JP3697463B2 - 原稿搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、スキャナ、ファクシミリなどの画像処理装置に付設され、原稿を自動的に供給する原稿搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複数枚積層された原稿を一枚ずつ分離し、画像処理装置の画像(原稿)読取位置に搬送し、そこに設けた光学系により原稿を読み取るための、自動原稿搬送装置が種々提供されている。
【0003】
図4はこのような自動原稿搬送装置の従来例の一つを示す。この自動原稿搬送装置1は、図示しない画像処理装置(例えば、複写機、ファクシミリ、スキャナ)上に配置されている。
【0004】
自動原稿搬送装置1は、原稿供給トレイ2を備えており、この原稿供給トレイ2の上に原稿Dを積載できるようにしてある。原稿供給トレイ2の原稿給紙方向(矢印4方向)下流側の端部には、この原稿供給トレイ2に積載されている原稿を一枚ずつ給紙する給紙部6が設けてある。
【0005】
給紙部6は、原稿供給トレイ2に積載されている最上位の原稿Dと接触してこの原稿を給紙する原稿供給ローラ8を回転自在に備えている。原稿供給ローラ8の原稿給紙方向下流側には、複数の原稿が同時に供給されるのを防止するために、図示の方向に回転可能な捌きローラ対10が設けてある。捌きローラ対10のニップ部の原稿搬送方向下流側近傍には、原稿Dの幅(紙面表裏方向長さ)を検出する第1のセンサ11が設けてある。捌きローラ対10の原稿搬送方向下流側には、捌かれた原稿Dを原稿読取部12に導くUターン通路14が設けてある。通路14の原稿搬送方向下流側の端部には、原稿読取部12への原稿供給タイミングを調整するための第1のローラ対16が設けてある。この第1のローラ対16のいずれか一方のローラはモータ18に駆動連結されている。
【0006】
捌きローラ対10と第1のローラ対16との間には搬送ローラ対21が設けてあり、これにより、原稿Dは、第1のローラ対16まで搬送ローラ対21により搬送される。この搬送ローラ対21のいずれか一方のローラはモータ(図示せず)に駆動連結されている。さらに、第1のローラ対16のニップ部の原稿搬送方向上流側近傍には、原稿Dがニップ部に位置するのを検出するための第2のセンサ22が配置されており、第1のローラ対16により原稿Dが原稿読取部12に搬送される際に、第2のセンサ22は、原稿Dがニップ部を通る間コントローラ(図示しない)にON信号を送り、これをもとに原稿Dの長手方向のサイズが検知されるようにしてある。
【0007】
原稿読取部12は、ガラスなどの透明な材料からなる基板23と、基板23の図面上側に配置され、基板23との間で原稿Dが通過できるように基板23との間に隙間をあけて配置されたバックアップ部材24と、透明基板23の図面下側に配置され、図4の紙面表裏方向に撮像素子を配列したCCD26とを有する。CCD26は、基板23とバックアップ部材24との間に搬送された原稿Dの画像情報に対応した信号を、図示しない画像処理装置に送信するようにしてある。
【0008】
原稿読取部12を挟んで第1のローラ対16の反対側には、原稿読取部12を通過した原稿Dを、排紙通路28又は中間通路30に送り出す第2のローラ対32が設けてある。原稿読取部12を通過する原稿Dの速度を安定させるために、この第2のローラ対32のいずれか一方のローラは、第1のローラ対16の一方のローラに連結されたモータ18と連結されており、これにより第1のローラ対16と同期して回転するようにしてある。排紙通路28又は中間通路30のいずれかへの送り出しを切換えるために、第2のローラ対32のニップ部の原稿搬送方向下流側の近傍には第1の切換爪34が設けてある。この切換爪34は、実線位置と点線位置との間を移動できるようにしてあり、第2のローラ対32のニップ部から送り出された原稿Dを排紙通路28に導くときは実線位置に設定され、中間通路30に導くときは点線位置に設定される。
【0009】
