JP3678411B2 - パッシブ光ネットワーク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッシブ光ネットワークに関し,特に、低コストで芯線利用効率が高い障害対策が可能なバス型パッシブ光ネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムの一種に、パッシブ光ネットワーク(PON)がある。PONは光カップラなどの受動(パッシブ)部品を用いて、複数の通信局を接続する光通信システムである。図18にその代表的形態の一つであるバス型PONを示す。親局1に光ファイバ4が接続され、光ファイバ4の途中には複数のカップラ3-x(x=1,..n-1)が挿入されている。下り光信号はそれぞれのカップラ3-xにてそのカップラの分岐比で分けられ、子局2-x(x=1,..n)に入力される。それぞれの子局2-xから出力される上り光信号はカップラ3-xでそのカップラの分岐比に対応する分岐損失を受けながら光ファイバ4に合流し、親局1に到達する。
【0003】
このように光レベルでの分岐合流を行うことがPONの特徴である。その利点は、1本の光ファイバに複数の子局を接続するため、ネットワークを組むための光ファイバ芯線数が削減できること、また、前記カップラのような低コスト部品によって子局を光ファイバに接続するためシステムコストが安いこと、である。しかしながら、伝送仕様を満たすために必要な受信光パワーには下限があることから、PONのようにカップラによって光パワーが分岐損失を被るシステムでは、1本のファイバに接続できる子局数は限定されている。前記カップラを用いるのではなく、高価な光Add/Drop多重装置を用いて高度な制御機構を要する高密度波長多重(DWDM)方式を適用すれば、子局数を飛躍的に増加させることは可能である。しかしPONの適用対象となるシステムは通常低コスト性が要求されるシステムであり、DWDMのようなコストを大幅に増大させる方式はそぐわない。
【0004】
ネットワークで通信される情報の重要度は様々である。ネットワークの障害により一時通信が途絶えても、情報の種類によっては大きな問題にはならない場合もあれば、通信が途絶えることでビジネスや生活、安全に重大な影響を及ぼす場合もある。後者のような種類の情報を通信するネットワークでは高い信頼性が要求され、障害発生時に即座にバックアップできる体制が整っている必要がある。
【0005】
PONが低コストなシステムであるからといって、信頼性が要求されないとは限らない。最も単純な障害対策は、システムを完全に二重化することであるが、完全二重化では、PONの利点である光ファイバ芯線数の削減効果や低コスト性を損なってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、PONの利点である芯線数の削減効果や低コスト性を損なわずに、収容子局数を増加させることである。また、本発明の第2の目的は、光ファイバ芯線数を増加させずに障害対策を施すことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明群の第1発明は、複数の波長帯の光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバに設けられた複数のカップラと、前記光ファイバに各々前記カップラを介して接続された複数の局を有するパッシブ光ネットワークであって、前記局の数は前記波長帯の数より多く、前記カップラは、このカップラに接続された前記局が使用する前記波長帯の光に対しては所定の分岐比を有し、他の前記波長帯の光に対しては前記光ファイバに接続されている一方のポートから前記光ファイバに接続されている他方のポートへ実質的に分岐することなく光を透過させる特性を有することを特徴とするパッシブ光ネットワークである。
【0008】
第1の発明群の第2発明は、前記波長帯の数が2であることを特徴とする第1の発明群の第1発明に記載のパッシブ光ネットワークである。
【0009】
第2の発明群の第1発明は、複数の波長帯の光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバに設けられた複数のカップラと、前記光ファイバに各々前記カップラを介して接続された複数の光送信器を有するパッシブ光ネットワークであって、前記光ファイバの両端にはそれぞれ光受信器が設けられ、前記複数の光送信器から出力される出力光の波長は前記複数の波長帯のいずれかに属し、前記光送信器の数は前記波長帯の数より多く、前記カップラは、このカップラに接続された前記光送信器から出力された出力光の波長が属する前記波長帯の光に対しては所定の分岐比を有し、他の前記波長帯の光に対しては前記光ファイバに接続されている一方のポートから前記光ファイバに接続されている他方のポートへ実質的に分岐することなく光を透過させる特性を有し、前記光送信器は前記光受信器の一方または他方を選択して、光を出力する選択手段を備え、各々の前記光受信器は少なくとも1つ以上の受光部を有することを特徴とするパッシブ光ネットワークである。
【0010】
第2の発明群の第2発明は、複数の波長帯の光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバに設けられた複数のカップラと、前記光ファイバに各々前記カップラを介して接続された複数の光受信器を有するパッシブ光ネットワークであって、前記光ファイバの両端にはそれぞれ光送信器が設けられ、前記複数の光受信器が受け取る光の波長は前記複数の波長帯のいずれかに定められ、前記光受信器の数は前記波長帯の数より多く、前記カップラは、このカップラに接続された前記光受信器が受け取る前記波長帯の光に対しては所定の分岐比を有し、他の前記波長帯の光に対しては前記光ファイバに接続されている一方のポートから前記光ファイバに接続されている他方のポートへ実質的に分岐することなく光を透過させる特性を有し、前記光送信器それぞれは前記複数の波長帯の各々に対応する光を出力する発光部を有し、前記光受信器には、双方の前記光送信器から前記光ファイバを介して伝送されてきた光の少なくとも一方を選択して受信する選択受信手段が備えられていることを特徴とするパッシブ光ネットワークである。
