JP3678771B2 - ドライエッチング方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は酸化ルテニウム(RuO2 )層のドライエッチング方法に関し、更に詳しくは、半導体装置等の電極配線に用いる導電性セラミクスである、酸化ルテニウム層の異方性ドライエッチング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、64Mビット以降のDRAM等、次世代LSIに対する誘電体材料として、チタン酸鉛〔PbTiO3 〕あるいはPZT〔Pb(Zr,Ti)O3 〕、PLZT〔(Pb,Ka)(Zr,Ti)O3 〕等のPZT系強誘電体薄膜を利用する動向がある。これら材料の強誘電性を利用し、DRAMのキャパシタ絶縁膜として、またMISトランジスタの絶縁膜に利用したMFSトランジスタとして、さらには焦電性を利用した赤外線センサへの利用等が考えられている。なかでも分極反転特性を利用した大容量不揮発性メモリであるFRAMは、将来、動画をも1チップ上に記録しうる固体メモリとして期待される次世代のデバイスとして期待が大きい。しかしながら、これら強誘電体デバイスの実用化には特性に優れた強誘電体薄膜の形成方法もさることながら、強誘電体薄膜への電極のパターニング方法についても検討の余地が大きい。
【0003】
従来より、PZT系等の強誘電体薄膜への電極材料として、その特性の安定性からPt金属を用いるのが一般的である。このPt金属層のパターニングは、王水を用いたウェットエッチングか、Ar等の希ガスを用いたイオンミリングが主流である。
【0004】
しかしながら、ウェットエッチングにおいてはレジスト密着性やサイドエッチングの問題、さらには他のドライプロセスとの整合性の問題がある。またイオンミリングにおいては、下地強誘電体薄膜のダメージや、パターニングされたPt電極配線やレジスト側壁へのスパック再付着膜等、解決すべき問題点がある。後者の再付着への対策として、特開平5−109668号公報には、Arイオンビームの入射角度を変えて多段階エッチングする方法が開示されている。この方法によればPtの再付着は防止できるが、異方性形状を得ることが出来ない。また特開平5−21405公報には、付着してしまったPtの側壁膜を、ジェットスクラバ等高圧力噴流水と綿状のローラブラシで物理的に除去する方法が開示されている。この方法によれば異方性形状を保ったパターニングが可能である。しかし、ミクロに見ればPtの再付着側壁膜の破断面が新たに形成され、パターン形状の悪化が懸念されるし、後処理ではあるがウェットプロセスを併用するのであるから、やはりドライプロセスとの整合性が悪い。綿状ローラによるダメージやパーティクル汚染の点も未解決である。
【0005】
一方、側壁保護膜の利用による異方性ドライエッチングの試みも提案されている。例えば、1993年春季第30回応用物理学関係連合講演会講演予稿集講演番号30a−ZE−3には、HBr/CH4 混合ガス系によるマグネトロンRIEを用いたプロセスの報告がある。また同様のガス系によりECRプラズマエッチング装置を用いた例が、Micro Process Conference予稿集B-7-5,146(1993)に掲載されている。いずれの例も、対レジストマスク選択比と異方性形状確保のため、カーボン系ポリマを堆積するCH4 ガスを添加しており、パーティクル汚染や再現性低下の虞れが残る。また、エッチングレートも20nm/分程度と小さい。
【0006】
このようにPtによる電極は、その特性の安定性にもかかわらず、加工性に難点があることから、最近は他の電極材料として、ITOやRuO2 等の導電性セラミクスの採用を検討する動向がある。中でもRuO2 は、ITOより強誘電体薄膜との相互拡散が少ないこと、またPtと比べても優れたオーミック性と、ブレークダウン特性の時間依存性(TDDB)を示すことが報告されている(J.Electrochem.Soc.,140-9,2640(1993))。
【0007】
RuO2 はRuのハロゲン化物の蒸気圧が小さいことから、やはりドライエッチングの困難な材料であるが、そのフッ化物RuF5 は沸点が250℃であるので、被エッチング基板を加熱すれば、F系ガスによる減圧下でのエッチングは可能である。例えば、J.Electrochem.Soc., 140-9, 2635 (1993)にはCCl2 F2 (フロン12)を用いたRIEの例が報告されている。しかしながら、このエッチング方法はエッチングレートが高々数nm〜十数nm/分と低く、しかもフロン12に限らず、特定フロンは地球環境保全の観点から使用を規制されつつあるのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、PZT系等の強誘電体薄膜等への電極材料として有望なRuO2 の異方性ドライエッチング方法を提供することである。
【0009】
また本発明の課題は、実用的なエッチングレートを確保した上で、クリーンな脱フロンプロセスによる上記ドライエッチング方法を提供することである。本発明の上記以外の課題は、本願明細書中での説明により明らかにされる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、上記課題を解決するために提案するものである。
【0011】
すなわち、本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、被エッチング基板を150℃以下に制御し、かつこの被エッチング基板上に窒化イオウ系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにチッ素系ガスを添加してエッチングするものである。
【0012】
また本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、被エッチング基板を400℃以下に制御し、かつこの被エッチング基板上に硫化アンモニウム系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにNH3 を添加してエッチングするものである。
【0013】
本発明で用いるところの、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物は、S2 F2 、SF2 、SF4 およびS2 FlOを単独または組み合わせて使用できる。フッ化イオウ系化合物としてよく知られているSF6ガスは、F/S比が6であり、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出することはなく、本発明の趣旨には適合しない。
