JP3732985B2 - 有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセント素子 Download PDF

Info

Publication number
JP3732985B2
JP3732985B2 JP36271099A JP36271099A JP3732985B2 JP 3732985 B2 JP3732985 B2 JP 3732985B2 JP 36271099 A JP36271099 A JP 36271099A JP 36271099 A JP36271099 A JP 36271099A JP 3732985 B2 JP3732985 B2 JP 3732985B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electronegativity
equal
cathode
elements
organic electroluminescent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP36271099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001230084A (ja
Inventor
祐行 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP36271099A priority Critical patent/JP3732985B2/ja
Publication of JP2001230084A publication Critical patent/JP2001230084A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3732985B2 publication Critical patent/JP3732985B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物質の電界発光(エレクトロ・ルミネッセンス:EL)現象を利用した有機EL(電界発光)素子に関し、特に有機発光物質を含む層を陽極と陰極の間に設け、電界を印加して光を放出する素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、この薄膜に電子及び正孔を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)等の電子励起状態を生成させ、この電子励起状態が失活する際の光の放出(蛍光、燐光、遅延蛍光、エネルギー移動を伴う発光現象等)を利用して発光する素子である。
【0003】
有機EL素子の特徴は、10V程度の低電圧で100〜10000cd/m2 程度の高輝度の面発光が可能であり、また蛍光性有機化合物の種類を選択することにより青色から赤色までの任意の色彩で発光が可能なことである。
【0004】
有機EL素子の発光効率を改善するため、電子の注入効率を向上させることを目的として、仕事関数の小さい金属やそれを含む合金を陰極材料として用いることが試みられている。例えば、米国特許4885211号公報及び特開平2−15595号公報には、少なくとも50原子%のMgと、少なくとも0.1原子%の仕事関数4eV以上の金属とを含む材料を陰極材料として用いる例が開示されている。特開平8−209120号公報には、0.005〜10質量%のアルカリ金属元素と第2の金属からなる合金を陰極材料として用いた例が開示されている。特開平9−232079号公報には、アルカリ金属元素または仕事関数2.9eV以下のアルカリ土類金属元素を総量で0.5〜5原子%含む合金を陰極材料として用いる例が開示されており、特開平10−12381号公報には、仕事関数4.0eV以上の金属1〜30原子%と、0.002〜2原子%のLiと、Mgとを含む3元合金を陰極材料として用いる例がそれぞれ開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された従来の方法では、陰極材料として、仕事関数の非常に小さい金属、すなわち電子を非常に放出し易い金属を含むため、大気中の水分や酸素により陰極の酸化による劣化が進み、輝度低下や駆動電圧の上昇、さらにはダークスポットと呼ばれる非発光部分の形成と増大が起こるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、特定の元素を含む陰極材料を用いることにより、発光効率及び発光輝度が高く、かつ長期間にわたる駆動中の輝度低下が抑制された有機エレクトロルミネッセント素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であり、電気陰性度がカルシウム(Pauling の電気陰性度1.0)よりも大きく、かつ、バナジウム(Pauling の電気陰性度1.6)と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウム(Pauling の電気陰性度1.5)と等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pとを陰極が含むことを特徴としている。
【0008】
元素fに用いることができる元素としては、Be(1.5),Sc(1.3),Ti(1.5),V(1.6),Cr(1.6),Mn(1.5),Y(1.2),Zr(1.4),Nb(1.6),La(1.1),Ce(1.1〜1.2),Pr(1.1〜1.2),Nd(1.1〜1.2),Sm(1.1〜1.2),Eu(1.1〜1.2),Gd(1.1〜1.2),Tb(1.1〜1.2),Dy(1.1〜1.2),Ho(1.1〜1.2),Er(1.1〜1.2),Tm(1.1〜1.2),Yb(1.1〜1.3),Lu(1.1〜1.3),Hf(1.3),及びTa(1.5)〔( )内はPauling の電気陰性度文献値を示す。〕を挙げることができる。
【0009】
元素pに用いることができる元素としては、H(2.1),B(2.0),C(2.5),N(3.0),O(3.5),F(4.0),Al(1.5),Si(1.8),P(2.1),S(2.5),Cl(3.0),Ga(1.6),Ge(1.8),As(2.0),Se(2.4),Br(2.8),In(1.7),Sn(1.8),Sb(1.9),Te(2.1),I(2.5),Tl(1.8),Pb(1.8),Bi(1.9),Zn(1.6),Cd(1.7),及びHg(1.9)〔( )内はPauling の電気陰性度文献値を示す。〕を挙げることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であり、電気陰性度がカルシウム(Pauling の電気陰性度1.0)よりも大きく、かつ、バナジウム(Pauling の電気陰性度1.6)と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウム(Pauling の電気陰性度1.5)と等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄(Pauling の電気陰性度1.6)、コバルト(Pauling の電気陰性度1.6)、ニッケル(Pauling の電気陰性度1.6)のいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金(Pauling の電気陰性度2.4)と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを、陰極が含むことを特徴としている。
【0011】
元素dに用いることができる元素としては、Mo(1.8),Re(1.9),Fe(1.8),Ru(2.2),Os(2.2),Co(1.8),Rh(2.2),Ir(2.2),Ni(1.8),Pd(2.2),Pt(2.2),Cu(1.9),Ag(1.9),Au(2.4),Hg(1.9),B(2.0),Tl(1.8),Si(1.8),Ge(1.8),Sn(1.8),Pb(1.8),P(2.1),As(2.0),Sb(1.9),Bi(1.9),Se(2.4),及びTe(2.1)〔( )内はPauling の電気陰性度文献値を示す。〕を挙げることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1及び2に記載の発明において、元素pが、電気陰性度がアルミニウム(Pauling の電気陰性度1.5)と等しいかより大きく、かつ、炭素(Pauling の電気陰性度2.5)よりも小さく、かつ、ヨウ素(Pauling の電気陰性度2.5)よりも小さい元素のうちから選ばれることを特徴としている。
【0013】
また、元素f、元素p、及び元素dは、元素の周期表における、それぞれ異なる属から選ばれることが好ましい。また、陰極材料全体に対する各元素の好ましい含有率は、元素f0.1〜10質量%(さらに好ましくは0.3〜3質量%)、元素p0.1〜99.5質量%、元素d0〜99.8質量%であり、3つの元素f,p,dの全てが含まれる場合、元素pと元素dの合計の含有率が90質量%以上であることが好ましい。
【0014】
