JP3683860B2 - 復調回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル無線通信システム等に用いられる、シンボル列を含むアナログ受信信号のシンボル再生タイミングと同期タイミングとの偏差を取得するタイミング偏差取得回路、それを含む復調回路、および受信装置に関し、特に、シンボル伝送速度の高いシステムに好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル無線通信の復調回路には、シリアル伝送されたシンボル列からなるアナログ受信信号の振幅レベルを所定のシンボル再生タイミングでサンプリングして、その振幅レベルに応じて量子化した量子化レベルに基づいて、受信電力を測定したり位相の回転度を取得したりするものがある。受信電力の測定結果は、受信信号のゲイン調整(いわゆるAGC制御[Automatic Gain Control])などに用いられ、また同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)との振幅比に基づいて取得される位相回転度の測定結果は、受信タイミングの補正などに用いられる。また変調方式として、QAMなどの振幅依存型の多値変復調方式が採用される場合には、データ特定の観点からも、各シンボルに対応するアナログ信号の振幅レベル(すなわちディジタル信号の量子化レベル)検出精度向上は、さらに重要な課題となる。
【0003】
ところで、復調回路またはそれを含む受信装置に、ノイズ低減、帯域制限あるいは符号間干渉の抑制などのためにフィルタを備える場合、アナログ受信信号の波形は鈍る。すなわち、振幅レベルの時間変化は、図4に示すように、同期タイミングb近傍を頂点とする山なりの形状を示す。ここで、同期タイミングbは、1シンボル時間内のちょうど中央となるタイミング、すなわち、アイの開口中心となるタイミングであり、フィルタとしてナイキストフィルタ(ルートナイキストフィルタ)を採用している場合にはナイキスト点とも呼ばれる。この図4から、振幅レベル(の絶対値)は同期タイミングで最も大きく、またシンボル再生タイミング(またはサンプリング位相)と同期タイミング(または同期位相)とのタイミングの偏差(または位相偏差)が大きいほど、振幅レベル(の絶対値)は同期タイミングでの値に比して小さい値として取得されることがわかる。すなわち、受信信号の振幅レベルを精度良く検出するには、シンボル再生タイミングの同期タイミングに対する偏差をできるだけ小さくするのが望ましい。
【0004】
一般的に、シンボル再生タイミングを同期タイミングに近づけるために、1シンボル時間あたり複数のタイミングでアナログ受信信号がサンプリングされ、それらサンプリング点での量子化レベルに基づいてシンボル再生タイミングが決定される。例えば、同期タイミングでの量子化レベルが高低二つのレベルとなっている場合(すなわち各シンボルが1ビット信号である場合)には、まず、各サンプリング点での量子化レベルから、その量子化レベルが高いレベルと低いレベルとの中間値をとる点が算出され、その点がシンボル変化点として取得される。そして、隣接する二つのシンボル変化点の丁度中間となるタイミングとしてシンボル再生タイミングが取得される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1シンボル時間あたり複数のタイミングでアナログ受信信号をサンプリングする上記従来手法では、振幅レベルの検出精度を向上するために各サンプリング点での量子化分解能を向上しようとすると、量子化を行う回路およびシンボル再生タイミングを取得する回路の処理負荷が高くなってしまう。また、シンボル伝送速度の高い通信システムでは、サンプリングレートを高くする必要が生じる分、さらに処理負荷が高くなるとともに、回路規模の増大ひいては製造コストの増大を招いてしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるタイミング偏差取得回路は、直交検波されたアナログ受信信号からシンボル再生タイミング取得回路によって所定の位相偏差内に収められたシンボル再生タイミングを取得し、取得されたシンボル再生タイミングをさらに調整するため、位相偏差を取得するタイミング偏差取得回路であって、予め既知でありかつ基準となる同期