【0011】
第2の発明群の第3発明は、前記波長帯の数が2であることを特徴とする第2の発明群の第1発明又は第2の発明群の第2発明に記載のパッシブ光ネットワークである。
【0012】
PONの利点である芯線数の削減効果および低コスト性を損なわずに収容子局数を増加させるため、本発明の第1の発明群では、バス型PONにおいて波長間隔の大きい波長多重を行う。この時、特殊な分岐比のカップラを使用する。
【0013】
近接した複数の光導波路間の伝搬モードの結合を利用して分岐合流を行う種類のカップラは、分岐比が波長依存性を有する。例えば、最も一般的なカップラの製作方法である溶融延伸によって製作される光ファイバカップラがそうである。このタイプのカップラでは結合長に対して周期的に分岐比が変化するが、その周期は波長に依存する。図18で示した従来のバス型PONで使用されるカップラは、1つの波長帯のみでの分岐比を規定して製作されるものであり、その波長帯以外の波長の光に対する分岐比は全く規定されていない。一方この波長依存性の原理に基づいて、簡易な波長合分波器が商用化されている。例えば、1.55μm帯の光と1.31μm帯の光を分波、合波する波長合分波器である。合分波する波長間隔が短くなるほど製作精度に対する要求が厳しくなるため、歩留まり良く製作可能な波長間隔は、短くてせいぜい50nm〜100nmである。したがって、このような波長合分波器は、50nm程度の広範囲に及ぶ波長帯単位での合分波に用いられる。また、この原理による波長合分波器は単純な光カップラと大差無い製造工程で製作可能であるため低コストである。商用化されている波長合分波器は一方の波長(例えば1.55μm)を実質的に10:0で分岐し、他方の波長(例えば1.31μm)を実質的に0:10で分岐するものである。すなわち、1.55μmと1.31μmの双方の光を入力ポートに入力すると、出力ポートの一方からは1.55μmのみが出力され、他方の出力ポートからは1.31μmのみが出力される。
【0014】
上述のような結合周期の波長依存性を利用することによって、いくつかの波長帯に対してそれぞれ異なる分岐比を有する特殊な分岐比のカップラが製作可能である。例えば、1.55μm帯の光を7:3の分岐比で分岐し、1.31μm帯の光を10:0の分岐比、すなわち、分岐しないようなカップラが製作できる。なお、これらの分岐比7:3、10:0などはおよその分岐比であり、製作精度の問題から実際には通常10%程度の誤差が発生する。現在はこのようなものは特に需要が無いことから市販されてはいない。2つの波長帯のみについて分岐比を規定するものであれば、2つの波長帯を分離する波長合分波器(WDMカップラ)と同程度に製作容易であり、低コストに製造できる。
【0016】
本願では、バス型のPONにおいて複数の波長帯の光を使用する。また、光ファイバに各子局を接続するためのカップラは、その子局が使用する波長帯に対しては所定の分岐比(10:0を除く)を有し、その他の波長は分岐しない特殊な分岐比のカップラを用いる。
【0017】
例えば、1.55μm帯の光と1.31μm帯の光を使用する場合について説明する。1.55μm帯の光を使用する子局を光ファイバに接続するための第1カップラは1.55μm帯の光に対しては例えば7:3で光を分岐合流し、1.31μm帯の光に対しては実質的に分岐しないで光を透過させる。1.31μm帯の光を使用する子局を光ファイバに接続するための第2カップラは1.31μm帯の光に対して例えば7:3で光を分岐合流し、1.55μm帯の光に対しては実質的に光を分岐せず透過させる。その結果、1.55μm帯の光は、第1カップラを透過する場合にのみ分岐損失を被り、また、第2カップラを透過する場合には分岐損失は被らず、後述するカップラの過剰損失による損失を受けるのみである。
【0018】
従来のPONで使用されるカップラは、PON内で使用される全ての光に対してほぼ等しい分岐比を有している。このような従来のPONと比較すると、本発明で提供するPONに接続可能な子局数は、単純には使用する波長帯の数を乗算した数に増加する。本発明では、カップラ(例えば、上述した溶融延伸型カップラ)のような非常に低コストなコンポーネントの波長依存性を利用して、子局数を増加させる。その結果、低コストに芯線利用効率を高くすることが可能となる。
【0019】
前述のように、光導波路を近接させることによる伝搬モードの結合を利用したカップラの分岐比は、結合長に対して周期的に変化し、その周期は波長に依存する。2つの波長(帯)に対して、一方を実質的に分岐せず(分岐比10:0)、他方が所定の分岐比(例えば7:3)となる結合長は、カップラの製作可能な範囲内に多数存在するため、製作は容易である。
【0020】
しかし、3つの波長(帯)に対して、1つに対しては所定の分岐比、他の2つに対しては実質的に分岐せず(分岐比10:0)となる結合長は、2つの波長帯の場合に比較してその発生頻度が非常に小さいため、3つの波長に対してそのような特性を持つカップラを製作しようとすれば、波長帯の幅が狭くなり高い製作精度が要求されたり、特殊な径や屈折率分布を有する光ファイバを使用する必要があるなど、コストが増加する可能性がある。したがって、本発明の利点の一つである低コスト性を保つためには、同一のPONで使用する波長帯の数は2つにとどめておくことが望ましい。