請求項4に記載の発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、上記請求項1〜3に記載の発明において、発光物質を含む層が、主成分であるホストと、蛍光性のドーパントとを少なくとも含み、ホストの分子のモル質量に対するドーパントの分子のモル質量の比(ドーパント/ホスト)が、0.344〜2.90、好ましくは0.441〜2.26であることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明では、元素fが、電気陰性度がカルシウム(Pauling の電気陰性度1.0)よりも大きく、かつ、ジルコニウム(Pauling の電気陰性度1.4)よりも小さく、かつ、単体の融点がリチウム(融点の文献値180.5℃)より高く、かつ、ルテチウム(融点の文献値1660℃)と等しいかより低い元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素であり、具体的には、Sc(1540℃),Y(1520℃),La(921℃),Ce(799℃),Pr(931℃),Nd(1020℃),Sm(1080℃),Eu(822℃),Gd(1310℃),Tb(1360℃),Dy(1410℃),Ho(1470℃),Er(1530℃),Tm(1550℃),Yb(819℃),及びLu(1660℃)[( )内は単体の融点の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明では、元素fは、単体の融点がSc(1540℃)より低い元素であり、具体的には、Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくとも1種の元素である。これらの元素fは、特に抵抗加熱蒸着法または電子ビーム蒸着法によって陰極を形成する方法に適する。
【0017】
請求項7に記載の発明では、元素fは、単体の融点が1000℃未満の元素であり、具体的には、La,Ce,Pr,Eu,Ybから選ばれる少なくとも1種の元素である。これらの元素fは、特に抵抗加熱蒸着法によって陰極を形成する方法に適する。
【0018】
請求項8に記載の発明では、元素fは、単体の沸点がCeまたはLuと等しいか、またはこれらより小さく、Dyと等しいかより大きい元素であり、具体的には、Sc(2830℃),Y(3300℃),Ce(3400℃),Pr(3000℃),Nd(3100℃),Gd(3300℃),Tb(3100℃),Dy(2560℃),Ho(2690℃),Er(2860℃),Lu(3400℃)[( )内は単体の沸点の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素である。元素fは、好ましくは、ランタン系列(lanthanum series)元素から選ばれる元素であり、より好ましくは原子番号57〜62(La〜Sm)のセリウム族(cerium group)元素から選ばれる元素である。これらの元素fは、特にスパッタリング法によって陰極を形成する方法に適するが、抵抗加熱蒸着法等を適用することもできる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、元素fは、単体の沸点がTmと等しいかより小さい元素であり、具体的には、Sm(1790℃),Eu(1600℃),Tm(1950℃),Yb(1194℃)[( )内は単体の沸点の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素である。元素fは、好ましくは単体の沸点がEuと等しいかより大きい元素である。これらの元素fは、特に電子ビーム蒸着法によって陰極を形成する方法に適するが、抵抗加熱蒸着法等を適用することもできる。
【0020】
請求項10に記載の発明では、元素fは、単体の金属結合半径がセリウムと等しいかより小さく、かつ、ツリウムまたはルテチウムと等しいか、またはこれらより大きい元素であり、具体的には、Ce(0.183nm),Pr(0.182nm),Nd(0.181nm),Sm(0.179nm),Gd(0.179nm),Tb(0.176nm),Dy(0.175nm),Ho(0.174nm),Er(0.173nm),Tm(0.172nm),Lu(0.172nm)[( )内は単体の金属結合半径の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素である。
【0021】
請求項11に記載の発明では、元素pが、Zn,B,Al,In,Tl,Si,Ge,Sn,P,Sb,Bi,S,Se,及びTeから選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0022】
請求項12に記載の発明では、元素dは、単体の融点がMo(2620℃)よりも低い遷移金属元素であり、具体的には、Fe(1540℃),Ru(2310℃),Co(1490℃),Rh(1970℃),Ir(2410℃),Ni(1450℃),Pd(1550℃),Pt(1770℃),Cu(1083℃),Ag(962℃),及びAu(1064℃)〔( )内は単体の融点の文献値を示す。〕から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0023】
請求項13に記載の発明では、元素pがAlであり、元素dは単体の沸点がCoと等しいかより低く、かつAgと等しいかより高い元素であり、具体的には、Co(2870℃),Ni(2730℃),Cu(2570℃),及びAg(2210℃)〔( )内は単体の沸点の文献値を示す。〕から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0024】
Alを元素pとして用いると、Alの単体としての物性である融点660.4℃、沸点2470℃から、Alは低い温度で融解、気化するので、真空蒸着法による陰極の形成を容易にする効果がある。また、Alの単体としての次のような物性から、Alを含む陰極は、電気伝導性、熱伝導性に優れ、機械的強度が好適なものが得られるようになる(電気抵抗率2.655μΩcm、熱伝導率237W/m・K、ヤング率68.3GN/m2 、線膨張率0.237×10-4/K)。
【0025】
請求項14に記載の発明では、元素pがSbであり、元素dは単体の熱伝導率がAlと等しいかより大きい元素であり、具体的には、Ag(427W/m・K),Cu(398W/m・K),Au(315W/m・K),及びAl(237W/m・K)〔( )内は単体の熱伝導率の文献値を示す。〕から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0026】
Sbを元素pとして用いると、Sbの単体としての物性である融点630.7℃、沸点1750℃から、Sbは低い温度で融解、気化するので、真空蒸着法による陰極の形成を容易にする効果がある。また、Sbの単体としての次のような物性から、Alを用いる場合と同様の理由で、Sbを含む陰極は機械的強度が好適なものが得られるようになる[単体のヤング率77.9GN/m2 、線膨張率0.172×10-4/K(c軸に平行)、0.080×10-4/K(c軸に垂直)]。また、Sbを元素pとして用いる場合、Sbの単体としての物性である電気抵抗率39.6μΩcm、熱伝導率24.3W/m・Kを考慮すると、電気伝導性に優れ、熱伝導による放熱性に優れる陰極を得るためには、単体として電気抵抗率が低く、熱伝導率が大きい元素と組み合わせて用いるのが好ましい。このような元素を、その単体としての物性と共に列挙すれば、Ag(電気抵抗率1.59μΩcm、ヤング率76GN/m2 、線膨張率0.193×10-4/K),Cu(電気抵抗率1.67μΩcm(20℃)、ヤング率110GN/m2 、線膨張率0.162×10-4/K),Au(電気抵抗率2.35μΩcm、ヤング率80GN/m2 、線膨張率0.142×10-4/K)等がある。
【0027】
さらに、他の好ましい実施形態においては、元素pがBiであり、元素dは単体の熱伝導率がAuと等しいかより大きい金属元素であり、具体的には、Ag、Cu、Auから選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴としている。
【0028】
Biを元素pとして用いると、Biの単体としての物性である融点271.3℃、沸点1560℃から、Biは低い温度で融解、気化するので、真空蒸着法による陰極の形成を容易にする効果がある。また、Biの単体としての次のような物性から、AlやSbを用いる場合と同様の理由で、Biを含む陰極は機械的強度が好適なものが得られるようになる(単体のヤング率31.7GN/m2 、線膨張率0.162×10-4/K(c軸に平行)、0.120×10-4/K(c軸に垂直)]。また、Biを元素pとして用いる場合、Biの単体としての物性である電気抵抗率107μΩcm、熱伝導率9.15W/m・K(c軸に垂直)を考慮すると、電気伝導性に優れ、熱伝導による放熱性に優れる陰極を得るためには、単体として電気抵抗率が低く、熱伝導率が大きい元素と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0029】
請求項15に記載の発明では、陰極を構成する各元素の電気陰性度を原子数比で重み付けして求められる電気陰性度の平均値Eave が、Ce等のランタノイド元素の電気陰性度を1.15と仮定した場合に、1.50〜1.91であることを特徴としている。上記電気陰性度の平均値Eave は、好ましくは、1.50〜1.59、または1.80〜1.91である。
【0030】
請求項16に記載の発明では、輝度100cd/m2 となるように直流電流を通電させて発光させたときに、輝度を電流密度で除して求められる発光効率が10.0cd/A以上であることを特徴としている。
【0031】
