JP3734694B2 - パンツ型の使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持するパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−２４０６３号公報は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前後胴周り域が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されたパンツ型の使い捨ておむつを開示している。このおむつでは、脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁部に伸長状態で取り付けられ、脚周り方向へ延びる防漏カフがコアの両側縁部近傍に配置されている。
【０００３】
このおむつでは、防漏カフが内側カフと外側カフとから形成されている。それらカフは、固定側部と、表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部と、おむつの内方へ倒伏された固定両端部とを有する。それらカフでは、固定側部がコアの両側縁部近傍に位置する表面シートに固着され、固定両端部が前後胴周り域に位置する表面シートに固着されている。カフの自由側部には、脚周り方向へ伸縮する弾性部材が伸長状態で取り付けられている。股下域では、外側カフの自由側部がコアの内方へ向って延び、自由縁部の略中央が折曲されて自由縁部がコアの両側縁部の外方へ向って折り返されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のおむつでは、それを着用するときに、着用者がその両脚を脚周り開口に通し、おむつを着用者の腰部に引き上げる。このおむつでは、脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁部全周に延び、かつ、コアの外側へ折り返された外側カフの折曲部分がおむつに固着されておらず、股下域において起立した外側カフの自由側部が高い障壁を形成する。このおむつでは、脚周り用弾性部材の収縮と外側カフの自由側部の起立とによって脚周り開口が狭くなり、脚周り開口に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域に延びる外側カフの自由側部に引っ掛り易く、着用に手間取る場合がある。
【０００５】
本発明の課題は、着用者の脚が防漏カフの自由側部に引っ掛り難く、円滑に着用することができるパンツ型の使い捨ておむつを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されており、脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が、前記脚周り開口の周縁部に伸長状態で取り付けられ、前記脚周り方向へ延びる実質的に不透液性の防漏カフが、前記コアの両側縁部近傍に取り付けられたパンツ型の使い捨ておむつである。
【０００７】
かかる前提において、本発明の特徴は、前記脚周り用弾性部材が、前記前胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁前部を前記脚周り方向へ延びる第１弾性部材と、前記後胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁後部を前記脚周り方向へ延びる第２弾性部材とから形成され、前記周縁前部と前記周縁後部との間における前記脚周り開口の周縁中央部に存在せず、前記防漏カフが、前記コアの両側縁部を前記脚周り方向へ延びる固定側部と、前記脚周り方向へ伸縮する第３弾性部材が伸長状態で取り付けられて前記表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部と、前記おむつの内方へ倒伏された状態で前記前後胴周り域に位置する前記表面シートに重なる固定両端部とを有し、前記股下域では、前記自由側部が前記コアの両側縁部の内方へ向って延び、かつ、前記自由側部の略中央が折曲されて該自由側部が前記コアの両側縁部の外方へ向って折り返され、前記自由側部の折曲部分が前記コアの上部における前記表面シートに固着され、前記折曲部分から前記固定側部へ延びる前記カフの部分と前記表面シートとの間に空洞が形成されていることにある。
【０００８】
本発明の実施の態様の一例としては、前記第１弾性部材の伸長応力が、前記第２弾性部材のそれよりも高い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかるパンツ型の使い捨ておむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１０】
