JP3735205B2 - アルミニウム合金製羽根車及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製羽根車及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金製羽根車及びその製造方法に関し、例えばエンジンの過給機などとして適用される遠心圧縮機用の羽根車、その他、軽量性及び耐熱性を要求される高速回転機械、例えばターボ分子ポンプのローター及び翼、軸流送風機の翼、スクロール圧縮機などに利用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遠心圧縮機の羽根車においては、比較的圧縮比が低く最高温度部(圧縮空気出口部)温度が180℃程度までしか上昇しない大気吸い込み型単段式の製品の場合、羽根車の素材として「Al−Cu−Mg系」の耐熱アルミニウム合金JlS A2618合金が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、本材料を含む一般の耐熱アルミニウム合金は、時効熱処理(たとえば190℃×15時間程度)により強度を確保するタイプの合金であり、従って、この温度を越える温度領域で長時間加熱されると強度が低下するという問題がある。
また、新しいアルミニウム合金の製造方法として、アルミニウム合金を溶融状態から急冷凝固させ、得られた粉末を焼結固化(加熱+加圧)することにより微細で均一な組織を得て、アルミニウム合金の特性を向上させる急冷凝固技術により急冷凝固Al−Fe系アルミニウム合金を得る方法が開発されている。このような技術は、たとえば特公昭63−9576号公報、特公昭63−10221号公報、特公昭63−10222号公報、特公平3−4615号公報、特公平4−59380号公報、特公平4−78696号公報、特公平4−78697号公報及び特公平6−89428号公報などに開示されている。
【0004】
しかしながら、この急冷凝固技術を利用した製造方法で得られるアルミニウム合金材料は、その延性が室温はもとより高温でも著しく低いために、熱間自由鍛錬加工は不可能である。従って、大型でかつ大きな力の加わる高速回転体羽根車のように、強度とともに延性及び靱性が要求される部材への適用は不可能であった。
【0005】
本発明者らは、かかる問題を解決し、Al−Fe系及びAl−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金を大型の回転体に適用すべく鋭意研究を進めてきた。その結果既に、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法によりAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得るという新しい手法を提案している(特開平10−26002号公報参照)。
本手法によれば、急冷凝固Al−Fe系アルミニウム合金の延性及び靱性が改善され、熱間自由鍛錬加工が可能となり、従って、大型でかつ大きな力の加わる高速回転体羽根車のような、強度とともに延性及び靱性が要求される部材への適用が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平10−26002号公報に記載された製法の場合であっても、押出加工を施し、必要な長さに切断した後に熱間自由鍛錬加工を行うと、切断端面から亀裂が発生する場合があり、製品歩留まりが悪く生産性を大きく阻害するという課題があった。
また、鍛造割れが必ず端面に生じることから、その対策として押出し後に通常の平金型を用いたホットプレスを行うことも提案済みではあるが、素材の形状や鍛錬条件(温度、加工比など)によっては端面に割れが発生する場合があり、現状では課題の完全な解決には至っていない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、切断端面における亀裂の発生を防止して、製品の歩留まり及び生産性を向上させることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載のアルミニウム合金製羽根車は、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施し、その後に前記押出加工を施して得た押出素材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で前記端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加え、さらにその後に前記押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施してなることを特徴とするものである。
【0009】
このようなアルミ合金製羽根車によれば、予備鍛錬加工を施すことによって、亀裂が発生しやすい端面の品質、特に延性が改善されるので、後工程での本格的な鍛錬加工、つまり据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工時において亀裂が生じるのを防止できる。
【0010】
請求項2に記載のアルミ合金製羽根車は、請求項1記載のアルミニウム合金製羽根車において、上記急冷凝固アルミニウム合金の成分が、重量%でFe:4〜12%、V:0.5〜5%、ならびにMo,Zr及びTiのうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がAlと不可避不純物であることを特徴とするものである。
【0011】
