JP3718536B2 - 枚葉印刷機における排紙装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、枚葉印刷機における排紙装置に関し、特に両面印刷後の枚葉紙を支障なく排紙するための両面枚葉印刷機における排紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
枚葉印刷機においては、印刷部にて印刷が完了した枚葉紙をチェーンに数個連着されているチェーングリッパによって所定の位置まで搬送し積載しているが、印刷スピードが速いために排紙台上に枚葉紙を良好に積載することができず、それがためにエアーによる吸引装置を装備し常時回転している吸引車を取付けて、搬送中の枚葉紙を吸着させチェーングリッパが紙放しを行ったときに枚葉紙のスピードを減速させ紙当てにて紙揃えして排紙台上に枚葉紙を良好に積載するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、枚葉紙のスピードを減速させるために吸引装置の吸引車を使用することは、枚葉紙の片面のみを印刷している場合には特に支障がないが、両面に印刷してある場合は、まだ充分に乾燥しきっていない印刷面に吸引車が当たるため、その部分の印刷部分が剥れたり、薄くなったり、あるいは擦れることによる汚れが発生したりする虞れがある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、片面はむろんのこと両面に印刷された枚葉紙であっても、その印刷部分に支障を与えないで枚葉紙を減速し、排紙台上に搬送落下させることができるようにした両面枚葉印刷機における排紙装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の両面枚葉印刷機における排紙装置は、印刷部で両面印刷が終了した枚葉紙2をチェーングリッパ3により排紙台4上に搬送落下させて積載する両面枚葉印刷機における排紙装置であって、前記排紙台4の上流に所定長さの真空ボックス5を枚葉紙2の走行方向に設けると共に、該真空ボックス5の上面にスライドし枚葉紙2の走行方向に回転するエンドレスのタイミングベルト6を設けてなり、前記タイミングベルト6は、前記真空ボックス5内に通ずる吸引孔7を有し、その回転数を前記印刷部の回転数と同一にして前記真空ボックス5の上流端5aで枚葉紙2のくわえ尻2aと前記吸引孔7とを合致させ、かつ少なくとも前記チェーングリッパ3が枚葉紙2を離し前記タイミングベルト6の吸引孔7が前記真空ボックス5から外れるまでの間前記タイミングベルト6の走行スピードを変速装置8により減速させるものであり、前記変速装置8は、前記印刷部の回転数と同一回転するカム20と、スプロケット21、22を回転自在に並設し前記カム20により進退移動させるスプロケット移動枠23と、該スプロケット移動枠23の一側に設け少なくとも2つのスプロケット24、25を回転自在に並設した駆動部26と、前記スプロケット移動枠23の他側に設け少なくとも2つのスプロケット27、28を回転自在に並設した従動部29と、前記スプロケット移動枠23のスプロケット21から前記駆動部26のスプロケット24、25、スプロケット移動枠のスプロケット22、従動部29のスプロケット27、28に順次に掛け元の前記スプロケット21に戻すエンドレスのチェーン30とからなり、前記駆動部26のいずれかのスプロケット24、25を印刷部の駆動軸50に設けたものである。
【0006】
【作用】
上記構成になる両面枚葉印刷機における排紙装置1によれば、チェーングリッパ3により搬送されて来た枚葉紙2は、真空ボックス5の上流端5aで枚葉紙2のくわえ尻2aとタイミングベルト6の吸引孔7とが合致して吸引され、チェーングリッパ3の搬送スピードと同様の速さでタイミングベルト6と共に搬送され、更に、チェーングリッパ3が枚葉紙2を離すと同時に変速装置8によりタイミングベルト6が減速するから、枚葉紙2はタイミングベルト6と共に減速し、タイミングベルト6の吸引孔7が真空ボックス5から外れると、タイミングベルト6から枚葉紙2が離れて、排紙台4上に積載する。
【0007】
