JP3716894B2 - フレキシブルケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルケーブルに関するものであり、更に詳しくはケーブルにフレキシブルプリント配線板を利用したフレキシブルケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術において、2つ以上の異なる第1及び第2筐体のそれぞれに搭載されている回路間を接続するフレキシブルケーブルとしては、銅線や錫メッキ線などの被覆電線を用いるのが一般的である。例えば、図18(A)に示すように、ヘッド分離型ビデオカメラ10を例に挙げると、第1筐体のカメラ部11と第2筐体の本体部12とから構成され、それぞれの筐体の回路はフレキシブルケーブル13を介して接続されている。
【0003】
このフレキシブルケーブル13は、図18(B)に示すように、複数の電線14を束ね、その周りに錫メッキ線などで編組みしたシールド網15で覆い、その表面を絶縁性部材、例えばPVC(Polyvinyl Chlorid)で被覆した構造となっている。電線14は、信号線、電源、GNDの線材からなり、合計で10数本から構成されている。
【0004】
又、第1筐体のカメラ部11を小型化するためには、第1筐体と第2筐体との接続に圧着端子、或いは圧接端子型のコネクタを用いることができない。そのため、図19(A)に示すように、コネクタ16の電極17にケーブル13の電線14を直接ハンダ付けして接続する。又は、図19(B)に示すように、プリント基板18の接続端子19にケーブル13の電線14を直接ハンダ付けするという手法が取られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記説明したフレキシブルケーブルにおいて、線材を束ねた場合には、中の線材をかなり細いものにしなければケーブルがかなり太くなってしまうと云う問題がある。
【0006】
又、上記説明したケーブルの加工方法、即ち、線材をハンダ付けする手法ではフレキシブルケーブルのコストも高くつき、手ハンダによる工数、量産性、修理などに問題がある。
【0007】
従って、2つの異なった筐体のそれぞれに搭載されている回路間を接続するフレキシブルケーブルの形状及びその構造に解決しなければならない課題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るフレキシブルケーブルは、(1)両端にある端子部と該端子部を連結する連結部とが一体に形成されたフレキシブルプリント配線板と、上記連結部の表面を覆うモールド成形された絶縁性部材からなるフレキシブルケーブルであって、上記連結部は、捻った状態において上記絶縁性部材で周囲を覆うようにしたことである。
(2)前記端子部には、回路部を設けたことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
(3)前記絶縁性部材は、PVC、又はゴム材を用いたことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
(4)前記絶縁性部材には、導電性材料を混入させたことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
(5)前記フレキシブルプリント配線板は、長尺な芯線材の周りに螺旋状に巻き付けたことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
(6)前記芯線材は、同軸ケーブルであることを特徴とする(5)に記載のフレキシブルケーブル。
(7)前記フレキシブルプリント配線板には、輻射を防止するドーナツ形状に形成した磁性体を、該フレキシブルプリント配線板の1箇所又は複数箇所に装着したことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
(8)前記フレキシブルプリント配線板には、輻射を防止するドーナツ形状に形成した磁性体を2つに割り、該2つに割った磁性体を該フレキシブルプリント配線板の1箇所又は複数箇所で挟み込んだことを特徴とする(1)に記載のフレキシブルケーブル。
【0009】
このような構成からなるフレキシブルケーブルにおいて、芯線にフレキシブルプリント配線板を利用することで、ケーブルと回路との接続がフレキシブルプリント配線板の両端の端子部を用いることが可能になり、その接続構造が極めて容易となる。
【0010】
又、フレキシブルプリント配線板に回路を組み込むことにより、例えば筐体側の回路構成を少なくして小型化を図ることが可能になる。
【0011】
更に、フレキシブルプリント配線板の表面に外装被覆処理手段、例えばモールド成形を施したことにより、ケーブルの見かけ上の体裁を保ちつつ、回路間の接続を容易にできるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るフレキシブルケーブルに関する種々の実施の形態について図面を参照して説明する。第1及び第2筐体については従来技術で説明したヘッド分離型ビデオカメラが当てはまるため、適宜引用しその説明は省略する。
【0013】
