JP3702620B2 - カーテン塗布装置及びカーテン塗布方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、一般にカーテン塗布と呼ばれる塗布方式に属するものであり、より詳しくはコーターダイスのダイリップの先端ランド部の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続搬送される支持体(紙、金属、合成樹脂など)の上に、乳剤などを塗布することによって各種の層を形成する技術としては、スライドビード塗布、ロッド塗布、エクストルージョン塗布、カーテン塗布などの方式があげられるが、この中でもカーテン塗布方式と呼ばれるものは、スライド面上に設けられたスリットから塗布液が流出し、スライド面上を一様に流下して、スライド面下端部につながるダイリップの両脇に設けられたエッジガイドの間をカーテン膜状に伝わり、連続搬送される支持体に落下衝突して塗布層が形成されるものである。このカーテン塗布方式は、従来の、例えばスライドホッパー塗布に比べると、高速かつ薄膜の塗布が可能であり、大量生産・省エネルギーの面でスライドビード塗布よりも優れている。
【0003】
しかし一方で、「塗布液をカーテン膜状に形成する過程」が新たに生じるため、例えば端部不均一化傾向を生じてしまう。これは、塗布されて形成された層のうち、搬送方向に直角な幅方向の端部の膜厚が大きくなってしまい、塗布層全体の層厚が一定でなくなってしまうために生じる傾向である。この点については、カーテン膜がエッジガイドの間を流下するに従い、カーテン膜厚の幅手方向不均一が増大することがこれまでの種種の検討で知られている。
【0004】
更に、エッジガイド近傍では特にカーテン膜(塗布液)の流速が遅く、これによってカーテン膜の端部破壊が生じることがある。
【0005】
即ち、好適なカーテン塗布を行うにあたっては、カーテン膜自体を安定に形成しつつ、膜厚を幅手方向に均一に保つ技術が必要とされている。
【0006】
これらの要求に対し、例えば(1)特開昭51−57734号公報、(2)特開平4−354563号公報に開示された技術が提案されている。これらは何れもエッジガイドの形状を工夫したものである。しかし、(1)はカーテン膜自体は安定するが、幅手方向の不均一が増大する、という問題がある。この問題は特に低表面張力の塗布液を用いる場合に顕著である。(2)は全体的に効果が不十分であり、特に塗布液の流量が少なくなるほど、カーテン膜の不安定、不均一部が増大する。
【0007】
そこで、これらの技術とは異なったアプローチとして、(3)特開昭59−132966号公報、(4)特表平3−50085号公報、(5)特開平1−199668号公報、(6)特開平5−293429号公報に開示された技術のように、エッジガイドに塗布液とは異なる液を流下させ、この液を介してカーテン膜を支持する、いわゆる「サイド液」に関する技術が提案されている。
【0008】
しかし、これらの技術であっても、「カーテン膜を安定に形成する」という点では効果があるものの、「幅手方向の不均一」という問題を十分に解決できていないのが現状である。特にサイド液の流量が大きい場合、エッジガイド付近でサイド液と塗布液との混合が生じ、「幅手方向の不均一」が増大する、という問題もある。
【0009】
この端部付近の膜厚不均一は、図5に示されるようなものであり、上述のようなサイド液を流下させたり、塗布した後に端部の塗布液を吸引したり、塗布液の物性を工夫する、といった技術が提案されているものの、いずれも有効な解決策とはなっていないし、さらなる高速塗布には対応できていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一方、図2に示すようにコーターダイスのスライド面につながるダイリップの先端の部分の平面部(端面)の厚みWが厚いと最下層が部分的に欠落する故障(はじき故障)は出にくくなるが、幅方向両端部膜厚の均一性は得られなくなり、逆に、前記厚みWが薄いときは、最下層が部分的に欠落する故障(はじき故障)は出易くなるが、両端部膜厚の均一性は得られ易くなることを本発明者は本発明に関連して実験的に知見した。また、厚みWの薄い場合と厚い場合の境界は0.4mm程度である。なお、前記先端の部分の平面部(端面)のことをランド部、厚みWをランド長さと称する。
【0011】