自動原稿搬送装置1は、一旦原稿読取部12を通過した原稿Dを再び原稿読取部12に供給するための原稿再供給部36を有する。原稿再供給部36において、中間通路30の原稿搬送方向下流側の端部近傍には、点線位置に設定された第1の切換爪34により中間通路30に導かれた原稿Dを、第1の反転通路40に導くともに第1の反転通路40から送り出すための第1の反転ローラ対42が設けてある。この反転ローラ対42のいずれか一方(図では下側)のローラは、正逆回転可能なモータ43に駆動連結されており、モータ43の逆回転時に反時計周り方向に回転し、ニップ部を介して原稿Dを第1の反転通路40に取込み、モータ43の正回転時に時計周り方向に回転し、ニップ部を介して原稿Dを第1の反転通路40から送り出すようになっている。
【0010】
第1の反転ローラ対42を挟んで第1の反転通路40の反対側には、原稿Dを上下反転して再び原稿読取部12に供給するための再供給通路44が、第1のローラ対16の近傍まで形成されている。
【0011】
第1の反転ローラ対42のニップ部の中間通路30側に近接して、第2の切換爪46が設けてある。この切換爪46は、実線位置と点線位置との間を移動できるようにしてあり、中間通路30を通過する原稿Dを第1の反転ローラ対42のニップ部に案内するときは実線位置に設定され、上記ニップ部を介して第1の反転通路40から送り出された原稿Dを再供給通路44に導くときは点線位置に設定される。なお、第2の切換爪46の代わりに、図5に示すように、一端を中間通路30の下流側端部の図面右壁に固定し、他端を第1の反転ローラ対42のニップ部の近傍に配置した弾性フィルム48を用いることができる。この場合、中間通路30から原稿Dが送られるときは、弾性フィルム48は原稿Dに押されて図面矢印の向きに曲がり、これにより原稿Dは上記ニップ部に案内される。一方、第1の反転通路40から送り出された原稿Dは、弾性フィルム48上を通過して再供給通路44に導かれる。
【0012】
再び図4に戻って、排紙通路28の原稿排紙方向下流側の端部に近接して、排紙ローラ対50と原稿排紙トレイ52とが設けてあり、原稿Dが排紙ローラ対50を介して原稿排紙トレイ52に排紙されるようにしてある。
【0013】
以上の構成を備えた自動原稿搬送装置1の原稿搬送動作を、原稿供給トレイ2上に種々の大きさ(A3,A4など)の片面原稿Dが混載された混載モード時の場合について説明する。原稿Dは、図示するように、原稿供給トレイ2に配置される。このとき原稿面を上にして配置される。この状態で、画像処理装置から自動原稿搬送装置1に原稿供給指令が出されると、原稿供給ローラ8が最上原稿Dの上面に接触して回転し、最上原稿Dを図面上右側に送り出す。このとき、最上原稿Dとの摩擦によりその下の原稿も図面上右側に供給されることがある。しかし、最上原稿以外の原稿は、下側の捌きローラ10の反時計周り方向の回転により最上原稿から分離され、ここから先への供給が禁止される。捌きローラ対10のニップ部を通過した原稿Dは通路14に送り込まれ、このとき、第1のセンサ11により原稿Dの幅が検出される。続いて、原稿Dは、搬送ローラ対21により通路14内を搬送され、第1のローラ対16のニップ部を介して原稿読取部12に送り込まれる。このとき、センサ22により原稿Dの長手方向のサイズが検出される。
【0014】
サイズが特定された原稿Dは、読み取りを行わずに、第2のローラ対32を介して原稿読取部12から送り出される。このとき、第1の切換爪34を点線位置に配置させるとともに、第2の切換爪46を実線位置に配置させる。したがって、原稿Dは、中間通路30を通過し、その後、図面下側の反転ローラ42の反時計周り方向の回転により第1の反転通路40に導かれる。このとき、読み取るべき原稿面は下を向いている。続いて、原稿Dの後端近傍が第1の反転ローラ対42に挟まれると、反転ローラ対42は逆方向に回転する。このとき、第2の切換爪46は点線位置に切換えられており、したがって、原稿Dは、再供給通路44を通って再び第1のローラ対16まで搬送される。
【0015】
原稿読取部12への2度目の供給の際、読み取るべき原稿面は上に向いているので、原稿Dを再度、原稿読み取りを行わずに原稿読取部12を通過させ、さらに中間通路30、第1の反転通路40、再供給通路44を通すことにより、原稿Dの上下を反転させる。
【0016】
次に原稿Dが原稿読取部12へ供給される際、第1のローラ対16は静止しており、その結果、第1のローラ対16のニップ部の原稿搬送方向上流側に原稿先端が当接して斜行補正される(すなわち、原稿がループを形成し、その結果、原稿先端が原稿搬送方向に対し垂直に調整される。)。
【0017】
