JP3668489B1 - ホットスタンピング箔を用いた金属加飾製品及び金属製品の加飾方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属製品3表面の全域或いは広域にアルマイト封孔処理により成形される下地層を設けるとともに、加飾予定位置において文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部2b、バインダー層及びホットスタンピング箔層を成形し、これにより上記製品3表面に凹状の立体部2b、下地層、バインダー層及びホットスタンピング箔層からなる立体加飾部1bを形成する。
【選択図】図3
Description
上記方法において、所望の図柄等を多数回にわたり重ねて印刷することによって上記印刷層を厚く成形することは可能であるが、印刷回数の増加により手間がかかり、またコストが高くなる上、印刷インキにより隆起した印刷層は摩擦等により剥離し易いため、実質的ではない。
上記方法において、非導電性皮膜を必要以上に厚く設ければ該膜面と、該膜面の所望の部分を除去した後の金属露出面との高低差をある程度大きく設けることは可能である。ここで非導電性皮膜の成形方法として、例えば非導電性の塗料を用いて金属製品表面を塗装する方法があるが、かかる方法により該膜を必要以上に厚く設けるには、複数回の塗装工程が必要となり工程時間及び手間が増大し、また外観上の美観に欠け現実的ではない。
(1)表面にアルマイト封孔処理により成形される下地層を有する金属製品において、上記金属製品の表面の一部に文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を有し、上記凹状の立体部の底面において、上記下地層上面に接して文字又は図形を構成する所望の模様形状に設けられたバインダー層及び上記バインダー層上面に接して設けられたホットスタンピング箔層を有し、これにより上記凹状の立体部、上記下地層、上記バインダー層、及び上記ホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有してなる金属加飾製品であって、上記文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部が、製品と一体的に成形される工程A、上記バインダー層が、熱硬化性樹脂インキを用いて上記文字又は図形を構成する所望の模様形状に成形される工程B、及び上記ホットスタンピング箔層が、上記熱硬化性樹脂インキが完全に硬化する前に上記バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着して成形される工程Cを含む加飾方法により成形され、且つ上記工程が工程A、工程B、工程Cの順、或いは工程B、工程C、工程Aの順にて行われることにより成形されることを特徴とする金属加飾製品、
(2)上記文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を有する立体加飾部の深さが、50μm以上1200μm以下であることを特徴とする上記(1)に記載の金属加飾製品、
(3)金属製品表面の加飾予定位置において、文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を製品と一体的に成形する工程Aと、熱硬化性樹脂インキを用いて上記文字又は図形を構成する所望の模様形状のバインダー層を成形する工程Bと、上記熱硬化性樹脂インキが完全に硬化する前に上記バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着してホットスタンピング箔層を成形する工程Cとを含み、且つ上記工程が、工程A、工程B、工程Cの順、或いは工程B、工程C、工程Aの順にて連続して行われることを特徴とする金属製品の加飾方法、
(4)上記工程Cにおいて、バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着してホットスタンピング箔層を成形する前に、15℃以上200℃以下の温度に調整されたプレート上に上記バインダー層が形成された金属製品を設置することをさらに含み、且つ工程B、工程C、工程Aの順で実施することを特徴とする上記(3)に記載の金属製品の加飾方法、
を要旨とするものである。
加えて本発明の加飾製品によれば、用いられるホットスタンピング箔の光沢色を適宜選択し、さらに加飾部以外の製品表面の色、質感等と組み合わせることにより、より高い装飾効果を有する製品を提供することが可能である。
例えば本発明の加飾方法の一実施形態として、工程A、B及びCをこの順にて実施することにより、立体部、バインダー層、及びホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有する加飾製品を成形することができる。またこのとき上記工程Aの前又は、工程Aと工程Bとの間にさらに下地層を成形する工程を実施することができる。これによれば、立体部、下地層、バインダー層、及びホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有する加飾製品を成形することができる。