本願発明は、安定にカーテン膜を形成するとともに、上述のような幅方向の膜厚不均一の問題を解消させると共に更に最下層の途切れを生じないようにし、簡単な構成で容易に実現でき、製造コストを下げると共に、製品有効幅ができるだけ大きく採れ収率が良く生産性の高いカーテン塗布を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種種の検討の結果、前記ランド長さを幅方向で変化させた形状にすることによって塗布に当たって両端部も中央部も膜厚が均一でしかも最下層の欠落を生じない塗布ができることを確認した。
【0013】
また、その上にスライド面の両側端部に設けた注液口から補助液を注液すると更に好ましい結果が得られる事を掴んだ。
【0014】
本願発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、以下に示すような技術的手段によって構成される。
【0015】
(1) 塗布液供給スリットと、水平に対して所定の傾きを有するスライド面と、該スライド面につながるダイリップと、前記スライド面及びダイリップの両側端部に設けられた一対のサイドプレートと、該サイドプレートに連設された一対のエッジガイドとを有するコーターダイスから塗布液を前記一対のエッジガイド間を流下させて、搬送される支持体上に、塗布するカーテン塗布装置において、前記ダイリップの先端のランド部の厚みが幅手方向に分布を有しており、中央部分の厚みよりも両端部分の厚みが薄いことを特徴とするカーテン塗布装置。
【0016】
(2) 前記一対のサイドプレートの各々に設けられ、かつ前記スライド面に接している注液口から補助液を供給する注液手段を有することを特徴とする(1)項に記載のカーテン塗布装置。
【0017】
(3) (1)項又は(2)項に記載のカーテン塗布装置を用いて塗布を行なうことを特徴とするカーテン塗布方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、具体例に基づいて本発明を説明する。また、以下の例では主に写真感光材料用の乳剤を種々の支持体、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセテート(TAC)に塗布してXレイフィルムを製造する場合と紙製支持体上に塗布して印画紙を製造する場合について説明するが、本発明はこの例に限るものではなく、連続搬送される支持体にカーテン塗布を行う場合、例えば写真用フィルム、磁気テープ等の磁気記録材料、感圧紙,感熱紙等の情報記録紙などの製造にあまねく適用可能なものである。
【0019】
図1に示すのは本願発明に関わる塗布装置のコーターダイス1であり、バックアップローラRによって搬送方向が反転される過程の支持体Bに、カーテン塗布を行う。
【0020】
支持体Bは図示しない搬送手段によって搬送される。搬送される支持体は、前述のような紙、コート紙、プラスティックフィルム、樹脂製フィルムの他に、金属薄板等が用いられ、目的の被塗布物を得るために、適宜選択できる。また、バックアップローラRは、支持体に接触するものであっても、接触しないものであってもよい。支持体に接触しないバックアップローラである場合は、ローラ表面に設けられた多数の小孔からエア等の流体を吹き出す、いわゆるエアバックローラを用いることができる。
【0021】
塗布装置の主要部を構成しているコーターダイス1は少なくともスライド面2と、図2の側面拡大図に示すように、その先端のダイリップ20とその先端面であるランド部21と塗布液供給スリット3とエッジガイド4,4′とサイドプレート5,5′とを具えている。
【0022】
塗布液は塗布液供給スリット3から幅手方向に均一に供給され、スライド面2を流下することにより、塗布液の薄膜が形成される。このスライド面2を流下する薄膜は更に、スライド面下端部分の両端に設けられた一対のエッジガイド4,4′の間をカーテン膜状に伝搬して流下し、搬送される支持体Bに衝突して塗布層を形成する。
【0023】
また、塗布液を均一に供給するスリット3は必要に応じて所定数設けることが可能で、複数のスリット3から塗布液を流下させることにより、薄膜状の塗布液を同時に積層させることができる。
【0024】
図1に示すように、塗布装置のコーターダイス1のスライド面2の両側端部には、サイドプレート5,5′が設けられており、スリット3から供給される塗布液がスライド面側端から流れ落ちないように、規制するようになっている。
【0025】
