JP3667563B2 - 排水立て管の配管構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばビルのオフィスや高層マンション等の集合住宅(以下、単に集合住宅等という)に好適な排水立て管の配管構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の集合住宅等においては、上階から下階へ各住戸を貫いて排水立て管が配管され、この排水立て管の各階に対応する部位に排水管継手を介装し、この排水管継手を介して各住戸の台所の流し台やトイレの便器或いは浴室の浴槽等のいわゆる水回り器具(衛生器具)が排水立て管に接続される。
これら各種の水回り器具は、例えば図5に示すように住戸内に分散して配置されている場合があり、このような場合には各住戸について複数の排水立て管及び排水管継手1〜3をそれぞれ水回り器具4〜8の近傍に配管する形態をとっていた。各水回り器具4〜8は、それぞれ横枝管を介して排水管継手の受け口に接続される。
なお、図中符号4は大便器、符号5は洗面台、符号6は洗濯パン、符号7は浴室、符号8は台所流しを示している。
又、住戸専有部を広く確保するため排水立て管及び排水管継手1〜3は通常住戸専有部Jを区画する壁面Wに沿った(住戸専有部Jの周囲に沿った)隅部に配管されていた(分流方式)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように分流方式の場合、住戸内に分散して配置した水回り器具4〜8に合わせて複数の排水管継手1〜3を住戸専有部Jの周囲に配置し、且つ配置した排水管継手1〜3は接続する水回り器具4〜8に応じた数の受け口を有するものが配置されていたため、例えば将来水回り器具4〜8のレイアウトを変更しようとした場合や上階と下階で水回り器具のレイアウトを変更する場合に、各水回り器具4〜8と排水管継手1〜3の受け口との間の接続(横枝管の配管)が極めて困難になり、又、受け口の数が足りない場合には全く配管できなくなる場合もある。又、例えば台所流し専用の立て管(汚水立て管よりも小口径)に大便器排水管を接続すると、排水立て管の許容負荷流量を超えてしまい排水トラブルを招くおそれがあり、現実にはレイアウトを変更できない場合が多かった。かといって、排水立て管や排水管継手を新規に配管し直すには多大な費用と時間がかかるばかりでなく、集合住宅では他の居住者にも迷惑をかけることとなる。
【0004】
又、図6に示すように従来、住戸外共用部Kに排水立て管Tを配管するとともに、該排水立て管Tに取り付けた分配ヘッダーHを介して、住戸専有部J内の各水回り器具を排水立て管Tに接続する形態(いわゆるスケルトン排水ヘッダー)が公知であるが、この配管形態の場合は防火区画部Bを貫通する横枝管Y〜Yの配管本数が多くなるため防火の点で採用できない場合があった。更に、図7に示すように同じく排水立て管Tを住戸外共用部Kに配管し、雑排水系横枝管ZYのみを住戸専有部Jに配置した分配ヘッダーHを介して各水回り器具に接続する、いわゆるインフィル排水ヘッダー方式の場合は、汚水系と雑排水系器具のレイアウトを例えば図において上下に対称移動させたい場合に汚水系の横枝管OYと雑排水系の横枝管ZYが交差してしまう場合があり、従ってこの配管方式も前記分流方式と同様水回り器具のレイアウトの変更を考えた場合採用できない場合があった。このように従来の配管構造は、将来の水回り器具のレイアウト変更或いは間取りのバリエーションを考慮したものではなかった。そこで、本発明は、排水立て管はそのままで、水回り器具の多様なレイアウトに対応することができるとともに、防火の点でも有利な排水立て管の配管構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は前記各請求項に記載した構成の配管構造とした。
この配管構造によれば、従来の分流方式やインフィル排水ヘッダー式とは異なって排水立て管(排水集合管継手)が住戸専有部の略中央に配管されているので、各水回り器具に向けて横枝管を放射状に配管することができ、これにより住戸専有部のあらゆる位置に配置した水回り器具を最も効率よく(より短い横枝管により)排水立て管に接続することができ、ひいては将来の水回り器具のレイアウト変更に柔軟に対応することができる。
