JP3686197B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤのベルトをアラミド繊維コードによるトリート材で構成することによって軽量化を目指した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのベルトは、多数本のタイヤコードを並列配置したゴム引き布による、トリート材の積層構造になり、このタイヤコードにアラミド繊維を用いることによって、ベルトの軽量化をはかることができる。一方、アラミド繊維コードで補強したベルトは剛性が低くなるため、通常2層以上で構成されるベルトの少なくとも1層をアラミド繊維コードによるトリート材で構成し、残る少なくとも1層をスチールコードによるトリート材で構成するのが、通例である。
【0003】
ここでアラミド繊維コードによるトリート材と組み合わせる、スチールコードによるトリート材は、補強材を全てスチールコードとした在来のベルト構造において用いているものを流用しているが、ベルトの少なくとも1層をアラミド繊維コードによるトリート材で構成すると、当然スチールコードによるベルト層数は少なくなるため、全てスチールコードによる在来のベルトと比べると、ベルトの剛性が低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ベルト剛性の低いタイヤは、耐磨耗性が低下するため、特にアラミド繊維コードの適用による剛性不足を、スチールコードによるベルト層にて補う必要があり、在来のスチールコードによるベルト層の剛性を改善する必要がある。
【0005】
例えば、スチールコードのタイヤの赤道面に対する傾斜角度、いわゆるベルトのコード角度を変えて、ベルト剛性を向上することも可能であるが、タイヤ形状等が大きく変化し、特に乗り心地性が悪化するため、実際的ではない。
【0006】
さらに、スチールコードの打込数を増加してベルト剛性を高める手法もあるが、ベルト重量が重くなってタイヤの軽量化には不利である上、ベルトの側縁にトリート材の裁断面が位置し、ここにコードのめっきされていない端面が露出していて、ゴムと接着していないコード部分が集中しているため、コードの打込数を増加すると、ゴムと接着していないコード端面を起点としたセパレーションが各コード間で容易に繋がって、早期にベルトエッヂセパレーションに到り、その結果、タイヤの寿命は短くなる。
【0007】
そこで、この発明は、複数層のベルトの少なくとも1層をアラミド繊維コードによるトリート材で構成して軽量化する一方、アラミド繊維コードの適用によって低下するベルト剛性を残るベルト層によって補うことによって、軽量化と耐久性および耐磨耗性の向上とを両立した空気入りタイヤについて提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、1対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨がるカーカスのタイヤ径方向外側に、少なくとも2枚のトリート材の積層構造になるベルトを配置した空気入りラジアルタイヤであって、該ベルトを構成する少なくとも1枚のトリート材は、アラミド繊維コードをタイヤの赤道面に対して斜めの配置で並列したゴム引き布からなり、残る少なくとも1枚のトリート材は、径が 0.20mm 〜 0.30mm のスチールモノフィラメントをタイヤの赤道面に斜めかつアラミド繊維コードと交差する配置で並列したゴム引き布からなり、トリート材において並列するスチールモノフィラメントの間隔が0.10〜0.50mmであることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0009】
ここで、スチールモノフィラメントは平面波形の型付けを有すること、そしてスチールモノフィラメントによるトリート材における、フィラメント強力×打込数が1800kgf/50mm以上であることが、それぞれ実施に当たり有利である。
【0010】
【発明の実施の形態】
さて、図1に、この発明に従う空気入りタイヤの具体例を図解する。この空気入りタイヤは、1対のビードコア1間でトロイド状に延びるカーカス2、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に配置した、少なくとも2層のベルト3およびこのベルト3のタイヤ径方向外側に配置したトレッド4から成る。ベルト3は、少なくとも1層がアラミド繊維コードで補強したアラミド繊維ベルト層5であり、残る少なくとも1層がスチールモノフィラメントで補強したスチールベルト層6である。
【0011】
すなわち、アラミド繊維ベルト層5を構成するトリート材は、図2に示すように、アラミド繊維コード5aをタイヤの赤道面に対して斜めの配置で並列したゴム引き布からなる。ここで、アラミド繊維コード5aには、1500D/2の撚りコードが好適である。また、並列したアラミド繊維コードの間隔は、0.25〜0.30mmとすることが好ましい。
【0012】
一方、スチールベルト層6を構成するトリート材は、図3に示すように、スチールモノフィラメント6aをタイヤの赤道面に対して斜めかつアラミド繊維コード5aと交差する配置で並列したゴム引き布からなる。そして、並列したスチールモノフィラメント6aの間隔を0.10〜0.50mmの範囲とすることが、肝要である。
【0013】
ここで、補強材として在来のスチールコードに替えてスチールモノフィラメントとしたのは、ベルト側縁のトリート材裁断面に露出する、めっきされていないスチールモノフィラメント端面の面積が、図4に示すスチールコードによるトリート材のそれに比較して小さくなり、ここを核とするセパレーションが抑制されるためである。そして、セパレーションが抑制されることから、トリート材におけるフィラメント間隔を、在来のスチールコードによるトリート材より小さくできる結果、ベルト剛性は高まるのである。すなわち、在来のスチールコードは、モノフィラメントに比べて同じ量のトリート材総強力を出すのに必要なコード径が太くなるため、トリート材におけるコード間隙が狭くなって、ベルトエッジセパレーションを誘発し易く、またコーティングゴムの厚さが増えるから、重量的にも不利となる。
【0014】
