以下、本発明の実施例としての歯車駆動機構を含むディスクプレーヤを添付図面を参照しつつ説明する。図1ないし図3に示すように、プレーヤハウジング2の前面部すなわちフロントパネル3には、演奏さるべきディスク5及び6を担持する上方トレイ8及び下方トレイ9が該プレーヤハウジング外に突出し得るように、左右方向に伸長する長方形のディスク供給口3aが設けられている。但し、矢印Y方向が前方であり、矢印X方向が左方である。また、矢印Zは上方を示す。なお、ディスク5は例えば、直径が約12cmのコンパクトディスクであり、ディスク6は直径が約8cmのものである。両トレイ8及び9は後述するターンテーブルのディスク担持面に対して垂直な方向、すなわち上下方向(矢印Z方向及びその反対方向)において併置されており、各ディスク5及び6が嵌挿さるべき大小2つずつの円形凹部8a,8b,9a,9bが同心的に形成されている。ディスク供給口3aの近傍には該ディスク供給口を閉塞するための上下一対のドア10及び11が揺動自在に設けられており、各トレイ8及び9の突出収納動作に同期して開閉する。また、フロントパネル3上には当該フロントローディングディスクプレーヤの操作をなすためのスイッチ群13が設けられている。
図4及び図5にも示す如く、プレーヤハウジング2内には例えば鋼板からなる案内部材としての縦シャーシ15が設けられている。また、図4に示すように、この縦シャーシ15は横シャーシ16上に固定されている。図2及び図4に示すように、横シャーシ16上にはターンテーブル17が設けられている。また、図2に示すように、横シャーシ16上には対物レンズ19を含む光学式ピックアップを担持したキャリッジ20がターンテーブル17上に載置されたディスクの記録面に沿うべく移動自在に設けられており、更に、該キャリッジを移動せしめるキャリッジ手動手段(図示せず)が設けられている。
次いで、上方トレイ8及び下方トレイ9をプレーヤハウジング2に対する突出位置及び収納位置並びに演奏位置に案内し且つ移動せしめる案内駆動手段について説明する。なお、上方トレイ8及び下方トレイ9は夫々略同形状に形成され、その詳細を図6(a)及び(b)に示す。図2ないし図4に示すように、縦シャーシ15の左側面には上方プレート23及び下方プレート24が設けられており、上方トレイ8及び下方トレイ9は夫々右側端部にて該両プレートの一方ずつによりターンテーブル17のディスク担持面17a(図4)と平行な方向、この場合、前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において移動自在に支えられている。上方プレート23及び下方プレート24の詳細は図7(a),(b)及び図8(a),(b)に示す。詳しくは、上方プレート23及び下方プレート24にはその伸長方向に沿って長孔23a,24aが形成されており、上方トレイ8及び下方トレイ9の右側端部に一対ずつ突設されたピン8d,9dが該各長孔に摺動自在に係合しているのである。
図2ないし図4、並びに図7,図8に示すように、上方プレート23及び下方プレート24の右側面には前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において離間する一対ずつのピン23b,24bが突設されており、該各ピンは縦シャーシ15に形成されたクランク形状の前後一対ずつの上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27に摺動自在に嵌挿せしめられている。即ち、夫々、該上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27に沿って上方プレート23及び下方プレート24が移動するようになされているのである。上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27は全体として、ターンテーブル17(図4に図示)の回転中心軸方向に平行な面内において該回転中心軸と直交する面に沿って、すなわちこの場合、前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)に伸長している。詳しくは、上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27は、最深部すなわちその後端部において、ターンテーブル17(図4)のディスク担持面に直交する面に沿って下方に伸びる第1垂下部26a,27aを各々有し、また、該最深部よりも浅い位置において該第1垂下部と平行に伸びる第2垂下部26b,27bを有している。これら第1垂下部26a,27aと第2垂下部26b,27bとの間は前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において伸長する第1平坦部26c,27cとなっている。また、第2垂下部26b,27bに連続してディスク供給口3aに近づく方向すなわち前方に伸びるトレイ突出用第2平坦部26d,27dを有している。
