JP3733148B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両におけるサスペンション装置等の制振装置への利用に適する油圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
例えば、車両の車軸と車体との間に配在されて車両におけるサスペンション装置を構成する油圧緩衝器は、走行中の車両において、路面からの振動を車体に伝達させないように構成されると共に、不必要な車体の揺れを防止するように構成される。
【0003】
特に、近年の油圧緩衝器は、運転者が操縦に専心できるように、所謂自動的に発生減衰力を高低調整し得る構成とされることが多く、一般的には、車体に配設の各種センサからの検出値に基づいて作動するコントローラによって発生減衰力が高低調整される等のように構成されている。
【0004】
この場合に、油圧緩衝器にあっては、例えば、減衰力発生部にコントロールバルブを有していて、該コントロールバルブがアクチュエータの駆動で所定の作動をし、減衰力発生部で発生される減衰力を高低、即ち、ハードあるいはソフトに変更調整する等のように構成されている。
【0005】
それ故、上記した近年汎用の油圧緩衝器にあっては、該油圧緩衝器自体の構成が複雑になり易く、従って、部品点数や組立工程数の増加で油圧緩衝器自体にコスト高を招来し易くなる不具合がある。
【0006】
また、このような油圧緩衝器をサスペンション装置に利用する場合には、センサやコントローラの配設が必須になり、装置全体としてのコスト上昇化が招来され易くなる不都合もある。
【0007】
この発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、所謂自動的に所定の減衰力調整をなし得るのは勿論のこと、それ自体のコスト高を招来せず、しかも、サスペンション装置として利用する場合にも装置全体としてのコスト上昇化を招来しないようにするに最適となる油圧緩衝器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、車軸側部材に設定されたシリンダ体内にピストンを介して車体側部材に設定されたロッド体を出没自在に挿入し、上記ピストンはシリンダ体にロッド側室とピストン側室とを区画し、ロッド側室とピストン側室とはピストンに配設した伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとを介して連通すると共に、伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとをそれぞれ迂回する伸側バイパス路と圧側バイパス路とを介して連通している油圧緩衝器において、伸側バイパス路の下流側端に伸側サブバルブを配設し、圧側バイパス路の上流側端に圧側サブバルブを配設し、上記伸側バイパス路の上流側端と上記圧側バイパス路の下流側端をロッド体に上下二段に開穿した各横孔を介してそれぞれロッド側室に連通させ、更にロッド側室におけるロッド体の外周に上下に配設したスプリングの介在下にスプールを摺動可能に挿入し、シリンダ体が上下動してもロッド体とスプールとが静止状態にある時は上記スプールが上記各横孔を開口し、ロッド体が振動してスプールが共振し、且つ当該スプールが下降した時伸側バイパス路に連通する横孔を遮断すると共に上昇した時圧側バイパス路に連通する横孔を遮断するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
そして、好ましくは、スプールと上下一対のスプリングとで構成される固有振動数は、おおむね、車体と懸架バネとで構成される固有振動数(1〜2Hz)付近に設定されるとする。
【0010】
【作用】
それ故、車体側部材とされるロッド体が静止状態にあるとき、仮に、車軸側部材たるシリンダ体が路面振動で上下動されても、ロッド体に介装のスプールは、ロッド体の外周で静止状態におかれる。
【0011】
もっとも、このとき、相対的には、シリンダ体内でピストンが摺動する状態になり、ロッド側室とピストン側室とは、伸側減衰バルブ及び圧側減衰バルブを介して連通される一方で、伸側バイパス路及び圧側バイパス路を介してであるが、伸側サブバルブ及び圧側サブバルブを介しても連通される。
【0012】
従って、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力は、低い、即ち、ソフトな減衰力になる。
【0013】
これに対して、車体側部材たるロッド体が振動で上下動されるとき、ロッド体に介装のスプールは、その慣性によってロッド側室におけるロッド体の外周で摺動状態におかれる。
【0014】
そして、ロッド体の振動時にスプールが共振し、しかもこの共振によってスプールがロッド体の外周で下降した状態になるとき、ロッド側室におけるロッド体の外周に開口する伸側バイパス路の上流側端が閉口状態になり、伸側バイパス路が閉塞される。
【0015】
その結果、伸側バイパス路の閉塞で伸側サブバルブを介してのロッド側室のピストン側室への連通が遮断され、伸側減衰バルブを介してのみロッド側室のピストン側室への連通が許容される。
【0016】
また、共振によってスプールがロッド体の外周で上昇した状態になるとき、ロッド側室におけるロッド体の外周に開口する圧側バイパス路の下流側端が閉口状態になり、圧側バイパス路が閉塞される。
【0017】
その結果、圧側バイパス路の閉塞で圧側サブバルブを介してのピストン側室のロッド側室への連通が遮断され、圧側減衰バルブを介してのみピストン側室のロッド側室への連通が許容される。