本発明の第2の発明群では、このような特殊な分岐比のカップラを使用することによって、芯線利用効率が高く、低コストな PON を提供し、さらにその故障対策を提供する。
【0021】
このようなPONに対して光ファイバ芯線数を増加させず故障対策を施すために、本発明では次のような構成上の特徴を有する。まず、上り光信号に対応する構成を説明する。従来のバス型PONでは、光ファイバの一方の端部にのみ光受信器が接続されており、子局の光送信器からファイバ端の光受信器へ光を伝送する際、光ファイバの特定の向きのみに光が伝搬する。本発明では、光ファイバの途中が断線する障害にも対応可能なように、光ファイバの両端に光受信器を接続する。さらに、子局に備えられる光送信器には、光ファイバへ送出する向きを決定するための手段が備えられている。光ファイバが断線し、子局の光送信器から断線前に接続していた光受信器への経路が絶たれた場合、子局は光送信器からの出力光の送出方向を切り替えて光ファイバの反対側の端部の光受信器へ光を送出する。
【0022】
例えば、PONに8つの子局が接続されており、光ファイバの一方の端部には第1の光受信器、他方の端部には第2の光受信器が接続されているとする。第1の光受信器に近い方の4つの子局の光送信器は1.55μm帯を使用して第1の光受信器に光を送出しており、第2の光受信器に近い方の4つの子局の光送信器は1.31μm帯を使用して第2の光受信器に光を送出しているとする。
【0023】
このようなネットワークで光ファイバが断線した場合、例えば1.55μm帯の光を送出する4つの子局の間のいずれかの箇所が断線した場合は次のようにする。第1の光受信器との接続が途絶えた子局、すなわち第1の光受信器に光を送出していた4つの子局の内、断線箇所より第2の光受信器に近い子局は、その光送信器の出力光の送出方向を第2の光受信器の方向に切り替え、第2の光受信器に接続する。断線前から第2の光受信器に光を送出していた4つの子局を接続するための光カップラは、1.55μm帯の光をほぼ分岐損失無く透過させる。そのため、第1の光受信器への通信から第2の光受信器への通信に切り替えた子局の光は、少ない損失で第2の光受信器に到達できる。すなわち、1.55μmの光にとっては第2の光受信器に近い4つのカップラはほぼ存在しないものと見なすことができる。
【0024】
このような構成では、故障対策のための新たな芯線が不要であるのみでなく、子局が光を光ファイバに送出する方向を変えたために通過するカップラの数が増えても、そのカップラのほとんどは分岐損失を与えない。そのため、子局数を多くして芯線利用効率を高めていても伝送品質の劣化が小さく、良好な品質でバックアップ系を構築できる。なお、光ファイバの両端に備えられる受信器は、1.55μmの光と1.31μmの光をまとめて1つの受光部で受信してもよいし、各々を波長合分波器で分離して別々の受光部で受信しても良い。
【0025】
次に、下り信号の場合を説明する。バス型PONを形成する光ファイバの両端には各々光送信器が備えられている。それぞれの光送信器にはそのバス型PON内で使用される波長帯の光を出力するための複数の発光部が備えられている。このバス型PONに接続される子局は、その受信光の波長帯が予め決定されている。それぞれの子局を光ファイバに接続するためのカップラは、その波長帯の光のみ分岐し他の波長帯の光は透過させる特性を有している。また、それぞれの子局は光ファイバのいずれの方向からの光も受信できるようにするための手段を備えている。光ファイバが断線して、子局の光受信器がそれまで通信していた光送信器からの光を受光できなくなった場合、子局は光を受信する方向を変えて、接続できる方の光送信器からの光を受信する。光ファイバ端の光送信器は、その波長帯に対応する発光部から光を送出し、接続方向を変えた子局にデータを送出する。光ファイバの両端に接続されている光送信器どうしは、例えば別回線を介して接続されており、データのやり取りや通信経路の切り替えが可能になっている。
【0026】
具体的には、例えば、光ファイバの一端に第1の光送信器、他端に第2の光送信器が接続されており、光ファイバに8つの子局が接続されている場合を説明する。第1の光送信器に近い方の4つの子局の光受信器はその受信波長帯が1.55μmであり、第2の光受信器に近い方の4つの子局の光受信器はその受信波長帯が1.31μmである。障害が発生していない正常動作時には1.55μm帯を受信する子局は第1の光送信器と、1.31μmを受信する子局は第2の光送信器と通信している。例えば、1.55μm帯を受信する4つの子局の間のいずれかの箇所で光ファイバが断線した場合、第1の光送信器に対して断線箇所より遠い子局は第1の光送信器からの光が受信できなくなる。そこで、第1の光送信器と通信できなくなった子局は、光の受信方向を第2の光送信器の方向に変更し、第2の光送信器との通信に切り替える。第2の光送信器は、障害発生を受けて、これら通信方向を切り替えた子局に光を送出する。
【0027】
このとき第2の光送信器が送出する1.55μm帯の光は、1.31μm帯を受信する子局を接続するための4つのカップラを通過する。これらのカップラは1.55μm帯の光はほぼ分岐損失無しで透過させる。そのため、1.55μm帯の光にとっては、それらのカップラは存在しないものとみなすことができる。
【0028】
このようにすることによって、芯線数を増やすことなく障害対策が可能である。さらに、受信方向を切り替えて光が通過するカップラの数が増えても、その多くは分岐損失を与えない。したがって、子局数が多く芯線利用効率を高めたPONであっても、伝送品質の劣化が少なく、良好な伝送が可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0030】