図１，２は、一例として示す使い捨ておむつ１の部分破断斜視図と、前後胴周り域Ｒ１，Ｒ３の連結を解除しておむつ１を縦方向へ展開し、さらにパンツ２とパッド７とを分離して示すおむつ１の平面図とである。図１では、脚周り方向を矢印Ｘ１で示し、胴周り方向を矢印Ｙ１で示す。図２では、縦方向を矢印Ｘ２で示し、横方向を矢印Ｙ２で示す。なお、パンツ２や表裏面シートにおける内面とは、コアに対向する面をいい、外面とは、コアに非対向の面をいう。
【００１１】
おむつ１は、パンツ２と、パンツ２の内面に取り付けられた吸液性パッド７とから構成されている。パンツ２は、対向面が間欠的に固着された重なり合う２枚の不織布から形成されている。パッド７は、透液性表面シート８と、不透液性裏面シート９と、吸液性コア１０と、実質的に不透液性の防漏カフ１１とから形成されている。
【００１２】
パンツ２は、互いに対向する前胴周り域Ｒ１および後胴周り域Ｒ３と、それら胴周り域Ｒ１，Ｒ３の間に位置する股下域Ｒ２とを有する。パンツ２は、図２に示すように、互いに並行して縦方向へ延び、股下域Ｒ２においてパンツ２の横方向内方へ向って弧を画く両側縁部２ａと、互いに並行して横方向へ延びる両端縁部２ｂとを有する。パンツ２では、前後胴周り域Ｒ１，Ｒ３の両側縁部２ａが間欠的に固着され、胴周り開口５と一対の脚周り開口６とが画成されている。パンツ１では、両端縁部２ｂが胴周り開口５の周縁部２ｂを形成し、股下域Ｒ２に延びる両側縁部２ａが脚周り開口６の周縁部２ａを形成する。
【００１３】
胴周り開口５の周縁部２ｂには、胴周り方向へ伸縮する複数条の胴周り用弾性部材３が伸長状態で取り付けられている。胴周り用弾性部材３は、パンツ２の内面に折り返された胴周り開口５の周縁部２ｂに被覆されている。
【００１４】
脚周り開口６の周縁部２ａには、脚周り方向へ伸縮する複数条の脚周り用弾性部材が不織布の間に伸長状態で取り付けられている。脚周り用弾性部材は、前胴周り域Ｒ１の側における脚周り開口６の周縁前部２ａ１に配置された第１弾性部材４ａと、後胴周り域Ｒ３の側における脚周り開口６の周縁後部２ａ３に配置された第２弾性部材４ｂとから形成されている。脚周り開口６の周縁前部２ａ１と周縁後部２ａ３との間における周縁中央部２ａ２には、脚周り用弾性部材が存在しない。
【００１５】
パンツ２では、第１弾性部材４ａの伸長応力が第２弾性部材４ｂのそれよりも高くしてある。パンツ２では、第１弾性部材４ａの伸長応力を第２弾性部材４ｂのそれよりも高くすることで、着用者の脚部の動きによる影響を受け易い周縁前部２ａ１を着用者の大腿部に密着させることができ、周縁前部２ａ１からの排泄物の漏れを防ぐことができる。
【００１６】
パッド７は、略矩形のもので、前部ｒ１と、後部ｒ３と、前後部ｒ１，ｒ３の間に位置する中間部ｒ２とを有する。パッド７は、図２に示すように、互いに並行して縦方向へ延びる両側縁部７ａと、互いに並行して横方向へ延びる両端縁部７ｂとを有する。パッド７では、図２に仮想線で示すように、前部ｒ１がパンツ２の前胴周り域Ｒ１に位置し、中間部ｒ２がパンツ２の股下域Ｒ２に位置し、後部ｒ３がパンツ２の後胴周り域Ｒ３に位置する。パッド７では、裏面シート９の外面がパンツ２の内面に固着されている。
【００１７】
コア１０は、表面シート８と裏面シート９との間に介在し、全体がティッシュペーパー１３に被覆、接合され（図３参照）、ティッシュペーパー１３を介して表面シート８と裏面シート９との少なくとも一方の内面に接合されている。
【００１８】
カフ１１は、コア１０の両側縁部１０ａ近傍を脚周り方向へ延びる固定側部１１ａと、固定側部１１ａに連なって表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部１１ｂと、パッド７の横方向内方へ倒伏された固定両端部１１ｃとを有する。自由側部１１ｂには、脚周り方向へ伸縮する弾性部材１２が伸長状態で取り付けられている。弾性部材１２は、自由側部１１ｂの一部に被覆されている。固定両端部１１ｃは、パッド７の前後部ｒ１，ｒ３に位置する表面シート８の外面に固着されている。
【００１９】
おむつ１では、弾性部材３，４ａ，４ｂ，１２が収縮して胴周り開口５の周縁部２ｂと脚周り開口６の周縁部２ａとカフ１１の自由側部１１ｂとに多数のギャザーが形成されている。おむつ１では、パッド７が表面シート８を内側にして縦方向へ湾曲し、弾性部材１２の収縮によってカフ１１の自由側部１１ｂが表面シート８の上方へ起立している。
【００２０】