特に、集合住宅の上階と下階の住戸において、居住者の好みに合わせて水回り器具のレイアウトにバリエーションを持たせる場合、排水立て管が住戸専有部の略中央に配管されていることにより、居住者の要望するレイアウトに容易に対応することができる。
又、排水立て管が住戸専有部に配管されているので、防火区画部を貫通して複数の横枝管を配管する必要がなく、従って従来のスケルトン排水ヘッダー式とは異なって防火の点でも有利である。
【0006】
ここで、本明細書において、住戸専有部の略中央とは、文字通り住戸専有部の中心位置である他、その周辺をも含み、水回り器具のレイアウトの変更により横枝管を配管する可能性のある全ての位置すなわちその周囲の全方向が住戸専有部である位置を言うものとする。従来、排水立て管は、住戸専有部をより広く確保するため住戸専有部の隅部に配管されるのが一般的であったが、上記構成のように住戸専有部に排水立て管を積極的に配管することにより、横枝管を放射状に配管でき、これにより水回り器具の将来のレイアウト変更に容易に対応できるようになる。なお、住戸専有部に配管する排水立て管は、1本に限らず2本以上配管してもよい。各請求項に記載した配管構造によれば、清掃業者は住戸専有部内に入ることなく排水立て管内および排水管継手内の清掃を行うことができるので、そのメンテナンス性を確保することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る排水立て管の配管構造であって、住戸専有部Jに配置した各種水回り器具のレイアウトを示している。図中、符号10は周囲を閉塞した空洞柱状のパイプシャフトを示している。本例の場合、このパイプシャフト10は、住戸専有部Jの中央やや右寄りに配置されている。
このパイプシャフト10内に、排水立て管11が配管されている。排水立て管11は図面に直交する方向に配管されている。住戸専有部Jの床下においてこの排水立て管11には排水集合管継手12が介装されている。
【0008】
この排水集合管継手12は、その胴部回りに4カ所の横枝管受け口を有しており、そのうちの3カ所の横枝管受け口にそれぞれ放射状に配管した横枝管を介して各種の水回り器具が接続されている。図示するように、住戸専有部Jには、台所流し台20と浴槽21と洗濯パン22と便器23等の水回り器具が配置されている。図1ではこれら水回り器具20〜23が住戸専有部Jの図示右端の範囲に集中して配置されている。
台所流し台20は横枝管13を介して、浴槽21及び洗濯パン22は横枝管14を介して、便器23は横枝管15を介してそれぞれ排水集合管継手12の受け口に接続され、ひいては該排水集合管継手12を介して排水立て管11に接続されている。
【0009】
上記のような水回り器具20〜23のレイアウトを、例えば図2に示すようなレイアウトに変更する場合を想定する。この場合、台所流し台20はパイプシャフト10からやや離れた位置であって住戸専有部Jの右端に沿った位置に移動させる一方、浴室(浴槽21)、洗濯室(洗濯パン22)及びトイレ(便器23)は、共に住戸専有部Jのほぼ中央に移動させている。しかしながら、排水立て管11の配管経路及び排水集合管継手12の位置は変更されていない。
各水回り器具20〜23は、図1の場合とは異なる経路で配管した横枝管16〜19により排水集合管継手12の各受け口に接続され、ひいては排水立て管11に接続されている。
【0010】
このように構成した排水立て管の配管構造によれば、排水集合管継手12が住戸専有部Jの略中央に配置され、且つこの排水集合管継手12には、住戸専有部内の水回り器具4〜8を接続するために必要な数の横枝管受け口を有するものが用いられているので、水回り器具4〜8のレイアウト変更に容易に対応することができる。
又、排水管継手12が住戸専有部Jの略中央に配置されているので、各水回り器具4〜8までの配管距離(横枝管の長さ)を極力短くすることができ、これにより適切な排水勾配で配管できる他、床下寸法を小さくすることができる。
更に、従来のヘッダー配管方式のように防火区画部を貫通する配管を増大させることもないので、防火の点でも有利である。
【0011】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、図3に示すように住戸専有部Jの略中央に、周囲を閉塞した空洞柱状のパイプシャフト30を配置し、該パイプシャフト30に2本の排水立て管31,32を配管し、両排水立て管31,32にそれぞれ排水管継手33,34を介装する構成としてもよい。この実施形態の場合、上記パイプシャフト30は、共用通路T側のパイプシャフトP.Sとは独立して設けられている。