このようなAl−Fe系アルミ合金製羽根車によれば、Feの適度な添加により常温強度及び高温強度が発現され、Vの適度な添加によりさらに常温強度及び高温強度が高められ、そして、Mo,Zr,Tiの適度な添加によってより一層常温強度及び高温強度を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載のアルミ合金製羽根車は、請求項1記載のアルミニウム合金製羽根車において、急冷凝固アルミニウム合金の成分が、重量%で(Fe+Mn):5〜11%、Fe≦8%、Mn≦8%、Mn/Fe比が0.2≦(Mn/Fe)≦4、V:0.2〜4%、ならびにMo,Zr及びTiのうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がAlと不可避不純物であることを特徴とするものである。
【0013】
このようなAl−Fe−Mn系アルミ合金製羽根車によれば、Mnが適度に加えられたことによって、アルミニウム合金のクリープ強度や疲労強度を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法は、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷疑固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により急冷凝固アルミニウム合金を製造する工程と、その後得られた上記急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施す工程と、その後に前記押出加工を施して得られた押出素材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で前記端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加える工程と、さらにその後に前記押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施す工程と、からなることを特徴とするものである。
【0015】
このようなアルミニウム合金製羽根車の製造方法によれば、押出素材端面の品質、特に延性が改善されるので、押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工、つまり据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施す工程において端面に亀裂が生じなくなるので、製品歩留まりの高い製造方法となる。
【0016】
請求項5に記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法は、請求項4記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法において、前記押出素材端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工法として、矩形の型を用い部分的に加工を加えることを特徴とするものである。
【0017】
このようなアルミニウム合金製羽根車の製造方法によれば、矩形の型を用い部分的に加工を加えることによって、押出素材端面表層近傍の品質改善を確実に行うことができる。
【0018】
請求項6に記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法は、請求項4記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法において、押出素材端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工法として、凸型または凹型のパンチを用いたホットプレス加工を行うことを特徴とするものである。
【0019】
このようなアルミニウム合金製羽根車の製造方法によれば、凸型または凹型のパンチを用いたホットプレス加工を行うことによって、押出素材端面表層近傍の品質改善を確実に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアルミニウム合金製羽根車及びその製造方法の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアルミ合金製羽根車を備えた装置として、遠心圧縮機の構造を示したものである。図1において、符号の1は羽根車、2はロータ軸、3は主スラスト軸受け、4は反スラスト軸受け、5はラビリンスパッキン、6はシール空間、7は放風孔、8はスラスト軸受け、9はケーシングである。
ここに示した遠心圧縮機は、エンジンの過給機として使用されるもので、羽根車出口における空気の温度は遠心圧縮機の圧力比に応じて高くなっている。ここで、羽根車の外径はおよそφ350mmである。
【0021】
<実施例1>
この実施例におけるアルミニウム製合金羽根車の材料成分は、Al−Fe系の急冷凝固アルミニウム合金である。このAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金は、スプレイフォーミング法により成形体(ビレット)を製造したもので、最初にこの成形体に対して200℃〜600℃の温度範囲内で熱間押出し加工を施して、押出素材を製造する。その後、この押出素材の両端面に対して200℃〜600℃の温度範囲内で端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加え、さらにその後に押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施して、アルミニウム合金製羽根車の機械加工用素材を得る。
【0022】
また、ここで使用するAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金は、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により得たものであって、その成分は、重量%で鉄(Fe):4〜12%、バナジウム(V):0.5〜5%、モリブデン(Mo)+ジルコニウム(Zr)+チタン(Ti)の三種の元素のうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がアルミニウム(Al)と不可避不純物である。
