JP3738704B2 - レーザー記録型感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光の照射により画像が記録されるレーザー記録型感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現像や定着を必要としない直接記録方式の中で、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤を発色剤とする感熱記録紙材料は、操作性、保守性が優れていることからファクシミリやプリンターに広く利用されている。しかしながら、この方式は、サーマルヘッドや発熱ICペンを感熱記録体に直接接触させて加熱記録するために、サーマルヘッドや発熱ICペンに発色溶融物質が付着して、カス付着やスティッキング等のトラブルを起こし、記録障害や記録品質を損なうという問題点があった。特に、プロッタープリンターのように記録の流れ方向に連続して線書きする場合、カス付着のトラブルを引き起こさずに連続印字することは事実上不可能である。また、サーマルヘッドによる記録方式では、画像解像度を8本/mm以上に上げることは難しいとされている。
【0003】
そこで、カス付着、スティッキング等のトラブルを解消し、解像度をさらに向上させる方法として、光による無接触の記録方式が提案されている。特開昭54−4142号公報は、支持体上にロイコ染料を主体とする感熱発色層を塗布してなる感熱記録体において、格子欠陥を持たせた金属化合物を用いることにより、この金属化合物が可視、赤外線領域の光を吸収し、熱変換することにより感熱記録が可能であることを開示している。
【0004】
また、特開昭58−209594号公報は、0.8〜2μmの近赤外線領域に吸収波長を持つ近赤外線吸収剤と感熱発色材料とを少なくとも1組以上基板上に積層する光学的記録媒体を、特開昭58−94494号公報は、1種または2種以上の感熱発色材料と、0.7〜3μmの近赤外光に最大吸収波長を持つ1種又は2種以上の近赤外線吸収剤とを基材上に被覆した記録媒体を開示しており、これらの記録媒体への記録は、熱板および近赤外付近の波長のレーザー光によって行うことができることを開示している。
【0005】
前述の特開昭58−94494号公報および特開昭58−209594号公報は、近赤外線吸収剤を感熱発色層塗料に直接添加し、塗布乾燥して光吸収性の感熱発色層を得ることを開示している。しかし、用いられる近赤外吸収剤はいずれもかなり着色しているため地色が悪く、また、近赤外線吸収剤を感熱発色層中に含有させた場合、感熱発色材料に対し減感作用が引き起こされ、十分な発色濃を得ることができない。対策として、近赤外線吸収剤を感熱発色層とは別の層中に含有させ、積層して使用することが提案されているが、多層構成とすることは操業上不利である。
【0006】
一方、近年、新聞の製版システムでは、従来の印画紙の使用に代えて、レーザーで記録するドライフィルムの使用が普及しつつある。通常、新聞記事は、電子情報がまず印画紙(銀塩フィルム)に出力され、現像、定着される。次に、作成された印画紙をアルミ支持体上に感光液が塗布されたPS版(Pre-Sensitized plate)に重ね、印画紙側から光照射して印画紙上の情報をPS版に転写する。PS版は新聞を印刷するための版であり、オフセット印刷方式等により新聞が作成される。ここで、情報を印画紙に出力−現像−定着する工程は、現像液や定着液の温度、湿度、時間、また経時変化等の条件に影響されやすく、安定した品質の画像が得られにくい。また、暗所での作業が必要であったり、廃液や廃ガスの環境に与える悪影響など様々な問題をもっている。
【0007】
さらに、例えば地方新聞の場合は、中央の大手新聞社より送られた電子情報に基づいて印画紙を作成した後、地方独自のニュースや広告を掲載するため切り貼り作業を行い、これをスキャナーで読み取って電子情報とし、再び印画紙が作成される。校正により誤りが見付かった場合も同様に、印画紙−切り貼りによる修正−スキャナー読み取り−電子情報−印画紙と、PS版に至るまでに印画紙作成工程を繰り返さなければならない。
【0008】
そこで、問題点の多い印画紙を用いるシステムの改善が求められ、最近、レーザー記録装置であるドライプロッターからドライフィルムに情報を記録し、ドライフィルムからPS版を作成するシステムが開発されている。ドライフィルムとしては、例えば、感熱層中にレーザー光を吸収して光熱変換を行う染料と発色材料とを含有する特開2000−238436号公報記載のレーザー記録型感熱プルーフ等が利用できると考えられる。しかし、これら従来の記録媒体の場合、記録画像は人間が肉眼で読むことは可能なものであっても、スキャナーなど光学的読み取りの場合には高い精度を得ることは難しく、製版システムにおける印画紙代替のドライフィルムとしては、未だ十分な実用性が得られていない。
【0009】
また、ドライプロッターにおいては、記録媒体はその記録層とは反対側の面を回転ドラムに張り付かせ、回転しながら表側の記録層に記録が行われる。そのため、記録媒体がドラムに密着していないと、レーザーと記録媒体との距離が変動してレーザーの焦点がぼやけたりズレてしまい、適正な記録が得られない。さらに、新聞の製版システムに用いられる場合、筆記具によって校正できることや、取り扱い時に破損や汚れが生じないことが必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の事情から本発明は、記録感度等のレーザー記録適性および記録画像のスキャナー読み取り性に優れるとともに、ドラムへの張り付き性、筆記性、耐擦過性に優れたレーザー記録型感熱記録体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体上に少なくともレーザー光を吸収して熱に変換する光吸収材料と電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該感熱記録層上に、填料とバインダーとを主成分として含有するオーバーコート層を設け、さらに該支持体の裏面に、填料とバインダーとを主成分として含有するバックコート層を設けたレーザー記録型感熱記録体とすることを見出し本発明に到達した。