両排水管継手33,34はそれぞれ胴部周囲の3カ所に横枝管受け口を有している。図示左側の排水管継手33の各横枝管受け口には、それぞれ横枝管35〜37を介して台所流し台38、洗濯パン39、洗面台40及び浴室の浴槽41が接続されている。又、図示右側の排水管継手34には、3カ所のうち1カ所の横枝管受け口に横枝管42を介してトイレの大便器43が接続されており、その他の2カ所の横枝管受け口は閉塞されて、現段階では使用されていない。
このように、住戸専有部Jの略中央に2本の排水立て管31,32を配管し、これらに水回り器具38〜43を接続する構成とすることにより、将来のレイアウト変更に対してより一層柔軟に対応することができるようになる。
なお、パイプシャフト30を住戸専有部Jの中心よりもバルコニーB寄りに配置し、このパイプシャフト30と共用通路T側のパイプシャフトP.Sを併用することにより、住戸専有部Jをより有効に活用できるようになる。
【0012】
次に、図4は、同じく住戸専有部Jの略中央にパイプシャフト50を配置し、該パイプシャフト50に1本の排水立て管51を配管し、該排水立て管51に排水管継手52を介装した構成を示している。この排水管継手52は胴部周囲に4カ所の横枝管受け口を有している。各横枝管受け口にはそれぞれ横枝管53〜56を介して台所流し台58、トイレの大便器59、洗面台60、洗濯パン61及び浴室の浴槽62が接続されている。
この実施形態の場合、排水立て管51及び排水管継手52の管内を清掃するための掃除口63を有している点に特徴を有している。すなわち、上記横枝管56の屈曲部に延長管57が接続されており、この延長管57は共用通路T側に面した外壁に設けた掃除口63に接続されている。
【0013】
このように設けた掃除口63によれば、住戸専有部J内に入ることなく、共用通路Tから排水立て管51及び排水管継手52内の清掃を行うことができる。このような掃除口63を設けない場合には、排水立て管51及び排水管継手52の清掃をするために清掃業者は住戸専有部J内に入らなければならないが、本実施形態によればこのような管内清掃等のメンテナンス性を確保することができる。
【0014】
最後に、本発明は例示した高層マンション等の集合住宅に限らず、ビルのオフィスにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であり、各種の水回り器具を配置した住戸専有部の平面図である。本図は、水回り器具のレイアウトを変更する前の状態を示している。
【図2】水回り器具のレイアウトを変更した後における住戸専有部の平面図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示す図であって、住戸専有部の平面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態を示す図であって、住戸専有部の平面図である。
【図5】従来の配管構造により排水立て管を配管した住戸専有部の平面図である。
【図6】スケルトン排水ヘッダー方式による配管構造の平面概略図である。
【図7】インフィル排水ヘッダー方式による配管構造の平面概略図である。
【符号の説明】
1…排水立て管(汚水用)
2,3…排水立て管(雑排水用)
10…パイプシャフト
11…排水立て管
12…排水集合管継手
20…台所流し台
21…浴室
22…洗濯パン
23…便器
J…住戸専有部
T…排水立て管
H…ヘッダー
Claims (2)
- 複数の水回り器具を配置した住戸専有部の略中央に排水立て管を配管し、該排水立て管に排水集合管継手を介装し、該排水集合管継手を介して前記複数の水回り器具を前記排水立て管に接続する構成とし、かつ住戸外共用部に面した住戸専有部の外壁に掃除口を設け、該掃除口と排水立て管あるいは排水集合管継手を延長管を介して連通した排水立て管の配管構造。
- 住戸専有部内に配管した排水立て管に、住戸外共用部に面した住戸専有部の外壁に掃除口を設け、該掃除口と前記排水立て管あるいは排水集合管継手を延長管を介して連通した排水立て管の配管構造。
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