JP3714214B2 - 二次電池の充電率推定装置 - Google Patents
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- Tests Of Electric Status Of Batteries (AREA)
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の充電率(SOC)を推定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次電池の充電率SOC(充電状態とも言う)は開路電圧V0(通電遮断時の電池端子電圧であり、起電力、開放電圧とも言う)と相関があるので、開路電圧V0を求めれば充電率を推定することが出来る。しかし、二次電池の端子電圧は、通電を遮断(充放電を終了)した後も安定するまでに時間を要するので、正確な開路電圧V0を求めるには、充放電を終了してから所定の時間が必要である。したがって充放電中や充放電直後では、正確な開路電圧V0を求めることが出来ないので、上記の方法で充電率SOCを求めることが出来ない。そのため、従来は、下記のような方法を用いて開路電圧V0を推定している。
【0003】
二次電池の充電率(SOC)を推定する技術に関する従来例としては、「論文“適応デジタルフィルタを用いた鉛電池の開路電圧と残存容量の推定”四国総研、四国電力、湯浅電池 T.IEEE Japan Vol.112-C,No.4 1992」に記載されたものがある。この電池状態検出手法は、通電中の二次電池(鉛電池やリチウムイオン電池等の充放電可能な電池)の端子電圧と電流の計測データに、「適応デジタルフィルタ」を用いて開路電圧V0を推定(パラメータ同定)して、この値から電池の充電率SOCを推定するものである。
上記の従来例においては、「非回帰型の電池モデル(出力値が入力値の現在値および過去値だけで決るモデル)」に相当する下記(数4)式に、「適応デジタルフィルタ(逐次型のモデルパラメータ同定アルゴリズム)」を用いて、下記(数4)式中のパラメータの一つである開路電圧Cjを算出して、この値から充電率SOCを算出している。
【0004】
【数4】
ただし、Vj:端子電圧 Ij−k:kサンプル周期前の電流
Cj:開路電圧 bk,j:適応デジタルフィルタの係数
N:次数 Cj:開路電圧
そして、電池はIj=0の時(通電遮断時)、Vj=Cjである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来例においては、推定パラメータの初期値が全て0である適応デジタルフィルタを用いて演算しているが、推定演算開始時の実際の開路電圧等は0ではない。つまり、推定演算開始時に、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0であるにもかかわらず、V0=C0≠0という値が入力されるので、推定開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しない、という問題があった。
【0006】
本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、充電率SOCおよびその他のパラメータを正確に推定することの出来る二次電池の充電率推定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明においては、特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1においては、電流遮断時である推定演算開始時点における端子電圧初期値を演算し、端子電圧検出値と端子電圧初期値の差分値を演算し、電流計測値と前記差分値を、電池モデルを用いた適応デジタルフィルタに入力し、推定演算された開路電圧の変化分に端子電圧初期値を加算して開路電圧V0の推定値を演算し、予め求めた開路電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて上記の推定した開路電圧V0を用いて充電率を推定するように構成している。なお、請求項1の構成において、適応デジタルフィルタとしては、前記従来例に記載のごときものを用いることも出来るが、請求項2または請求項3に記載のごとき構成に適用すれば、さらに正確な値を求めることが出来る。
【0008】
また、請求項2においては、請求項1の演算に用いる適応デジタルフィルタとして、(数1)式に示す連続時間系の電池モデルを用いて適応デジタルフィルタ演算を行い、(数1)式中のオフセット項である開路電圧V0および過渡項であるA(s)、B(s)に対応するパラメータを一括推定するように構成している。
【0009】