【0014】
また本発明で用いるところのチッ素系ガスは、N2 、NF3 およびN2 H4 を単独または組み合わせて使用できる。
【0015】
【作用】
本発明のポイントは、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうる特定のフッ化イオウ系化合物を用いるとともに、被エッチング基板の特定の温度制御を行う点にある。すなわち、反応性エッチングの形で揮発性生成物ないしは昇華性生成物としてRuのフッ化物を形成して、これを反応系外に除去しながらエッチングするのである。先述したように、Ruのフッ化物のうち、RuF5 はbp=250℃であるので、減圧下で被エッチング基板を加熱すれば実用的なエッチングレートでのパターニングが可能となる。なお、上記RuF5 の沸点のデータは、CRC Press社刊行によるHandbook of Chemistry and Phy sics, 71st.Edition (1990-1991)によるものであるが、227℃とする文献もある。
【0016】
本発明の2番目のポイントは、被エッチング基坂上にイオウ、窒化イオウ系化合物あるいは硫化アンモニウム系化合物等のイオウ系化合物を堆積しつつ、すなわちRuO2 層のエッチングと、イオウないしはイオウ化合物の堆積との競合反応を利用しつつエッチングする点にある。このプロセスにおいては、RuO2 層の表面に堆積したイオウないしイオウ系化合物は、入射イオンにより速やかにスパックされるのでRuO2 層のエッチングが進行する。しかし、イオン入射が原理的に発生しないレジストマスクやエッチングが進行しつつあるRuO2 層の側壁には堆積膜が形成され、ラジカル反応によるサイドエッチを防止する。
【0017】
ところで、昇華性であるイオウないしイオウ系化合物を被エッチング基板上に堆積するには、被エッチング基板の特定の温度制御が必要となる。具体的には、イオウは90℃以下、窒化イオウ系化合物では150℃以下、そして硫化アンモニウム系化合物にあっては400℃以下である。これら被エッチング基板の加熱温度制御により、RuO2 層の実用的なエッチング速度が実現される。制卸温度の下限は、特に制限を設けるものではないが、エッチングレートとの兼ね合いを考慮すると、上限制御温度に近い温度設定が好ましい。
【0018】
ところで、上記窒化イオウ系化合物としては、一般式(SN)x で表されるポリチアジルが代表的なものである。ポリチアジルの生成機構としては、フッ化イオウ系化合物の放電解離によりプラズマ中に生じるSと、窒素系ガスの放電解離によりプラズマ中に生成するNとが結合し、まずチアジル(N≡S)が形成される。このものは、分子中に不対電子を持っているので容易に重合し、(SN)2 を、さらにこの(SN)2 は20℃程度でも重合を繰り返して(SN)4 、(SN)x となる。(SN)x すなわちポリチアジルは安定な物質であり、150℃程度迄は分解しない。本発明では被エッチング基板を150℃以下に制御しているので(SN)x を側壁保護膜として利用できるのである。
【0019】
また、もう一つのイオウ系化合物である硫化アンモニウム系化合物は、フッ化化イオウ系化合物の放電解離によりプラズマ中に生じるSと、NH3 とが反応して形成され、一硫化アンモニウム(NH4 )2 Sが代表的な化合物であるが、他にポリ硫化アンモニウム(NH4 )2 Sx 等が混在する。これら硫化アンモニウム系化合物は、400℃迄は分解昇華しないので、側壁保護膜としての利用が可能である。
【0020】
本発明のもう一つのポイントは、RuO2 層のエッチングが終了後、被エッチング基板を加熱して、被エッチング基板上に堆積したイオウまたはイオウ系化合物を昇華または分解昇華することにより、被エッチング基板上から除去する点にある。加熱温度は、エッチング時の基板制卸温度の上限を越えた温度に設定すればよい。またRuO2 層のエッチング終了後、アッシングによりレジストマスタを除去するプロセスを用いる場合には、アッシングにより、あるいはアッシング時の基板加熱により、イオウまたはイオウ系化合物を除去することも可能である。これにより、パーティクルレベルの悪化による基板汚染の懸念のない清浄なプロセスが実現できる。
【0021】
イオウの堆積を側壁保護膜として利用し、多結晶シリコン層等の異方性エッチングを行う提案を、本発明者らは例えば月刊セミコンダクターワールド誌1993年1月号、140〜144ページ(プレスジャーナル社刊)に発表している。本発明は、このプロセスを特定の温度制御と組み合わせてRuO2 層のエッチングに応用して好結果を収めたことに発想を得たものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明のドライエッチング方法に係る各実施例を、図1〜図4を参照して説明する。
【0023】
なお、以下に説明する実施例1および2では、すべて基板バイアス印加型ECRプラズマエッチング装置を用いたが、他のエッチング装置を適宜使用可能なことを言うまでもない。
【0024】
実施例1
本実施例は、SiO 2 等からなる絶縁膜上にRuO 2 層をS 2 F 2 とN 2 の混合ガスでエッチングした例であり、これを図1(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、Siウェハ等の半導体基板1上に例えばSiO 2 からなる絶縁膜2を熱酸化等により形成し、この上にRuO 2 層3を300nm形成する。RuO 2 層3は、Ru金属をターゲットとし、Ar/O 2 混合ガスを用いた反応性スパッタリング等により形成する。
【0026】
次に一例として化学増幅系3成分ネガ型レジストであるSAL−601を1μm塗布し、KrFエキシマレーザリソグラフィにより0.35μm幅のレジストマスク4をパターニングする。
【0027】
次に、被エッチング基板に、一例として下記条件でエッチングを施す。
S2 F2 流量 40 sccm
N 2 流量 20 sccm
ガス圧力 1.3 Pa
マイクロ波パワー 1500 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 50 W(2MHz)
基板温度 140 ℃
上記ガスのうち、N 2 は直接エッチングに寄与するものではないが、N* を生成し、S2 F2 から生じるSと結合して、ポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物を形成する。
【0028】