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。本発明で用いられる光吸収材料は、記録源の光を吸収し、吸収した光を熱変換して外部にその熱を放出する物質である。そのため、記録源の光をできるだけ広範囲に吸収して熱変換でき、レーザーの発振波長領域(約760〜1100nm)に等しいか、あるいは近接している赤外線領域の波長を有する光の吸収が特に高いものが、熱変換効率および発生する熱量の点で好ましい。また、スキャナー読み取り性を考慮すると、光吸収材料の極大吸収波長、およびレーザーの読み取り主波長は可視部以外にあることから、可視光領域での光の吸収が少ない光吸収材料が好ましい。
【0013】
本発明で用いられる光吸収材料としては、近赤外線領域に主波長を有する光を吸収して熱変換する近赤外線吸収剤を使用することができる。具体的には、700〜3000nmの波長領域に吸収を持つものであればよく、従来公知の特開昭54−4152号公報、特開昭58−209594号公報、特開昭58−94494号公報等に開示されている、シアニン色素、チオールニッケル錯体、スクアリリウム色素をはじめ、「近赤外吸収色素」(化学工業43, 1986年5月号)にあるニトロソ化合物およびその金属錯体、ポリメチン色素(シアニン系色素)、チオールとコバルトあるいはパラジウムとの錯体、フタロシアニン系色素、トリアリルメタン系色素、インモニウムあるいはジインモニウム系色素、ナフトキノン系色素、1,3−ジフェニルチオウレアや1,3−ジベンジルチオウレア等のチオ尿素誘導体と周期律表のIA属及びIIA属を除く原子量40以上の金属有機酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明で用いられる電子供与性ロイコ染料としては、各種公知の化合物が使用できる。これらは単独あるいは2種以上を混合することもでき、用途や要求される品質特性によって適宜選択される。具体例を示すと次のような化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
(1)トリアリールメタン化合物
3,3’−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド<商品名:クリスタルバイオレットラクトン、CVL>、3−(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3’−ビス(2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド<NIR−Black>、3,3’−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド<MGL>、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(4−エチルカルバゾール−3−イル)−3−ジメチルアミノフタリド、3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド<インドリルレッド>、3,3’−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン<LCV>等。
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
(3)キサンテン系化合物
ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン<Green−2>、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン<TH−107>、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン<Black−100>、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB>、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<S−205>、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<PSD−150>、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン<OR−55>、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン等。
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(6’−メトキシベンゾ)スピロピラン等が挙げられる。
(6)ペンタジエン化合物
1,1,5,5−テトラキス(4−ジメチルアミノフェニル)−3−メトキシ−1,4−ペンタジエン、1,1,5,5−テトラキス(4−ジメチルアミノフェニル)−1,4−ペンタジエン等。
【0016】