【0018】
従って、ロッド体に介装のスプールの共振でバイパス路が閉塞状態におかれる場合には、ロッド側室とピストン側室との連通が伸側減衰バルブあるいは圧側減衰バルブを介してのみ実現されることになり、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力が高い、即ち、ハードな減衰力になる。
【0019】
そして、スプールが一方のバイパス路を閉塞するときには他方のバイパス路を連通状態にすることから、伸側減衰力がハードになるときは圧側減衰力がソフトになり、圧側減衰力がハードになるときには伸側減衰力がソフトになる。
【0020】
【実施例】
以下、図示したところに基づいてこの発明を説明するが、この発明の一実施例に係る油圧緩衝器も、基本的には、所謂従来の油圧緩衝器と同様に構成されているとし、それ故、以下には、この発明の要部となるところ中心に説明し、その他の構成については、必要に応じて説明することにする。
【0021】
即ち、図1に示すように、この発明の一実施例に係る油圧緩衝器は、シリンダ体1に対して出没されるロッド体2の先端に連設のピストン3によって、シリンダ体1内にロッド側室Aとピストン側室Bとを区画している。
【0022】
そして、ロッド側室Aとピストン側室Bは、ピストン3に配設の伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5を介して相互に連通可能とされている一方で、伸側減衰バルブ4を迂回する伸側バイパス路の下流側端に配在の伸側サブバルブ6及び圧側減衰バルブ5を迂回する圧側バイパス路の上流側端に配在の圧側サブバルブ7を介しても相互に連通可能とされている。
【0023】
シリンダ体1は、この実施例にあって、車軸側部材に設定されているもので、例えば、単筒構造の油圧緩衝器におけるシリンダ、あるいは、複筒構造の油圧緩衝器における内筒、を構成する。
【0024】
そして、ロッド体2は、この実施例にあって、車体側部材に設定されており、例えば、上記シリンダ、あるいは、上記内筒に対して出没されるピストンロッドを構成する。
【0025】
尚、図示しないが、シリンダ体1の上端内部は、ロッド体2を軸封構造に挿通させるように構成され、ロッド体2との間に必要なシール部材等も有する。
【0026】
また、同じく図示しないが、ピストン側室Bは、背後にガス室を区画するフリーピストンを有していたり、内筒の外周側に配在の外筒との間に区画されるリザーバ室にベースバルブ部を介して連通されていたりする。
【0027】
伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5は、この実施例にあって、それぞれ環状のリーフバルブからなり、伸側減衰バルブ4は、ピストン3に開穿の伸側ポート3aの図中で下端となる下流側端を、また、圧側減衰バルブ5は、ピストン3に開穿の圧側ポート3bの図中で上端となる下流側端を、それぞれ開閉可能に閉塞するように、即ち、内周端固定で外周端自由となるように配在されている。
【0028】
尚、伸側減衰バルブ4の背後側には、後述する伸側サブバルブ6のバルブストッパを兼ねるバルブストッパ4aが間座4bの介在下に配在され、圧側減衰バルブ5の背後側には、後述する振動体機構20を構成するガイド部材を兼ねるバルブストッパ5aが間座5bの介在下に配在されている。
【0029】
伸側サブバルブ6及び圧側サブバルブ7も、この実施例にあっては、それぞれ環状のリーフバルブからなり、上記した伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5と同様に、それぞれ内周端固定で外周端自由の形態に配在されている。
【0030】
ところで、伸側サブバルブ6をその下流側端に配在させる伸側バイパス路及び圧側サブバルブ7をその上流側端に配在させる圧側バイパス路は、この実施例にあって、ロッド体2の先端インロー部2aの近傍たる近傍部2bから該ロッド体2の先端螺条部2cに螺装されるピストンナット8との間に亙って形成されている。
【0031】
即ち、ロッド体2は、その近傍部2bから先端インロー部2aにかけての軸芯部に開穿されその下端がピストン側室B側に開口する縦孔2dを有してなる一方で、その近傍部2bに縦孔2dに連通すると共にロッド側室Aに連通するように上下二段に開穿された横孔2e,2fを有してなる。
【0032】
因に、横孔2eと横孔2fとの間に形成される間隔は、後述する振動体機構20における構成から適宜に設定されるが、このことについては、後述する。
【0033】
上記に対して、ピストンナット8は、この実施例において所謂有頭円筒状に形成されてなるとするもので、これがその頭部たる上端部8aを介してロッド体2の先端螺条部2cに螺装されるとき、その内空部8bに上記縦孔2dの下端を開口させるとしている。
【0034】
そして、該ピストンナット8は、その上端部8aに伸側ポート8cを有してなり、該伸側ポート8cの図中で上端となるその下流側端に伸側サブバルブ6を開閉可能に隣接させている。
【0035】
尚、伸側サブバルブ6の背後側には、前記伸側減衰バルブ4のバルブストッパ4aが間座6aの介在下に配在されている。
【0036】
一方、該ピストンナット8は、その下端部8dの内部に圧側サブバルブ7を配在させている。
【0037】
即ち、該ピストンナット8の下端部8dの内周には、そこを閉塞して内空部8bとピストン側室Bとの連通を遮断するように、バルブディスク9がカシメ固着されており、該バルブディスク9に開穿の圧側ポート9aの図中で上端となるその下流側端に圧側サブバルブ7を開閉可能に隣接させている。