続いて、モータ18を起動して、第1及び第2のローラ対16、32を回転することにより、斜行補正された原稿Dは、原稿読取部12に送り出され、CCD26により原稿面が読み取られる。
【0018】
原稿Dが第2のローラ対32から送り出される時点で、第1の切換爪34は実線位置に配置されており、最初の原稿Dは排紙通路28を通って原稿排紙トレイ52に原稿面を下にして排出される。同様に、2枚目の原稿Dも同じ経路をたどって、原稿面を下にして、原稿排紙トレイ52の1枚目の原稿Dの上に排紙される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
このような自動原稿搬送装置においては、原稿混載モード時、原稿Dのサイズを特定するために一度原稿読取部12を通過させるので、原稿Dはまず、第1の反転通路40に対し原稿面が下に向いた状態で送られる。この状態で、原稿Dを再供給通路44から原稿読取部12に供給する際、原稿読取部12では原稿面が上になっているので、原稿を上下反転するために、第1の反転通路40に再度送ってから原稿読み取りを行う必要がある。
【0020】
このように第1の反転通路40から再度該第1の反転通路40に原稿Dを戻す動作を有する自動原稿搬送装置1において、図6に示すように、第1の反転ローラ対42のニップ部から再供給通路44、原稿読取部12、及び中間通路30を通って再び上記ニップ部に戻るまでの搬送距離が、原稿Dの長さより短い場合、すなわち原稿Dの後端が第1の反転ローラ対42のニップ部から送り出される前に、原稿Dの先端が該ニップ部に到達する場合が考えられ、このとき、第1の反転ローラ対42において原稿Dのすれ違いを行う必要がある。これを行うために、原稿Dの先端が中間通路30を通って第1の反転ローラ対42のニップ部に到達する直前までは、図6(b)に示すように、下側の第1の反転ローラ42を時計周り方向に回転し、その後、下側の第1の反転ローラ42を反時計周り方向に回転して原稿先端を第1の反転通路40に送り込む。
【0021】
この第1の反転ローラ対42の急激なトルク変動は、原稿Dを介して第1及び第2のローラ対16、32に伝達し、したがってこれらのローラに駆動連結したモータ18に多大な負荷変動が伝達する。一方、モータ18としては、原稿Dの搬送位置の制御や原稿読取部12への搬送タイミングなどを制御する上でステッピングモータを使用するのが一般的であるが、上記負荷変動により、ステッピングモータのステータとロータの極の位置が不本意にずれる、いわゆる脱調が生じ、その結果、原稿Dの送り量などが適切な値からずれ、自動原稿搬送装置の信頼性を著しく損なうことになる。そこで、脱調を防止するためにモータ18を大型化することが考えられるが、これには、装置の大型化やコストアップが避けられない。
【0022】
そこで、本発明は、反転ローラのトルク変動を緩やかにすることにより、上記脱調を防止する原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の原稿搬送装置は、反転ローラと該ローラを駆動するモータとの間にトルクリミッタを設け、これにより所定以上のモータのトルクが反転ローラに伝達しないようにしてある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る自動原稿搬送装置の概略図を示す。この装置1’は、図4の自動原稿搬送装置1に類似している。したがって、同一の部分、部材には同一の符号を付し、異なる点及び図4では説明しなかった点をここで説明する。
【0025】
本発明では、第1の反転ローラ対42の下側のローラは、所定以上のトルクを伝達しないように構成されたトルクリミッタ54を介して、モータ43に連結されており、その結果、モータ43の急激なトルク変動が下側の反転ローラ42に伝達しないようにしてある。
【0026】
図2にトルクリミッタ54の一例を示す。なお、図2(a)はトルクリミッタ54の側面図、図2(b)はトルクリミッタ54の分解斜視図である。反転ローラ42の軸56には、軸56の外径より大きな内径を有し且つ軸方向に伸びた第1の円筒部58aを備えた、第1のギア58が外装されており、このギア58は、モータ43側の第2のギア60と噛合っている。軸56は、反転ローラ42と第1のギア58との間にリング62を備える。リング62は軸56に固定されている。リング62はまた、トルクリミッタ54を組み立てた状態で、第1のギア58の第1の円筒部58aと僅かに隙間をあけて対向し、且つリング62の外径より小さく第1の円筒部58aと略同一の外径を有する、軸方向に伸びた第2の円筒部62aを備えている。