請求項17に記載の発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であり、単体の金属結合半径がCeと等しいかより大きく、かつ、EuまたはYbと等しいか、またはこれらより小さい元素、具体的には、La(0.187nm),Ce(0.183nm),Eu(0.198nm)及びYb(0.194nm)[( )内は単体の金属結合半径の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素fと、単体の融点がAl(660.4℃)と等しいがより低く、かつ、融点がSn(融点231.97℃)と等しいかより高く、単体の伸び弾性率(modulus of elasticity intension )であるヤング率がSnと等しいかより大きく、かつZnと等しいかより小さい元素、具体的は、Zn(96.5GN/m2 ),Al(68.3GN/m2 ),Sn(41.4GN/m2 ),及びSb(77.9GN/m2 )[( )内は単体のヤング率の文献値を示す。]から選ばれる少なくとも1種の元素pとを陰極が含むことを特徴としている。
【0032】
請求項18に記載の発明では、請求項17に記載の発明において、元素fがCeであり、元素pがAlであることを特徴としている。
【0033】
請求項19に記載の発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、請求項1、3〜11、及び15〜18のいずれか1項に記載の発明において、陰極が、発光物質を含む層に最も近い第1陰極層と、第1陰極層の上に設けられる第2陰極層と、第2陰極層の上に設けられる第3陰極層とから構成されており、第1陰極層が実質的に元素fから形成されており、第2陰極層が実質的に元素fと元素pとの混合物及び/または化合物から形成されており、第3陰極層が実質的に元素pから形成されていることを特徴としている。
【0034】
請求項20に記載の発明では、請求項19に記載の発明における第2陰極層が、第1陰極層との界面から第3陰極層との界面に向かうにつれて元素fの含有量が減少し元素pの含有量が増加する厚み方向の傾斜構造を有することを特徴としている。
【0035】
第2陰極層がこのような傾斜構造を有することにより、第1陰極層との層間及び第3陰極層との層間におけるなじみが良好となり、また第1陰極層と第3陰極層の熱膨張係数の違いによる熱的なショックを緩和することができる。
【0036】
請求項21に記載の発明では、請求項19に記載の発明における第1陰極層、第2陰極層、及び第3陰極層のうち少なくとも1層に、層を構成する元素と異なる元素が含まれていることを特徴とする。
【0037】
本発明によれば、発光効率の高い有機エレクトロルミネッセント素子とすることができる。例えば、輝度100cd/m2 となるように直流電流を通電させて発光させたときに、輝度を電流密度で除して求められる発光効率として、7.0cd/A以上、さらには10.0cd/A以上を示すものを得ることができる。また、有機エレクトロルミネッセント素子から放出される光束を有機エレクトロルミネッセント素子への入力電力で除して求められる発光効率が5.0lm/W以上、さらには10.0lm/W以上であるものを得ることができる。
【0038】
また、本発明によれば、発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセント素子を得ることができる。例えば、5V印加時の発光輝度L5Vが250cd/m2 以上、さらには500cd/m2 以上である有機エレクトロルミネッセント素子を得ることができる。
【0039】
また、本発明によれば、長期間にわたる駆動中の輝度低下を抑制することができる。例えば、初期輝度500cd/m2 から電流密度が一定となるように直流定電流駆動を続けたときの、初期輝度に対する500時間経過後の発光輝度の比率R500hが10%以上、さらには50%以上である有機エレクトロルミネッセント素子とすることも可能となる。
【0040】
【作用】
電気陰性度(electronegativity )の概念は、Pauling やMullikenらの考案と、その後の改良に基づくものである。本発明における電気陰性度の値は、Pauling の方法で求めた値に統一して表記してあるが、Mullikenの方法で求めた値も、Pauling の値とほぼ比例関係にあるので、本発明を実施する際の元素の選択基準として、Pauling 以外の方法による電気陰性度の算出方法の採用を妨げるものではない。電気陰性度とは、結合している原子が電子を引きつける能力を数値化したものであり、結合をつくる2原子の電気陰性度の差が大きいほど、電子は一方の原子に引きつけられ、その結合のイオン性は大きくなる。また、電気陰性度はその原子のもつ電子の供与性及び受容性を示す尺度となる。電気陰性度の値の小さいものほど供与性が大きく、逆に大きいものほど受容性が強い。その中間的な値をもつ原子は良性としての性質をもつ。Mullikenや、Pauling らによって種々の元素の電気陰性度が求められている。電気陰性度は、元素の物理化学的な性質に密接に関連付けられるが、質量や電圧のような物理化学量とは異なり、単位は無い。
【0041】
Mullikenの方法を応用すれば、イオン化エネルギー(IE)と電子親和力(EA)からある元素の電気陰性度(EN)を求めるには、次の実験式を用いることができる。
EN=(IE+EA)/(544kJ・mol-1)……(式1)
【0042】
また、Pauling の方法を応用すれば、2つの元素AとBとの間の電気陰性度の差δEABは、次の式で求めることができる。
δEAB=0.088・
[{Ereal−(EAA・EBB0.5 }/(kJ・mol-1)]0.5 ……(式2)
ここで、Erealは2つの元素AとBとの間に形成された化合物A−Bの結合エネルギーの実測値であり、EAA、EBBは、それぞれ元素A、Bの単体分子の結合エネルギーの実測値である。
【0043】
2つの元素AとBとの間に形成された化合物A−Bの結合状態は、2つの元素AとBとの間の電気陰性度の差δEABが0とのとき、100%純粋な共有結合性の結合となり、δEABの絶対値が約1.7のとき、50%イオン結合性でかつ50%共有結合性の結合となる。また、δEABの絶対値が2.0のとき、約63%イオン結合性でかつ約37%共有結合性の結合となり、イオン結合性が顕著になるとされている。また、双極子モーメントの測定から見積もられたハロゲン化水素分子の結合状態を示すイオン結合性の比率と、これらの分子を構成する水素(H)とハロゲン元素(X)との電気陰性度の差δEHXの絶対値とを例示すると、次のようになる:ヨウ化水素(イオン結合性4%、δEHI=0.4)、臭化水素(イオン結合性11%、δEHI=0.7)、塩化水素(イオン結合性19%、δEHCl =0.9)。
【0044】
以上のように、電気陰性度は、元素の結合様式を決定付ける重要な指標として用いることができる。
電気陰性度の概念は元素に固有のものである。例えば、炭素の同素体であるグラファイトとダイヤモンドと無定形炭素について検討する場合、電気陰性度は同素体の種類に無関係であり、同素体がどのような形態を取っていても一定であるが、仕事関数の値はグラファイトとダイヤモンドと無定形炭素のそれぞれで大きく異なる事実を指摘することができる。
【0045】
有機エレクトロルミネッセント素子の陰極の構成元素を選択する際の指標として、従来広く仕事関数が用いられている。この仕事関数は、材料の表面状態に依存して敏感に変化する物理化学量であり、個々の材料について実測値を求めた場合には有用な指標となり得るが、複数の元素からなる化合物または混合物の特性を予測するための指標として、元素の単体状態における仕事関数を用いて考察しても、あまり良い結果は得られないと考えられる。本発明では、陰極材料の構成元素を選択する際の代表的な指標として、元素に固有の特性値である電気陰性度を用いている。電気陰性度は、元素がその固有の特性として持つ、元素の原子が電子を拘束する性質の強さを、整数または実数などとして数値化したものであり、本発明では陰極材料の構成元素を選択する際の代表的な指標として、このような元素固有の特性である電気陰性度の値を用いている。
【0046】
従来より、有機エレクトロルミネッセント素子の有機化合物層への電子の注入効率を高める目的で、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素が用いられている。アルカリ金属元素としては、例えば、Cs(0.7),Rb(0.8),K(0.8),Na(0.9),Li(1.0)が挙げられ、アルカリ土類金属元素としては、Ba(0.9),Sr(1.0),Ca(1.0)など〔( )内は電気陰性度を示す。〕が挙げられる。アルカリ金属元素は全て電気陰性度が1.0以下の元素であり、アルカリ土類金属元素としては電気陰性度が1.0以下の元素が多用されている。これらの電気陰性度が1.0以下の元素は電子の拘束力が小さすぎるため、これらを用いた材料は非常に酸化され易く、不安定である。また、水溶性のイオン結合性物質を形成し易いので、湿気を吸収して表面から液状化が進行する潮解現象が起こり易いなどの問題がある。例えば、アルカリ金属元素に属するFr,Cs,Rb,K,Naは空気中では酸素で速やかに酸化されて、酸化物に変化する。また、Liは空気中の窒素と反応し窒化物に変化する。また、アルカリ土類金属元素に属するRa,Ba,Sr,Ca,Mgも酸素で速やかに酸化されて酸化物を形成する。また、Fr,Cs,Rb,K,Na,Li,Ba,Sr,Caは、雰囲気中の湿度を含む冷水と反応して、金属水酸化物と水素を形成する。
また、アルカリ金属元素により構成された全ての単純塩は水に可溶であり、例えばLiNO3 とNaNO3 等は潮解性である。
【0047】