そして本発明ではコーターダイス1のスライド面2の先端部に形成されるダイリップ20の先端面であるランド部21の形状は図3(a)の平面図に示すような平面図形になっている。即ち、中央部でランドの厚みWが厚い寸法Xの部分を持ち、幅方向両端部にランドの厚みWが薄い寸法Yの部分を持ったものであり、その境界域は角度・の傾斜した線で結ばれていて塗布液流下幅に対して両端部の薄いランドの厚みの部分の幅方向の長さをA、中央部の厚いランドの厚みの部分の幅方向の長さをC、途中の傾斜部の幅方向の長さをBとしてある。これは図3(b)の平面図に示す従来のランド部の単純な矩形形状に比して大きく異なるものである。
【0026】
本発明の第1の発明の構成は以上の通りであるが、第2の発明の構成は第1の発明の構成に次の構成を付加したものである。
【0027】
即ち、図4の斜視図に示すようにサイドプレート5,5′には注液口6を設けることが可能にしてある。
【0028】
さて、この注液口6の形状は矩形で、その一辺がスライド面に接している。この注液口6は図示しない注液機構につながっており、ゼラチン溶液等の補助液(サイド液)を供給する。この注液口6から補助液を供給することにより、スライド面上を流下する塗布液は、サイドプレートとの境界部分に、補助液を伴って流下し、そのまま補助液を介してエッジガイド間を伝搬し、支持体に塗布される。また、両側の注液手段から、それぞれ等しい量の補助液を流下させるが、その量は片側につき0.3〜3cc/minの範囲で設定する。前述のランド部の形状を施すと共に前記注液手段を併用することにより、カーテン膜を安定に形成することができるとともに、エッジガイド付近の膜厚不均一を更に低減し有効製品幅を拡げることができる。
【0029】
また、その際、サイド液が塗布液と混合してしまう虞れがない。また、注液口6の断面積の大きさ及び高さは、スライド面を流下する塗布液の全ての層に接触する高さに適宜設計・調整できる。
【0030】
そして、補助液を確実に塗布液の端部に沿わせることができるように、注液口は塗布液供給スリットと同じ高さか、或いはそれよりも高い位置に有ることが好ましい。特に塗布液供給スリットが複数存在する場合は、スライド面上において最も高い位置にあるスリットと同じ高さか、或いはそれよりも高い位置に有ることが好ましい。
【0031】
以下に、本願発明に関わる塗布装置による製品塗布の実施例について記述する。Xレイフィルム用の塗布を実施例1のように、カラー印画紙用の塗布を実施例2のように各テスト番号1〜4の4回のテストを行った。各テストの内、テスト番号1、2、3は図4の斜視図に示すタイプのコーターダイスを用い、テスト番号4,5,6は図1の斜視図に示すタイプで、しかも複数のスリットを有するコーターダイスを用いた。
【0032】
各実施例1,2のテスト条件及び結果は次の表1、表2のようになる。
【0033】
以上の条件で下記のようにダイリップのランド部の形状条件を変えサイド液を使用する場合と使用しない場合とでXレイ用フィルムの製造テストを実施した。即ちテスト番号1〜6の6種類のテストを各400mづつ行い表1の結果を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
本発明のランド部の形状を採用することにより、テスト番号3、4の如く良好な塗布状態を得ることができた。そして、テスト番号4のものはサイド液の助けを借りず良好な塗布状態が得られることが確認できた。しかし、サイド液を使うテスト番号3のものは有効製品幅がテスト番号4のものよりも更に増え収率が向上すると云う結果が得られることがわかった。
【0036】
以上の条件で下記のようにダイリップのランド部の形状条件を変えサイド液を使用する場合と使用しない場合とでカラー印画紙の製造テストを実施した。即ちテスト番号1〜6の6種類のテストを各400mづつ行い表2の結果を得た。
【0037】
【表2】
【0038】
本発明のランド部の形状を採用することにより、テスト番号3、4の如く良好な塗布状態を得ることができた。そして、テスト番号4のものはサイド液の助けを借りず良好な塗布状態が得られることが確認できた。しかし、サイド液を使うテスト番号3のものは有効製品幅がテスト番号4のものよりも更に増え収率が向上すると云う結果が得られた。
【0039】