第1の実施の形態のフレキシブルケーブル30は、図1に示すように、芯線にフレキシブルプリント配線板31を利用し、その表面に外装被覆処理手段を施した外装部35を備えた構造となっている。このフレキシブルプリント配線板31は長尺な板形状に形成した板面に複数の信号線を絶縁させた状態で配置したプリント配線部32(図1(C)参照)と、このプリント配線部32の一方の端部には第1筐体のカメラ部(図18(A)の11参照)に接続する第1端子部33と、他方の端部には第2筐体の本体部(図18(A)の12参照)に接続する第2端子部34とから構成されている。又、この両端子部33、34に配置してある接続端子36、37の数、及びプリント配線部32に配置されている信号線の数は、第1筐体(カメラ部11)側と第2筐体(本体部12)側とを接続するのに必要な信号、電源、GNDの数からなり、実施例においては12本で構成されている。
【0014】
芯線になるプリント配線部32は、図1(A)及び(C)に示すように、ポリイミドをベースにしたフレキシブルな平板形状に形成し、その両面の長さ方向のそれぞれに絶縁した状態で6本の信号線38を平行に配設した構造となっている。この信号線38の表面は絶縁性部材で覆った構造となっている。
【0015】
第1端子部33は、図1(A)及び(B)に示すように、第1筐体(本体部12)側の第2端子部34よりも小さく形成して小型のコネクタに対応できるようになっており、その端子の両面に導電性部材で形成した接続端子36を整列状態で配置した構造となっている。この両面に設けた接続端子36は、それぞれの面に6個、全部で12個の接続端子36から構成されている。
【0016】
第2端子部34は、図1(A)及び(B)に示すように、第1端子部33よりも大きく形成し、片面にのみ12個の接続端子37を整列状態で配置した構造となっている。
【0017】
外装部35は、上記構成からなるフレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32の表面をPVCでモールド成形による外装被覆処理手段を施して形成されている。尚、モールドする部材はPVCに限定されることなくゴム材等でもよい。
【0018】
モールド成形は、図2(A)に示すように、上金型39と下金型40を用い、それぞれに外装被覆を施すための溝41、及びPVCを流し込むための湯道42を設ける。
【0019】
この上金型39及び下金型40の間にフレキシブルプリント配線板31を真っ直ぐに伸ばした状態で挟み込み、湯道42よりPVCを流し込む。モールド部材のPVCが固まった時点で取り出して、上金型39と下金型40とのわずかな隙間より生じたバリ等を取り除いて、図2(B)に示すフレキシブルケーブル30が完成する。
【0020】
このようにして完成したフレシキブルケーブル30は、プリント配線部32を芯線に使用することで、第1及び第2端子部33、34に適合した圧接コネクタをそのまま使用することができる。そのため、第1及び第2筐体のそれぞれに搭載されている回路とフレキシブルケーブル30との接続が極めて容易になるため生産性の向上が図れる。又、プリント配線部32をPVCなどでモールド成形した外装部35を施すだけであるのでフレキシブルケーブル30の見かけ上の体裁を保ちつつ、フレキシブルケーブル30自体のコストも下げることができる。
【0021】
更に、プリント配線部32の両端の第1及び第2端子部33、34、及びこれら両端子部33、34に適合した圧接コネクタは、細ピッチが可能であるため、信号線の数が多くなっても両端子部33、34及びコネクタの大きさは小型化できる。従って、回路やコネクタを組み込む第1及び第2筐体(図18(A)のカメラ部11及び本体部12)自体の小型化をも図ることができる。
【0022】
次に、本願発明の第2の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図3を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、筐体に搭載されている回路の一部又は回路の部品を、フレキシブルプリント配線板31側に搭載できるようにしたケーブルである。尚、第1の実施の形態で説明した部分と同一のものには同一符号を付け、その説明は省略する。
【0023】
フレキシブルケーブル30は、図3に示すように、芯線にフレキシブルプリント配線板31を利用し、プリント配線部32の表面に外装被覆処理手段を施した外装部35を設けた構造となっている。そして、プリント配線部32の両端に備えてある第1及び又は第2端子部33(、34)の部分には回路部43を備えた構造となっている。 尚、図3においては第1筐体(図18(A)においてカメラ部11)と接続する第1端子部33に回路部43を備えた構造となっているが、第2筐体と接続する第2端子部(34)又は両方の端子部33、34に回路部43を備えた構造であってもよい。
【0024】
第1筐体に接続する第1端子部33は、両面の自由端縁に整列状態で配置した導電性部材の接続端子36と、接続端子36とプリント配線部32との間の板面に部品をマウントするパターン及び、該パターンに部品を搭載した回路部43を設けた構造となっている。
【0025】