【0023】
そして、上述したアルミニウム合金製羽根車の製造工程において、端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとして実施する部分的な予備鍛錬加工の具体的な手法としては、Al−Fe系の合金より成る押出素材である円柱状の素材を回転テーブルに配し、端面に矩形の型による部分的な加工を加えながら、テーブルを回転させ端面に加工効果を与えるものが採用される。
【0024】
以下、Al−Fe系急冷凝固アルミニウム合金における各成分の限定理由を述べる。
最初に、好適な鉄(Fe)の重量比は4〜12%である。
ここでのFeの添加は、スプレイフォーミングにより急冷凝固するときに金属間化合物が細かく分散し、その分散効果によって成形材における常温強度及び高温強度を発現させるのに寄与する。
しかし、このAl−Fe合金系においては、Feの添加量が4%未満では十分な強度発現効果は得られない。一方、Feの添加量が多すぎるとその強度発現効果は飽和してしまうので、共に好ましいことではない。このため、添加量の上限を12%と限定する。
よって、Feの添加範囲は4〜12%が望ましい。
【0025】
次に、好適なバナジウム(V)の重量比は0.5〜5%である。
ここで、添加されたバナジウムは、Feを含む金属間化合物を微細にし、Feの分散強化を助けて成形材の常温強度及び高温強度をAl−Fe系二元合金よりさらに高めるのに寄与する。
しかし、このAl−Fe合金系では、0.5%未満のバナジウム添加量では十分な効果は得られない。一方、バナジウムの添加量が多すぎると、その効果は飽和してしまうので、共に好ましいことではない。そのため、添加量の上限を5%と限定する。
よって、バナジウムの添加範囲は、0.5〜5%が望ましい。
【0026】
また、好適なモリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)の重量比は、これら三種の元素のうち一種又は二種以上を合計した値が、0.2〜5%である。
ここで、Mo、Zr及びTiの添加には、上記金属間化合物の分散をさらに助ける作用があり、結果として成形材の常温強度及び高温強度をAl−Fe系二元合金よりさらに高めるのに寄与する。
しかし、このAl−Fe合金系では、これら三種の元素のうち一種又は二種以上の添加量が重量比の合計で0.2%未満の少量になると、十分な効果は得られない。一方、これら三種の元素のうち一種又は二種以上の添加量が多すぎると、その効果は飽和してしまう。従って、これら元素の添加量は、その上限を重量比で5%と限定する。
よって、Mo、Zr及びTiの添加範囲は、一種又は二種以上を合計した重量比で、0.2〜5%とするのが望ましい。
【0027】
ここで、押出加工及び予備鍛錬加工における温度限定(200℃〜600℃)の理由を説明しておく。
200℃以下では、材料の延性が小さく、無理に加工を施すと割れる可能性がある。また、強度が高く変形抵抗が大きいため過大な加工圧力が必要となり、加工装置が非常に大型になるとともに加工自体も非常に困難である。
一方、600℃以上では、材料の組織が粗大化して、急冷凝固の効果が損なわれ強度が低下することから好ましくない。
【0028】
ここで、本実施例1に係る具体的な実験例を説明する。
本実施例におけるAl−Fe系合金としては、その1例として成分配合がAl−8Fe−2Mo−2V−1Zr合金を使用しており、この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法によりφ500×L300mmの成形体(ビレツト)を製造した。
【0029】
次に、このビレットを450℃に加熱した状態でφ200mmに押出し加工を施した後に、この押出し材を長さ400mmの円柱体に切断して、押出素材よりなる羽根車素材12とした(図2参照)。このように、押出し材を切断してなる円柱状の押出素材が、予備鍛錬加工前の羽根車素材12である。
なお、押出加工をする際、その押出加工比は大きくとるほどよく、少なくとも2.0以上確保することが望ましい。この理由は、2以下の押出加工比では、その後の熱間鍛錬加工時に割れを生じることがあり、好ましくないからである。
【0030】
続いて、図2に示すように、φ200×L400mmの羽根車素材(押出素材)12を回転テーブル11に配し(図2(a)参照)、回転テーブル11の水平面に対し30度傾けた幅20mmの矩形型13を用いて、片方の端面の角を加圧した(図2(b)参照)。
このような加圧を、回転テーブル11を回転させながら、1回転(360度回転)にわたって行った。この加圧加工を1回転(360度回転)実施すると、羽根車素材12の端面は、図2(b)に示す如く先端が盛上った状態となるため、最終的には図2(c)及び図2(d)に示すように、この部分を平金型14で加圧して平坦な状態に戻す。
この後、羽根車素材12の上下を反転させて、反対側の端面についても同様の予備鍛錬を実施する(図2(e)参照)。
【0031】
これが、羽根車素材12に対する端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工であり、この加工を施すことにより端面の材料延性が改善される。従って、次段階の本格的な熱間鍛錬加工及び型打ち加工時の割れ等のトラブルが回避でき、製品を歩留まり良く容易に製造できるようになる。なお、羽根車素材12の端面を押し付ける矩形型の形状及びその傾け角度は、素材の大きさ(直径や高さ)によって任意に変化させる。
【0032】
最後に、羽根車素材12の品質向上を図るため、熱間の鍛錬加工(据込加工及び鍛伸加工を組み合わせて、材料内部まで十分に加工の効果が与えられるようにした鍛錬加工工程)及び型打ち加工を行い、φ370×1200mmの供試体を得た。
なお、製造時の歩留まりを確認するために、本製造方法で10体の素材の試作試験を実施した結果、すべてに問題なく最終の型打ち加工まで実施でき、製造歩留まりは100%であった。
【0033】