また、請求項3においては、前記(数1)式に示した連続時間系の電池モデルを、離散時間系表現に変換した(数2)式で示される「自己回帰型モデル」を用いて、適応デジタルフィルタ演算を行い、各パラメータ(ak、bk、ck、rk)を一括推定し、さらに、(数3)式を用いて開路電圧V0を推定演算するように構成している。上記請求項1および請求項2の構成は、例えば後記実施例1に相当する。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明においては、検出した電流と端子電圧差分値を適応デジタルフィルタに入力している。端子電圧差分値は端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値なので、演算開始時には、端子電圧検出値=端子電圧初期値のため、差分値=0となる。したがって、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0である推定演算開始時点においては入力値が全て0となるので、演算開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しないという問題点を解決することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、二次電池の電流Iと端子電圧Vと開路電圧V0の関係を、(数1)式に示す伝達関数で近似して、開路電圧V0の項を定常項(オフセット項)とみなす(定式化する)ことで、「最小二乗法」等の「適応デジタルフィルタ」(公知の推定アルゴリズム)を適用することが可能となる。その結果、(数1)式中のパラメータ(オフセット項であるV0、および過渡項であるA(s)やB(s)に対応するパラメータ)を一括推定することが可能となる。これらパラメータは、充電率SOCや温度や劣化度などに影響され、時々刻々変化するものであるが、適応デジタルフィルタにより精度良く逐次推定することが可能である。なお、例えば後記図5に示す開路電圧V0と充電率SOCの関係は、温度や電池の劣化度に影響されにくく一定の相関関係にあるので、この特性を予め記憶しておけば、開路電圧V0から充電率SOCが直接算出できる。したがって、充電率SOCについても開路電圧V0と同様に、条件によらず正確な推定が可能である、という効果がある。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、具体的な方法の一つとして、連続時間系で記述された(数1)式の等価回路モデルを、離散時間系に変換する際に、オフセット項である開路電圧V0を(数2)式の右辺第3項のように展開することで、拡大最小二乗法などの適応デジタルフィルタを適用することが可能となる。その結果、マイコン等による演算で推定処理が実行可能になる、という効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例を機能ブロックで表した図である。図1において、1は二次電池の電流を検出する電流検出手段、2は二次電池の端子電圧を検出する端子電圧検出手段、3は演算開始時における端子電圧の初期値を演算する端子電圧初期値演算手段、4は端子電圧検出手段2で検出した端子電圧検出値と端子電圧初期値演算手段3で求めた端子電圧初期値との差分値を演算する端子電圧差分値演算手段、5は電流検出値と端子電圧差分値とを入力し、適応デジタルフィルタによって開路電圧を推定する開路電圧推定手段、6は開路電圧推定手段5で求めた開路電圧値を用いて、例えば後記図5の特性から充電率SOCを求める充電率推定手段である。
【0014】
図2は、実施例の具体的な構成を示すブロック図である。この実施例は、二次電池でモータ等の負荷を駆動したり、モータの回生電力で二次電池を充電するシステムに、二次電池の充電率推定装置を設けた例を示す。
図2において、10は二次電池(単に電池とも言う)、20はモータ等の負荷、30は電池の充電状態を推定する電子制御ユニットで、プログラムを演算するCPUやプログラムを記憶したROMや演算結果を記憶するRAMから成るマイクロコンピュータと電子回路等で構成される。40は電池から充放電される電流を検出する電流計、50は電池の端子電圧を検出する電圧計であり、それぞれ電子制御ユニット30に接続される。上記の電子制御ユニット30は前記図1の端子電圧初期値演算手段3、端子電圧差分値演算手段4、開路電圧演算手段5および充電率推定手段6の部分に相当する。また、電流計40は電流検出手段1に、電圧計50は端子電圧検出手段に、それぞれ相当する。
【0015】
まず、本実施例で用いる「電池モデル」を説明する。図3は、二次電池の等価回路モデルを示す図であり、下記(数5)式で示される。
(数5)式において、モデル入力は電流I[A](正値は充電、負値は放電)、モデル出力は端子電圧V[V]、R1〔Ω]は電荷移動抵抗、R2[Ω]は純抵抗、C1[F]は電気二重層容量、V0[V]は開路電圧である。なお、sはラプラス演算子である。本モデルは、正極、負極を特に分離していないリダクションモデル(一次)であるが、実際の電池の充放電特性を比較的正確に示すことが可能である。
【0016】
【数5】
上記(数5)式に零次ホールドを付加してZ変換することで、線形離散時間システム(数6)式を得る。
【0017】
【数6】
ただし、a1、b0、b1は定数、z−1は遅延演算子
V(k)は現時点の端子電圧、V(k−n)はnサンプル周期前の端子電圧を示すものであり、以後、他の変数もこれに準ずる。
【0018】