図1は本発明の代表的な実施の形態に係るパッシブ光ネットワークを示す図である。光ファイバ4に複数のカップラ5-x(x=1,2,3)、6-y(y=1,2)が挿入されている。カップラ5-xに接続されている子局7-xが使用する光の波長帯は、カップラ6-yに接続されている子局8-yが使用する光の波長帯と異なる。このパッシブ光ネットワークは、他の波長帯を使用する子局を接続するためのカップラによる損失が少ないため、それぞれの波長帯毎にほぼ独立したネットワークとみなすことができる。
【0031】
図1のネットワークで使用される波長帯が1.55μm帯と1.31μm帯の2つの場合について説明する。カップラ5-xには子局7-xが、カップラ6-yには子局8-yがそれぞれ接続されている。カップラ5-xは1×2のカップラであり、1.55μm帯の光は所定の分岐比例えば7:3で分岐し、1.31μm帯の光は実質的に分岐しない。すなわち、カップラ5-xの1側のポートから2側のポートのうち光ファイバ4に接続されているポートへの透過率が、1.55μm帯の光ではおよそ70%、1.31μm帯の光ではおよそ100%、子局7-xに接続されているポートへの透過率が1.55μm帯の光ではおよそ30%、1.31μm帯の光ではおよそ0%である。カップラ6-yは1×2のカップラであり、1.31μm帯の光を所定の分岐比例えば7:3で分岐し、1.55μm帯の光は実質的に分岐しない。すなわち、カップラ6-yの1側のポートから2側のポートのうち光ファイバ4に接続されているポートへの透過率が1.31μm帯の光ではおよそ70%、1.55μm帯の光ではおよそ100%、子局8-yに接続されているポートへの透過率が1.31μm帯の光ではおよそ30%、1.55μm帯の光ではおよそ0%である。
【0032】
なお、[課題を解決するための手段]で述べたように、特殊な分岐比のカップラであるカップラ5-x,6-xは一般的なカップラの制作方法である溶融延伸によって製作できる。しかし、一般にカップラは分岐比の製作誤差が比較的大きく、5%〜10%程度ある。従って7:3の分岐比を目標として製作しても実際には6:4であったり、7.5:2.5であることがある。前述した「所定の分岐比」にはこの程度のばらつきがある。同様に実質的に分岐せずに透過するように製作した場合も実際には10:0でなく、9.5:0.5や9:1の分岐比の場合もある。さらに、カップラには分岐損失の他に過剰損失がある。分岐損失とは、例えば7:3のカップラでは、7が出力する側のポートで光パワーが3割(約1.5dB)減少する分のことである。過剰損失とは、カップラ内部や接続部の不完全性によって生じる損失であり、どちらのポートにも出力されない。過剰損失は一般に、10%(0.5dB)程度である。従って、所定の分岐比が7:3のカップラでは通常、分岐比の誤差を除いても一方のポートへの透過率は70%ちょうどにはならず、過剰損失の分減少して、63%程度になる。「およそ」、「実質的に」、「ほぼ」は、分岐比の誤差や過剰損失によって実際にはその通りの数値では無い場合があることを示唆するものである。
【0033】
子局7-xは1.55μm帯の光で通信を行っている。すなわち、下り信号であればカップラ5-xによって分岐されてきた1.55μm帯の光を受信し、上り信号であれば子局7-xから出力された光がカップラ5-xによって光ファイバ4に合流する。同様に子局8-yは通信に1.31μm帯の光を使用している。すなわち、下り信号であればカップラ6-yによって分岐されてきた1.31μm帯の光を受信し、上り信号であれば子局8-yから出力された光がカップラ6-yによって光ファイバ4に合流する。
【0034】
また、例えば、子局7-3から出力された1.55μm帯の上り用光信号はカップラ5-3で光ファイバ4に合流した後、カップラ6-2,6-1をほぼ分岐損失無しで通過する。「ほぼ」とは、分岐比の誤差によって10:0からずれた分の分岐損失は被るという意味である。また、カップラの過剰損失は波長によらず被る。従って、全く無損失で透過することは困難であるが、通常の7:3のカップラを通過するときの分岐損失約1.5dBを被ることはない。カップラ5-1,5-2は1.55μm帯に対して7:3のカップラとして作用するため、こちらではそれぞれ約1.5dBの分岐損失を被る。
【0035】
子局8-1,8-2から出力された1.31μm帯の光も同様にカップラ5-1,5-2を通過するときにはほぼ分岐損失無く通過する。
【0036】
下り光信号の場合は、1.55μm帯の光はカップラ5-1,5-2でそれぞれ7:3の分岐比で分岐されて、各々子局7-1,7-2に入力する。残りはカップラ6-1,6-2をほぼ分岐損失無しで通過した後、カップラ5-3で再び7:3の分岐比で分岐され子局7-3に入力する。1.31μm帯の光はカップラ5-1,5-2をほぼ分岐損失なく通過した後、カップラ6-1,6-2でそれぞれ7:3の分岐比で分岐されて子局8-1,8-2に入力する。残りはカップラ5-3を通過する。
【0037】
このように、他の波長帯を使用する子局を接続するためのカップラによる損失が少ないため、それぞれの波長帯毎に独立に近いネットワークが形成できる。その結果、1つの光ファイバに接続できる子局数を増加させることが可能となり、芯線利用効率が高くなる。また、このような波長多重ネットワークを構成するために用いるコンポーネントが、普通のカップラの波長依存性を利用しただけのものであるため、低コストにネットワークを構築できる。
【0038】
図2は、上り信号系の構成を示し、図1の子局に相当する光送信器から光ファイバ端に接続された光受信器へ上り信号を送る場合の構成を図示している。カップラ5-1,5-2,5-3に接続された光送信器10-1,10-2,10-3はそれぞれ1.55μm帯の光を出す光送信器である。カップラ6-1,6-2に接続された光送信器11-1,11-2はそれぞれ1.31μm帯の光を出す光送信器である。カップラ5-1,5-2,5-3,6-1,6-2の分岐比は図1の場合と同様である。
