JP3725686B2 - 窒化アルミニウムウィスカーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた特性を有する窒化アルミニウムウィスカーを簡便かつ低コストで製造することが可能な新しい窒化アルミニウムウィスカーの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、半導体電子回路で使用される樹脂封止材に充填される高熱伝導フィラー等の材料として好適に使用される窒化アルミニウムウィスカーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、窒化アルミニウムウィスカーの製造方法としては、昇華再結晶法が広く知られている(例えば、電気化学 vol.10,P743(1972))。また、AlCl3 等の気相種を用いた気相合成法及び表面微酸化Al粉による直接窒化によるウィスカーの製造も報告されている(日本セラミックス協会学術論文誌vol.97,No.8,P864(1989))。
【0003】
しかしながら、昇華再結晶法では一旦昇華させるため操作温度が1800〜2000℃と非常に高くなり、工業的ではない。また気相合成法も量産には不向きであり、また、表面微酸化Al粉の使用も、原料粉に特殊な前処理が必要であることから、コストの点に問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、上記従来技術に鑑みて、従来の昇華再結晶法、気相合成法及び表面微酸化Al粉による直接窒化における上記のような問題点がなく、しかも、簡便かつ低コストで窒化アルミニウムウィスカーを製造することができる新しい方法を開発することを目的として鋭意研究を積み重ねた結果、金属アルミニウム粉末を1.0Torr以下の真空雰囲気で540〜650℃まで昇温し、その温度を維持した状態でN2 加圧雰囲気として一定時間保持して焼成することにより初期の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明によれば、上記のような問題点が無く、窒化アルミニウムウィスカーを簡便かつ経済的に、ごく一般的な市販の金属アルミニウム粉末から直接製造することができる。
【0006】
すなわち、本発明は、窒化アルミニウムウィスカーを簡便かつ低コストで製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、(1)金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を1.0Torr以下の真空雰囲気で540〜650℃まで昇温し、その温度を維持した状態でN2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気として10〜60分保持する方法、に係るものである。
また、本発明は、(2)金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を5.0Torr以下の真空雰囲気中で540〜650℃まで昇温し、その温度を維持した状態で酸素フィルターを通して酸素濃度0.1ppm以下とした2 ガスを用いてN2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気とし、10〜60分保持する方法、に係るものである。
尚、本明細書では、上記(1)の方法を参考例として記載する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の製造方法は、上記のように、金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を1.0Torr以下の真空雰囲気中で所定温度(540〜650℃)まで昇温し、その後、N2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気下で所定時間保持し、窒化アルミニウムウィスカーを製造する方法である。また、金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を5.0Torr以下の真空雰囲気中で所定温度(540〜650℃)まで昇温し、その後、酸素濃度が0.1ppm以下であるN2 ガスを用い、N2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気下で所定時間保持し、窒化アルミニウムウィスカーを製造する方法である。
本発明の製造方法は、金属アルミニウム粉末から直接窒化アルミニウムウィスカーを得るものであり、従来の昇華再結晶法、気相合成法とは異なる新しい方法であり、生産効率及び経済性に優れている。
【0009】
本発明にかかる製造工程について具体的に説明すると、原料として金属アルミニウム粉末を使用する。この場合、通常市販されている粒径が数〜数十μmのアトマイズド粉、等がそのまま使用でき、特殊な粉末を用いたり、前処理を施す必要はない。また、金属アルミニウム粉末をプレス成形して、薄板状のアルミニウム成形体の形態をとるものも使用することができる。
【0010】
尚、成形方法はプレス成形、シート成形、押し出し成形等特に制限するものではなく、適宜の方法を用いればよい。
次に、この粉末もしくは成形体を1.0Torr以下の真空雰囲気で540〜650℃まで昇温する。本発明において540〜650℃まで昇温するとは、これの範囲内の温度に昇温することを意味する。この温度を維持した状態でN2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気として保持すると、10〜60分の間に窒化反応が急激に進行し、ウィスカーが生成する。この窒化反応速度を増大させることで、ウィスカーの生成は促進される。この場合、昇温時の圧力が1.0Torrより高いと、昇温中にAl粉末の表面に生成する酸化皮膜の影響で窒化反応が抑制され、ウィスカーは生成しない。だだし、酸素濃度が0.1ppm以下のN2 ガスを用いたN2 加圧雰囲気中では、窒化反応が促進されるので、その場合は昇温時の圧力が5.0Torr以下であればウィスカーを生成させることができる。また、保持温度が540℃以下だと窒化反応の駆動力が小さくなり、やはりウィスカーが生成しない。また650℃以上ではアルミニウムの溶融が起こり窒化が進まなくなる。さらにN2 圧力、反応時間は成形体の厚さや密度により調整する必要があるが、N2 圧力が低いと反応が進まず、N2 圧力が高いと加圧初期の段階で反応が急激に進みすぎ、成形体表面部に緻密な窒化層ができて成形体内部までは窒化が進まなくなる。従って、昇温時の真空度、反応時の保持温度、N2 圧力、反応時間は、上記条件を採用することが必要とされる。ウィスカー生成手段としては、例えば、真空、及び加圧雰囲気下での加熱が可能な、抵抗加熱方式炉、あるいは高周波加熱方式炉等による方法が好適なものとして例示される。