この回路部43は、第1筐体(図18(A)においてカメラ部11)側で必要とする回路の一部又は回路の部品を備えた構成になっている。このような構成にすれば、第1筐体側の構造を簡略化できると共に小型化を図ることができる。又、図3に示すように、第1筐体11で必要とする回路の部品をこの回路43に搭載するようにすれば、第1筐体には機構的な部分(実施の形態においてはカメラの部分)と、簡略化又は小型化した回路を搭載すればよいことになる。
【0026】
次に、本願発明の第3の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図4を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、フレキシブルプリント配線板31を回転させて捻じった状態のケーブルである。尚、第1の実施の形態で説明した図1及び図2と同じものには同一符号を付与し、その説明は省略する。
【0027】
フレキシブルケーブル30は、図4(B)に示すように、芯線に第1及び第2端子部33、34を両端に備えたフレキシブルプリント配線板31を利用し、プリント配線部32の部分を回転させて捻じった状態で外装被覆処理手段であるモールド成形を施した外装部35を設けた構造となっている。
【0028】
このフレキシブルケーブル30の作成は、図4(A)に示すように、モールド成形する上金型39及び下金型40の間にフレキシブルプリント配線板31を複数回、回転させ、プリント配線部32の部分を捻じった状態で溝41に挟み込み、湯道42よりPVCを流し込む。そして、PVCが固まった時点で取り出すと外装部35(図4(B)参照)が出来上がり、フレキシブルケーブル30が完成する。
【0029】
このようにして作成されたフレキシブルケーブル30は、捻じられた状態のプリント配線部32の部分に常時復帰しようとする力が働いているため、ケーブル全体に柔軟性を持たせることができる。
【0030】
次に、本願発明の第4の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図5を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31をフレキシブルケーブルの用途に合わせた形状のケーブルである。尚、第1の実施の形態で説明した図1及び図2と同じものには同一符号を付与し、その説明は省略する。
【0031】
フレキシブルケーブル30は、図5(B)に示すように、芯線に第1及び第2端子部33、34を両端に備えたフレキシブルプリント配線板31を利用し、プリント配線部32を用途に応じた形状にして外装被覆処理手段であるモールド成形を施した外装部35を設けた構造となっている。
【0032】
モールド成形する金型は、図5(A)に示すように、上金型39と下金型40を用い、それぞれに外装被覆処理手段を施すための溝41、及びPVCを流し込むための湯道42を設ける。
【0033】
この溝41は、フレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32を用途に合わした形状になっており、図5(A)においてはS字型形状に形成されている。
【0034】
このようなS字型形状をした溝41にプリント配線部32を挟み込み、湯道42よりPVCを流し込む。PVCが固まった時点で取り出すと、S字型形状のフレキシブルケーブル30(図5(B)参照)が完成する。
【0035】
このように用途に合わせた形状のフレキシブルケーブル30は、予めケーブルが配置される場所に合わせることができる。このことは組み立て方向を特定したり、組み立てる領域を少なくすることができ、結果として組み立て易くなり、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
次に、本願発明の第5の実施の形態のフレキシブルケーブルについて図6〜図8を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31を長尺な芯線材32aの周りに螺旋状に巻き付けて形成したケーブルである。
【0037】
フレキシブルケーブル30は、図6(B)に示すように、第1及び第2の端子部33、34を両端に備えたフレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32の部分を、長尺な棒状の芯線材32aに螺旋状に巻き付け、その表面にモールド成形した外装部35を施した構造となっている。このような構造にすると、ケーブルの強度、或いはモールド成形後のケーブルを丸い棒状になるようにして質感を出すことができる。
【0038】
このフレキシブルケーブル30の作成は、図6(A)に示すように、プリント配線部32の部分を塩化ビニール製の棒状の芯線材32aに螺旋状に巻き付け、巻き付けた状態で上金型39と下金型40の溝41に挟み込み、PVCを湯道42から流し込んでモールド成形する。
【0039】
ここでフレキシブルプリント配線板31の両側は、図7に示すように、芯線材32a(図6(A)参照)に螺旋状に巻き付けてモールド成形した時に、第1及び第2端子部33、34が棒状の芯線材32aに対して真っ直ぐになるように、第1及び第2端子部33、34の近傍位置(Q1、Q2)のプリント配線部32を予め折り曲げて変形させておけばよい。