上記エッチング条件の採用により、RuO2 層3のエッチングが進行する。エッチングが進むRuO2 層3とレジストマスク4の側壁にはポリチアジルを始めとする窒化イオウ系化合物の側壁保護膜5が付着形成され、サイドエッチが防止される結果、図1(b)に示されるようにRuO2 層パターン3aが形成される。エッチングレートは300nm/分であった。その後、被エッチング基板を150℃を超える加熱処理を施すと側壁保護膜5は昇華し、被エッチング基板上には窒化イオウ系化合物の痕跡は残らなかった。レジストパターン4をレジスト剥離液で除去し、図1(c)に示すように寸法変換差のない0.35μmの幅を有するRuO2 層パターン3aが異方性よく形成された。
【0029】
本実施例によれば、被エッチング基板温度を140℃に設定したので、エッチングレートが上昇し、また側壁保護膜として強固なポリチアジルを使用するので、異方性形状にはいささかの劣化も見られなかった。
【0030】
実施例2
本実施例は、無機マスクを用いてSiO2 等からなる絶縁層2上のRuO2 層3をS2 F2 とNH3 の混合ガスでエッチングした例であり、これを図2(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、Siウェハ等の基板1上に例えばSiO2 等からなる絶縁層2とRuO2 層3を順次形成する。形成方法は実施例1の場合と同じである。次に一例として0.2μmの厚さのSiO2 膜をスパッタリングにより形成した後、レジストマスク(図示せず)を用いて0.35μm幅の所望の形状にパターニングして無機マスク6を形成する。
【0032】
次に、一例として下記条件によりRuO2 層3のエッチングを行う。
S2 F2 流量 40 sccm
N 2 流量 20 sccm
ガス圧力 0.13 Pa
マイクロ波パワー 1500 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 50 W(2MHz)
基板温度 350 ℃
上記ガスのうち、NH 3 は直接エッチングに寄与するものではないが、S2 F2 から生じる遊離のイオウと反応し、硫化アンモニウム系化合物を被エッチング基板上に形成する。
【0033】
上記エッチング条件により、RuO2 層3のエッチングが進行する。エッチングが進むRuO2 層3と無機マスク5の側壁には、強固な硫化アンモニウム系化合物の側壁保護膜5が付着形成される結果、350℃の高温エッチング条件にもかかわらずサイドエッチが防止され、図2(b)に示されるようにRuO2 層パターン3aが形成される。エッチングレートは700nm/分以上の値が得られた。その後、被エッチング基板に減圧雰囲気下で400℃を超える加熱処理を施すと側壁保護膜5は昇華し、被エッチング基板上には硫化アンモニウム系化合物の痕跡は残らなかった。無機マスク5を公知のウェットエッチングやプラズマエッチングで除去すると、図2(c)に示すように、パターンシフトのない0.35μmの幅を有するPt系金属層パターン3aが異方性よく形成された。
【0034】
本実施例によれば、被エッチング基板温度を350℃に設定したので、先の実施例1よりも更にエッチングレートが上昇し、また側璧保護膜として強固な硫化アンモニウム系化合物を使用するので、異方性形状にはいささかの劣化も見られなかった。
【0035】
実施例3
本実施例は、PZT等からなる強誘電体層上のRuO2 層を、S2 F2 とN2 の混合ガスでエッチングした例であり、上記実施例1および2に続く工程である。まず、本実施例で採用したハロゲンランプによる基板加熱機構を有するヘリコン波プラズマエッチング装置の構成例につき、図4に示す概略断面図を参照して説明する。
【0036】
このエッチング装置は、ヘリコン波プラズマ発生源と、Wハロゲンランプによる被エッチング基板加熱手段を具備した構成を有する。このヘリコン波プラズマ発生源は、石英またはアルミナ等の誘電体材料からなるベルジャ16、周回するヘリコン波アンテナ17、ヘリコン波プラズマ電源18、マッチングネットワーク19および内周コイルと外周コイルとからなるソレノイドコイルアッセンブリ20等から構成する。このうち、内周コイルはヘリコン波の伝播に寄与し、外周コイルは生成したプラズマの輸送に寄与する。被エッチング基板11を載置する基板ステージ12は、抵抗加熱ヒータ等による基板ステージ加熱手段13を内蔵し、一方Wハロゲンランプと反射鏡等からなる赤外線照射加熱手段14により発生する赤外線ビームは、石英ガラス等の光照射窓15を透過して被エッチング基板1を表面から加熱する。赤外線照射加熱手段14は、被エッチング基板11の中心軸に対し、軸対象に複数個、例えば4個設けることが望ましい。21はエッチングチャンバ23内の発散磁界を制御するマルチポール磁石、22は基板バイアス電源であり、被エッチング基板11への入射イオンエネルギを制御するものである。この図では、エッチングガス導入孔、真空ポンプ、ゲートバルブ等の装置細部は図示を省略する。本エッチング装置によれば、ヘリコン波アンテナの構造特性により、1013/cm3 オーダの高密度プラズマによるプラズマエッチングが可能である。
【0037】
本実施例は、実施例1および2で形成したRuO2 層パターン3a上に強誘電体層を形成し、さらにこの上に上層RuO2 層を形成しこれをパターニングした例であり、このプロセスを図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0038】
上記実施例で形成したRuO2 層パターン3a上に、PZT等からなる強誘電体層7を、例えば200nmスパックリングにより形成した後、必要に応じて500〜700℃でアニールし、ペロブスカイト構造とする。強誘電体層7上には、反応性スパックリングにより上層電極となる上層RuO2 層8を300nmの厚さに形成し、さらに0.35μm幅のレジストマスク4を形成する。図3(a)に示すこのサンプルを被エッチング基板とする。
【0039】
この被エッチング基板11を図4に示すヘリコン波プラズマエッチング装置の基板ステージ12上にセッティングし、一例として下記条件でエッチングを施す。
なお赤外線照射電源パワーは4個のWハロゲンランプの合計である。上記ガスのうち、N 2 は直接エッチングに寄与するものではないが、N* を生成し、S 2 F 2 から生じるSと結合して、ポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物を形成する。
【0040】