次に、「拡大最小二乗法」と呼ばれる公知の「適応デジタルフィルタ(逐次型同定アルゴリズム)」を一般形でまず説明する。
線形離散時間システムで記述されるプラントモデルを(数7)式とする。
【0019】
【数7】
ただし、A(z−1)、B(z−1)はz−1の多項式
nはA(z−1)、B(z−1)の次数
y(k)は出力、u(k)は入力、r(k)は式誤差(雑音)
上記のr(k)は一般に白色雑音ではなく、通常の「最小二乗法」を用いると推定値に偏り(バイアス)が生じる(電池の場合、開路電圧が数7式の右辺第2項の定常値に相当)。この問題に対応する幾つかの改良手法の一つとして、「拡大最小二乗法」がある。この手法では、(数8)式のように式誤差を改めて定義する。
【0020】
【数8】
ただし、e(k)は平均値零で分散σ2の白色雑音
C(z−1)はz−1の多項式
pはC(z−1)の次数
上記の(数7)式、(数8)式を用いて下記(数9)式が求まる。
【0021】
【数9】
更に(数11)式の定義を用いて(数9)式を(数10)式に変形する。
【0022】
【数10】
なお、(数10)式中のTは行列の配置を示す。
【0023】
【数11】
k時点のパラメータ推定値をθ*(k)とすると、逐次推定アルゴリズムは(数12)式に示すようになる。
【0024】
ただし、(数11)式のn=1、p=1。
【0025】
【数12】
次に、前記(数6)式の電池モデルに以上の適応フィルタアルゴリズムを適用する。(数10)式において下記(数13)式のように定義すると、(数6)式と(数9)式のモデルが一致するので前述の同定アルゴリズム(数12)式を適用することができ、パラメータθ(k)を推定することができる。
【0026】
【数13】
なお、r*(k)の導出には下記(数14)式を用いる。
【0027】
【数14】
上記のように「適応フィルタ」で同定されたパラメータθ*(k)から下記(数15)式に示すように、電池の重要パラメータである開路電圧V0、内部抵抗R1+R2、時定数R1・C1が求まる。
【0028】
【数15】
図4は、電子制御ユニット30のマイクロコンピュータが行う処理のフローチャートである。図4のルーチンは一定周期T0毎に実施される。なお、(k)は今回の値、(k−n)はnサンプル周期前(n周期前の演算)の値を意味する。
【0029】
ステップS10では、電流I(k)、端子電圧V(k)を計測する。
ステップS20では、推定演算の開始を判断する。電子制御ユニット30は二次電池の動作を全て管理しているので、電源投入直後は電流I=0であるから開始可能(YES)として、唯1回のみステップS30へ進む。初期値演算以降はステップS40へ進む。
【0030】
ステップS30では、適応デジタルフィルタ(同定アルゴリズムとも言う)の演算開始時点における端子電圧初期値V iniを算出し、ステップS40へ進む。演算開始時は電流I=0であるから、開路電圧初期値V0 iniは端子電圧初期値V iniに等しい。
V ini=V(0), V0 ini=V(0)
なお、V(0)は今回の端子電圧を示す。
【0031】
ステップS40では、検出した端子電圧V(k)と上記の端子電圧初期値V iniとの差分値である端子電圧差分値△V(k)を算出する。
△V(k)=V(k)−V ini
なお、演算開始時は、V(k)=V iniであるから、△V(k)=0である。
【0032】
ステップS50では、ノイズ除去の為に、電流I(k)および端子電圧差分値△V(k)にローパスフィルタ処理をし、処理後に改めて電流I(k)および端子電圧差分値△V(k)とする。
【0033】
ステップS60では、適応デジタルフィルタに、検出した電流値I(k)と上記の求めた端子電圧差分値△V(k)とを入力して(数13)式を行う。ここで入力として端子電圧差分値を用いるのは、推定演算開始時に適応デジタルフィルタ内の推定パラメータの初期値を約0としているので、推定パラメータが発散しないように、入力を全て0とするためである。従来例では推定演算開始時に電流I(0)=0と端子電圧V(0)=V ini≠0を入力するので、推定パラメータが発散してしまう。なお、電源投入直後から適応フィルタ演算を行うので、電流値I(k)はゼロを初期値として入力される。したがって、電流値I(k)は、必ずしも偏差を用いる必要性はない。
u(k)=△I(k)、 y(k)=△V(k)
θT(k)={−a1(k),b0(k),b1(k),−c1(k)}
ωT(k)={y(k−1),u(k),u(k−1),r(k−1)}
なお、r(k−1)は(数14)式で算出する。
【0034】
ステップS70では、(数12−1)式、(数12−2)式、(数14)式を演算する。
ステップS80では、(数15)式を演算し、下記のように、△V0(k)、R1+R2、R1・C1、△V(k)を求める。ただし、△V0(k)は推定演算開始時からの開路電圧推定値の変化分、△V(k)は推定演算開始時からの端子電圧推定値の変化分である。
△V0(k)=−c1(k)・r(k−1)/{1+a1(k)}
R1+R2={b0(k)+b1(k)}/{1+a1(k)}
R1・C1=−T0/In{−a1(k)}
△V(k)=−a1(k−1)・y(k−1)+b0(k−1)・u(k)+b1(k−1)・u(k−1)−c1(k−1)・r(k−1)