図３，４は、図１のＡ−Ａ線端面図と、図１のＢ−Ｂ線断面図とである。カフ１１は、固定側部１１ａが表面シート８と裏面シート９との間に介在し、それらシート８，９の内面に固着されている。パッド７の中間部ｒ２では、自由側部１１ｂがコア１０の両側縁部１０ａの内方へ向って延び、自由側部１１ｂの略中央が折曲されて自由側部１１ｂがコア１０の両側縁部１０ａの外方へ向って折り返されている。自由側部１１ｂは、折曲部分１１ｄ近傍がコア１０の上部における表面シート８の外面に固着されている。
【００２１】
自由側部１１ｂでは、折曲部分１１ｄから上端までの寸法Ｌ１が１０〜５０ｍｍの範囲にあることが好ましい。寸法Ｌ１が１０ｍｍ未満では、自由側部１１ｂが起立したとしてもその高さが不十分でカフの排泄物に対する防漏機能が低下し、股下域Ｒ２から排泄物が漏れ易くなってしまう。寸法Ｌ１が５０ｍｍを超過する場合では、脚周り開口６に着用者が両脚を通すときに、脚がカフ１１の自由側部１１ｂに引っ掛り易くなってしまう。
【００２２】
パッド７では、カフ１１の自由側部１１ｂが起立して障壁を形成するので、パッド７の両側縁部７ａからの排泄物の漏れを防止することができる。パッド７では、自由側部１１ｂの折曲部分１１ｄから固定側部１１ａへ延びるカフ１１の部分と表面シート８との間に空洞１４が形成され、排泄物が空洞１４の内部においても排泄物を吸収することができ、パッド７の上面全域を有効に利用することができる。
【００２３】
おむつ１では、脚周り開口６における周縁中央部２ａ２に脚周り用弾性部材が存在せず、脚周り開口６の周縁部２ａ全周が収縮することはない。また、おむつ１では、カフ１１の自由側部１１ｂの起立寸法Ｌ１が上記範囲にあるので、股下域Ｒ２において自由側部１１ｂが高い障壁を形成することはない。おむつ１では、その非着用時に、第１および第２弾性部材４ａ，４ｂが収縮し、カフ１１の自由側部１１ｂが起立したとしても、脚周り開口６が狭くなることはなく、脚周り開口６に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域Ｒ２に延びるカフ１１の自由側部１１ｂに引っ掛ってしまうことを防ぐことができる。
【００２４】
パンツ２は、疎水性の不織布から形成されていることが好ましい。パンツ２には、伸縮性の不織布、疎水性不織布とプラスチックフィルムとをラミネートした複合シートを使用することもできる。
【００２５】
表面シート８には、不織布や開孔プラスチックフィルム等の透液性のシート、好ましくは、透液性であって親水性のシートを使用することができる。裏面シート９には、疎水性不織布や不透液性のプラスチックフィルム、または、疎水性不織布とプラスチックフィルムとをラミネートした複合シート、好ましくは、通気不透液性のシートを使用することができる。カフ１１には、疎水性不織布を使用することができる。また、裏面シート９とカフ１１とには、高い耐水性を有するメルトブローン法による不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【００２６】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサドバイサイド型複合繊維を使用することができる。
【００２７】
コア１０は、粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００２８】
パンツ２における不織布の固着、表裏面シート８，９どうしの固着、表裏面シート８，９に対する防漏カフ１１やコア１０の接合、カフ１１に対する弾性部材１２の取り付けには、ホットメルト系接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を使用することができる。
【００２９】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨ておむつは、脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁前部に配置された第１弾性部材と、脚周り開口の周縁後部に配置された第２弾性部材とから形成され、脚周り開口における周縁中央部に脚周り用弾性部材が存在しないので、脚周り用弾性部材によって脚周り開口の周縁部全周が収縮することはない。また、このおむつでは、カフの自由側部が折曲部分においてコアの上部における表面シートに固着され、起立したカフの自由側部が股下域において高い障壁を形成することはない。ゆえに、このおむつでは、従来技術のそれと比較して脚周り開口が狭くなることはなく、脚周り開口に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域に延びるカフの自由側部に引っ掛ることを防ぐことができ、おむつを円滑に着用することができる。更に、パッドでは、自由側部の折曲部分から固定側部へ延びるカフの部分と表面シートとの間に空洞が形成されているので、排泄物が空洞の内部においても排泄物を吸収することができ、パッドの上面全域を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 一例として示す使い捨ておむつの部分破断斜視図。