こうして得られた羽根車素材12の特性は、室温における引張強度が43〜46kgf/mm2、引張破断伸びが10〜12%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付けて所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を100Hr連続して実施した結果、振動等の異常はなく良好な製造が得られることを確認した。
【0034】
一方、本発明との作用・効果を比較するため、同成分の供試体を用い、押出し加工後に所定の寸法に切断した後、端面の表層近傍の品質(特に延性)の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工の工程を省略して、そのまま熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行う試験を実施した。その結果、10体の試験供試体の中で、5体の素材に亀裂が生じたので、その製品歩留まりは50%ということになる。
この場合の亀裂は、熱間鍛錬の初期から押出し加工後に切断した両端面から徐々に発生し、加工を加えるごとに拡大し、大きいものは素材の中央部付近まで達していた。なお、押出し加工後に切断した両端面以外の面には、亀裂の発生は全く認められなかった。
【0035】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後に、任意の幅の矩形型を用い押出素材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で、端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0036】
<実施例2>
この実施例2では、上述した実施例1と同様の製造法を採用しているが、但し、アルミニウム合金製羽根車の材料成分はマンガン(Mn)を含むAl−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金である点が異なっている。
この場合、Al−Fe−Mn系急冷凝固アルミニウム合金の成分は、重量%で(Fe+Mn):5〜11%、Fe≦8%、Mn≦8%、Mn/Fe比が0.2≦(Mn/Fe)≦4、V:0.2〜4%、ならびにMo,Zr及びTiのうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がAlと不可避不純物である。
【0037】
以下に、上述したAl−Fe−Mn系急冷凝固アルミニウム合金における成分限定理由を述べる。ここで、VとMo、Zr及びTiの添加については実施例1の中で既に説明したので、ここでは鉄(Fe)にマンガン(Mn)を添加した理由及びその配合について説明する。
Mnは、上記金属間化合物中に固溶してマトリックスを安定化させ、加工組織の回復や再結晶を生じにくくし、合金のクリープ強度、疲労強度を向上させるのに寄与する。しかしながら、Mnの添加は延性、靱性の劣化を促進することにもなるので、好ましくは8%以下とする必要がある。
よって、本発明における好適なMn/Fe比は、重量%で0.2≦(Mn/Fe)≦4とするのが好ましい。
【0038】
また、強度を向上させるために、合金マトリックス中に分散する金属間化合物は小さい方が望ましく、本発明において所望の強度特性を得るためには、金属間化合物の平均粒径を好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下に制御することが必要であり、この範囲の金属間化合物を微細に分散させることにより常温及び高温の強度が効果的に向上する。
【0039】
続いて、実施例2に係る具体的な実験例を説明する。
本実施例2におけるAl−Fe−Mn系急冷凝固アルミニウム合金の成分配合は、その1例としてAl−4Fe−4Mn−2Mo−2V−1Zr合金を採用する。この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、φ500×L300mmの成形体(ビレット)を製造した。
【0040】
以下、実施例1と同様の工程でφ370×L200mmの羽根車用の供試体を10体製造した結果、すべての供試体で割れ等の発生は全く無く最終の型打ち加工まで実施でき、製造歩留まりは100%であった。
こうして得られた羽根車素材の特性は、室温における引張強度が45〜48kgf/mm2、引張破断伸びが6〜8%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付け所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を連続して100Hr行った結果、振動等の異常はなく良好な製造が可能であることを確認した。
【0041】
一方、本発明との作用・効果を比較するため、同成分の供試体を用いて、押出し加工後に所定の寸法に切断し、押出素材に対する端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工の工程を省略して、そのまま熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行う試験を実施した。その結果、10体の試験供試体の中で7体の素材に亀裂が生じたので、この場合の製品歩留まりは30%となる。
【0042】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後に、任意の幅の矩形型を用い押出し材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で、端面の表層近傍の品質、特に延性の改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0043】
<実施例3>
この実施例3では、上述した実施例1と予備鍛錬加工の具体的な手法が異なっている。