上記エッチング条件の採用により、上層RuO2 層8のエッチングが進行する。エッチングの機構は実施例1と略同一であるが、本実施例では高密度プラズマと赤外線照射による表面からの基板加熱の効果により、実施例1より高い500nm/分のエッチングレートが得られた。エッチング終了後の様子を図3(b)に示す。同図における側壁保護膜5の主成分は、言うまでもなくポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物である。
【0041】
エッチング終了後、実施例1と同様にして側壁保護膜5およびレジストマスク5を除去し、図3(c)に示す構造を得る。本実施例によれば、窒化イオウ系化合物による側壁保護膜の効果により、パターンシフトのない0.35μm幅の上層RuO2 層パターンが異方性よく形成された。
【0042】
以上、本発明の3種の実施例により説明したが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
例えば、フッ化イオウ系ガスとしてS2 F2 を励磁したが、SF2 、SF4 、S2 H10等、SF6 以外のフッ化イオウ系ガスを適宜使用できる。また、H2 Sガスもプラズマ中に遊離のイオウを放出するので、H2 Sと汎用フッ素系ガスの混合ガスであっても、プロセス条件の選択によりこれらフッ化イオウ系ガスと同様の効果が期待できる。
【0044】
窒素系ガスとしてN2 を代表にとりあげたが、他にN2 H4 、NF3 の使用も可能である。同じ窒素系ガスであっても、NH3 は硫化アンモニウム系化合物を生成することは前述の説明の通りである。
【0045】
フッ化イオウ系ガスから生成するハロゲンラジカルを捕捉し、イオウの堆積を促進する目的で、H2 、H2 S、SiH4 、Si2 H6 等のH系ガスを添加してもよい。もちろん添加しなくともエッチングの進行には支障はない。
【0046】
その他、被処理基板の冷却効果を得る目的や、希釈効果あるいは放電の安定化等のために、He、Ar等の希ガスを添加してもよい。
【0047】
エッチング装置として、ECRプラズマエッチング装置とへリコン波プラズマエッチング装置を用いたが、これは基板ステージの温度制御機構を有する平行平板型RIE装置、マグネトロンRIE装置等、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置そしてTCP(Transformer Coupled Plasma)エッチング装置等、他の方式のエッチング装置の使用も可能である。
【0048】
強誘電体薄膜として、PZTを例示したが、PLZT、SrTiO3 等各種強誘電体材料ないしTa2 O5 等他の高誘電体材料を使用できる。また、RuO2 層を、化合物半導体装置の電極、酸化物高温超電導デバイス等の電極・配線として使用する場合にも本発明を適用出来ることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上の誠明から明らかなように、本発明のドライエッチング方法によれば、実用的なエッチングレートを確保しつつ、RuO2 層の異方性ドライエッチングを達成できる。
【0050】
側壁保護膜として異方性エッチングに寄与したイオウないしイオウ系化合物は、エッチング終了後の加熱により簡単に昇華除去でき、あるいはアッシングを用いても完全に除去できるので、パーティクルレベルの悪化の懸念はない。
【0051】
本発明は基本的にドライプロセスであるので、前後の工程との整合性についても優れる。また環境保全の観点からも特定フロンガスを使用しないクリーンなプロセスである。以上、本発明のドライエッチング方法は、強誘電体薄膜を用いる半導体デバイスのみならず、各種電子デバイスの電極配線材料としてのRuO2 層の実用化に極めて有用な加工方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施例1を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)は半導体基板上に絶縁層とRuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状のレジストマスクを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつRuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜とレジストマスタを除去してRuO2 層パターンを完成した状態である。
【図2】本発明を適用した実施例2を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)は半導体基坂上に絶縁層とRuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状の無機マスクを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつRuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜と無機マスクを除去してRuO2 層パターンを完成した状態である。
【図3】本発明を適用した実施例3を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)はRuO2 パターン上に強誘電体層と上層RuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状のレジストマスタを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつ上層RuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜とレジストマスクを除去して上層RuO2 層パターンが完成した状態である。
【図4】本発明を適用した実施例3で使用したへリコン波プラズマエッチング装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 絶縁層
3 RuO2 層
3a RuO2 層パターン
4 レジストマスク
5 側壁保護膜
6 無機マスク
7 強誘電体層
8 上層RuO2 層
8a 上層RuO2 層パターン
11 被エッチング基板
14 赤外線照射加熱手段
15 光照射窓
17 ヘリコン波アンテナ
【産業上の利用分野】