【0039】
光送信器から出力された光はそれぞれの光送信器が接続されているカップラを介して光ファイバ4に合流する。光ファイバを伝搬する際、自局の波長帯と異なる波長帯を出力する光送信器を接続しているカップラでは分岐損失を被らない。合流した光は光ファイバ端に設置されている光受信器9で受信される。光受信器の受光部周辺の構成は、例えば図3のようである。図3(a)では受光部は1つであり、光ファイバ4を伝送してきた1.55μm帯の光と1.31μm帯の光を、混合した状態で同一の受光部12で光電変換する。この時、すべての子局からの信号を受信後に分離できるよう、例えば周波数分割(サブキャリア分割)多重等の対策を講じておく必要がある。
【0040】
図3(b)では光ファイバ4を伝送してきた光をWDM(Wave Division Multiplexing、波長多重)カップラ13によって1.55μm帯と1.31μm帯に分離してから別の光受信器12-1、12-2で受信する。この場合は、それぞれの波長帯の中でビート雑音や、信号の混信に対する対策を講じればよい。
【0041】
図4も上り信号系の構成例である。図2と異なる点は、光送信器から光ファイバ4に光が合流する向きがまちまちであり、光ファイバの両端に光受信器が設置されている点である。図4における光受信器9-1,9-2はそれぞれ図3(a)のような1つの受光部を持つ構成である。光送信器10-1,10-2,10-3はそれぞれ1.55μmの光を送出し、それぞれカップラ5-1,5-2,5-3によって光ファイバ4に合流する。これらは図面に向かって左方向に伝搬し、光受信器9-1によって受信される。光送信器10-3からの光が光ファイバ4を伝搬する際に通過するカップラ6-1,6-2は、1.55μm帯の光をほぼ分岐損失無く透過させる。光送信器11-1,11-2は1.31μm帯の光を送出し、それぞれカップラ6-1,6-2によって光ファイバ4に合流し、光受信器9-2に向かって伝搬する。カップラ5-3は1.31μm帯の光をほぼ分岐損失なく透過させる。このように図4では、1.55μm帯の光は光受信器9-1の方向に、1.31μm帯の光は光受信器9-2の方向に伝搬する。それぞれの波長帯の光は他の波長帯を使用している光送信器を接続するためのカップラではほとんど分岐されない。そのため、それぞれの波長帯で進行方向が異なっていても光送信器に対する戻り光による問題が発生しにくい。例えば、光送信器11-1から出力されて光ファイバを図面に向かって右方向に伝搬する光は、カップラ5-3でほとんど分岐されない。カップラの製作誤差等によって少量分岐されたとしても、光送信器10-3は1.55μm帯の光送信器であるため、1.31μm帯の光が入力されても悪影響を及ぼさない。
【0042】
図2、図4では、1.55μm帯の光送信器と1.31μm帯の光送信器が入り組んだ構成であるが、もちろん図5のように波長帯毎にまとまって設置されていてもよい。光送信器10-1〜10-4は1.55μm帯の光を出力し、各々カップラ5-1〜5-4で光ファイバ4に合流する。光送信器11-1〜11-4は1.31μm帯の光を出力し、各々カップラ6-1〜6-4で光ファイバ4に合流する。1.55μm帯の光は光受信器9-1で、1.31μm帯の光は光受信器9-2で受信する。
【0043】
図5のような構成は、一見、波長多重を用いずに1つの波長帯の光のみを用いても変わらない性能で容易に実現可能であるように見える。しかし、波長多重しない場合は、光ファイバのレーリー散乱によって生じる戻り光のため、一方の光受信器に接続している4つの子局からの光と、他方の光受信器に接続している4つの子局からの光の間でのアイソレーションを取ることができなくなる。そのため、8つの子局の出す光をトータルして監視する必要があり、システムの制御が複雑となる。波長多重を用いることによって、4つの子局ずつの独立したネットワークとみなすことが可能となり、システムの制御が容易になる。
【0044】
図6は下り信号系の構成であり、光ファイバ端に接続された光送信器から図1の子局に相当する光受信器へ下り信号を送る場合の構成を示している。光送信器14は図7のように内部に1.55μm帯の光を出力する発光部17-1と1.31μm帯の光を出力する発光部17-2を有しており、それらの出力光がカップラ18で結合され光ファイバ4に送出される。カップラ18は発光部の出力パワーなどパワー要求やコスト要求などにより、WDMカップラでもよいし、通常のカップラでもよい。光ファイバ4に送出された光はカップラ5-1,5-2,5-3,6-1,6-2でそれぞれ分岐される。カップラ5-1,5-2,5-3では1.55μm帯の光が、例えばおよそ7:3の分岐比で分岐され、1.31μm帯の光は実質的に分岐損失無しで透過する。光受信器15-1,15-2,15-3はカップラ5-1,5-2,5-3で分岐されてきた1.55μm帯の光を受信する。カップラ6-1,6-2では1.31μm帯の光が名目上7:3の分岐比で分岐され、1.55μm帯の光は実質的に分岐損失なしで透過する。光受信器16-1,16-2はカップラ6-1,6-2で分岐されてきた1.31μm帯の光を受信する。
【0045】
このようにすることによって、上り系と同様に、低コストなカップラの波長依存性を利用して波長帯ごとの簡易な波長多重を行い、バス型PONに接続する光受信器の数を増やすことが可能となり、芯線利用効率が向上する。
【0046】