図3は、本実施例3に係る予備鍛錬加工の概略説明図で、凸型のパンチを用いたホツトプレスが採用されている。図3において、符号の12は羽根車素材、21は外筒金型、22は上部凸型パンチ、23は下部凸型パンチ、24は加圧プランジヤーを示している。
【0044】
この場合の材料成分は、実施例1と同様にAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金であり、スプレイフォーミング法により成形体(ビレット)を製造し、次いで200℃〜600℃の温度範囲内で熱間押出し加工を施し、その後に200℃〜600℃の温度範囲内で凸型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与え、さらにその後に素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施して、アルミニウム合金製羽根車の機械加工用素材が得られる。
【0045】
続いて、実施例3に係る具体的な実験例を説明する。
ここで、本実施例におけるAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金の成分配合は、その1例としてAl−10Fe−2.5Mo−1.5V−1.2Zr合金を採用する。そして、この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、φ500×L300mmの成形体(ビレット)を製造した。次に、このビレットを450℃に加熱してφ200mmに押出し加工を施した後に、長さ400mmに切断して円柱状の押出素材とした。この押出素材が、予備鍛錬加工前の羽根車素材12である。
【0046】
次いでこの羽根車素材12を380℃に加熱し、図3に示すように、内径φ220mmの外筒金型21に挿入し、加圧プランジャー24で加圧保持した。この時の加圧力は3,000ton で、保持時問は60秒とした。その後、羽根車素材12を外筒金型21から取り外し、端面の凹んだ部分を平らに戻すために平形のプレス金型(図示省略)で両端面を押えた。
最後に、羽根車素材12の品質向上を図るために、熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行い、φ370×L200mmの供試体を得た。
【0047】
なお、製造時の歩留まりを確認するために本製造方法で10体の素材の試作試験を実施した結果、すべて問題なく最終の型打ち加工まで実施でき、製造歩留まりは100%であった。
得られた素材の特性は、室温における引張強度が44〜46kgf/mm2、引張破断伸びが7〜10%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付けて所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を100Hr連続で行い、振動等の異常はなく良好な製造が得られることを確認した。
【0048】
一方、本発明との作用・効果を比較するために、同成分の供試体を用い、押出し加工後に所定の寸法に切断して380〜400℃に加熱後、上下ともに凸型ではなく平型パンチを用いたホツトプレスを行い鍛錬用の素材を製造した。その後に所定の鍛錬加工を実施したが、10体の供試体の中で4体の素材の端面中央部に割れによる亀裂が発生した。従って、この場合の製品歩留まりは60%であった。
すなわち、通常の平金型を用いたホットプレスでは、完全な鍛錬割れの解消にはならないことが確認された。なお、素材の加熱温度を300〜500℃の範囲で変化させてみたが、鍛錬割れの発生状況はほとんど変わらなかった。
【0049】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出し加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後で、200℃〜600℃の温度範囲内で凸型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0050】
<実施例4>
この実施例4では、上述した実施例3と同様の製造法で、材料成分をAl−Fe‐Mn系の急冷凝固アルミニウム合金に変えて試験を実施した。
以下、実施例4に係る具体的な実験例を説明する。
ここで、本実施例4でのAl−Fe‐Mn系急冷凝固アルミニウム合金の成分配合は、その1例としてAl−6Fe−2Mn−2Mo−2.5V−1Zr合金とし、この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法によりφ500×L300mmの成形体(ビレット)を製造した。次に、このビレツトを450℃に加熱しφ200mmに押出し加工を施した後に、長さ400mmの円柱体に切断して円柱状の押出素材を得て、羽根車素材12とした。
【0051】
次いで、この円柱素材を400℃に加熱し、図3に示すように、内径φ220mmの外筒金型21に挿入して、加圧プランジャー24で加圧保持した。この時の加圧力は3,000ton で、保持時間は60秒とした。その後、羽根車素材12を外筒金型21から取り外し、端面の凹んだ部分を平らに戻すために平形のプレス金型(図示省略)で両端面を押えた。
最後に、羽根車素材12の品質向上を図るために、熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行いφ370×L200mmの供試体を得た。
【0052】
なお、製造時の歩留まりを確認するために本製造方法で10体の素材の試作試験を実施した結果、すべて問題なく最終の型打ち加工まで実施でき、製造歩留まりは100%であった。
こうして得られた羽根車素材の特性は、室温における引張強度が46〜49kgf/mm2、引張破断伸びが6〜9%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付けて所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を100Hr連続で行い、振動等の異常はなく良好な製造が得られることを確認した。