本発明は、上記構成を採用することにより、窒化アルミニウムウィスカーを得ることを可能とするものであり、上記条件以外では同様の効果を得ることができない。
【0011】
本発明によって得られる窒化アルミニウムウィスカーは、その組成をXRD(理学電機社製、RAD−RB型)にて調べた結果、AlNであり、SEM観察からそのアスペクト比は少なくとも10以上であった。これらの結果から、得られた窒化アルミニウムウィスカーは、例えば、半導体電子回路で使用される樹脂封止材に充填される高熱伝導フィラー材料として好適に使用することができる。
【0012】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1
金属アルミニウム粉末(東洋アルミニウム社製AH−2505)を300kg/cm2 でプレス成形し、厚さ0.8mmのアルミニウム成形体を作成した。この成形体を1.0Torrの真空雰囲気下10℃/minで580℃まで昇温し、続いて99.999%高純度N2 ガスを用いてN2 加圧70kg/cm2 雰囲気とし、30分保持した。
得られた反応生成物をSEMで観察したところ、図1に示すようなウィスカーが確認された。この反応生成物の結晶構造をXRDで調べたところAlNであった。生成物の特性としては、(002)面への著しい配向性を有し、短径0.05μmから1μm、アスペクト比5〜500の単結晶であった。
尚、1.0Torr以下の真空雰囲気下で昇温し、所定の温度(540〜650℃)条件下で同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0013】
比較例1
昇温を圧力5.0Torrの真空雰囲気下で行った以外は参考例1と同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、得られた反応生成物からはウィスカーはみられなかった。
【0014】
比較例2
保持温度を540℃とした以外は参考例1と同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、得られた反応生成物からはウィスカーはみられなかった。
【0015】
比較例3
保持温度を650℃とした以外は参考例1と同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、得られた反応生成物からはウィスカーはみられなかった。
【0016】
実施例
金属アルミニウム粉末(東洋アルミニウム社製AH−2505)を300kg/cm2 でプレス成形し、厚さ0.8mmのアルミニウム成形体を作成した。この成形体を圧力5.0Torrの真空雰囲気下10℃/minで580℃まで昇温し、酸素フィルターを通して酸素濃度を0.1ppmとしたN2 ガスを用いてN2 加圧雰囲気とし、30分保持した。
得られた反応生成物をSEMで観察したところ、図2に示すようなウィスカーが確認された。この反応生成物の結晶構造をXRDで調べたところAlNであった。生成物の特性としては、(002)面への著しい配向性を有し、短径0.05μmから1μm、アスペクト比5から500の単結晶であった。
尚、5.0Torr以下の真空雰囲気下で昇温し、酸素濃度0.1ppmとしたN2 ガスを用いてN2 加圧雰囲気とし、所定の温度(540〜650℃)条件下で同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、ほぼ同様の結果が得られた。
【0017】
比較例4
昇温を圧力7.0Torrの真空雰囲気下で行った以外は実施例と同様の方法で金属アルミニウム成形体を反応させたところ、得られた反応生成物にウィスカーは見られなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を圧力1.0Torr以下の真空雰囲気で540〜650℃まで昇温し、その温度を維持した状態でN2 加圧雰囲気として10〜60分保持し、反応させてウィスカーを生成することを特徴とする、及び金属アルミニウム粉末を圧力5.0Torr以下の真空雰囲気で540〜650℃まで昇温して、その温度を維持した状態で酸素濃度0.1ppm以下のN2 ガスを用いてN2 加圧雰囲気として10〜60分保持し、反応させてウィスカーを生成することを特徴とする、金属アルミニウム粉末から直接窒化による窒化アルミニウムウィスカーの製造に係るものであり、本発明によれば、次のような効果が奏される。
(1)従来の昇華再結晶法、気相合成法での問題点がなく、窒化アルミニウムウィスカーを簡便かつ低コストで製造することができる。
(2)半導体電子回路で使用される樹脂封止材に充填される高熱伝導フィラー等の材料として有用な窒化アルミニウムウィスカーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた窒化アルミニウムウィスカーの写真(SEM)を示す。
【図2】本発明の実施例2で得られた窒化アルミニウムウィスカーの写真(SEM)を示す。

Claims (1)

  1. 金属アルミニウム粉末及び/又はその成形体を5.0Torr以下の真空雰囲気中で540〜650℃まで昇温し、その温度を保持した状態で酸素フィルターを通して酸素濃度0.1ppm以下とした2 ガスを用いてN2 加圧(10〜100kg/cm2 )雰囲気とし、10〜60分保持することを特徴とする窒化アルミニウムウィスカーの製造方法。
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