JP3728432B2 - 支保工建て込み装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル内に支保工材料を建て込むための支保工建て込み装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小断面トンネルを施工する場合には、例えば、掘削機で地盤を掘削し、掘削した地山を鋼製支保工で被覆して地山の崩壊を防止している。この鋼製支保工は、H鋼といった型鋼を支保工材料としてトンネルの壁面に一定間隔で建て込み、その建て込んだ型鋼相互に矢板をかけて地山を支える方式の支保工である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
支保工を組み立てるに当たり、人力で移動できない重量の支保工材料を用いる場合には、その支保工材料を揚重するための機械を使う。小断面トンネルの場合には、支保工材料の建て込みは、バックホウなどのずり積み機のバケットを利用したり、ホイストを利用したりして行う。
しかし、ずり積み機は建て込みの専用装置ではないため、ずり積み機による揚重は施工性及び安全性の側面で改善の余地がある。また、ホイストの場合には玉掛ワイヤーによる吊り下げのためハンドリングが不安定で、切羽に接近した狭隘な場所での施工には施工性及び安全性の側面で改善の余地がある。
【0004】
そこで本発明では、より施工性及び安全性を高めて支保工材料の建て込みが可能となる支保工建て込み装置を提供することを課題とする。
【0005】
本発明の支保工建て込み装置は、支保柱材料を着脱可能に把持する把持部と、トンネルの掘削方向に沿って設置されている搬送レールに走行可能なように取り付けられている車輪を有し、搬送レールに沿って往来可能な搬送手段と、搬送手段を構成する縦フレームの、車輪から掘削方向に突出した部分に取り付けられ、搬送レールに沿った軸と略直交する水平方向に移動可能な横行装置と、を備える支保工建て込み装置であって、横行装置は、当該横行装置の一部に対して昇降可能に取り付けられている横フレームを有し、把持部は、横フレームに、トンネル側壁面と略直交する水平方向に延びる水平軸周りに回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の支保工建て込み装置では、把持部が搬送レールに沿って往来可能なように構成されているので、トンネルの入り口で支保工材料を取り付けた把持部をトンネルの奥に搬送することができる。搬送レールに沿った軸と交わる第一回転軸を中心として把持部を回転させることができるので、例えば、搬送レールに沿った状態で送り込んだ支保工材料を回転させてトンネルの壁面や天面に沿わせ、建て込むことができる。把持部をトンネルの壁面に沿う方向に移動させることができるので、適切な位置に支保工材料を建て込むことができる。
【0008】
また本発明の支保工建て込み装置においては、把持部は、支保柱材料を水平軸と直交する軸を中心として回転可能なように支持する支保工材料支持部材を含むことが好ましい。例えば、支保工材料をトンネルの壁面に沿わせる際に、支保工材料の上端部を先にトンネルの壁面に当接させて、その後支保工材料支持部材を中心として支保工材料を回転させながらその下端部をトンネルの壁面に当接させるといった手法で建て込むことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の知見は、例示のみのために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
本発明の実施形態である支保工建て込み装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は支保工建て込み装置10の構成をトンネル20の掘削方向に沿った断面で示す図であり、図2は支保工建て込み装置10の構成をトンネル20の入り口方向から示した図である。支保工建て込み装置10は、搬送レール101と、上部水平材(支保工材料)30を把持する把持部105、支柱材(支保工材料)40を把持する把持部107とを含む。
【0011】
搬送レール101は、トンネル20の掘削方向に沿って一対配置されており、トンネル20の両壁面に配置される支柱材40それぞれに連結固定されている。搬送レール101は、トンネル20の最も奥側に現に配置されている支柱材40よりもやや奥に突出するように配置されている。
【0012】
一対の搬送レール101には、車輪102a及び車輪102bがそれぞれ走行可能に取り付けられている。車輪102aは、搬送レール101を挟み込むように構成されており、後述する縦フレーム103の先端に荷重がかかっても脱輪しないようになっている。また、車輪102aよりもトンネル20の奥方向に配置されている車輪102bは、本実施形態では搬送レール101の上面に戴置されている形態を採用しているけれども、車輪102aと同様に搬送レール101を挟み込むような態様も採用可能である。トンネル20の両側に配置されている車輪102aはそれぞれ横フレーム108で連結されている。同様に車輪102bもそれぞれ横フレーム108で連結されている。車輪102aを連結する横フレーム108及び車輪102bを連結する横フレーム108は、2本の縦フレーム103で連結されている。