図8も、下り信号系の構成例であり、2つの光送信器14-1、14-2が光ファイバ4の両端に接続されている形態である。光送信器14-1、14-2はそれぞれ図10のような1つの発光部17を有している。光送信器14-1は1.55μm帯の光を光ファイバ4に送出し、光送信器14-2は1.31μm帯の光を送出する。光ファイバ4に送出された1.55μm帯の光はカップラ5-1,5-2,5-3で分岐され、光受信器15-1,15-2,15-3に入力する。1.55μm帯の光はカップラ6-1,6-2をほぼ分岐損失なく透過する。カップラ5-3で分岐されなかった光は光送信器14-2に入力されるが、光送信器14-2の発光波長は1.31μm帯であり、1.55μm帯の光とは相互作用を起こさないため影響はない。同様に、光送信器14-2から出力された1.31μm帯の光はカップラ6-1,6-2で分岐され、光受信器16-1,16-2に入力する。カップラ5-1,5-2,5-3はほとんど分岐損失なく通過し、最終的には光送信器14-1に入力されるが、波長帯が異なるため影響はない。2つの独立した波長帯の光を用いてネットワークを構成しているため、このように波長帯毎に光ファイバ4内の進行方向が異なるシステムも容易に構築することが可能である。
【0047】
上り信号系の場合と同様に図9のように、波長帯毎に光受信器をまとめて設置してもよい。光送信器14-1、14-2は図10のようであり、光送信器14-1は1.55μm帯の光を送出し、光送信器14-2は1.31μm帯の光を送出する。光送信器14-1から出力された光はカップラ5-1〜5-4でそれぞれ分岐され光受信器15-1〜15-4に入力する。カップラ5-4を通過した光はカップラ6-1〜6-4をほぼ分岐損失無く通過し、光送信器14-2に入力される。光送信器14-2の発光波長は1.31μm帯であるため、1.55μm帯の光が入力されても影響ない。光送信器14-2から出力された1.31μm帯の光はカップラ6-1〜6-4でおのおの分岐され光受信器16-1〜16-4に入力される。カップラ6-1を通過した光は、カップラ5-1〜5-4をほぼ分岐損失なく通過し、光送信器14-1に入力する。光送信器14-1の出力光波長は1.55μm帯であるため、1.31μm帯の光が入力されても影響はない。
【0048】
なお、以上の形態において、光送信器にその出力光と波長帯が異なる光が入力されても通常は影響ない。しかし、光送信器内の発光部の構造によっては、例えば発光素子端面で反射が生じ光ファイバ4に戻ってしまって悪影響が生じる場合などは、光送信器の前に簡易な波長フィルタを挿入して、光送信器に入力する他の波長帯の光を除去すればよい。
【0049】
次に、このようなシステムで光ファイバ断線障害に対応するための実施の形態を説明する。下り系の実施の形態は図11のようである。図11は図9の形態をベースにしているが、もちろん、図6や図8のような1.31μmの光受信器と1.55μmの光受信器が入り組んだ形態にも、全く同様に対応できる。
【0050】
図11はネットワーク内で1.55μm帯と1.31μm帯の2つ波長帯の光を使用している例で、光ファイバ4の両端に光送信器14-1,14-2が接続されている。光送信器14-1および14-2はそれぞれ図13のように、双方の波長帯に対応する発光部を有している。図7との違いは、光ファイバ4を伝搬してそれぞれの発光部と同じ波長帯の光が発光部に入力する可能性があるため、それらを除去するための手段が備えられていることである。すなわち図13ではそれぞれの発光部の出力端にそれぞれの発光部の出力波長を含む光に対応する光アイソレータ26-1,26-2が備えられている。カップラ18はWDMカップラ、波長依存性の無いカップラのいずれでもよい。
【0051】
光ファイバ4には8つの光受信器15-1〜15-4、16-1〜16-4がカップラ19-1〜19-4、20-1〜20-4を介して接続されている。光受信器15-1〜15-4は1.55μm帯を受信する光受信器であり、光受信器16-1〜16-4は1.31μm帯を受信する光受信器である。カップラ19-1〜19-4は1.55μm帯の光をおよそ7:3の分岐比で分岐し、1.31μm帯の光を実質的に分岐せず透過するものであり、カップラ20-1〜20-4は1.31μm帯の光をおよそ7:3の分岐比で分岐し、1.55μm帯の光を実質的に分岐せず透過するものである。カップラは2×2であるが、その基本的な特性はこれまで述べて来たものと同様である。図11のカップラ19-1にポートに番号を振ったのでこれを用いて簡単に説明する。カップラ19-1は1.55μm帯の光をおよそ7:3に分岐し、1.31μm帯の光を実質的に分岐せず透過する。2×2の場合は、光ファイバ4に接続しているポートAとポートB間は1.55μm帯の光をおよそ70%、1.31μm帯の光をおよそ100%、ポートAとポートD間およびポートBとポートC間は1.55μm帯の光をおよそ30%、1.31μm帯の光をおよそ0%透過する。「およそ」の意味は前述した通りである。
【0052】
カップラに接続された光受信器15,16には、光ファイバ4のいずれの方向からの光も受信できるようにするための手段が備えられている。例えば、図12に示すようである。図12(a)は2つの受光部21-1,21-2をスイッチ22で切り替える構成である。受光部21-1は光ファイバ4の左側からの光、すなわち、光送信器14-1からの光を受光する。受光部21-2は光送信器14-2からの光を受光する。これらの出力をスイッチ22で切り替えることにより、受信する相手の光送信器を選択する。図ではスイッチ22は2×1スイッチであり、選択しなかった方の受光部出力はどこにも接続されていないが、これを2×2スイッチにして、選択しない方の受光部出力も常にモニタする構成を取っても良い。図12(b)は受光部21の前に光スイッチ23を挿入し、光スイッチによって接続する光送信器を選択する構成である。図12(a)の場合と同様に光スイッチを2×2にして選択しなかった方もモニタする構成にしても良い。なお、図示してはいないが、2つの受光部出力のいずれか一方を選択するのではなく、常時双方とも受信していてもよい。これらは、光送信器の使用形態、すなわち、全ての発光部を常時発光させておくか、必要な場合のみ発光させるかなどと関連して決定されるべき事項である。
