JP3720677B2 - ガラスブロックの製造方法および同製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃ガラス材の粉砕物またはガラス材の破片等からなるガラス粒を素材としたガラスブロックの製造方法および同製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平12−086256号公報に示すように、回収ガラスビンまたは色付きガラス製品等の粉砕粒に結合材を添加混合してなる混合物を成形型内に充填して加圧することにより加圧成形体を形成し、この加圧成形体を乾燥器内において100〜200℃の温度で加熱乾燥させることにより固化させた後、この固化した成形体を成形型から取り出して焼成炉内で600〜800℃の温度で加熱焼成することにより、高強度で通気性の高い連通多孔質ガラス焼結体を製造することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された製造方法では、ガラスの粉砕粒と、水ガラス等からなる結合材との混合物を成形型内で加圧する加圧工程と、加圧された混合物を加熱乾燥させて加圧成形体を形成する乾燥工程と、この加圧成形体を成形型から取り出した後に焼成炉内に搬入して加熱焼成する焼成工程等からなり、これらを連続して行うことが困難であるため、ガラスブロックの製造に要する時間が長くなることが避けられず、作業効率が悪いとともに、広い作業スペースが必要である等の問題がある。
【0004】
また、上記加圧工程および乾燥工程で一定の密度および大きさに形成された加圧成形体を、焼成炉内に搬入して外部から加熱焼成するようにしているため、特にガラスブロック(ガラス焼結体)の内部に位置するガラス粒を適温に加熱して適正に融着させることが困難であるという問題がある。
【0005】
なお、上記ガラスブロックの内部に位置するガラス粒を適正状態で融着させるために、上記焼成工程における焼成温度を高くしたり、焼成時間を長くしたりすることも考えられる。しかし、上記焼成温度を高くした場合には、ガラスブロックの外周部に位置するガラス粒が溶融状態となって形が崩れ易く、上記焼成時間を長くした場合には、作業効率がさらに悪くなる等の問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ガラス粒を素材としてガラスブロックを連続して適正に製造することができるガラスブロック製造方法および同製造装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、上下方向に延びるように設置された筒状加熱炉の上端開口部内に所定量のガラス粒を投入し、上記筒状加熱炉を落下するガラス粒を加熱手段によりそれぞれ軟化点以上の温度に加熱した後、筒状加熱炉の下方に配設された成形型内に上記ガラス粒を導出して堆積させ、この成形型内において相隣接するガラス粒を互いに融着させることにより、上記成形型の容積に対応した大きさのガラスブロックを製造するものである。
【0008】
上記構成によれば、筒状加熱炉内に所定量のガラス粒を投入することにより、このガラス粒を軟化点以上の温度に加熱する工程と、このガラス粒を上記成形型内に堆積させて相隣接するガラス粒を互いに融着させる工程とが連続して行われることになる。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載のガラスブロックの製造方法において、上記ガラス粒を軟化点未満の温度に予備加熱した状態で、上記筒状加熱炉の上端開口部内に投入するものである。
【0010】
上記構成によれば、筒状加熱炉内に投入されたガラス粒を確実かつ迅速に軟化点以上の温度に加熱することが可能となる。
【0011】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2記載のガラスブロックの製造方法において、上記成形型として、ガラスブロックに抜き孔を形成するためのピンが底壁に突設されたものを使用するものである。
【0012】
上記構成によれば、成形型内で上記ピンに対応した抜き孔を有するガラスブロックが製造され、このガラスブロックを冷却する際に、上記抜き孔を放熱部として利用することにより、ガラスブロックの内部と外周部との間に温度差が生じるのを抑制して、割れの発生を効果的に防止することが可能となる。
【0013】