【0038】
そして、該圧側サブバルブ7背後側には、バルブストッパ7aが間座7bの介在下に配在されている。
【0039】
尚、圧側サブバルブ7,バルブストッパ7a及び間座7bは、バルブディスク9の軸芯部に挿通された固定ピン10の外周に介装されており、かつ、固定ピン10の下端のカシメ加工によってバルブディスク9に一体化され、所謂ブロック化されている。
【0040】
ところで、上記ピストンナット8内、即ち、内空部8b内及び前記ロッド体2に開穿の縦孔2d内は、この実施例にあって、隔壁部材11で所謂伸側と圧側に区画されている。
【0041】
即ち、隔壁部材11は、基本的には、内空部8bを上下に区画するフランジ部11aと、該フランジ部11aの軸芯部に連設されロッド体2に開穿の縦孔2d内に臨在される筒状部11bと、該筒状部11bの上端外周に形成された膨出部11cと、を有してなる。
【0042】
そして、フランジ部11aの中央に筒状部11bの下端が開口し、筒状部11bの上端が縦孔2dの上端部に開口し、筒状部11bの外周が縦孔2dの内周との間に適宜の隙間を有し、かつ、膨出部11cの外周が縦孔2dの内周に液密状態に隣接されるとしている。
【0043】
尚、膨出部11cの外周は、ロッド体2に上下二段に開穿された前記横孔2e,2fが縦孔2dの内周に開口している状態のその間に形成されるストローク部分の内周に隣接されるとしている。
【0044】
従って、隔壁部材11におけるフランジ部11aによって、ピストンナット8内の内空部8bが、伸側サブバルブ6に連通する伸側と、圧側サブバルブ7に連通する圧側と、に区画される。
【0045】
また、隔壁部材11における筒状部11bによって、ロッド体2の縦孔2d内が、伸側サブバルブ6に連通する伸側と、圧側サブバルブ7に連通する圧側と、に区画される。
【0046】
尚、隔壁部材11は、そのフランジ部11aの外周端がピストンナット8の下端側の内周に形成の段差部8eと、前記バルブディスク9の外周端にその下端が係止された筒状スペーサ12と、の間に挟持されている。
【0047】
その結果、この実施例にあっては、ロッド側室Aがロッド体2に開穿の上段の横孔2e,筒状部11bの内周側及びフランジ部11aの下方側で形成される圧側バイパス路を介して圧側サブバルブ7の下流側と連通すると共に、ロッド体2に開穿の下段の横孔2f,筒状部11bの外周側及びフランジ部11aの上方側で形成される伸側バイパス路を介してを伸側サブバルブ6の上流側と連通することになる。
【0048】
一方、振動体機構20は、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に摺動可能に介装されたスプール21を有してなるもので、該スプール21は、その上下に配設され互いにスプール21を前進方向に附勢する一対のスプリング22,23に挟持されている。
【0049】
尚、該振動体機構20における振動体、即ち、スプール21と上下一対のスプリング22,23とで構成される振動体の固有振動数は、おおむね、車体と懸架バネ(図示せず)とで構成される振動体の固有振動数(1〜2Hz)付近に設定される。
【0050】
それ故、該振動体機構20にあっては、スプール21は、その静止時に伸側バイパス路の上流側端、即ち、前記横孔2fを開口状態におき、圧側バイパス路の下流側端、即ち、前記横孔2eを開口状態におくことになる。
【0051】
そして、スプール21は、その最上昇時に圧側バイパス路の下流側端、即ち、前記横孔2eを閉口状態におき、その最下降時に伸側バイパス路の上流側端、即ち、前記横孔2fを閉口状態におくことになる。
【0052】
ところで、スプール21は、その内周面に形成されその静止時に上記横孔2fに対向する環状溝21aを有してなると共に、その外周側に開穿され環状溝21aとロッド側室Aとを連通させる連通孔21bを有してなる。
【0053】
そして、該スプール21は、上記環状溝21aが形成されることで、その上端側の内周面に残存される所謂ランド部21cが、上記横孔2eと横孔2fとの間に形成される間隔分に一致するように設定されている。
【0054】
因に、スプール21は、有底筒状に形成されたガイド部材、即ち、前記バルブストッパ5a内にその下端側の外周が摺接する状態に収装されているもので、該バルブストッパ5aとの間にダンピング室24を形成するとしている。
【0055】
そして、該ダンピング室24は、バルブストッパ5aにおける底部に開穿のオリフィス25を介してロッド側室Aに連通されている。
【0056】
尚、スプール21に上方側から隣接されるスプリング22は、その上端がロッド体2の外周に配設されたクッション部材13の下端に隣接のバネ受14に係止され、スプール21に下方側から隣接されるスプリング23の下端が上記バルブストッパ5aの内底部に係止されるとしている。
【0057】
以上のように形成されたこの実施例に係る油圧緩衝器にあっては、車体側部材とされるロッド体2が静止状態にあるとき、仮に、車軸側部材たるシリンダ体1が路面振動で上下動されても、ロッド体2に介装のスプール21は、ロッド体2の外周で静止状態におかれる。
【0058】
このとき、相対的には、シリンダ体1内でピストン3が摺動する状態になり、ロッド側室Aとピストン側室Bとが伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5を介して連通される一方で、伸側バイパス路及び圧側バイパス路を介してであるが、伸側サブバルブ6及び圧側サブバルブ7を介しても連通される。