本発明は酸化ルテニウム(RuO2 )層のドライエッチング方法に関し、更に詳しくは、半導体装置等の電極配線に用いる導電性セラミクスである、酸化ルテニウム層の異方性ドライエッチング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、64Mビット以降のDRAM等、次世代LSIに対する誘電体材料として、チタン酸鉛〔PbTiO3 〕あるいはPZT〔Pb(Zr,Ti)O3 〕、PLZT〔(Pb,Ka)(Zr,Ti)O3 〕等のPZT系強誘電体薄膜を利用する動向がある。これら材料の強誘電性を利用し、DRAMのキャパシタ絶縁膜として、またMISトランジスタの絶縁膜に利用したMFSトランジスタとして、さらには焦電性を利用した赤外線センサへの利用等が考えられている。なかでも分極反転特性を利用した大容量不揮発性メモリであるFRAMは、将来、動画をも1チップ上に記録しうる固体メモリとして期待される次世代のデバイスとして期待が大きい。しかしながら、これら強誘電体デバイスの実用化には特性に優れた強誘電体薄膜の形成方法もさることながら、強誘電体薄膜への電極のパターニング方法についても検討の余地が大きい。
【0003】
従来より、PZT系等の強誘電体薄膜への電極材料として、その特性の安定性からPt金属を用いるのが一般的である。このPt金属層のパターニングは、王水を用いたウェットエッチングか、Ar等の希ガスを用いたイオンミリングが主流である。
【0004】
しかしながら、ウェットエッチングにおいてはレジスト密着性やサイドエッチングの問題、さらには他のドライプロセスとの整合性の問題がある。またイオンミリングにおいては、下地強誘電体薄膜のダメージや、パターニングされたPt電極配線やレジスト側壁へのスパック再付着膜等、解決すべき問題点がある。後者の再付着への対策として、特開平5−109668号公報には、Arイオンビームの入射角度を変えて多段階エッチングする方法が開示されている。この方法によればPtの再付着は防止できるが、異方性形状を得ることが出来ない。また特開平5−21405公報には、付着してしまったPtの側壁膜を、ジェットスクラバ等高圧力噴流水と綿状のローラブラシで物理的に除去する方法が開示されている。この方法によれば異方性形状を保ったパターニングが可能である。しかし、ミクロに見ればPtの再付着側壁膜の破断面が新たに形成され、パターン形状の悪化が懸念されるし、後処理ではあるがウェットプロセスを併用するのであるから、やはりドライプロセスとの整合性が悪い。綿状ローラによるダメージやパーティクル汚染の点も未解決である。
【0005】
一方、側壁保護膜の利用による異方性ドライエッチングの試みも提案されている。例えば、1993年春季第30回応用物理学関係連合講演会講演予稿集講演番号30a−ZE−3には、HBr/CH4 混合ガス系によるマグネトロンRIEを用いたプロセスの報告がある。また同様のガス系によりECRプラズマエッチング装置を用いた例が、Micro Process Conference予稿集B-7-5,146(1993)に掲載されている。いずれの例も、対レジストマスク選択比と異方性形状確保のため、カーボン系ポリマを堆積するCH4 ガスを添加しており、パーティクル汚染や再現性低下の虞れが残る。また、エッチングレートも20nm/分程度と小さい。
【0006】
このようにPtによる電極は、その特性の安定性にもかかわらず、加工性に難点があることから、最近は他の電極材料として、ITOやRuO2 等の導電性セラミクスの採用を検討する動向がある。中でもRuO2 は、ITOより強誘電体薄膜との相互拡散が少ないこと、またPtと比べても優れたオーミック性と、ブレークダウン特性の時間依存性(TDDB)を示すことが報告されている(J.Electrochem.Soc.,140-9,2640(1993))。
【0007】
RuO2 はRuのハロゲン化物の蒸気圧が小さいことから、やはりドライエッチングの困難な材料であるが、そのフッ化物RuF5 は沸点が250℃であるので、被エッチング基板を加熱すれば、F系ガスによる減圧下でのエッチングは可能である。例えば、J.Electrochem.Soc., 140-9, 2635 (1993)にはCCl2 F2 (フロン12)を用いたRIEの例が報告されている。しかしながら、このエッチング方法はエッチングレートが高々数nm〜十数nm/分と低く、しかもフロン12に限らず、特定フロンは地球環境保全の観点から使用を規制されつつあるのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、PZT系等の強誘電体薄膜等への電極材料として有望なRuO2 の異方性ドライエッチング方法を提供することである。
【0009】
また本発明の課題は、実用的なエッチングレートを確保した上で、クリーンな脱フロンプロセスによる上記ドライエッチング方法を提供することである。本発明の上記以外の課題は、本願明細書中での説明により明らかにされる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、上記課題を解決するために提案するものである。
【0011】
すなわち、本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、被エッチング基板を150℃以下に制御し、かつこの被エッチング基板上に窒化イオウ系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにチッ素系ガスを添加してエッチングするものである。
【0012】
また本発明のRuO2 のドライエッチング方法は、被エッチング基板を400℃以下に制御し、かつこの被エッチング基板上に硫化アンモニウム系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにNH3 を添加してエッチングするものである。
【0013】
本発明で用いるところの、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるフッ化イオウ系化合物は、S2 F2 、SF2 、SF4 およびS2 FlOを単独または組み合わせて使用できる。フッ化イオウ系化合物としてよく知られているSF6ガスは、F/S比が6であり、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出することはなく、本発明の趣旨には適合しない。
【0014】
また本発明で用いるところのチッ素系ガスは、N2 、NF3 およびN2 H4 を単独または組み合わせて使用できる。
【0015】
【作用】