請求項4に係る発明は、所定量のガラス粒を搬送する搬送手段と、この搬送手段により搬送されたガラス粒が投入される筒状加熱炉と、この筒状加熱炉の下方に設置される成形型とを有し、上記筒状加熱炉に、ガラス粒が投入される上端開口部と、筒状加熱炉内を落下するガラス粒をそれぞれ軟化点以上の温度に加熱する加熱手段と、軟化したガラス粒を上記成形型内に導出して堆積させるための下端開口部とを設けたものである。
【0014】
上記構成によれば、搬送手段により筒状加熱炉内に投入されたガラス粒を軟化点以上の温度に加熱する工程と、このガラス粒を上記成形型内に堆積させて相隣接するガラス粒を互いに融着させる工程とが連続して行われることにより、上記ガラス粒の集合体からなるガラスブロックが迅速かつ容易に製造されることになる。
【0015】
請求項5に係る発明は、上記請求項4記載のガラスブロックの製造装置において、上記搬送手段に、ガラス粒を軟化点未満の温度に予備加熱する予備加熱手段を設けたものである。
【0016】
上記構成によれば、搬送手段によりガラス粒を搬送する際に、このガラス粒を軟化点未満の温度に加熱することにより、上記ガラス粒の搬送時に各ガラス粒が融着状態となるのを防止しつつ、筒状加熱炉内に投入されたガラス粒を迅速かつ確実に軟化点以上の温度に加熱することが可能となる。
【0017】
請求項6に係る発明は、上記請求項4または5記載のガラスブロックの製造装置において、下広がり形状の上部筒体と、下窄まり形状の下部筒体とを上記筒状加熱炉に設け、上記上部筒体の上端部にガラス粒が投入される開口部を形成するとともに、上記下部筒体の下端部にガラス粒を導出する開口部を形成したものである。
【0018】
上記構成によれば、筒状加熱炉の上端開口部から投入されたガラス粒が上部筒体の内壁面に付着して堆積することが効果的に防止されるとともに、上記ガラス粒が下部筒体により適正位置に案内されて上記成形型内に導出されることになる。
【0019】
請求項7に係る発明は、上記請求項4〜6の何れかに記載のガラスブロックの製造装置において、上記成形型の底壁に、ガラスブロックに抜き孔を形成するためのピンを突設したものである。
【0020】
上記構成によれば、成形型内で上記ピンに対応した抜き孔を有するガラスブロックが製造され、このガラスブロックを冷却する際に、上記抜き孔を放熱部として利用することにより、ガラスブロックの内部と外周部との間に温度差が生じるのを抑制して、割れの発生を効果的に防止することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るガラスブロックの製造装置の実施形態を示している。このガラスブロックの製造装置は、廃ガラス材の粉砕物またはガラス材の破片等からなるガラス粒1を搬送する搬送手段2と、この搬送手段2により搬送されたガラス粒1が投入される筒状加熱炉3と、この筒状加熱炉3の下方に搬入される成形型4と、この成形型4を間欠的に移動させる移動手段5と、上記成形型4から離型されたガラスブロック6を搬出する搬出コンベア7とを有している。
【0022】
上記搬送手段2は、一定範囲の大きさにふるい分けされた廃ガラス材等からなるガラス粒1を収容するホッパ8と、このホッパ8内のガラス粒1を上記筒状加熱炉3の上方に連続的に搬送するスクリューコンベア9と、このスクリューコンベア9によって搬送されるガラス粒1を軟化点未満の温度、例えば400〜700℃程度の温度に予備加熱するガスバーナまたは電気ヒータ等からなる予備加熱手段10とを有している。
【0023】
上記スクリューコンベア9は、電動モータ等からなる回転駆動手段11を有し、この回転駆動手段11の作動時に、上記ホッパ8内のガラス粒1を一定速度で上記筒状加熱炉3の上方に搬送することにより、所定量のガラス粒1、つまり上記成形型4の容積に対応した量のガラス粒1を上記筒状加熱炉3内に投入するように構成されている。
【0024】
また、上記搬送手段2は、図外の進退駆動手段により、図1に示すように、前端部が筒状加熱炉3の上方に位置するガラス粒1の投入位置と、矢印Aに示す方向に後退することにより前端部が筒状加熱炉3から離間した退避位置との間を進退可能に支持されている。
【0025】
上記筒状加熱炉3は、上端部に上記ガラス粒1が投入される開口部12が形成された上部筒体13と、下端部に上記ガラス粒1が落下する開口部14が形成された下部筒体15とが上下に連続して配設されることにより、上下方向に延びるように設置されている。