また、印刷部の回転数と同一回転するカム20が1回転すると、そのカム20によりスプロケット移動枠23が従動部29におけるチェーン30の走行方向と逆の方向に移動するから、従動部29のスプロケット27、28の回転が遅くなり、逆にカム20によりスプロケット移動枠23が従動部29におけるチェーン30の走行方向と同一方向に移動すると、従動部29のスプロケット27、28の回転が速くなる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて詳述する。図1は本発明の両面枚葉印刷機における排紙装置の概要を示す側面図、図2は本発明の両面枚葉印刷機における排紙装置の概要を示す正面図、図3は本発明の一部を構成する変速装置の概要を示す側面図である。図において、本発明の両面枚葉印刷機における排紙装置(以下単に排紙装置という)1は、印刷部で印刷が終了した枚葉紙2をチェーングリッパ3により排紙台4上に搬送落下させて積載するものであって、排紙台4の上流に所定長さの真空ボックス5を枚葉紙2の走行方向に設けると共に、真空ボックス5の上面にスライドし枚葉紙2の走行方向に回転するエンドレスのタイミングベルト6を設けてなり、このタイミングベルト6は、真空ボックス5内に通ずる吸引孔7を有し、その回転数を印刷部の回転数と同一にして真空ボックス5の上流端5aで枚葉紙2のくわえ尻2aと吸引孔7とを合致させ、かつ少なくともチェーングリッパ3が枚葉紙2を離しタイミングベルト6の吸引孔7が真空ボックス5から外れるまでの間タイミングベルト6の走行スピードを変速装置8により減速させるものである。
【0009】
前記印刷部は、枚葉紙2の両面を印刷するものが本発明ではより一層その効果を顕著にするが、片面印刷であっても何らさしつかえない。
前記真空ボックス5は、チェーングリッパ3により搬送する枚葉紙2の走行方向に沿ってその中心軸線上に位置し、しかも排紙台4の直前に設けられる。この真空ボックス5はパイプ10により真空発生源(不図示)に接続される。そして、この真空ボックス5は2枚のフラットバー11、11により支持され、その上面上を前記タイミングベルト6がスライドする。
【0010】
このタイミングベルト6は、ゴム製であり、前述のフラットバー11、11に回転自在に軸支したロール12、13に掛けられている。タイミングベルト6の幅方向の両側に歯14、14が設けられ、この歯14、14に噛み合うようにロール12、13にも軸方向両端に歯が設けられている。タイミングベルト6の歯14、14の間は、フラット15になっており、更に、このフラット15部分に1つの前記吸引孔7を設けており、タイミングベルト6は、上述のように、真空ボックス5上をスライドするようになっている。なお、ロール13には、タイミングベルト6のテンション装置16が設けられており、ボルト17によりゴム製のタイミングベルト6を常時緊張させたり、緩めることができる。
【0011】
上記タイミングベルト6は、1回転するうちに、前記変速装置8により前記チェーングリッパ3の搬送スピードと同一速さで走行する区間と、その同一速さを遅くした速さで走行する区間とになる。
【0012】
前記変速装置8は、印刷部の回転数と同一回転するカム20と、スプロケット21、22を回転自在に並設しカム20により進退移動させるスプロケット移動枠23と、このスプロケット移動枠23の一側に設け少なくとも2つのスプロケット24、25を回転自在に並設した駆動部26と、スプロケット移動枠23の他側に設け少なくとも2つのスプロケット27、28を回転自在に並設した従動部29と、スプロケット移動枠23のスプロケット21から駆動部26のスプロケット24、25、スプロケット移動枠23のスプロケット22、従動部29のスプロケット27、28に順次に掛け元のスプロケット21に戻すエンドレスのチェーン30と、を主要構成要素としてなる。
【0013】
前記カム20は印刷部の版胴と同じ回転数を有する軸40に取り付けられ、スプロケット移動枠23は印刷機本体フレームなどに図3の矢線A、Bに示すように進退移動可能に設けられている。
【0014】