タイミングから所定の位相をずらして作成した再生タイミングと相関値の特性を有する複数の相関値取得部と、各相関値取得部における再生タイミングと相関値の特性を記憶する特性記憶部と、複数シンボルに亘り上記アナログ受信信号の振幅レベルに応じて量子化されたディジタル受信信号を、複数の相関値取得部に入力して各相関値を求め、取得された複数の相関値を前記特性記憶部の特性と比較して対応する1つの再生タイミングを取得する再生タイミング取得部と、同期タイミングに対する取得された再生タイミングの位相偏差を算出する位相偏差算出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また本発明にかかるタイミング偏差取得回路は、複数の相関値取得部の相関値の大小関係に基づいて上記位相偏差を取得するように構成されるのが好適である。
【0008】
また本発明にかかるタイミング偏差取得回路では、複数の相関値取得部のうちの一つは、シンボル再生タイミングが略同期タイミングであるときに相関値が最大となるのが好適である。さらにまた、本発明にかかる復調回路は、上記タイミング偏差取得回路と、前記偏差に基づいて補正された前記シンボル再生タイミングを取得するシンボル再生タイミング取得回路と、を備え、上記シンボル再生タイミング取得回路は、上記シンボル再生タイミングで上記アナログ受信信号から前記ディジタル受信信号を取得する量子化回路より高いサンプリングレートかつ低い量子化分解能で上記アナログ受信信号をサンプリングした結果に基づいて、シンボル再生タイミングを取得することを特徴とする。さらにまた、本発明にかかる受信装置は、上記復調回路を含み、上記シンボル再生タイミングに上記偏差分を加味して復調処理されたディジタル受信信号から通信データを取得することを特徴とする。
【0009】
ここで図面を参照して本発明にかかるタイミング偏差取得回路の作用について説明する。図1は、それぞれ異なる参照信号の設定された三つの相関値取得部(A,B,C)で取得された、一つのディジタル受信信号(ここでは基準となるディジタル受信信号;例えば、所定の復調回路あるいはそれを含む受信装置における平均的なディジタル受信信号あるいはノイズのない理想的な受信状態におけるディジタル受信信号)に対する相関値(互いに直交する成分(同相成分[I成分]および直交成分[Q成分])の複素相関値)の一例を示す図である。この図において、横軸はアナログ受信信号のシンボル再生タイミングを、また縦軸は相関値を示す。なお、ここでは、ディジタル受信信号と参照信号とで、シンボル列としての同期(いわゆるワード同期)は確立されている(すなわち、シンボル列による自己相関値は高い状態にある)ものとする。
【0010】
この図からわかるように、相関値取得部Bの相関値は、アナログ受信信号が丁度同期タイミングbでサンプリングされたときに、その相関値が最大となり、シンボル再生タイミングが同期タイミングbから離間するほど(すなわちシンボル再生タイミングの同期タイミングbに対する偏差が大きくなるほど)相関値が低くなっている。また相関値取得部Aの相関値は、アナログ受信信号が同期タイミングbより早いタイミングaでサンプリングされたときに、その相関値が最大となる。また相関値取得部Cの相関値は、アナログ受信信号が同期タイミングbより遅いタイミングcでサンプリングされたときに、その相関値が最大となる。そして相関値取得部A,Cの相関値も、相関値が最大となるタイミングa,cからシンボル再生タイミングが離間するほど、低くなっている。
【0011】
このような相関値の特性は、参照信号の設定によって決まる。例えば、図1に示す相関値取得部Bの相関値の特性は、参照信号を、基準となるアナログ受信信号を同期タイミングbで複数シンボル分サンプリングしたときに取得されるディジタル受信信号として設定した場合の相関値である。また、相関値取得部Aの特性は、参照信号を、基準となるアナログ受信信号を同期タイミングbより早いタイミング(=相関値が最大となるタイミング)aでサンプリングしたときに取得されるディジタル受信信号として設定した場合の相関値であり、また相関値取得部Cの特性は、参照信号を、基準となるアナログ受信信号を同期タイミングbより遅いタイミング(=相関値が最大となるタイミング)cでサンプリングしたときに取得されるディジタル受信信号として設定した場合の相関値である。なお、シンボル再生タイミングに対する相関値の特性は、フィルタの回路定数(例えばナイキストフィルタのロールオフ係数等)や使用するシンボル列(ベースバンド信号の符号系列)によっても調整することが可能である。