【0026】
上記上部筒体13は、耐火煉瓦の積層体等からなる下広がり形状の内筒部16と、この内筒部16の外周面を覆うように設置された保温材等からなる外筒部17とを有し、上記内筒部16の下端部には、筒状加熱炉3の内部を所定温度に加熱するガスバーナ等からなる加熱手段18が設けられている。
【0027】
上記加熱手段18は、筒状加熱炉3内に投入されたガラス粒1が、この筒状加熱炉3内を落下する間に軟化点以上の温度、例えば800〜1400℃程度の温度に加熱されるように、上記筒状加熱炉3の内部を昇温させるように構成されている。上記ガラス粒1の加熱温度が低すぎると、このガラス粒1を軟化させることができず、逆に高すぎると熱エネルギが浪費されるため、上記ガラス粒1の加熱温度を900〜1300℃程度の範囲内に設定することが好ましい。
【0028】
上記下部筒体15は、耐熱鋼等によって下窄まり形状に形成されるとともに、その内部に冷却水を循環させるための冷却用間隙19が形成されている。また、上記下部筒体15の下方、つまり筒状加熱炉3の下端部には、上記成形型4内に堆積したガラス粒1を再加熱するガスバーナ等からなる再加熱手段20が設けられている。
【0029】
上記移動手段5は、複数の成形型4が取り付けられたチェーンコンベア等からなり、上記搬送手段2によるガラス粒1の搬送投入動作に連動して駆動され、上記成形型4を間欠的に筒状加熱炉3の下方に搬入して設置するとともに、上記ガラス粒1の堆積が終了した状態で、上記成形型4を筒状加熱炉3の下方から搬出するように構成されている。上記筒状加熱炉3の側方には、成形型4内に堆積したガラス粒1の集合体を下方に押圧することにより、このガラス粒1の集合体からなるガラスブロック6の形を整えるための上型21が設けられている。
【0030】
また、上記移動手段5の下方には、成形型4から離型されたガラスブロック6を搬出する搬出コンベア7が設置され、上記移動手段5により下方の排出位置に成形型4が搬送された時点で、この成形型4内から離型されたガラスブロック6が上記搬出コンベア7によって搬送されるようになっている。
【0031】
上記成形型4は、図2および図3に示すように、略正方形状の底壁22と、その外周部に立設された側壁23と、その上端部に設けられた上広がり形状の傾斜壁24とを有している。上記成形型4の底壁22には、図4に示すように、ガラスブロック6に抜き孔25を形成するための複数本のピン26が所定間隔で突設されている。また、上記側壁23の内面には、内方側に膨出する断面半円形の膨出部27が形成され、この膨出部27は相隣接するピン26,26の間に対応する位置に配設されている。
【0032】
上記構成の製造装置を使用したガラスブロック6の製造方法について以下に説明する。廃ガラス材の粉砕物またはガラス材の破片等からなる所定の大きさのガラス粒1を上記搬送手段2のホッパ8内に収容するとともに、搬送手段2の前端部を上記筒状加熱炉3の上方に位置させた状態で、上記スクリューコンベア9を駆動することにより、上記ホッパ8内のガラス粒1を筒状加熱炉3の上端開口部12に向けて搬送しつつ、このガラス粒1を上記予備加熱手段10により軟化点未満の温度に予備加熱する。
【0033】
そして、上記搬送手段2の先端部から筒状加熱炉3の上端開口部12内に所定量のガラス粒1を連続して投入し、上記筒状加熱炉3内を落下するガラス粒1を加熱手段18によりそれぞれ軟化点以上の温度に加熱した後、上記筒状加熱炉3の下方に設置された成形型4内に導出して堆積させ、この成形型4において相隣接するガラス粒1を互いに融着させることにより、ガラス粒1の集合体からなるガラスブロック6を製造する。
【0034】
すなわち、上記ガラス粒1は、筒状加熱炉3内を落下する際に軟化点以上の温度に加熱されているため、上記成形型4内に堆積したガラス粒1の周面部が互いに接触して融着状態となることにより、上記成形型4の容積に対応した大きさを有するガラスブロック6が形成されるとともに、このガラスブロック6に上記ピン26に対応した抜き孔25と、上記膨出部27に対応した凹部28とが形成されることになる。
【0035】
上記のようにして成形型4内に所定量のガラス粒1が堆積した時点で、上記スクリューコンベア9の作動を停止させるとともに、上記搬送手段2を退避位置に後退させる。また、上記移動手段5を作動させることにより、上記成形型4を筒状加熱炉3の下方から搬出した後、上型21によりガラスブロック6の上面を加圧してその形を整えるとともに、新たな成形型4を上記筒状加熱炉3の下方に設置した状態で、上記スクリューコンベア9を駆動して新たなガラス粒1の投入を開始する。