ステップS90では、下記のように、開路電圧推定値V0(k)と端子電圧推定値V(k)を算出する。つまり、ステップS80で算出した△V0(k)は同定アルゴリズム開始時からの開路電圧の変化分であるから、それに開路電圧初期値V0 iniを加算して開路電圧推定値V0(k)を算出する。また、△V(k)は同定アルゴリズム開始時からの端子電圧の変化分であるから、それに端子電圧初期値V iniを加算して端子電圧推定値V(k)を算出する。
V0(k)=△V0(k)+V0 ini
V(k)=△V(k)+V ini
ステップS100では、図5に示すような開路電圧V0と充電率SOCの相関マップを用いて、上記で算出したV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。なお、図5中のVLはSOC=0%に、VHはSOC=100%に相当する開路電圧である。
ステップS110では、次回の演算用に各数値を保存して一連の処理を終了する。
【0035】
上記のように、本発明においては、ステップS40で、端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値を求め、その端子電圧差分値と電流検出値とを適応デジタルフィルタの入力としている。端子電圧差分値は端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値なので、演算開始時には、端子電圧検出値=端子電圧初期値のため、差分値=0となる。したがって、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0である推定演算開始時点においては入力値が全て0となるので、演算開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しないという問題点を解決することができる。
【0036】
以下、シミュレーションで求めた本発明の効果を説明する。
図6および図7は、電池モデルに真値のパラメータを与えて、パラメータ同定したシミュレーション結果を示す図であり、図6は従来例、図7は本発明の結果を示す。なお、図6、図7において、点線または破線は真値、実線は推定値を示す。
【0037】
従来例では、図6の▲1▼に示すように、推定演算開始直後に端子電圧推定値が乱れる。また、図6の▲2▼に示すように、その後の内部抵抗の推定値も真値でなく負の値に収束している。そのため、図6の▲3▼に示すように、開路電圧推定値は真値とはかけ離れた値になっている。
それに対して実施例では、図7の▲1▼に示すように、推定演算期始直後に端子電圧推定値が乱れないので、図7の▲2▼に示すように、その後の内部抵抗の推定値も真値に収束する。そのため、図7の▲3▼に示すように、開路電圧推定値は真値と滑らかに一致している。
【0038】
また、本発明においては、二次電池の電流Iと端子電圧Vと開路電圧V0の関係を、(数1)式に示す伝達関数で近似して、開路電圧V0の項を定常項(オフセット項)とみなす(定式化する)ことで、「最小二乗法」等の「適応デジタルフィルタ」(公知の推定アルゴリズム)を適用することが可能となる。その結果、(数1)式中のパラメータ(オフセット項であるV0、および過渡項であるA(s)やB(s)に対応するパラメータ)を一括推定することが可能となる。これらパラメータは、充電率SOCや温度や劣化度などに影響され、時々刻々変化するものであるが、適応デジタルフィルタにより精度良く逐次推定することが可能である。なお、例えば後記図5に示す開路電圧V0と充電率SOCの関係は、温度や電池の劣化度に影響されにくく一定の相関関係にあるので、この特性を予め記憶しておけば、開路電圧V0から充電率SOCが直接算出できる。したがって、充電率SOCについても開路電圧V0と同様に、条件によらず正確な推定が可能である。
【0039】
また、具体的な方法の一つとして、連続時間系で記述された(数1)式の等価回路モデルを、離散時間系に変換する際に、オフセット項である開路電圧V0を(数2)式の右辺第3項のように展開することで、拡大最小二乗法などの適応デジタルフィルタを適用することが可能となる。その結果、マイコン等による演算で推定処理が実行可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の基本構成を機能ブロックで表した図。
【図2】本発明の具体的構成を示すブロック図。
【図3】二次電池の等価回路モデルを示す図。
【図4】電子制御ユニット30のマイクロコンピュータが行う処理のフローチャート。
【図5】開路電圧V0と充電率SOCの相関マップ。
【図6】従来例における各数値の推定シミュレーション結果の一例を示す図。
【図7】実施例における各数値の推定シミュレーション結果の一例を示す図。
【符号の説明】
1…電流検出手段 2…端子電圧検出手段
3…端子電圧初期値演算手段 4…端子電圧差分値演算手段
5…開路電圧推定手段 6…充電率推定手段
10…二次電池 20…モータ等の負荷
30…電子制御ユニット 40…電流計
50…電圧計