【0012】
図1の例では、各シンボル再生タイミングにおいて、複数の相関値取得部(A,B,C)で取得される相関値は、シンボル再生タイミングに応じた組み合わせとなっている。例えば、シンボル再生タイミングがタイミングaであった場合には、相関値取得部AおよびBで取得される相関値はほぼ等しく、また相関値取得部Cで取得される相関値はAおよびBで取得される相関値の約4/5の値となるし、また、シンボル再生タイミングが同期タイミングbであった場合には、相関値取得部AおよびCで取得される相関値がほぼ等しく、また相関値取得部Bで取得される相関値がAおよびCで取得される相関値の約1.1倍となる。この場合のように、複数の相関値取得部で取得される相関値の組がシンボル再生タイミングに一対一で対応する値を示すように参照信号を設定しておくことで、それら複数の相関値取得部で取得される相関値に基づいて同期タイミングとシンボル再生タイミングとの偏差を把握することができ、さらにそれら相関値から適切なシンボル再生タイミングの補正量を取得することができる。このように、本発明によれば、シンボル再生タイミングで取得されたディジタル受信信号と異なる複数の参照信号との相関値から、シンボル再生タイミングと同期タイミングとの偏差および補正量を取得することができる。本発明によれば、同期精度を向上させるためにサンプリングレートを高くする必要があった従来手法に比べ、少ないサンプリングレートで同等またはそれ以上の同期精度を確保することができるとともに、量子化、偏差の取得あるいはタイミング補正を行う回路の処理負荷を軽減することができる。なお、図1は、相関値取得部が三つ設けられる場合の例であるが、少なくとも二つの相関値取得部の参照信号についてこのような設定がなされれば、本発明の特徴的な作用および効果は実現される。
【0013】
また図1の例では、少なくとも二つの相関値取得部で取得される同じディジタル受信信号に対する相関値について、一シンボル時間内で、一方の参照信号との相関値が他方との相関値より高くなるシンボル再生タイミングと、他方の参照信号との相関値が一方との相関値より高くなるシンボル再生タイミングとがあるように、参照信号が設定されている。より具体的には、相関値取得部Aの相関値と相関値取得部Cの相関値とを比較すると、シンボル再生タイミングが同期タイミングbより早い場合には、相関値取得部Aの相関値の方が高く、逆にシンボル再生タイミングが同期タイミングbより遅い場合には、相関値取得部Cの相関値の方が高くなっている。すなわちこの例の場合には、これら二つの相関値取得部A,Cで取得された相関値の大小を比較することで、同期タイミングbに対してシンボル再生タイミングが早いのか遅いのかを知ることができる。
【0014】
またさらに図1の例では、複数の相関値取得部(A,B,C)でそれぞれ用いられる参照信号のうち一つ(すなわち相関値取得部Bで用いられる参照信号)は、シンボル再生タイミングが同期タイミングbであるときに相関値が最大値を示すように設定されている。図1に示すように、相関値取得部Bで取得される相関値は、他の相関値取得部(A,C)で取得される相関値より大きい値である確率が高いので、この相関値取得部Bの相関値を用いてシンボル列の同期(ワード同期)をより精度良く行うことができるようになる。
【0015】
また本発明にかかる復調回路では、上記タイミング偏差取得回路と、前記タイミング偏差取得回路における偏差の取得に先立って前記アナログ受信信号から前記シンボル再生タイミングを取得するシンボル再生タイミング取得回路と、を備える。シンボル再生タイミング取得回路によって予めシンボル再生タイミングを同期タイミングに対する所定の範囲内のタイミング(例えば、タイミング偏差取得回路において偏差の取得および補正を所定の精度以上で行うことができるシンボル再生タイミングの範囲)としておくことで、上記タイミング偏差取得回路において、タイミングの偏差の取得およびシンボル再生タイミングの補正を、より効率良くかつより精度良く行うことができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる復調回路10の構成図である。