尚、上記各実施例のテスト番号3、4においては、ダイリップのランド部のY,X,A,B,・は塗布速度や塗布膜厚を変化させることにより適性値が変わるが表3に示すような範囲の中に好ましい適性値が得られることが確認された。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
請求項1、3の発明により、カーテン膜を安定して形成することができ、最下層の塗膜が部分的に途切れて欠落する故障も解消されると共に、製品有効幅が可成大きく採れ収率及び生産性の高い塗布が行えるようになった。
【0042】
請求項2の発明により、製品有効幅は更に大きくなり、従って収率及び生産性は更に向上した。
【0043】
そして、本発明により、端部不均一の少ない塗布層を形成できるので、塗布後に乾燥を行う工程の負荷も低減され、製造設備の観点からも低コスト化につながる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかわる塗布装置の一実施例の斜視図である。
【図2】本願発明にかかわる塗布装置のコーターダイスのダイリップとランド部を示す側面図である。
【図3】(a)は本願発明の一実施例のランド部の形状の平面図であり、(b)は従来のランド部の形状の平面図である。
【図4】本願発明にかかわる塗布装置の別の一実施例の斜視図である。
【図5】従来の幅方向端部膜厚不均一の状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 コーターダイス
2 スライド面
3 塗布液供給スリット
4,4′ エッジガイド
5,5′ サイドプレート
6 注液口
20 ダイリップ
21 ランド部
B 支持体
R バックアップローラ
W ランドの厚み
【発明の属する技術分野】
本願発明は、一般にカーテン塗布と呼ばれる塗布方式に属するものであり、より詳しくはコーターダイスのダイリップの先端ランド部の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続搬送される支持体(紙、金属、合成樹脂など)の上に、乳剤などを塗布することによって各種の層を形成する技術としては、スライドビード塗布、ロッド塗布、エクストルージョン塗布、カーテン塗布などの方式があげられるが、この中でもカーテン塗布方式と呼ばれるものは、スライド面上に設けられたスリットから塗布液が流出し、スライド面上を一様に流下して、スライド面下端部につながるダイリップの両脇に設けられたエッジガイドの間をカーテン膜状に伝わり、連続搬送される支持体に落下衝突して塗布層が形成されるものである。このカーテン塗布方式は、従来の、例えばスライドホッパー塗布に比べると、高速かつ薄膜の塗布が可能であり、大量生産・省エネルギーの面でスライドビード塗布よりも優れている。
【0003】
しかし一方で、「塗布液をカーテン膜状に形成する過程」が新たに生じるため、例えば端部不均一化傾向を生じてしまう。これは、塗布されて形成された層のうち、搬送方向に直角な幅方向の端部の膜厚が大きくなってしまい、塗布層全体の層厚が一定でなくなってしまうために生じる傾向である。この点については、カーテン膜がエッジガイドの間を流下するに従い、カーテン膜厚の幅手方向不均一が増大することがこれまでの種種の検討で知られている。
【0004】
更に、エッジガイド近傍では特にカーテン膜(塗布液)の流速が遅く、これによってカーテン膜の端部破壊が生じることがある。
【0005】
即ち、好適なカーテン塗布を行うにあたっては、カーテン膜自体を安定に形成しつつ、膜厚を幅手方向に均一に保つ技術が必要とされている。
【0006】
これらの要求に対し、例えば(1)特開昭51−57734号公報、(2)特開平4−354563号公報に開示された技術が提案されている。これらは何れもエッジガイドの形状を工夫したものである。しかし、(1)はカーテン膜自体は安定するが、幅手方向の不均一が増大する、という問題がある。この問題は特に低表面張力の塗布液を用いる場合に顕著である。(2)は全体的に効果が不十分であり、特に塗布液の流量が少なくなるほど、カーテン膜の不安定、不均一部が増大する。
【0007】
そこで、これらの技術とは異なったアプローチとして、(3)特開昭59−132966号公報、(4)特表平3−50085号公報、(5)特開平1−199668号公報、(6)特開平5−293429号公報に開示された技術のように、エッジガイドに塗布液とは異なる液を流下させ、この液を介してカーテン膜を支持する、いわゆる「サイド液」に関する技術が提案されている。