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池の充電率(SOC)を推定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次電池の充電率SOC(充電状態とも言う)は開路電圧V0(通電遮断時の電池端子電圧であり、起電力、開放電圧とも言う)と相関があるので、開路電圧V0を求めれば充電率を推定することが出来る。しかし、二次電池の端子電圧は、通電を遮断(充放電を終了)した後も安定するまでに時間を要するので、正確な開路電圧V0を求めるには、充放電を終了してから所定の時間が必要である。したがって充放電中や充放電直後では、正確な開路電圧V0を求めることが出来ないので、上記の方法で充電率SOCを求めることが出来ない。そのため、従来は、下記のような方法を用いて開路電圧V0を推定している。
【0003】
二次電池の充電率(SOC)を推定する技術に関する従来例としては、「論文“適応デジタルフィルタを用いた鉛電池の開路電圧と残存容量の推定”四国総研、四国電力、湯浅電池 T.IEEE Japan Vol.112-C,No.4 1992」に記載されたものがある。この電池状態検出手法は、通電中の二次電池(鉛電池やリチウムイオン電池等の充放電可能な電池)の端子電圧と電流の計測データに、「適応デジタルフィルタ」を用いて開路電圧V0を推定(パラメータ同定)して、この値から電池の充電率SOCを推定するものである。
上記の従来例においては、「非回帰型の電池モデル(出力値が入力値の現在値および過去値だけで決るモデル)」に相当する下記(数4)式に、「適応デジタルフィルタ(逐次型のモデルパラメータ同定アルゴリズム)」を用いて、下記(数4)式中のパラメータの一つである開路電圧Cjを算出して、この値から充電率SOCを算出している。
【0004】
【数4】
ただし、Vj:端子電圧 Ij−k:kサンプル周期前の電流
Cj:開路電圧 bk,j:適応デジタルフィルタの係数
N:次数 Cj:開路電圧
そして、電池はIj=0の時(通電遮断時)、Vj=Cjである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来例においては、推定パラメータの初期値が全て0である適応デジタルフィルタを用いて演算しているが、推定演算開始時の実際の開路電圧等は0ではない。つまり、推定演算開始時に、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0であるにもかかわらず、V0=C0≠0という値が入力されるので、推定開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しない、という問題があった。
【0006】
本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、充電率SOCおよびその他のパラメータを正確に推定することの出来る二次電池の充電率推定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明においては、特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1においては、電流遮断時である推定演算開始時点における端子電圧初期値を演算し、端子電圧検出値と端子電圧初期値の差分値を演算し、電流計測値と前記差分値を、電池モデルを用いた適応デジタルフィルタに入力し、推定演算された開路電圧の変化分に端子電圧初期値を加算して開路電圧V0の推定値を演算し、予め求めた開路電圧V0と充電率SOCとの関係に基づいて上記の推定した開路電圧V0を用いて充電率を推定するように構成している。なお、請求項1の構成において、適応デジタルフィルタとしては、前記従来例に記載のごときものを用いることも出来るが、請求項2または請求項3に記載のごとき構成に適用すれば、さらに正確な値を求めることが出来る。
【0008】
また、請求項2においては、請求項1の演算に用いる適応デジタルフィルタとして、(数1)式に示す連続時間系の電池モデルを用いて適応デジタルフィルタ演算を行い、(数1)式中のオフセット項である開路電圧V0および過渡項であるA(s)、B(s)に対応するパラメータを一括推定するように構成している。
【0009】
また、請求項3においては、前記(数1)式に示した連続時間系の電池モデルを、離散時間系表現に変換した(数2)式で示される「自己回帰型モデル」を用いて、適応デジタルフィルタ演算を行い、各パラメータ(ak、bk、ck、rk)を一括推定し、さらに、(数3)式を用いて開路電圧V0を推定演算するように構成している。上記請求項1および請求項2の構成は、例えば後記実施例1に相当する。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明においては、検出した電流と端子電圧差分値を適応デジタルフィルタに入力している。端子電圧差分値は端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値なので、演算開始時には、端子電圧検出値=端子電圧初期値のため、差分値=0となる。