上記のロイコ染料のほとんどは、可視光領域の光を吸収し、かつ主に600nm以下の波長の光を吸収するものである。本発明では上記ロイコ染料に加えて、600nm以上、特に600〜700nmの波長に吸収の主波長を有するロイコ染料を使用することにより、スキャナー読み取り性が一層向上し有効である。このようなロイコ染料としては、フルオラン系ロイコ染料及び/またはフタリド系ロイコ染料を用いることが好ましい。フルオラン系ロイコ染料の中でも、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−(1’−N−エチル−2’、2’、4’−トリメチルピリジル)−[a]−フルオラン<H−1046>が最も好ましい。またフタリド系ロイコ染料としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド<GN−2>、3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9,3’−フタリド]<Green−118>、3,3’−ビス(2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド<NIR−Black>が好ましいが、中でも3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド<GN−2>が最も好ましい。
【0017】
次に、本発明で使用される電子受容性顕色剤としては、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸ノルマルプロピル、4−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチルなどの4−ヒドロキシ安息香酸エステル類、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシフタル酸ジイソプロピル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジヘキシルなどの4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類、フタル酸モノベンジルエステル、フタル酸モノシクロヘキシルエステル、フタル酸モノフェニルエステル、フタル酸モノメチルフェニルエステルなどのフタル酸モノエステル類、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−5−エチル−2−メチルフェニル)スルフィドなどのビスヒドロキシフェニルスルフィド類、3,4−ビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン<ビスフェノールA>、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン<ビスフェノールF>、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、テトラメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、 1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)フェニル)エチル)ベンゼンなどのビスフェノール類、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン<D−8>、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ノルマルプロポキシジフェニルスルホンなどの4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン<ビスフェノールS>、テトラメチルビスフェノールS、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2−ヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルスルホンなどのビスヒドロキシフェニルスルホン類、4−ヒドロキシベンゼンスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−トリルスルホナート、4−ヒドロキシフェニル−p−クロロベンゼンスルホナートなどの4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ノルマルプロピル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸ブチルなどの4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、α,α’−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、N−ステアリル−p−アミノフェノール、 4−ヒドロキシサリチルアニリド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、n−ブチルビス(ヒドロキシフェニル)アセテート、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、没食子酸ステアリル、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)サルファイド、p−tert−ブチルフェノール、 p−フェニルフェノール、 p−ベンジルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール等のフェノール性化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、安息香酸、 p−tert−ブチル安息香酸、トリクロロ安息香酸、3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、4−(2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ)サリチル酸、4−(3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ)サリチル酸、5−(p−(2−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ)クミル)サリチル酸等の芳香族カルボン酸、およびこれら芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等の有機酸性物質等が挙げられる。これらは2種以上を混合しても良い。これら中でも特に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン<ビスフェノールS>等のビスヒドロキシフェニルスルホン類、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン等の4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類が好ましい。
