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腎不全治療薬
JP3743289B2
Japan
Description
translated from
技術分野
本発明は4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分とする腎不全治療薬に関する。
【0002】
背景技術
プロスタグランジン(PG)は天然に存在する多彩な生理活性を示す一群の化合物であり、共通のプロスタン酸骨格を有する。天然に存在するPG類はその5員環の構造的な特徴によりPGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類、PGJ類に分類され、さらに不飽和や酸化の存在によって、1,2,3等のサブクラスに分類される。またこれらの合成類似体も多く知られている。このうちPGI誘導体のなかでも代表的なPGI2はプロスタサイクリンともよばれ(Nature268巻688頁1976年参照)、強力な血小板凝集抑制作用及び末梢血管拡張作用を有する物質として知られている。このPGI2の不安定さを大幅に改善した化合物として、PGI2の特徴的構造であるエキソエノールエーテル部分の構造をインタ−m−フェニレン型に変換した骨格を有するPGI2誘導体が、特公平2−12226号公報、特公平2−57548号公報、特公平1−53672号公報に記載されている。しかしながら、この4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体が腎不全の治療効果を有することは知られていなかった。
【0003】
腎不全とは機能するネフロンの数が減少して、窒素代謝産物の排泄が不十分になり、生体内部環境の恒常性を維持できなくなった病態をいう。具体的には、血液尿素窒素(BUN)やクレアチニン濃度が、持続的に上昇を示す状態ということができる。腎不全は急激に発症し、回復の可能性がある急性腎不全と、進行が緩徐ではあるが非可逆性の慢性腎不全とに大別される。
【0004】
急性腎不全では水・電解質異常、酸塩基異常を多く合併し、乏尿・無尿となる乏尿性急性腎不全と尿量の減少を認めない非乏尿性急性腎不全に大別できる。
【0005】
急性腎不全はその原因により、1)腎前性脱水、ショックなどの全身の循環動態の変化により腎血流量が減少し、糸球体濾過値が低下する前腎性急性腎不全、2)急性尿細管壊死などの糸球体・尿細管の障害によって生じる腎性急性腎不全、3)結石などによる尿路の閉塞による腎後性急性腎不全に大別できる。経過としては乏尿、利尿、回復期に分けられる。急性腎不全の治療は原因を追求し、全身管理を十分に行うことが重要であり、保存療法と透析療法に大別できる。保存療法では、乏尿期には水分過剰を避け、蛋白を制限すると同時に十分なカロリーを補給する。乏尿期、心不全時にはナトリウム制限を行い、利尿期には、ナトリウムを逆に多く摂取させる。一般に乏尿期にはカリウムを制限する。などの方法が実施される。またBUNが60mg/dl以上、あるいは、1日の上昇が30mg/dl以上、高カリウム血症、心不全などを認める場合に、早期頻回透析の開始が推奨される。
【0006】
慢性腎不全は、慢性に進行する腎疾患によって徐々に腎機能の低下をきたす病態を指し、腎機能の低下は、正常な腎臓が行っているすべての機能の低下として現れる。慢性腎不全の原因疾患としては、原発性腎疾患、全身疾患の腎障害、先天性腎疾患、腎感染症、腎毒性物質による腎障害、尿路閉塞性疾患などすべての腎障害性疾患があげられる。慢性腎不全での透析導入の患者背景に示されるように、慢性腎不全の主要原因疾患として慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎、腎硬化症、嚢胞腎などがあげられる。このうち慢性糸球体腎炎および糖尿病性腎症の割合が高いが、近年の糖尿病の患者数の急増に伴い、原因疾患が糖尿病性腎症の腎不全が顕著に増加している。
【0007】
このように原因疾患は多様であるが、尿量の減少に伴う肺鬱血や鬱血性心不全、尿毒症の進行に伴う神経および精神症状、腎で産生されるエリスロポエチンの減少による貧血、低ナトリウム血漿や高カリウム血漿などの電解質異常をはじめ、消化器症状、骨代謝異常、糖代謝異常など、原因疾患によらない腎不全に共通の臨床症状が見られる。
【0008】
慢性腎不全の治療としては、保存期治療として、低蛋白、高カロリー食からなる食事療法が基本となるが、腎不全増悪のリスクファクターとなる高血圧の管理のための、塩分制限や水制限さらには降圧剤の使用が行われる。しかしながら、こうした食事療法や降圧剤による治療も十分な効果をあげておらず、腎機能の障害の進行による尿毒症症状の出現によって、血液透析を余儀なくされる患者数は年々増加の一途をたどっている。透析に移行した腎不全患者においては、近年の血液透析療法の進歩により、著しい延命率の改善が得られているが、週2−3回の通院を余儀なくされるほか、赤血球の産生・成熟障害や、長期の透析に伴なうアルミニウムやβ2ミクログロブリンなどの蓄積が原因となる合併症の出現などなお多くの課題を残している。
【0009】
本発明の目的は、既存薬では効果が十分ではなかった腎不全の治療薬を提供することである。
【0010】
発明の開示
本発明は、4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分とする慢性腎不全治療薬である。
【0011】
発明を実施するための最良の形態
本発明における4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は下記一般式(I)を有するものである。
【0012】
【化3】
【0013】
式中、R1は、
(A)COOR2 ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3
ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表わされる直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3
ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1
ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)−NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3または−NH−C(=O)−NH2であるもの)、
6)−CtH2tCOOR4
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)−CtH2tN(R4)2
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C(=O)−R6
ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CPH2P−W−R7
ここで、Wは−CH=CH−、−CH=CR7−または、−C三C−であり、R7は水素または、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたはアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2
ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたはアシル、
(B)−CH2OH
(C)−C(=O)N(R9)2
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表わし、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表わし、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表わす場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
【0014】
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−
3)−CH2−CH=CH−
4)−CH2−O−CH2−
5)−CH=CH−
6)−O−CH2−または
7)−C三C−であり、
ここで、mは1から3の整数を示し、
【0015】
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
【0016】
Bは、
−X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11は水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−
2)−CH=CH−
3)−C三C−であり、
【0017】
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキルまたは、
2)−Z−Ar2
ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
3)−CtH2tOR14
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを表わし、または、
4)−Z−R3
ここでZ、R3は前記定義に同じ、または、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15、R16は水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチルを表わし、または、
6)−CuH2u−C三C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
【0018】
Eは、水素、または−OR18
ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数7〜15のアロイルまたはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表わし、
【0019】
一般式はd体、l体またはdl体を表わす。
【0020】
本発明の腎不全治療薬は、上記一般式で表される4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分とするものである。
【0021】
上記の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体のうち、以下のものまたはその薬理学的に許容し得る塩が好ましく用いられる。
【0022】
すなわち、R1はCOOR2であって、R2は水素または薬理学的に受け入れられる陽イオンであり、
Aは、
1)−(CH2)m− または
2)−CH2−CH=CH−
であって、mは1から3の整数であり、
Yは水素であり、
Bは、 −X−C(R11)(R12)OR13であって、R11、R13は水素であり、
Xは、
1)−CH=CH− または
2)−C三C−
であり、
R12は、
1)−Z−Ar2
2)−Z−R3または
3)−CuH2u−C三C−R17
であって、Zは原子価結合、またはCtH2tで表わされる直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルを表わし、uは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは−OHであるもの、さらには下記の化学式で示されるベラプロストナトリウム。
【0023】
【化4】
【0024】
本発明の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば一般式(I)で表される化合物またはその塩は、特公平1−53672号公報に記載されている方法により製造することができる。
【0025】
本発明における4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体の投与量は成人に対して0.001〜1000mg/人を1日1〜3回である。
【0026】
本発明の腎不全治療薬は、1種または数種の誘導体をそのまま用いても良いが、以下に示す添加剤を含む固形物の形で経口投与することもできる。
【0027】
本発明における腎不全の原因疾患としては、原発性腎疾患、全身疾患の腎障害、先天性腎疾患、腎感染症、腎毒性物質による腎障害、尿路閉塞性疾患などすべての腎障害性疾患があげられる。具体的には慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、慢性腎盂腎炎、急性進行性腎炎、妊娠中毒症、嚢胞腎、腎硬化症、悪性高血圧、SLEなどの各種膠原病に伴う腎障害、アミロイド腎、痛風腎、代謝異常腎不全、結核、腎結石症、腎・尿路悪性腫瘍、閉塞性尿路疾患、骨髄腫、腎形成不全などがあるが、特にこれらの疾患に限定されない。
【0028】
本発明の治療薬により治療される腎不全は慢性腎不全である。本発明の治療薬は、現在のところ有力な治療法が確立していない慢性腎不全の治療に有効であり、透析への移行を遅らせることができるほか、透析に移行した場合にも残存腎の機能保存にも有効である。
【0029】
添加剤としては例えば賦形剤、例えば澱粉類、ラクトース、スクロース、葡萄糖、マンニトール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等:結合剤、例えば、澱粉類、デキストリン、アラビアゴム、トラガンド、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等:崩壊剤、例えば、澱粉類、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース等、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等:着色剤、香料等があげられる。