【0008】
しかし、これらの技術であっても、「カーテン膜を安定に形成する」という点では効果があるものの、「幅手方向の不均一」という問題を十分に解決できていないのが現状である。特にサイド液の流量が大きい場合、エッジガイド付近でサイド液と塗布液との混合が生じ、「幅手方向の不均一」が増大する、という問題もある。
【0009】
この端部付近の膜厚不均一は、図5に示されるようなものであり、上述のようなサイド液を流下させたり、塗布した後に端部の塗布液を吸引したり、塗布液の物性を工夫する、といった技術が提案されているものの、いずれも有効な解決策とはなっていないし、さらなる高速塗布には対応できていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一方、図2に示すようにコーターダイスのスライド面につながるダイリップの先端の部分の平面部(端面)の厚みWが厚いと最下層が部分的に欠落する故障(はじき故障)は出にくくなるが、幅方向両端部膜厚の均一性は得られなくなり、逆に、前記厚みWが薄いときは、最下層が部分的に欠落する故障(はじき故障)は出易くなるが、両端部膜厚の均一性は得られ易くなることを本発明者は本発明に関連して実験的に知見した。また、厚みWの薄い場合と厚い場合の境界は0.4mm程度である。なお、前記先端の部分の平面部(端面)のことをランド部、厚みWをランド長さと称する。
【0011】
本願発明は、安定にカーテン膜を形成するとともに、上述のような幅方向の膜厚不均一の問題を解消させると共に更に最下層の途切れを生じないようにし、簡単な構成で容易に実現でき、製造コストを下げると共に、製品有効幅ができるだけ大きく採れ収率が良く生産性の高いカーテン塗布を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種種の検討の結果、前記ランド長さを幅方向で変化させた形状にすることによって塗布に当たって両端部も中央部も膜厚が均一でしかも最下層の欠落を生じない塗布ができることを確認した。
【0013】
また、その上にスライド面の両側端部に設けた注液口から補助液を注液すると更に好ましい結果が得られる事を掴んだ。
【0014】
本願発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、以下に示すような技術的手段によって構成される。
【0015】
(1) 塗布液供給スリットと、水平に対して所定の傾きを有するスライド面と、該スライド面につながるダイリップと、前記スライド面及びダイリップの両側端部に設けられた一対のサイドプレートと、該サイドプレートに連設された一対のエッジガイドとを有するコーターダイスから塗布液を前記一対のエッジガイド間を流下させて、搬送される支持体上に、塗布するカーテン塗布装置において、前記ダイリップの先端のランド部の厚みが幅手方向に分布を有しており、中央部分の厚みよりも両端部分の厚みが薄いことを特徴とするカーテン塗布装置。
【0016】
(2) 前記一対のサイドプレートの各々に設けられ、かつ前記スライド面に接している注液口から補助液を供給する注液手段を有することを特徴とする(1)項に記載のカーテン塗布装置。
【0017】
(3) (1)項又は(2)項に記載のカーテン塗布装置を用いて塗布を行なうことを特徴とするカーテン塗布方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、具体例に基づいて本発明を説明する。また、以下の例では主に写真感光材料用の乳剤を種々の支持体、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセテート(TAC)に塗布してXレイフィルムを製造する場合と紙製支持体上に塗布して印画紙を製造する場合について説明するが、本発明はこの例に限るものではなく、連続搬送される支持体にカーテン塗布を行う場合、例えば写真用フィルム、磁気テープ等の磁気記録材料、感圧紙,感熱紙等の情報記録紙などの製造にあまねく適用可能なものである。
【0019】
図1に示すのは本願発明に関わる塗布装置のコーターダイス1であり、バックアップローラRによって搬送方向が反転される過程の支持体Bに、カーテン塗布を行う。
【0020】
