も、光硬化セラミックシート1aの下面に予めセラミックグリーンシート2の上面に形成した配線用導体層7が嵌合収容されるような溝部を形成しておくと、セラミックグリーンシート2と光硬化セラミックシート1aとをより一層確実に密着させることができ、絶縁基体1bに密着不良等の不具合の発生する危険性を極めて低くすることができる。
【0081】
なお、前記溝部は、例えば、レジスト膜9aの貫通穴9bを形成する際に用いたメタルマスクを光硬化セラミックシート1aの下面に押圧することによって配線用導体層7と同じパターン、同じ深さに容易に形成することができる。
【0082】
かくして得られた配線基板は、絶縁基体1bの上面に半導体素子や容量素子、抵抗器等の電子部品が搭載されるとともに各電子部品の電極が配線導体層7a等に電気的に接続され、これによって各電子部品はその各々が配線導体層7a等を介して互いに電気的に接続されるとともに外部電気回路に接続されることとなる。
【0083】
なお本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明の配線基板の製造方法によれば、配線導体層を形成するための導電ペーストを感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させて感光性となしたことからセラミックグリーンシートの表面に導電ペーストを被着させ、その後、所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによって配線用導体層を形成する、所謂、フォトリソグラフィー技術を採用することによって形成することができるため配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものになすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
【0085】
また本発明の配線基板の製造方法によれば、セラミックグリーンシートの表面にフォトリソグラフィー技術により微細な所定パターンの貫通穴が形成されているレジスト膜を被着し、そしてその貫通穴内に導電ペーストを充填することによって配線用導体層を形成することから配線用導体層の線幅、隣接間隔は60μm以下と細く、狭いものとなすことができ、これによって配線導体層も線幅が細く、隣接間隔が狭いものとなって配線導体層を高密度に形成することが可能となる。
さらに本発明の配線基板の製造方法によれば、絶縁基体を形成するためのセラミックグリーンシートを、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を添加分散させて感光性となしたことから、セラミックグリーンシートの所定位置に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに未硬化の領域の感光性樹脂組成物を現像により除去することによってスルーホールを極めて簡単に、かつ直径が60μm以下の小さな径に形成することができ、これによってスルーホール内に形成されるスルーホール導体層もその直径を60μm以下の小さいものとしてスルーホール導体層を高密度に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・感光性セラミックグリーンシート
1a・・・・・・光硬化セラミックシート
1b・・・・・・絶縁基体
2・・・・・・・セラミックグリーンシート
4a・・・・・・スルーホール
5・・・・・・・感光性導電ペースト
7・・・・・・・配線用導体層
7a・・・・・・配線導体層
8c、13・・・スルーホール導体層
Claims (3)
- (1)有機樹脂組成物にセラミック粉末を分散させたセラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた感光性セラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物に金属粉末を分散混入させた感光性導電ペーストとを作製する工程と、
(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、
(3)前記光硬化セラミックシートの表面に、セラミックグリーンシートの表面に形成される配線用導体層に対応する溝を形成し、
前記セラミックグリーンシートの表面に、前記感光性導電ペーストを被着させるとともに該感光性導電ペーストの所定位置に光を照射し、所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像してセラミックグリーンシートの表面に配線用導体層を形成する工程と、
(4)前記光硬化セラミックシートのスルーホール内に前記感光性導電ペーストを被着させてスルーホール用導体層を形成する工程と、
(5)前記配線用導体層と該配線用導体層に対応する前記溝とが一致するように、前記スルーホール用導体層が形成された光硬化セラミックシートを前記配線用導体層が形成されたセラミックグリーンシートの上に積層し、焼成することにより、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層を形成する工程とから成る配線基板の製造方法。 - (1)有機樹脂組成物にセラミック粉末を分散させたセラミックグリーンシートと、感光性樹脂組成物にセラミック粉末を分散させた感光性セラミックグリーンシートと、金属粉末に有機溶剤を添加した導電ペーストとを作製する工程と、
(2)前記感光性セラミックグリーンシートの所定領域に光を照射し所定領域の感光性樹脂組成物を光硬化させるとともに現像して厚み方向に貫通するスルーホールを有する光硬化セラミックシートを形成する工程と、
(3)前記光硬化セラミックシートの表面に、前記セラミックグリーンシートの表面に形成される配線用導体層に対応する溝を形成する工程と、
(4)前記セラミックグリーンシートの表面に感光性レジストフィルムを載置させ、かつ所定位置に光を照射し所定領域を光硬化させるとともに非硬化領域を現像により除去して所定パターンの貫通穴を有するレジスト膜を形成する工程と、
(5)前記レジスト膜の貫通穴内、及び光硬化セラミックシートのスルーホール内に導電ペーストを充填し、しかる後レジスト膜を除去してセラミックグリーンシートの表面に配線用導体層を、光硬化セラミックシートのスルーホール内にスルーホール用導体層を形成する工程と、
(6)前記配線用導体層と該配線用導体層に対応する前記溝とが一致するように、前記スルーホール用導体層が形成された光硬化セラミックシートを前記配線用導体層が形成されたセラミックグリーンシートの上に積層し、焼成することにより、セラミックから成る絶縁基体の内部及び表面に配線導体層を形成する工程とから成る配線基板の製造方法。 - 前記セラミックグリーンシートに前記配線用導体層を形成するためのメタルマスクを前記光硬化セラミックシートの前記表面に押しあてることにより前記溝を形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線基板の製造方法。
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