本発明では、上記の電気陰性度が1.0以下の元素の代わりに、電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる元素fを陰極に少なくとも含んでいる。元素fの原子は電子の拘束力が適当に小さく、従って陰極の元素fを含む領域から有機エレクトロルミネッセント素子の有機化合物層への電子の注入は効率良く行われる。一方、元素fの原子の酸化は、電気陰性度1.0以下の元素に比べ、単独でも起こり難い。さらに、電気陰性度が1.5以上である元素pを組み合わせて混合物及び/または化合物として用いることにより、酸化による劣化を陰極としての性能が失われない程度に抑制することが可能になる。その理由は、電気陰性度が1.5以上、好ましくは1.5〜2.4である元素pの原子は、電子の拘束力が大きく、元素pの原子自身は比較的酸化され難いので、元素pの原子を元素fの原子の周囲に配置すると、酸素や窒素や水分のような酸化剤として作用する物質が元素fの原子に接触しないように保護されるからである。
【0048】
また、カルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素pとを陰極に共に含むようにすると、元素fと元素pとの電気陰性度の差δEは0.8以上となり、おそらく15%以上のイオン結合性を有する結合が元素fの原子と元素pの原子との間に形成され得るようになる。このような結合が一旦形成されると、元素fの原子が酸素や水分等によってさらに酸化されることは難しくなり、元素fの原子は素子作製時の所定の状態を維持し続けることが期待されるようになる。また、元素fと元素pとの組み合わせを特定なものから選ぶことによって、雰囲気中の湿度との反応や、潮解を防ぐこともできる。
【0049】
また、元素f及び元素pと共に、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素dを含むようにすると、元素dは、電子の拘束力が適度に大きく、元素dの原子自身は非常に酸化され難いので、元素dの原子を元素fの原子の周囲に配置すると、酸素や窒素や水分のような酸化剤として作用する物質が元素fの原子に接触しないように保護される。さらに、電気陰性度が1.8〜2.4である元素dは、電気伝導度及び/または熱伝導度の良好な化合物及び/または混合物を形成する傾向が強いので、元素d、元素f及び元素pを共に含む化合物及び/または混合物においては、電気伝導度及び/または熱伝導度が改善されるようになる。
【0050】
さらに、元素f、元素p、及び元素dを、元素の周期表における、それぞれ異なる属から選ぶようにすると、これらの3つの元素を少なくとも含んで得られる化合物及び/または混合物は、これらの元素の単体に比べて複雑な構造の物質を形成するようになり、新たな物性を発現し得るようになる。このような新たな物性としては、物質内の原子間の結合状態の変化による機械的強度の向上や、化学的安定性の増大等を例示することができる。
【0051】
さらに、請求項4に記載するように、発光物質を含む層が、主成分であるホストと、蛍光性のドーパントとを少なくとも含み、ホストの分子のモル質量に対するドーパントの分子のモル質量の比(ドーパント/ホスト)を、0.344〜2.90、好ましくは0.441〜2.26となるように設定すると、蒸着の際にドーパントと主成分が気相中でほぼ同じように振る舞い、気相中で完全に近い形で混合された分子ビームを形成しながら基板に到達して固体相に変化するので、ドーパントと主成分とがほぼ理想的に混合された発光物質含有層(発光層)を形成することができる。従って、有機エレクトロルミネッセント素子の性能、特に発光効率を向上させることができ、さらに駆動時の寿命を延ばすことができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態を比較例と共に示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0053】
(実施例1)
図1は、実施例1の有機エレクトロルミネッセント素子の構造を示す断面図である。図1に示すように、ガラス基板1の上には、透明陽極2が形成されている。発光素子をマトリックス状に配置し表示ディスプレイとして用いる場合には、ガラス基板1上に複数の帯状の透明陽極2をそれぞれ平行にパターニングして形成する。透明陽極2の上には、それぞれ有機材料からなる、ホール注入輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5が順次積層して形成されている。有機電界発光層8は、ホール注入輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5から構成されている。電子注入輸送層5の上には陰極6が形成されている。陰極6の上には保護膜7が設けられている。
以下、本実施例の有機エレクトロルミネッセント素子の製造工程について説明する。
【0054】
透明陽極の形成
ガラス基板1上に、複数の帯状の透明陽極2をそれぞれ平行にパターニングして形成する。透明陽極2の平均膜厚は、例えば140nmとなるようにする。透明陽極2の平均膜厚としては、70nm〜3μmの範囲が一般的であり、好ましくは90nm〜0.5μmの範囲で設定される。透明陽極2を形成する導電性材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2 )のようなカルコゲナイド化合物や、Co,Au,Ni,Pd,Pt等の金属元素の単体や化合物であって、仕事関数(WF)または固体状態からのイオン化ポテンシャル(IP)が概ね4.6eV以上の導電性材料が一般的に用いられる。本実施例では、透明陽極2は、酸化インジウム錫(ITO)を用いて形成している。また、その固体状態からのIPを、大気下低エネルギー放出電子計数法により実測したところ、IPの実測値は4.7eVであった。また、この透明陽極2をパターニングする方法としては、FeCl3 を含む塩酸水溶液によるウェットエッチング法による他、公知の方法を用いることができる。
【0055】
次に、透明陽極2の清浄な表面が現れるまで、酸素を含む雰囲気中で紫外線照射を行い、透明陽極2上の不純物を、分解、酸化等の原理によって除去し、表面を清浄化する。なお、この工程は、ドライプロセスであるので、溶液等を用いておらず、透明陽極2の表面が不純物で再度汚染される可能性は極めて低い。
【0056】
有機電界発光層の形成
透明陽極2を形成したガラス基板1の上に、ホール注入輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5をこの順序で真空蒸着法により形成する。ホール注入輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5は、圧力が約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で蒸着する。ホール注入輸送層3は、化1に示す芳香族アミンの誘導体である4,4′,4″−tris(3−methylphenylphenylamino)triphenylamine(通称MTDATA)から形成した。本実施例において、ホール注入輸送層3の厚みは35nmとなるようにした。ホール注入輸送層3の厚みは、一般的には5nm〜160nmの範囲であり、好ましくは25nm〜70nmの範囲である。
【0057】
MTDATAの分子の簡略化した化学式はC57484 であり、MTDATAの分子のモル質量は789.04g/molである。
【0058】
【化1】
Figure 0003732985
【0059】
ホール注入輸送層3を形成する際の基板上への蒸着温度は0.10nm・s-1に設定したが、0.0004〜2nm・s-1の範囲で変更可能である。ホール注入輸送層3を形成する際の基板温度は、200℃以下の範囲で変更可能であるが、ホール注入輸送層3を形成する材料のガラス転移温度を超えないことが好ましい。従って、MTDATAを用いる場合には、基板温度を100℃以下の範囲に保つようにすることが特に好ましい。
【0060】
発光層4は、化2に示す芳香族アミンの誘導体であるN,N′−diphenyl−N,N′−(3−methylphenyl)−1,1′−biphenyl−4,4′−diamine(通称TPD)を主成分(いわゆるホスト)とし、化3に示す芳香族炭化水素化合物である5,6,11,12−tetraphenylnaphthacene(通称rubrene)を蛍光性のドーパントとして含有させた混合物から形成している。ドーパントの含有量は質量比で5%としている。蛍光性ドーパントの含有量は、0.01%〜35%の範囲が一般的であり、好ましくは1.0%〜12%、さらに好ましくは2.5%〜7.5%の範囲である。また、発光層4の厚みは16nmとしている。発光層4の一般的な厚みは、5nm〜120nmの範囲であり、好ましくは11nm〜55nmの範囲である。
【0061】
【化2】
Figure 0003732985
【0062】
【化3】
Figure 0003732985
【0063】
発光層4の主成分であるTPDの分子の簡略化した化学式はC38322 であり、TPDの分子のモル質量は516.685g/molである。また、発光層4の蛍光性ドーパントであるrubreneの分子の簡略化した化学式はC4228であり、rubreneの分子のモル質量は532.68g/molである。従って、本実施例では、発光層4におけるドーパントと主成分であるTPDとのモル質量の比(ドーパント/ホスト)は1.0310となり、ドーパントと主成分のモル質量は約3.1%しか違っていない。
【0064】
真空蒸着法において蒸着される各分子は、各分子の蒸発源の温度と各分子のモル質量とによって物理法則に基づいて決定される平均自由行程に従って飛行することができる。従って、蒸着される各分子の真空中、すなわち気体相中での振る舞いは、分子のモル質量によってほとんど支配されることが理解される。本実施例では、ドーパントと主成分のモル質量がほぼ等しく、ドーパントと主成分は気体相中でほとんど同じように振る舞い、気体相中でほぼ完全に混合された分子ビームを形成しながら基板に到達して固体相に変化する。従って、ドーパントと主成分とが理想的に混合された発光層4が形成される。