【0059】
従って、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力は、低い、即ち、ソフトな減衰力になる。
【0060】
これに対して、車体側部材たるロッド体2が振動で上下動されるとき、ロッド体2に介装のスプール21は、その慣性によってロッド側室Aにおけるロッド体2の外周で摺動状態におかれる。
【0061】
そして、ロッド体2の振動時にスプール21が共振し、しかもこの共振によってスプール21がロッド体2の外周で下降した状態になるとき、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に開口する伸側バイパス路の上流側端、即ち、ロッド体2に開穿の横孔2fの開口がスプール21によって閉口状態にされ、従って、伸側バイパス路が閉塞された状態になる。
【0062】
その結果、伸側バイパス路の閉塞で伸側サブバルブ6を介してのロッド側室Aのピストン側室Bへの連通が遮断され、伸側減衰バルブ4を介してのみロッド側室Aのピストン側室Bへの連通が許容されることになり、従って、このとき伸側減衰力が高く、即ち、ハードになる。
【0063】
また、共振によってスプール21がロッド体2の外周で上昇した状態になるとき、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に開口する圧側バイパス路の下流側端、即ち、ロッド体2に開穿の横孔2eの開口がスプール21によって閉口状態にされ、従って、圧側バイパス路が閉塞された状態になる。
【0064】
その結果、圧側バイパス路の閉塞で圧側サブバルブ7を介してのピストン側室Bのロッド側室Aへの連通が遮断され、圧側減衰バルブ5を介してのみピストン側室Bのロッド側室Aへの連通が許容されることになり、従って、このとき圧側減衰力が高く、即ち、ハードになる。
【0065】
以上のように、この実施例にあっては、スプール21がバイパス路を閉塞するときには発生減衰力がハードになり、スプール21がバイパス路を開口するときは発生減衰力がソフトになる。
【0066】
従って、この限りにおいては、図示しないが、ロッド体2に形成される横孔が一つとされると共に、隔壁部材11の配設が省略され、かつ、スプール21の静止時に横孔とロッド側室とが連通される形態とすることでも、バイパス路の閉塞時に発生減衰力をハードにし、バイパス路の開口時に発生減衰力をソフトにすることが可能になる。
【0067】
ただ、そのように設定する場合には、一方側の減衰力がハードになるときには他方側の減衰力もハードになり、一方側の減衰力がソフトになるときには他方側の減衰力もソフトになり、この発明の実施例の場合のように、いずれか一方側の減衰力がハードとされるとき、他方側の減衰力がソフトにされるように設定することが不可能になる。
【0068】
その結果、この実施例による場合には、一方側の減衰力をハードにするとき反対側の減衰力がソフトになることから、ばね上の振動を抑えるためにハードな減衰力になっているときに、路面からの入力でロッド体2側たるピストン3とシリンダ体1との相対的な動きの方向が逆転して、却ってばね上の振動を増長する事態となるときに、ソフトな減衰力の発生状態になって、路面からの入力の車体への伝達を最小限に止めることが可能になる。
【0069】
従って、この実施例による場合には、路面からの入力、即ち、振動の車体への伝達防止と車体の揺れ防止が同時に達成できることになる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、バネ上共振時に自動的に所定の減衰力が発生されて、例えば、車両においては、運転者に操縦に専心させながら、路面からの振動を車体に伝達させず、かつ、不必要な車体の揺れを防止することが可能になる利点がある。
【0071】
また、この発明によれば、油圧緩衝器自体の構成を複雑にしないから、それ自体のコスト高を招来せず、しかも、例えば、車両におけるサスペンション装置として利用する場合にも、車体側への各種センサやコントローラ等の配設を要しないことになり、装置全体としてのコスト上昇化を招来しない利点がある。
【0072】
さらに、この発明によれば、例えば、車両におけるサスペンション装置以外の制振装置に利用する場合にも、その取付側に各種センサやコントローラ等の配設やそのための設計変更等が要請されず、従って、油圧緩衝器の交換のみで足りることになり、その汎用性を期待できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る油圧緩衝器を一部破断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ体
2 ロッド体
2e,2f 横孔
3 ピストン
4 伸側減衰バルブ
5 圧側減衰バルブ
6 伸側サブバルブ
7 圧側サブバルブ
21 スプール
22,23 スプリング
A ロッド側室
B ピストン側室
【産業上の利用分野】
この発明は、車両におけるサスペンション装置等の制振装置への利用に適する油圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
例えば、車両の車軸と車体との間に配在されて車両におけるサスペンション装置を構成する油圧緩衝器は、走行中の車両において、路面からの振動を車体に伝達させないように構成されると共に、不必要な車体の揺れを防止するように構成される。
【0003】
