JP3677170B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ用インクジェットヘッドに関するものであり、特にインクに加えられた吐き出し圧力の損失を少なくインク吐き出しオリフィスまで伝達させるヘッドに関する。また、インク供給をインク吐き出しのための圧力の影響を受けずに行ない、かつ、インク詰まりのないインクジェットヘッドに関し、さらにこのようなヘッドをセラミックまたはガラスの一体焼成により作成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの出力デバイスとしてインクジェットプリンタが広く用いられるようになった。これは、小型、低コストで高画質が得られるためである。
そのキーとなる技術はヘッドに集中している。インクジェットヘッドの構造は記録用の液体インクの入った加圧室に圧力を加え、吐き出しオリフィスよりインク滴を記録紙に向けて飛ばし印字するものである。圧力を加える手段としてはピエゾ素子の変位を利用したものや、インク室内に設けられたヒーターの加熱で微細な気泡を発生させインク室内の圧力を高めインクを飛ばすものなどがあるが、前者の方が消費電力も少なく小型化に適していると考えられる。
【0003】
例えば、前者の例としては特開平6−40030号公報及び特開平8−238763号公報記載の技術が挙げられる。
図6、図7に示されるように、特開平6−40030号公報記載の技術においては、複数のインク吐き出しオリフィス(54)が設けられたインクオリフィス部材(42)に重ね合わされて、各インク吐き出しオリフィスの背後にインク加圧室(46)が形成されており、このインク加圧室(46)は連通用開口部(72)が設けられた接続プレート(68)とスぺーサーブレード(70)をそれぞれグリーンシートにて積層形成し、一体焼成せしめたセラミック体から成るインクポンプ部材(44)及びその背面の閉塞プレート(66)から構成される。
【0004】
そして、閉塞プレート(66)の外面上にピエゾ素子及び電極を配置した構造になっている。(62)はインク供給室で、インク供給オリフィス(58)、連通用開口部(74)を通じてインクを加圧室(46)に送るようになっている。この例では加圧室(46)がセラミックの一体焼成になっていてこの部分のシール性はよい。しかしながら、インク吐き出しオリフィスプレート(48)とインク供給オリフィスプレート(50)は流路プレート(52)を介して接着剤で接着されてインクオリフィス部材(42)を構成し、また、インクオリフィス部材(42)とインクポンプ部材(44)は接着されているのでシール性が問題となり、インク漏れの原因ともなる。さらに、インク吐き出しオリフィスプレート(48)は金属でできている。これは、異種材料間の接着の問題を無視したとしても、ノズルの穴加工時に生ずる応力のため孔間の距離を縮めるには限界があるため高密度化の障害因となるという問題を内在する。
【0005】
また、閉塞プレート(66)からインク中を伝搬する衝撃波は対面する接続プレート(68)が振動板に平行に配置されているためこれに反射し、干渉を起こし圧力を減衰させる。インクの排出口はインク吐き出し口オリフィスが先端に向けて急角度でせまくなるため、ここでも一部の衝撃波の反射が起こり圧力が弱まる。
【0006】
一方、図8は特開平8−238763号公報記載のインクヘッドの断面図である。このインクヘッドは、インクポンプ部材(12)を、閉塞プレート(18)、スペーサープレート(20)、インク供給オリフィスプレート(22)、補強プレート(24)で構成し、セラミックで一体焼成しているのでシール性は特開平6−40030号公報記載のインクヘッドよりも改善されている。しかし、インクポンプ部材(12)と流路プレート(14)、インク吐き出しオリフィスプレート(16)は接着剤で接着しているので、シール性の問題は残る。上記のように、従来例では衝撃波を損失なくノズル孔に導き、インクを効率よく排出するため圧力を効果的に伝達するような構造になっていない。
【0007】
図6に示されるインクヘッドにおいても、インク供給オリフィス(58)の先端が閉鎖プレート(66)と対面しているため、衝撃波の進行方向と対面し、インク供給の効果を弱める。一般に、プリンタ用インクジェットヘッドは高速のインクジェットを得るためピエゾ素子に電圧を印加する圧電/電歪効果等によりインクに圧力が加えられているが、加えられた圧力は衝撃波としてインク内を伝搬する。この衝撃波がインク加圧室の壁面に衝突すると反射波を生じ、その波面の進行方向が元の衝撃波の進行方向と対抗すると、相互に干渉し圧力を減少させ、吐き出しオリフィスからのインク吐き出し力を弱くする。このように、従来のプリンタ用インクジェットヘッドは加圧面に平行なプレートでインク加圧室の下面が構成されているので発生した衝撃波はインク中を伝搬し、インク室の下面で反射して伝播する衝撃波を打ち消し圧力伝達の効率を低下させる。さらにインク吐き出しオリフィス(54)の形状も円錐ではあるが吐き出し口の付近で急に絞られた直線の傾斜であるため衝撃波の反射、打ち消し及び撹乱が起こり、衝撃波の損失を避け、圧力を損失なく伝達する構造ではない。