【0036】
次いで、上記移動手段5により成形型4を排出位置に搬送し、この成形型4内のガラスブロック6を搬出コンベア7上に落下させて離型した後、この搬出コンベア7により図外の徐冷炉内に導入させる等により、上記ガラスブロック6の温度を徐々に低下させて歪み取りを行いながら所定の搬出位置に搬送する。
【0037】
このように上下方向に延びるように設置された筒状加熱炉3の上端開口部12内に所定量のガラス粒1を投入し、上記筒状加熱炉3内を落下するガラス粒1を加熱手段18によりそれぞれ軟化点以上の温度に加熱した後、筒状加熱炉3の下方に配設された成形型4内に上記ガラス粒1を導出して堆積させ、この成形型4内において相隣接するガラス粒1を互いに融着させるようにしたため、上記成形型4の容積に対応した大きさのガラスブロック6を迅速かつ容易に製造することができる。
【0038】
すなわち、上記加熱手段18が設けられた筒状加熱炉3内にガラス粒1を投入することにより、このガラス粒1を軟化点以上の温度に加熱する工程と、このガラス粒1を上記成形型4内に堆積させて相隣接するガラス粒1を互いに融着させる工程とを連続して行うことができるため、広い作業スペースを要することなく、上記ガラス粒1の集合体からなる適正形状のガラスブロック6を迅速かつ容易に製造することができる。
【0039】
しかも、上記筒状加熱炉3内に投入された各ガラス粒1を分散させた状態で上記筒状加熱炉3内を落下させつつ、上記各ガラス粒1をそれぞれ効果的に軟化点以上の温度に加熱することができる。このため、加圧工程および乾燥工程で一定の密度および大きさに形成された加圧成形体を、焼成炉内に搬入して外部から加熱することにより焼成するようにした上記従来例のように、ガラスブロック6の内部に位置するガラス粒1を適温に加熱するのに長時間を要したり、ガラスブロック6の外周部に位置するガラス粒が溶融状態となって形が崩れたりする等の弊害を生じることなく、適正形状のガラスブロック6を迅速かつ容易に製造することができる。
【0040】
したがって、従来、破棄されていた廃ガラスビン等の廃ガラス材またはガラス製品の製造時等に生成されたガラス破片等の有効利用を図り、上記廃ガラス材の処理に要するコストを削減することができるとともに、建築用材または道路工事等に使用可能な適正構造のガラスブロック6を安価に量産することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、搬送手段2に設けられた予備加熱手段10により上記ガラス粒1を軟化点未満の温度に加熱した状態で、上記筒状加熱炉3の上端開口部12内に投入するようにしたため、上記搬送手段2によるガラス粒1の搬送時にガラス粒1が互いに融着して搬送が困難になる等の問題を生じることなく、上記筒状加熱炉3内に投入されたガラス粒1を上記加熱手段18により軟化点以上の温度に確実に加熱することができる。
【0042】
特に、上記実施形態に示すように、成形型4内に堆積したガラス粒1を再加熱するガスバーナ等からなる再加熱手段20を筒状加熱炉3の下端部に設けた場合には、成形型4内に徐々に堆積する上記ガラス粒1を軟化点以上の温度に再加熱することにより、相隣接するガラス粒1同士の結合強度を効果的に向上させてガラスブロック6の保形力を、より増大させることができるという利点がある。
【0043】
上記加熱手段18によるガラス粒1の加熱温度は、その軟化点以上であれば、ガラス粒1の溶融温度または半溶融温度であってもよく、この溶融温度または半溶融温度に上記ガラス粒1を加熱するようにした場合には、各ガラス粒1同士をより強固に融着させることができる。なお、上記ガラス粒1を加熱する際の熱損失を抑制して上記ガラスブロック6の製造コストを低減するためには、上記加熱手段18によるガラス粒1の加熱温度を、その軟化点以上で、かつ溶融温度未満、例えば800〜950℃程度に設定することが望ましい。
【0044】
また、上記実施形態では、下広がり形状の上部筒体13と、下窄まり形状の下部筒体15とを上記筒状加熱炉3に設け、上記上部筒体13の上端部にガラス粒1が投入される開口部12を形成するとともに、上記下部筒体15の下端部にガラス粒1を導出する開口部14を形成したため、上記上端開口部13から投入されたガラス粒1が上部筒体13の内壁面に付着して堆積するのを防止しつつ、上記ガラス粒1を下部筒体15により適正位置に案内して上記成形型4内に導出させることができるという利点がある。