本発明のポイントは、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうる特定のフッ化イオウ系化合物を用いるとともに、被エッチング基板の特定の温度制御を行う点にある。すなわち、反応性エッチングの形で揮発性生成物ないしは昇華性生成物としてRuのフッ化物を形成して、これを反応系外に除去しながらエッチングするのである。先述したように、Ruのフッ化物のうち、RuF5 はbp=250℃であるので、減圧下で被エッチング基板を加熱すれば実用的なエッチングレートでのパターニングが可能となる。なお、上記RuF5 の沸点のデータは、CRC Press社刊行によるHandbook of Chemistry and Phy sics, 71st.Edition (1990-1991)によるものであるが、227℃とする文献もある。
【0016】
本発明の2番目のポイントは、被エッチング基坂上にイオウ、窒化イオウ系化合物あるいは硫化アンモニウム系化合物等のイオウ系化合物を堆積しつつ、すなわちRuO2 層のエッチングと、イオウないしはイオウ化合物の堆積との競合反応を利用しつつエッチングする点にある。このプロセスにおいては、RuO2 層の表面に堆積したイオウないしイオウ系化合物は、入射イオンにより速やかにスパックされるのでRuO2 層のエッチングが進行する。しかし、イオン入射が原理的に発生しないレジストマスクやエッチングが進行しつつあるRuO2 層の側壁には堆積膜が形成され、ラジカル反応によるサイドエッチを防止する。
【0017】
ところで、昇華性であるイオウないしイオウ系化合物を被エッチング基板上に堆積するには、被エッチング基板の特定の温度制御が必要となる。具体的には、イオウは90℃以下、窒化イオウ系化合物では150℃以下、そして硫化アンモニウム系化合物にあっては400℃以下である。これら被エッチング基板の加熱温度制御により、RuO2 層の実用的なエッチング速度が実現される。制卸温度の下限は、特に制限を設けるものではないが、エッチングレートとの兼ね合いを考慮すると、上限制御温度に近い温度設定が好ましい。
【0018】
ところで、上記窒化イオウ系化合物としては、一般式(SN)x で表されるポリチアジルが代表的なものである。ポリチアジルの生成機構としては、フッ化イオウ系化合物の放電解離によりプラズマ中に生じるSと、窒素系ガスの放電解離によりプラズマ中に生成するNとが結合し、まずチアジル(N≡S)が形成される。このものは、分子中に不対電子を持っているので容易に重合し、(SN)2 を、さらにこの(SN)2 は20℃程度でも重合を繰り返して(SN)4 、(SN)x となる。(SN)x すなわちポリチアジルは安定な物質であり、150℃程度迄は分解しない。本発明では被エッチング基板を150℃以下に制御しているので(SN)x を側壁保護膜として利用できるのである。
【0019】
また、もう一つのイオウ系化合物である硫化アンモニウム系化合物は、フッ化化イオウ系化合物の放電解離によりプラズマ中に生じるSと、NH3 とが反応して形成され、一硫化アンモニウム(NH4 )2 Sが代表的な化合物であるが、他にポリ硫化アンモニウム(NH4 )2 Sx 等が混在する。これら硫化アンモニウム系化合物は、400℃迄は分解昇華しないので、側壁保護膜としての利用が可能である。
【0020】
本発明のもう一つのポイントは、RuO2 層のエッチングが終了後、被エッチング基板を加熱して、被エッチング基板上に堆積したイオウまたはイオウ系化合物を昇華または分解昇華することにより、被エッチング基板上から除去する点にある。加熱温度は、エッチング時の基板制卸温度の上限を越えた温度に設定すればよい。またRuO2 層のエッチング終了後、アッシングによりレジストマスタを除去するプロセスを用いる場合には、アッシングにより、あるいはアッシング時の基板加熱により、イオウまたはイオウ系化合物を除去することも可能である。これにより、パーティクルレベルの悪化による基板汚染の懸念のない清浄なプロセスが実現できる。
【0021】
イオウの堆積を側壁保護膜として利用し、多結晶シリコン層等の異方性エッチングを行う提案を、本発明者らは例えば月刊セミコンダクターワールド誌1993年1月号、140〜144ページ(プレスジャーナル社刊)に発表している。本発明は、このプロセスを特定の温度制御と組み合わせてRuO2 層のエッチングに応用して好結果を収めたことに発想を得たものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明のドライエッチング方法に係る各実施例を、図1〜図4を参照して説明する。
【0023】
なお、以下に説明する実施例1および2では、すべて基板バイアス印加型ECRプラズマエッチング装置を用いたが、他のエッチング装置を適宜使用可能なことを言うまでもない。
【0024】
実施例1
本実施例は、SiO 2 等からなる絶縁膜上にRuO 2 層をS 2 F 2 とN 2 の混合ガスでエッチングした例であり、これを図1(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、Siウェハ等の半導体基板1上に例えばSiO 2 からなる絶縁膜2を熱酸化等により形成し、この上にRuO 2 層3を300nm形成する。RuO 2 層3は、Ru金属をターゲットとし、Ar/O 2 混合ガスを用いた反応性スパッタリング等により形成する。
【0026】
次に一例として化学増幅系3成分ネガ型レジストであるSAL−601を1μm塗布し、KrFエキシマレーザリソグラフィにより0.35μm幅のレジストマスク4をパターニングする。
【0027】
次に、被エッチング基板に、一例として下記条件でエッチングを施す。
S2 F2 流量 40 sccm
N 2 流量 20 sccm
ガス圧力 1.3 Pa
マイクロ波パワー 1500 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 50 W(2MHz)
基板温度 140 ℃
上記ガスのうち、N 2 は直接エッチングに寄与するものではないが、N* を生成し、S2 F2 から生じるSと結合して、ポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物を形成する。
【0028】
上記エッチング条件の採用により、RuO2 層3のエッチングが進行する。エッチングが進むRuO2 層3とレジストマスク4の側壁にはポリチアジルを始めとする窒化イオウ系化合物の側壁保護膜5が付着形成され、サイドエッチが防止される結果、図1(b)に示されるようにRuO2 層パターン3aが形成される。エッチングレートは300nm/分であった。その後、被エッチング基板を150℃を超える加熱処理を施すと側壁保護膜5は昇華し、被エッチング基板上には窒化イオウ系化合物の痕跡は残らなかった。レジストパターン4をレジスト剥離液で除去し、図1(c)に示すように寸法変換差のない0.35μmの幅を有するRuO2 層パターン3aが異方性よく形成された。