【0017】
図2の実施形態にかかる復調回路10では、受信IF信号(シリアル構成のシンボル列を含むアナログ受信信号)は、可変増幅器12においてその振幅レベルが調整された後、直交検波処理部14においてI信号(同相成分)とQ信号(直交成分)とに分波される。そしてI信号およびQ信号は、ローパスフィルタ(LPF)16を経てA/D変換回路18に入力されてディジタル信号に変換され、位相補正回路20において位相の回転が補正された後、復調器22において復調されて復調データが取得される。
【0018】
また、受信電力測定回路24により、A/D変換回路18から出力されたI信号およびQ信号に基づいて受信電力が取得される。そして増幅率制御回路26は、この受信電力に基づいて受信IF信号が所定の振幅レベル内に収まるように可変増幅器12の増幅率を制御している(いわゆるAGC[Automatic Gain Control]制御)。なお、図1において、交叉線付きの矢印は、I信号とQ信号とが並列に伝送されていることを意味するものである。
【0019】
また、ローパスフィルタ16から出力されたI信号およびQ信号はシンボル再生タイミング取得回路28にも入力され、ここで、A/D変換回路18におけるシンボル再生タイミングすなわちシンボル再生タイミングが取得される。なお、シンボル再生タイミングの取得は、例えば、シリアル伝送されるシンボル列群からなるバースト信号1フレームのうち、伝送対象情報としての通信データのブロック(通信データブロック)の前に設定されるプリアンブルブロックに対して行われる(図4参照)。そして、通信データは、プリアンブルブロックから取得されたシンボル再生タイミングでサンプリングされたディジタル受信信号(の通信データブロック部)に基づいて復調される。
【0020】
ここで、このシンボル再生タイミング取得回路28のより詳細な構成および動作の例について説明する。I信号およびQ信号(アナログ信号)は、比較器30において所定の閾値に対する振幅レベルの大小によりそれぞれ符号化され、二つの受信コード(I受信コードおよびQ受信コード)が取得される。そして、複素相関器32において、複数のタイミングにおいて、これら受信コードと、記憶部34に格納される参照コード(互いに直交するI参照コードおよびQ参照コード)との複素相関が取得され、ピーク検出器36により、複数のタイミングのうち、複素相関値が最大となるタイミング(すなわちシンボル再生タイミングまたは同期位相)が取得される。そして、発振器38からのパルスを所定数カウントする毎にA/D変換回路18のサンプリングクロックを発出する可変分周器35は、このシンボル再生タイミングを示す情報に基づいてそのカウント数を変更し、サンプリングクロックの発出タイミングを変更する。こうして、A/D変換回路18はシンボル再生タイミング取得回路28によって取得されたシンボル再生タイミングに基づくタイミングで、I信号およびQ信号をサンプリングして、それぞれディジタルのI信号およびQ信号に変換する。
【0021】
ここで、比較器30のサンプリングレートは、A/D変換回路18のサンプリングレートより高く、かつ比較器30の量子化分解能は、A/D変換回路18の量子化分解能より低く設定されている。シンボル再生タイミングの取得もA/D変換回路で行うように構成した場合には、その量子化分解能およびサンプリングレートをともに高くする必要があるため、A/D変換回路ひいては復調回路が大型化するとともにシンボル再生タイミングの取得に時間がかかることになるが、本実施形態では機能毎に分離した構成とすることで、復調回路10の大型化が抑制されるとともに、シンボル再生タイミング取得の迅速化が図られている。一例としては、A/D変換回路18のサンプリングレートが1シンボルあたり1回に設定されるのに対し、比較器30のサンプリングレートは1シンボルあたり4回に設定され、またA/D変換回路18の量子化分解能が8ビット(すなわち256階調)に設定されるのに対し、比較器30の量子化分解能は1ビット(すなわち2階調)に設定される。なお、本実施形態では、A/D変換回路18において1シンボルあたりの分解能を1ビットより高く設定するのは、受信電力に基づく振幅レベル制御(すなわちAGC制御)やディジタル受信信号の位相回転分を補正するためであるが、多値変調方式として振幅変調方式(すなわち16値QAM等)を用いる場合(すなわち受信信号の振幅レベルに応じて多値データが設定される場合)などにおいても、このような構成が有効となる。また本実施形態では、受信コード取得回路として量子化分解能が1ビットの比較器30を用いたが、これに替えてより高い量子化分解能の量子化回路を用いることも可能である。