図2ないし図4に示す如く、上記した上方プレート23及び下方プレート24と共に縦シャーシ15を挾むように矩形板状の被駆動歯車としての上方ラック29及び下方ラック30が配置されている。なお、図9(a)ないし(c)に上方ラック29の詳細を示し、図10(a)ないし(c)に下方ラック30の詳細を示す。上方ラック29及び下方ラック30は夫々、前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において往復動自在に縦シャーシ15の受け部15aに取り付けられている。前述した上方プレート23及び下方プレート24の外側面に突設されたピン23b,24bは、縦シャーシ15に形成された上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27を通じて、上方ラック29及び下方ラック30の左側面に形成された山形状カム溝29a,30aに摺動自在に係合している。図9(c),図10(c),図11及び図12に示す如く、山形状カム溝29a,30aは互いに連続した一対の斜状部29b,29c,30b,30cからなる。該各斜状部は、縦シャーシ15に形成された上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27の各第1垂下部26a,27a,第2垂下部26b,27bに対して所定角度傾斜している。即ち、上方ラック29及び下方ラック30が前後(矢印Y方向及びその反対方向)に移動することにより前述の上方プレート23及び下方プレート24が上方ガイド孔26、下方ガイド孔27に夫々沿って移動するように各山形状カム溝29a,30aが形成されているのである。
図11及び図12に示す如く、下方ラック30には、山形状カム溝30aを形成する両斜状部30b,30cの連続部近傍に、揺動部材32が仮想中心軸32aを中心として揺動自在に取り付けられている。揺動部材32の自由端部に尖頭部32bが形成されており、上記の両斜状部30b,30cの連続部内に該尖頭部32bが突出し得る。また、揺動部材32に復元力を付与するばね部材32cが設けられている。縦シャーシ15にはこの揺動部材32が摺接する直線状のカム部材33が上方ラック30の移動方向に沿ってすなわち前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)に伸長して設けられている。図12に示す如く、この直線状カム部材33は切欠部33aを有し、上方ラック30の移動に応じて揺動部材32を揺動せしめる揺動部材駆動手段として作用する。この直線状カム部材33と、ばね部材32cを含む揺動部材32とによって、下方プレート24のピン24bを下方ラック30の移動に伴って山形状カム溝30aの一対の斜状部30b,30cのいずれか一方に択一的に案内する案内手段が構成されている。すなわち、かかる案内手段を設けずに山形状カム溝30aのみにてピン24bを下方ガイド孔27に沿って移動させようとすると、例えば下方ラック30の前方(矢印Y方向)への移動時に、山形状カム溝30aの一方の斜状部30bの作用によって下方ガイド孔27の第1垂下部27a内を上昇せしめられたピン24bが、これに続いて第1平坦部27cに移行せずに他方の斜状部30cの作用によって再び第1垂下部27aに沿って逆に下降してしまう。上記の案内手段は、下方ラック30の移動に伴ってピン24bのかかる逆行を防止するものであり、これにより、例えば下方ラック30の前方への移動時には、ピン24bは山形状カム溝30の一方の斜状部30bの作用によって下方ガイド孔27の第1垂下部27aに沿って上昇せられ、上昇完了時に揺動部材32により逆行を阻止される。この状態でピン24bは下方ガイド孔27の第1平坦部27cに沿って前方に水平移動し、次いで、山形状カム溝30の他方の斜状部30cの作用により第2垂下部27b内を下降する。この後、ピン24bはトレイ突出用第2平坦部27d内を水平移動する。揺動部材32を含むかかる案内手段は下方ラック30にだけでなく、上方ラック29にも同様に設けられている。