【0008】
インクヘッドの小型化、インク吐出タイミングの迅速化に対する要請がますます強くなり、加えられる衝撃波が短周期化し波形もシャープなものとなるに伴なって、衝撃波の伝播は、伝播空間の構造にますます依存することになるので、インク吐き出しオリフィス(54)の腔内構造についても同様に、インク供給力を弱めるような衝撃波の伝播態様を避ける必要があるが、特開平6−40030号公報記載のインクヘッドも特開平8−238763号公報記載のインクヘッドも、実際には、インク吐き出しオリフィス(54)は前記したようにその断面が先端にかけて急速度で狭くなる。これは、ベルヌーイの定理による充分量のインク吐出の確保という問題解決には適しているが、印字していないとき、インク吐き出しオリフィスのインク加圧室側でインクが乾燥し固まると固まった部分の大きさがインク吐き出しオリフィスの先端に比較し、数倍以上の大きさとなりこれを吐き出すことができずインク詰まりの原因ともなる。
さらにインク加圧室(46)の隅は丸みがないので気泡が溜まりやすく、気泡はその弾力性の故に圧力を減衰させる。また、隣のインクジェットヘッド同士が密着しているので隣のインクジェットヘッドの振動の影響を受けやすい。
【0009】
又、インク供給オリフィス(58)が衝撃波の進行方向と対面しているので、インク供給にも影響を与え、供給力を弱めている。また印字していない待機状態でインクの乾燥が起こり、これを排出することが困難である。更に、インクジェットヘッドの作動時の振動が隣のインクジェットヘッドに伝わり印字に影響を与える。インクジェットプリンタで印字速度を低下させずに高密度印刷するためにはヘッドの高密度化が必要となる。過去の実施例ではインク吐き出しオリフィスは金属プレートを加工して微細孔を得ているが、この方式では加工時の応力の逃げ代及び加工治具の大きさにより高密度にすることが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、上記従来技術の現状に鑑み、インクヘッド構成部材の積層により構成されるインクヘッドにシールの問題がなく且つインクヘッドの腔部内壁に衝撃波の円滑な波及を妨げるような段差、凹凸等がなく、インクに加えられた吐き出し圧力を最も効果的にインク吐き出し口まで伝達せしめるインク室、吐き出し路、吐き出しオリフィスを有するインクヘッド、及び、インク供給をスムースに行なうインク供給路、インク供給オリフィスを持ち、インク詰まりが少なく、併設された複数のヘッド間に相互干渉を生じることがないインクジェットヘッドを提供することにあり、また、そのようなインクジェットヘッドの製造法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明の(1)「インク供給室(5)とインク加圧室(2)をつなぐインク供給オリフィス(7)及びこれに連結するインク供給路(6)からなるインク流路と、吐き出しオリフィス(4)と連結する吐き出し路(3)を有し、インク加圧室(2)の少なくとも片面に配置されたピエゾ素子に電圧を加え圧電/電歪効果にてインクに圧力を加え、吐き出しオリフィス(4)からインクを吐き出すインクジェットヘッドにおいて、前記インク加圧室(2)とインク供給室(5)をつなぐ前記インク流路は、インク供給室(5)に向かって断面積を連続的に増加し、かつ、湾曲する部分を有することにより、ピエゾ素子によってインク加圧室(2)内のインク中を伝播する衝撃波の進行方向と、インク供給オリフィス(7)の出口の方向とが対面しないことを特徴とする一体化型インクジェットヘッド」、(2)「前記インク吐き出しオリフィスと連結した吐き出し路の内壁が、インク吐出用の衝撃波の進行方向と逆方向に波面を反射させる表面の存在しない程度に平滑であることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェットヘッド」、(3)「ピエゾ素子に、印字していないとき、印字のときよりも弱い電圧を加え、インクに振動を加えることを特徴とする前記第(1)項又は前記第(2)項に記載のインクジェットヘッド」、(4)「インク吐き出し路のインク導入口から吐き出しオリフィスの間または出口に位置する横断断面形状が一番小さくなる所の直径Lと、吐き出しオリフィスの先端の直径Mとの関係がL≦M≦4/3Lになることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(3)項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」、(5)「インクジェットヘッドの所要グリーンペーストが積層され、焼結一体化されてなることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(4)項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」により達成される。