【0040】
又、芯線材32aとして塩化ビニール製の棒状部材を用いたが、これに替わって、図8に示すように、同軸ケーブル44を利用してもよい。
【0041】
同軸ケーブル44は、1本の内部導体45と、これを同心円筒状に包む外部導体46によって作成され、両者は絶縁部材により絶縁されている。このような構造からなる同軸ケーブル44の外周に、フレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32の部分を螺旋状に巻き付け、巻き付けた状態でモールド成形すればフレキシブルケーブルが完成する。このように芯線材32aに同軸ケーブル44を使用したフレキシブルケーブルは、高周波信号や抵インピーダンスの信号を通すことが可能になる。
【0042】
次に、本願発明の第6の実施の形態のフレキシブルケーブルについて図9を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31の両板面を、長尺な半円形状部材で挟み込んだケーブルである。
【0043】
フレキシブルケーブル30は、前述した第5の実施の形態のケーブルと同様に、モールド成形後のケーブルの強度、或いは成形後のケーブルの形を丸い棒状のケーブルとなり、質感を出すようにしたものである。即ち、図9(A)に示すように、塩化ビニール等で成形した長尺な半円形状の芯線材47を2個用意する。そして、図9(B)に示すように、フレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32の両板面を芯線材47で挟み込み、図示しないその周りをPVC等でモールド成形する。
【0044】
このようにすると、モールド成形した形状がケーブルに強度を持たせ且つ芯線材47で挟み込んだ箇所が通常のケーブルのような丸い棒状になり、ケーブルとしての質感をかもし出すことができる。
【0045】
次に、本願発明の第7の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図10を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31の表面に外装被覆材料を塗布、或いは吹付け等を施したケーブルである。
【0046】
フレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31を芯線として使用する点に関しては前述した種々の実施の形態と同様であるが、フレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32の部分に外装被覆処理手段を施すのにモールド成形ではなく、PVC或いはゴム材を塗布、或いは吹き付けなどによる外装部35を設けた構造となっている。
【0047】
このように塗布或いは吹き付け等による外装被覆処理手段は、モールド成形に必要な金型を作成する必要がなくなり、プリント配線部32の部分を自由な形状にして外装部35を施すことができる。
【0048】
次に、本願発明の第8の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図11を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、モールド成形する材料に導電性材料を混入させて、電気的なシールド機能を備えたケーブルである。
【0049】
フレキシブルケーブル30は、第1及び第2端子部33、34を有するフレキシブルプリント配線板31を芯線として使用する点に関しては前述した種々の実施の形態と同様であるが、外装部35を形成する外装被覆材料に導電性材料48を混入させて電気的なシールド機能を備えた構造になっている。
【0050】
この外装被覆処理を施すには、PVC等の外装被覆材料にカーボン等の導電性材料48の物質を混入させ、モールド成形又は塗布、或いは吹き付けて外装部35を形成する。このようにしてフレキシブルケーブル30の外装部35にカーボン等の導電性材料48を混入させた部材で形成すると、フレキシブルケーブル30の外装部35の部分に電気的なシールド効果を持たせることができる。
【0051】
次に、本願発明の第9の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図12(A)、(B)を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、前述した第8の実施の形態と同様に、フレキシブルプリント配線板の両板面の信号線から外れた位置にシールド用電極部49を設けて、電気的なシールド機能を備えたケーブルである。
【0052】
フレキシブルケーブルは、フレキシブルプリント配線板31を芯線として使用する点に関しては前述した種々の実施の形態と同様であるが、芯線を形成するプリント配線部32に設けてある複数の信号線38の他に、複数の信号線38を包む大きさからなるシールド用電極部49を信号線38から外れた位置に設けた構造となっている。このシールド用電極部49は、信号線38を覆う広さの電極(所謂ベタ電極)に形成され、接地信号(GND)が供給されるようになっている。
【0053】