【0065】
一方、ドーパントと主成分のモル質量が大きく異なる場合には、モル質量のより小さい分子は相対的により速い線速度で飛行するので、微視的にみると気体相中ではモル質量のより小さい分子の分子ビームと、モル質量のより大きい分子の分子ビームとが分離されていると考えられ、基板に到達して固体相に変化した各分子は、それぞれ独立した微細な集合体を形成する傾向があると考えられる。従って、ドーパントと主成分のモル質量が大きく異なる場合には、ドーパントと主成分とが理想的に混合された発光層4は形成されないと考えられる。
【0066】
発光層4を形成する際の基板上への蒸着速度は、TPDとrubreneとの合計で0.10nm・s-1に設定したが、0.0004〜2nm・s-1の範囲内で変更可能である。発光層4を形成する際の基板温度は、200℃以下の範囲で変更可能であるが、ホール注入輸送層3を形成する材料及び発光層4を形成する材料のいずれのガラス転移温度をも超えないことが好ましい。従って、TPDを用いる場合には、基板温度を80℃以下の範囲に保つようにすることが特に好ましい。
【0067】
電子注入輸送層5は、化4に示すbis(10−hydroxybenzo[h]quinolinate)beryllium(通称Bebq)から形成される。電子注入輸送層5の厚みは38nmである。電子注入輸送層5の厚みは、一般に5nm〜160nmの範囲であり、好ましくは25nm〜70nmの範囲である。Bebqの分子の簡略化した化学式はC26162 2 Beであり、Bebqの分子のモル質量は397.44g/molである。
【0068】
【化4】
Figure 0003732985
【0069】
電子注入輸送層5を形成する際の基板上への蒸着速度は、0.10nm・s-1に設定したが、0.0004〜2nm・s-1の範囲で変更可能である。電子注入輸送層5を形成する際の基板温度は、200℃以下の範囲で変更可能であるが、ホール注入輸送層3を形成する材料及び発光層4及び電子注入輸送層5を形成する材料のいずれのガラス転移温度をも超えないことが好ましい。従って、TPDが用いられる場合には、基板温度を80℃以下の範囲に保つようにすることが特に好ましい。
【0070】
陰極の形成
以上のようにして、ホール注入輸送層3、発光層4、及び電子注入輸送層5から構成される有機電界発光層8をガラス基板1上に形成した後、陰極6を形成する。陰極6は、透明陽極2と交叉するように、ステンレススチール製のシャドーマスクを用いて、真空蒸着法により所定のパターンに形成する。
【0071】
陰極6は、圧力約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で蒸着した。陰極6の厚みは300nmとした。陰極6の厚みは一般には、50nm〜500nmの範囲である。
【0072】
陰極6を形成する材料としては、電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素fとしてCeを1.0質量%含み、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きく、かつ、炭素よりも小さく、かつ、ヨウ素よりも小さい元素pとしてAlを95.0質量%含み、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素dとしてNiを4.0質量%含むように、水晶振動子式の膜厚モニター装置で、各元素に対応する蒸発源からの蒸発速度を制御しながら、共蒸着させ、合金様の化合物及び/または混合物からなる陰極6を形成した。なお、ここで、質量%とは、各成分の含有率を質量比で算出した百分率の単位である。
【0073】
各元素の電気陰性度は以下のとおりである:Ce(1.1〜1.2であり、小数第1桁目は測定誤差が含まれるため未確定である)、Al(1.5)、Ni(1.8)。
【0074】
各元素の原子量は以下のとおりである:Ce(140.115g/mol)、Al(26.981539g/mol)、Ni(58.6934g/mol)。上記質量比を原子数比に換算すると、{1質量%/(140.115g/mol)}対{4質量%/(58.6934g/mol)}対{95質量%/(26.981539g/mol)}、すなわち、Ce(0.198原子%)、Ni(1.90原子%)、Al(97.9原子%)となる。ここで、原子%とは、各成分の含有率を原子数比で算出した百分率の単位である。
【0075】
上記の陰極6を構成する各元素の電気陰性度を、上記の原子数比で重み付けした平均値Eave を求めると、Ceの電気陰性度を1.15と仮定した場合には、Eave =1.50となる。
【0076】
また、元素fとして含まれるCeの含有量は、質量比で0.001%〜35%の範囲で変更可能であり、好ましくは0.1%〜10%の範囲で変更可能であり、さらに好ましくは0.3%〜3%の範囲で変更可能である。元素dとして含まれるNiの含有量は、質量比で0%〜99.9%の範囲で変更可能であり、好ましくは0.1%〜50%の範囲で変更可能であり、さらに好ましくは1%〜15%の範囲で変更可能である。元素dと元素fとの含有量の比率(d/f)は、質量比で2以上であることが好ましい。
【0077】
陰極6を形成する際の各元素の基板上への蒸着速度は以下のように設定した:Ce(3.0ng・cm-2・s-1)、Al(285ng・cm-2・s-1)、Ni(12.0ng・cm-2・s-1)。また、各元素に対応する蒸発源として、Al及びNiについてはそれぞれの元素の単体すなわち純粋な金属を用い、Ceの蒸発源としては、Ceを5質量%含有するAl合金を用いた。Alの基板への蒸着速度は、1.0〜5100ng・cm-2・s-1の範囲で変更可能であり、好ましくは60〜1100ng・cm-2・s-1の範囲で変更可能である。また、他の元素の基板上への蒸着速度は、各元素に対応する所望の含有量の質量比に応じて設定することができる。
【0078】
なお、各元素の単体の室温における密度は以下のとおりである:Ce(6.8g/cm3 )、Al(2.69g/cm3 )、Ni(8.85g/cm3 )。従って、陰極6の密度は、約2.8g/cm3 であると推定される。
【0079】
また、本実施例では、陰極6を真空蒸着法により形成したが、他の好ましい実施の形態としては、陰極6をスパッタリング法等により形成しても良い。スパッタリング法により形成する場合には、元素fと元素pを含む混合物及び/または化合物や、元素fと元素pと元素dを含む混合物及び/または化合物をターゲットとして、スパッタリングを行っても良い。
【0080】
保護膜の形成
保護膜7は酸化珪素(SiO)から形成した。保護膜7の厚みは200nmとした。保護膜7の厚みは、通常、20nm以上であればよく、好ましくは80nm〜500nmの範囲であり、保護膜として用いる材質により適宜変更することができる。保護膜7は真空蒸着法により形成した。保護膜7を形成する際の基板上への蒸着速度は0.5nm・s-1に設定したが、0.002〜10nm・s-1の範囲で変更可能である。保護膜7は絶縁性物質であることが好ましい。保護膜7は、水分や酸素等によって、陰極6や有機電界発光層8が変質する現象を抑制する目的で設けられるものである。しかしながら、本発明の有機EL素子においては、必ずしも設ける必要はない。
【0081】
有機EL素子の特性評価
以上のようにして作製した有機EL素子は、直流電圧5.0Vを印加すると、rubreneの励起状態からの発光と考えられる黄色発光が得られた。また、発光輝度L5Vは500cd/m2 であり、発光効率は10.9cd/A及び6.9lm/Wであった。
【0082】
また、発光輝度が100cd/m2 のときの発光効率は、11.7cd/A及び10.1lm/Wであった。
この素子を相対湿度20%以下の乾燥空気中で、初期輝度500cd/m2 から電流密度が46A/m2 のまま一定となるように直流定電流駆動を続けたところ、100時間経過後の発光輝度は400cd/m2 であり、初期輝度に対する100時間経過後の輝度の比率R100hは80%を維持していた。
【0083】
また、500時間経過後の発光輝度は350cd/m2 であり、初期輝度に対する500時間経過後の輝度の比率R500hは70%を維持しており、ダークスポットも認められなかった。
【0084】
また、温度20℃〜30℃、及び湿度55%〜65%の空気中で、500時間放置後に発光させたところ、ダークスポットは認められず、均一な発光を示した。
【0085】
(実施例2〜32)
陰極材料として、表1〜表5に示す元素f、元素p、及び元素dを含む組成の混合物及び/または化合物を用いる以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0086】
直流電圧5V印加時の発光輝度L5Vと、相対湿度20%以下の乾燥空気中で初期輝度500cd/m2 から電流密度が一定となるように直流定電流駆動を続けたときの500時間経過後の発光輝度L500hとを測定した。
【0087】
表1〜表5には、各元素の電気陰性度を原子数比で重み付けして求められる電気陰性度の平均値Eave 、5V印加時の発光輝度L5V、500時間経過後の輝度の比率R500hを示す。
【0088】
なお、実施例30においては、元素dを含まず、元素fとしてCeを1.0重量%含み、元素pとしてSbを99.0質量%含む組成の混合物及び/または化合物を陰極として使用した。同様に、実施例31においては、元素dを含まない組成の混合物及び/または化合物を陰極として使用した。
【0089】
【表1】