【0018】
通常感熱記録体においては、感度向上を目的として増感剤が使用される。本発明の感熱記録体においても、目的に応じて感熱記録層中に増感剤を添加することができる。以下にその具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、またこれらを2種類以上混合して使用しても良い。
【0019】
ステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールアマイド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン<PMB−2>、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が例示される。これらの増感剤は、通常、電子供与性ロイコ染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0020】
また、本発明の感熱記録体には、保存時の安定化のために保存安定剤を使用することができる。該保存安定剤の具体例としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−tertーブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tertーブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)などのヒンダードフェノール化合物、4−ベンジロキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム 2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等が挙げられ、これらの保存安定剤は、通常電子供与性ロイコ染料1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0021】
本発明の感熱記録体に使用されるバインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、スチレン−アクリル酸共重合体アルカリ塩などの水溶性バインダー、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体などのラテックス類、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの水分散性バインダーなどが挙げられる。
【0022】
また、填料としては、活性白土、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウムなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料などが利用される。
【0023】
さらに、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、界面活性剤、消泡剤、蛍光増白剤、耐水化剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが所望に応じて利用される。
【0024】
本発明の感熱記録体における支持体としては、上質紙、中質紙、再生紙、コート紙等の紙が主として利用される。
【0025】
本発明のレーザー記録型感熱記録体においては、感熱記録層の上にオーバーコート層が、さらに支持体の裏面にバックコート層が設けられる。これらは、ドライプロッターのドラムへの張り付き性、筆記性、耐擦過性の向上に寄与し、また感熱記録層の強度を高めることに役立つと考えられる。特にドラム張り付き性は重要な性質であり、感熱記録体とドラムとの密着性が悪いと、レーザー光の焦点がズレたり距離が変動することにより、局所的には記録濃度が高い部分があっても、発色ムラが生じ均一で良好な画像が得られず、画像部と地色部とのコントラストが損なわれスキャナー読み取り性が悪化する。
【0026】
オーバーコート層は、記録光源の波長領域や可視光領域の光を吸収せず、感熱記録層の発色性に悪影響を及ぼさないことが必要である。オーバーコート層は、填料とバインダーとを主成分として含有することが重要であり、必要に応じてその他の助剤を添加することもできる。填料およびバインダーは、それぞれ前記した感熱記録層に使用し得るものを用いることができ、中でも填料としては水酸化アルミニウム、バインダーとしてはポリビニルアルコールが好ましい。
【0027】
オーバーコート層における填料およびバインダーの含有量については、填料は、オーバーコート層の全固形分重量に対して10〜90重量%程度用いられ、特に30〜60重量%であることが好ましい。バインダー量は、オーバーコート層の全固形分重量から填料の使用量を引いた量以下で、オーバーコート層の全固形分重量に対して10重量%以上用いられる。填料の含有量が少なすぎると、相対的にバインダー量が多くなるため、バインダーが感熱記録層に進入して硬化し、レーザー露光時に光吸収材料とロイコ染料および顕色剤との間の熱伝達が阻害され、結果として感度低下が招かれる。また、赤鉛筆を使って校正する際の筆記性も悪化する。逆に、填料の含有量が多すぎると、バインダー量が減って表面強度が弱くなり、わずかな刺激でもオーバーコート層が剥がれてしまうなど、耐擦過性が悪化しやすい。