【0053】
このような構成において平常時は、光受信器15-1〜15-4は光送信器14-1からの光を受信しており、光受信器16-1〜16-4は光送信器14-2からの光を受信しているとする。ここで、図11に示した断線箇所24で光ファイバが断線したとする。光受信器15-1,15-2および16-1〜16-4は断線前と変わらず光送信器14-1あるいは光送信器14-2からの光を受信可能である。しかし、光受信器15-3,15-4はそれまで通信していた光送信器14-1からの光を受信できなくなる。従って光受信器15-3,15-4は光を受信する方向を切り替えて、光送信器14-2からの光を受信するようにする。光受信器が常に両方からの光を受けている場合には、通信を行う先を光送信器14-2に切り替える。このとき、光送信器14-2から出力された1.55μm帯の光はカップラ20-1〜20-4をほぼ分岐損失無く透過し、カップラ19-4に到達する。したがって、図面右側にある4つのカップラの影響を受けずあたかも光送信器14-2がカップラ19-4に隣接してあるのと同様の品質が確保できる。
【0054】
その結果、同一の光ファイバに接続されている光受信器数が多いにも関わらず、通信方向切り替え後も高性能の通信が可能である。しかもこれらは、その波長依存性を利用した低コストなカップラを用いて構成されている。このようにすることによって、障害対策のための芯線数を増加させず、かつ、低コスト、高品質な、障害対策を施したネットワークが構築できる。
【0055】
なお、光送信器14-1と14-2はなにがしかの方法で連絡を取ることが可能であるように構成されているものとする。例えば、図14、図15のようである。図14(a)は光送信器14-1と14-2が通信回線25で接続されている形態である。断線が発生したら、光送信器14-1は光受信器15-3,15-4に送信すべきデータを通信回線25を介して光送信器14-2に転送する。図14(b)は通信網27を介して接続されている形態であり、断線前は、光受信器15-3,15-4に送信すべきデータは通信網27から通信回線25-1を介して光送信器14-1に送られていたが、断線後は通信網27から通信回線25-2を介して光送信器14-2に送られる。図15は光送信器14-1と14-2はネットワーク内の同一局28内に一緒に設置されており、ネットワークがリング状になっている例である。このとき、光送信器14-1と14-2には同時に同じデータが供給されているか、図15のようにスイッチ29によってデータの送り先を切り替えるようになっている。
【0056】
なお、切り替える為には、障害を検知するプロセスが必要である。障害検知の手段、手順は公知、新規含めて種々可能である。障害検知の手段としては、例えば図11の場合、光送信器14-1から送られてくる光の強度が弱くなった、あるいは途絶えたら、光受信器15-3は弱くなってきたことを上り用ファイバ等を使って、光送信器14-1又は光送信器14-2へ知らせる手段がある。
【0057】
次に、上り光信号の場合を説明する。図16はその一形態である。図5の構成をベースにしている。光送信器30-1〜30-4の出力光波長は1.55μm帯であり、光送信器31-1〜31-4の出力光波長は1.31μm帯である。カップラ19-1〜19-4、20-1〜20-4は図11と同様の波長依存性を持つカップラである。光ファイバ4の両端に接続されている光受信器は図3と同様である。各々の光送信器は図17(a)のように発光部32とその出力端に光スイッチ23を有し、発光部の出力光の出力方向を切り替えることができるようにしておく。あるいは、図17(b)のように2つの発光部を用意し、電気段(すなわち、電気的スイッチ22)で切り替える構成にしても良い。また、図17(a)において光スイッチ23の代わりに1×2のカップラを挿入し、常に双方向に信号が出力されているようにしてもよい。ただし、後者2つの方法では、発光部に同一波長帯の光が入力されてしまうため、図13で説明したように発光部出力端に光アイソレータを接続し発光素子を保護しておく必要がある。光送信器30-1〜30-4は平常時は光受信器9-1に接続しており、光送信器31-1〜31-4は光受信器9-2に接続している。
【0058】
このような構成において、図16に示す断線箇所24が断線した場合、光送信器30-1,30-2及び31-1〜31-4は断線前と同様に光受信器9-1あるいは9-2と通信可能である。しかし、光送信器30-3,30-4は光受信器9-1に光が届かなくなる。そこで、光送信器30-3,30-4は内蔵されたスイッチあるいは光スイッチにより、光受信器9-2に信号を送るように切り替える。光送信器30-3,30-4から送出された1.55μm帯の光はカップラ20-1〜20-4を通過して光受信器9-2に到達するが、カップラ20-1〜20-4は1.55μm帯の光に対しては分岐損失をほとんど与えない。そのため、被る損失が小さく、高品質に光受信器9-2まで到達できる。すなわち、ネットワークに接続されている光送信器数が多くても、芯線数を増やすことなく、高品質性を保って、断線に対応することが可能である。しかも、簡易なカップラを用いて構成されているため低コストにネットワークを構築できる。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の第1の効果は、バス型パッシブ光ネットワークで複数の波長帯の光を使用することによって接続子局数を増加させ、光ファイバ芯線利用効率を向上させることである。このとき、子局を接続するためのカップラとして、1つの波長帯に対して特定の分岐比を有し、他の波長帯の光は実質的に分岐せず透過させる特性を有するものを使用する。このようなカップラは簡易な工程で製作可能であるため、ネットワークを低コストに構築することが可能となる。