図3に示す如く、上方ラック29及び下方ラック30は、駆動歯車としての単一のピニオン35に互いに反対方向に移動可能に噛合し得る。ピニオン35は複数の歯車などを組み合せてなる減速機構36を介してモータ37により回転せしめられる。図9(a)及び図10(a)に示す如く、上方ラック29及び下方ラック30の各前端部には欠歯部29e,30eが形成されている。図9(a),(b)、図10(a),(b)に示すように、上方ラック29及び下方ラック30の右側面には該各ラックの略全長に亘ってカム溝29f及び30fが形成されている。図3に示すように、これら両カム溝29f及び30fに常時係合するカムフォロワ40が設けられており、且つ、縦シャーシ15に対して固設されたサブシャーシ41に上下方向(矢印Z方向及びその反対方向)において移動自在に取り付けられている。図13(a)及び(b)にこのカムフォロア40の詳細を示す。カムフォロア40は上下一対のピン40a,40bを有し、該各ピンが各カム溝29f,30fに摺接している。このカムフォロア40とこれが摺接した上記各カム溝29f,30fとにより、上方ラック29及び下方ラック30のいずれか一方が所定位置に達したときに他方をピニオン35との噛合位置に起動せしめる起動手段が構成されている。すなわち、例えば下方ラック30がその欠歯部によりピニオン35に対して噛合状態にないとき、ピニオン35と噛合状態にある上方ラック29が所定距離だけ移動すると、上記のカム溝29f,30fとカムフォロア40との作用によって下方ラック30が所定距離前進(矢印Y方向)せしめられ、これによって下方ラック30がピニオン35と噛合して下方ラック30の移動が上方ラック29の移動方向とは反対方向に開始されるのである。なお、上方ラック29が欠歯部29eによってピニオン35と噛合状態にないときにも同様であり、また、逆に、上方ラック29あるいは下方ラック30のいずれか一方を他方の移動に応じてピニオン35と非噛合状態とすることを行なう。
かかる構成の故、一対設けられた被駆動歯車としての上方ラック29及び下方ラック30を、該両ラックに対して夫々個別の駆動源を設けることなく単一のモータ37によって互いに反対方向に又は選択的に駆動することができるのである。図2及び図4に示すように、上方トレイ8及び下方トレイ9の各右側端部を前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において移動自在に支持した上方プレート23及び下方プレート24の各下面には各々、歯車43及び44が設けられている。図2及び図5に示すように、縦シャーシ5の左側面にラック部45,46及び47が設けられており、歯車43,44は夫々上方プレート23及び下方プレート24の上下動に応じてこの各ラック部のいずれかに噛合する。また、上方プレート23及び下方プレート24の上下動時に各歯車43,44をして該各ラック部間を移行せしめるための移行ラック部49,50が形成されている。図2,図4及び図6(b)に示すように、上方トレイ8及び下方トレイ9の下面にはプレーヤハウジング2に対する突出収納方向すなわち前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において伸長するラック部8f及び9fが夫々形成されており、上記の各歯車43,44はこれらのラック部8f,9fにも噛合している。
上記した歯車43,44と、ラック部45,46,47,8f,9fと、移行ラック部49及び50とによって、上方プレート23及び下方プレート24の移動に応じて上方トレイ8及び下方トレイ9を該各プレートに対して該各プレートの移動速度の2倍の速度にて移動せしめる倍速機構が構成されている。上記した倍速機構と、ピニオン35と、モータ37及び減速機構36を含み該ピニオンを回転せしめる駆動源と、上方ラック29及び下方ラック30と、上方プレート23及び下方プレート24と、これらに関連する周辺小部材とによって、上方トレイ8及び下方トレイ9を夫々縦シャーシ15の上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27に沿って移動せしめる駆動手段が構成されている。