【0045】
上記筒状加熱炉3の上部筒体13内を落下する際に、ガラス粒1が周囲に拡散すると、このガラス粒1が下部筒体15の内壁面に接触する可能性が高くなる。しかし、上記実施形態に示すように下部筒体15を耐熱鋼により形成して、その内壁面を平滑に仕上げることにより、上記ガラス粒1が下部筒体15の内壁面に固着するという事態の発生を効果的に防止し、上記成形型4内にガラス粒1を導出させることができる。
【0046】
しかも、上記実施形態では、上記下部筒体15に冷却用間隙19を設け、この間隙19内に冷却水を供給するように構成したため、上記下部筒体15が過度に加熱されるのを防止し、この下部筒体15を構成する耐熱鋼が焼損することを効果的に防ぐことができる。なお、上記下部筒体15に加振手段を設け、この加振手段によって下部筒体15を振動させることにより、上記下部筒体15の内壁面に付着したガラス粒1を、上記成形型4内に確実に落下させるようにすることが好ましい。
【0047】
上記実施形態に示すように搬送手段2をガラス粒1の投入位置と退避位置とに進退させる図外の進退駆動手段を設けた場合には、ガラス粒1の非投入時に、上記搬送手段2を筒状加熱炉3から離間した退避位置に後退させることにより、筒状加熱炉3の上端開口部12から排出される熱の影響を受けて上記搬送手段2が焼損したり、搬送手段2の前端部に位置するガラス粒1が加熱されて互いに融着した状態となったりするという弊害の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0048】
なお、上記進退駆動手段により搬送手段2をガラス粒1の投入位置と退避位置とに進退させるように構成したものにおいて、上記筒状加熱炉3から導出される排熱を有効に利用して上記ガラス粒1を効果的に予備加熱できるようにするためには、上記搬送手段2の上部カバー2aを進退させることなく、筒状加熱炉3の上方位置に固定した構造とすることが望ましい。
【0049】
また、上記実施形態では、成形型4の底壁22にピン26を突設することにより、このピン26に対応した抜き孔25を上記ガラスブロック6に形成するように構成したため、このガラスブロック6を徐冷炉内等において冷却する際に、上記抜き孔25を放熱部として利用することにより、ガラスブロック6の内部と外周部との間に温度差が生じるのを抑制して割れの発生を効果的に防止することができる。しかも、上記抜き孔25を設けることにより、ガラスブロック6に通気性および通水性をもたせることができるという利点がある。
【0050】
さらに、上記実施形態に示すように、成形型4の側壁23に、断面半円形の膨出部27を形成するとともに、この膨出部27を相隣接するピン26,26の間に対応する位置に配設した場合には、図4に示すように、ガラスブロック6の外周部に、上記膨出部27に対応した凹部28を形成することにより、上記抜き孔25を中心としたガラスブロック6の厚みを略均一に設定することができる。したがって、上記ガラスブロック6を冷却する際に、その内部と外周部との間に温度差が生じるのをさらに効果的に抑制して、割れの発生を確実に防止できるという利点がある。
【0051】
なお、上記実施形態では、図4に示すように、ガラスブロック6の平面形状を正方形に形成した例について説明したが、このガラスブロック6の形状は上記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であり、例えば図5および図6に示すように、長方形または円形の平面形状を有するガラスブロック6a,6bを形成することもできる。さらに、上記ガラスブロック6a等に角形の抜き孔25aおよび凹部28aを形成するようにしてもよい。
【0052】
また、上記筒状加熱炉3の下端開口部14から上記成形型4内に導出されたガラス粒1を成形型4内に堆積させる際に、その堆積量が均一になるようにするため、上記成形型4をスライド可能に支持する支持部を上記移動手段5の搬送面上に設け、上記成形型4を前後左右にスライド変位させつつ、この成形型4内に上記ガラス粒1を堆積させるように構成することが望ましい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、チェーンコンベア等からなる移動手段5により、上記成形型4を筒状加熱炉3の下方に搬入した後に、所定の離型位置に移動させるように構成した例について説明したが、図7に示すように、円形の回転テーブル29からなる移動手段により上記成形型4を間欠的に移動させるように構成してもよい。