【0030】
本発明で用いる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は各種剤形により使用できるが、具体的には錠剤、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤、スプレー剤などの従来用いられる剤形が挙げられる。
【0031】
また、殺菌溶液の形で非経口的に投与しても良く、また他の溶質、例えば液を等張にするに十分な塩化ナトリウムまたはグルコース等を用いることもできる。
【0032】
本発明の腎不全の治療薬は上記経口用の製剤の他、各種注射剤、座剤など非経口的にも幅広い投与法を応用できる。
【0033】
実施例
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0034】
実施例1
ラット5/6腎臓摘出モデルにおいてベラプロストナトリウムの効果:
腎不全の一般的なモデルとして汎用されるラット5/6腎臓摘出モデルにおいてベラプロストナトリウムの効果を検討した。4週齢の雌性Wistar系ラット(日本チャールズリバー)の左腎をカミソリで2/3切除し、1週間後に右腎を全摘した。初回手術3週間後に尾静脈より採血して得た血液中の血清のクレアチニンおよびBUNを測定するとともに、24時間採尿により尿中タンパク質量を測定した。このように測定した尿中タンパク質量および体重を基に層別連続無作為化法で群分けした(各群8匹)。血中クレアチニン及びBUNの初期値には差が認められなかった。ベラプロストナトリウムならびに陽性対照物質のカプトプリル(シグマ)は、初回手術後3週後より1日2回、薬物投与開始から5週後まで連日経口投与した。腎機能の測定は投与開始後3週および5週後におこない、腎組織像の観察は5週後のみ実施した。薬剤を投与しない偽手術群(sham)では投与開始3週後ではBUN値が上昇しており、慢性腎不全の進行が見られ5週後にはさらに増悪していた。ベラプロストナトリウム群では3週後に有意な尿中タンパクの上昇の抑制ならびに、クレアチニンクリアランスの低下BUNの上昇の抑制の傾向が見られ(表1)、また5週間後でも同様の傾向が認められた(表2)。5週間後の腎組織像でも糸球体病変の進行が著明に抑制されていた(表3)。なお陽性対照群のカプトプリル群でも同様の改善効果が認められた。以上の結果からベラプロストナトリウムは腎不全ラットの病態を改善することが明らかとなった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
実施例2
原疾患が糸球体腎炎のラット腎不全モデルを用いて、ベラプロストナトリウムをはじめとする各種の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体の効果を検討した。8週齢の雄性WKYラット(日本チャールズリバー)にウサギ抗ラット糸球体基底膜抗血清を静注し、糸球体腎炎を誘発した。糸球体腎炎誘発後の2週目に尾静脈より採血し、血液中のクレアチニンおよびBUNを測定した。糸球体腎炎を誘発したラットの血液中クレアチニンおよびBUNは非誘発ラットに比べ著明に上昇し、病態が腎不全に進行したことを確認した。ベラプロストナトリウムを含む計4種の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は、糸球体腎炎誘発後の2週目より3週目までの1週間、それぞれ浸透圧ポンプ(ALZET)を用いて背部皮下より持続的に投与した。腎機能の測定(血液中のクレアチニンおよびBUN)は、薬剤投与開始1週間後に実施した。薬剤を投与しない糸球体腎炎誘発群(対照群)においては、糸球体腎炎誘発後3週目の血液中クレアチニンおよびBUNは2週目に比べてさらに上昇しており、慢性腎不全の進行がみられた。ベラプロストナトリウム投与群においては、糸球体腎炎誘発後3週目の血液中クレアチニンおよびBUNは、対照群に比べて有意に低下した(表4)。また、他の3種の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体(化合物1、2および3)の投与群においても同様の改善効果が認められた(表5)。
【0039】
【化5】
【0040】
以上の結果から、ベラプロストナトリウムをはじめとする4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は、腎不全ラットの病態を改善することが明らかとなった。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
実施例3
ラット糸球体腎炎モデルを用いて、腎不全に至らない時期(炎症期)とBUNが上昇し腎不全に移行した時期(腎不全期)の両者でベラプロストナトリウムの効果を検討した。8週齢の雄性WKYラット(日本チャールズリバー)にウサギ抗ラット糸球体基底膜抗血清を静注し、糸球体腎炎を誘発した。糸球体腎炎誘発後の1日目より7日目までの1週間(炎症期)、あるいは2週目より4週目までの2週間(腎不全期)に、ベラプロストナトリウム、カプトプリル(SIGMA) ならびにプレドニゾロン(塩野義製薬)を、いずれも連日経口投与した。なお投与回数は、ベラプロストナトリウムおよびカプトプリルは1日2回、プレドニゾロンは1日1回とした。薬剤投与開始後、腎機能の指標となる尿中総蛋白排泄量を測定した。糸球体腎炎誘発後1日目より7日目までの炎症期においては、薬剤を投与しない糸球体腎炎誘発群(対照群)の尿中総蛋白排泄量は、糸球体腎炎非誘発群(正常群)に比べ著明に増加した(表6)。ベラプロストナトリウム投与群では、尿中総蛋白排泄量の増加は顕著に抑制された(表6)。また、カプトプリル投与群ならびにプレドニゾロン投与群でも、尿中総蛋白排泄量の増加に対する抑制効果が認められた(表6)。一方、糸球体腎炎誘発後2週目より4週目までの腎不全期においては、薬剤を投与しない糸球体腎炎誘発群(対照群)の尿中総蛋白排泄量は非誘発群(正常群)に比べ著明に増加したが、ベラプロストナトリウム投与群では尿中総蛋白排泄量の増加は顕著に抑制された(表6)。一方、カプトプリル投与群ならびにプレドニゾロン投与群では、尿中総蛋白排泄量の増加に対する抑制効果は認められなかった(表6)。
【0044】
以上の結果、プレドニゾロン、カプトプリルは炎症期には有効であったが、腎不全期に至った場合にはもはや無効であった。これに対してベラプロストナトリウムは、炎症期、腎不全期ともにラットの病態を改善することが明らかとなった。
【0045】
【表6】
【0046】
産業上の利用可能性