したがって、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0である推定演算開始時点においては入力値が全て0となるので、演算開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しないという問題点を解決することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明においては、二次電池の電流Iと端子電圧Vと開路電圧V0の関係を、(数1)式に示す伝達関数で近似して、開路電圧V0の項を定常項(オフセット項)とみなす(定式化する)ことで、「最小二乗法」等の「適応デジタルフィルタ」(公知の推定アルゴリズム)を適用することが可能となる。その結果、(数1)式中のパラメータ(オフセット項であるV0、および過渡項であるA(s)やB(s)に対応するパラメータ)を一括推定することが可能となる。これらパラメータは、充電率SOCや温度や劣化度などに影響され、時々刻々変化するものであるが、適応デジタルフィルタにより精度良く逐次推定することが可能である。なお、例えば後記図5に示す開路電圧V0と充電率SOCの関係は、温度や電池の劣化度に影響されにくく一定の相関関係にあるので、この特性を予め記憶しておけば、開路電圧V0から充電率SOCが直接算出できる。したがって、充電率SOCについても開路電圧V0と同様に、条件によらず正確な推定が可能である、という効果がある。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、具体的な方法の一つとして、連続時間系で記述された(数1)式の等価回路モデルを、離散時間系に変換する際に、オフセット項である開路電圧V0を(数2)式の右辺第3項のように展開することで、拡大最小二乗法などの適応デジタルフィルタを適用することが可能となる。その結果、マイコン等による演算で推定処理が実行可能になる、という効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例を機能ブロックで表した図である。図1において、1は二次電池の電流を検出する電流検出手段、2は二次電池の端子電圧を検出する端子電圧検出手段、3は演算開始時における端子電圧の初期値を演算する端子電圧初期値演算手段、4は端子電圧検出手段2で検出した端子電圧検出値と端子電圧初期値演算手段3で求めた端子電圧初期値との差分値を演算する端子電圧差分値演算手段、5は電流検出値と端子電圧差分値とを入力し、適応デジタルフィルタによって開路電圧を推定する開路電圧推定手段、6は開路電圧推定手段5で求めた開路電圧値を用いて、例えば後記図5の特性から充電率SOCを求める充電率推定手段である。
【0014】
図2は、実施例の具体的な構成を示すブロック図である。この実施例は、二次電池でモータ等の負荷を駆動したり、モータの回生電力で二次電池を充電するシステムに、二次電池の充電率推定装置を設けた例を示す。
図2において、10は二次電池(単に電池とも言う)、20はモータ等の負荷、30は電池の充電状態を推定する電子制御ユニットで、プログラムを演算するCPUやプログラムを記憶したROMや演算結果を記憶するRAMから成るマイクロコンピュータと電子回路等で構成される。40は電池から充放電される電流を検出する電流計、50は電池の端子電圧を検出する電圧計であり、それぞれ電子制御ユニット30に接続される。上記の電子制御ユニット30は前記図1の端子電圧初期値演算手段3、端子電圧差分値演算手段4、開路電圧演算手段5および充電率推定手段6の部分に相当する。また、電流計40は電流検出手段1に、電圧計50は端子電圧検出手段に、それぞれ相当する。
【0015】
まず、本実施例で用いる「電池モデル」を説明する。図3は、二次電池の等価回路モデルを示す図であり、下記(数5)式で示される。
(数5)式において、モデル入力は電流I[A](正値は充電、負値は放電)、モデル出力は端子電圧V[V]、R1〔Ω]は電荷移動抵抗、R2[Ω]は純抵抗、C1[F]は電気二重層容量、V0[V]は開路電圧である。なお、sはラプラス演算子である。本モデルは、正極、負極を特に分離していないリダクションモデル(一次)であるが、実際の電池の充放電特性を比較的正確に示すことが可能である。
【0016】
【数5】
上記(数5)式に零次ホールドを付加してZ変換することで、線形離散時間システム(数6)式を得る。
【0017】
【数6】
ただし、a1、b0、b1は定数、z−1は遅延演算子
V(k)は現時点の端子電圧、V(k−n)はnサンプル周期前の端子電圧を示すものであり、以後、他の変数もこれに準ずる。
【0018】
次に、「拡大最小二乗法」と呼ばれる公知の「適応デジタルフィルタ(逐次型同定アルゴリズム)」を一般形でまず説明する。
線形離散時間システムで記述されるプラントモデルを(数7)式とする。
【0019】
【数7】
ただし、A(z−1)、B(z−1)はz−1の多項式
nはA(z−1)、B(z−1)の次数
y(k)は出力、u(k)は入力、r(k)は式誤差(雑音)