【図２】 パンツとパッドとを分離して示すおむつの平面図。
【図３】 図１のＡ−Ａ線端面図。
【図４】 図１のＢ−Ｂ線端面図。
【符号の説明】
１ パンツ型の使い捨ておむつ
２ａ 周縁部
２ａ１ 周縁前部
２ａ２ 周縁中央部
２ａ３ 周縁後部
４ａ 第１弾性部材
４ｂ 第２弾性部材
５ 胴周り開口
６ 脚周り開口
８ 透液性表面シート
９ 不透液性裏面シート
１０ 吸液性コア
１０ａ 両側縁部
１１ 防漏カフ
１１ａ 固定側部
１１ｂ 自由側部
１１ｃ 固定両端部
１１ｄ 折曲部分
１２ 第３弾性部材
Ｒ１ 前胴周り域
Ｒ２ 股下域
Ｒ３ 後胴周り域
【発明の属する技術分野】
本発明は、排泄物を吸収、保持するパンツ型の使い捨ておむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−２４０６３号公報は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、それらシートの間に介在する吸液性コアとから構成され、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前後胴周り域が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されたパンツ型の使い捨ておむつを開示している。このおむつでは、脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁部に伸長状態で取り付けられ、脚周り方向へ延びる防漏カフがコアの両側縁部近傍に配置されている。
【０００３】
このおむつでは、防漏カフが内側カフと外側カフとから形成されている。それらカフは、固定側部と、表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部と、おむつの内方へ倒伏された固定両端部とを有する。それらカフでは、固定側部がコアの両側縁部近傍に位置する表面シートに固着され、固定両端部が前後胴周り域に位置する表面シートに固着されている。カフの自由側部には、脚周り方向へ伸縮する弾性部材が伸長状態で取り付けられている。股下域では、外側カフの自由側部がコアの内方へ向って延び、自由縁部の略中央が折曲されて自由縁部がコアの両側縁部の外方へ向って折り返されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
同号公報に開示のおむつでは、それを着用するときに、着用者がその両脚を脚周り開口に通し、おむつを着用者の腰部に引き上げる。このおむつでは、脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁部全周に延び、かつ、コアの外側へ折り返された外側カフの折曲部分がおむつに固着されておらず、股下域において起立した外側カフの自由側部が高い障壁を形成する。このおむつでは、脚周り用弾性部材の収縮と外側カフの自由側部の起立とによって脚周り開口が狭くなり、脚周り開口に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域に延びる外側カフの自由側部に引っ掛り易く、着用に手間取る場合がある。
【０００５】
本発明の課題は、着用者の脚が防漏カフの自由側部に引っ掛り難く、円滑に着用することができるパンツ型の使い捨ておむつを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の前提は、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成されており、脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が、前記脚周り開口の周縁部に伸長状態で取り付けられ、前記脚周り方向へ延びる実質的に不透液性の防漏カフが、前記コアの両側縁部近傍に取り付けられたパンツ型の使い捨ておむつである。
【０００７】
