JP3670532B2 - 防水コネクタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ワイヤーハーネス等の接続に用いられる防水コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に特開平3−43972号公報に記載されている従来の防水コネクタを示し、図13(a),(b)に同防水コネクタにおいて使用されているゴム栓を示す。図12において、この防水コネクタは相手コネクタに嵌合されている。この防水コネクタは、雄型のコネクタハウジング1と、その端子収容室に収容された雌型の端子2と、コネクタハウジング1の後端開口を塞ぐように装着されたマット状のゴム栓4とから構成されている。
【0003】
ゴム栓4には、端子2から後方に延びる電線3を通すための電線挿通孔5が複数設けられている。図13(a),(b)に示すように、電線挿通孔5の周囲には、電線3の外周に適当な弾力を持って密着する円筒状肉部6が各々独立した形で設けられており、円筒状肉部6の周囲には、端子2を通すときの円筒状肉部6の自由な拡開を許容する空間7が確保されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の防水コネクタのゴム栓4では、円筒状肉部6を各々独立して形成し、その周囲に円筒状肉部6の自由な拡開を許容する空間7を確保しているので、端子挿通時には円筒状肉部6を容易に拡開させながら端子2を電線挿通孔5に容易に通すことができるものの、端子挿通後のシール性能は、各々独立した円筒状肉部6の弾力性だけに頼ることになるため、あまり高くならないという問題があった。
【0005】
また、電線挿通孔5をそれぞれ独立した形の円筒状肉部6で画成していることから、図13(b)に示すように、円筒状肉部6の肉厚H1と、その外周側の空間7の寸法H2を必要量確保しながら、電線挿通孔5間のピッチPを設定しなくてはならず、結果的にピッチPが大きくなり、コネクタが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、シール性能の向上とコネクタの小型化を図り得る防水コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室に対応した複数の電線挿通孔を有し前記コネクタハウジングの後端に装着されるマット状のゴム栓と、該ゴム栓をコネクタハウジングに対して押さえ付けるリヤホルダとを備え、前記ゴム栓の後面に設けられた凹所に前記リヤホルダの前面に設けられた押圧凸部を圧入することにより、ゴム栓に前記電線挿通孔の径方向の圧縮力を発生させ、該圧縮力により、電線挿通孔に通した電線とゴム栓の密着力を増大させる防水コネクタであって、前記ゴム栓の各電線挿通孔の周囲に筒状肉部を残しながらゴム栓の後面に前記凹所を形成すると共に、隣接する前記筒状肉部を複数合体させてブロック化したことを特徴とする。
【0008】
この防水コネクタでは、ゴム栓の電線挿通孔に電線の先端に設けた端子を挿通させた後、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入することにより、電線挿通孔の周囲の筒状肉部を外周から押圧して、ゴム栓と電線の密着力を増大させることができる。従って、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する以前の端子挿通時点では、筒状肉部の自由な拡開を許すことができるため、端子挿通時の作業性の向上が図れる。しかも、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に押し込んだ後の状態では、ゴム栓と電線の密着度が増すため、シール性の向上が図れる。また、筒状肉部は、隣接するもの同士が連続したブロック状になっており、従来例のように各々が独立した形でその外周に空間をそれぞれに確保したものではないため、電線挿通孔間のピッチを小さくすることができ、コネクタの小型化が図れる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の防水コネクタであって、前記リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態でゴム栓を押さえ付けながらコネクタハウジングに対してリヤホルダを仮係止する仮係止手段と、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態でコネクタハウジングに対してリヤホルダを本係止する本係止手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
この防水コネクタでは、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態で、コネクタハウジングに対してリヤホルダを仮係止することができるので、その仮係止状態において、ゴム栓の電線挿通孔に対して端子を容易に挿通させることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態で、リヤホルダをコネクタハウジングに本係止することができるので、ゴム栓と電線の密着度を高めた状態を長期にわたり安定して維持することができ、シールの信頼性向上が図れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は一実施形態の防水コネクタMの分解斜視図である。
【0013】
この防水コネクタMは、複数の端子収容室111を有する硬質合成樹脂製の雄型のコネクタハウジング11と、電線Wの先端に取り付けられてコネクタハウジング11の各端子収容室111に挿入セットされる雌端子(端子)20と、コネクタハウジング11の下側に装着されて各端子収容室111に収容された雌端子20を係止する硬質合成樹脂製のスペーサ13と、コネクタハウジング111の正面に下側から装着されて相手コネクタ40の雄端子(端子)50の前記雌端子20への接続を案内する硬質合成樹脂製のフロントカバー12と、各端子収容室111に対応した複数の電線挿通孔141を有しコネクタハウジング11の後端面に密着させられるマット状のゴム栓14と、このマット状のゴム栓14をコネクタハウジング11の後端面に対して押さえ付ける硬質合成樹脂製のリヤホルダ15とを備えている。また、その他に、相手コネクタ40と嵌合したときのロック手段を解除操作するためのロック解除ピン16や、コネクタの半嵌合検知用の短絡端子17なども備えている。
【0014】
図2は防水コネクタMの端子セット前の仮組状態を示す側断面図、図3は同じ状態を示す一部断面とした平面図である。図4〜図6は端子のセット手順の説明に用いる防水コネクタMの側断面図、図7は図3のVII部分の詳細図で、図7(a)はリヤホルダ15の仮係止状態、図7(b)はリヤホルダ15の本係止状態を示す図である。また、図8(a),(b)はゴム栓14の正面図及び側面図であり、図9,図10はゴム栓14の側断面図、図11は図10のXI−XI矢視断面図である。
【0015】
図2に示すように、コネクタハウジング11には、前後方向に貫通する端子収容室111が複数設けられ、各端子収容室111の下面には、それぞれ挿入セットされた雌端子20を抜け止め係止するための可撓性を有した端子係止腕としてのランス112が設けられている。また、図2,図3に示すように、コネクタハウジング11の端子収容室111を避けた位置には、後述するリヤホルダ15の係止アーム154,155を挿入するための係止アーム挿入孔114,118が設けられている。また、コネクタハウジング11の上面部には、相手コネクタ40(図1参照)と嵌合したときに相手コネクタ40のコネクタハウジング41と相互ロックするロックアーム115が設けられ、コネクタハウジング11の下面部には、スペーサ13を挿入するためのスペーサ挿入凹部113が設けられている。
【0016】
ロックアーム115は、先端支点部115aが片持支持された状態で、後方に自由端部115cを延ばしており、先端支点部115aを支点にして、自由端部115c側が定位置から下方に弾性変形するようになっている。ロックアーム115の先端支点部115aから自由端部115cに至る途中の上面には、両コネクタを正規嵌合位置まで嵌合したときに、相手コネクタ40側のコネクタハウジング41に突設した係止突部(図示略)と係合する係止突起115bが設けられている。ロックアーム115の自由端部115cには、U形断面状の傾斜した解除操作部115dが設けられており、この傾斜した解除操作部115dの傾斜壁に後方からロック解除ピン16の先端を突き当てることで、傾斜壁面の作用により、ロックアーム115を解除方向である下方に撓ませることができるようになっている。
【0017】
コネクタハウジング11の後壁面には、ロックアーム115の解除操作部115dに向けて貫通したロック解除ピン貫通孔116が設けられており、このロック解除ピン貫通孔116に、ロック解除ピン16の軸部161の先端が挿入されている。ロック解除ピン16の軸部161の先端は半球部162となっており、ロックアーム115の傾斜した解除操作部115dにこの半球部162が当接するようになっている。
【0018】
ロックアーム115の下側の空間には、短絡端子17が収容されている。短絡端子17には、ロックアーム115の撓みに応動するバネ片171が設けられており、このバネ片171の上面に接点172が突設されている。この短絡端子17は、本防水コネクタMを相手コネクタ40に対して嵌合させたときに、その嵌合状態を電気的に検知するための機構の構成要素である。すなわち、本防水コネクタMと相手コネクタ40とが正常に嵌合しているときには、相手コネクタ40側の2つの嵌合検知端子(図示略)が接点172に接触して、これら嵌合検知端子間が短絡する。また、本防水コネクタMが相手コネクタ40と半嵌合状態にあるときは、下方に撓むロックアーム115に押されてバネ片171が下方に押圧変形させられるので、接点172と嵌合検知端子とが非接触となり、嵌合検知端子間が短絡状態とならなくなる。従って、外部から嵌合検知端子間の短絡の有無を確認することにより、両コネクタM,40が正規の嵌合状態にあるか、半嵌合状態にあるかを検知することができ、短絡端子17が、そのための機構の構成要素となっているのである。
【0019】
コネクタハウジング11の正面にはフロントカバー12が下方から装着されている。フロントカバー12には、雄端子50(図1参照)の挿入を案内する案内孔121が形成されている。また、コネクタハウジング11の下面部に設けたスペーサ挿入凹部113にはスペーサ13が挿入されている。
【0020】
このスペーサ13は、端子収容室111に挿入セットされた端子20を、ランス112と共に二重係止するためのもので、図2の仮係止位置にあるときには端子20の挿入を許し、図6の本係止位置まで押し込まれたときには、端子20をランス112と共に二重係止する。
【0021】
このスペーサ13には、コネクタハウジング11の端子収容室111に対応した端子挿通孔131が設けられている。また、このスペーサ13には、リヤホルダ15の下部係止アーム154(後述)の挿入孔132が設けられており、この下部係止アーム挿入孔132の内周底面には、スペーサ13を本係止位置まで押し込んだときに、下部係止アーム154の係止孔154aと係合して、リヤホルダ15を定位置に本係止する係合突起133が設けられている。ここでは、係止孔154aと係合突起133が、リヤホルダ15を本係止する手段の一つを構成している。
【0022】
また、コネクタハウジング11の後壁面にはマット状のゴム栓14が装着されており、その更に後側に配されたリヤホルダ15がゴム栓14を挟んでいる。ここで、ゴム栓14の材質は、ゴムに類する弾性を有するものであればよく、必ずしも厳密なゴムそのものに限るものではない。例えば、軟質の樹脂で構成してもよい。
【0023】
図8〜図11に示すように、マット状のゴム栓14には、端子収容室111に対応した複数の電線挿通孔141が貫通形成されている。また、ロック解除ピン16を液密シールしながら貫通させるための貫通孔145、及び、リヤホルダ15の係止アーム154,155を液密シールしながら貫通させるための貫通孔144,148も貫通形成されている。
【0024】
ゴム栓14の後面には、各電線挿通孔141の周囲に筒状肉部142を残しながら凹所143が形成されている。この凹所143の外周部は、筒状肉部142の突出高さと同じ高さの外周壁147によって画成されている。筒状肉部142は、隣接するもの同士を複数合体させることで図11に示すようにブロック化されている。ここでは、4つのブロックB1〜B4が構成されている。まず、それぞれ正方形の頂点の位置に配された4つの電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142を合体することで、第1ブロックB1及び第2ブロックB2が構成されている。また、それぞれ一列に並んだ電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142を合体することで、第3ブロックB3及び第4ブロックB4が構成されている。
【0025】
なお、ロック解除ピン16を貫通させるための貫通孔145や、リヤホルダ15の係止アーム154,155を貫通させるための貫通孔144,148は、これらのブロックB1〜B4を避けた位置に配されている。
【0026】
図9,図10に示すように、筒状肉部142によって囲まれた電線挿通孔141の内周面には、電線Wに対する密着度を高めるために、電線挿通孔141の貫通方向に2段に並んだ波形断面の環状凸部141aが設けられている。同様に、凹所143を画成する外周壁147の外周面にも、相手コネクタ40と嵌合した際に相手コネクタハウジング41との密着度を高めるために、2段の波形断面の環状凸部147aが設けられている。また、筒状肉部142の外周面の根元側には、凹所143にリヤホルダ15の押圧凸部152(後述)を圧入した際に潰れる潰し代(外側に若干膨らんだ部分)142aが設けられている。
【0027】
また、ゴム栓14に貫通形成したロック解除ピン16の貫通孔145の周囲にも円筒状肉部146が設けられている。この円筒状肉部146は、コネクタハウジング11側のロック解錠ピン貫通孔116の内周に嵌合するよう、ゴム栓14の前面に突設されており、この円筒状肉部146に内周面にも、ロック解除ピン16の軸部161の外周との密着度を高めるための環状凸部145aが2段設けられている。
【0028】
また、上記のゴム栓14をコネクタハウジング11に対して押さえ付けるリヤホルダ15には、ゴム栓14の電線挿通孔141に対応した電線挿通孔151が設けられ、リヤホルダ15の前面には、ゴム栓14の凹所143に圧入する押圧凸部152が設けられている。押圧凸部152の筒状肉部142と干渉する壁面は、ゴム栓14側の潰し代142aを押し潰す押圧壁(アシスト壁)152aとなっており、この押圧壁152aで筒状肉部142の潰し代142aを潰しながら、凹所143に押圧凸部152を圧入することにより、筒状肉部142に電線挿通孔141の径方向の圧縮力を作用させることができるようになっている。
【0029】
また、リヤホルダ15には、ロック解除ピン16を貫通させる貫通孔153が設けられている。ロック解除ピン16は、この貫通孔153に軸部161を挿入することで、貫通方向にスライド自在に案内される。このロック解除ピン16の頭部には、指で押すための円板状の操作部163が設けられている。
【0030】
また、リヤホルダ15の前面には、図2に示す下部係止アーム154と、図3及び図7に示す上部係止アーム155とが突設されている。下部係止アーム154は、スペーサ13の係合突起133と係合する係止孔154aを有しており、上部係止アーム155は、コネクタハウジング11側の係合突部117と選択的に係合する第1係止突起155aと第2係止突起155bとを有している。
【0031】
図7(a)に示すように、第1係止突起155aを係合突部117の前側に位置させ且つ第2係止突起155bを係合突部117の後側に位置させた状態のとき、リヤホルダ15は仮係止の状態にあり、図2に示すように、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入される前の状態にある。
【0032】
また、図7(b)に示すように、第2係止突起155aを係合突部117の前側に位置させた状態のとき、リヤホルダ15は本係止の状態にあり、図5,図6に示すように、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入された後の状態にある。
【0033】
ここで、第1係止突起155a、第2係止突起155b、及び、係合突部117は、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に仮係止する手段を構成している。また、第2係止突起155bと係合突部117は、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に本係止する手段の一つを構成している。
【0034】
次に、上記防水コネクタMを組み立てる手順について説明する。
【0035】
図2に示すように、まず、コネクタハウジング11の正面に下側からフロントカバー12を装着し、同じく、コネクタハウジング11の下面部に設けたスペーサ挿入凹部113に、下側からスペーサ13を装着する。この段階では、スペーサ13はコネクタハウジング11に対して仮係止しておく。
【0036】
また、コネクタハウジング11の後壁面にゴム栓14をセットして、ゴム栓14の前面に突設してあるロック解除ピン貫通孔145の周囲の円筒状肉部146を、コネクタハウジング11に形成してあるロック解除ピン貫通孔116に嵌め込む。次に、リヤホルダ15をゴム栓14の後面側に配置し、リヤホルダ15の下部係止アーム154及び上部係止アーム155を、ゴム栓14の貫通孔144,148を通して、コネクタハウジング11の下部係止アーム挿入孔114及び上部係止アーム挿入孔118にそれぞれ挿入する。
【0037】
そして、上部係止アーム155については、図7(a)に示すように、第1係止突起155aがコネクタハウジング11側の係合突部117を乗り越え、且つ第2係止突起155bが係合突部117の手前に留まる位置まで押し込み、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に仮係止する。
【0038】
また、ロック解除ピン16は、リヤホルダ15の貫通孔153を通して、コネクタハウジング11のロック解除ピン貫通孔116に嵌合した円筒状肉部146のロック解除ピン貫通孔145に挿入する。これが図2,図3に示す仮組状態である。
【0039】
次に、このようにリヤホルダ15を仮係止した状態から、図4に示すように、電線Wの先端に取り付けた端子20を、リヤホルダの電線挿通孔151及びゴム栓14の電線挿通孔141を通して、コネクタハウジング11の端子収容室111に挿入する。この際、リヤホルダ15が仮係止位置にある状態では、ゴム栓14の電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142にリヤホルダ15の押圧凸部152が干渉していない、つまり、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入されていず筒状肉部142が押圧されていないので、該筒状肉部142が自由に拡開できる状態にあり、そのため端子20の挿入が容易にできる。
【0040】
コネクタハウジング11の端子収容室111に端子20を挿入すると、端子20の通過に応じてランス112が弾性変形して復元することにより、端子20が抜け止め係止される。
【0041】
次に、図5に示すように、リヤホルダ15を仮係止位置から本係止位置まで押し込む。そうすると、リヤホルダ15の押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入され、筒状肉部142の外周の潰し代142aが押圧凸部152の押圧壁152aによって潰されることで、筒状肉部142に電線挿通孔141の径方向の圧縮力が作用し、その圧縮力により筒状肉部142が電線Wに強く密着し、これにより電線Wの貫通部分が確実にシールされる。同時に、図7(b)に示すように、リヤホルダ15の上部係止アーム155が前進することで、第2係止突起155bがコネクタハウジング11側の係合突部117を乗り越え、リヤホルダ15がコネクタハウジング11に本係止される。また、ロック解除ピン16も一緒にゴム栓14のロック解除ピン貫通孔145に挿入しておくことで、その部分も確実にシールされる。
【0042】
最後に、図6に示すように、スペーサ13を上に押し上げて本係止させる。そうすると、スペーサ13の下部係止アーム挿入孔132内の係合突起133が、リヤホルダ15の下部係止アーム154の係止孔154aに進入し、該係止アーム154がロックされる。これにより、リヤホルダ15が、下部係止アーム154及び上部係止アーム155により本係止され、防水コネクタMが完成する。
【0043】
このように構成された防水コネクタMの場合、端子20をコネクタハウジング11の端子収容室111に挿入する段階では、ゴム栓14の電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142が自由に拡開できる状態にあるので、端子20の挿入をたやすく行うことができる。また、端子20を挿入した後で、ゴム栓14の凹所143にリヤホルダ15の押圧凸部152を圧入することで、筒状肉部142を圧縮させて電線Wの外周に強く密着させるので、高いシール性を維持することができる。
【0044】
また、ゴム栓14の円筒肉部142はそれぞれを独立させて形成しているのではなく、ブロック状に複数個を合体させているので、各円筒肉部142の周囲にそれぞれに拡開を許容するための空間を確保するのと違い、電線挿通孔141間のピッチを小さくすることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する前の段階では、筒状肉部の自由な拡開を許すことができるため、端子挿通時の作業性の向上を図ることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に押し込むことで、ゴム栓と電線の密着度を増強させることができるため、シール性の向上を図ることができる。また、ゴム栓の筒状肉部は、隣接するもの同士を合体してブロック化してあるため、電線挿通孔間のピッチを小さくすることができ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0046】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、次の効果を奏することができる。すなわち、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態でコネクタハウジングにリヤホルダを仮係止することができるので、特別にリヤホルダの位置を手などで押さえていなくても、ゴム栓の電線挿通孔に対して端子を容易に挿通させることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態でリヤホルダをコネクタハウジングに本係止することができるので、ゴム栓と電線の密着度を高めた状態を長期間にわたり安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の防水コネクタの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の防水コネクタの端子セット前の仮組状態を示す側断面図である。
【図3】図2の状態における一部を断面とした平面図である。
【図4】前記防水コネクタの組立手順の説明図で、端子を挿入した直後の状態を示す側断面図である。
【図5】図4の次の段階を示す側断面図である。
【図6】図5の次の段階を示す図であり、完成した防水コネクタの側断面図である。
【図7】図3のVII部分の詳細図で、(a)はリヤホルダの仮係止状態を示す部分拡大断面図、(b)は同リヤホルダの本係止状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】前記防水コネクタに使用しているゴム栓の構成図で、(a)は同ゴム栓の正面図、(b)は同ゴム栓の側面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】図8のX−X矢視断面図である。
【図11】図10のXI−XI矢視断面図である。
【図12】従来の防水コネクタの断面図である。
【図13】図12の防水コネクタに使用されているゴム栓の構成図で、(a)は同ゴム栓の断面図、(b)は図(a)のXIIIb矢視図である。
【符号の説明】
M 防水コネクタ
11 コネクタハウジング
111 端子収容室
117 係合突部(仮係止手段、本係止手段)
133 係合突起(本係止手段)
14 ゴム栓
141 電線挿通孔
142 筒状肉部
143 凹所
15 リヤホルダ
152 押圧凸部
154a 係止孔(本係止手段)
155a 第1係止突起(仮係止手段)
155b 第2係止突起(仮係止手段、本係止手段)
20 端子
W 電線
B1〜B4 ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ワイヤーハーネス等の接続に用いられる防水コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に特開平3−43972号公報に記載されている従来の防水コネクタを示し、図13(a),(b)に同防水コネクタにおいて使用されているゴム栓を示す。図12において、この防水コネクタは相手コネクタに嵌合されている。この防水コネクタは、雄型のコネクタハウジング1と、その端子収容室に収容された雌型の端子2と、コネクタハウジング1の後端開口を塞ぐように装着されたマット状のゴム栓4とから構成されている。
【0003】
ゴム栓4には、端子2から後方に延びる電線3を通すための電線挿通孔5が複数設けられている。図13(a),(b)に示すように、電線挿通孔5の周囲には、電線3の外周に適当な弾力を持って密着する円筒状肉部6が各々独立した形で設けられており、円筒状肉部6の周囲には、端子2を通すときの円筒状肉部6の自由な拡開を許容する空間7が確保されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の防水コネクタのゴム栓4では、円筒状肉部6を各々独立して形成し、その周囲に円筒状肉部6の自由な拡開を許容する空間7を確保しているので、端子挿通時には円筒状肉部6を容易に拡開させながら端子2を電線挿通孔5に容易に通すことができるものの、端子挿通後のシール性能は、各々独立した円筒状肉部6の弾力性だけに頼ることになるため、あまり高くならないという問題があった。
【0005】
また、電線挿通孔5をそれぞれ独立した形の円筒状肉部6で画成していることから、図13(b)に示すように、円筒状肉部6の肉厚H1と、その外周側の空間7の寸法H2を必要量確保しながら、電線挿通孔5間のピッチPを設定しなくてはならず、結果的にピッチPが大きくなり、コネクタが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、シール性能の向上とコネクタの小型化を図り得る防水コネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室に対応した複数の電線挿通孔を有し前記コネクタハウジングの後端に装着されるマット状のゴム栓と、該ゴム栓をコネクタハウジングに対して押さえ付けるリヤホルダとを備え、前記ゴム栓の後面に設けられた凹所に前記リヤホルダの前面に設けられた押圧凸部を圧入することにより、ゴム栓に前記電線挿通孔の径方向の圧縮力を発生させ、該圧縮力により、電線挿通孔に通した電線とゴム栓の密着力を増大させる防水コネクタであって、前記ゴム栓の各電線挿通孔の周囲に筒状肉部を残しながらゴム栓の後面に前記凹所を形成すると共に、隣接する前記筒状肉部を複数合体させてブロック化したことを特徴とする。
【0008】
この防水コネクタでは、ゴム栓の電線挿通孔に電線の先端に設けた端子を挿通させた後、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入することにより、電線挿通孔の周囲の筒状肉部を外周から押圧して、ゴム栓と電線の密着力を増大させることができる。従って、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する以前の端子挿通時点では、筒状肉部の自由な拡開を許すことができるため、端子挿通時の作業性の向上が図れる。しかも、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に押し込んだ後の状態では、ゴム栓と電線の密着度が増すため、シール性の向上が図れる。また、筒状肉部は、隣接するもの同士が連続したブロック状になっており、従来例のように各々が独立した形でその外周に空間をそれぞれに確保したものではないため、電線挿通孔間のピッチを小さくすることができ、コネクタの小型化が図れる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の防水コネクタであって、前記リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態でゴム栓を押さえ付けながらコネクタハウジングに対してリヤホルダを仮係止する仮係止手段と、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態でコネクタハウジングに対してリヤホルダを本係止する本係止手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
この防水コネクタでは、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態で、コネクタハウジングに対してリヤホルダを仮係止することができるので、その仮係止状態において、ゴム栓の電線挿通孔に対して端子を容易に挿通させることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態で、リヤホルダをコネクタハウジングに本係止することができるので、ゴム栓と電線の密着度を高めた状態を長期にわたり安定して維持することができ、シールの信頼性向上が図れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は一実施形態の防水コネクタMの分解斜視図である。
【0013】
この防水コネクタMは、複数の端子収容室111を有する硬質合成樹脂製の雄型のコネクタハウジング11と、電線Wの先端に取り付けられてコネクタハウジング11の各端子収容室111に挿入セットされる雌端子(端子)20と、コネクタハウジング11の下側に装着されて各端子収容室111に収容された雌端子20を係止する硬質合成樹脂製のスペーサ13と、コネクタハウジング111の正面に下側から装着されて相手コネクタ40の雄端子(端子)50の前記雌端子20への接続を案内する硬質合成樹脂製のフロントカバー12と、各端子収容室111に対応した複数の電線挿通孔141を有しコネクタハウジング11の後端面に密着させられるマット状のゴム栓14と、このマット状のゴム栓14をコネクタハウジング11の後端面に対して押さえ付ける硬質合成樹脂製のリヤホルダ15とを備えている。また、その他に、相手コネクタ40と嵌合したときのロック手段を解除操作するためのロック解除ピン16や、コネクタの半嵌合検知用の短絡端子17なども備えている。
【0014】
図2は防水コネクタMの端子セット前の仮組状態を示す側断面図、図3は同じ状態を示す一部断面とした平面図である。図4〜図6は端子のセット手順の説明に用いる防水コネクタMの側断面図、図7は図3のVII部分の詳細図で、図7(a)はリヤホルダ15の仮係止状態、図7(b)はリヤホルダ15の本係止状態を示す図である。また、図8(a),(b)はゴム栓14の正面図及び側面図であり、図9,図10はゴム栓14の側断面図、図11は図10のXI−XI矢視断面図である。
【0015】
図2に示すように、コネクタハウジング11には、前後方向に貫通する端子収容室111が複数設けられ、各端子収容室111の下面には、それぞれ挿入セットされた雌端子20を抜け止め係止するための可撓性を有した端子係止腕としてのランス112が設けられている。また、図2,図3に示すように、コネクタハウジング11の端子収容室111を避けた位置には、後述するリヤホルダ15の係止アーム154,155を挿入するための係止アーム挿入孔114,118が設けられている。また、コネクタハウジング11の上面部には、相手コネクタ40(図1参照)と嵌合したときに相手コネクタ40のコネクタハウジング41と相互ロックするロックアーム115が設けられ、コネクタハウジング11の下面部には、スペーサ13を挿入するためのスペーサ挿入凹部113が設けられている。
【0016】
ロックアーム115は、先端支点部115aが片持支持された状態で、後方に自由端部115cを延ばしており、先端支点部115aを支点にして、自由端部115c側が定位置から下方に弾性変形するようになっている。ロックアーム115の先端支点部115aから自由端部115cに至る途中の上面には、両コネクタを正規嵌合位置まで嵌合したときに、相手コネクタ40側のコネクタハウジング41に突設した係止突部(図示略)と係合する係止突起115bが設けられている。ロックアーム115の自由端部115cには、U形断面状の傾斜した解除操作部115dが設けられており、この傾斜した解除操作部115dの傾斜壁に後方からロック解除ピン16の先端を突き当てることで、傾斜壁面の作用により、ロックアーム115を解除方向である下方に撓ませることができるようになっている。
【0017】
コネクタハウジング11の後壁面には、ロックアーム115の解除操作部115dに向けて貫通したロック解除ピン貫通孔116が設けられており、このロック解除ピン貫通孔116に、ロック解除ピン16の軸部161の先端が挿入されている。ロック解除ピン16の軸部161の先端は半球部162となっており、ロックアーム115の傾斜した解除操作部115dにこの半球部162が当接するようになっている。
【0018】
ロックアーム115の下側の空間には、短絡端子17が収容されている。短絡端子17には、ロックアーム115の撓みに応動するバネ片171が設けられており、このバネ片171の上面に接点172が突設されている。この短絡端子17は、本防水コネクタMを相手コネクタ40に対して嵌合させたときに、その嵌合状態を電気的に検知するための機構の構成要素である。すなわち、本防水コネクタMと相手コネクタ40とが正常に嵌合しているときには、相手コネクタ40側の2つの嵌合検知端子(図示略)が接点172に接触して、これら嵌合検知端子間が短絡する。また、本防水コネクタMが相手コネクタ40と半嵌合状態にあるときは、下方に撓むロックアーム115に押されてバネ片171が下方に押圧変形させられるので、接点172と嵌合検知端子とが非接触となり、嵌合検知端子間が短絡状態とならなくなる。従って、外部から嵌合検知端子間の短絡の有無を確認することにより、両コネクタM,40が正規の嵌合状態にあるか、半嵌合状態にあるかを検知することができ、短絡端子17が、そのための機構の構成要素となっているのである。
【0019】
コネクタハウジング11の正面にはフロントカバー12が下方から装着されている。フロントカバー12には、雄端子50(図1参照)の挿入を案内する案内孔121が形成されている。また、コネクタハウジング11の下面部に設けたスペーサ挿入凹部113にはスペーサ13が挿入されている。
【0020】
このスペーサ13は、端子収容室111に挿入セットされた端子20を、ランス112と共に二重係止するためのもので、図2の仮係止位置にあるときには端子20の挿入を許し、図6の本係止位置まで押し込まれたときには、端子20をランス112と共に二重係止する。
【0021】
このスペーサ13には、コネクタハウジング11の端子収容室111に対応した端子挿通孔131が設けられている。また、このスペーサ13には、リヤホルダ15の下部係止アーム154(後述)の挿入孔132が設けられており、この下部係止アーム挿入孔132の内周底面には、スペーサ13を本係止位置まで押し込んだときに、下部係止アーム154の係止孔154aと係合して、リヤホルダ15を定位置に本係止する係合突起133が設けられている。ここでは、係止孔154aと係合突起133が、リヤホルダ15を本係止する手段の一つを構成している。
【0022】
また、コネクタハウジング11の後壁面にはマット状のゴム栓14が装着されており、その更に後側に配されたリヤホルダ15がゴム栓14を挟んでいる。ここで、ゴム栓14の材質は、ゴムに類する弾性を有するものであればよく、必ずしも厳密なゴムそのものに限るものではない。例えば、軟質の樹脂で構成してもよい。
【0023】
図8〜図11に示すように、マット状のゴム栓14には、端子収容室111に対応した複数の電線挿通孔141が貫通形成されている。また、ロック解除ピン16を液密シールしながら貫通させるための貫通孔145、及び、リヤホルダ15の係止アーム154,155を液密シールしながら貫通させるための貫通孔144,148も貫通形成されている。
【0024】
ゴム栓14の後面には、各電線挿通孔141の周囲に筒状肉部142を残しながら凹所143が形成されている。この凹所143の外周部は、筒状肉部142の突出高さと同じ高さの外周壁147によって画成されている。筒状肉部142は、隣接するもの同士を複数合体させることで図11に示すようにブロック化されている。ここでは、4つのブロックB1〜B4が構成されている。まず、それぞれ正方形の頂点の位置に配された4つの電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142を合体することで、第1ブロックB1及び第2ブロックB2が構成されている。また、それぞれ一列に並んだ電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142を合体することで、第3ブロックB3及び第4ブロックB4が構成されている。
【0025】
なお、ロック解除ピン16を貫通させるための貫通孔145や、リヤホルダ15の係止アーム154,155を貫通させるための貫通孔144,148は、これらのブロックB1〜B4を避けた位置に配されている。
【0026】
図9,図10に示すように、筒状肉部142によって囲まれた電線挿通孔141の内周面には、電線Wに対する密着度を高めるために、電線挿通孔141の貫通方向に2段に並んだ波形断面の環状凸部141aが設けられている。同様に、凹所143を画成する外周壁147の外周面にも、相手コネクタ40と嵌合した際に相手コネクタハウジング41との密着度を高めるために、2段の波形断面の環状凸部147aが設けられている。また、筒状肉部142の外周面の根元側には、凹所143にリヤホルダ15の押圧凸部152(後述)を圧入した際に潰れる潰し代(外側に若干膨らんだ部分)142aが設けられている。
【0027】
また、ゴム栓14に貫通形成したロック解除ピン16の貫通孔145の周囲にも円筒状肉部146が設けられている。この円筒状肉部146は、コネクタハウジング11側のロック解錠ピン貫通孔116の内周に嵌合するよう、ゴム栓14の前面に突設されており、この円筒状肉部146に内周面にも、ロック解除ピン16の軸部161の外周との密着度を高めるための環状凸部145aが2段設けられている。
【0028】
また、上記のゴム栓14をコネクタハウジング11に対して押さえ付けるリヤホルダ15には、ゴム栓14の電線挿通孔141に対応した電線挿通孔151が設けられ、リヤホルダ15の前面には、ゴム栓14の凹所143に圧入する押圧凸部152が設けられている。押圧凸部152の筒状肉部142と干渉する壁面は、ゴム栓14側の潰し代142aを押し潰す押圧壁(アシスト壁)152aとなっており、この押圧壁152aで筒状肉部142の潰し代142aを潰しながら、凹所143に押圧凸部152を圧入することにより、筒状肉部142に電線挿通孔141の径方向の圧縮力を作用させることができるようになっている。
【0029】
また、リヤホルダ15には、ロック解除ピン16を貫通させる貫通孔153が設けられている。ロック解除ピン16は、この貫通孔153に軸部161を挿入することで、貫通方向にスライド自在に案内される。このロック解除ピン16の頭部には、指で押すための円板状の操作部163が設けられている。
【0030】
また、リヤホルダ15の前面には、図2に示す下部係止アーム154と、図3及び図7に示す上部係止アーム155とが突設されている。下部係止アーム154は、スペーサ13の係合突起133と係合する係止孔154aを有しており、上部係止アーム155は、コネクタハウジング11側の係合突部117と選択的に係合する第1係止突起155aと第2係止突起155bとを有している。
【0031】
図7(a)に示すように、第1係止突起155aを係合突部117の前側に位置させ且つ第2係止突起155bを係合突部117の後側に位置させた状態のとき、リヤホルダ15は仮係止の状態にあり、図2に示すように、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入される前の状態にある。
【0032】
また、図7(b)に示すように、第2係止突起155aを係合突部117の前側に位置させた状態のとき、リヤホルダ15は本係止の状態にあり、図5,図6に示すように、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入された後の状態にある。
【0033】
ここで、第1係止突起155a、第2係止突起155b、及び、係合突部117は、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に仮係止する手段を構成している。また、第2係止突起155bと係合突部117は、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に本係止する手段の一つを構成している。
【0034】
次に、上記防水コネクタMを組み立てる手順について説明する。
【0035】
図2に示すように、まず、コネクタハウジング11の正面に下側からフロントカバー12を装着し、同じく、コネクタハウジング11の下面部に設けたスペーサ挿入凹部113に、下側からスペーサ13を装着する。この段階では、スペーサ13はコネクタハウジング11に対して仮係止しておく。
【0036】
また、コネクタハウジング11の後壁面にゴム栓14をセットして、ゴム栓14の前面に突設してあるロック解除ピン貫通孔145の周囲の円筒状肉部146を、コネクタハウジング11に形成してあるロック解除ピン貫通孔116に嵌め込む。次に、リヤホルダ15をゴム栓14の後面側に配置し、リヤホルダ15の下部係止アーム154及び上部係止アーム155を、ゴム栓14の貫通孔144,148を通して、コネクタハウジング11の下部係止アーム挿入孔114及び上部係止アーム挿入孔118にそれぞれ挿入する。
【0037】
そして、上部係止アーム155については、図7(a)に示すように、第1係止突起155aがコネクタハウジング11側の係合突部117を乗り越え、且つ第2係止突起155bが係合突部117の手前に留まる位置まで押し込み、リヤホルダ15をコネクタハウジング11に仮係止する。
【0038】
また、ロック解除ピン16は、リヤホルダ15の貫通孔153を通して、コネクタハウジング11のロック解除ピン貫通孔116に嵌合した円筒状肉部146のロック解除ピン貫通孔145に挿入する。これが図2,図3に示す仮組状態である。
【0039】
次に、このようにリヤホルダ15を仮係止した状態から、図4に示すように、電線Wの先端に取り付けた端子20を、リヤホルダの電線挿通孔151及びゴム栓14の電線挿通孔141を通して、コネクタハウジング11の端子収容室111に挿入する。この際、リヤホルダ15が仮係止位置にある状態では、ゴム栓14の電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142にリヤホルダ15の押圧凸部152が干渉していない、つまり、押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入されていず筒状肉部142が押圧されていないので、該筒状肉部142が自由に拡開できる状態にあり、そのため端子20の挿入が容易にできる。
【0040】
コネクタハウジング11の端子収容室111に端子20を挿入すると、端子20の通過に応じてランス112が弾性変形して復元することにより、端子20が抜け止め係止される。
【0041】
次に、図5に示すように、リヤホルダ15を仮係止位置から本係止位置まで押し込む。そうすると、リヤホルダ15の押圧凸部152がゴム栓14の凹所143に圧入され、筒状肉部142の外周の潰し代142aが押圧凸部152の押圧壁152aによって潰されることで、筒状肉部142に電線挿通孔141の径方向の圧縮力が作用し、その圧縮力により筒状肉部142が電線Wに強く密着し、これにより電線Wの貫通部分が確実にシールされる。同時に、図7(b)に示すように、リヤホルダ15の上部係止アーム155が前進することで、第2係止突起155bがコネクタハウジング11側の係合突部117を乗り越え、リヤホルダ15がコネクタハウジング11に本係止される。また、ロック解除ピン16も一緒にゴム栓14のロック解除ピン貫通孔145に挿入しておくことで、その部分も確実にシールされる。
【0042】
最後に、図6に示すように、スペーサ13を上に押し上げて本係止させる。そうすると、スペーサ13の下部係止アーム挿入孔132内の係合突起133が、リヤホルダ15の下部係止アーム154の係止孔154aに進入し、該係止アーム154がロックされる。これにより、リヤホルダ15が、下部係止アーム154及び上部係止アーム155により本係止され、防水コネクタMが完成する。
【0043】
このように構成された防水コネクタMの場合、端子20をコネクタハウジング11の端子収容室111に挿入する段階では、ゴム栓14の電線挿通孔141の周囲の筒状肉部142が自由に拡開できる状態にあるので、端子20の挿入をたやすく行うことができる。また、端子20を挿入した後で、ゴム栓14の凹所143にリヤホルダ15の押圧凸部152を圧入することで、筒状肉部142を圧縮させて電線Wの外周に強く密着させるので、高いシール性を維持することができる。
【0044】
また、ゴム栓14の円筒肉部142はそれぞれを独立させて形成しているのではなく、ブロック状に複数個を合体させているので、各円筒肉部142の周囲にそれぞれに拡開を許容するための空間を確保するのと違い、電線挿通孔141間のピッチを小さくすることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する前の段階では、筒状肉部の自由な拡開を許すことができるため、端子挿通時の作業性の向上を図ることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に押し込むことで、ゴム栓と電線の密着度を増強させることができるため、シール性の向上を図ることができる。また、ゴム栓の筒状肉部は、隣接するもの同士を合体してブロック化してあるため、電線挿通孔間のピッチを小さくすることができ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0046】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、次の効果を奏することができる。すなわち、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態でコネクタハウジングにリヤホルダを仮係止することができるので、特別にリヤホルダの位置を手などで押さえていなくても、ゴム栓の電線挿通孔に対して端子を容易に挿通させることができる。また、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態でリヤホルダをコネクタハウジングに本係止することができるので、ゴム栓と電線の密着度を高めた状態を長期間にわたり安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の防水コネクタの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の防水コネクタの端子セット前の仮組状態を示す側断面図である。
【図3】図2の状態における一部を断面とした平面図である。
【図4】前記防水コネクタの組立手順の説明図で、端子を挿入した直後の状態を示す側断面図である。
【図5】図4の次の段階を示す側断面図である。
【図6】図5の次の段階を示す図であり、完成した防水コネクタの側断面図である。
【図7】図3のVII部分の詳細図で、(a)はリヤホルダの仮係止状態を示す部分拡大断面図、(b)は同リヤホルダの本係止状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】前記防水コネクタに使用しているゴム栓の構成図で、(a)は同ゴム栓の正面図、(b)は同ゴム栓の側面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視断面図である。
【図10】図8のX−X矢視断面図である。
【図11】図10のXI−XI矢視断面図である。
【図12】従来の防水コネクタの断面図である。
【図13】図12の防水コネクタに使用されているゴム栓の構成図で、(a)は同ゴム栓の断面図、(b)は図(a)のXIIIb矢視図である。
【符号の説明】
M 防水コネクタ
11 コネクタハウジング
111 端子収容室
117 係合突部(仮係止手段、本係止手段)
133 係合突起(本係止手段)
14 ゴム栓
141 電線挿通孔
142 筒状肉部
143 凹所
15 リヤホルダ
152 押圧凸部
154a 係止孔(本係止手段)
155a 第1係止突起(仮係止手段)
155b 第2係止突起(仮係止手段、本係止手段)
20 端子
W 電線
B1〜B4 ブロック
Claims (2)
- 複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記端子収容室に対応した複数の電線挿通孔を有し前記コネクタハウジングの後端に装着されるマット状のゴム栓と、該ゴム栓をコネクタハウジングに対して押さえ付けるリヤホルダとを備え、前記ゴム栓の後面に設けられた凹所に前記リヤホルダの前面に設けられた押圧凸部を圧入することにより、ゴム栓に前記電線挿通孔の径方向の圧縮力を発生させ、該圧縮力により、電線挿通孔に通した電線とゴム栓の密着力を増大させる防水コネクタであって、
前記ゴム栓の各電線挿通孔の周囲に筒状肉部を残しながらゴム栓の後面に前記凹所を形成すると共に、隣接する前記筒状肉部を複数合体させてブロック化したことを特徴とする防水コネクタ。 - 請求項1記載の防水コネクタであって、
前記リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入する手前の状態でゴム栓を押さえ付けながらコネクタハウジングに対してリヤホルダを仮係止する仮係止手段と、リヤホルダの押圧凸部をゴム栓の凹所に圧入した状態でコネクタハウジングに対してリヤホルダを本係止する本係止手段とを備えていることを特徴とする防水コネクタ。
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JP2001085100A (ja) | 2001-03-30 |
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