【0028】
バックコート層もまた、填料およびバインダーを主成分として含有することが重要であり、オーバーコート層と同様の填料およびバインダーを用いることができる。バックコート層は、感熱記録体裏面の平滑性を高めたり透気性を制御して、特にドラム張り付き性の改善に寄与すると考えられる。バックコート層中の填料およびバインダーについては、オーバーコート層と同様のものが使用でき、適宜使用量を調整して含有することができる。
【0029】
また、本発明においては、5000秒以上の高い透気度を有することが望ましい。ドライプロッターにおいて本発明の感熱記録体は、回転ドラムからの吸引によりその記録層とは反対側の面を回転ドラムに張り付かせ、回転しながら表側の記録層に記録される。従って、従来用いられていた銀塩フィルムのようなものであれば吸引は容易であるが、例えば紙を支持体とする場合には、空気抜けしやすいため吸引されても張り付きにくい。この問題に対し本発明は、、透気度を5000秒以上とすることにより、張り付き性の良好な感熱記録体が得られることを見出したものである。透気度は、オーバーコート層とバックコート層の存在、これらと感熱記録層を含めた各層の塗工量や塗工層の均一性、あるいは紙支持体のパルプ配合やろ水度など、製紙分野で公知の各種方法によって調整することができる。
【0030】
さらに、本発明では、紙中水分量が10%以下、好ましくは5%以下であることが望ましい。本発明の感熱記録体は、過剰のカールを防止する必要があり、カールが激しいとドラムに張り付きにくかったり、記録中にドラムから剥がれてしまう問題が生じる。カールを防止するには、紙中水分を少なく保持し水分量の変化を抑えることが有効である。紙中水分量が多いと、ドラムへの張り付き性が低下し、良好な記録画像を得ることが難しい。紙中水分量もまた、乾燥条件、填料含有率、パルプ配合など、製紙分野で公知の各種方法によって調整することができる。
【0031】
また、本発明のレーザー記録型感熱記録体においては、発色感度を高める目的で填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱記録層下に設けることもできる。感熱記録層とオーバーコート層との間に中間層を設けてもよい。
【0032】
以上述べたような各種材料を用いて、本発明の感熱記録体は従来公知の方法によって製造することができる。感熱記録体の各層用塗液の調製方法については特に限定するものではなく、一般に水を分散媒体とし、光吸収材料、電子供与性ロイコ染料、および電子受容性顕色剤の他、バインダーや必要に応じて添加される填料、滑剤などを混合撹拌して調製される。ロイコ染料および顕色剤は、それぞれ別々に水系でサンドグラインダー、アトライター、ボールミルなどで粉砕、分散した後、混合することによって水系の塗料を得る方法や、ロイコ染料および顕色剤のいずれかをマイクロカプセル化した後に水系の塗料を得る方法などが知られている。ロイコ染料と顕色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や顕色剤の種類に応じて適宜選択され特に限定するものではないが、ロイコ染料1重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2〜10重量部程度の顕色剤が使用される。光吸収材料は、感熱記録層全固形分の0.1〜5重量%程度使用される。より好ましくは、0.5〜3重量%である。本発明において光吸収材料は、予め増感剤と分散したり、溶解あるいは溶融混合して用いることにより、光吸収能が高められ効果的である。また、増感剤に分散または混合後、平均粒径3μm以下に微粒化するとより好ましい。増感剤としては、感熱記録層と同じものが使用可能である。
【0033】
感熱記録体の各層の形成方法については特に限定されず、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等を適宜選択することができ、例えば感熱記録層用塗液を支持体上に塗布、乾燥した後、さらにオーバーコート層用塗液を感熱記録層上に塗布、乾燥する等の方法で形成される。また、感熱記録層用塗液の塗布量は乾燥重量で2〜12g/m2程度、好ましくは3〜10g/m2程度、アンダーコート層、中間層、オーバーコート層またはバックコート層用塗液の塗布量は乾燥重量で、0.1〜15g/m2程度、好ましくは0.5〜7g/m2程度の範囲で調節される。なお、本発明の感熱記録体は各層形成後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理等を施すことができる。
【0034】
【実施例】
以下、この発明を具体的な実施例により詳述する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0035】
[参考例1]<感熱記録層の形成>
A液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン<D−8>
6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 20.0部
水 10.0部
上記の組成物の混合液をサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。
B液(光吸収材料分散液)
ビス(3,4,5,6−テトラクロロフェニル−1,2−ジチオール)
ニッケル テトラブチルアンモニウム錯体<PA−1005>
1.0部