かかる前提において、本発明の特徴は、前記脚周り用弾性部材が、前記前胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁前部を前記脚周り方向へ延びる第１弾性部材と、前記後胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁後部を前記脚周り方向へ延びる第２弾性部材とから形成され、前記周縁前部と前記周縁後部との間における前記脚周り開口の周縁中央部に存在せず、前記防漏カフが、前記コアの両側縁部を前記脚周り方向へ延びる固定側部と、前記脚周り方向へ伸縮する第３弾性部材が伸長状態で取り付けられて前記表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部と、前記おむつの内方へ倒伏された状態で前記前後胴周り域に位置する前記表面シートに重なる固定両端部とを有し、前記股下域では、前記自由側部が前記コアの両側縁部の内方へ向って延び、かつ、前記自由側部の略中央が折曲されて該自由側部が前記コアの両側縁部の外方へ向って折り返され、前記自由側部の折曲部分が前記コアの上部における前記表面シートに固着され、前記折曲部分から前記固定側部へ延びる前記カフの部分と前記表面シートとの間に空洞が形成されていることにある。
【０００８】
本発明の実施の態様の一例としては、前記第１弾性部材の伸長応力が、前記第２弾性部材のそれよりも高い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、本発明にかかるパンツ型の使い捨ておむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【００１０】
図１，２は、一例として示す使い捨ておむつ１の部分破断斜視図と、前後胴周り域Ｒ１，Ｒ３の連結を解除しておむつ１を縦方向へ展開し、さらにパンツ２とパッド７とを分離して示すおむつ１の平面図とである。図１では、脚周り方向を矢印Ｘ１で示し、胴周り方向を矢印Ｙ１で示す。図２では、縦方向を矢印Ｘ２で示し、横方向を矢印Ｙ２で示す。なお、パンツ２や表裏面シートにおける内面とは、コアに対向する面をいい、外面とは、コアに非対向の面をいう。
【００１１】
おむつ１は、パンツ２と、パンツ２の内面に取り付けられた吸液性パッド７とから構成されている。パンツ２は、対向面が間欠的に固着された重なり合う２枚の不織布から形成されている。パッド７は、透液性表面シート８と、不透液性裏面シート９と、吸液性コア１０と、実質的に不透液性の防漏カフ１１とから形成されている。
【００１２】
パンツ２は、互いに対向する前胴周り域Ｒ１および後胴周り域Ｒ３と、それら胴周り域Ｒ１，Ｒ３の間に位置する股下域Ｒ２とを有する。パンツ２は、図２に示すように、互いに並行して縦方向へ延び、股下域Ｒ２においてパンツ２の横方向内方へ向って弧を画く両側縁部２ａと、互いに並行して横方向へ延びる両端縁部２ｂとを有する。パンツ２では、前後胴周り域Ｒ１，Ｒ３の両側縁部２ａが間欠的に固着され、胴周り開口５と一対の脚周り開口６とが画成されている。パンツ１では、両端縁部２ｂが胴周り開口５の周縁部２ｂを形成し、股下域Ｒ２に延びる両側縁部２ａが脚周り開口６の周縁部２ａを形成する。
【００１３】
胴周り開口５の周縁部２ｂには、胴周り方向へ伸縮する複数条の胴周り用弾性部材３が伸長状態で取り付けられている。胴周り用弾性部材３は、パンツ２の内面に折り返された胴周り開口５の周縁部２ｂに被覆されている。
【００１４】
脚周り開口６の周縁部２ａには、脚周り方向へ伸縮する複数条の脚周り用弾性部材が不織布の間に伸長状態で取り付けられている。脚周り用弾性部材は、前胴周り域Ｒ１の側における脚周り開口６の周縁前部２ａ１に配置された第１弾性部材４ａと、後胴周り域Ｒ３の側における脚周り開口６の周縁後部２ａ３に配置された第２弾性部材４ｂとから形成されている。脚周り開口６の周縁前部２ａ１と周縁後部２ａ３との間における周縁中央部２ａ２には、脚周り用弾性部材が存在しない。
【００１５】
パンツ２では、第１弾性部材４ａの伸長応力が第２弾性部材４ｂのそれよりも高くしてある。パンツ２では、第１弾性部材４ａの伸長応力を第２弾性部材４ｂのそれよりも高くすることで、着用者の脚部の動きによる影響を受け易い周縁前部２ａ１を着用者の大腿部に密着させることができ、周縁前部２ａ１からの排泄物の漏れを防ぐことができる。
【００１６】
パッド７は、略矩形のもので、前部ｒ１と、後部ｒ３と、前後部ｒ１，ｒ３の間に位置する中間部ｒ２とを有する。パッド７は、図２に示すように、互いに並行して縦方向へ延びる両側縁部７ａと、互いに並行して横方向へ延びる両端縁部７ｂとを有する。パッド７では、図２に仮想線で示すように、前部ｒ１がパンツ２の前胴周り域Ｒ１に位置し、中間部ｒ２がパンツ２の股下域Ｒ２に位置し、後部ｒ３がパンツ２の後胴周り域Ｒ３に位置する。パッド７では、裏面シート９の外面がパンツ２の内面に固着されている。