【0013】
縦フレーム103は、車輪102b方向に突出しており、その突出した先端部には横行装置(進退手段)109が取り付けられている。従って、車輪102bを搬送レール101の最も奥側まで持っていくと、縦フレーム103がトンネル20の最も奥側に現に配置されている支柱材40よりも十分奥に突出することとなる。横行装置109は、縦フレーム103に固定されている部分と、車輪109aを介してトンネル20の横方向(搬送レール101に沿った軸と交わる方向)に移動可能な部分とを含んで構成されている。
【0014】
横行装置109の縦フレーム103に固定されている部分には、支持部(把持部支持手段)104に取り付けられた把持部105がトンネル20の天面方向に突出して配置されている。把持部105は、上部水平材30を戴置することが可能であり、支持部104を中心として回転可能である。支持部104は、油圧昇降機(図示しない)をその内部に備えており、上部水平材30を戴置した把持部105を昇降することが可能である。
【0015】
横行装置109の横方向に移動可能な部分には、2本の油圧昇降機(昇降手段)106を介して横フレーム110が取り付けられている。横フレーム110は油圧昇降機106によって昇降可能に構成されている。横フレーム110の両端には、支柱材40を把持するための把持部107が取り付けられている。把持部107は、横フレーム110に沿って配置されている把持部固定ピン111によって横フレーム110に連結されている。従って、把持部107は把持部固定ピン(把持部支持手段)111を中心として(第一回転軸として)回転可能である。
【0016】
把持部107は、支柱材40を把持可能なようにコ字状断面を有している。そのコ字状断面の部分には貫通孔が設けられており、支柱材40に同じく設けられた貫通孔とを支保工材料固定ピン(支保工材料支持部材)107aで貫通固定できるように構成されている。従って、把持部107に支保工材料固定ピン107aによって取り付けられた支柱材40は、その支保工材料固定ピン107aを中心として(第二回転軸として)回転可能である。
【0017】
本実施形態では、本発明の搬送手段に対応して、車輪102a、102b、横フレーム108、110、縦フレーム103といった各部材が用いられているけれども、把持部107を搬送レール101に沿って搬送可能に構成できれば、これらの部材及びこれらの部材の組み合わせに限られるものではない。
【0018】
引き続いて、支保工建て込み装置10を用いて支柱材40を建て込む方法について、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。図3(a)は、トンネル20の掘削方向に沿った断面で示す図であり、図3(b)はトンネル20の入り口方向から示した図である。トンネル20の入り口で、把持部107に支柱材40を取り付け、支保工材料固定ピン107aで貫通固定する。支柱材40を略水平状態(図1参照)に保ち、一対の搬送レール101上を車輪102a、102bを滑走させ、支柱材40を取り付けた把持部107をトンネル20の奥まで搬送する。把持部107は、縦フレーム103の端部に取り付けられている横行装置109に油圧昇降機106を介して取り付けられているので、搬送レール101の端部まで車輪102a、102bを滑走させれば支柱材40を設置する位置まで搬送することができる。
【0019】
支柱材40をトンネル20の奥まで搬送した後、把持部107を回転させて支柱材40を立てる。支柱材40が、トンネル20の天面に接触するような場合には、適宜油圧昇降機106で支柱材40をトンネル20の壁面に沿った方向に移動させ、支柱材40をトンネル20に接触させないように所定の位置に建て込む。
【0020】
図3(b)に示すように、横行装置109によって把持部107を横方向に移動させる場合には、支保工材料固定ピン107aを中心に支柱材40を傾けることができる。支柱材40を傾けるとトンネル20の壁面に沿わせて建て込みやすくなる。その場合にも、適宜油圧昇降機106で支柱材40をトンネル20の壁面に沿った方向に移動させ、支柱材40をトンネル20に接触させないように所定の位置に建て込む。
【0021】
引き続いて、支保工建て込み装置10を用いて上部水平材30を建て込む方法について、図4を用いて説明する。図4は、トンネル20の掘削方向に沿って上から見た図である。トンネル20の入り口で、把持部105に上部水平材30を取り付ける。上部水平材30を支柱材40等に衝突しないように保ち、搬送レール101上を車輪102a、102bを滑走させ、上部水平材30を取り付けた把持部105をトンネル20の奥まで搬送する。把持部105は、縦フレーム103の端部に取り付けられているので、搬送レール101の端部まで車輪102a、102bを滑走させれば上部水平材30を所定の位置まで搬送することができる。