また、トリート材におけるスチールモノフィラメント6aの間隔を0.10〜0.50mmの範囲としたのは、該間隔が0.10mm未満になると、隣接フィラメント間でセパレーションが容易に伝播してベルトエッジセパレーションをまねき、一方0.50mmをこえると、図4に示した在来のスチールコードによるトリート材でのコード間隔と同等になって、ベルト剛性の向上がはかれないことによる。
【0015】
以上の構成のトリート材をベルト3のスチールベルト層6に適用することによって、スチールモノフィラメント間のゴム量を減少して、ゴムの剪断剛性を高めて、内圧充填時、制・駆動時、コーナリング時等においてタイヤに加わる応力に対する、ゴムの変形を抑えた結果、ベルトの変形が抑えられて、タイヤの剛性が高くなるのである。
【0016】
スチールモノフィラメントの径は、0.20〜0.30mmの範囲にする。すなわち、スチールモノフィラメントの径が0.30mmをこえると、コーナリング時等に発生する、タイヤのバックリング変形により、ベルトの補強材が折れ易くなって、ベルトの耐久性が損なわれ、一方フィラメント径が0.20mm未満になると、フィラメント間隙が0.1 mm以上となる打込数ではトリート材の強力が低くなり、突起乗り上げ時等に容易にパンクする、おそれがある。
【0017】
さらに、スチールモノフィラメントに、図5に示すように、平面波形の型付けを施すことが、上記のゴム変形を抑制する作用による、ベルト剛性の向上を助長するのに有利である。なぜなら、フィラメントに型付けを施すことにより、フィラメント間隙が部分的に狭くなる部分ができるため、その部分のフィラメント間剛性が上がるからである。
【0018】
また、スチールモノフィラメントによるトリート材における、フィラメント強力×打込数が1800kgf/50mm以上であることが好ましい。なぜなら、1800kgf/50mm未満であると、突起乗り越し時等に部分的に発生する応力に対して、強度不足となり、パンク等の原因になるからである。
【0019】
【実施例】
図1に示した構造に従って、アラミド繊維ベルト層5にはアラミド繊維の撚りコード(1500D/2) を38.2本/50mmで打込んでなるトリート材を、またスチールベルト層6には表1に示す仕様のトリート材を、それぞれ使用して、サイズ 185/65 R14の空気入りラジアルタイヤを試作した。なお、ベルト3は、カーカス2上に、タイヤの赤道面に対してスチールフィラメントが左22°の角度で傾斜する向きでスチールベルト層6を配置し、さらにその上にタイヤの赤道面に対してアラミド繊維コードが右22°の角度で傾斜する向きでアラミド繊維ベルト層5を配置して成る。
【0020】
かくして得られたタイヤについて、規定リムに装着後に規定内圧を充填し乗用車の前輪に装着し、2万kmの実地走行後に、図6に示すように、4本の周方向溝の深さを溝幅中心部でそれぞれ測定して平均値を算出し、この平均値を走行前に同様に求めた溝深さの平均値を100 としたときの指数にて耐摩耗性を評価し、また走行後のタイヤを解剖して、図7に示すように、スチールベルト層におけるスチールモノフィラメントに折れの発生した箇所数をタイヤ1本について調査し、さらに走行後のタイヤをその径方向で切断した面におけるスチールベルト層6端からの亀裂長さを調査し、耐久性を評価した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
この発明によれば、複数層のベルトの少なくとも1層をアラミド繊維コードによるトリート材で構成して軽量化した場合であっても、残るベルト層にスチールモノフィラメントによるトリート材を適用してベルト剛性を補うことだでき、タイヤの軽量化と耐久性および耐磨耗性の向上とを両立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のタイヤ構造を示した図である。
【図2】アラミド繊維ベルト層に適用するトリート材を示す図である。
【図3】この発明のスチールベルト層に適用するトリート材を示す図である。
【図4】在来のスチールベルト層に適用するトリート材を示す図である。
【図5】波型付けを施したスチールモノフィラメントの構造を示す図である。
【図6】溝深さの測定要領を示す図である。
【図7】ベルト折れ箇所を示す図である。
【図8】ベルトエッジセパレーションを示す図である。
【符号の説明】
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト
4 トレッド
5 アラミド繊維ベルト層
5a アラミド繊維コード
6 スチールベルト層
6a スチールモノフィラメント
Claims (3)
- 1対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨がるカーカスのタイヤ径方向外側に、少なくとも2枚のトリート材の積層構造になるベルトを配置した空気入りラジアルタイヤであって、該ベルトを構成する少なくとも1枚のトリート材は、アラミド繊維コードをタイヤの赤道面に対して斜めの配置で並列したゴム引き布からなり、残る少なくとも1枚のトリート材は、径が 0.20mm 〜 0.30mm のスチールモノフィラメントをタイヤの赤道面に対して斜めかつアラミド繊維コードと交差する配置で並列したゴム引き布からなり、トリート材において並列するスチールモノフィラメントの間隔が0.10〜0.50mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
- スチールモノフィラメントは平面波形の型付けを有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- スチールモノフィラメントによるトリート材における、フィラメント強力×打込数が1800kgf/50mm以上である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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- 1996-12-09 JP JP32825296A patent/JP3686197B2/ja not_active Expired - Fee Related
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