【0022】
複素相関器32において算出される複素相関値(Cor(t))は、所定のサンプリングタイミングtにおける受信コード(Rt(m))を、
【数1】
Rt(m) = It(m) − j・Qt(m) ・・・ (1)
(ここに、I受信コード:It(m)、Q受信コード:Qt(m)、j:虚数、m = 1,2,・・・,M、M:参照コードのビット長[シフトレジスタの段数])とし、また参照コード(Ref(m))を、
【数2】
Ref(m) = Iref(m) + j・Qref(m) ・・・ (2)
(ここに、I参照コード:Iref(m)、Q参照コード:Qref(m))とすると、
【数3】
となる。この複素相関値Cor(t)が、異なる複数のタイミングにおいて取得され、ピーク検出器36において、その複素相関値Cor(t)が最大となるタイミングがシンボル再生タイミングとして取得される。なお、参照コードRef(m)は、基準受信コード(例えば平均的な受信状態での受信信号から取得される受信コードまたはノイズの無い理想的な受信状態で取得される受信コード等)として設定される。また式(3)の分母は、予め算出しておくことができる。
【0023】
アナログ受信信号がA/D変換回路18においてシンボル再生タイミングで所定シンボル数に亘ってサンプリングされることにより取得されたディジタル受信信号は、タイミング偏差取得回路40に入力され、ここで同期タイミングとシンボル再生タイミングとの偏差が取得される。ここで、このタイミング偏差取得回路40のより詳細な構成および動作について説明する。
【0024】
図2のタイミング偏差取得回路40は、並列に三つの複素相関器(42a,42b,42c)を備える。これら三つの複素相関器(42a,42b,42c)は、例えば図1の相関値特性を備えるように構成されており、それぞれ、これらに共通のディジタル受信信号と個別の参照信号との複素相関値を取得する。偏差取得部/シンボル列同期取得部44は、これら三つの複素相関器(42a,42b,42c)で取得された複素相関値と、シンボル再生タイミングと複数の相関値取得部(42a,42b,42c)の相関値との対応関係と、に基づいて、シンボル再生タイミングの同期タイミングとの偏差および/または補正量を時間または位相として取得するとともに、シンボル列としての同期タイミング(すなわち所定シンボル数のシンボル列として比較したときに最も自己相関値の高くなるシンボル列)を検出することができる。ここでの偏差および/または補正量の取得あるいはシンボルタイミングの検出に際しては、記憶部46に格納されるテーブルあるいは数式が参照される。また、シンボル列の同期タイミングは、伝送対象情報としての通信データの復調(例えばデータ開始点の特定等)に用いられる。そして可変分周器35は、この偏差または補正量を示す情報を取得し、シンボル再生タイミングを補正する。なお、以下では、複素相関器42aは図1の相関値取得部Aとして、複素相関器42bは図1の相関値取得部Bとして、また複素相関器42cは図1の相関値取得部Cとして、それぞれ構成されたものとして説明する。
【0025】
上述したように、複数の相関値取得部(A,B,C)で取得された相関値により、シンボル再生タイミングの同期タイミングに対する偏差を取得することができる。相関値からの偏差を取得し補正する手法としては種々の手法がある。例えば、図1の場合、タイミングaより早いタイミングでは相関値取得部Aの相関値が三つの相関値取得部(A,B,C)の中では最大となり、タイミングaとタイミングcとの間のタイミングでは相関値取得部Bの相関値が、またタイミングcより遅いタイミングでは相関値取得部Cの相関値が、それぞれ最大となっている。すなわちこの場合、三つの相関値取得部(A,B,C)の相関値のうちどれが最大となるかによって、シンボル再生タイミングの同期タイミングに対する偏差の度合い(進み、遅れ、ほぼ同期)を検出することができる。また、この場合には、例えば、相関値取得部Bの相関値が最大である場合には補正を行わず、相関値取得部Aの相関値が最大である場合には所定時間分(例えばタイミングaと同期タイミングbとの差異分)シンボル再生タイミングを遅らせるように補正し、また相関値取得部Cの相関値が最大である場合には所定時間分(例えばタイミングcと同期タイミングbとの差異分)シンボル再生タイミングを早めるように補正する。