上記のr(k)は一般に白色雑音ではなく、通常の「最小二乗法」を用いると推定値に偏り(バイアス)が生じる(電池の場合、開路電圧が数7式の右辺第2項の定常値に相当)。この問題に対応する幾つかの改良手法の一つとして、「拡大最小二乗法」がある。この手法では、(数8)式のように式誤差を改めて定義する。
【0020】
【数8】
ただし、e(k)は平均値零で分散σ2の白色雑音
C(z−1)はz−1の多項式
pはC(z−1)の次数
上記の(数7)式、(数8)式を用いて下記(数9)式が求まる。
【0021】
【数9】
更に(数11)式の定義を用いて(数9)式を(数10)式に変形する。
【0022】
【数10】
なお、(数10)式中のTは行列の配置を示す。
【0023】
【数11】
k時点のパラメータ推定値をθ*(k)とすると、逐次推定アルゴリズムは(数12)式に示すようになる。
【0024】
ただし、(数11)式のn=1、p=1。
【0025】
【数12】
次に、前記(数6)式の電池モデルに以上の適応フィルタアルゴリズムを適用する。(数10)式において下記(数13)式のように定義すると、(数6)式と(数9)式のモデルが一致するので前述の同定アルゴリズム(数12)式を適用することができ、パラメータθ(k)を推定することができる。
【0026】
【数13】
なお、r*(k)の導出には下記(数14)式を用いる。
【0027】
【数14】
上記のように「適応フィルタ」で同定されたパラメータθ*(k)から下記(数15)式に示すように、電池の重要パラメータである開路電圧V0、内部抵抗R1+R2、時定数R1・C1が求まる。
【0028】
【数15】
図4は、電子制御ユニット30のマイクロコンピュータが行う処理のフローチャートである。図4のルーチンは一定周期T0毎に実施される。なお、(k)は今回の値、(k−n)はnサンプル周期前(n周期前の演算)の値を意味する。
【0029】
ステップS10では、電流I(k)、端子電圧V(k)を計測する。
ステップS20では、推定演算の開始を判断する。電子制御ユニット30は二次電池の動作を全て管理しているので、電源投入直後は電流I=0であるから開始可能(YES)として、唯1回のみステップS30へ進む。初期値演算以降はステップS40へ進む。
【0030】
ステップS30では、適応デジタルフィルタ(同定アルゴリズムとも言う)の演算開始時点における端子電圧初期値V iniを算出し、ステップS40へ進む。演算開始時は電流I=0であるから、開路電圧初期値V0 iniは端子電圧初期値V iniに等しい。
V ini=V(0), V0 ini=V(0)
なお、V(0)は今回の端子電圧を示す。
【0031】
ステップS40では、検出した端子電圧V(k)と上記の端子電圧初期値V iniとの差分値である端子電圧差分値△V(k)を算出する。
△V(k)=V(k)−V ini
なお、演算開始時は、V(k)=V iniであるから、△V(k)=0である。
【0032】
ステップS50では、ノイズ除去の為に、電流I(k)および端子電圧差分値△V(k)にローパスフィルタ処理をし、処理後に改めて電流I(k)および端子電圧差分値△V(k)とする。
【0033】
ステップS60では、適応デジタルフィルタに、検出した電流値I(k)と上記の求めた端子電圧差分値△V(k)とを入力して(数13)式を行う。ここで入力として端子電圧差分値を用いるのは、推定演算開始時に適応デジタルフィルタ内の推定パラメータの初期値を約0としているので、推定パラメータが発散しないように、入力を全て0とするためである。従来例では推定演算開始時に電流I(0)=0と端子電圧V(0)=V ini≠0を入力するので、推定パラメータが発散してしまう。なお、電源投入直後から適応フィルタ演算を行うので、電流値I(k)はゼロを初期値として入力される。したがって、電流値I(k)は、必ずしも偏差を用いる必要性はない。
u(k)=△I(k)、 y(k)=△V(k)
θT(k)={−a1(k),b0(k),b1(k),−c1(k)}
ωT(k)={y(k−1),u(k),u(k−1),r(k−1)}
なお、r(k−1)は(数14)式で算出する。
【0034】
ステップS70では、(数12−1)式、(数12−2)式、(数14)式を演算する。
ステップS80では、(数15)式を演算し、下記のように、△V0(k)、R1+R2、R1・C1、△V(k)を求める。ただし、△V0(k)は推定演算開始時からの開路電圧推定値の変化分、△V(k)は推定演算開始時からの端子電圧推定値の変化分である。
△V0(k)=−c1(k)・r(k−1)/{1+a1(k)}
R1+R2={b0(k)+b1(k)}/{1+a1(k)}
R1・C1=−T0/In{−a1(k)}
△V(k)=−a1(k−1)・y(k−1)+b0(k−1)・u(k)+b1(k−1)・u(k−1)−c1(k−1)・r(k−1)
ステップS90では、下記のように、開路電圧推定値V0(k)と端子電圧推定値V(k)を算出する。つまり、ステップS80で算出した△V0(k)は同定アルゴリズム開始時からの開路電圧の変化分であるから、それに開路電圧初期値V0 iniを加算して開路電圧推定値V0(k)を算出する。また、△V(k)は同定アルゴリズム開始時からの端子電圧の変化分であるから、それに端子電圧初期値V iniを加算して端子電圧推定値V(k)を算出する。