特に、近年の油圧緩衝器は、運転者が操縦に専心できるように、所謂自動的に発生減衰力を高低調整し得る構成とされることが多く、一般的には、車体に配設の各種センサからの検出値に基づいて作動するコントローラによって発生減衰力が高低調整される等のように構成されている。
【0004】
この場合に、油圧緩衝器にあっては、例えば、減衰力発生部にコントロールバルブを有していて、該コントロールバルブがアクチュエータの駆動で所定の作動をし、減衰力発生部で発生される減衰力を高低、即ち、ハードあるいはソフトに変更調整する等のように構成されている。
【0005】
それ故、上記した近年汎用の油圧緩衝器にあっては、該油圧緩衝器自体の構成が複雑になり易く、従って、部品点数や組立工程数の増加で油圧緩衝器自体にコスト高を招来し易くなる不具合がある。
【0006】
また、このような油圧緩衝器をサスペンション装置に利用する場合には、センサやコントローラの配設が必須になり、装置全体としてのコスト上昇化が招来され易くなる不都合もある。
【0007】
この発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、所謂自動的に所定の減衰力調整をなし得るのは勿論のこと、それ自体のコスト高を招来せず、しかも、サスペンション装置として利用する場合にも装置全体としてのコスト上昇化を招来しないようにするに最適となる油圧緩衝器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、車軸側部材に設定されたシリンダ体内にピストンを介して車体側部材に設定されたロッド体を出没自在に挿入し、上記ピストンはシリンダ体にロッド側室とピストン側室とを区画し、ロッド側室とピストン側室とはピストンに配設した伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとを介して連通すると共に、伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとをそれぞれ迂回する伸側バイパス路と圧側バイパス路とを介して連通している油圧緩衝器において、伸側バイパス路の下流側端に伸側サブバルブを配設し、圧側バイパス路の上流側端に圧側サブバルブを配設し、上記伸側バイパス路の上流側端と上記圧側バイパス路の下流側端をロッド体に上下二段に開穿した各横孔を介してそれぞれロッド側室に連通させ、更にロッド側室におけるロッド体の外周に上下に配設したスプリングの介在下にスプールを摺動可能に挿入し、シリンダ体が上下動してもロッド体とスプールとが静止状態にある時は上記スプールが上記各横孔を開口し、ロッド体が振動してスプールが共振し、且つ当該スプールが下降した時伸側バイパス路に連通する横孔を遮断すると共に上昇した時圧側バイパス路に連通する横孔を遮断するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
そして、好ましくは、スプールと上下一対のスプリングとで構成される固有振動数は、おおむね、車体と懸架バネとで構成される固有振動数(1〜2Hz)付近に設定されるとする。
【0010】
【作用】
それ故、車体側部材とされるロッド体が静止状態にあるとき、仮に、車軸側部材たるシリンダ体が路面振動で上下動されても、ロッド体に介装のスプールは、ロッド体の外周で静止状態におかれる。
【0011】
もっとも、このとき、相対的には、シリンダ体内でピストンが摺動する状態になり、ロッド側室とピストン側室とは、伸側減衰バルブ及び圧側減衰バルブを介して連通される一方で、伸側バイパス路及び圧側バイパス路を介してであるが、伸側サブバルブ及び圧側サブバルブを介しても連通される。
【0012】
従って、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力は、低い、即ち、ソフトな減衰力になる。
【0013】
これに対して、車体側部材たるロッド体が振動で上下動されるとき、ロッド体に介装のスプールは、その慣性によってロッド側室におけるロッド体の外周で摺動状態におかれる。
【0014】
そして、ロッド体の振動時にスプールが共振し、しかもこの共振によってスプールがロッド体の外周で下降した状態になるとき、ロッド側室におけるロッド体の外周に開口する伸側バイパス路の上流側端が閉口状態になり、伸側バイパス路が閉塞される。
【0015】
その結果、伸側バイパス路の閉塞で伸側サブバルブを介してのロッド側室のピストン側室への連通が遮断され、伸側減衰バルブを介してのみロッド側室のピストン側室への連通が許容される。
【0016】
また、共振によってスプールがロッド体の外周で上昇した状態になるとき、ロッド側室におけるロッド体の外周に開口する圧側バイパス路の下流側端が閉口状態になり、圧側バイパス路が閉塞される。
【0017】
その結果、圧側バイパス路の閉塞で圧側サブバルブを介してのピストン側室のロッド側室への連通が遮断され、圧側減衰バルブを介してのみピストン側室のロッド側室への連通が許容される。
【0018】
従って、ロッド体に介装のスプールの共振でバイパス路が閉塞状態におかれる場合には、ロッド側室とピストン側室との連通が伸側減衰バルブあるいは圧側減衰バルブを介してのみ実現されることになり、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力が高い、即ち、ハードな減衰力になる。
【0019】
そして、スプールが一方のバイパス路を閉塞するときには他方のバイパス路を連通状態にすることから、伸側減衰力がハードになるときは圧側減衰力がソフトになり、圧側減衰力がハードになるときには伸側減衰力がソフトになる。