1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン<PMB−2> 5.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10.0部
水 6.0部
上記の組成物の混合液をサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。
C液(染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>
3.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 5.0部
水 2.0部
上記の組成物の混合液をサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。
次いで下記の割合で分散液を混合して塗液とした。
A液 40.0部
B液 20.0部
C液 10.0部
シリカ30%分散液 30.0部
上記塗液を60g/m2の紙の片面に塗布量7.0g/m2になるように塗布乾燥した。
<オーバーコート層の形成>
水酸化アルミニウム50%分散液 10.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 30.0部
水 5.0部
上記の組成物の混合液をサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。この塗液を、感熱記録層の上に塗布量2.0g/m2になるように塗布乾燥した。
<バックコート層の形成>
オーバーコート層用に作った塗液を、感熱記録層およびを塗布した支持体の裏面に塗布量2.0g/m2になるように塗布乾燥した。
上記のようにして、レーザー記録型感熱記録体を作成した。
【0036】
[参考例2]
参考例1で作成したレーザー記録型感熱記録体を、50℃の条件下で紙中水分5%まで乾燥した。
【0037】
[実施例3]
参考例1のA,B,C液に加えて下記D液を調整した。
D液(600〜700nmの光を吸収するロイコ染料分散液)
3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド<GN−2>
1.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 5.0部
水 2.0部
上記の組成物の混合液をサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンまで磨砕した。
次いで下記の割合で分散液を混合して塗液とした。
A液 40.0部
B液 20.0部
C液 10.0部
D液 10.0部
シリカ30%分散液 30.0部
上記塗液を60g/m2の紙の片面に塗布量7.0g/m2になるように塗布乾燥した。
さらに参考例1と同様にして、オーバーコート層およびバックコート層を形成し、レーザー記録型感熱記録体を作成した。
【0038】
[比較例1]
参考例1において、オーバーコート層およびバックコート層を設けずに、感熱記録層のみを形成して、レーザー記録型感熱記録体を作成した。
【0039】
[比較例2]
参考例1において、バックコート層は設けずに、感熱記録層およびオーバーコート層を形成して、レーザー記録型感熱記録体を作成した。
【0040】
[評価試験]
上記のようにして得られたレーザー記録型感熱記録体について、以下の評価試験を行った。なお、透気度はJIS−P−8117に規定される方法、紙中水分量はJIS−P−8127に規定される方法に従って、それぞれ測定した。
・印字部濃度 松下伝送システム製ドライプロッターGX−3700(波長830nm)を用いてレーザー記録を行い、10cm×10cmの範囲で任意の10点をマクベス濃度計RD−19で測定し、その平均を印字部の濃度とした。
・スキャナー読み取り性 スキャナー(読み取り波長630nm)での読み取り性を、○:良く読み取れる、×:精度が悪い(または読み取れない)、で表した。
・ドラム張り付き性 前記ドライプロッターを用いて記録するときの様子を、○:回転しても剥がれない、△:回転によって剥がれやすい、×:回転によってすぐ剥がれる、で表した。
・筆記性 感熱記録層を設けた側の表面に赤鉛筆で筆記したとき、○:良く書ける、×:書きにくい、で表した。
・耐擦過性 感熱記録層を設けた側の表面を爪で引っ掻いたときの状態を、目視によって観察し、○:傷がつかない、×:傷がつく、で表した。
以下、表1に実験結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレーザー記録型感熱記録体は、記録濃度が高く、かつスキャナー読み取り性、ドラム張り付き性、筆記性、耐擦過性にも優れたものである。従って、新聞製版等において、印画紙使用に代わる新しいシステムの記録体として利用することもでき、非常に有用である。
Claims (2)
- 紙支持体上に少なくともレーザー光を吸収して熱に変換する光吸収材料と電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、該電子供与性ロイコ染料として、可視光領域の光を吸収するロイコ染料と600nm以上の波長に吸収の主波長を有するロイコ染料とを含有し、該感熱記録層上に、填料とバインダーとを主成分として含有するオーバーコート層を設け、さらに該支持体の裏面に、填料とバインダーとを主成分として含有するバックコート層を設け、かつJIS−P−8117で規定される透気度が5000秒以上であることを特徴とする印刷製版用のレーザー記録型感熱記録体。
- JIS−P−8127で規定される紙中水分量が10%以下である請求項1記載のレーザー記録型感熱記録体。
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