Figure 0003732985
【0090】
【表2】
Figure 0003732985
【0091】
【表3】
Figure 0003732985
【0092】
【表4】
Figure 0003732985
【0093】
【表5】
Figure 0003732985
【0094】
(比較例1〜10)
陰極材料として、表6及び表7に示す組成(元素a,b,及びc)の混合物及び/または化合物を用いる以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0095】
得られた有機EL素子について、上記実施例と同様にして特性を評価し、その結果を表6及び表7に示した。
【0096】
【表6】
Figure 0003732985
【0097】
【表7】
Figure 0003732985
【0098】
表1〜表5に示す実施例の結果と表6及び表7に示す比較例の結果を比較すれば明らかなように、本発明の有機EL素子は、発光輝度が高く、長期間にわたる駆動中の輝度低下が抑制されている。
【0099】
(実施例33)
rubreneの代わりに、naphthaceneを発光層4の蛍光性のドーパントとして質量比で5.0%含有させる以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。なお、naphthaceneは、rubreneと同じくベンゼン環が4個直線状に縮合した骨格を有するが、rubreneと異なりフェニル基を有しない芳香族性化合物である。naphthaceneの構造式は化5に示すとおりである。
【0100】
【化5】
Figure 0003732985
【0101】
得られた有機EL素子に直流電圧5.0Vを印加すると、naphthaceneの励起状態からの発光であると考えられる黄色発光が得られ、発光輝度L5Vは327cd/m2 であり、発光効率は7.1cd/A及び4.8lm/Wであった。また、発光輝度が100cd/m2 時の発光効率は7.3cd/A及び5.2lm/Wであった。
【0102】
この素子を相対湿度20%以下の乾燥空気中で、初期輝度500cd/m2 から電流密度が一定となるように直流定電流駆動を続けたところ、100時間経過後の発光輝度は323cd/m2 であり、初期輝度に対する100時間経過後の輝度の比率R100hは64%を維持していた。また、500時間経過後の発光輝度は251cd/m2 であり、初期輝度に対する500時間経過後の輝度の比率R500hは50%を維持しており、ダークスポットも認められなかった。また、温度20℃〜30℃、湿度55%〜65%の空気中で500時間放置後に発光させたところ、ダークスポットは認められず、均一な発光を示した。
【0103】
ここで、発光層4の蛍光性のドーパントであるnaphthaceneの分子の簡略化した化学式はC1812であり、naphthaceneの分子のモル質量は228.29g/molである。従って、本実施例では、発光層4におけるドーパントのモル質量と主成分であるTPDのモル質量516.685g/molとの比は0.44184となり、ドーパントと主成分のモル質量は約2.263倍異なる点を指摘できる。
【0104】
(実施例34)
rubreneの代わりに、anthraceneを発光層4の蛍光性のドーパントとして質量比で5.0%含有させる以外は、上記実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。なお、anthraceneは、ベンゼン環が3個直線状に縮合した骨格を有し、rubreneと異なりフェニル基を有しない芳香族性化合物である。anthraceneの構造式は化6に示すとおりである。
【0105】
【化6】
Figure 0003732985
【0106】
得られた有機EL素子に直流電圧5.0Vを印加すると、anthraceneの励起状態からの発光であると考えられる青色発光が得られ、発光輝度L5Vは317cd/m2 であり、発光効率は6.9cd/A及び4.6lm/Wであった。また、発光輝度が100cd/m2 時の発光効率は7.0cd/A及び4.7lm/Wであった。
【0107】
この素子を相対湿度20%以下の乾燥空気中で、初期輝度500cd/m2 から電流密度が一定となるように直流定電流駆動を続けたところ、100時間経過後の発光輝度は192cd/m2 であり、初期輝度に対する100時間経過後の輝度の比率R100hは38%を維持していた。また、500時間経過後の発光輝度は45cd/m2 であり、初期輝度に対する500時間経過後の輝度の比率R500hは9%を維持しており、ダークスポットが多数認められた。また、温度20℃〜30℃、湿度55%〜65%の空気中で500時間放置後に発光させたところ、ダークスポットは認められず、均一な発光を示した。
【0108】
ここで、発光層4の蛍光性のドーパントであるanthraceneの分子の簡略化した化学式はC1410であり、anthraceneの分子のモル質量は178.23g/molである。従って、本実施例では、発光層4におけるドーパントのモル質量と主成分であるTPDのモル質量516.685g/molとの比は0.34495となり、ドーパントと主成分のモル質量は約2.899倍異なる点を指摘できる。
【0109】
実施例33及び実施例34の結果から明らかなように、発光層における蛍光性ドーパントを代えた場合においても、本発明によれば、高い発光効率及び発光輝度が得られており、長期間にわたる駆動中の輝度低下が抑制されることがわかる。
【0110】
上記実施例においては、有機電界発光層として、ホール注入輸送層、発光層、及び電子注入輸送層からなる構造のものを例示したが、本発明はこの積層構造に限定されるものではなく、その他の積層構造のものにも適用され得るものである。また、実施例において使用した発光材料、ドーピング材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、陽極材料等に限定されるものではなく、また製造工程も実施例の製造工程に限定されるものではない。
【0111】
(実施例35)
図2は、実施例35の有機エレクトロルミネッセント素子の構造を示す断面図ある。図2に示すように、ガラス基板11の上には、透明陽極12が形成されている。発光素子をマトリックス状に配置し表示ディスプレイとして用いる場合には、ガラス基板11上に複数の帯状の透明陽極12をそれぞれ平行にパターニングして形成する。透明陽極12の上には、それぞれ有機材料からなる、ホール注入層13a、ホール輸送層13b、及び発光層14が順次積層して形成されている。有機電界発光層18は、ホール注入層13a、ホール輸送層13b、及び発光層14から構成されている。発光層14の上には、第1陰極層16aが形成されている。第1陰極層16aの上には、第2陰極層16bが形成されている。第2陰極層16bの上には、第3陰極層16cが形成されている。陰極16は、第1陰極層16a,第2陰極層16b、及び第3陰極層16cから構成されている。陰極16の上には保護膜17が設けられている。
以下、本実施例の有機エレクトロルミネッセント素子の製造工程について説明する。
【0112】
透明陽極の形成
ガラス基板11の上に、実施例1と同様にして、複数の帯状の透明陽極12をそれぞれ平行にパターニングして形成する。本実施例では、透明陽極12は、酸化インジウム錫(ITO)を用いて、平均膜厚が200nmとなるように形成している。
【0113】
有機電界発光層の形成
透明陽極12を形成したガラス基板11の上に、ホール注入層13a、ホール輸送層13b、及び発光層14をこの順序で真空蒸着法により形成する。ホール注入層13a、ホール輸送層13b、及び発光層14は、圧力が約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で蒸着する。
【0114】
ホール注入層13aは、化7に示すcopper(II)phthalocyanine(通称CuPc)から形成している。本実施例において、ホール注入層13aの厚みは10nmとしている。CuPcの分子の簡略化した化学式はC32168 Cuであり、CuPcの分子のモル質量は576.08g/molである。
【0115】
【化7】
Figure 0003732985
【0116】
ホール輸送層13bは、化8に示すN,N′−di−1−naphthalenyl−N,N′−diphenyl−(1,1′−biphenyl)−4,4−diamine(通称NPB)から形成している。本実施例において、ホール輸送層13bの厚みは80nmとしている。NPBの分子の簡略化した化学式はC44322 であり、NPBの分子のモル質量は588.0g/molである。
【0117】
【化8】
Figure 0003732985
【0118】
発光層14は、化9に示すaluminum tris(quinoline−8−olate)(通称Alq3 )から形成している。本実施例において、発光層14の厚みは40nmとしている。Alq3 の分子の簡略化した化学式はC27183 3 Alであり、Alq3 の分子のモル質量は459.44g/molである。
【0119】
【化9】
Figure 0003732985
【0120】
陰極の形成
以上のようにして、ホール注入層13a、ホール輸送層13b、及び発光層14から構成される有機電界発光層18をガラス基板11上に形成した後、陰極16を形成する。陰極16は、透明陽極12と交差するように、ステンレススチール製のシャドーマスクを用いて、真空蒸着法により所定のパターンに形成する。陰極16は、発光層14の上に、第1陰極層16a、第2陰極層16b、及び第3陰極層16cをこの順序で積層することにより形成する。
【0121】