【0054】
また、上記ガラス粒1とともに、陶片等を筒状加熱炉3内に投入することにより、ガラス粒1と陶片陶との混合物からなるガラスブロックを製造するようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、上下方向に延びるように設置された筒状加熱炉の上端開口部内に所定量のガラス粒を投入し、上記筒状加熱炉を落下するガラス粒を加熱手段によりそれぞれ軟化点以上の温度に加熱した後、筒状加熱炉の下方に配設された成形型内に上記ガラス粒を導出して堆積させ、この成形型内において相隣接するガラス粒を互いに融着させることにより、上記成形型の容積に対応した大きさのガラスブロックを製造するようにしたため、広い作業スペースを要することなく、上記ガラス粒の集合体からなる適正形状のガラスブロックを迅速かつ容易に製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガラスブロックの製造装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】 成形型の具体的構成を示す断面図である。
【図3】 成形型の具体的構成を示す平面図である。
【図4】 ガラスブロックの具体的構成を示す平面図である。
【図5】 ガラスブロックの別の具体例を示す平面図である。
【図6】 ガラスブロックのさらに別の具体例を示す平面図である。
【図7】 移動手段の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ガラス粒
2 搬送手段
3 筒状加熱炉
4 成形型
6 ガラスブロック
7 移動手段
10 予備加熱手段
12 上端開口部
13 上部筒体
14 下端開口部
15 下部筒体
18 加熱手段
25 抜き孔
26 ピン
Claims (7)
- 上下方向に延びるように設置された筒状加熱炉の上端開口部内に所定量のガラス粒を投入し、上記筒状加熱炉を落下するガラス粒を加熱手段によりそれぞれ軟化点以上の温度に加熱した後、筒状加熱炉の下方に配設された成形型内に上記ガラス粒を導出して堆積させ、この成形型内において相隣接するガラス粒を互いに融着させることにより、上記成形型の容積に対応した大きさのガラスブロックを製造することを特徴とするガラスブロックの製造方法。
- 請求項1記載のガラスブロックの製造方法において、上記ガラス粒を軟化点未満の温度に予備加熱した状態で、上記筒状加熱炉の上端開口部内に投入することを特徴とするガラスブロックの製造方法。
- 請求項1または2記載のガラスブロックの製造方法において、上記成形型として、ガラスブロックに抜き孔を形成するためのピンが底壁に突設されたものを使用することを特徴とするガラスブロックの製造方法。
- 所定量のガラス粒を搬送する搬送手段と、この搬送手段により搬送されたガラス粒が投入される筒状加熱炉と、この筒状加熱炉の下方に設置される成形型とを有し、上記筒状加熱炉に、ガラス粒が投入される上端開口部と、筒状加熱炉内を落下するガラス粒をそれぞれ軟化点以上の温度に加熱する加熱手段と、軟化したガラス粒を上記成形型内に導出して堆積させるための下端開口部とを設けたことを特徴とするガラスブロックの製造装置。
- 請求項4記載のガラスブロックの製造装置において、上記搬送手段に、ガラス粒を軟化点未満の温度に予備加熱する予備加熱手段を設けたことを特徴とするガラスブロックの製造装置。
- 請求項4または5記載のガラスブロックの製造装置において、下広がり形状の上部筒体と、下窄まり形状の下部筒体とを上記筒状加熱炉に設け、上記上部筒体の上端部にガラス粒が投入される開口部を形成するとともに、上記下部筒体の下端部にガラス粒を導出する開口部を形成したことを特徴とするガラスブロックの製造装置。
- 請求項4〜6の何れかに記載のガラスブロックの製造装置において、上記成形型の底壁に、ガラスブロックに抜き孔を形成するためのピンを突設したことを特徴とするガラスブロックの製造装置。
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