本発明は、4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体を有効成分とする腎不全治療薬を提供する。
Claims (7)
Hide Dependent
translated from
- 一般式(I)
(A)COOR2
ここでR2は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル、
3)−Z−R3
ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表わされる直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2CH2O)nCH3
ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1
ここでZは前記定義に同じ、Ar1はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)−NH2、−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3または−NH−C(=O)−NH2であるもの)、
6)−CtH2tCOOR4
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)−CtH2tN(R4)2
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C(=O)−R6
ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CPH2P−W−R7
ここで、Wは−CH=CH−、−CH=CR7−または、−C≡C−であり、R7は水素または、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたはアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2OR8)2
ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたはアシル、
(B)−CH2OH
(C)−C(=O)N(R9)2
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表わし、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表わし、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が−SO2R10を表わす場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−
3)−CH2−CH=CH−
4)−CH2−O−CH2−
5)−CH=CH−
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、
−X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11は水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、
Xは、
1)−CH2−CH2−
2)−CH=CH−
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキルまたは、
2)−Z−Ar2
ここでZは前記定義に同じ、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
3)−CtH2tOR14
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを表わし、または、
4)−Z−R3
ここでZ、R3は前記定義に同じ、または、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15、R16は水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチルを表わし、または、
6)−CuH2u−C≡C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは、水素、または−OR18
ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数7〜15のアロイルまたはR2(ここでR2は前記定義に同じ)を表わし、
一般式はd体、l体またはdl体を表わす。
で表わされる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分とする慢性腎不全治療薬。 - 一般式(I)
Aは、
1)−(CH2)m− または
2)−CH2−CH=CH−
であって、mは1から3の整数であり、
Yは水素であり、
Bは、 −X−C(R11)(R12)OR13であって、R11、R13は水素であり、Xは、
1)−CH=CH− または
2)−C≡C−
であり、
R12は、
1)−Z−Ar2
2)−Z−R3または
3)−CuH2u−C≡C−R17
であって、Zは原子価結合、またはCtH2tで表わされる直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルを表わし、uは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは−OHであり、
一般式はd体、l体またはdl体を表わす。
で表わされる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分とする慢性腎不全治療薬。 - 4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体がベラプロスト又はその塩である請求項1記載の慢性腎不全治療薬。
- 慢性腎不全の原因疾患が糸球体腎炎、腎硬化症、糖尿病性腎症から選ばれる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の治療薬。
- 慢性腎不全が、血清クレアチニンまたは BUN が上昇していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の慢性腎不全治療薬。
- 前記慢性腎不全が、血清クレアチニンまたは BUN が経時的に上昇する進行性の慢性腎不全である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の慢性腎不全治療薬。
- 上昇した血清クレアチニンまたはBUNの上昇の抑制、もしくは低下をもたらすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の慢性腎不全治療薬。