【0027】
リング62の第2の円筒部62aの外周面、及び第1のギア58の第1の円筒部58aの外周面には、ピアノ線などの金属で形成されたコイルばね66が巻回されている。コイルばね66の巻き付け方向は、リング62から第1のギア58に向かう方向から見て時計周り方向に回転する際にコイルの内径が小さくなるように設定してある。コイルばね66は、反転ローラ側端部に巻回の軸方向に突き出た係合片66aを有し、この係合片66aは、リング62のモータ側端面に形成された係合溝(図示しない)に装着されるようにしてある。
【0028】
ここで、トルクリミッタ54の作用について説明する。
【0029】
第1に、モータ43が矢印68の方向に回転するとき、コイルばね66はその内径が小さくなって第1の円筒部58aを締め付け、コイルばね66と第1の円筒部58aとが摩擦力によって結合し、トルクが軸56に伝達し、反転ローラ42は矢印70の方向(図1において時計周り方向に対応する。)に回転する。しかしながら、伝達されようとするトルクが所定の値より大きくなって、第1の円筒部58aに作用する回転力がコイルばね66と第1の円筒部58aとの摩擦力より大きくなると、コイルばね66と第1の円筒部58aとの間に滑りが生じ、上記所定値より大きなトルクは反転ローラ42に伝達されない。
【0030】
第2に、モータ43が矢印68とは逆方向に回転するとき、コイルばね66は、その内径が大きくなるが、それでもまだ第1の円筒部58aと摩擦力を持って接触しているために、モータ43のトルクが軸56に伝達し、反転ローラ42は矢印70の方向と逆方向(図1において反時計周り方向に対応する。)に回転する。しかしながら、トルクが所定の値より大きなると、コイルばね66が第1の円筒部58aと接触しなくなり、上記所定値より大きなトルクは反転ローラ42に伝達されない。
【0031】
再び図1に戻って、自動原稿搬送装置1’の他の構成を説明する。
【0032】
実線位置に設定された第1の切換爪34により排紙通路28に導かれた原稿Dは、排紙部72において、通常のモード(非混載モード)時における両面原稿用に、原稿の上下方向が反転されて原稿排紙トレイ52に排紙されるようにしてある。
【0033】
具体的に、排紙通路28の途中には、排紙通路28に進退する第3の切換爪74が設けてある。この切換爪74は、排紙通路28に導かれた原稿Dをそのまま原稿排紙トレイ52まで案内するための実線位置と、中間通路76に導くための点線位置との間に移動できるようにしてある。
【0034】
中間通路76の原稿搬送方向下流側の端部近傍には、点線位置に設定された第3の切換爪74により中間通路76に導かれた原稿Dを、第2の反転通路78に導くともに第2の反転通路78から送り出すための第2の反転ローラ対80が設けてある。この第2の反転ローラ対80のいずれか一方のローラは、正逆回転可能なモータ(図示せず)に駆動連結されており、正回転の際にニップ部を通って原稿Dを第2の反転通路78に取込み、逆回転の際にニップ部を介して第2の反転通路78から送り出すようになっている。
【0035】
中間通路76の原稿搬送方向下流側の端部近傍と、排紙通路28の排紙方向下流側の端部近傍との間には、第2の反転ローラ対80から送り出された原稿Dを上下反転して原稿排紙トレイ52に供給するためのUターン通路82が形成されている。
【0036】
第2の反転ローラ対80のニップ部の中間通路76側に近接して、Uターン通路82に進退する第4の切換爪84が設けてある。この切換爪84は、実線位置と点線位置との間を移動できるようにしてあり、中間通路76を通過する原稿Dを第2の反転ローラ対80のニップ部に案内するときは実線位置に設定され、上記ニップ部を介して第2の反転通路78から送り出された原稿DをUターン通路82に導くときは点線位置に設定される。
【0037】
次に、原稿混載モード及び非混載モード時における、片面原稿及び両面原稿それぞれの原稿搬送動作を説明する。
【0038】
I.原稿混載モード時における片面原稿搬送
従来の自動原稿搬送装置1(図4)の動作と同一である。しかしながら、本発明では、図6(b),(c)に示すように、図面下側の第1の反転ローラ42の回転方向を切替える場合、モータ43の回転方向を急激に切替えても、所定のトルク以上は、トルクリミッタ54により上記第1の反転ローラ42に伝達されないので、従来の自動原稿搬送装置1において発生したようなモータ18の脱調を防止することができる。