第1陰極層16aは、元素fとしてのCeから実質的に形成されている。第1陰極層16aは、圧力約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で蒸着により形成する。本実施例において、第1陰極層16aの厚みは1nmである。第1陰極層16aの厚みは、好ましくは5nm以下であり、さらに好ましくは0.1〜5nmの範囲である。Ceは希土類元素の1つで、その中では地殻中の存在度が46ppmと最大であり、希土類元素の中では最も資源の枯渇の可能性が低いと考えられる。また、Ceの原子量は140.12g/molと大きすぎることのない好ましい値であり、アルカリ土類金属元素のBa(原子量137.323g/mol)と同程度であり、スパッタリング法や真空蒸着法によって良質な薄膜状の陰極を形成しやすい。Ceの蒸気圧は、文献によれば、1572℃において0.1333Pa、1737℃において1.333Pa、1947℃において13.33Paと、比較的高いので、真空蒸着法で陰極を形成する場合においても、2000℃以下の温度で蒸着を行うことが可能である。また、電気陰性度が小さいため、Ceを含む陰極では、有機電界発光層18への電子注入が容易となる。これらの理由により、本実施例の第1陰極層16aにCeを用いている。
【0122】
第2陰極層16bは、第1陰極層16aとの界面から第3陰極層16cとの界面に向かうにつれて、元素fであるCeの含有量が減少し、元素pであるAlの含有量が増加する厚み方向の傾斜構造を有している。第1陰極層16aとの界面においては、Ceが100質量%であり、第3陰極層16cとの界面近傍においては、Ce7.5質量%、Al92.5質量%の組成となっている。このような傾斜構造を有する第2陰極層16bは、圧力約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で、水晶振動子式の膜厚モニター装置を用いて、Ce及びAlの各蒸発源からの蒸発速度が、上記所定の厚み方向の傾斜構造を形成するように制御しながら、共蒸着させることにより形成する。本実施例において、第2陰極層16bの厚みは20nmである。第2陰極層16bの厚みは一般には、1〜40nmの範囲である。
【0123】
第3陰極層16cは、元素pとしてのAlから実質的に形成されている。第3陰極層16cは、圧力約0.1mPaの減圧雰囲気中で、基板温度25℃の条件で蒸着することにより形成する。第3陰極層16cの厚みは300nmである。第3陰極層16cの厚みは一般には、50〜400nmである。第3陰極層16cを形成するAlは電気抵抗率2.655μΩcmであり、Ce(電気抵抗率75.0μΩcm)と比較して、電気伝導性が高いので、この第3陰極層16cの厚みを厚くすることにより、陰極16全体の電気抵抗を低減させている。
【0124】
本実施例では、実質的にCeからなる第1陰極層16aと、実質的にAlからなる第3陰極層16cの間に、上記の傾斜構造を有する第2陰極層16bが設けられている。このため、第1陰極層16aと第2陰極層16bとの層間、並びに第2陰極層16bと第3陰極層16cとの層間のなじみが良好になり、層間剥離等が生じにくくなるとともに、CeとAlの熱膨張係数の違いによる熱的ショックを緩和することができる。
【0125】
なお、本実施例では、第1陰極層16aを元素fとしてのCeによって実質的に構成し、第3陰極16cを元素pとしてのAlによって実質的に構成し、第2陰極層16bを厚み方向の傾斜構造を有するように、上記の元素fと元素pから構成するようにしたが、これに限られず、第1陰極層16a、第2陰極層16b、第3陰極層16cのうち少なくとも1層に、その他の元素を含むようにしても良い。
【0126】
前記のその他の元素としては、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dを用いるのが好ましいが、目的に応じてどのような元素を用いても良い。
【0127】
例えば、第1陰極層16aを元素fとしてのYbと、第2の元素pとしてのZnとから実質的に構成するようにして、第1陰極層16a中のYbの平均濃度を50質量%、Znの平均濃度を50質量%とし;第2陰極層16bを元素fとしてのYbと第2の元素pとしてのZnと第1の元素pとしてのAlとから実質的に構成するようにして、第1陰極層16aと第2陰極層16bとの界面におけるYbの平均濃度を50質量%、Znの平均濃度を50質量%、Alの平均濃度を0質量%とし、第2陰極層16bと第3陰極層16cとの界面近傍におけるYbの平均濃度を0質量%、Znの平均濃度を0質量%、Alの平均濃度を100質量%とするように、厚み方向の傾斜構造とし;第3陰極層16cを第1の元素pとしてのAlのみから実質的に構成するようにすることができる。
【0128】
保護膜の形成
保護膜17は、実施例1と同様にして酸化珪素(SiO)から形成する。保護膜17の厚みは300nmとしている。
【0129】
(比較例11)
実施例35における陰極16を、Mg−In合金(Mg90質量%:In10質量%)からなる1つの層(厚み300nm)で形成する以外は、実施例35と同様にして比較の有機EL素子を作製する。
【0130】
有機EL素子の特性評価
以上のようにして作製した実施例35及び比較例11の有機EL素子について、直流電圧14Vを印加したときの初期輝度及び初期の発光効率を測定した。測定結果を表8に示す。
【0131】
【表8】
Figure 0003732985
【0132】
表8に示すように、本発明に従う実施例35の有機EL素子では、初期の発光効率が比較例11に比べ高くなっている。
次に、相対湿度20%以下の乾燥空気中で、駆動電流密度を100A/m2 と一定にして直流定電流駆動を続けたときの、初期及び500時間経過後における輝度、発光効率、及び色度を測定した。測定結果を表9に示す。
【0133】
【表9】
Figure 0003732985
【0134】
表9に示すように、本発明に従う実施例35の有機EL素子は、比較例11に比べ、500時間経過後も高い輝度を示し、良好な発光効率を示している。また、色度もほとんど変化がないことがわかる。
【0135】
上記実施例においては、有機電界発光層として、ホール注入層、ホール輸送層、及び発光層からなる構造のものを例示したが、本発明はこの積層構造に限定されるものではなく、その他の積層構造のものにも適用され得るものである。また、実施例において使用した発光材料、ホール注入材料、ホール輸送材料、電極材料等に限定されるものではなく、また製造工程も実施例の製造工程に限定されるものではない。
【0136】
【発明の効果】
本発明の有機EL素子によれば、発光効率を向上させることができ、所定の発光輝度を得るために必要とされる電圧を低下させることができる。従って、駆動電圧を低減することができる。また、所定電圧を印加した場合には、発光輝度を増加させることができる。
【0137】
さらに、所定の電流密度で連続発光させた際に見られる、発光輝度が時間の経過と共に減少する現象を少なくともある期間において抑制することができ、所定の電流密度及び/または所定の印加電圧による駆動で得られる発光輝度を、より長期間にわたって一定値以上とすることができる。従って、素子の駆動寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例の有機エレクトロルミネッセント素子を示す断面図。
【図2】本発明に従う他の実施例の有機エレクトロルミネッセント素子を示す断面図。
【符号の説明】
1…ガラス基板
2…透明陽極
3…ホール注入輸送層
4…発光層
5…電子注入輸送層
6…陰極
7…保護膜
8…有機電界発光層
11…ガラス基板
12…透明陽極
13a…ホール注入層
13b…ホール輸送層
14…発光層
16…陰極
16a…第1陰極層
16b…第2陰極層
16c…第3陰極層
17…保護膜
18…有機電界発光層

Claims (13)

  1. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてSb、前記元素dとしてCoを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  2. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてSb、前記元素dとしてCuを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  3. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてSb、前記元素dとしてAuを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  4. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてSb、前記元素dとしてPdを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  5. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてGe、前記元素dとしてAgを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  6. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてC、前記元素dとしてCoを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  7. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてN、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  8. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてS、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  9. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてO、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  10. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてSe、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  11. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてCe、前記元素pとしてTe、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  12. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてBe、前記元素pとしてAl、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