上述のように、上方トレイ8及び下方トレイ9はその各右側端部を上方プレート23、下方プレート24を介して支えられて案内される。一方、図2及び図4に示す如く、これら上方トレイ8及び下方トレイ9の各左側端部は可動担持部材53によって前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)において移動自在に支えられている。この可動担持部材53は横シャーシ16上に固設された案内部材54によって上下方向(矢印Z方向及びその反対方向)において移動自在に取り付けられている。図14(a)ないし(c)に可動担持部材53の詳細を示し、図15(a)及び(b)に案内部材54の詳細を示す。図4、図14(a)ないし(c)に示す如く、可動担持部材53の右側面には上方トレイ8及び下方トレイ9の各左側端部が摺動自在に嵌合する直線状ガイド溝53a,53bが形成されている。また、可動担持部材53の左側面には3つのピン53cが突設され、案内部材54に上下方向(矢印Z方向及びその反対方向)において伸長して形成された3本のガイド孔54a,54b,54cに該各ピンが各々摺動自在に嵌合することにより、可動担持部材53が上下動し得る。
図2及び図3に示すように、縦シャーシ15と上記の案内部材54との間に連動部材56が配置されており、且つ、支持ピン56aによってターンテーブル17のディスク担持面に対して直角な面内において揺動自在に縦シャーシ15及び案内部材54に取り付けられている。図16(a)及び(b)に連動部材56の詳細を示す。連動部材56の自由端部左右にはピン56b,56cが突設されており、右側のピン56bが下方プレート24に前後方向(矢印Y方向及びその反対方向)に伸長して形成された長孔24dに摺動自在に嵌合している。また、左側のピン56cは上述した可動担持部材53に形成された長孔53dに嵌挿せしめられている。すなわち、下方プレート24がその支持した下方トレイ9と共に上下動するのに伴って、連動手段たる連動部材56を介して可動担持部材53がこれに摺接するピン56cと共に上下動するようになされているのである。なお、当該実施例においては、上方トレイ8及び下方トレイ9の各左側端部を移動自在に担持する担持部材が可動担持部材53とピン56cとから成る。また、可動担持部材53を省きピン56cを上方トレイ8及び下方トレイ9用に一対設けてこの両ピン56cにより該各トレイの夫々を直接担持してもよい。また、更に、ピン56cを上記の連動部材56に一体に形成してもよい。かかる構成とすれば、可動担持部材53の案内をなす案内部材54は不要となりこれを削減し得る。
この連動手段と、可動担持部材53及びピン56cから成る担持部材と、案内部材53と、他の案内部材たる縦シャーシ15と、該縦シャーシの上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27に沿って上方トレイ8及び下方トレイ9を夫々移動せしめる前述の駆動手段とによって、上方トレイ8及び下方トレイ9の各々をプレーヤハウジング2に対する突出位置及び収納位置並びに演奏位置に案内し且つ移動せしめる案内駆動手段が構成されている。この案内駆動手段は、上方トレイ8及び下方トレイ9のうちいずれか一方が該演奏位置にあるときに他のトレイを該収納位置と突出位置のいずれかに位置せしめる。また、該案内駆動手段と、上方トレイ8及び下方トレイ9とにより、演奏さるべきディスクを担持してこれをプレーヤハウジング2内のターンテーブル17上に搬送するディスク搬送機構が構成されている。
ここで、縦シャーシ15に形成された上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27について詳述する。前述した如く、上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27は、第1垂下部26a,27aと第2垂下部26b,27bの2つずつの垂下部を有している。すなわち、例えば、上方ガイド8が上方ガイド孔26の第1垂下部26a、該第1垂下部に連続する第1平坦部26c及び第2垂下部26bに順次沿うことによりターンテーブル17を回避しつつ移動するとき、他方の下方トレイ9がこれに連動して下方ガイド孔27の第2垂下部27b、該第2垂下部に連続する第1平坦部27c及び第1垂下部27aに順次沿ってターンテーブル17を回避しながら移動する構成となっているのである。このように、2枚設けられたトレイ8及び9の一方の上下動に伴って他方も上下動する構成の故、両トレイの少なくとも一部どうしをターンテーブル17のディスク担持面に平行な面内において互いにオーバラップさせても両者は移動時に互いに干渉することはなく、両者をオーバラップせしめることにより該面内におけるプレーヤの大形化が最小限に抑えられているのである。
また、図5から明らかな如く、上方ガイド孔26の第1垂下部26aの下端は第2垂下部26bの下端よりも下方にあり、下方ガイド孔27の第1垂下部27aの下端は第2垂下部27bの下端よりも上方にある。かかる構成とすることにより、2つのトレイ8及び9のディスク供給口3a(図1、図2及び図5に図示)近傍における上下方向(矢印Z方向及びその反対方向)の位置調整がなされ、該両トレイは適当な離間距離を以てプレーヤハウジング2に対して夫々突出及び収納される。
次いで、上記したディスク搬送機構により搬送されてターンテーブル17上に載置されたディスクをクランプするディスククランプ機構について説明する。図2及び図3に示すように、前述した連動部材56の上方には平板状の支持部材58が配置されており、連動部材56と同様に支持ピン58aを介してターンテーブル17のディスク担持面に対して直角な面内において揺動自在に縦シャーシ15及び案内部材54に取り付けられている。図17(a)及び(b)にこの支持部材58の詳細を示す。図4及び図17(a),(b)に示す如く、支持部材58の自由端部には、ターンテーブル17上に載置されたディスクを該ターンテーブルに向けて押圧するための円盤状の押圧部材59が回転自在に取り付けられている。ディスク押圧力は、この押圧部材59に設けられたマグネット59aとターンテーブル17に固設された磁性部材(図示せず)とが吸着することにより得られる。支持部材58の自由端部の左側部には一対のローラ58b,58cが設けられており、これら両ローラは前述した上方プレート23(図2,図3,図4及び図7に図示)の上縁に形成された係合面23e,23f(図7(b)に図示)に係合し得る。すなわち、この上方プレート23がその担持した上方トレイ8と共に上下動するときに一対のローラ58b,58cを適宜押すことによって支持部材58が揺動するのである。後述するが、支持部材58との係合部材としての上方プレート23は、その上下移動経路のうちの第1区間内にて支持部材58の先端近傍のローラ58bに係合し、該第1区間とは異なる第2区間にてこのローラ58bと揺動中心軸である支持ピン58aとの間の他のローラ58cに係合する。
図3に示す如く、縦シャーシ15の側方に配置されたサブシャーシ41上には上方ラック29及び下方ラック30の位置を検知し以て上方トレイ8及び下方トレイ9の位置検出をなすための3つの検知スイッチ61,62及び63が前後方向において並設されている。中央の検知スイッチ62は、上方ラック29及び下方ラック30間に設けられたカムフォロア40の下端部がこれに当接することにより作動する。また、このカムフォロア40の前後に他の2つのカムフォロア65及び66が配置されており、カムフォロア40と共に上下方向において往復動自在にサブシャーシ41に取り付けられている。図18(a)及び(b)にカムフォロア65の詳細を示し、図19(a)及び(b)に他のカムフォロア66の詳細を示す。検知スイッチ62を前後に挾む2つの検知スイッチ61及び63はこれらカムフォロア65,66の下端部が夫々当接することによって作動する。なお、図18及び図19に示す如く、カムフォロア65,66の左側面にはピン65a,66aが夫々突設されており、上方ラック29及び下方ラック30に夫々形成されたカム溝29g,30gに各々摺動自在に係合している。これにより、各カムフォロア65,66は上方ラック29及び下方ラック30の移動に応じて適宜上下動する。
次に、上記した構成のフロントローディングディスクプレーヤの動作を図20ないし図33をも参照しつつ簡単に説明する。図1ないし図3に示す如く、上方トレイ8をプレーヤハウジング2外に突出させ、該上方トレイ上に例えばコンパクトディスク5(図1及び図4に図示)を載置する。なお、上方トレイ8の突出動作は以下に述べる収納動作の全く逆の過程を辿ってなされるので詳述はしない。
コンパクトディスク5を上方トレイ8上に載置したら、スイッチ群13(図1に図示)に含まれるローディングボタンを押す。すると、モータ37(図3参照)が回転し、これによりピニオン35が回転せられ、上方ラック29が図20及び図21に示す如く後方(矢印Y方向の反対方向)に移動せられる。これによって上方トレイ8は図22及び図23に示す如く前述の倍速機構の作用によって上方ラック29の移動速度の2倍の速度にてプレーヤハウジング2内に収納せしめられる。図20に示す状態のとき、下方ラック30はその欠歯部30eによりピニオン35と非噛合状態にあり、従って下方トレイ9は演奏位置に静止している。また、上方ラック29が図21に示す位置に至ると、カムフォロア40が作動し、これにより下方ラック30が所定距離だけ前方(矢印Y方向)に移動せられてピニオン35と噛合する。