そして、これらカム20とスプロケット移動枠23との間には、カム20の回転をスプロケット移動枠23に進退運動に変えるレバー41及びリンク42が介在している。レバー41は、略L字形をなしその中間部が軸43に回動自在に設けられ、コロ44、45によりカム20に当接し、更に一端がリンク42の一端に回動自在に連結し、リンク42の他端はスプロケット移動枠23の一端に回動自在に連結している。
【0015】
前記駆動部26は、スプロケット24を駆動軸50に取り付け、前記チェーン30にテンションをかけるためのスプロケット51、52を有している。
前記従動部29は、スプロケット27を従動軸53に取り付け、前記チェーン30にテンションをかけるためのスプロケット54、55を有している。そして、従動軸53には、ギヤー61が取り付けられ、このギヤー61に噛み合うギヤー62、63により前記タイミングベルト6を回転させるための伝動装置60に回転を伝達している。すなわち、ギヤー63の取付軸に伝動装置60のスプロケット64が取り付けられ、この伝動装置60は、エンドレスのチェーン65がスプロケット64、66、67、68、69、70とエ字状に掛けられている。このエンドレスのチェーン65に上述の排紙装置1のロール12の軸12aに取り付けたスプロケット75を掛け、タイミングベルト6にその回転を伝達している。
【0016】
なお、伝動装置60のスプロケット配列がエ字状になっているのは、枚葉紙2のサイズ変化に伴なって、後部紙揃え板71を取り付けた排紙装置1をギヤー72及びこれに噛み合うラック73により、すなわち、ラック73に固定してある排紙装置1を移動させることができるようにするためである。また、図1中74は紙当て板である。
【0017】
次に上記構成になる両面枚葉印刷機の排紙装置1の作動について詳述する。まず、枚葉紙2のサイズに合せてギヤー72を回転させ、ラック73に固定してある排紙装置1を移動し、すなわち、伝動装置60のチェーン65上にスプロケット75を回転させ移動させる。次に、タイミングベルト6が回転してその吸引孔7が真空ボックス5の上流端5aに達した時に、枚葉紙2のくわえ尻2aが位置するように調整し、かつ枚葉紙2のくわえ尻2aが真空ボックス5の長手方向長さの中間よりやや排紙台4側に達した時、チェーングリッパ3が枚葉紙2を離すと共に、変速装置8によりタイミングベルト6の走行スピードを吸引孔7が真空ボックス5を通過するまで遅くし、再び元のスピードに戻るように調整し準備を完了する。
【0018】
印刷部で両面を印刷された枚葉紙2は、チェーングリッパ3によりその前端をくわえられて排紙装置1に搬送されて来る。枚葉紙2のくわえ尻2aが真空ボックス5の上流端5aに達する時、タイミングベルト6の吸引孔7もその位置に来ているから、枚葉紙2のくわえ尻2aは吸引孔7により吸引され、タイミングベルト6に吸着されている状態になる。枚葉紙2のくわえ尻2aは、通常印刷しろになっているから、両面印刷されていても特に支障がない。そして、タイミングベルト6はチェーングリッパ3と同一速度で走行しているから、枚葉紙2を吸着したままタイミングベルト6が走行するが、チェーングリッパ3が枚葉紙2を離すと同時に、変速装置8のカム20によりレバー41及びリンク42を介して図3中A方向にスプロケット移動枠23を移動させるから、駆動軸50の回転スピードを減速して従動軸53に伝達し、その従動軸53からギヤー61、62、63により伝動装置60に伝達し、その伝動装置60のチェーン65のスピードも減速し排紙装置1のロール12の軸12aに取り付けたスプロケット75を減速するから、タイミングベルト6の走行スピードは減速し枚葉紙2も共に減速する。タイミングベルト6の吸引孔7が真空ボックス5から離れると、枚葉紙2に対する吸引力がなくなるから、タイミングベルト6から枚葉紙2が離れて落下し、紙当て板74に当り後部紙揃え板71との間に位置する排紙台4に静かに積載する。
【0019】