【００１７】
コア１０は、表面シート８と裏面シート９との間に介在し、全体がティッシュペーパー１３に被覆、接合され（図３参照）、ティッシュペーパー１３を介して表面シート８と裏面シート９との少なくとも一方の内面に接合されている。
【００１８】
カフ１１は、コア１０の両側縁部１０ａ近傍を脚周り方向へ延びる固定側部１１ａと、固定側部１１ａに連なって表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部１１ｂと、パッド７の横方向内方へ倒伏された固定両端部１１ｃとを有する。自由側部１１ｂには、脚周り方向へ伸縮する弾性部材１２が伸長状態で取り付けられている。弾性部材１２は、自由側部１１ｂの一部に被覆されている。固定両端部１１ｃは、パッド７の前後部ｒ１，ｒ３に位置する表面シート８の外面に固着されている。
【００１９】
おむつ１では、弾性部材３，４ａ，４ｂ，１２が収縮して胴周り開口５の周縁部２ｂと脚周り開口６の周縁部２ａとカフ１１の自由側部１１ｂとに多数のギャザーが形成されている。おむつ１では、パッド７が表面シート８を内側にして縦方向へ湾曲し、弾性部材１２の収縮によってカフ１１の自由側部１１ｂが表面シート８の上方へ起立している。
【００２０】
図３，４は、図１のＡ−Ａ線端面図と、図１のＢ−Ｂ線断面図とである。カフ１１は、固定側部１１ａが表面シート８と裏面シート９との間に介在し、それらシート８，９の内面に固着されている。パッド７の中間部ｒ２では、自由側部１１ｂがコア１０の両側縁部１０ａの内方へ向って延び、自由側部１１ｂの略中央が折曲されて自由側部１１ｂがコア１０の両側縁部１０ａの外方へ向って折り返されている。自由側部１１ｂは、折曲部分１１ｄ近傍がコア１０の上部における表面シート８の外面に固着されている。
【００２１】
自由側部１１ｂでは、折曲部分１１ｄから上端までの寸法Ｌ１が１０〜５０ｍｍの範囲にあることが好ましい。寸法Ｌ１が１０ｍｍ未満では、自由側部１１ｂが起立したとしてもその高さが不十分でカフの排泄物に対する防漏機能が低下し、股下域Ｒ２から排泄物が漏れ易くなってしまう。寸法Ｌ１が５０ｍｍを超過する場合では、脚周り開口６に着用者が両脚を通すときに、脚がカフ１１の自由側部１１ｂに引っ掛り易くなってしまう。
【００２２】
パッド７では、カフ１１の自由側部１１ｂが起立して障壁を形成するので、パッド７の両側縁部７ａからの排泄物の漏れを防止することができる。パッド７では、自由側部１１ｂの折曲部分１１ｄから固定側部１１ａへ延びるカフ１１の部分と表面シート８との間に空洞１４が形成され、排泄物が空洞１４の内部においても排泄物を吸収することができ、パッド７の上面全域を有効に利用することができる。
【００２３】
おむつ１では、脚周り開口６における周縁中央部２ａ２に脚周り用弾性部材が存在せず、脚周り開口６の周縁部２ａ全周が収縮することはない。また、おむつ１では、カフ１１の自由側部１１ｂの起立寸法Ｌ１が上記範囲にあるので、股下域Ｒ２において自由側部１１ｂが高い障壁を形成することはない。おむつ１では、その非着用時に、第１および第２弾性部材４ａ，４ｂが収縮し、カフ１１の自由側部１１ｂが起立したとしても、脚周り開口６が狭くなることはなく、脚周り開口６に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域Ｒ２に延びるカフ１１の自由側部１１ｂに引っ掛ってしまうことを防ぐことができる。
【００２４】
パンツ２は、疎水性の不織布から形成されていることが好ましい。パンツ２には、伸縮性の不織布、疎水性不織布とプラスチックフィルムとをラミネートした複合シートを使用することもできる。
【００２５】
表面シート８には、不織布や開孔プラスチックフィルム等の透液性のシート、好ましくは、透液性であって親水性のシートを使用することができる。裏面シート９には、疎水性不織布や不透液性のプラスチックフィルム、または、疎水性不織布とプラスチックフィルムとをラミネートした複合シート、好ましくは、通気不透液性のシートを使用することができる。カフ１１には、疎水性不織布を使用することができる。また、裏面シート９とカフ１１とには、高い耐水性を有するメルトブローン法による不織布を、高い強度を有しかつ柔軟性に富んだスパンボンド法による不織布で挟んだ複合不織布を使用することもできる。
【００２６】
不織布としては、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、スパンポンド、ケミカルボンド、エアースルー、の各製法により製造されたものを使用することができる。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、の各繊維、ポリエチレン／ポリプロピレンまたはポリエステルからなる芯鞘型複合繊維またはサドバイサイド型複合繊維を使用することができる。