この後、ピニオン35は更に回転を続け、上方ラック29及び下方ラック30は図24ないし図27に示す如く移動する。この各ラックの移動により図28ないし図32に示す如く上方プレート23及び下方プレート24は夫々上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27の各垂下部及び平坦部に順次沿ってターンテーブル17などを回避しつつ移動し、図32及び図33に示すように上方トレイ8は演奏位置に、また下方トレイ9は収納位置に位置決めされる。また、上方トレイ8上のコンパクトディスク5はターンテーブル17上に載置され、且つクランプされ演奏に供される。但し、図28及び図29には上方トレイ8及び下方トレイ9の位置は示していない。
ディスククランプ動作について説明する。上記の如き上方ラック29の移動に伴い、該上方ラックにピン23bにて係合した上方プレート23が上方ガイド孔26に沿って移動する。図23に示す如く、上方プレート23の上方への移動の初動時に係合部材たる該上方プレートはディスククランプ機構の主要部材である支持部材58の先端部近傍に配置されたローラ58bに係合してこれを上方に押す。これにより充分なるクランプ解除力が得られ、マグネット59a(図17(b)に図示)の磁力によりターンテーブル17に吸着していた押圧部材59は容易にターンテーブルから離脱する。この後、図28ないし図30に示す如く、上方プレート23は上記のローラ58bの前方すなわち支持部材28の揺動中心軸に近い部分に配置されたローラ58cに係合してこれを上方に押す。従って、支持部材58は急速に上方に揺動する。かくして、ターンテーブル17上に既に載置されていたディスクのクランプは解除され、該ディスクは前述の上方トレイ8及び下方トレイ9の動きに伴って該下方トレイ上に担持されて返送される。
図32及び図33に示すように、上記までの動作により上方トレイ8が演奏位置に、また、下方トレイ9が収納位置に至ったのであるが、この後は、下方トレイ9をイジェクトせしめるためのイジェクトボタンを押すことにより下方トレイ9はプレーヤハウジング2外に突出し、該下方トレイ上のディスクを新たなものと交換することが出来る。なお、このとき、上方トレイ8は演奏位置に静止しており、該上方トレイによりターンテーブル17上に搬送されたコンパクトディスクの演奏をそのまま続けることができる。
図23及び図32に示すように、夫々上記収納位置に位置する上方トレイ8及び下方トレイ9上のディスクを検知する検知手段としてのフォトセンサ71が設けられている。上方トレイ8及び下方トレイ9が演奏位置にある場合には光学式ピックアップによるフォーカシングがなされることにより該演奏位置にある該各トレイ上のディスクの有無を知ることが出来、また、該各トレイがプレーヤハウジング2外に突出しているときには該各トレイ上のディスクの有無は目視により確認される。従って、上記のフォトセンサ71を1つ設けるだけで演奏位置、収納位置及び突出位置にある各トレイ上のディスクの有無を全て確認することが出来る。
尚当該実施例においては、上方プレート23及び下方プレート24にピン23b,24bを突設して上方ラック29、下方ラック30の各山形状カム溝29a,30aの作用により該各ピンを上方ガイド孔26及び下方ガイド孔27に沿って移動せしめる構成とし、更に、該各ガイド孔が含む各垂下部における該ピンの逆行防止を揺動部材32(図11及び図12参照)によりなしている。かかる構成に限らず、図34に示す構成とすることによってもピン23b,24bの逆行を防ぐことが出来る。
即ち、上方ガイド孔26が含む第1及び第2垂下部26a,26bとこれらに連続する第1平坦部26cとの間に該各垂下部及び第1平坦部に対して傾斜した傾斜部26fを形成し、また、下方ガイド孔27が含む第1及び第2垂下部27a,27bとこれらに連続する第1平坦部27cとの間に該各垂下部及び第1平坦部に対して傾斜した傾斜部27fを形成する。かかる傾斜部26f及び27fを設けたことによって、ピン23b,24bは上記の垂下部を逆行することなく平坦部に円滑に移行する。また、更に、同図に示す如く、各ピン23b,24bに夫々摺動自在に外嵌する又部を有する一対の揺動部材72及び73を設けてこれを前述した揺動部材32の代わりに用いてもよい。
このように、本発明によれば、被駆動歯車を駆動歯車に対して非噛合状態から噛合状態へとさせるための機構が、簡単な機構で構成されている故、従来の歯車駆動機構に比してコストが安くなっているのである。