このようなシールド用電極部49は、プリント配線部32の信号線38部分に折り重ねるようにして覆い、信号線38を電気的にシールドする。このようにして信号線38部分にシールド用電極部49を折り重ねるようにした状態で、その表面をモールド成形するか、塗布或いは吹き付けて外装被覆処理手段を施してフレキシブルケーブルが完成する。
【0054】
次に、本願発明の第10の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図13を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、上述した第8及び第9の実施の形態と同様に、フレキシブルプリント配線板の表面をモールド成形し、その周りを導電性部材で覆って、電気的なシールド機能を備えたケーブルである。
【0055】
フレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31を芯線として使用する点に関しては前述した種々の実施の形態と同様であるが、プリント配線部32の部分をモールド成形等の外装被覆処理手段を施した絶縁部50と、絶縁部50を施した表面に錫メッキ線等を用いた網紐で覆ったシールド部51と、シールド部51の外周面にPVC、又はゴム材等でモールド成形した外装部35とを設けた構造になっている。このような構造にするとモールド成形したプリント配線部32が心線の内部導体となり、網紐のシールド部51が外部導体となって、同軸ケーブルと同様の構造となり、プリント配線部32の信号線全体にシールド効果を図ることができる。
【0056】
次に、本願発明の第11の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図14(A)、(B)を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31に輻射を防止するドーナツ形状に形成した磁性体52を装着して、不要輻射対策を施したケーブルである。
【0057】
フレキシブルケーブル30は、図14(A)に示すように、フレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32にドーナツ形状のフエライト材等の磁性体52を、1箇所又は複数箇所に装着してからモールド成形する。
【0058】
又は、図14(B)に示すように、ドーナツ形状のフエライト材の磁性体52a、52bを2つ割りにし、プリント配線部32の1箇所又は複数箇所を挟み込んでモールド成形する。
【0059】
このように磁性体52、又は52a、52bを、信号線を有するプリント配線部32に備えて外装部35を施して形成されたフレキシブルケーブル30は、信号線に高周波パルス信号等を流しても輻射を防止して他の信号線への影響を防止することができる。
【0060】
次に、本願発明の第12の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図15を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、芯線として利用するフレキシブルプリント配線板31の端子部を、中継コネクタ53を介して同種のフレキシブルプリント配線板31と接続して、ケーブル長を延長させるようにしたものである。
【0061】
フレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31を芯線として使用する際に、フレキシブルプリント配線板31の長さを所定の長さ(例えば実施例においては50cm)以上長くすることが製造上できない。そのため、ケーブル長を長くするためには、図15(A)に示すように、フレキシブルプリント配線板31間に中継コネクタ53を介して長くさせる。そして、図15(B)に示すように、中継コネクタ53には、フレキシブルプリント配線板31の第1端子部33と、他のフレキシブルプリント配線板31の第2端子部34とを差し込んで電気的な接続を得るようにする。この状態で図15(C)に示すように、中継コネクタ53を含んだ2個のフレキシブルプリント配線板31全体をモールド成形して外装部35を施せばケーブル長を延長したフレキシブルケーブル30が完成する。
【0062】
次に、本願発明の第13の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図16を参照して説明する。このフレキシブルケーブルは、上述した第12の実施の形態と同様に、フレキシブルプリント配線板31の端子部を、中継基板55を介してフレキシブルプリント配線板31と異なるケーブル54と接続して、ケーブル長を延長させたケーブルである。
【0063】
フレキシブルケーブル30は、フレキシブルプリント配線板31に外装部35を施した構造となっている。このような構造のフレキシブルケーブル30は、種類の異なるケーブル54の間に中継基板55を介してケーブル長を長くした構造となっている。
【0064】
中継基板55は、図16(A)に示すように、プリント配線板31の第1端子部33(、又は第2端子部34)を差し込む差込口56と、従来からのケーブル54の各電線54aとハンダ等で接続する基板57とを備えた構造となっている。