【0012】
また上記目的は、本発明の(6)「インク加圧室の中で互いに直行する面が交差する部分には半径5μm以上の曲面部を設けることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(5)項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」、()「ピエゾ素子によりインク加圧室内のインク内に発生、伝搬する衝撃波の進行方向と対向するインク加圧室内の壁面の向きを直面させないことを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(6)項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」、()「隣り合うインクジェットヘッド間の加圧室を構成する隔壁に溝を形成することを特徴とする前記第()項乃至前記第()項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」、()「5μm以上の間隔の平面形状に合わせた型により、セラミックまたはガラスをペースト状にしたものを塗り重ねて作られた成形体を一体として焼結して作る前記第()項乃至前記第()項のいずれか1に記載のインクジェットヘッド」により達成される。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
ピエゾ素子により振動板を介してインクに加えられた圧力は衝撃波となってインク中を伝搬し、インクを取り囲む壁面の状態により反射による干渉を起こすが、本発明においてはこれを防止し、インク吐き出しオリフィスに損失なく圧力を伝達させインクを射出するために、インク室の壁面の向きを衝撃波の進行方向と対面させない。また、吐き出し路のインク導入側からインク吐き出しオリフィスに至るまでの横断断面形状の大きさは連続的に変化し、到達した衝撃波の圧力を損失することなくインク吐き出しオリフィスに導き、かつ、待機状態での乾燥したインクの吐き出しを容易にする。
【0014】
一方、インクに加えられた圧力がインク供給室へ伝達するのを防止するため、インク加圧室からインク供給室に向かってインク供給路の断面積を増加させ、インク供給路は少なくとも一回の湾曲する流路で結ぶ。インク供給オリフィスの出口の方向は衝撃波の進行方向と対面させない。また、隣り合ったインクジェットヘッド同士の相互干渉を間にスリットを入れることで防止する。更に、印字していないとき、即ち待機中のときは印字のときよりも弱い電圧をピエゾ素子に加え、インクに振動を起こし、インク吐き出し路やインク吐き出しオリフィスでのインクの乾燥を防止する。
【0015】
本発明のインクジェットヘッドは、例えばセラミックまたはガラスのスラリまたはペーストを必要な型に合わせてシルク印刷と同等の方式でグリーンペースト成形し、これら所要の板状グリーンペーストを積層し、焼結一体化して製造するので、金属薄板使用による固有の問題、例えば金属の加工に伴う応力の逃げ代や加工治具の大きさの問題等がなく、微細化の限界は穴の間隔で2μm程度まで向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に説明するため、本発明の実施例を図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1は本発明のヘッドの1例を示す断面図であり、図2はこれを上から見た平面図であり、図3は本発明のヘッドの他の1例を示す断面図である。この図1に示される例において、ヘッド(9)のインク加圧室(2)中のインクは、図には示してないがその上部に位置するピエゾ素子の圧電/電歪で振動することによりインク加圧室(2)の容積を変えて加圧室(2)内に圧力を作り出す振動板(1)により生ずる圧力で内部のインクを吐き出し路(3)を通じて吐き出しオリフィス(4)より吐き出されるが、このインクは、インク供給室(5)からインク供給路(6)、インク供給オリフィス(7)を通じて加圧室(2)に供給される。そして振動板(1)により生ずる圧力は衝撃波となってインク中を伝搬し、吐き出し路(3)を通じ吐き出しオリフィス(4)よりインク滴を放出する。インク加圧室(2)内の圧力が負の時は、インク供給室(5)からインク供給路(6)及びインク供給オリフィス(7)を通じて加圧室(2)にインクが供給される。振動板(1)はピエゾ素子の振動を受けて上下に振動する。