【0053】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出し加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後で、200℃〜600℃の温度範囲内で凸型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0054】
<実施例5>
この実施例5では、上述した実施例3の凸型パンチに変えて、凹型のパンチを用いたホットプレスを行っている。
図4は本実施例5に係る凹型のパンチを用いたホツトプレスの概略説明図を示したもので、図中の符号12は羽根車素材、21は外筒金型、25は上部凹型パンチ、26は下部凹型パンチ、24は加圧プランジヤーを示している。
【0055】
この実施例5で使用する材料成分はAl−Fe系の急冷凝固アルミニウム合金で、スプレイフォーミング法により成形体(ビレット)を製造し、次いで200℃〜600℃の温度範囲内で熱間押出し加工を施し、その後に200℃〜600℃の温度範囲内で凹型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与え、さらにその後に素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工、すあんわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施して、アルミニウム合金製羽根車の機械加工用素材が得られる。
【0056】
以下、本実施例5に係る具体的な実験例を説明する。
ここで、本実施例5におけるAl−Fe系急冷凝固アルミニウム合金の成分配合は、その1例としてAl−7Fe−2.5Mo−l.5V−1.2Zr合金を使用し、この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法によりφ500×L300mmの成形体(ビレツト)を製造した。次に、このビレットを450℃に加熱しφ200mmに押出し加工を施した後に、長さ400mmに切断することで円柱状の押出素材を得て、羽根車素材12とした。
【0057】
次いで、この押出素材を420℃に加熱し、図4に示すように、内径φ220mmの外筒金型21に挿入して、加圧プランジャー24で加圧保持した。この時の加圧力は3,000ton で、保持時間は60秒とした。その後、羽根車素材12を外筒金型21から取り外し、端面中央部の凸部を平らにするために平形のプレス金型(図示省略)で両端面を押えた。
最後に、羽根車素材の品質向上を図るために、熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行いφ370×L200mmの供試体を得た。
【0058】
なお、製造時の歩留まりを確認するために本製造方法で10体の素材の試作試験を実施した結果、すべて問題なく最終の型打ち加工まで実施でき、製造歩留まりは100%であった。
こうして得られた羽根車素材の特性は、室温における引張強度が42〜45kgf/mm2、引張破断伸びが11〜13%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付け所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を100Hr連続で行い、振動等の異常はなく良好な製造が得られることを確認した。
【0059】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出し加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後で、200℃〜600℃の温度範囲内で凹型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0060】
<実施例6>
この実施例6では、上述した実施例5と同様の製造法で、材料成分をAl−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金に変えて試験を実施した。
以下、本実施例6に係る具体的な実験例を説明する。
ここで、本実施例6でのAl−Fe−Mn系急冷凝固アルミニウム合金の成分配合は、その1例としてAl−5Fe−3Mn−1.5Mo−2.5V−1.5Zr合金とし、この溶融金属を溶融状態から窒素ガスにより102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、φ500×L300mmの成形体(ビレツト)を製造した。次に、このビレットを450℃に加熱しφ200mmに押出し加工を施した後に、長さ400mmの円柱状に切断して押出素材を得て、羽根車素材12とした。
【0061】
次いで、この押出素材を430℃に加熱し、図4に示すように、内径φ220mmの外筒金型21に挿入して、加圧プランジャー24で加圧保持した。この時の加圧力は3,000ton で、保持時間は60秒とした。その後、素材を外筒金型2から取り外し、端面中央部の凸部を平らにするために平形のプレス金型(図示省略)で両端面を押えた。
最後に、羽根車素材の品質向上を図るために、熱間の鍛錬加工及び型打ち加工を行い、φ370×L200mmの供試体を得た。
【0062】
なお、製造時の歩留まりを確認するために本製造方法で10体の素材の試作試験を実施した結果、すべて問題なく最終の型打ち加工まて実施でき、製造歩留まりは100%であった。
こうして得られた羽根車素材の特性は、室温における引張強度が45〜48kgf/mm2、引張破断伸びが7〜10%で必要な素材強度と延性を有し、鍛造時の割れ等による欠陥も全く認められなかった。また、鍛造後の供試体2体を機械加工により最終の羽根車形状に加工し、台上の回転機械に取り付け所定の運転回転数まで回転させる実機回転試験を100Hr連続で行い、振動等の異常はなく良好な製造が得られることを確認した。
【0063】