【0022】
上部水平材30をトンネル20の奥まで搬送した後、把持部105を回転させて上部水平材30を横に向ける。位置決めが終了すると、支持部104に含まれている油圧昇降機によって上部水平材30を上昇させて所定の位置に建て込む。
【0023】
本実施形態においては、把持部105、107が搬送レール101に沿ってトンネル20内を往来可能なように構成されているので、トンネル20の入り口で上部水平材30及び支柱材40を取り付けた把持部105、107をトンネル20の奥に搬送することができる。搬送レール101に沿った軸と交わる第一回転軸を中心として把持部105、107を回転させることができるので、搬送レール101に沿った状態で送り込んだ上部水平材30及び支柱材40を回転させてトンネル20の壁面や天面に沿わせ、建て込むことができる。把持部105、107を油圧昇降機によってトンネル20の壁面に沿う方向に移動させることができるので、適切な位置に上部水平材30及び支柱材40を建て込むことができる。
【0024】
把持部107は、横行装置109によってトンネル20の壁面に向かって近づけていくことができるので、容易に壁面に沿って支柱材40を建て込むことができる。また、支柱材40を建て込んで把持部107から取り外した後に把持部107をトンネル20の壁面から遠ざけることができるので、容易に把持部107をトンネル20の入り口方向に後退させることができる。
【0025】
把持部107が把持した支柱材40をトンネル20の壁面に沿わせる際には、支柱材40の上端部を先にトンネル20の壁面に当接させて、その後支保工材料支持ピン107aを中心として支柱材40を回転させながらその下端部をトンネル20の壁面に当接させるといった手法で建て込むことができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、把持部が搬送レールに沿って往来可能なように構成されているので、入り口で支保工材料を取り付けた把持部をトンネルの奥に搬送することができる。搬送レールに沿った軸と交わる第一回転軸を中心として把持部を回転させることができるので、例えば、搬送レールに沿った状態で送り込んだ支保工材料を回転させてトンネルの壁面や天面に沿わせ、建て込むことができる。把持部をトンネルの壁面に沿う方向に移動させることができるので、適切な位置に支保工材料を建て込むことができる。従って本発明の目的とする、より施工性及び安全性を高めて支保工材料の建て込みが可能となる支保工建て込み装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である支保工建て込み装置の構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態である支保工建て込み装置の構成を示した図である。
【図3】本発明の実施形態である支保工建て込み装置を利用して支保工材料を建て込む様子を示した図である。
【図4】本発明の実施形態である支保工建て込み装置を利用して支保工材料を建て込む様子を示した図である。
【符号の説明】
10…支保工建て込み装置、20…トンネル、30…上部水平材、40…支柱材、101…搬送レール、102a…車輪、102b…車輪、103…縦フレーム、104…支持部、105…把持部、106…油圧昇降機、107…把持部、107a…把持部固定ピン。
Claims (2)
- 支保柱材料を着脱可能に把持する把持部と、
トンネルの掘削方向に沿って設置されている搬送レールに走行可能なように取り付けられている車輪を有し、前記搬送レールに沿って往来可能な搬送手段と、
前記搬送手段を構成する縦フレームの、前記車輪から前記掘削方向に突出した部分に取り付けられ、前記搬送レールに沿った軸と略直交する水平方向に移動可能な横行装置と、を備える支保工建て込み装置であって、
前記横行装置は、当該横行装置の一部に対して昇降可能に取り付けられている横フレームを有し、
前記把持部は、前記横フレームに、前記トンネル側壁面と略直交する水平方向に延びる水平軸周りに回転可能に支持されていることを特徴とする支保工建て込み装置。 - 前記把持部は、前記支保柱材料を前記水平軸と直交する軸を中心として回転可能なように支持する支保工材料支持部材を含む、請求項1に記載の支保工建て込み装置。
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JP2002261745A JP3728432B2 (ja) | 2002-09-06 | 2002-09-06 | 支保工建て込み装置 |
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