【0060】
また、本発明の第2の効果は、光ファイバ芯線数を増加させずに障害対策を施すことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の代表的な実施の形態を示す図である
【図2】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図3】 本発明に適用する光受信器の概略図である。
【図4】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図7】 本発明に適用する光送信器の概略図である。
【図8】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図10】 本発明に適用する光送信器の概略図である。
【図11】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図12】 本発明に適用する光受信器の概略図である。
【図13】 本発明に適用する光送信器の概略図である。
【図14】 本発明を実施するための補助的な機能を説明するための図である。
【図15】 本発明を実施するための補助的な機能を説明するための図である。
【図16】 本発明の実施の形態を示す図である。
【図17】 本発明に適用する光送信器の概略図である。
【図18】 従来のバス型パッシブ光ネットワークを説明するための図である。
【符号の説明】
1 親局
2 子局
3 カップラ
4 光ファイバ
5 カップラ
6 カップラ
7 子局
8 子局
9 光受信器
10 光送信器
11 光送信器
12 受光部
13 WDMカップラ
14 光送信器
15 光受信器
16 光受信器
17 発光部
18 カップラ
19 カップラ
20 カップラ
21 受光部
22 スイッチ
23 光スイッチ
24 断線箇所
25 通信回線
26 光アイソレータ
27 通信網
28 局
29 スイッチ
30 光送信器
31 光送信器
32 発光部

Claims (2)

  1. 2つの波長帯の光を伝送する光ファイバと、
    前記光ファイバに設けられた複数のカップラと、
    前記光ファイバに各々前記カップラを介して接続された複数の光送信器を有するパッシブ光ネットワークであって、
    前記光ファイバの両端にはそれぞれ光受信器が設けられ、
    前記複数の光送信器から出力される出力光の波長は前記2つの波長帯のいずれかに属し、
    前記光送信器の数は前記波長帯の数より多く、
    前記カップラは溶融延伸型であり、このカップラに接続された前記光送信器から出力された出力光の波長が属する前記波長帯の光に対しては所定の分岐比を有し、他の前記波長帯の光に対しては前記光ファイバに接続されている一方のポートから前記光ファイバに接続されている他方のポートへ実質的に分岐することなく光を透過させる特性を有し、
    前記光送信器は前記光受信器の一方または他方を選択して、光を出力する選択手段を備え、
    各々の前記光受信器は少なくとも1つ以上の受光部を有し、
    前記2つの波長帯の一方に属する前記光送信器は、平常時は前記光ファイバの両端のうち一方に設けられた光受信器に接続しており、
    前記2つの波長帯の他方に属する前記光送信器は、平常時は前記光ファイバの両端のうち他方に設けられた光受信器に接続しており、
    前記光送信器から接続していた前記光受信器への経路が絶たれた場合、前記光送信器はその出力光の送出方向を切替えて、前記光ファイバの反対側の端部の前記光受信器へ光を送出することを特徴とするパッシブ光ネットワーク。
  2. 2つの波長帯の光を伝送する光ファイバと、
    前記光ファイバに設けられた複数のカップラと、
    前記光ファイバに各々前記カップラを介して接続された複数の光受信器を有するパッシブ光ネットワークであって、
    前記光ファイバの両端にはそれぞれ光送信器が設けられ、
    前記複数の光受信器が受け取る光の波長は前記2つの波長帯のいずれかに定められ、
    前記光受信器の数は前記波長帯の数より多く、
    前記カップラは溶融延伸型であり、このカップラに接続された前記光受信器が受け取る前記波長帯の光に対しては所定の分岐比を有し、他の前記波長帯の光に対しては前記光ファイバに接続されている一方のポートから前記光ファイバに接続されている他方のポートへ実質的に分岐することなく光を透過させる特性を有し、
    前記光送信器それぞれは前記複数の波長帯の各々に対応する光を出力する発光部を有し、
    前記光受信器には、双方の前記光送信器から前記光ファイバを介して伝送されてきた光の少なくとも一方を選択して受信する選択受信手段が備えられ、
    前記2つの波長帯の一方に属する前記光受信器は、平常時は前記光ファイバの両端のうち一方に設けられた光送信器に接続しており、
    前記2つの波長帯の他方に属する前記光受信器は、平常時は前記光ファイバの両端のうち他方に設けられた光送信器に接続しており、
    前記光受信器から接続していた前記光送信器への経路が絶たれた場合、前記光受信器は光を受信する方向を切替えて、前記光ファイバの反対側の端部の前記光送信器からの光を受信することを特徴とするパッシブ光ネットワーク。
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