支持体Bは図示しない搬送手段によって搬送される。搬送される支持体は、前述のような紙、コート紙、プラスティックフィルム、樹脂製フィルムの他に、金属薄板等が用いられ、目的の被塗布物を得るために、適宜選択できる。また、バックアップローラRは、支持体に接触するものであっても、接触しないものであってもよい。支持体に接触しないバックアップローラである場合は、ローラ表面に設けられた多数の小孔からエア等の流体を吹き出す、いわゆるエアバックローラを用いることができる。
【0021】
塗布装置の主要部を構成しているコーターダイス1は少なくともスライド面2と、図2の側面拡大図に示すように、その先端のダイリップ20とその先端面であるランド部21と塗布液供給スリット3とエッジガイド4,4′とサイドプレート5,5′とを具えている。
【0022】
塗布液は塗布液供給スリット3から幅手方向に均一に供給され、スライド面2を流下することにより、塗布液の薄膜が形成される。このスライド面2を流下する薄膜は更に、スライド面下端部分の両端に設けられた一対のエッジガイド4,4′の間をカーテン膜状に伝搬して流下し、搬送される支持体Bに衝突して塗布層を形成する。
【0023】
また、塗布液を均一に供給するスリット3は必要に応じて所定数設けることが可能で、複数のスリット3から塗布液を流下させることにより、薄膜状の塗布液を同時に積層させることができる。
【0024】
図1に示すように、塗布装置のコーターダイス1のスライド面2の両側端部には、サイドプレート5,5′が設けられており、スリット3から供給される塗布液がスライド面側端から流れ落ちないように、規制するようになっている。
【0025】
そして本発明ではコーターダイス1のスライド面2の先端部に形成されるダイリップ20の先端面であるランド部21の形状は図3(a)の平面図に示すような平面図形になっている。即ち、中央部でランドの厚みWが厚い寸法Xの部分を持ち、幅方向両端部にランドの厚みWが薄い寸法Yの部分を持ったものであり、その境界域は角度・の傾斜した線で結ばれていて塗布液流下幅に対して両端部の薄いランドの厚みの部分の幅方向の長さをA、中央部の厚いランドの厚みの部分の幅方向の長さをC、途中の傾斜部の幅方向の長さをBとしてある。これは図3(b)の平面図に示す従来のランド部の単純な矩形形状に比して大きく異なるものである。
【0026】
本発明の第1の発明の構成は以上の通りであるが、第2の発明の構成は第1の発明の構成に次の構成を付加したものである。
【0027】
即ち、図4の斜視図に示すようにサイドプレート5,5′には注液口6を設けることが可能にしてある。
【0028】
さて、この注液口6の形状は矩形で、その一辺がスライド面に接している。この注液口6は図示しない注液機構につながっており、ゼラチン溶液等の補助液(サイド液)を供給する。この注液口6から補助液を供給することにより、スライド面上を流下する塗布液は、サイドプレートとの境界部分に、補助液を伴って流下し、そのまま補助液を介してエッジガイド間を伝搬し、支持体に塗布される。また、両側の注液手段から、それぞれ等しい量の補助液を流下させるが、その量は片側につき0.3〜3cc/minの範囲で設定する。前述のランド部の形状を施すと共に前記注液手段を併用することにより、カーテン膜を安定に形成することができるとともに、エッジガイド付近の膜厚不均一を更に低減し有効製品幅を拡げることができる。
【0029】
また、その際、サイド液が塗布液と混合してしまう虞れがない。また、注液口6の断面積の大きさ及び高さは、スライド面を流下する塗布液の全ての層に接触する高さに適宜設計・調整できる。
【0030】
そして、補助液を確実に塗布液の端部に沿わせることができるように、注液口は塗布液供給スリットと同じ高さか、或いはそれよりも高い位置に有ることが好ましい。特に塗布液供給スリットが複数存在する場合は、スライド面上において最も高い位置にあるスリットと同じ高さか、或いはそれよりも高い位置に有ることが好ましい。
【0031】
以下に、本願発明に関わる塗布装置による製品塗布の実施例について記述する。Xレイフィルム用の塗布を実施例1のように、カラー印画紙用の塗布を実施例2のように各テスト番号1〜4の4回のテストを行った。各テストの内、テスト番号1、2、3は図4の斜視図に示すタイプのコーターダイスを用い、テスト番号4,5,6は図1の斜視図に示すタイプで、しかも複数のスリットを有するコーターダイスを用いた。
【0032】
各実施例1,2のテスト条件及び結果は次の表1、表2のようになる。
【0033】