【００２７】
コア１０は、粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物であり、所要の厚みに圧縮されている。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【００２８】
パンツ２における不織布の固着、表裏面シート８，９どうしの固着、表裏面シート８，９に対する防漏カフ１１やコア１０の接合、カフ１１に対する弾性部材１２の取り付けには、ホットメルト系接着剤、または、ヒートシールやソニックシール等の熱による溶着手段を使用することができる。
【００２９】
【発明の効果】
本発明にかかる使い捨ておむつは、脚周り用弾性部材が脚周り開口の周縁前部に配置された第１弾性部材と、脚周り開口の周縁後部に配置された第２弾性部材とから形成され、脚周り開口における周縁中央部に脚周り用弾性部材が存在しないので、脚周り用弾性部材によって脚周り開口の周縁部全周が収縮することはない。また、このおむつでは、カフの自由側部が折曲部分においてコアの上部における表面シートに固着され、起立したカフの自由側部が股下域において高い障壁を形成することはない。ゆえに、このおむつでは、従来技術のそれと比較して脚周り開口が狭くなることはなく、脚周り開口に着用者が両脚を通すときに、脚が股下域に延びるカフの自由側部に引っ掛ることを防ぐことができ、おむつを円滑に着用することができる。更に、パッドでは、自由側部の折曲部分から固定側部へ延びるカフの部分と表面シートとの間に空洞が形成されているので、排泄物が空洞の内部においても排泄物を吸収することができ、パッドの上面全域を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 一例として示す使い捨ておむつの部分破断斜視図。
【図２】 パンツとパッドとを分離して示すおむつの平面図。
【図３】 図１のＡ−Ａ線端面図。
【図４】 図１のＢ−Ｂ線端面図。
【符号の説明】
１ パンツ型の使い捨ておむつ
２ａ 周縁部
２ａ１ 周縁前部
２ａ２ 周縁中央部
２ａ３ 周縁後部
４ａ 第１弾性部材
４ｂ 第２弾性部材
５ 胴周り開口
６ 脚周り開口
８ 透液性表面シート
９ 不透液性裏面シート
１０ 吸液性コア
１０ａ 両側縁部
１１ 防漏カフ
１１ａ 固定側部
１１ｂ 自由側部
１１ｃ 固定両端部
１１ｄ 折曲部分
１２ 第３弾性部材
Ｒ１ 前胴周り域
Ｒ２ 股下域
Ｒ３ 後胴周り域
Claims (2)
- 透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、互いに対向する前胴周り域および後胴周り域とそれら胴周り域の間に位置する股下域とを備え、前記前後胴周り域が連結されて胴周り開口と一対の脚周り開口とが画成され、脚周り方向へ伸縮する脚周り用弾性部材が、前記脚周り開口の周縁部に伸長状態で取り付けられ、前記脚周り方向へ延びる実質的に不透液性の防漏カフが、前記コアの両側縁部近傍に配置されたパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記脚周り用弾性部材が、前記前胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁前部を前記脚周り方向へ延びる第１弾性部材と、前記後胴周り域の側における前記脚周り開口の周縁後部を前記脚周り方向へ延びる第２弾性部材とから形成され、前記周縁前部と前記周縁後部との間における前記脚周り開口の周縁中央部に存在せず、
前記防漏カフが、前記コアの両側縁部を前記脚周り方向へ延びる固定側部と、前記脚周り方向へ伸縮する第３弾性部材が伸長状態で取り付けられて前記表面シートの上方へ起立性向を有する自由側部と、前記おむつの内方へ倒伏された状態で前記前後胴周り域に位置する前記表面シートに重なる固定両端部とを有し、
前記股下域では、前記自由側部が前記コアの両側縁部の内方へ向って延び、かつ、前記自由側部の略中央が折曲されて該自由側部が前記コアの両側縁部の外方へ向って折り返され、前記自由側部の折曲部分が前記コアの上部における前記表面シートに固着され、前記折曲部分から前記固定側部へ延びる前記カフの部分と前記表面シートとの間に空洞が形成されていることを特徴とする前記おむつ。 - 前記第１弾性部材の伸長応力が、前記第２弾性部材のそれよりも高い請求項１記載のおむつ。
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