また本発明の別の実施形態として、工程B、工程C及び工程Aをこの順にて実施することによっても、立体部、バインダー層、及びホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有する加飾製品を成形することができる。またことのき上記工程Bの前にさらに下地層を成形する工程を実施することができる。これによれば、立体部、下地層、バインダー層、及びホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有する加飾製品を成形することができる。上述のように、工程Aの前に工程B及びCを実施する加飾方法であれば、立体部成形前の製品表面にバインダー層及びホットスタンピング箔層を成形することができるので作業が容易であり、一度の工程で大量の製品にバインダー層及びホットスタンピング箔層を成形することができ効率がよい。
ただし本発明の加飾方法は、上述に限定されるものではない。
工程Aにおいて、製品の表面に文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部2bを成形する方法としては、製品3の一部を所望の模様形状に変形させることができる方法、或いは所望の模様形状を有して製品3本体を成形することができる方法であればいずれの方法でもよい。一般的にはプレス加工、エンボス加工、エッチング、鋳造等の方法を用いて、製品3の表面の加飾予定位置に所望の模様形状を底面とする凹形状を成形することができ、また或いは所望の凹凸形状を有する金型を用いて製品3を成形すれば予め製品3に模様形状を底面とする凹形状を付与することもできる。特に工程B及びCを先に実施し最後に工程Aを実施する場合には、立体部の成形にプレス加工を採用することによって既に成形されたホットスタンピング箔層6を保持しながら上記立体部を成形することが容易であり好ましい。このときホットスタンピング箔層6とプレス機との間に保護シートを挟むことによりホットスタンピング箔層6の剥離、損傷等を防止することができるので望ましい。
上記凹形状の立体部を成形する方法は、用いられる製品3の素材及び厚さ等によって適宜選択することができる。特にバインダー層及びホットスタンピング箔層が設けられた加飾部に位置をあわせ、雄雌一対の金型に製品を挟みプレスする方法は、作業が簡易で実施が容易であり、製品材料を選ばす実施可能であることから好ましい。
上記印刷工程で実施される印刷方法は、熱硬化性樹脂を含有するインキを用いることのできる印刷方法として一般的に知られるものであれば適宜選択することができるが、例えばシルクスクリーン印刷、オフセット印刷、パット印刷等の印刷方法が挙げられる。特に凹状の立体部2bを成形した後にバインダー層5の所望形状を成形する場合には、パット印刷方法により印刷することによって、100〜500μm程度の幅の線、から成形される模様形状の凹状立体部底面にも良好にバインダー層5を成形することができるため望ましい。また特に幅の狭い凹状立体部を成形後、その底面にバインダー層を成形する際には、上記印刷方法によらず、注射器や筆を用いて該立体部底面にインキを注入或いは塗布することによりバインダー層5を成形することもできる。
印刷工程(或いはその他の方法)でバインダー層5の所望の形状を成形し、これに次いで行われる乾燥工程は、バインダー層5に存在する熱硬化性樹脂を適度に硬化せしめることができれば特に乾燥方法を限定するものではないが、例えば一定時間、室内に放置し自然乾燥させるか、或いは温風または熱源等を当てて約70℃〜約100℃程度の温度で加熱乾燥させることができる。但し乾燥温度は、製品の素材及び厚さにより異なるので上記温度範囲に限定されるものではない。ここで上述の「バインダー層5に存在する熱硬化性樹脂を適度に硬化せしめる」とは、次いで行われるホットスタンピングにおいて上記熱硬化性樹脂が粘着性を示し、これによりバインダー層とホットスタンピング箔とが良好に接着される程度の硬化状態を意味する。この結果、ホットスタンピング箔とバインダー層5との接着性が向上し、剥離し難く外観の良好なホットスタンピング箔層6を成形することができるからである。
製品3の表面に下地層4を成形する方法としては、金属製品の表面を処理する方法として一般的に知られる方法であればいずれの方法でもよい。但し、成形された下地層4の表面に接してさらに熱硬化性樹脂含有インキを用いた印刷層を成形することができることが必要である。例えば塗装処理又はめっき処理、また製品3がアルミニウムであればアルマイト封孔処理等が挙げられる。
製品3表面に下地層4を設けることにより、製品3表面を保護することができ、また所望の色及び外観を製品3表面に施すことができるので好ましい。また製品3表面とバインダー層5との間に下地層4が設けられることにより、該バインダー層5の接着性がより良好になるという効果を有する。
本発明に用いられる製品3として用いられる金属製品は、ホットスタンピング処理に耐え得るだけの耐熱性があるものであれば任意選択的に用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄板、真鍮、マグネシューム等からなる製品が挙げられるが、これに限定されるものではない。特にアルミニウムは、立体部の成形加工が容易である点において優れている。また加飾を施す製品3の表面は、図1及び図2に示すように平面であってもよいし、或いは図3に示すように曲面であってもよい。