【0026】
また、複数の相関値取得部(A,B,C)で取得された相関値の比率から偏差および補正量を取得するようにしてもよい。例えば、相関値取得部BおよびCで取得された相関値が等しく、その値に対して相関値Aで取得された相関値がそのほぼ4/5となっていた場合には、シンボル再生タイミングはタイミングcの近傍であるとみなすことができる。そしてこの場合、偏差取得部/シンボル列同期取得部44は、複数の相関値に対する偏差あるいは補正量を、記憶部46に記憶されたそれらを関連付けるテーブルあるいは数式などから取得する。この場合、偏差の検出誤差に伴う過大補正が生じないように、補正量の絶対値を偏差の絶対値より小さく(例えば補正量の絶対値が偏差の絶対値の半分となるように)設定してもよい。
【0027】
各相関値取得部(A,B,C)において算出される複素相関値(Scor(k);k=a,b,c)は、アナログ受信信号から所定のシンボル再生タイミングでサンプリングされたディジタル受信信号(Srt(n))を、
【数4】
Srt(n) = Ist(n) − j・Qst(n) ・・・ (4)
(ここに、I受信信号:Ist(n)、Q受信信号:Qst(n)、j:虚数、n = 1,2,・・・,N、N:参照信号のシンボル長[シフトレジスタの段数])とし、また参照信号(Sref(n))を、
【数5】
Sref(n) = Isref(n) + j・Qsref(n) ・・・ (5)
(ここに、I参照信号:Isref(n)、Q参照信号:Qsref(n))とすると、
【数6】
となる。一つのディジタル受信信号と複数の参照信号との複素相関値Scor(k)が、並列に配置された複数の相関値取得部(A,B,C)において、上記式(6)にしたがって一度に取得され、シンボル再生タイミングの同期タイミングに対する偏差および補正量がより迅速に取得される。
【0028】
次に、本発明の別の実施形態について図3を参照して説明する。図3の実施形態にかかる復調回路50は、図1の実施形態にかかる復調回路10と同じまたは同様の構成要素を有している。このため、これらの間で同様の構成要素については両図で同じ符号を付すとともに、重複する部分についての詳細な説明を省略する。
【0029】
図3の実施形態では、A/D変換回路18のサンプリングタイミングは固定され、その後段(すなわちA/D変換回路18と復調器22との間)に設けた補間器52において、シンボル再生タイミング(またはそれに対応するタイミング)のデータを補間算出することで、ディジタル受信信号が取得される。このため、補間器52には、A/D変換回路18において複数のタイミングでそれぞれサンプリングされ量子化された振幅レベル(量子化レベル;例えば8ビットデータ)がそのタイミングに対応付けて格納されており、ピーク検出器36で取得されたシンボル再生タイミング(またはそれに対応するタイミング、すなわち受信信号のアイ[eye]の開口中心となるタイミング)と、A/D変換回路18によって振幅レベルの取得されたタイミングと、に基づいて、公知の内挿(または外挿)手法によって、格納された振幅レベルからシンボル再生タイミング(またはそれに対応するタイミング)における振幅レベルが算出される。なお、A/D変換回路18におけるサンプリングタイミングは固定されるため、図2の実施形態の可変分周器35に替えて固定分周する分周器54が設けられる。
【0030】
このとき、補間器52におけるシンボル再生タイミングの取得精度向上のため、A/D変換回路18のサンプリングレートをシンボル再生タイミングのサンプリングレートより高く設定してもよい。しかしこの場合にも、タイミング偏差取得回路40には補間器52によって決定されたシンボル再生タイミングで取得された一つのディジタル受信信号が入力されるから、このような構成によるタイミング偏差取得回路40の処理負荷の増大および回路規模の増大は抑制される。
【0031】