【0039】
また、上述したように、図1の下側の第1の反転ローラ42が時計周り方向に回転する場合は、図2のトルクリミッタ54のコイルばね66が締まる場合に対応し、上記第1の反転ローラ42が反時計周り方向に回転する場合は、図2のトルクリミッタ54のコイルばね66が緩む場合に対応する。すなわち、図1下側の第1の反転ローラ42は、原稿Dを第1の反転通路40から再供給通路44を介して第1のローラ対16まで搬送する際には、比較的強いトルクで時計周り方向に回転するとともに、原稿Dを中間通路30から第1の反転通路40内に導く際には、比較的弱いトルクで反時計周り方向に回転するように設定されている。これは、原稿Dを、中間通路30から第1の反転通路40内への送り込みに比べて、第1の反転通路40から第1のローラ対16までの搬送をより安定して確実に行う要請に応えるためである。
【0040】
II.原稿混載モード時における両面原稿搬送
両面原稿は、第1の原稿面を上、第2の原稿面を下にして原稿供給トレイ2に配置される。この場合の原稿搬送は、原稿混載モードにおける片面原稿搬送と略同一である。すなわち、原稿Dはまず、第1及び第2のセンサ11、22によりそのサイズを検出するために、画像読み取りを行わずに、原稿供給トレイ2から原稿読取部12まで搬送され、その後中間通路30を介して第1の反転通路40に送り込まれる。このとき、第1の原稿面は下を向いている。続いて、原稿Dは、第1の反転通路40から再供給通路44を通って再び第1のローラ対16まで搬送される。
【0041】
原稿Dの先端が第1のローラ対16のニップ部まで搬送される時点で、第1のローラ対16は静止しており、その結果、第1のローラ対16のニップ部の原稿搬送方向上流側に原稿先端が当接して斜行補正される。
【0042】
続いて、モータ18を起動して、第1及び第2のローラ対16、32を回転することにより、斜行補正された原稿Dは、原稿読取部12に送り出され、CCD26により第2の原稿面が読み取られる。
【0043】
その後、原稿Dは、まだ読み取られていない第1の原稿面を上にして、再度第1の反転通路40に送られ、再供給通路44を通って静止した第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて第1の原稿面が読み取られる。
【0044】
次に、原稿Dが第2のローラ対32から送り出される際、第1の切換爪34は実線位置に切換えられており、原稿Dは排紙通路28を通って原稿排紙トレイ52に第1の原稿面を下にして排出される。同様に、2枚目の原稿Dも同じ経路をたどって、第1の原稿面を下にして、原稿排紙トレイ52の1枚目の原稿Dの上に排紙される。
【0045】
III.非混載モード時における片面原稿搬送
読み取るべき原稿面を上にして原稿供給トレイ2上に配置された原稿Dは、Uターン通路14を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて読み取りが行われ、実線位置に設定された第1の切換爪34により排紙通路28に供給され、原稿面を下にして原稿排紙トレイ52上に排紙される。同様に、2枚目の原稿Dも同じ経路をたどって、第1の原稿面を下にして、原稿排紙トレイ52の1枚目の原稿Dの上に排紙される。
【0046】
IV.非混載モード時における両面原稿搬送
第1の原稿面を上、第2の原稿面を下にして原稿供給トレイ2に配置された原稿Dは、Uターン通路14を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正され、続いて、原稿読取部12で読み取られた後、点線位置に設定された第1の切換爪34により中間通路30に供給され、第1の反転通路40に送り込まれる。このとき、読み取られていない第2の原稿面は上に向いている。原稿Dは続いて、再供給通路44を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正され、第2の原稿面が原稿読取部12で読み取られる。
【0047】