この実験例から明らかなように、溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により、Al−Fe−Mn系の急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出し加工を施し、さらに同温度範囲内で熱間鍛造加工を施しアルミニウム合金製羽根車を得る手法において、上記押出し加工の後で、200℃〜600℃の温度範囲内で凹型のパンチを用いたホットプレスを行い両端面に予備鍛錬の効果を与えることにより、次段階の本格的な鍛錬加工、すなわち据込加工あるいは鍛伸加工及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の、割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止でき、これにより製品の品質安定性とコストの低減が図れるとともに、生産性が大幅に向上する。
【0064】
【発明の効果】
上述した本発明のアルミニウム合金製羽根車及びその製造方法によれば、下記の効果を奏する。
すなわち、スプレイフォーミング法により得た急冷凝固アルミニウム合金を200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工してなる円柱形状の羽根車素材(押出素材)に対し、その端面の表層近傍の品質、特に延性改善を狙いとした予備鍛錬加工を加えることにより、次段階に実施する本格的な鍛錬加工(据込加工あるいは鍛伸加工)及び所定の型を用いた型打ち加工を行う際の割れ発生による製品歩留まりの低下を確実に防止できる。従って、アルミニウム合金製羽根車の品質安定性が増してコストを低減できるようになり、生産性を大きく向上させるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアルミニウム合金製羽根車の一実施形態として、遠心圧縮機用の羽根車を示す断面図である。
【図2】 予備鍛錬加工の手法として、矩形型を用い(a)〜(e)の手順で部分的に加工を加える方法を示す説明図である。
【図3】 予備鍛錬加工の手法として、凸型パンチを用いた方法を示す断面図である。
【図4】 予備鍛錬加工の手法として、凹型パンチを用いた方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 羽根車
11 回転テーブル
12 羽根車素材(押出素材)
13 矩形型
14 平金型
21 外筒金型
22 上部凸型パンチ
23 下部凸型パンチ
24 加圧プランジャー
25 上部凹型パンチ
26 下部凹型パンチ

Claims (6)

  1. 溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷凝固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により急冷凝固アルミニウム合金を得てなり、該急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施し、その後に前記押出加工を施して得た押出素材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で前記端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加え、さらにその後に前記押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施してなることを特徴とするアルミニウム合金製羽根車。
  2. 請求項1記載のアルミニウム合金製羽根車において、上記急冷凝固アルミニウム合金の成分が、重量%でFe:4〜12%、V:0.5〜5%、ならびにMo,Zr及びTiのうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がAlと不可避不純物であることを特徴とするアルミニウム合金製羽根車。
  3. 請求項1記載のアルミニウム合金製羽根車において、上記急冷凝固アルミニウム合金の成分が、重量%で(Fe+Mn):5〜11%、Fe≦8%、Mn≦8%、Mn/Fe比が0.2≦(Mn/Fe)≦4、V:0.2〜4%、ならびにMo,Zr及びTiのうち一種又は二種以上の合計で0.2〜5%を含み、残部がAlと不可避不純物であることを特徴とするアルミニウム合金製羽根車。
  4. 溶融金属を不活性ガスによりスプレイし、102 ℃/sec 以上の冷却速度で急冷疑固させつつ同時に堆積させるスプレイフォーミング法により急冷凝固アルミニウム合金を製造する工程と、その後得られた上記急冷凝固アルミニウム合金に200℃〜600℃の温度範囲内で押出加工を施す工程と、その後に前記押出加工を施して得た押出素材の両端面に200℃〜600℃の温度範囲内で前記端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工を加える工程と、さらにその後に前記押出素材の内部まで加工効果を与える本格的な鍛錬加工及び所定の型を用いた型打ち加工を施す工程と、からなることを特徴とするアルミニウム合金製羽根車の製造方法。
  5. 請求項4記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法において、前記押出素材端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工法として、矩形の型を用い部分的に加工を加えることを特徴とするアルミニウム羽根車の製造方法。
  6. 請求項4記載のアルミニウム合金製羽根車の製造方法において、前記押出素材端面の表層近傍の品質改善を狙いとした部分的な予備鍛錬加工法として、凸型または凹型のパンチを用いたホットプレス加工を行うことを特徴とするアルミニウム合金製羽根車の製造方法。
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