また、タイミング偏差取得回路40の偏差取得部44で取得された偏差および/または補正量を示す情報も補間器52に入力され、ここで、補正されたシンボル再生タイミングでの振幅レベルが、上述した手法(例えば公知の内挿(または外挿)手法)によって取得される。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態にかかる復調回路は、三つの相関値取得部を備えたが、これは、少なくとも二つあればよく、四つ以上備えてもよい。また、上記実施形態では、参照信号を、受信信号をサンプリングした信号として設定したが、これには限定されず、同じディジタル受信信号に対して複数の相関値取得部で取得される相関値の組み合わせがシンボル再生タイミングに対応するものであれば、受信信号と異なる信号として設定してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シンボル再生タイミングの同期タイミングに対する偏差を、より簡素な回路構成で、より迅速に取得することが可能となり、復調回路ひいてはそれを含む受信装置の大型化を抑制できるとともに、シンボル再生タイミングをより迅速に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる復調回路のタイミング偏差取得回路に設けられる複数の相関値取得部(複素相関器)のシンボル再生タイミングに対する相関値の特性を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態にかかる復調回路のブロック図である。
【図3】 本発明の別の実施形態にかかる復調回路のブロック図である。
【図4】 フィルタにより波形の鈍った受信信号の振幅レベルの経時変化の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10,50 復調回路、12 可変増幅器、14 直交検波処理部、16 ローパスフィルタ、18 A/D変換回路、20 位相補正回路、22 復調器、24 受信電力測定回路、26 増幅率制御回路、28 シンボル再生タイミング取得回路、30 比較器、32 複素相関器、34 記憶部、35 可変分周器、36 ピーク検出器、38 発振器、40 タイミング偏差取得回路、42a,42b,42c 複素相関器、44 偏差取得部/シンボル列同期取得部、46 記憶部、52 補間器。
Claims (5)
- 直交検波されたアナログ受信信号からシンボル再生タイミング取得回路によって所定の位相偏差内に収められたシンボル再生タイミングを取得し、取得されたシンボル再生タイミングをさらに調整するため、位相偏差を取得するタイミング偏差取得回路であって、
予め既知でありかつ基準となる同期タイミングから所定の位相をずらして作成した再生タイミングと相関値の特性を有する複数の相関値取得部と、
各相関値取得部における再生タイミングと相関値の特性を記憶する特性記憶部と、
複数シンボルに亘り前記アナログ受信信号の振幅レベルに応じて量子化されたディジタル受信信号を、複数の相関値取得部に入力して各相関値を求め、取得された複数の相関値を前記特性記憶部の特性と比較して対応する1つの再生タイミングを取得する再生タイミング取得部と、
同期タイミングに対する取得された再生タイミングの位相偏差を算出する位相偏差算出部と、
を有することを特徴とするタイミング偏差取得回路。 - 複数の相関値取得部のうちの一つは、前記シンボル再生タイミングが略同期タイミングであるときに相関値が最大となることを特徴とする請求項1に記載のタイミング偏差取得回路。
- 請求項1又は2に記載のタイミング偏差取得回路と、
前記位相偏差に基づいて補正された前記シンボル再生タイミングを取得するシンボル再生タイミング取得回路と、
を備える復調回路。 - 前記シンボル再生タイミング取得回路は、前記シンボル再生タイミングで前記アナログ受信信号から前記ディジタル受信信号を取得する量子化回路より高いサンプリングレートかつ低い量子化分解能で前記アナログ受信信号をサンプリングした結果に基づいて、シンボル再生タイミングを取得することを特徴とする請求項3に記載の復調回路。
- 請求項3又は4に記載の復調回路を含む受信装置であって、
前記シンボル再生タイミングに前記位相偏差分を加味して復調処理されたディジタル受信信号から通信データを取得することを特徴とする受信装置。
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