【0065】
このような構造からなる中継基板55には、図16(A)、(B)に示すように、先ずケーブル54に外装被覆材58である熱収縮チューブを通しておき、電線54aを基板57の接点にハンダ付け等により接続する。そして、フレキシブルプリント配線板31の第1端子部33を差込口56に差込んでケーブル54とフレキシブルプリント配線板31との電気的な接続状態を得るようにする。この状態で、図16(C)に示すように、中継基板55に外装被覆材58である熱伸縮チューブを被せ、熱を加えて外装成形する。
【0066】
次に、本願発明の第14の実施の形態のフレキシブルケーブルについて、図17を参照して説明する。このフレキシブルケーブル30は、芯線に利用するフレキシブルプリント配線板31を複数個重ねて形成して、信号線の数を増やしたケーブルである。
【0067】
フレキシブルケーブル30は、図17(B)に示すように、フレキシブルプリント配線板31を複数個重ねて形成し、その重ねたプリント配線部32の部分をモールド形成して外装部3を施した構造となっている。このような構造からなるフレキシブルケーブル30の作成は、図17(A)に示すように、上下金型39、40の溝41に、複数個(実施例においては2個)のフレキシブルプリント配線板31のプリント配線部32部分を重ねて挟み込む。この状態で湯道42よりPVC等のモールド材を供給してモールド成形すればフレキシブルケーブル30が完成する。
【0068】
このようにして作成されたフレキシブルケーブル30は、必要とする信号線の数を既存のフレキシブルプリント配線板31を利用して容易に増やすことができる。尚、端子部33、34は、図17において2個づつになっているが、1つの端子部にしてもよく、端子部の形状を変更してもよい。
【0069】
【発明の効果】
上記説明したように、本発明に係るフレキシブルケーブルは、芯線に第1及び第2端子部を両端に備えたフレキシブルプリント配線板を利用し、プリント配線部の部分を回転させて捻じった状態でモールド成形を施した外装部を設けた構造となっているため、捻じられた状態のプリント配線部の部分に常時復帰しようとする力が働いているため、ケーブル全体に柔軟性を持たせることができる。
【0070】
又、フレキシブルプリント配線板の表面にモールド成形等の外装被覆処理手段を施しただけですむため、見かけ上の体裁を保ちつつ、且つケーブル自体のコストも下げることができると云う効果がある。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施の形態のモールド成形したフレキシブルプリント配線板からなるフレキシブルケーブルであり、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は(A)のP位置部分を拡大した要部拡大図である。
【図2】 同フレキシブルケーブルを作成するために、外装被覆処理手段であるモールド成形する金型を略示的に示したものであり、(A)はその上下金型とフレキシブルプリント配線板であり、(B)はモールド成形したフレキシブルケーブルの略示的な斜視図である。
【図3】 同第2の実施の形態のフレキシブルケーブルの略示的な平面図である。
【図4】 同第3の実施の形態のフレキシブルケーブルとそのモールド成形する金型を示したものであり、(A)は上下金型とフレキシブルプリント配線板であり、(B)は捻じった状態でフレキシブルプリント配線板をモールド成形したフレキシブルケーブルの略示的な斜視図である。
【図5】 同第4の実施の形態のフレキシブルケーブルとそのモールド成形する金型を示したものであり、(A)はケーブルの用途に応じた形状にした上下金型とその形状に合わせたフレキシブルプリント配線板を示し、(B)は用途に応じた形状のプリント配線板をモールド成形して形成したフレキシブルケーブルの略示的な斜視図である。
【図6】 同第5の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、(A)は長尺な棒状の芯線材にフレキシブルプリント配線板を螺旋状に巻き付けてモールド成形するフレキシブルケーブルとそのモールド成形する金型を示したものであり、(B)はフレキシブルプリント配線板を芯線材に螺旋状に巻き付けてモールド成形したフレキシブルケーブルの略示的な斜視図である。
【図7】 同第5の実施の形態に使用されるフレキシブルプリント配線板の形状を示した略示的な斜視図である。
【図8】 同第5の実施の形態に使用される長尺な芯線材に同軸ケーブルを使用した際の説明図である。
【図9】 同第6の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、芯線材を長尺な半円形状の2個の部材で形成し、この部材でフレキシブルプリント配線板を挟み込んで形成した略示的な斜視図であり、(A)はその分解斜視図、(B)は組み立てた要部の略示的な斜視図である。
【図10】 同第7の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板にPVC又はゴム材を塗布或いは吹付け等の外装被覆処理手段を施した略示的な斜視図である。