【0020】
【実施例】
以下、図示したところに基づいてこの発明を説明するが、この発明の一実施例に係る油圧緩衝器も、基本的には、所謂従来の油圧緩衝器と同様に構成されているとし、それ故、以下には、この発明の要部となるところ中心に説明し、その他の構成については、必要に応じて説明することにする。
【0021】
即ち、図1に示すように、この発明の一実施例に係る油圧緩衝器は、シリンダ体1に対して出没されるロッド体2の先端に連設のピストン3によって、シリンダ体1内にロッド側室Aとピストン側室Bとを区画している。
【0022】
そして、ロッド側室Aとピストン側室Bは、ピストン3に配設の伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5を介して相互に連通可能とされている一方で、伸側減衰バルブ4を迂回する伸側バイパス路の下流側端に配在の伸側サブバルブ6及び圧側減衰バルブ5を迂回する圧側バイパス路の上流側端に配在の圧側サブバルブ7を介しても相互に連通可能とされている。
【0023】
シリンダ体1は、この実施例にあって、車軸側部材に設定されているもので、例えば、単筒構造の油圧緩衝器におけるシリンダ、あるいは、複筒構造の油圧緩衝器における内筒、を構成する。
【0024】
そして、ロッド体2は、この実施例にあって、車体側部材に設定されており、例えば、上記シリンダ、あるいは、上記内筒に対して出没されるピストンロッドを構成する。
【0025】
尚、図示しないが、シリンダ体1の上端内部は、ロッド体2を軸封構造に挿通させるように構成され、ロッド体2との間に必要なシール部材等も有する。
【0026】
また、同じく図示しないが、ピストン側室Bは、背後にガス室を区画するフリーピストンを有していたり、内筒の外周側に配在の外筒との間に区画されるリザーバ室にベースバルブ部を介して連通されていたりする。
【0027】
伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5は、この実施例にあって、それぞれ環状のリーフバルブからなり、伸側減衰バルブ4は、ピストン3に開穿の伸側ポート3aの図中で下端となる下流側端を、また、圧側減衰バルブ5は、ピストン3に開穿の圧側ポート3bの図中で上端となる下流側端を、それぞれ開閉可能に閉塞するように、即ち、内周端固定で外周端自由となるように配在されている。
【0028】
尚、伸側減衰バルブ4の背後側には、後述する伸側サブバルブ6のバルブストッパを兼ねるバルブストッパ4aが間座4bの介在下に配在され、圧側減衰バルブ5の背後側には、後述する振動体機構20を構成するガイド部材を兼ねるバルブストッパ5aが間座5bの介在下に配在されている。
【0029】
伸側サブバルブ6及び圧側サブバルブ7も、この実施例にあっては、それぞれ環状のリーフバルブからなり、上記した伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5と同様に、それぞれ内周端固定で外周端自由の形態に配在されている。
【0030】
ところで、伸側サブバルブ6をその下流側端に配在させる伸側バイパス路及び圧側サブバルブ7をその上流側端に配在させる圧側バイパス路は、この実施例にあって、ロッド体2の先端インロー部2aの近傍たる近傍部2bから該ロッド体2の先端螺条部2cに螺装されるピストンナット8との間に亙って形成されている。
【0031】
即ち、ロッド体2は、その近傍部2bから先端インロー部2aにかけての軸芯部に開穿されその下端がピストン側室B側に開口する縦孔2dを有してなる一方で、その近傍部2bに縦孔2dに連通すると共にロッド側室Aに連通するように上下二段に開穿された横孔2e,2fを有してなる。
【0032】
因に、横孔2eと横孔2fとの間に形成される間隔は、後述する振動体機構20における構成から適宜に設定されるが、このことについては、後述する。
【0033】
上記に対して、ピストンナット8は、この実施例において所謂有頭円筒状に形成されてなるとするもので、これがその頭部たる上端部8aを介してロッド体2の先端螺条部2cに螺装されるとき、その内空部8bに上記縦孔2dの下端を開口させるとしている。
【0034】
そして、該ピストンナット8は、その上端部8aに伸側ポート8cを有してなり、該伸側ポート8cの図中で上端となるその下流側端に伸側サブバルブ6を開閉可能に隣接させている。
【0035】
尚、伸側サブバルブ6の背後側には、前記伸側減衰バルブ4のバルブストッパ4aが間座6aの介在下に配在されている。
【0036】
一方、該ピストンナット8は、その下端部8dの内部に圧側サブバルブ7を配在させている。
【0037】
即ち、該ピストンナット8の下端部8dの内周には、そこを閉塞して内空部8bとピストン側室Bとの連通を遮断するように、バルブディスク9がカシメ固着されており、該バルブディスク9に開穿の圧側ポート9aの図中で上端となるその下流側端に圧側サブバルブ7を開閉可能に隣接させている。
【0038】
そして、該圧側サブバルブ7背後側には、バルブストッパ7aが間座7bの介在下に配在されている。
【0039】
尚、圧側サブバルブ7,バルブストッパ7a及び間座7bは、バルブディスク9の軸芯部に挿通された固定ピン10の外周に介装されており、かつ、固定ピン10の下端のカシメ加工によってバルブディスク9に一体化され、所謂ブロック化されている。
【0040】