【0029】
本実施例によれば、被エッチング基板温度を140℃に設定したので、エッチングレートが上昇し、また側壁保護膜として強固なポリチアジルを使用するので、異方性形状にはいささかの劣化も見られなかった。
【0030】
実施例2
本実施例は、無機マスクを用いてSiO2 等からなる絶縁層2上のRuO2 層3をS2 F2 とNH3 の混合ガスでエッチングした例であり、これを図2(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、Siウェハ等の基板1上に例えばSiO2 等からなる絶縁層2とRuO2 層3を順次形成する。形成方法は実施例1の場合と同じである。次に一例として0.2μmの厚さのSiO2 膜をスパッタリングにより形成した後、レジストマスク(図示せず)を用いて0.35μm幅の所望の形状にパターニングして無機マスク6を形成する。
【0032】
次に、一例として下記条件によりRuO2 層3のエッチングを行う。
S2 F2 流量 40 sccm
N 2 流量 20 sccm
ガス圧力 0.13 Pa
マイクロ波パワー 1500 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 50 W(2MHz)
基板温度 350 ℃
上記ガスのうち、NH 3 は直接エッチングに寄与するものではないが、S2 F2 から生じる遊離のイオウと反応し、硫化アンモニウム系化合物を被エッチング基板上に形成する。
【0033】
上記エッチング条件により、RuO2 層3のエッチングが進行する。エッチングが進むRuO2 層3と無機マスク5の側壁には、強固な硫化アンモニウム系化合物の側壁保護膜5が付着形成される結果、350℃の高温エッチング条件にもかかわらずサイドエッチが防止され、図2(b)に示されるようにRuO2 層パターン3aが形成される。エッチングレートは700nm/分以上の値が得られた。その後、被エッチング基板に減圧雰囲気下で400℃を超える加熱処理を施すと側壁保護膜5は昇華し、被エッチング基板上には硫化アンモニウム系化合物の痕跡は残らなかった。無機マスク5を公知のウェットエッチングやプラズマエッチングで除去すると、図2(c)に示すように、パターンシフトのない0.35μmの幅を有するPt系金属層パターン3aが異方性よく形成された。
【0034】
本実施例によれば、被エッチング基板温度を350℃に設定したので、先の実施例1よりも更にエッチングレートが上昇し、また側璧保護膜として強固な硫化アンモニウム系化合物を使用するので、異方性形状にはいささかの劣化も見られなかった。
【0035】
実施例3
本実施例は、PZT等からなる強誘電体層上のRuO2 層を、S2 F2 とN2 の混合ガスでエッチングした例であり、上記実施例1および2に続く工程である。まず、本実施例で採用したハロゲンランプによる基板加熱機構を有するヘリコン波プラズマエッチング装置の構成例につき、図4に示す概略断面図を参照して説明する。
【0036】
このエッチング装置は、ヘリコン波プラズマ発生源と、Wハロゲンランプによる被エッチング基板加熱手段を具備した構成を有する。このヘリコン波プラズマ発生源は、石英またはアルミナ等の誘電体材料からなるベルジャ16、周回するヘリコン波アンテナ17、ヘリコン波プラズマ電源18、マッチングネットワーク19および内周コイルと外周コイルとからなるソレノイドコイルアッセンブリ20等から構成する。このうち、内周コイルはヘリコン波の伝播に寄与し、外周コイルは生成したプラズマの輸送に寄与する。被エッチング基板11を載置する基板ステージ12は、抵抗加熱ヒータ等による基板ステージ加熱手段13を内蔵し、一方Wハロゲンランプと反射鏡等からなる赤外線照射加熱手段14により発生する赤外線ビームは、石英ガラス等の光照射窓15を透過して被エッチング基板1を表面から加熱する。赤外線照射加熱手段14は、被エッチング基板11の中心軸に対し、軸対象に複数個、例えば4個設けることが望ましい。21はエッチングチャンバ23内の発散磁界を制御するマルチポール磁石、22は基板バイアス電源であり、被エッチング基板11への入射イオンエネルギを制御するものである。この図では、エッチングガス導入孔、真空ポンプ、ゲートバルブ等の装置細部は図示を省略する。本エッチング装置によれば、ヘリコン波アンテナの構造特性により、1013/cm3 オーダの高密度プラズマによるプラズマエッチングが可能である。
【0037】
本実施例は、実施例1および2で形成したRuO2 層パターン3a上に強誘電体層を形成し、さらにこの上に上層RuO2 層を形成しこれをパターニングした例であり、このプロセスを図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0038】
上記実施例で形成したRuO2 層パターン3a上に、PZT等からなる強誘電体層7を、例えば200nmスパックリングにより形成した後、必要に応じて500〜700℃でアニールし、ペロブスカイト構造とする。強誘電体層7上には、反応性スパックリングにより上層電極となる上層RuO2 層8を300nmの厚さに形成し、さらに0.35μm幅のレジストマスク4を形成する。図3(a)に示すこのサンプルを被エッチング基板とする。
【0039】
この被エッチング基板11を図4に示すヘリコン波プラズマエッチング装置の基板ステージ12上にセッティングし、一例として下記条件でエッチングを施す。
なお赤外線照射電源パワーは4個のWハロゲンランプの合計である。上記ガスのうち、N 2 は直接エッチングに寄与するものではないが、N* を生成し、S 2 F 2 から生じるSと結合して、ポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物を形成する。
【0040】
上記エッチング条件の採用により、上層RuO2 層8のエッチングが進行する。エッチングの機構は実施例1と略同一であるが、本実施例では高密度プラズマと赤外線照射による表面からの基板加熱の効果により、実施例1より高い500nm/分のエッチングレートが得られた。エッチング終了後の様子を図3(b)に示す。同図における側壁保護膜5の主成分は、言うまでもなくポリチアジル(SN)x 等の窒化イオウ系化合物である。
【0041】
エッチング終了後、実施例1と同様にして側壁保護膜5およびレジストマスク5を除去し、図3(c)に示す構造を得る。本実施例によれば、窒化イオウ系化合物による側壁保護膜の効果により、パターンシフトのない0.35μm幅の上層RuO2 層パターンが異方性よく形成された。
【0042】