原稿Dが第2のローラ対32から送り出される際、第1の切換爪34は実線位置、第3の切換爪74は点線位置、第4の切換爪84は実線位置に設定されており、原稿Dは、中間通路76を通った後、第2の反転ローラ対80の正回転により第2の反転通路78に導かれる。このとき、第1の原稿面は上を向いている。続いて、原稿Dの後端近傍が第2の反転ローラ対80に挟まれると、第2の反転ローラ対80は逆方向に回転する。このとき、第4の切換爪84は点線位置に切換えられており、したがって、原稿Dは、Uターン通路82を通って、原稿排紙トレイ52に第1の原稿面を下にして排出される。さらに、2枚目の原稿Dも、同様に、2枚目の原稿Dも同じ経路をたどって、第1の原稿面を下にして、原稿排紙トレイ52の1枚目の原稿Dの上に排紙される。
【0048】
なお、モータ43は、第1の反転ローラ対42の下側のローラに駆動連結されているが、代わりに、上側のローラにトルクリミッタ54を介して駆動連結しても第1の反転ローラ対42のトルク変動を緩やかにする効果を得ることができる(但し、第1の反転ローラ対42のニップ部で原稿Dをすれ違いさせる目的を達成するためには、上述したように、下側のローラにトルクリミッタ54を介してモータ43を駆動連結する必要がある。)。
【0049】
図3は、本発明に係る自動原稿搬送装置の別の実施形態を示す。この自動原稿供給装置100では、反転通路と排紙通路を兼用した通路102が形成されている。また、通路102内に配置された原稿Dを、第1の反転ローラ対42から送り出す際に、実線位置に配置して再供給通路44に導くか、あるいは点線位置に配置してUターン通路104に導くように、切換爪106が設けてある。さらに、非混載モード時の両面原稿排紙用に、Uターン通路104の原稿搬送方向下流側の端部に近接して、別の排紙ローラ対106及び原稿排紙トレイ108が設けてある。
【0050】
次に、原稿混載モード及び非混載モード時における、片面原稿及び両面原稿それぞれの原稿搬送動作を説明する。
【0051】
I.原稿混載モード時における片面原稿搬送
自動原稿搬送装置1’(図1)と略同一である。すなわち、読み取るべき原稿面を上にして原稿供給トレイ2上に配置された原稿Dは、まず、第1及び第2のセンサ11、22によりそのサイズを検出するために、画像読み取りを行わずに、原稿供給トレイ2から原稿読取部12まで搬送され、その後中間通路30を介して通路102に送り込まれる(なお、切換爪106は、非混載モード時の両面原稿搬送を除いて、常に実線位置に配置されている。)。このとき、原稿面は下を向いているので、原稿Dを上下反転するために、再度、読み取りを行わずに、原稿Dは、再供給通路44、原稿読取部12、中間通路30を介して通路102に導かれる。続いて、原稿Dは、再供給通路44を通って、静止している第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて画像が読み取られた後、中間通路30を介して通路102に送り込まれ、そのまま第1の反転ローラ対42及び排紙ローラ対50により図面左側の原稿排紙トレイ52まで搬送され、原稿面を下にして排出される。
【0052】
II.原稿混載モード時における両面原稿搬送
両面原稿は、第1の原稿面を上、第2の原稿面を下にして原稿供給トレイ2に配置される。この場合の原稿搬送は、原稿混載モードにおける片面原稿搬送と略同一である。すなわち、原稿Dはまず、第1及び第2のセンサ11、22によりそのサイズを検出するために、画像読み取りを行わずに、原稿供給トレイ2から原稿読取部12まで搬送され、その後中間通路30を介して通路102に送り込まれる。このとき、第1の原稿面は下を向いている。
【0053】
続いて、原稿Dは、再供給通路44を通って再び第1のローラ対16まで搬送され、静止している第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて第2の面が読み取られ、続いて中間通路30を介して通路102に送り込まれる。このとき、読み取られていない第1の原稿面は上を向いている。さらに、原稿Dは、再供給通路44を通って再び第1のローラ対16まで搬送され、静止している第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて第1の面が読み取られ、続いて中間通路30を介して通路102に送り込まれ、そのまま第1の反転ローラ対42及び排紙ローラ対50により原稿排紙トレイ52まで搬送され、原稿面を下にして排出される。
【0054】