上記製品3の厚さは特に限定されないが、その下限は200μmであることが好ましい。立体部を成形する際に金属が伸張されるが、製品3の厚さが200μm未満であると、金属が薄くなりすぎて破れる恐れがあるため好ましくない。また製品3の厚さの上限は特に制限されないが、輪郭の鮮明な立体部を成形することが望まれる場合には、1200μm以内であることが好ましい。1200μmを超えると、立体部の輪郭が鮮明さに欠け、該立体部の見栄えが損なわれる可能性があり好ましくない。
尚、本発明において、模様形状というときは、文字、数字、特定の図柄、直線、曲線又はこれらの組み合わせ等を含み、製品3表面において示すことのできる任意の加飾形状を意味する。また上記模様形状は、図1及び図2に示されるように、その断面形状の角度が鮮明であってもよいし、図3に示されるようにその断面形状が曲線で成形されていてもよい。
本発明における凹状の立体部2bの深さtは所望により適宜決定することができるが、
60μm以上1240μm以下であることが好ましい。立体部2bの深さtを60μm以上に設けることにより、製品3表面において成形される立体加飾部1bに凹状の立体としての有意差を生じせしめ該立体加飾部1bを視覚的にも触感的にも目立たせることができ、加えて立体加飾部1bにおけるホットスタンピング箔層が摩擦等の外力によって剥離し難い点でも優れている。また立体部2bの深さtが1240μm以下であれば、成形された立体部2bにさらにバインダー層及びホットスタンピング層を容易に成形することができる点で好ましい。
下地層4の厚さは、用いる表面処理方法によって変化し得るが、一般的には2μm以上30μm以下である。さらに具体的にいえば、下地層が、塗装により成形された場合はその厚さは一般的に約2μm以上約30μm以下であり、めっきにより成形された場合はその厚さは一般的には約2μm以上約30μm以下であり、アルマイト封孔処理により成形された場合はその厚さは一般的には約2μm以上約20μm以下である。下地層の厚さが3μm以上であれば加飾製品において露出する下地層の一部が削れ、或いは剥離する等の問題が生じ難いとともに製品3の保護層としての役割も果たすことができるので好ましく、また12μm以下であれば経済的に不利益を生じることなく製品3を保護することができるとともにその表面に所望の外観を与えることができるので好ましい。
1b 立体加飾部
2b 凹状の立体部
3 製品
4 下地層
5 バインダー層
6 ホットスタンピング箔層
10 奥行き方向に位置する下地層上端線
11 奥行き方向に位置する製品上端線
t 凹状の立体部2bの深さ
v 立体加飾部1bの深さ
Claims (4)
- 表面にアルマイト封孔処理により成形される下地層を有する金属製品において、上記金属製品の表面の一部に文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を有し、上記凹状の立体部の底面において、上記下地層上面に接して文字又は図形を構成する所望の模様形状に設けられたバインダー層及び上記バインダー層上面に接して設けられたホットスタンピング箔層を有し、これにより上記凹状の立体部、上記下地層、上記バインダー層、及び上記ホットスタンピング箔層からなる立体加飾部を有してなる金属加飾製品であって、上記文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部が、製品と一体的に成形される工程A、上記バインダー層が、熱硬化性樹脂インキを用いて上記文字又は図形を構成する所望の模様形状に成形される工程B、及び上記ホットスタンピング箔層が、上記熱硬化性樹脂インキが完全に硬化する前に上記バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着して成形される工程Cを含む加飾方法により成形され、且つ上記工程が工程A、工程B、工程Cの順、或いは工程B、工程C、工程Aの順にて行われることにより成形されることを特徴とする金属加飾製品。
- 上記文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を有する立体加飾部の深さが、50μm以上1200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属加飾製品。
- 金属製品表面の加飾予定位置において、文字又は図形を構成する所望の模様形状を底面とする凹状の立体部を製品と一体的に成形する工程Aと、熱硬化性樹脂インキを用いて上記文字又は図形を構成する所望の模様形状のバインダー層を成形する工程Bと、上記熱硬化性樹脂インキが完全に硬化する前に上記バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着してホットスタンピング箔層を成形する工程Cとを含み、且つ上記工程が、工程A、工程B、工程Cの順、或いは工程B、工程C、工程Aの順にて連続して行われることを特徴とする金属製品の加飾方法。
- 上記工程Cにおいて、バインダー層上面にホットスタンピング箔を圧着してホットスタンピング箔層を成形する前に、15℃以上200℃以下の温度に調整されたプレート上に上記バインダー層が形成された金属製品を設置することをさらに含み、且つ工程B、工程C、工程Aの順で実施することを特徴とする請求項3に記載の金属製品の加飾方法。
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