ところで、上記ピストンナット8内、即ち、内空部8b内及び前記ロッド体2に開穿の縦孔2d内は、この実施例にあって、隔壁部材11で所謂伸側と圧側に区画されている。
【0041】
即ち、隔壁部材11は、基本的には、内空部8bを上下に区画するフランジ部11aと、該フランジ部11aの軸芯部に連設されロッド体2に開穿の縦孔2d内に臨在される筒状部11bと、該筒状部11bの上端外周に形成された膨出部11cと、を有してなる。
【0042】
そして、フランジ部11aの中央に筒状部11bの下端が開口し、筒状部11bの上端が縦孔2dの上端部に開口し、筒状部11bの外周が縦孔2dの内周との間に適宜の隙間を有し、かつ、膨出部11cの外周が縦孔2dの内周に液密状態に隣接されるとしている。
【0043】
尚、膨出部11cの外周は、ロッド体2に上下二段に開穿された前記横孔2e,2fが縦孔2dの内周に開口している状態のその間に形成されるストローク部分の内周に隣接されるとしている。
【0044】
従って、隔壁部材11におけるフランジ部11aによって、ピストンナット8内の内空部8bが、伸側サブバルブ6に連通する伸側と、圧側サブバルブ7に連通する圧側と、に区画される。
【0045】
また、隔壁部材11における筒状部11bによって、ロッド体2の縦孔2d内が、伸側サブバルブ6に連通する伸側と、圧側サブバルブ7に連通する圧側と、に区画される。
【0046】
尚、隔壁部材11は、そのフランジ部11aの外周端がピストンナット8の下端側の内周に形成の段差部8eと、前記バルブディスク9の外周端にその下端が係止された筒状スペーサ12と、の間に挟持されている。
【0047】
その結果、この実施例にあっては、ロッド側室Aがロッド体2に開穿の上段の横孔2e,筒状部11bの内周側及びフランジ部11aの下方側で形成される圧側バイパス路を介して圧側サブバルブ7の下流側と連通すると共に、ロッド体2に開穿の下段の横孔2f,筒状部11bの外周側及びフランジ部11aの上方側で形成される伸側バイパス路を介してを伸側サブバルブ6の上流側と連通することになる。
【0048】
一方、振動体機構20は、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に摺動可能に介装されたスプール21を有してなるもので、該スプール21は、その上下に配設され互いにスプール21を前進方向に附勢する一対のスプリング22,23に挟持されている。
【0049】
尚、該振動体機構20における振動体、即ち、スプール21と上下一対のスプリング22,23とで構成される振動体の固有振動数は、おおむね、車体と懸架バネ(図示せず)とで構成される振動体の固有振動数(1〜2Hz)付近に設定される。
【0050】
それ故、該振動体機構20にあっては、スプール21は、その静止時に伸側バイパス路の上流側端、即ち、前記横孔2fを開口状態におき、圧側バイパス路の下流側端、即ち、前記横孔2eを開口状態におくことになる。
【0051】
そして、スプール21は、その最上昇時に圧側バイパス路の下流側端、即ち、前記横孔2eを閉口状態におき、その最下降時に伸側バイパス路の上流側端、即ち、前記横孔2fを閉口状態におくことになる。
【0052】
ところで、スプール21は、その内周面に形成されその静止時に上記横孔2fに対向する環状溝21aを有してなると共に、その外周側に開穿され環状溝21aとロッド側室Aとを連通させる連通孔21bを有してなる。
【0053】
そして、該スプール21は、上記環状溝21aが形成されることで、その上端側の内周面に残存される所謂ランド部21cが、上記横孔2eと横孔2fとの間に形成される間隔分に一致するように設定されている。
【0054】
因に、スプール21は、有底筒状に形成されたガイド部材、即ち、前記バルブストッパ5a内にその下端側の外周が摺接する状態に収装されているもので、該バルブストッパ5aとの間にダンピング室24を形成するとしている。
【0055】
そして、該ダンピング室24は、バルブストッパ5aにおける底部に開穿のオリフィス25を介してロッド側室Aに連通されている。
【0056】
尚、スプール21に上方側から隣接されるスプリング22は、その上端がロッド体2の外周に配設されたクッション部材13の下端に隣接のバネ受14に係止され、スプール21に下方側から隣接されるスプリング23の下端が上記バルブストッパ5aの内底部に係止されるとしている。
【0057】
以上のように形成されたこの実施例に係る油圧緩衝器にあっては、車体側部材とされるロッド体2が静止状態にあるとき、仮に、車軸側部材たるシリンダ体1が路面振動で上下動されても、ロッド体2に介装のスプール21は、ロッド体2の外周で静止状態におかれる。
【0058】
このとき、相対的には、シリンダ体1内でピストン3が摺動する状態になり、ロッド側室Aとピストン側室Bとが伸側減衰バルブ4及び圧側減衰バルブ5を介して連通される一方で、伸側バイパス路及び圧側バイパス路を介してであるが、伸側サブバルブ6及び圧側サブバルブ7を介しても連通される。
【0059】
従って、このとき、油圧緩衝器において発生される減衰力は、低い、即ち、ソフトな減衰力になる。
【0060】
これに対して、車体側部材たるロッド体2が振動で上下動されるとき、ロッド体2に介装のスプール21は、その慣性によってロッド側室Aにおけるロッド体2の外周で摺動状態におかれる。
【0061】
そして、ロッド体2の振動時にスプール21が共振し、しかもこの共振によってスプール21がロッド体2の外周で下降した状態になるとき、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に開口する伸側バイパス路の上流側端、即ち、ロッド体2に開穿の横孔2fの開口がスプール21によって閉口状態にされ、従って、伸側バイパス路が閉塞された状態になる。