一方、枚葉紙2を離したタイミングベルト6は、カム20により図3中B方向にスプロケット移動枠23を移動させるから、前述と逆に増速して元のスピード、すなわち、チェーングリッパ3の走行スピードと同じになる。以下、上述と同様な動作をくり返して、枚葉紙2に両面印刷して、まだ充分に印刷部分が乾ききっていなくても、印刷部分を剥したり、こすれて汚すこともなく排紙台4上に枚葉紙2を排紙積載することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の両面枚葉印刷機における排紙装置によれば、チェーングリッパにより搬送されて来た枚葉紙は、真空ボックスの上流端で枚葉紙のくわえ尻とタイミングベルトの吸引孔とが合致して吸引され、チェーングリッパの搬送スピードと同様の速さでタイミングベルトと共に搬送され、更に、チェーングリッパが枚葉紙を離すと同時に変速装置によりタイミングベルトが減速するから、枚葉紙はタイミングベルトと共に減速し、タイミングベルトの吸引孔が真空ボックスから外れると、タイミングベルトから枚葉紙が離れて、排紙台上に積載することができる。従って、片面を印刷した枚葉紙は無論のこと、両面に印刷された枚葉紙であっても、その印刷部分に支障を与えないで減速し、排紙台上に静に搬送落下させることができる効果がある。
【0021】
また、印刷部の回転数と同一回転するカムが1回転すると、そのカムによりスプロケット移動枠が従動部におけるチェーンの走行方向と逆の方向に移動するから、従動部のスプロケットの回転が遅くなり、逆にカムによりスプロケット移動枠が従動部におけるチェーンの走行方向と同一方向に移動すると、従動部のスプロケットの回転が速くなる。従って、簡単な構成でありながら、カムの形状によりタイミングベルトの1回転中に回転スピードを速い区間と遅い区間とに自在にすることができ、上記発明の効果を一層顕著にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枚葉印刷機における排紙装置の概要を示す側面図。
【図2】本発明の枚葉印刷機における排紙装置の概要を示す正面図。
【図3】本発明の一部を構成する変速装置の概要を示す側面図。
【符号の説明】
1 枚葉印刷機における排紙装置
2 枚葉紙 2a くわえ尻
3 チェーングリッパ 4 排紙台
5 真空ボックス 5a 上流端
6 タイミングベルト 7 吸引孔
8 変速装置 20 カム
21、22、24、25、27、28 スプロケット
23 スプロケット移動枠 26 駆動部
29 従動部 30 チェーン
50 駆動軸
Claims (2)
- 印刷部で印刷が終了した枚葉紙2をチェーングリッパ3により排紙台4上に搬送落下させて積載する両面枚葉印刷機における排紙装置であって、前記排紙台4の上流に所定長さの真空ボックス5を枚葉紙2の走行方向に設けると共に、該真空ボックス5の上面にスライドし枚葉紙2の走行方向に回転するエンドレスのタイミングベルト6を設けてなり、前記タイミングベルト6は、前記真空ボックス5内に通ずる吸引孔7を有し、その回転数を前記印刷部の回転数と同一にして前記真空ボックス5の上流端5aで枚葉紙2のくわえ尻2aと前記吸引孔7とを合致させ、かつ少なくとも前記チェーングリッパ3が枚葉紙2を離し前記タイミングベルト6の吸引孔7が前記真空ボックス5から外れるまでの間前記タイミングベルト6の走行スピードを変速装置8により減速させることを特徴とする両面枚葉印刷機における排紙装置。
- 前記変速装置8は、前記印刷部の回転数と同一回転するカム20と、スプロケット21、22を回転自在に並設し前記カム20により進退移動させるスプロケット移動枠23と、該スプロケット移動枠23の一側に設け少なくとも2つのスプロケット24、25を回転自在に並設した駆動部26と、前記スプロケット移動枠23の他側に設け少なくとも2つのスプロケット27、28を回転自在に並設した従動部29と、前記スプロケット移動枠23のスプロケット21から前記駆動部26のスプロケット24、25、スプロケット移動枠のスプロケット22、従動部29のスプロケット27、28に順次に掛け元の前記スプロケット21に戻すエンドレスのチェーン30と、からなり、前記駆動部26のいずれかのスプロケット24、25を印刷部の駆動軸50に設けている請求項1記載の両面枚葉印刷機における排紙装置。
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JP00583995A JP3718536B2 (ja) | 1995-01-18 | 1995-01-18 | 枚葉印刷機における排紙装置 |
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