以上の条件で下記のようにダイリップのランド部の形状条件を変えサイド液を使用する場合と使用しない場合とでXレイ用フィルムの製造テストを実施した。即ちテスト番号1〜6の6種類のテストを各400mづつ行い表1の結果を得た。
【0034】
【表1】
【0035】
本発明のランド部の形状を採用することにより、テスト番号3、4の如く良好な塗布状態を得ることができた。そして、テスト番号4のものはサイド液の助けを借りず良好な塗布状態が得られることが確認できた。しかし、サイド液を使うテスト番号3のものは有効製品幅がテスト番号4のものよりも更に増え収率が向上すると云う結果が得られることがわかった。
【0036】
以上の条件で下記のようにダイリップのランド部の形状条件を変えサイド液を使用する場合と使用しない場合とでカラー印画紙の製造テストを実施した。即ちテスト番号1〜6の6種類のテストを各400mづつ行い表2の結果を得た。
【0037】
【表2】
【0038】
本発明のランド部の形状を採用することにより、テスト番号3、4の如く良好な塗布状態を得ることができた。そして、テスト番号4のものはサイド液の助けを借りず良好な塗布状態が得られることが確認できた。しかし、サイド液を使うテスト番号3のものは有効製品幅がテスト番号4のものよりも更に増え収率が向上すると云う結果が得られた。
【0039】
尚、上記各実施例のテスト番号3、4においては、ダイリップのランド部のY,X,A,B,・は塗布速度や塗布膜厚を変化させることにより適性値が変わるが表3に示すような範囲の中に好ましい適性値が得られることが確認された。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
請求項1、3の発明により、カーテン膜を安定して形成することができ、最下層の塗膜が部分的に途切れて欠落する故障も解消されると共に、製品有効幅が可成大きく採れ収率及び生産性の高い塗布が行えるようになった。
【0042】
請求項2の発明により、製品有効幅は更に大きくなり、従って収率及び生産性は更に向上した。
【0043】
そして、本発明により、端部不均一の少ない塗布層を形成できるので、塗布後に乾燥を行う工程の負荷も低減され、製造設備の観点からも低コスト化につながる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明にかかわる塗布装置の一実施例の斜視図である。
【図2】本願発明にかかわる塗布装置のコーターダイスのダイリップとランド部を示す側面図である。
【図3】(a)は本願発明の一実施例のランド部の形状の平面図であり、(b)は従来のランド部の形状の平面図である。
【図4】本願発明にかかわる塗布装置の別の一実施例の斜視図である。
【図5】従来の幅方向端部膜厚不均一の状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 コーターダイス
2 スライド面
3 塗布液供給スリット
4,4′ エッジガイド
5,5′ サイドプレート
6 注液口
20 ダイリップ
21 ランド部
B 支持体
R バックアップローラ
W ランドの厚み
Claims (3)
- 塗布液供給スリットと、水平に対して所定の傾きを有するスライド面と、該スライド面につながるダイリップと、前記スライド面及びダイリップの両側端部に設けられた一対のサイドプレートと、該サイドプレートに連設された一対のエッジガイドとを有するコーターダイスから塗布液を前記一対のエッジガイド間を流下させて、搬送される支持体上に塗布するカーテン塗布装置において、
前記ダイリップの先端のランド部の厚みが幅手方向に分布を有しており、中央部分の厚みよりも両端部分の厚みが薄いことを特徴とするカーテン塗布装置。 - 前記一対のサイドプレートの各々に設けられ、かつ前記スライド面に接している注液口から補助液を供給する注液手段を有することを特徴とする請求項1に記載のカーテン塗布装置。
- 請求項1又は請求項2に記載のカーテン塗布装置を用いて塗布を行なうことを特徴とするカーテン塗布方法。
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JP30866697A JP3702620B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | カーテン塗布装置及びカーテン塗布方法 |
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