【図11】 同第8の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板に施す外装被覆処理材に導電性材料を混入させた略示的な斜視図である。
【図12】 同第9の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板にシールド用電極部を設けて電気的なシールド効果を図ったものであり、(A)はその平面図、(B)は信号線上にシールド用電極を重ねて覆った状態を示した略示的な斜視図である。
【図13】 同第10の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板にモールド成形を施し、その上にシールド部材で覆い、更にその上からモールド成形してシールド効果を図った略示的な斜視図である。
【図14】 同第11の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、不要輻射対策を施す磁性体をフレキシブルプリント配線板に装着してモールド成形したようすを示した略示的な斜視図であり、(A)はドーナツ形状のフエライト材をプリント配線部に装着してモールド形成したものであり、(B)は2つ割りにしたドーナツ形状のフエライト材を、プリント配線部の1個所又は複数箇所で挟み込み、モールド形成したようすを示した略示的な斜視図である。
【図15】 同第12の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板同士を中継コネクタで中継させてケーブル長を長くした略示的な斜視図である。
【図16】 同第13の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、フレキシブルプリント配線板と通常のケーブルとを中継基板で接続してケーブル長を長くした略示的な斜視図である。
【図17】 同第14の実施の形態のフレキシブルケーブルであり、複数個のフレキシブルプリント配線板を重ね合わせて、モールド成形する金型を略示的に示したものであり、(A)はその上下金型と2個のフレキシブルプリント配線板であり、(B)はモールド成形したフレキシブルケーブルの略示的な斜視図である。
【図18】 従来技術におけるヘッド分離型ビデオカメラのケーブルを示したものであり、(A)は略示的な全体斜視図であり、(B)はケーブルに収容されている電線を示したものである。
【図19】 従来技術におけるケーブルの電線とプリント配線板の端子にハンダ付けした様子を示した説明図である。
【符号の説明】
10;ヘッド分離型ビデオカメラ、11;第1筐体(カメラ部)、12;第2筐体(本体部)、30;フレキシブルケーブル、31;フレキシブルプリント配線板、32;プリント配線部、32a;芯線材、33;第1端子部、34;第2端子部、35;外装部、36;接続端子、37;接続端子、38;信号線、39;上金型、40;下金型、41;溝、42;湯道、43;回路部、44;同軸ケーブル、45;内部導体、46;外部導体、47;芯線材、48;導電性材料、49;シールド用電極部、50;絶縁部、51;シールド部、52;磁性体、52a;磁性体、52b;磁性体、53;中継コネクタ、54;ケーブル、54a;電線、55;中継基板、56;差込口、57;基板、58;外装被覆材
Claims (8)
- 両端にある端子部と該端子部を連結する連結部とが一体に形成されたフレキシブルプリント配線板と、
上記連結部の表面を覆うモールド成形された絶縁性部材からなるフレキシブルケーブルであって、
上記連結部は、捻った状態において上記絶縁性部材で周囲を覆うようにしたことを特徴とするフレキシブルケーブル。 - 前記端子部には、回路部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記絶縁性部材は、PVC、又はゴム材を用いたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記絶縁性部材には、導電性材料を混入させたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記フレキシブルプリント配線板は、長尺な芯線材の周りに螺旋状に巻き付けたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記芯線材は、同軸ケーブルであることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記フレキシブルプリント配線板には、輻射を防止するドーナツ形状に形成した磁性体を、該フレキシブルプリント配線板の1箇所又は複数箇所に装着したことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
- 前記フレキシブルプリント配線板には、輻射を防止するドーナツ形状に形成した磁性体を2つに割り、該2つに割った磁性体を該フレキシブルプリント配線板の1箇所又は複数箇所で挟み込んだことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルケーブル。
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