以上、本発明の3種の実施例により説明したが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
例えば、フッ化イオウ系ガスとしてS2 F2 を励磁したが、SF2 、SF4 、S2 H10等、SF6 以外のフッ化イオウ系ガスを適宜使用できる。また、H2 Sガスもプラズマ中に遊離のイオウを放出するので、H2 Sと汎用フッ素系ガスの混合ガスであっても、プロセス条件の選択によりこれらフッ化イオウ系ガスと同様の効果が期待できる。
【0044】
窒素系ガスとしてN2 を代表にとりあげたが、他にN2 H4 、NF3 の使用も可能である。同じ窒素系ガスであっても、NH3 は硫化アンモニウム系化合物を生成することは前述の説明の通りである。
【0045】
フッ化イオウ系ガスから生成するハロゲンラジカルを捕捉し、イオウの堆積を促進する目的で、H2 、H2 S、SiH4 、Si2 H6 等のH系ガスを添加してもよい。もちろん添加しなくともエッチングの進行には支障はない。
【0046】
その他、被処理基板の冷却効果を得る目的や、希釈効果あるいは放電の安定化等のために、He、Ar等の希ガスを添加してもよい。
【0047】
エッチング装置として、ECRプラズマエッチング装置とへリコン波プラズマエッチング装置を用いたが、これは基板ステージの温度制御機構を有する平行平板型RIE装置、マグネトロンRIE装置等、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置そしてTCP(Transformer Coupled Plasma)エッチング装置等、他の方式のエッチング装置の使用も可能である。
【0048】
強誘電体薄膜として、PZTを例示したが、PLZT、SrTiO3 等各種強誘電体材料ないしTa2 O5 等他の高誘電体材料を使用できる。また、RuO2 層を、化合物半導体装置の電極、酸化物高温超電導デバイス等の電極・配線として使用する場合にも本発明を適用出来ることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上の誠明から明らかなように、本発明のドライエッチング方法によれば、実用的なエッチングレートを確保しつつ、RuO2 層の異方性ドライエッチングを達成できる。
【0050】
側壁保護膜として異方性エッチングに寄与したイオウないしイオウ系化合物は、エッチング終了後の加熱により簡単に昇華除去でき、あるいはアッシングを用いても完全に除去できるので、パーティクルレベルの悪化の懸念はない。
【0051】
本発明は基本的にドライプロセスであるので、前後の工程との整合性についても優れる。また環境保全の観点からも特定フロンガスを使用しないクリーンなプロセスである。以上、本発明のドライエッチング方法は、強誘電体薄膜を用いる半導体デバイスのみならず、各種電子デバイスの電極配線材料としてのRuO2 層の実用化に極めて有用な加工方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施例1を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)は半導体基板上に絶縁層とRuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状のレジストマスクを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつRuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜とレジストマスタを除去してRuO2 層パターンを完成した状態である。
【図2】本発明を適用した実施例2を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)は半導体基坂上に絶縁層とRuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状の無機マスクを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつRuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜と無機マスクを除去してRuO2 層パターンを完成した状態である。
【図3】本発明を適用した実施例3を、その工程順に説明するための概略断面図であり、(a)はRuO2 パターン上に強誘電体層と上層RuO2 層を順次形成し、この上に所望の形状のレジストマスタを形成した状態であり、(b)は側壁保護膜を堆積しつつ上層RuO2 層のエッチングが終了した状態、(c)は側壁保護膜とレジストマスクを除去して上層RuO2 層パターンが完成した状態である。
【図4】本発明を適用した実施例3で使用したへリコン波プラズマエッチング装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 絶縁層
3 RuO2 層
3a RuO2 層パターン
4 レジストマスク
5 側壁保護膜
6 無機マスク
7 強誘電体層
8 上層RuO2 層
8a 上層RuO2 層パターン
11 被エッチング基板
14 赤外線照射加熱手段
15 光照射窓
17 ヘリコン波アンテナ
Claims (2)
- 被エッチング基板を150℃以下に加熱温度制御し、かつ該被エッチング基板上に窒化イオウ系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるものでS2 F2 、SF2 、SF4 およびS2 F10からなる群のうちから選択される少なくとも一種からなるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにN2 、NF3 およびN2 H4 からなる群のうちから選択される少なくとも一種からなるチッ素系ガスを添加して、酸化ルテニウム層をエッチングすることを特徴とするドライエッチング方法。
- 被エッチング基板を400℃以下に加熱温度制御し、かつ該被エッチング基板上に硫化アンモニウム系化合物を堆積させながら、放電電離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを放出しうるものでS2 F2 、SF2 、SF4 およびS2 F10からなる群のうちから選択される少なくとも一種からなるフッ化イオウ系化合物単独をエッチングガスとし、該エッチングガスにNH3 を添加して、酸化ルテニウム層をエッチングすることを特徴とするドライエッチング方法。
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