V0(k)=△V0(k)+V0 ini
V(k)=△V(k)+V ini
ステップS100では、図5に示すような開路電圧V0と充電率SOCの相関マップを用いて、上記で算出したV0(k)から充電率SOC(k)を算出する。なお、図5中のVLはSOC=0%に、VHはSOC=100%に相当する開路電圧である。
ステップS110では、次回の演算用に各数値を保存して一連の処理を終了する。
【0035】
上記のように、本発明においては、ステップS40で、端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値を求め、その端子電圧差分値と電流検出値とを適応デジタルフィルタの入力としている。端子電圧差分値は端子電圧検出値と端子電圧初期値との差分値なので、演算開始時には、端子電圧検出値=端子電圧初期値のため、差分値=0となる。したがって、適応デジタルフィルタ内部の推定パラメータの初期状態が約0である推定演算開始時点においては入力値が全て0となるので、演算開始直後に推定パラメータ値が乱れて真値に収束しないという問題点を解決することができる。
【0036】
以下、シミュレーションで求めた本発明の効果を説明する。
図6および図7は、電池モデルに真値のパラメータを与えて、パラメータ同定したシミュレーション結果を示す図であり、図6は従来例、図7は本発明の結果を示す。なお、図6、図7において、点線または破線は真値、実線は推定値を示す。
【0037】
従来例では、図6の▲1▼に示すように、推定演算開始直後に端子電圧推定値が乱れる。また、図6の▲2▼に示すように、その後の内部抵抗の推定値も真値でなく負の値に収束している。そのため、図6の▲3▼に示すように、開路電圧推定値は真値とはかけ離れた値になっている。
それに対して実施例では、図7の▲1▼に示すように、推定演算期始直後に端子電圧推定値が乱れないので、図7の▲2▼に示すように、その後の内部抵抗の推定値も真値に収束する。そのため、図7の▲3▼に示すように、開路電圧推定値は真値と滑らかに一致している。
【0038】
また、本発明においては、二次電池の電流Iと端子電圧Vと開路電圧V0の関係を、(数1)式に示す伝達関数で近似して、開路電圧V0の項を定常項(オフセット項)とみなす(定式化する)ことで、「最小二乗法」等の「適応デジタルフィルタ」(公知の推定アルゴリズム)を適用することが可能となる。その結果、(数1)式中のパラメータ(オフセット項であるV0、および過渡項であるA(s)やB(s)に対応するパラメータ)を一括推定することが可能となる。これらパラメータは、充電率SOCや温度や劣化度などに影響され、時々刻々変化するものであるが、適応デジタルフィルタにより精度良く逐次推定することが可能である。なお、例えば後記図5に示す開路電圧V0と充電率SOCの関係は、温度や電池の劣化度に影響されにくく一定の相関関係にあるので、この特性を予め記憶しておけば、開路電圧V0から充電率SOCが直接算出できる。したがって、充電率SOCについても開路電圧V0と同様に、条件によらず正確な推定が可能である。
【0039】
また、具体的な方法の一つとして、連続時間系で記述された(数1)式の等価回路モデルを、離散時間系に変換する際に、オフセット項である開路電圧V0を(数2)式の右辺第3項のように展開することで、拡大最小二乗法などの適応デジタルフィルタを適用することが可能となる。その結果、マイコン等による演算で推定処理が実行可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の基本構成を機能ブロックで表した図。
【図2】本発明の具体的構成を示すブロック図。
【図3】二次電池の等価回路モデルを示す図。
【図4】電子制御ユニット30のマイクロコンピュータが行う処理のフローチャート。
【図5】開路電圧V0と充電率SOCの相関マップ。
【図6】従来例における各数値の推定シミュレーション結果の一例を示す図。
【図7】実施例における各数値の推定シミュレーション結果の一例を示す図。
【符号の説明】
1…電流検出手段 2…端子電圧検出手段
3…端子電圧初期値演算手段 4…端子電圧差分値演算手段
5…開路電圧推定手段 6…充電率推定手段
10…二次電池 20…モータ等の負荷
30…電子制御ユニット 40…電流計
50…電圧計
Claims (3)
- 二次電池の電流を検出する手段と、
二次電池の端子電圧を検出する手段と、
電流遮断時である推定演算開始時点における端子電圧初期値を演算する手段と、
前記端子電圧検出値と前記端子電圧初期値との差分値を演算する手段と、
前記電流計測値と前記差分値を、電池モデルを用いた適応デジタルフィルタに入力し、その結果として推定演算された開路電圧の変化分に端子電圧初期値を加算して開路電圧の推定値を演算する開路電圧推定手段と、
予め求めた開路電圧と充電率との関係に基づいて前記の推定した開路電圧を用いて充電率を推定する充電率推定手段と、
を備えたことを特徴とする二次電池の充電率推定装置。
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