III.非混載モード時における片面原稿搬送
読み取るべき原稿面を上にして原稿供給トレイ2上に配置された原稿Dは、Uターン通路14を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正された後、続いて、原稿読取部12に供給されて画像が読み取られ、その後中間通路30を介して通路102に送り込まれ、そのまま第1の反転ローラ対42及び排紙ローラ対50により原稿排紙トレイ52まで搬送され、原稿面を下にして排出される。
【0055】
IV.非混載モード時における両面原稿搬送
第1の原稿面を上、第2の原稿面を下にして原稿供給トレイ2に配置された原稿Dは、Uターン通路14を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて第1の原稿面が読み取られ、続いて中間通路30を介して通路102に送り込まれる。このとき、読み取られていない第2の原稿面は上に向いている。原稿Dは続いて、再供給通路44を通って、静止した第1のローラ対16により斜行補正された後、原稿読取部12に供給されて第2の原稿面が読み取られる。
【0056】
その後、原稿Dは、中間通路30を介して、第1の原稿面を上にして通路102に送り込まる。続いて、原稿Dの後端近傍が第1の反転ローラ対42に挟まれると、第1の反転ローラ対42は逆方向に回転する。このとき、切換爪106は点線位置に切換えられており、したがって、原稿Dは、Uターン通路104を通って、原稿排紙トレイ108に第1の原稿面を下にして排出される。
【0057】
【発明の効果】
本発明の自動原稿搬送装置によれば、原稿を搬送するローラ(反転ローラ)に連結したモータの回転を急激に切替える場合において、トルクリミッタを用いることで所定以上のモータのトルクが上記ローラに伝達されないので、原稿を搬送中の斜行補正用ローラを介してこの斜行補正用ローラを駆動するモータに多大な負荷変動が伝達することがない。したがって、斜行補正用ローラを駆動するモータとして小型で安価なモータを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動原稿搬送装置の一実施形態を示す概略図。
【図2】 (a)本発明に用いられるトルクリミッタの一実施形態を示す側面図、(b)図2(a)のトルクリミッタの分解斜視図。
【図3】 本発明に係る自動原稿搬送装置の別の実施形態を示す概略図。
【図4】 従来の自動原稿搬送装置の概略図。
【図5】 切換爪の代わりに用いられる弾性フィルムを示す断面図。
【図6】 混載モードにおける原稿の移動の様子を示す概略図。
【符号の説明】
1:自動原稿搬送装置、12:原稿読取部、16:第1のローラ対、26:CCD、32:第2のローラ対、40:第1の反転通路、42:第1の反転ローラ対44:再供給通路、46:第2の切換爪。
Claims (3)
- 原稿を、第1の位置から原稿読取位置を通過させて第2の位置まで搬送するための第1の経路と、
原稿を、上記第2の位置から上記第1の位置まで搬送するための第2の経路と、
上記第2の位置に一方の端部を有する第3の経路と、
互いに当接し、上記第2の位置にニップ部が配置されたローラ対と、
上記ローラ対のいずれか一方のローラに正逆回転可能に駆動連結されたモータとを有し、
原稿を上記第1の位置から上記第1の経路内を搬送し、次に、上記モータを正回転することにより、上記第2の位置に配置された上記ローラ対のニップ部を介して、原稿を上記第3の経路に導き、続いて、上記モータを逆回転することにより、原稿を上記第3の経路から上記ニップ部を介して上記第2の経路に導き、したがって、上記第1の経路に再度送り込む際に、原稿を上下反転した状態で搬送する原稿搬送装置において、
上記モータと上記ローラ対の上記いずれか一方のローラとの間に、トルクリミッタを設けたことを特徴とする原稿搬送装置。 - 上記ローラ対の上記いずれか一方のローラは、上記第1の経路及び第3の経路を挟んで上記第2の経路の反対側に位置するローラであることを特徴とする請求項1の原稿搬送装置。
- 上記モータの逆回転時に上記ローラ対の上記いずれか一方のローラに伝達されるトルクは、正回転時に伝達されるトルクより大きくなるように設定されることを特徴とする請求項1又は2の原稿搬送装置。
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