【0062】
その結果、伸側バイパス路の閉塞で伸側サブバルブ6を介してのロッド側室Aのピストン側室Bへの連通が遮断され、伸側減衰バルブ4を介してのみロッド側室Aのピストン側室Bへの連通が許容されることになり、従って、このとき伸側減衰力が高く、即ち、ハードになる。
【0063】
また、共振によってスプール21がロッド体2の外周で上昇した状態になるとき、ロッド側室Aにおけるロッド体2の外周に開口する圧側バイパス路の下流側端、即ち、ロッド体2に開穿の横孔2eの開口がスプール21によって閉口状態にされ、従って、圧側バイパス路が閉塞された状態になる。
【0064】
その結果、圧側バイパス路の閉塞で圧側サブバルブ7を介してのピストン側室Bのロッド側室Aへの連通が遮断され、圧側減衰バルブ5を介してのみピストン側室Bのロッド側室Aへの連通が許容されることになり、従って、このとき圧側減衰力が高く、即ち、ハードになる。
【0065】
以上のように、この実施例にあっては、スプール21がバイパス路を閉塞するときには発生減衰力がハードになり、スプール21がバイパス路を開口するときは発生減衰力がソフトになる。
【0066】
従って、この限りにおいては、図示しないが、ロッド体2に形成される横孔が一つとされると共に、隔壁部材11の配設が省略され、かつ、スプール21の静止時に横孔とロッド側室とが連通される形態とすることでも、バイパス路の閉塞時に発生減衰力をハードにし、バイパス路の開口時に発生減衰力をソフトにすることが可能になる。
【0067】
ただ、そのように設定する場合には、一方側の減衰力がハードになるときには他方側の減衰力もハードになり、一方側の減衰力がソフトになるときには他方側の減衰力もソフトになり、この発明の実施例の場合のように、いずれか一方側の減衰力がハードとされるとき、他方側の減衰力がソフトにされるように設定することが不可能になる。
【0068】
その結果、この実施例による場合には、一方側の減衰力をハードにするとき反対側の減衰力がソフトになることから、ばね上の振動を抑えるためにハードな減衰力になっているときに、路面からの入力でロッド体2側たるピストン3とシリンダ体1との相対的な動きの方向が逆転して、却ってばね上の振動を増長する事態となるときに、ソフトな減衰力の発生状態になって、路面からの入力の車体への伝達を最小限に止めることが可能になる。
【0069】
従って、この実施例による場合には、路面からの入力、即ち、振動の車体への伝達防止と車体の揺れ防止が同時に達成できることになる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、バネ上共振時に自動的に所定の減衰力が発生されて、例えば、車両においては、運転者に操縦に専心させながら、路面からの振動を車体に伝達させず、かつ、不必要な車体の揺れを防止することが可能になる利点がある。
【0071】
また、この発明によれば、油圧緩衝器自体の構成を複雑にしないから、それ自体のコスト高を招来せず、しかも、例えば、車両におけるサスペンション装置として利用する場合にも、車体側への各種センサやコントローラ等の配設を要しないことになり、装置全体としてのコスト上昇化を招来しない利点がある。
【0072】
さらに、この発明によれば、例えば、車両におけるサスペンション装置以外の制振装置に利用する場合にも、その取付側に各種センサやコントローラ等の配設やそのための設計変更等が要請されず、従って、油圧緩衝器の交換のみで足りることになり、その汎用性を期待できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る油圧緩衝器を一部破断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ体
2 ロッド体
2e,2f 横孔
3 ピストン
4 伸側減衰バルブ
5 圧側減衰バルブ
6 伸側サブバルブ
7 圧側サブバルブ
21 スプール
22,23 スプリング
A ロッド側室
B ピストン側室
Claims (1)
- 車軸側部材に設定されたシリンダ体内にピストンを介して車体側部材に設定されたロッド体を出没自在に挿入し、上記ピストンはシリンダ体にロッド側室とピストン側室とを区画し、ロッド側室とピストン側室とはピストンに配設した伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとを介して連通すると共に、伸側減衰バルブと圧側減衰バルブとをそれぞれ迂回する伸側バイパス路と圧側バイパス路とを介して連通している油圧緩衝器において、伸側バイパス路の下流側端に伸側サブバルブを配設し、圧側バイパス路の上流側端に圧側サブバルブを配設し、上記伸側バイパス路の上流側端と上記圧側バイパス路の下流側端をロッド体に上下二段に開穿した各横孔を介してそれぞれロッド側室に連通させ、更にロッド側室におけるロッド体の外周に上下に配設したスプリングの介在下にスプールを摺動可能に挿入し、シリンダ体が上下動してもロッド体とスプールとが静止状態にある時は上記スプールが上記各横孔を開口し、ロッド体が振動してスプールが共振し、且つ当該スプールが下降した時伸側バイパス路に連通する横孔を遮断すると共に上昇した時圧側バイパス路に連通する横孔を遮断させるようにしたことを特徴とする油圧緩衝器。
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