JP3703762B2 - 泥土造粒処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推進工事、シールド工事、基礎工事、浚渫工事のような建設工事等で発生する泥土を固化材と混合して固化する泥土造粒処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
縦穴掘削機等による基礎工事、管推進機による推進工事、シールド工事、浚渫工事のような建設工事等で発生する泥土すなわち高含水比の軟弱な土砂は、産業廃棄物として脱水処理した後、最終処分場に埋立てて廃棄処理されている。こうした泥土の処理は、脱水処理に経費がかかる上、脱水処理した泥土も、産業廃棄物として再利用することなく廃棄しなければならないため、著しく非経済的である。また、このように泥土を処理して廃棄するにしても、最近は、産業廃棄物の最終処分地の立地難がとみに深刻化している。
【0003】
こうしたことを背景にして建設工事等で発生する泥土のリサイクルの必要性が高まっている。こうした要請から、これまで利用価値のなかった泥土について、施工業者自らが泥土の発生現場で固化材を混合して改質処理を施すことにより、これを強度の高い一般建設残土と同等の土砂に改質して利用価値を創出し、改質処理現場から再利用先へと直接搬送して、路盤材、埋め戻し土、宅地造成土、土手の盛土等の種々の用途に再利用する技術の開発が進められている。
【0004】
その技術の開発の一つとして、泥土を粒状化するように処理するための泥土造粒処理装置の開発が試みられている。こうした泥土の造粒処理を行うと、造粒処理により生成し粒状泥土生成物を路床材として再利用することができる。また、その場合、粒状泥土生成物の強度を高めると路盤材としても再利用することができる等、処理した泥土の付加価値を高めることができ、更にはその用途を拡大することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで開発された泥土造粒処理装置は、泥土をバッチ方式で処理するため、処理する泥土の量が多いと、その泥土の造粒処理に多大の時間を要し、泥土の発生現場で泥土を大量に造粒処理するには不向きであった。特に、建設工事で発生する泥土は、膨大な量に及ぶため、迅速に大量処理することが必要であるが、泥土をバッチ方式で処理する従来の泥土造粒処理装置では、こうした要求に応えることができない。
【0006】
本発明は、こうした従来の技術の問題点を解消してようとするものであって、その技術課題は、泥土を大量に造粒処理するのに適した泥土造粒処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
こうした技術課題を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に係るこの出願の第1番目の発明及び請求項2に係るこの出願の第2番目の発明は、泥土造粒処理装置を構成する場合に、それぞれ次の1)及び2)に示す手段を採用した。
【0009】
1)多数の独立した撹拌羽根を回転軸に対して傾斜させて固着した撹拌機を、各撹拌機の撹拌羽根の隣接するもの同士を半径方向においてラップさせることにより泥土を凝集材と共に隣接する撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら凝集材と撹拌混合し得るように複数個並設して多軸撹拌機を構成し、泥土を泥土供給機で泥土投入口へ送って泥土投入口から多軸撹拌機内に供給する泥土供給手段と、泥土中の自由水を土粒子間に抱合させるための第1の凝集材を第1の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第1の凝集材供給手段と、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を第2の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段とを設けて、泥土投入口から供給された泥土と第1の凝集材投入口から供給された第1の凝集材とが撹拌羽根で混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置する。
【0010】
2)多数の独立した撹拌羽根を回転軸に対して傾斜させて固着した撹拌機を、各撹拌機の撹拌羽根の隣接するもの同士を半径方向においてラップさせることにより泥土を凝集材と共に隣接する撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら凝集材と撹拌混合し得るように複数個並設して多軸撹拌機を構成し、泥土を泥土供給機で泥土投入口へ送って泥土投入口から多軸撹拌機内に供給する泥土供給手段と、泥土中の自由水を土粒子間に抱合させるための第1の凝集材を第1の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第1の凝集材供給手段と、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を第2の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段とを設けて、泥土供給機を通過した後撹拌機に至るまでの間の泥土の流れの中に第1の凝集材を投入できるように第1の凝集材投入口を配置するとともに、泥土投入口から供給された泥土と第1の凝集材投入口から供給された第1の凝集材とが撹拌羽根で混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置する。
【0011】
前記1)の手段を採用したこの出願の第1番目の発明の泥土造粒処理装置にあっては、多軸撹拌機を回転駆動して、泥土及び第1の凝集材をそれぞれ泥土供給手段及び第1の凝集材供給手段により泥土投入口及び第1の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する。そうすると、多軸撹拌機における各撹拌機の撹拌羽根の隣接するもの同士を半径方向においてラップさせているため、多軸撹拌機は、泥土を第1の凝集材と共に隣接する撹拌羽根に巻き込んで、剪断破砕して細分化しながら泥土の排出側へ搬送することができる。このとき、泥土を撹拌羽根により剪断破砕して細分化することに加えて、撹拌羽根による泥土の剪断破砕及び搬送の双方の動作に伴って泥土を積極的に撹拌するため、第1の凝集材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて凝集材を泥土に均一に混合させることができる。そのため、泥土は、効果的に凝集され、凝集された無数の土粒子間に自由水を満遍なく抱合する。
【0012】
なお、洗浄汚泥等、泥土の土質によっては、後述する第2の凝集材を添加しなくても、こうした第1の凝集材での泥土の凝集処理により、粒状化した状態に処理される場合もある。本発明の泥土造粒処理装置は、第1の凝集材供給手段と共に第2の凝集材供給手段を必須不可欠の手段とするが、こうした場合には、第2の凝集材供給手段から第2の凝集材を供給しないようにすればよい。
【0013】
の第1番目の発明の泥土造粒処理装置では、特に、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段を設けているので、第1の凝集材だけによっては泥土を粒状化することができないときには、第2の凝集材を第2の凝集材供給手段により第2の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給することにより、第1の凝集材と混合して凝集した泥土前記のメカニズムと同様のメカニズムにより剪断破砕して細分化しながらこの細分化した泥土に第2の凝集材を均一に混合させて泥土を粒状化させることができる。
【0014】
以上のように、本発明の泥土造粒処理装置では、第1の凝集材と混合して凝集した泥土を多軸撹拌機により剪断破砕して細分化しながらこの細分化した泥土に第2の凝集材を均一に混合させるので、その凝集した泥土を、第2の凝集材により目視的に水気のない良好な状態で粒状化させることができる。
【0015】
前記2)の手段を採用したこの出願の第2番目の発明の泥土造粒処理装置は、以上述べた第1番目の発明の泥土造粒処理装置の作用効果を発揮することができることに加え、特に、泥土供給機を通過した後撹拌機に至るまでの間の泥土の流れの中に凝集材を投入できるように凝集材投入口を配置しているので、泥土に対する凝集材の混合性能を向上させることができて、より少ない凝集材により所期の凝集効果を得ることができる。以上述べたこの出願の第1番目の発明及び第2番目の発明の泥土造粒処理装置は、何れも泥土の造粒処理を多軸撹拌機により連続的に行うことができるため、泥土を大量に造粒処理することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図20に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。まず、本発明を具体化したときの基本的な構造を示す具体化例を図1乃至図11に基づいて説明する。図1は、本発明の具体化例の泥土造粒処理装置を一部破断して示す平面図、図2は、図1のII−II線断面図、図3は、図1の III−III 線断面図、図4は、図1のIV−IV線断面図、図5は、第1の凝集材投入口の配置を説明するための図2のV 部に対応する拡大図、図6は、多軸撹拌機の内部を示す図5の矢印VI−VI方向の矢視図、図7は、第2の凝集材投入口の配置を説明するための図2のV 部に対応する拡大図、図8は、多軸撹拌機の内部を示す図7の矢印VIII−VIII方向の矢視図、図9は、図5のIX−IX線断面図、図10は、図7の X−X 線断面図、図11は、図10と同等の部分の変形例を示す断面図である。
【0017】
符号1で表す泥土造粒処理装置は、この具体化例では、後に詳述する多軸撹拌機70と、この多軸撹拌機70上に後方から前方に向けて順次配列された、後に詳述する泥土供給手段30、第1の凝集材供給手段40、第2の凝集材供給手段50及び固化材供給手段60とを設けて構成され、図2に示すように支持フレーム2上に設置されている。この泥土造粒処理装置1や後記ベルトコンベア20の各種駆動部は、運転操作盤80に設けた押し釦等の操作手段の操作により駆動され制御される。なお、本明細書では、泥土を投入する側を「後方」とし、造粒処理した泥土を排出する側を「前方」として技術内容を記載する。図中、MDは泥土を、Bは第1の凝集材を、Cは第2の凝集材を、SDは固化材を意味する。
【0018】
図1乃至図11において、11は建設工事等で発生する泥土を貯溜する泥土貯溜槽、20は多軸撹拌機70で粒状化されてその泥土排出口70cから排出される泥土を前方のトラック等の運搬装置に移送するためのベルトコンベア、30は泥土貯溜槽11内の泥土を多軸撹拌機70内に供給する泥土供給手段、31は泥土を所望の供給量で多軸撹拌機70内に定量供給することができる泥土供給機としての泥土定量供給ポンプ、32は泥土貯溜槽11内の泥土を泥土定量供給ポンプ31の吸込み側に送るための泥土吸込み配管、33は泥土定量供給ポンプ31から吐出される泥土を多軸撹拌機70の泥土供給部70bに送るための泥土吐出配管、34は泥土定量供給ポンプ31を支持するための架台である。
【0019】
ベルトコンベア20は、図2に示すように、そのシュート21を多軸撹拌機70の泥土排出口70cの下方に位置させるとともに、足22で支持することにより前方に向かって上方に傾斜させて設置している。ベルトコンベア20は、こうした態様で設置することにより、多軸撹拌機70で粒状化された泥土の生成物である粒状泥土生成物を泥土排出口70cから排出する際にシュート21で受けた後、ベルトコンベア90で移送してトラック等の荷台に自動的に搬出できるようにしている。
【0020】
泥土供給手段30は、泥土定量供給ポンプ31と泥土吸込み配管32と泥土吐出配管33とを設けて構成され、泥土貯溜槽11内の泥土を、泥土定量供給ポンプ31により泥土吸込み配管32を通じて吸込んだ後に泥土吐出配管33を通じて泥土投入口33aへ送って、泥土投入口33aから多軸撹拌機70の泥土供給部70b内に供給する。この泥土供給手段30を構成する泥土供給機に泥土定量供給ポンプ31を用いると、多軸撹拌機70で造粒処理しようとする泥土の処理量に見合った所望の量の泥土を、多軸撹拌機70の泥土供給部70b内に定量供給することができる。
【0021】
ここでは、泥土供給機に泥土定量供給ポンプ31を用いているが、後述する図3に図示のようなスクリューコンベアを用いることもできる。スクリューコンベアを用いた場合にも、スクリュー翼の回転数を制御することにより、泥土の処理量に見合った所望の量の泥土を多軸撹拌機70内に定量供給することができる。処理する泥土が含水比の著しく高い泥水状の泥土に限定される場合には、泥土定量供給ポンプ31に、液状体を定量供給できる例えばチューブポンプ(スクイーズポンプ)ような定量供給ポンプを用いるとよい。
【0022】
40は泥土中の自由水を土粒子間に抱合させるための第1の凝集材を多軸撹拌機70内に供給する第1の凝集材供給手段、41は第1の凝集材を貯溜するための第1の凝集材貯溜タンク、42はこの凝集材貯溜タンク41と第1の凝集材投入ポート43との間に設けられ第1の凝集材貯溜タンク41内の第1の凝集材を所望の供給量で多軸撹拌機70へ定量供給することができる第1の凝集材供給装置、43は第1の凝集材貯溜タンク41内の第1の凝集材を多軸撹拌機70内へ供給するための第1の凝集材投入口を有する第1の凝集材投入ポート、44は第1の凝集材貯溜タンク41と第1の凝集材供給装置42とを接続する第1の凝集材吸込み配管、45は第1の凝集材供給装置42と第1の凝集材投入ポート43とを接続する第1の凝集材吐出配管である。
【0023】
第1の凝集材供給手段40は、第1の凝集材貯溜タンク41と第1の凝集材供給装置42と第1の凝集材投入ポート43と第1の凝集材吸込み配管44と第1の凝集材吐出配管45とを設けて構成されている。この第1の凝集材供給手段40は、第1の凝集材貯溜タンク41内における水に混合させた溶液状の第1の凝集材を、第1の凝集材供給装置42により第1の凝集材吸込み配管44を通じて吸込んだ後に第1の凝集材吐出配管45を通じて第1の凝集材投入ポート43へ送って、同ポート43の第1の凝集材投入口から多軸撹拌機70の泥土供給部70b内に供給する。
【0024】
50は第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を多軸撹拌機70内に供給する第2の凝集材供給手段、51は第2の凝集材を貯溜するための第2の凝集材貯溜タンク、52はこの凝集材貯溜タンク51と第2の凝集材投入ポート53との間に設けられ第2の凝集材貯溜タンク51内の第2の凝集材を所望の供給量で多軸撹拌機70へ定量供給することができる第2の凝集材供給装置、53は第2の凝集材貯溜タンク51内の第2の凝集材を多軸撹拌機70内へ供給するための第2の凝集材投入口を有する第2の凝集材投入ポート、54は第2の凝集材貯溜タンク51と第2の凝集材供給装置52とを接続する第2の凝集材吸込み配管、55は第2の凝集材供給装置52と第2の凝集材投入ポート53とを接続する第2の凝集材吐出配管である。
【0025】
第2の凝集材供給手段50は、第2の凝集材貯溜タンク51と第2の凝集材供給装置52と第2の凝集材投入ポート53と第2の凝集材吸込み配管54と第2の凝集材吐出配管55とを設けて構成されている。この第2の凝集材供給手段50は、第2の凝集材貯溜タンク51内における水に混合させた溶液状の第2の凝集材を、第2の凝集材供給装置52により第2の凝集材吸込み配管54を通じて吸込んだ後に第2の凝集材吐出配管55を通じて第2の凝集材投入ポート53へ送って、同ポート53の第2の凝集材投入口から多軸撹拌機70の第2の凝集材供給部70d内に供給する。
【0026】
ここに示す例では、第1の凝集材及び第2の凝集材として、水に混ぜた溶液状の凝集材を用いて多軸撹拌機70内に定量供給するようにしているため、凝集材供給装置42,52には、回転数に応じて吐出容量を適宜調節することができる容積型ポンプを用いる。凝集材供給装置42,52にこうした定量供給可能な容積型ポンプを用いると、使用する凝集材の種類及び泥土の含水比や土質等に応じて適切な量の凝集材を定量供給し、これにより、泥土に対する凝集材の混合比率を常に適切な値に保持することができる。第1の凝集材及び第2の凝集材は、固体状の凝集材を用いて、後述する図3に図示のようなスクリューコンベアにより多軸撹拌機70内に定量供給するようにしてもよい。
【0027】
多軸撹拌機70内に供給される第1の凝集材及び第2の凝集材は、処理対象となる泥土を凝集して泥土を造粒処理、すなわち粒状化するように処理する働きをする。第1の凝集材は、泥土を造粒処理する際に不可欠のものとして使用し、第2の凝集材は、処理する泥土の土質によっては省略することができる。泥土の含水比が約150%(泥土の重量100に対して水の重量150)以下と著しくは高くない場合、泥土への第1の凝集材の添加量は、0.2〜0.3重量%前後とごく微量で足りる。ちなみに、砂混じりのシルト層を地中掘進機で掘進したときに発生する泥土の含水比は、約110重量%であり、こうした泥土には、0.2%前後の第1の凝集材を添加すれば足りる。第2の凝集材は、添加しなくても済む場合があるが、添加するにしても、小量で足りる。なお、凝集材については、後に詳述する。
【0028】
60は粒状化された泥土を固化するための固化材を多軸撹拌機70内に供給する固化材供給手段、61は固化材を貯溜するための固化材ホッパ、62は固化材ホッパ61内の固化材を多軸撹拌機70へ定量供給することができるスクリューコンベアによる固化材供給装置、62eはこの固化材供給装置62で運ばれた固化材を排出して多軸撹拌機70へ供給するための固化材供給装置62の固化材排出部である。
【0029】
固化材供給手段60は、固化材ホッパ61と固化材供給装置62とを設けて構成される。この固化材供給手段60は、固化材ホッパ61内の固体状の固化材を固化材供給装置62により固化材排出部62eへ送って、多軸撹拌機70の固化材供給部70e内に供給する。固化材には、固体状のものを使用するため、固化材供給装置62には、図3に示すようなスクリューコンベアを用いる。このスクリューコンベアによる固化材供給装置62は、スクリュー翼62cの周囲をケーシング62bで覆って、スクリュー翼62cを回転駆動するための回転駆動装置62aをケーシング62bの一端に固定して構成している。また、固化材ホッパ61の下方に固化材供給口62dを設けるとともに、ケーシング62bの他端側に固化材排出部62eを設けている。
【0030】
この固化材供給装置62は、要求される粒状泥土生成物の品質に応じて適切な量の固化材を定量供給して、泥土に対する固化材の混合比率を適切な値に保持できるようにする。多軸撹拌機70内に供給される固化材は、粒状泥土生成物の強度を高めるように泥土を改質する働きをし、例えば、セメント系や石灰系の固化材がこうした働きをする。
【0031】
こうした固化材を泥土に添加して混合すると、固化材内の生石灰により消化吸収反応(水和反応)と発熱反応が生じて、泥土中の水分を生石灰中に吸収し熱で蒸発させて泥土の含水比を低下させる。こうして含水比を低下させた土砂は、単に脱水処理されるだけではなく、生石灰中のカルシウムイオンによる土砂の凝集化作用やポゾラン反応と、この反応に関与しなかった残余の生石灰による炭酸化反応とにより、強度が上昇して固化するとともに、水が浸入するところで再利用しても、再汚泥化することがないように改質される。
【0032】
多軸撹拌機70内への固化材の供給は、こうした反応を利用することにより粒状泥土生成物の強度を高めることを主目的として行うものであり、必要に応じて行う。例えば、粒状泥土生成物を、強度が要求される道路表面の路盤材や路床材に使用するときには、強度の向上のために固化材を添加することとし、強度の要求されない植栽土として使用するときには、必ずしも固化材を添加する必要はない。また、アルカリ性を嫌う用途に使用するときには、固化材を添加しないようにする。このように固化材を添加するか否かやその分量は、発注者が要求する粒状泥土生成物の品質やその使用目的に応じて選択される。
【0033】
ここで、多軸撹拌機70に供給する凝集材について言及する。凝集材は、泥土中の土粒子を集合させることを容易に行えるようにするのに役立つ薬剤である。この凝集材は、無機系凝集材と有機高分子凝集材とに大別することができる。このうち無機系凝集材の代表的なものとしては、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化第二鉄(PFC)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の鉄又はアルミニウム化合物を挙げることができる。この無機系凝集材は、主として、凝集助剤や凝結助剤として有機高分子凝集材と併用する。
【0034】
有機高分子凝集材としては、主として合成高分子凝集材を使用し、この合成高分子凝集材は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性のものに分けることができる。このうちノニオン性のものは、分子内に解離基をほとんどもたない水溶性の高分子であり、アミド基、水酸基、エーテル基等を親水基としてもつ。アニオン性のものは、水中で負の電荷をもつ水溶性の高分子であり、解離基としてカルボキシル基やスルホン基等をもつ。カチオン性のものは、分子内にアミノ基をもち、そのアミノ基の解離によって水中で正の電荷を高分子に与える。ノニオン性及びアニオン性の合成高分子凝集材は、通常、高分子量のものほど凝集力が大きい。ノニオン性及びアニオン性の合成高分子凝集材の代表的なものとしては、ポリアクリルアミド及びその加水分解物を挙げることができる。カチオン性の合成高分子凝集材の代表的なものとしては、ポリアミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0035】
凝集材は、泥土に適切に混合すると、泥土中の土粒子を集合させて、土粒子間の自由水を、集合した土粒子間に包み込むように抱合する。そのため、泥土の含水比が著しく高くない限り、土粒子は、表面側が湿り気の少ない見掛け上乾燥した状態になって集合して、粘り気のない状態の泥土の粒状体が生成される。
【0036】
一般に、土粒子は、その外側を包囲する固定層と、更に外側を包囲して水素イオン濃度の高い拡散層(対イオン部)とからなる電気二重層をもつ。こうした電気二重層をもつた二つの土粒子が接近して双方の拡散層同士が重なると、重なり合った拡散層のイオン濃度が上昇し、これに起因して、土粒子が互いに反発し合って土粒子の集合を阻害する。そのため、多数の各土粒子は、分散して泥土状をなす。端的にいえば、泥土は、多数の微細土粒子とその土粒子間の自由水からなるが、一般に土粒子の表面は、マイナス帯電しているため、各土粒子は、互いに反発し合って安定した分散状態を保ち、その結果、固まらずにドロドロした泥土の状態を保っている。したがって、泥土中の土粒子の集合を容易に行えるようにするには、その集合の阻害要因となっている電気二重層の総電荷の抑制や電気二重層の圧縮(電気二重層を薄くすること)を行えばよく、こうした電気二重層の総電荷の抑制や圧縮によって泥土を凝集させることができる。
【0037】
このうち電気二重層の総電荷の抑制を行うには、その総電荷の量をできるだけ減らすように電荷を中和するのが有効であるが、こうした働きをする凝集材は、アニオン性、カチオン性の合成高分子凝集材や無機系凝集材の中から選択することができる。また、電気二重層の圧縮に役立つ凝集材は、無機系凝集材の中から選択することができる。さらに、凝集機構には、以上の凝集機構とは原理の異なる架橋凝縮がある。この架橋凝縮は、高分子の官能基による土粒子への吸着架橋(イオン結合、水素結合)により土粒子を集合させるものであり、電気二重層の総電荷の抑制や圧縮による凝集を遥かに凌ぐ凝集力を発揮する。この架橋凝縮を行わせるための凝集材は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の凝集材の中から適当なものを選択する。
【0038】
以上述べた凝集材は、第1の凝集材、第2の凝集材の何れに使用するかの凝集材の使用目的、更には、泥土が有機質か無機質かの泥土の種類、泥土が粘度、シルト、コロイド等の何れに該当するかの泥土の土粒子径、泥土の含水比等の泥土の性状に応じて適宜選択して使用する。例えば、通常の泥土は、アニオン性又はノニオン性の凝集材で凝集することが可能であるが、建設工事で発生する泥土の中には、工事中にベントナイトが添加されたものもあり、こうした泥土は、アニオン性又はノニオン性の凝集材だけでは、粒状化させることができないので、第1の凝集材Bとしてアニオン性又はノニオン性のものを使用するほか、第2の凝集材Cとしてカチオン性のものを添加することにより、泥土を粒状化させる。また、高分子凝集材の性能は、PHへの依存性が大きいので、泥土が酸性の場合はカチオン性やノニオン性のものを、アルカリ性の場合はアニオン性やノニオン性のものを、中性の場合はノニオン性のものを使用することも考える。
【0039】
第1の凝集材及び第2の凝集材は、何れも泥土を凝集する働きをするが、第1の凝集材は、主として泥土中の自由水を土粒子間に抱合させる働きをし、処理する泥土の土質に応じて、以上例示したような凝集材の中から適当のものを選択して使用する。このように、第1の凝集材は、泥土中の土粒子を集合させて泥土中の自由水を土粒子間に抱合させる働きをするので、泥土の土質によっては、凝集材を適切に選択すれば、第2の凝集材を併用しなくても泥土を粒状化させることができる場合もある。第2の凝集材は、泥土を第1の凝集材と撹拌混合しただけでは十分に粒状化させることができない場合に、併用して泥土の粒状化を促進する働きをし、第1の凝集材との関連において選択する。ここでは、第1の凝集材の単独使用によっては、泥土を粒状化しにくい場合を想定して第2の凝集材を第1の凝集材と併用する場合の例を以下に示す。
【0040】
実験したところによると、第1の凝集材としてアニオン性のアクリル系合成高分子化合物を使用し、第2の凝集材としてカチオン性の塩基性ポリ無機塩を使用すると、凝集材の単独使用によっては粒状化させることができない泥土も粒状化させることができた。第1の凝集材であるアクリル系合成高分子化合物は、解離基(官能基)としてカルボキシル基等をもち、この親水性の解離基が泥土中の多数の土粒子を架橋吸着して著大な凝集効果を発揮する。
【0041】
この点について言及すると、第1の凝集材としてのアクリル系合成高分子化合物は、高分子の鎖が多数の輪を形成するようにループ状に不規則に絡まって高分子網を形成している。こうした高分子化合物を泥土に混ぜると、高分子がイオン分解することにより、対イオン(解離基と反対の電荷をもつイオンすなわちプラスイオン)がループ状の高分子の鎖の外側に拡散するため、疎水性の高分子の鎖上に固定されている親水性の解離基には、マイナスの電荷が残る。その結果、解離基に残された多数のマイナスの電荷が互に反発し合って、高分子の鎖の輪が広がり膨潤するとともに、カルボキシル基の水素による水素結合作用により、解離基が泥土中の土粒子表面の酸素と水素結合して多数の土粒子を架橋吸着する。その場合、多数の土粒子が一つの解離基に三次元的に吸着されるため、多数の土粒子が集合して泥土中の自由水を土粒子間に抱合して、泥土は、見かけ上、含水比が低下したような性状となる。
【0042】
このような第1の凝集材を泥土と十分混合しても、泥土が粒状化しない場合には、今度は、この第1の凝集材と十分混合した泥土に、プラスのイオン性をもつカチオン性の塩基性ポリ無機塩を第2の凝集材として添加する。そうすると、プラスイオンの濃度が上昇して、そのプラスイオンの一部が膨潤した高分子の鎖の輪の中に進入するため、この進入したプラスイオンを核にして高分子の鎖の輪が静電的な縮小を起こす。すなわち、高分子網を形成する鎖の輪の中にプラスイオンが進入して、この高分子網における多数の鎖の輪の中のプラスイオンと高分子の鎖上の解離基のマイナス電荷とが互に引き合うため、これら高分子の鎖の輪が狭まって高分子網が収縮する。その結果、高分子網に吸着されて包み込まれた泥水中の土粒子は、高分子網の収縮に伴って自由水を抱合したまま収縮し、撹拌による外力を受けることと相俟って粒状化する。
【0043】
実験したところによると、泥土の中には、第2の凝集材を併用せずに第1の凝集材を単独使用して粒状化させることができるものもあった。洗浄汚泥と称する泥土がその例である。砂利や砕石を製造するには、山から切り出した岩石の破砕片や土砂を振動スクリーン等の分級機により分級して土砂粒径を所定の大きさに揃えた後に水で洗浄するが、洗浄汚泥とは、このときに多量に発生する泥水を濃縮した均一な土粒子分の多い泥土である。
【0044】
次に、こうした凝集材や固化材を泥土に添加して撹拌混合する多軸撹拌機70の技術内容について説明する。
【0045】
70は撹拌機71を、泥土と凝集材を撹拌羽根71bで巻き込んで剪断破砕しながら撹拌混合し得るようにケーシング70a内に複数個並列させて構成した多軸撹拌機、70aは基台としてのフレーム2に固定され撹拌機71を収容するケーシング、70bは多軸撹拌機70の後端側に設けられ造粒処理用の泥土及び第1の凝集材がそれぞれ土砂投入口33a及び第1の凝集材投入ポート43を通じて供給される泥土供給部、70cは多軸撹拌機70の前端側に設けられ多軸撹拌機70で造粒処理した泥土を排出する泥土排出口、70dは泥土供給部70bの前方位置に設けられ第2の凝集材が第2の凝集材投入ポート53を通じて供給される第2の凝集材供給部、70eは第2の凝集材供給部70dの前方位置に設けられ固化材が固化材排出部62eを通じて供給される固化材供給部である。
【0046】
多軸撹拌機70は、パドル混合機とも称し、後述する撹拌機71を図1に示すように複数個併設することにより、泥土を凝集材や固化材と共に撹拌羽根71bで巻き込んで剪断破砕しながら凝集材と撹拌混合し得るように構成されている。多軸撹拌機70には、図1に示すように、泥土供給部70bの前方から泥土排出口70cの後方へ向けて、第1の凝集材供給手段40、第2の凝集材供給手段50及び固化材供給手段60を順次設けて、泥土供給部70b、第2の凝集材供給部70d及び固化材供給部70eを通じてケーシング70aの内部と連通させ、泥土供給手段30により泥土供給部70b内に供給された泥土を、造粒処理して泥土排出口70cへ排出する。
【0047】
71は前方に向かって下方に傾斜した多数の独立した撹拌羽根71bを回転軸71aに固着して構成され複数個併設される撹拌機、71aは回転駆動装置71cにより回転駆動される撹拌機71の回転軸、71bはこの回転軸71aに所定間隔で多数設けられる撹拌羽根、71cは撹拌機71のケーシング70a内の後端部に設置され各撹拌機71を駆動する回転駆動装置、71dはケーシング70aの前端部に固定された回転軸71aの前端部側の軸受である。
【0048】
各撹拌機71の回転軸71aは、回転駆動装置71cと軸受71dとで支持され、回転駆動装置71cにより回転駆動される。各撹拌機71の撹拌羽根71bは、つる巻き状に連続して形成されたスクリュ羽根とは異なりそれぞれが独立して形成されている。撹拌機71は、このような独立した撹拌羽根71bを回転軸71aに多数固着して構成される。多数の撹拌羽根71bは、図1に示すように何れも前方に向かって下方に傾斜するように設けられ、互いに平行になるように配列されている。多数の撹拌羽根71bは、このように前方に向かって下方に傾斜しているため、ケーシング70a内に取り込まれた泥土が各撹拌羽根71bを通過する都度、その泥土を漸次前方に移動させることができる。回転駆動装置71cは、回転数を可変制御できるように構成していて、各撹拌機71の回転軸71aの回転数を適宜調節できるようにしている。
【0049】
したがって、多軸撹拌機70は、ケーシング70a内の泥土を回転駆動装置71cの回転数に応じた搬送量で搬送することができ、さらには、建設現場での泥土の発生量に応じて回転駆動装置71cの回転数を制御することにより、造粒処理する泥土の処理量も適宜調節することができる。この泥土造粒処理装置では、このように回転駆動装置71cの回転数を可変制御して泥土の処理量を調節できるようにしたことと関連して、第1の凝集材、第2の凝集材及び固化材を定量供給するための凝集材供給装置42,52及び固化材供給装置62を設けているため、泥土定量供給ポンプ31による泥土供給量に応じて凝集材供給装置42,52及び固化材供給装置62の回転数を制御することにより、泥土の供給量に見合った第1の凝集材、第2の凝集材及び固化材を定量供給して、泥土とこれらの材の混合比率を、適切な値にするように調節することができる。
【0050】
多軸撹拌機70は、回転軸71aが互いに平行になるように撹拌機71を2台以上所望の台数並べて構成する。その場合、各撹拌機71の多数の撹拌羽根71bが隣接する撹拌機71の撹拌羽根71bの間に入り込むように配置する。すなわち、各撹拌機71の撹拌羽根71bが隣接するもの同士で半径方向においてラップするようにするとともに、各撹拌機71の撹拌羽根71bを隣接する撹拌機71の撹拌羽根71bと回転軸方向に位相をずらして両者が干渉しないように配列する。隣接する一対の撹拌機71の撹拌羽根71bは、前述したように各撹拌羽根71bが傾斜するように設けられていて、同一方向及び反対方向の何れの方向に回転させるときでも、隣接する一対の撹拌羽根71bにより泥土を巻き込んで剪断破砕することができる。
【0051】
各撹拌羽根71bは、こうして泥土を剪断破砕するときに泥土を撹拌する。また、各撹拌羽根71bは、前述したように泥土を前方に移動させるが、このときにも泥土を撹拌する。すなわち、泥土は、撹拌羽根71bにより前方に移動させられるときに変形を伴って移動し、泥土が変形すると、泥土中の土粒子間に相対移動が生じる。そのため、泥土は、多軸撹拌機70により搬送されているときにも、土粒子が絶えず撹拌されることになり、ひいては、第1の凝集材、第2の凝集材及び固化材と撹拌混合されることとなる。
【0052】
ちなみに、こうした積極的な撹拌機能を有する多軸撹拌機70を、泥土の搬送に多用されるスクリュコンベアと比べると、スクリュコンベアは、専ら泥土を移動させる機能を果たし、泥土を剪断破砕する機能をもたないのは勿論のこと、積極的な撹拌機能を備えていない。すなわち、スクリュコンベアは、泥土を搬送するとき、泥土をスクリュ羽根やケーシングと接触させながら変形させることなく前方に平行移動させるため、スクリュ羽根やケーシングと接触する泥土の部分の土粒子を多少は撹拌するものの、積極的な撹拌機能は備えていない。
【0053】
この泥土造粒処理装置では、泥土を、こうしたスクリュコンベアによることなく、多軸撹拌機70により搬送しながら凝集材を多軸撹拌機70内に供給するようにしているので、泥土を剪断破砕して細分化しながら撹拌羽根71bによる泥土の剪断破砕及び搬送の双方の動作に伴って積極的に撹拌することができ、これにより、凝集材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて、凝集材を泥土に均一に混合させることができる。そのため、泥土は、泥土排出口70cへ排出されたときには確実に凝集されている。この凝集され泥土は、凝集により集合した土粒子間に自由水を抱合してはいるものの、表面が見掛け上湿り気のほとんどない乾燥状態を呈した粒状をなしている。また、固化材についても、前記のメカニズムと同様のメカニズムにより泥土を積極的に撹拌するため、固化材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて、凝集材と同様、固化材を泥土に均一に混合させることができる。
【0054】
泥土供給手段で供給される泥土貯溜槽11内の泥土は、多軸撹拌機70による泥土造粒処理装置により造粒処理されるが、その造粒処理を行うときの作用について説明する。その作用の説明を行うに当たっては、説明の便のため、最初に、固化材供給手段60から固化材を供給せずに第1の凝集材及び第2の凝集材だけを供給する場合を想定して説明する。
【0055】
まず、多軸撹拌機70を回転駆動しながら泥土定量供給ポンプ31を駆動して泥土を多軸撹拌機70内に泥土供給部70bから供給する。また、第1の凝集材供給装置42を駆動して第1の凝集材を多軸撹拌機70内に泥土供給部70bから供給し、固化材供給装置62は停止させておく。そうすると、多軸撹拌機70は、泥土を第1の凝集材と共に撹拌羽根70bに巻き込んで、剪断破砕して細分化しながら泥土排出口70c側へ搬送する。このとき、泥土を撹拌羽根70bにより剪断破砕して細分化することに加えて、撹拌羽根70bによる泥土の剪断破砕及び搬送の双方の動作に伴って泥土を積極的に撹拌するため、第1の凝集材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて、第1の凝集材を泥土に均一に混合させることができる。そのため、泥土は、確実に凝集され、凝集された無数の土粒子間に自由水を満遍なく抱合することができる。
【0056】
こうした凝集処理によっては泥土を粒状化させることができないときには、第1の凝集材を供給するのと並行して、第1の凝集材供給装置42の駆動により第2の凝集材を多軸撹拌機70内に第2の凝集材供給部70dから供給する。そうすると、多軸撹拌機70は、第1の凝集材で凝集されて自由水を抱合した湿り気の少ない泥土に第2の凝集材が混合される。すなわち、第1の凝集材を泥土に混合するときと同様のメカニズムにより泥土を積極的に撹拌するため、第2の凝集材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて、第1の凝集材と同様、第2の凝集材を泥土に均一に混合させることができる。そのため、第1の凝集材で凝集された泥土は、泥土排出口70cへ排出されるときには第2の凝集材により粒状化され、粒状泥土生成物が泥土排出口70cへ排出されてベルトコンベア20でトラック等の運搬装置に移送される。
【0057】
このように、この泥土造粒処理装置では、第1の凝集材の単独使用により泥土を粒状化する場合及び第2の凝集材の併用により泥土を粒状化する場合の何れの場合も、泥土の造粒処理を多軸撹拌機70により連続的かつ効果的に行うこともできるため、泥土を大量に造粒処理することが可能になる。その結果、処理した泥土の付加価値を高め、その用途を拡大することができる。
【0058】
以上、固化材を多軸撹拌機70に供給しないものとして説明したが、粒状泥土生成物の強度を高める必要がある場合には、以上のような造粒処理を行う際に、第1の凝集材や第2の凝集材を供給するのと並行して、固化供給装置62の駆動により固化材を多軸撹拌機70内に固化材供給部70eから供給する。そうすると、多軸撹拌機70は、第1の凝集材を泥土に混合するときと同様のメカニズムにより泥土を積極的に撹拌するため、固化材に対する泥土の触れ合い回数を飛躍的に高めることができて、第1の凝集材と同様、固化材を泥土に均一に混合させることができる。その結果、多軸撹拌機70のケーシング70a内の閉ざされた保温空間内で泥土中の自由水の一部を効果的に利用しながら固化材中の生石灰成分の消化吸収反応を進行させて、凝集材で粒状化させた泥土を固化することができ、これにより粒状泥土生成物の強度を高めることができる。
【0059】
ところで、第1の凝集材は、泥土に適切に混合すれば、0.2〜0.3重量%程度の僅少な添加量で泥土を十分に凝集させることができる。そのためには、第1の凝集材を泥土に満遍なく均一に混合することが必要である。試験研究したところによると、こうした理想的な第1の凝集材の混合を達成するには、第1の凝集材の多軸撹拌機70への供給位置すなわち第1の凝集材投入ポート43の位置がキーポイントになることが判明した。そこで、このことを、図5、図6及び図9を用いて説明する。
【0060】
いま、仮に、第1の凝集材投入ポート43及び第1の凝集材吐出配管45を、図5に示すように泥土供給部70bへの泥土の投入位置から泥土排出口70c側に距離Xずらして(43a)及び(45a)のように配置したとすると、泥土供給部70bへ投入された泥土は、図6に示すように撹拌機71の撹拌羽根71bで撹拌されて距離X移動する間に、多軸撹拌機70の幅方向に距離Wだけ拡散される。また、この間、泥土は含水比が高く粘性が低いために多軸撹拌機70のケーシング70aの底部を流れるように移動する。こうした状態の泥土に対して、(43a)の位置のポートから前記0.2〜0.3重量%前後の微量の第1の凝集材を投入した場合には、第1の凝集材は、ごく一部の泥土にほんの少しずつしか添加されないことになる。そのため、第1の凝集材を泥土に均一には混合させにくくなって、泥土への第1の凝集材の混合性能が低下し、ひいては、第1の凝集材による泥土の凝集機能が低下する。
【0061】
一方、図6及び図9に示すように、第1の凝集材投入ポート43及び第1の凝集材吐出配管45を、多軸撹拌機70の幅方向にずらして(43b)及び(45b)のように配置して第1の凝集材を投入したものとする。そうすると、第1の凝集材は、多軸撹拌機70のケーシング70aに付着して、投入した第1の凝集材の量からケーシング70aに付着した第1の凝集材の量を差し引いた量の第1の凝集材しかケーシング70a内の泥土に添加させないことになり、やはり、第1の凝集材による泥土の凝集機能が低下する。以上のように第1の凝集材投入ポート43を(43a)や(43b)のように配置した場合、第1の凝集材の投入量を増加すれば、その投入量の増加に応じて泥土の凝集機能を向上させることはできるが、高価な凝集材を浪費することとなる。
【0062】
この泥土造粒処理装置は、こうした問題を生じさせないようにするため、泥土供給機としての泥土定量供給ポンプ31を通過した後、撹拌機71に至るまでの間の泥土の流れの中に第1の凝集材を投入できるように、第1の凝集材投入ポート43の凝集材投入口を配置した。凝集材投入口をこのように配置する場合、図5、図6及び図9に示すように、泥土吐出配管33の泥土投入口33aから撹拌機71に流れ落ちる泥土の流れの中に第1の凝集材が投入されるように第1の凝集材投入ポート43及び第1の凝集材吐出配管45を配置することができる。その場合、泥土投入口33aの間近の流れが広がる前の泥土に投入されるように配置するのが望ましい。また、第1の凝集材投入ポート43及び第1の凝集材吐出配管45は、図5及び図6に43’,45’で示すように第1の凝集材が泥土吐出配管33内に投入されるように配置することもでき、更には、以上述べたような態様で複数個所に配置することもできる。
【0063】
第1の凝集材投入ポート43の凝集材投入口をこうして配置すると、撹拌機71の撹拌羽根71bで撹拌されて拡散される前の泥土の流れの中に、第1の凝集材を直接的に投入することができて、第1の凝集材を泥土に均一に混合させやすくすることができるとともに、高価な凝集材が多軸撹拌機70のケーシング70aに付着して浪費されるのを確実に防ぐこともできる。そのため、泥土に対する第1の凝集材の混合性能を向上させることができて、より少ない凝集材により所期の凝集効果を得ることができる。
【0064】
第1の凝集材投入ポート43を図9に示すように配置した上、管推進工事で発生した含水比110%程度の砂混じりシルトの泥土に対し、この泥土に見合った約0.2%の第1の凝集材を添加して多軸撹拌機70で十分に撹拌混合したところ、泥土は、凝集するものの未だ粒状化しないで一塊の泥土状をなした。そのため、こうして凝集させた泥土に第2の凝集材を添加して多軸撹拌機70で撹拌混合した。そうすると、この泥土は、徐々に粒状化され、撹拌羽根71bで撹拌され前方に搬送される都度、細粒化されて行き、泥土排出口70cへ排出されるときには、所期の粒状泥土生成物を得ることができた。
【0065】
しかしながら、その場合、泥土投入口33aから供給された泥土と第1の凝集材投入口から供給された第1の凝集材とが十分に混合されていない状態で第2の凝集材を添加すると、第1の凝集材で泥土中の自由水を土粒子間に十分に抱合させない状態のまま、泥土が粒状化されることとなるので、水気のある低品質の粒状泥土生成物が生成される。そのため、第2の凝集材が適切なタイミングで投入されるように第2の凝集材投入ポート53の第2の凝集材投入口の位置を適切に選定することが必要である。
【0066】
実験したところによると、泥土と第1の凝集材とが3ピッチ乃至4ピッチ相当分の撹拌羽根71bすなわち3,4枚分の撹拌羽根71bで混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入ポート53の第2の凝集材投入口を配置すれば、泥土と第1の凝集材とが十分に混合された状態で第2の凝集材を添加できることが判明した。したがって、不測の事態に備え余裕分をみて、泥土と第1の凝集材とが3ピッチ乃至5ピッチ相当分の撹拌羽根71bで混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置すれば、第1の凝集材と十分に混合された泥土に第2の凝集材を添加することが確実に達成できる。その結果、第1の凝集材で凝集させた泥土を、第2の凝集材により水気のない良好な状態で粒状化させることができて高品質の粒状泥土生成物を得ることができる。
【0067】
図7及び図8には、3ピッチ相当分の撹拌羽根71bで第1の凝集材と混合された泥土に第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入ポート53の第2の凝集材投入口を配置した例を示している。この第2の凝集材投入口は、図10に示すように第2の凝集材投入ポート53に一つ設けているが、複数設けてもよい。例えば、図11に示すように、第2の凝集材投入ポート53の前端部に、第2の凝集材を下方に散布するための多数の散布孔56aを穿設した横配管56を連結することにより、第2の凝集材投入口を複数設ける。このように第2の凝集材投入口を複数設けると、第1の凝集材と混合された泥土に第2の凝集材を満遍なく投入し添加することができて、泥土への第2の凝集材の混合性能を向上させることができる。
【0068】
第1の凝集材及び第2の凝集材がそれぞれ供給される泥土供給部70b及び第2の凝集材供給部70dは、各凝集材を導入できればよいので、単なる開口でもよいが、ここに示す例では、各凝集材投入ポート43,53をそれぞれ導入して覆うカバーのように形成されているので、各凝集材投入ポート43,53の凝集材投入口を外界から遮蔽された空間内に配置することができる。そのため、野外作業中に風が吹いたときでも、その風の影響を受けることなく各凝集材投入ポート43,53から各凝集材を予定した方向に投入することができて、風による各凝集材の散逸を防止できるのは勿論のこと、特に第1の凝集材については、泥土投入口33aから流れ出る泥土の流れの中に、風に影響されずに凝集材を確実に投入することができる。
【0069】
撹拌機71を複数個並設して多軸撹拌機70を構成する場合、図では、撹拌機71を2個並設して構成した例を示しているが、撹拌機71を3個以上並設した場合でも、泥土の処理量が変わるだけであって、多軸撹拌機70それ自体の本質的な機能は、2個並設した場合と基本的に変わらない。したがって、各凝集材投入ポート43,53の凝集材投入口の配置等に関する説明は、撹拌機71を3個以上並設した場合にも当てはめることができる。洗浄汚泥等泥土の土質によっては、第1の凝集材の単独使用により泥土を粒状化することができる場合もあるが、こうした場合には、第2の凝集材供給手段50から第2の凝集材を供給しないようにすればよい。ここでは、多軸撹拌機70に第1の凝集材供給手段40と第2の凝集材供給手段50と固化材供給手段60とを設ける例を示したが、固化材供給手段60は、必要に応じて適宜省略することができる。その場合、固化材供給手段60を別途配備した撹拌装置に個別的または一緒に設けてアタッチメントとし、第1の凝集材で凝集した泥土を第2の凝集材や固化材で処理したいときにだけ、その泥土をアタッチメントに送って処理するようにすることもできる。
【0070】
次に、以上述べた泥土造粒処理装置を移動できるように改変した変形例を図12乃至図20に基づいて説明する。図12は、図1の泥土造粒処理装置の第1の変形例を一部破断して示す平面図、図13は、図12のX111−X111線断面図、図14は、図13の XIV−XIV 線断面図、図15は、図13のXV−XV線断面図、図16は、図13の XVI−XVI 線断面図、図17は、図1の泥土造粒処理装置の第2の変形例を一部破断して示す縦断面図、図18は、図17の XVIII−XVIII 線断面図、図19は、図17の変形例の使用時の状態を一部破断して示す平面図、図20は、図19のXX−XX線断面図である。なお、これらの図において既に述べた図1乃至図11と同一符号を付けた部分は、これら既述の図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0071】
まず、第1の変形例を図12乃至図16に基づいて説明する。この第1の変形例は、すでに述べた泥土造粒処理装置1のほか、これに関連する装置として、この泥土造粒処理装置1の泥土供給手段30で多軸撹拌機70内に供給される泥土を貯溜するための泥土貯溜装置100と、この多軸撹拌機70の泥土排出口70cから排出される泥土を取り込んで泥土の運搬装置へ移送するためのベルトコンベア20と、泥土造粒処理装置1の各種駆動部等を駆動するための動力源となるエンジン203と、前記の各種駆動部を操作するための運転操作盤205とをクローラ式走行装置200に搭載して、泥土の発生現場内を走行できるように構成した例である。泥土造粒処理装置1は、第1の凝集材供給手段40、第2の凝集材供給手段50、固化材供給手段60及び多軸撹拌機70を備えていて、既に述べた例と基本的な構造は変わらないが、固化材供給手段60の構造を若干変更しているので、最初にその構造について述べる。
【0072】
この変形例では、固化材供給手段60は、固化材投入ホッパ61と、固化材投入ホッパ61と固化材導入口65との間に設けられ固化材投入ホッパ61内の固化材を多軸撹拌機70へ定量供給する固化材切り出し装置64と、固化材投入ホッパ61内の固化材を多軸撹拌機70へ導入する固化材導入口65とで構成される。固化材切り出し装置64は、固化材を固化材投入ホッパ61から取り込み固化材導入口65へ排出するための出入り口が上下に設けられ円弧状の内周面を有するケーシング64bと、図示しない回転駆動装置で回転駆動されるロータ64cと、このロータ64cに、ケーシング64bの内周面に密接するように放射状に設けられ、ケーシング64bと協働して等容積の多数の空間を区画し得る多数の切り出し羽根64aとで構成されている。ロータ64cは、その回転数を回転駆動装置により可変制御できるように構成されている。
【0073】
固化材切り出し装置64は、こうした構造を備えているので、図示しない駆動装置によりロータ64cを所定方向に回転駆動すると、固化材投入ホッパ61からケーシング64bの入口に取り込まれた固化材は、切り出し羽根64aにより一定量切り出されて、この切り出し羽根64aとケーシング64bとで区画された多数の空間に逐次充填される。次いで、この固化材は、切り出し羽根64aが回転することによりケーシング64bの出口から排出され、固化材導入口65を通じて多軸撹拌機70内に、単位時間当たりの供給量が一定になるよう定量供給される。固化材切り出し装置64は、前述したスクリューコンベアによる固化材供給装置62と同様、固化材供給装置としての働きをし、要求される粒状泥土生成物の品質に応じて適切な量の固化材を定量供給して、泥土に対する固化材の混合比率を適切な値に保持できるようにする。
【0074】
泥土造粒処理装置1の周辺の装置について説明すると、100は投入された泥土を貯溜して泥土供給部70bに供給するための泥土貯溜装置、101は油圧ショベル等の建設作業機のバケット400ですくった泥土が投入されその泥土を貯溜する泥土貯溜用ホッパ、102は泥土貯溜用ホッパ101に投入される泥土を分級して大石等の夾雑物を取り除くための振動スクリーンである。泥土貯溜装置100は、泥土貯溜用ホッパ101と振動スクリーン102とを設けて構成され、建設工事等で発生した泥土を振動スクリーン102で分級して夾雑物を除去した上で泥土貯溜用ホッパ101に貯溜する。
【0075】
200は一対のクローラ式走行体201a,201bを車体フレーム202で連結して構成されたクローラ式走行装置、201a,201bはスプロケットで駆動されるクローラベルトを推進手段として地上を走行する右側及び左側のクローラ式走行体、202はこれら一対のクローラ式走行体201a,201bを一定間隔を置いて連結しクローラ式走行装置に搭載する種々の装置を支持する車体フレーム、203は泥土造粒処理装置1、泥土貯溜装置100及びベルトコンベア20の各種駆動部やクローラ式走行体201a,201bのスプロケット等を駆動するためのエンジン、203aはエンジン203等を設置する前部基台、204はクローラ式走行装置200を操縦するための操作レバー、205は泥土造粒処理装置1やその関連装置20,100の前記各種駆動部を運転操作するための運転操作盤である。
【0076】
車体フレーム202は、前方及び後方をクローラ式走行体201a,201bよりも張り出すように設置している。そして、車体フレーム202の前方の張出し部には、前部基台203aを固定して、この前部基台203aにエンジン203、操作レバー204及び運転操作盤205を設置し、操作レバー204及び運転操作盤205のそばには、図示しない運転席を設けている。一方、車体フレーム202の後方の張出し部には、油圧ショベル等建設作業機のバケット400ですくった泥土を直接投入できるように泥土貯溜用ホッパ101を設置している。また、車体フレーム202の中間部には、支持フレーム2aを介して多軸撹拌機70を設置し、泥土排出口70cが前方の張出し部上に位置するように多軸撹拌機70の前部をクローラ式走行体201a,201bよりも若干前方に延出している。さらに、車体フレーム202の前方の張出し部には、粒状泥土生成物を取り込んで移送するためのベルトコンベア20の後端部をピンで着脱かつ回動可能に軸着している。
【0077】
このベルトコンベア20は、その後端位置のシュート21を泥土排出口70cの下方に配置するとともに、中間部を前部基台203aの前端部に支持部材23により高さ位置を調節できるように取外し可能に懸架することにより、前方に向かって上方に傾斜させて設置している。ベルトコンベア20をこうした態様でクローラ式走行装置200に予め設置しておくことにより、泥土排出口70cから排出される粒状泥土生成物をシュート21で受けた後、ベルトコンベア20で移送してトラック等の荷台に搬出することができるとともに、ベルトコンベア20の設置に手間がかからず、その設置を能率的に行うことができる。
【0078】
また、車体フレーム202の前方及び後方にそれぞれ前記張出し部を設けて、前方の張出し部に運転席を配置するとともに、この運転席から遠く離れた車体フレーム202の後方の張出し部に泥土貯溜用ホッパ101を配置しているため、泥土を油圧ショベル等の建設作業機で泥土貯溜用ホッパ101に投入する際、油圧ショベルのバケット400等の建設作業機の可動部が運転席付近に侵入する恐れがない。そのため、泥土貯溜用ホッパ101への泥土の投入作業を、運転席にそれほど注意を払わなくても安全に行うことができ、運転席周辺を泥土で汚す恐れもない。ベルトコンベア20は、取外しができるので、必要に応じて取り外すこともできて取り扱いの便も良い。
【0079】
エンジン203により駆動される駆動部のうち、泥土造粒処理装置1の駆動部としては、泥土定量供給ポンプ31、各凝集材供給装置42,52及び固化材切り出し装置64の回転駆動装置や多軸撹拌機70の回転駆動装置71cを挙げることができ、泥土貯溜装置100の駆動部としては、振動スクリーン102の駆動装置を挙げることができる。この第1の変形例に係る泥土造粒処理装置は、以上のような泥土造粒処理装置1、ベルトコンベア20、泥土貯溜装置100、エンジン203及び運転操作盤205等の泥土の造粒処理に有用な種々の装置をクローラ式走行装置200に搭載して構成したものである。
【0080】
この泥土造粒処理装置を泥土発生現場に輸送する場合、図示しないトレーラに積み込んで輸送し、トレーラが目的地に到着したら、泥土造粒処理装置1や泥土貯溜装置100やベルトコンベア20等を搭載したクローラ式走行装置200を走行運転させトレーラから降ろす。トレーラから降ろす際、本装置自身が走行することができるので、荷降用の重機を必要としない。この泥土造粒処理装置は、クローラ式走行装置200やこれを駆動、操縦するためのエンジン203及び操作レバー204を備えているので、泥土の発生現場内を走行して自由に移動することができる。
【0081】
したがって、例えば浚渫工事のように泥土が広い領域にわたって発生する泥土発生現場で泥土を造粒処理する場合でも、泥土造粒処理装置1や泥土貯溜装置100やベルトコンベア20等の泥土の造粒処理に有用な種々の装置を現場で組み立てる手間を要することなく、現場内の所望の場所に自在に移動することができて、泥土の造粒処理を能率的に行うことができる。また、特に泥土貯溜用ホッパ101を備えた泥土貯溜装置100を付設しているため、泥土発生現場の泥土を油圧ショベル等の建設作業機で泥土貯溜用ホッパ101内に直接投入することにより、泥土発生現場の泥土を能率的に造粒処理することができる。
【0082】
次に、第2の変形例を図17乃至図20に基づいて説明する。この第2の変形例は、第1の変形例で用いているのと同様の泥土造粒処理装置1のほか、これに関連する装置として、前記の泥土貯溜装置100、泥土造粒処理装置1の各種駆動部等を駆動するための動力源となるエンジン301等を一体化して輸送車両300に積降し可能に搭載した例である。すなわち、この第2の変形例は、泥土造粒処理装置1や泥土貯溜装置100と、これら泥土造粒処理装置1や泥土貯溜装置100の駆動部の動力源となるエンジン301やその駆動部を運転操作するための運転操作盤302等を設置した前部基台301aとを基台3上に設置して一体化し、この基台3を輸送車両300に積降し可能に搭載して、輸送車両300を泥土の発生現場に移動できるように構成している。
【0083】
したがって、この第2の変形例に係る泥土造粒処理装置は、泥土造粒処理装置1やその関連装置である泥土貯溜装置100及びエンジン301を一体化した基台3を輸送車両300に搭載して泥土発生現場まで運んだ後に輸送車両300から降ろして図19及び図20に示すように固定するだけで、泥土造粒処理装置1やその関連装置を現場で組み立てることなく、所望の場所に設置することができる。そのため、泥土造粒処理装置1やその関連装置の泥土発生現場への輸送や設置をきわめて簡便に行うことができる。
【0084】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明は、それぞれ、「課題を解決する手段」の項に示した1)及び2)手段を採用しているので、各発明によれば、泥土を大量に造粒処理するのに適した泥土造粒処理装置が得られる。その結果、処理した泥土の付加価値を高めることができるとともにその用途を拡大することができる。
【0085】
この出願の第1番目及び第2番目の発明では、特に、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段を設けているので、第1の凝集材だけによっては泥土を粒状化することができないときには、第2の凝集材を多軸撹拌機内に供給することにより、第1の凝集材で凝集させた泥土に第2の凝集材を均一に混合させて泥土を粒状化させることができる。その場合、泥土と第1の凝集材とが撹拌羽根で混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置しているので、第1の凝集材と混合して凝集した泥土を細分化しながらこの泥土に第2の凝集材を均一に混合させることとなり、これにより、その凝集した泥土を、第2の凝集材により水気のない良好な状態で粒状化させることができて高品質の粒状泥土生成物を得ることができる。この出願の第2番目の発明では、特に、泥土供給機を通過した後撹拌機に至るまでの間の泥土の流れの中に凝集材を投入できるように凝集材投入口を配置しているので、泥土に対する凝集材の混合性能を向上させることができて、より少ない凝集材により所期の凝集効果を得ることができる。
【0086】
この出願の第2番目の発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、風の影響を受けることなく第1の凝集材投入ポートから第1の凝集材を予定した方向に投入することができて、風による第1の凝集材の散逸を防止できるのは勿論のこと、泥土投入口から流れ出る泥土の流れの中に、風に影響されずに第1の凝集材を確実に投入することができる。
【0087】
この出願の第2番目の発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項4に記載のように具体化すれば、例えば浚渫工事のように泥土が広い領域にわたって発生する泥土発生現場で泥土を造粒処理する場合でも、泥土造粒処理装置や泥土貯溜装置やコンベア等の泥土の造粒処理に有用な種々の装置を現場で組み立てる手間を要することなく、現場内の所望の場所に自在に移動することができて、泥土の造粒処理を能率的に行うことができる。この出願の第2番目の発明を具体化する場合に、特に、特許請求の範囲の請求項5に記載のように具体化すれば、こうした泥土造粒処理装置やその関連装置である泥土貯溜装置及びエンジンを一体化したものを輸送車両に搭載して泥土発生現場まで運んだ後、輸送車両から降ろして固定すれば、泥土造粒処理装置やその関連装置を現場で組み立てることなく、所望の場所に設置することができて、これらの装置の泥土発生現場への輸送や設置をきわめて簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の泥土造粒処理装置を一部破断して示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の III−III 線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】第1の凝集材投入口の配置を説明するための図2のV 部に対応する拡大図である。
【図6】多軸撹拌機の内部を示す図5の矢印VI−VI方向の矢視図である。
【図7】第2の凝集材投入口の配置を説明するための図2のV 部に対応する拡大図である。
【図8】多軸撹拌機の内部を示す図7の矢印VIII−VIII方向の矢視図である。
【図9】図5のIX−IX線断面図である。
【図10】図7の X−X 線断面図である。
【図11】図10と同等の部分の変形例を示す断面図である。
【図12】図1の泥土造粒処理装置の第1の変形例を一部破断して示す平面図である。
【図13】図12のX111−X111線断面図である。
【図14】図13の XIV−XIV 線断面図である。
【図15】図13のXV−XV線断面図である。
【図16】図13の XVI−XVI 線断面図である。
【図17】図1の泥土造粒処理装置の第2の変形例を一部破断して示す縦断面図である。
【図18】図17の XVIII−XVIII 線断面図である。
【図19】図17の変形例の使用時の状態を一部破断して示す平面図である。
【図20】図19のXX−XX線断面図である。
【符号の説明】
1 泥土造粒処理装置
2,2a 支持フレーム
3 基台
11 泥土貯留槽
20 ベルトコンベア
30 泥土供給手段
33 泥土吐出配管
33a 泥土投入口
31 泥土定量供給ポンプ
40 第1の凝集材供給手段
41 第1の凝集材貯留タンク
42 第1の凝集材供給装置
43 第1の凝集材投入ポート
44 第1の凝集材吸込み配管
45 第1の凝集材吐出配管
50 第2の凝集材供給手段
51 第2の凝集材貯留タンク
52 第2の凝集材供給装置
53 第2の凝集材投入ポート
54 第2の凝集材吸込み配管
55 第2の凝集材吐出配管
60 固化材供給手段
61 固化材ホッパ
62 固化材供給装置
64 固化材切り出し装置
65 固化材導入口
70 多軸撹拌機
70a ケーシング
70b 泥土供給部
70c 泥土排出口
70d 第2の凝集材供給部
70e 固化材供給部
71 撹拌機
71a 回転軸
71b 撹拌羽根
71c 回転駆動装置
100 泥土貯溜装置
101 泥土貯溜用ホッパ
102 振動スクリーン
200 クローラ式走行装置
201a,201b クローラ式走行体
202 車体フレーム
203 エンジン
204 操作レバー
205 運転操作盤
300 輸送車両
301 エンジン
302 運転操作盤
B 第1の凝集材
C 第2の凝集材
MD 泥土
SD 固化材

Claims (5)

  1. 多数の独立した撹拌羽根を回転軸に対して傾斜させて固着した撹拌機を、各撹拌機の撹拌羽根の隣接するもの同士を半径方向においてラップさせることにより泥土を凝集材と共に隣接する撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら凝集材と撹拌混合し得るように複数個並設して多軸撹拌機を構成し、泥土を泥土供給機で泥土投入口へ送って泥土投入口から多軸撹拌機内に供給する泥土供給手段と、泥土中の自由水を土粒子間に抱合させるための第1の凝集材を第1の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第1の凝集材供給手段と、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を第2の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段とを設けて、泥土投入口から供給された泥土と第1の凝集材投入口から供給された第1の凝集材とが撹拌羽根で混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置したことを特徴とする泥土造粒処理装置。
  2. 多数の独立した撹拌羽根を回転軸に対して傾斜させて固着した撹拌機を、各撹拌機の撹拌羽根の隣接するもの同士を半径方向においてラップさせることにより泥土を凝集材と共に隣接する撹拌羽根で巻き込んで剪断破砕しながら凝集材と撹拌混合し得るように複数個並設して多軸撹拌機を構成し、泥土を泥土供給機で泥土投入口へ送って泥土投入口から多軸撹拌機内に供給する泥土供給手段と、泥土中の自由水を土粒子間に抱合させるための第1の凝集材を第1の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第1の凝集材供給手段と、第1の凝集材と撹拌混合した泥土を粒状化するための第2の凝集材を第2の凝集材供投入口から多軸撹拌機内に供給する第2の凝集材供給手段とを設けて、泥土供給機を通過した後撹拌機に至るまでの間の泥土の流れの中に第1の凝集材を投入できるように第1の凝集材投入口を配置するとともに、泥土投入口から供給された泥土と第1の凝集材投入口から供給された第1の凝集材とが撹拌羽根で混合された状態で第2の凝集材が投入されるように第2の凝集材投入口を配置したことを特徴とする泥土造粒処理装置。
  3. 請求項2に記載の泥土造粒処理装置において、第1の凝集材投入口を外界から遮蔽された空間内に配置するようにしたことを特徴とする泥土造粒処理装置。
  4. 請求項2に記載の泥土造粒処理装置と、この泥土造粒処理装置の泥土供給手段で多軸撹拌機内に供給される泥土を貯溜するための泥土貯溜装置と、多軸撹拌機の泥土排出口から排出される泥土を取り込んで泥土の運搬装置へ移送するためのコンベアと、前記泥土造粒処理装置の各種駆動部を駆動するための動力源となるエンジンと、この各種駆動部を操作するための操作盤とをクローラ式走行装置に搭載して、泥土の発生現場内を走行できるように構成したことを特徴とする泥土造粒処理装置。
  5. 請求項2に記載の泥土造粒処理装置と、この泥土造粒処理装置の泥土供給手段で多軸撹拌機内に供給される泥土を貯溜するための泥土貯溜装置と、前記泥土造粒処理装置の各種駆動部を駆動するための動力源となるエンジンとを一体化して輸送車両に積降し可能に搭載して、泥土の発生現場に移動できるように構成したことを特徴とする泥土造粒処理装置。
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