【0017】
図5は、振動板(1)の振動により発生する衝撃波がインク内を伝播し下の面で反射する様子を模式的に示したものである。この図からも明らかなように、振動板(1)の振動による衝撃波の伝搬とヘッドの構造は密接な関係にある。本発明ではインク加圧室(2)の下の面が衝撃波の進行方向に直面してなく、ある角度を持って面しているので反射波による干渉により衝撃波が弱められることなく(4)の吐き出しオリフィスに圧力を効率的に導くことができる。この例では反射波の約15%をカットするため32°としているが、所望によりどのような角度とすることもできる。
【0018】
4は、吐き出し路(3)および吐き出しオリフィス(4)の断面を拡大したものである。図示されるようにインク吐き出し路(3)の横断断面形状は連続的に変化し、インクの導入口からインク吐き出しオリフィス(4)に至る間または出口に位置する横断断面形状が最小になる所の径をLとし、(4)の吐き出しオリフィスの先端の直径をMとするとその関係はL≦M≦4/3Lになっている。入り口から入った衝撃波は伝搬損失もなくスムースに進行し、インク吐き出しオリフィス(4)に圧力を伝達する。ここで、「連続的に変化」とは、インク吐き出しオリフィスと連結した吐き出し路の内壁が、インク吐出用の衝撃波の進行方向と逆方向に波面を反射させる表面の存在しない程度に平滑であることを意味し、例えば衝撃波が正弦波である場合には、波長の1/2を越える大きさの段差、凹凸等がない程度に平滑であることを意味する。
【0019】
インク供給室(5)からインク加圧室(2)にインクを供給するインク供給オリフィス(6)及びインク供給オリフィス(7)はインク圧力室(2)側からインク供給室(5)にかけてその断面は徐々に大きくなっている。これはインク加圧室(2)の圧力がインク供給室(5)に加わらないようにするためであるが、本発明ではこれを更に改良し、インク供給路(6)を曲げることにより衝撃波の進入を防止する構造としている。
【0020】
図3に示される他の例においては、さらにこれを徹底させ、インク供給オリフィス(7)の出口の方向を衝撃波の進行方向に対面させないため、インク加圧室(2)の横の方に配置している。また、インク加圧室(2)内部では気泡ができやすく、気泡はインク加圧室内の圧力を弱める。気泡はインク加圧室の隅にできやすい。そこで、本発明のインクヘッドでは、図1に示した如く直行する面はすべてある半径の丸みを持たせているがその半径は5μm以上である。
【0021】
本発明のインクヘッドにおいては、隣り合うインクヘッドとの間にスリット(8)を設けたものであることが好ましく、また、このスリット(8)は、本発明においては幅1〜2μm、深さ5〜10μmであることがより好ましい。図2はこれを振動板の上から見た図であり、スリット(8)の配置の状況を示したものである。このスリット(8)は振動板(1)の振動が隣り合うインクジェットヘッドの作動に影響を及ぼすのを防止している。更に振動板(1)がより的確に振動しやすく、かつ振動板の端の強度を強める効果もある。さらに、本発明においては、印字していないときに印字しているときよりも弱い電圧をピエゾに加えることにより、インクに振動を与え、インクが吐き出し路及び、吐き出しオリフィスで乾燥により固着することを防止することが好ましい。「弱い電圧」とは、例えば印字電力の80%以下、好ましくは65〜40%の電力であり、電圧低下、周波数低下、電圧印加時間の短縮により制御し得る。
【0022】
本発明のインクジェットヘッドは、以上のような構造を持つが、これを製造するには、例えば、5μm以上、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜100μm、の間隔(厚さ)の平面形状の型を所要数用意し、それに合わせてドクターブレード装置、またはスクリーン印刷装置により、セラミックまたはガラスにバインダーを加えて濃厚スラリ又はペースト状にしたものをシート状グリーンペスートに成形する。このような工程を最下層の面より各面の型に合わせて製造した成形層体を積層し、又は各面の型に合わせて塗り重ね、全ての層が重ねられた成形体を焼結して作る。5μm未満では平面層形状体の厚さが薄過ぎほんの少しの圧力によっても腔部の寸法変形が生じ易くなりまた積層枚数が多過ぎ、100μmを越えた場合も速やかな乾燥が困難で1枚当たりの平面層形状体の寸法精度に問題を生じ易くなる。
【0023】
例えば図9に模式的に簡略化して示されるように、上記のような構造を持つ本発明のインクジェットヘッド(A図)は、型の位置決め治具(j)中に配置されペスート材料が充填される空隙(v)を有する第1の型(n1)の上からペスート材料を供給(B図)し、次に、第1の型(n1)を除去した後の自己保形性があるグリーンペスート材料成形層(g1)上に、空隙(v)を有する第2の型(n2)を配置してその上からグリーンペスート材料成形層(g1)の変形を生じさせないように注意しながらペスート材料を供給(C図)し、次に、第2の型(n2)を除去した後のグリーンペスート材料成形層(g2)上に、空隙(v)を有する第3の型(n3)配置してその上から同様にペスート材料を供給(D図)し、以下同様にこの操作を繰り返(E図)し、最後に振動板形成のための型(b5)を充てて、或いはこのような型(b5)を使用することなく、グリーンペスート材料成形を全面シルクスクリーン印刷(F図)し、形成された成形体を焼結することにより製造することができる。グリーンペスート材料からの成形層体は焼結により寸法が減少し勝ちであるので、予めその分、寸法を調節しておくことが好ましい。
【0024】
これら、A〜F図の操作は本発明における基本的な製造工程を示したにすぎず、本発明の製造法は、従来公知の各種積層技術を適用して変形することができる。例えば、この例に示される型の位置決め治具(j)は、型を嵌め込むための段差が形成されているので、焼結前の成形体の端部を焼結する前にカットしているが、ペスート材料成形層が自己保形性がある場合又は部分乾燥等の操作を施して自己保形性を発揮させた場合には、治具(j)には段差を設ける必要がない。自己保形性が充分な場合には、予め別個に成型した所要のペスート材料成形層を、次工程で積層一体化し、これを焼結することができ、これら可撓性程度および乾燥速度は、使用する液媒体の種類(例えば蒸気圧の高低)並びに量、及び焼結温度において分解又は揮発し去る粘度調節剤(例えば有機ワックス)の添加により調節することができる。また、型(n1)〜(b5)が過度に可撓性である場合には、製品に支障を生じない箇所に適宜、支持手段を配置することができる等々である。上記例においては説明を簡単にするため、ヘッドは1つのみ図示されているがむろん複数並列型とすることができ、また望ましく、したがって本発明の製造法は、ラインプリンターにも又シリアルプリンターにも適用することができる。
【0025】
このようにして製造された本発明のインクジェットヘッドは、インク供給室(5)とインク加圧室(2)をインク供給路(6)及びインク供給オリフィス(7)で接続する。加圧室(2)の上部の板はその上にあるピエゾ素子の振動により加圧室のインクに圧力を加える振動板として機能する。加圧室(2)の下方の面は振動板(1)からインク中を伝搬する衝撃波の干渉を避けるため、振動板(1)に対して平行ではなく、傾斜した面となっている。この下方の面の一部にインクを吐き出すための吐き出し路(3)及び吐き出しオリフィス(4)が設けられているが、この吐き出し路(3)及び吐き出しオリフィス(4)の中心は衝撃波を効率よく吐き出し路に導くため、衝撃波に対面する方向である。
【0026】
また吐き出し路(3)及び吐き出しオリフィス(4)の断面は円形であり、この吐き出し路(3)の入り口から吐き出しオリフィス(4)にかけ、その連続的な断面積の変化によりこの部分での圧力損失を少なくするとともに、インクが乾燥した場合の吐き出しを容易にしている。インク供給オリフィス(7)は衝撃波がインク供給室(5)に及ばないようインク供給オリフィス(7)の出口は衝撃波の進行方向と対面していない。
【0027】
また、インク加圧室(2)からインク供給室(5)に向けてインク供給路(6)の断面積は増加し、少なくとも一回の湾曲する流路で結ばれている。さらに、インク加圧室(2)の各隅及び吐き出し路(3)の入り口の部分はすべて丸みを持っている。インク加圧室(2)の周囲には隣り合うインクジェットヘッドとの干渉を防ぎ隔壁に柔軟性を持たせるためのスリット(8)が設けられている。
【0028】
一方、インク詰まりを防ぐため、印字していないときに上記したピエゾ素子に印字のときよりも弱い電圧(電力)を加え、インクに振動を与える。前記にように、このような構造のヘッドを作成するためには5μm以上の間隔の平面形状に合わせて作られた型により、セラミックまたはガラスを少しずつ塗り重ねて形状を構成し、一体焼成により製作することができ、また便利である。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、インクヘッド構成部材の積層により構成されるインクヘッドにシールの問題がなく且つインクヘッドの腔部内壁に衝撃波の円滑な波及を妨げるような段差、凹凸等がなく、インクに加えられた吐き出し圧力を最も効果的にインク吐き出し口まで伝達せしめるインク室、吐き出し路、吐き出しオリフィスを有するインクヘッド、及び、インク供給をスムースに行なうインク供給路、インク供給オリフィスを持ち、インク詰まりが少なく、併設された複数のヘッド間に相互干渉を生じることがないインクジェットヘッドが提供され、また、そのようなインクジェットヘッドの優れた製造法が提供され、加えられる衝撃波が短周期化し波形もシャープなものである場合にも、衝撃波の円滑な波及が可能となり、インクヘッドの小型化、インク吐出タイミングの迅速化により的確に対応することができる。
すなわち、振動板によりインク中を伝搬する衝撃波を損失させることなく吐き出しオリフィスに伝えることができ、インクを強く吐き出すことができる。一方、インク供給時の衝撃波の影響を受けずにインク供給が可能である。また吐き出し路の形状の特徴により乾燥したインクの吐き出しが容易であり、かつ印字していないときのインクの振動によりインクの固着を防止する。従って、インクの目詰まりも少ない。加圧室の隅は丸くなっているので気泡の発生も少なく、またヘッド間に設けたスリットにより、隣り合うヘッド間の相互干渉もない。このような構造を持つインクジェットヘッドをセラミックまたはガラスの一体化により実現することにより、インクジェットヘッドの小型化、高密度化、高速化及び省電力化が可能となるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としてプリンタ用インクジェットヘッドを示す断面図である。
【図2】図1に示されたプリンタ用インクジェットヘッドを上面から見た図である。
【図3】本発明の別の例としてのプリンタ用インクジェットヘッドの断面図である。
【図4】本発明のプリンタ用インクジェットヘッドの吐き出し路及び、吐き出しオリフィスの1例を説明する断面図である。
【図5】本発明のプリンタ用インクジェットヘッド内部における衝撃波の伝搬状況を示した模式図である。
【図6】従来技術の例として、特開平6−40030号公報のプリンタ用インクジェットヘッドの断面図を引用したものである。
【図7】図6におけるII−IIの断面図である。
【図8】従来技術の例として、特開平8−238763号公報のプリンター用インクジェットヘッドの断面図を引用したものである。
【図9】本発明における基本的な製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 振動板
2 インク加圧室
3 インク吐き出し路
4 インク吐き出しオリフィス
5 インク供給室
6 インク供給路
7 インク供給オリフィス
8 スリット
9 インクジェットプリントヘッド
12 インクポンプ部材
14 流路プレート
16 インク吐き出しオリフィスプレート
18 閉塞プレート
20 スペーサーブレード
22 インク供給オリフィスプレート
24 補強プレート
30 インク加圧室
42 インクオリフィス部材
44 インクポンプ部材
46 インク加圧室
48 インク吐き出しオリフィスプレート
50 インク供給オリフィスプレート
52 流路プレート
54 インク吐き出しオリフィス
58 インク供給オリフィス
62 インク供給室
66 閉塞プレート
68 接続プレート
70 スペーサーブレード
72 第一の連通用開口部
74 第二の連通用開口部
78 圧電/電歪素子
j 型の位置決め治具
n1 第1の型
n2 第2の型
n3 第3の型
n4 第4の型
b5 振動板の形成型
v 空隙
g1 ペスート材料成形層
g2 ペスート材料成形層
g3 ペスート材料成形層

Claims (2)

  1. インク供給室(5)とインク加圧室(2)をつなぐインク供給オリフィス(7)及びこれに連結するインク供給路(6)からなるインク流路と、吐き出しオリフィス(4)と連結する吐き出し路(3)を有し、インク加圧室(2)の少なくとも片面に配置されたピエゾ素子に電圧を加え圧電/電歪効果にてインクに圧力を加え、吐き出しオリフィス(4)からインクを吐き出すインクジェットヘッドにおいて、前記インク加圧室(2)とインク供給室(5)をつなぐ前記インク流路は、インク供給室(5)に向かって断面積を連続的に増加し、かつ、湾曲する部分を有することにより、ピエゾ素子によってインク加圧室(2)内のインク中を伝播する衝撃波の進行方向と、インク供給オリフィス(7)の出口の方向とが対面しないことを特徴とする一体化型インクジェットヘッド。
  2. 「インクジェットヘッドの所要グリーンペーストが積層され、焼結一体化されてなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
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