  13. 陽極と陰極の間に発光物質を含む層を設け、電気エネルギーを発光物質に供給し発光させる有機エレクトロルミネッセント素子であって、
    電気陰性度がカルシウムよりも大きく、かつ、バナジウムと等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素fと、電気陰性度がアルミニウムと等しいかより大きい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素pと、上記元素fまたは元素pに選ばれなかった元素であって、電気陰性度が鉄、コバルト、ニッケルのいずれかと等しいかより大きく、かつ、電気陰性度が金と等しいかより小さい元素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素dとを含む前記陰極を備え、前期元素fとしてSc、前記元素pとしてS、前記元素dとしてNiを用いた有機エレクトロルミネッセント素子。
JP36271099A 1998-12-25 1999-12-21 有機エレクトロルミネッセント素子 Expired - Fee Related JP3732985B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36271099A JP3732985B2 (ja) 1998-12-25 1999-12-21 有機エレクトロルミネッセント素子

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37079998 1998-12-25
JP10-370799 1999-12-10
JP35192999 1999-12-10
JP11-351929 1999-12-10
JP36271099A JP3732985B2 (ja) 1998-12-25 1999-12-21 有機エレクトロルミネッセント素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001230084A JP2001230084A (ja) 2001-08-24
JP3732985B2 true JP3732985B2 (ja) 2006-01-11

Family

ID=27341398

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36271099A Expired - Fee Related JP3732985B2 (ja) 1998-12-25 1999-12-21 有機エレクトロルミネッセント素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3732985B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SG142163A1 (en) * 2001-12-05 2008-05-28 Semiconductor Energy Lab Organic semiconductor element
JP3953330B2 (ja) * 2002-01-25 2007-08-08 三洋電機株式会社 表示装置
US6765349B2 (en) * 2002-09-30 2004-07-20 Eastman Kodak Company High work function metal alloy cathode used in organic electroluminescent devices
JP2005283911A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Fuji Photo Film Co Ltd エレクトロルミネッセンス表示パネル
ES2440820T3 (es) 2007-05-03 2014-01-30 Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Tinta conductora y conductor

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001230084A (ja) 2001-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4581355B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
US7868536B2 (en) Organic light emitting device
US7648780B2 (en) Electroluminescent devices with low work function anode
JPH11307264A (ja) 有機電界発光素子
JP5111741B2 (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JPH04212287A (ja) 有機薄膜el素子
JP2002540566A (ja) 有機エレクトロルミネセンス構成部材
JP2008031496A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス用透明電極
KR100842980B1 (ko) 유기 전기발광 소자
JP3951425B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP3732985B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセント素子
US6781305B1 (en) Organic electroluminescent device having negative electrode containing a selective combination of elements
JPH11121179A (ja) 有機薄膜el素子
JP3651347B2 (ja) 有機電界発光素子
WO2004045254A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示素子の製造方法
JP4428502B2 (ja) 有機電界発光素子用電極基板およびその製造方法並びに有機el発光装置
JP2004139780A (ja) 有機電界発光装置用電極基板および有機電界発光装置およびその装置の製造方法
WO2005002289A1 (ja) 電界発光素子
JP3932605B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4268161B2 (ja) 有機電界発光素子用電極基板および有機el発光装置
JP4241003B2 (ja) 有機電界発光素子用電極基板および有機el発光装置
JP2005060459A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料および有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003229279A (ja) 有機電界発光素子
JPH0997676A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH11167991A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050411

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050715

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20050831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051014

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081021

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091021

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees