JP3647524B2 - スチームコンベクションオーブン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーブン機能に加えてスチームを利用した調理が可能なスチームコンベクションオーブンに関する。特には、扉開放時の蒸気放出に伴う問題点を解決するための改善の施されたスチームコンベクションオーブンに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、飲食業等の分野でスチームコンベクションオーブンが広く用いられるようになってきている。スチームコンベクションオーブンは、通常のオーブン機能(天火焼き、焦げ目を付ける)に加えて、蒸気を用いて食材を蒸すことができる。そのため、ローストビーフ、ローストチキン等を簡単に調理できるとともに、調理方法のヴァリエーションが広がり多彩な料理を提供できるという長所がある。
【0003】
図6は、従来のスチームコンベクションオーブンの構成を示す側面断面図である。ここで、図の左側の扉11のある方を前面といい、右側を後面という。
同図のスチームコンベクションオーブンは直方体状の加熱庫1を中心に構成されており、加熱庫1の後面側には上方に立ち上がる熱風路2が形成されている。熱風路2の左下側(内側)には、加熱部として、ガスバーナ3と着火用のパイロットバーナ及びイグナイタ4とが設けられており、イグナイタ4は図示しない電源部から電圧を印加されて火花を発し、パイロットバーナ4に点火する。加熱庫1内部の後面側には、熱風路2と連通してファン9が設けられており、このファン9はガスバーナ3で発生した熱風を熱風路2から加熱庫1内部に強制的に導入する。なお、ファン9はモータ8によって駆動される。
【0004】
また、本体5の後面には、スチーム供給部として、ボイラ6が取り付けられており、ボイラ6で発生したスチームを、ボイラ6から加熱庫1内部に延びる供給筒7から加熱庫1へ供給する。これにより、加熱庫1内部にある食物を熱風及びスチームによって加熱調理することができる。
加熱庫1の上部には、厨房の外側と連通する(あるいは排気フードに開口する)排気筒10が接続されている。このため、加熱庫1内にて、加熱調理に供された熱風及びスチームは、排気筒10から最終的には厨房の外部へと排出される。加熱庫1の前面には、開閉自在な扉11が取り付けられている。扉11に設けられている把手12を手で操作して扉11を開け閉めすることにより加熱庫1内へ食物を出し入れすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のスチームコンベクションオーブンにおいては、スチーム使用中に扉11を一気に開けると、図7に示すように、加熱庫1内部から高温のスチーム13が、開いた扉11の正面及び上方に一気に吹き出す。したがって、調理者は火傷を避けるために一時、スチームコンベクションオーブンの前面から身を避けねばならず、この結果、調理者の作業効率が悪くなるという欠点があった。
一方、厨房内に吹き出されたスチームの排出は、スチームコンベクションオーブンの上方に設けられた排気フードによって行なわれるが、正面に一気に吹き出されたスチームについては、上方の排気フードによる排気が不十分となり、この結果、スチームや熱気が厨房内にこもり、厨房内の環境が悪化する問題も生じていた。なお、調理品のでき具合を見るために調理中に扉を開けることは、しばしばあることである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、調理中にスチームコンベクションオーブンの扉を開けた場合に、加熱庫から正面方向に放出されるスチームの量を極力少なくすることのできるスチームコンベクションオーブンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のスチームコンベクションオーブンは、食物を加熱調理する加熱庫を含むスチームコンベクションオーブンにおいて、該加熱庫に沿ってスライド自在に設けられたスライド扉であって、開放時にその下端を中心に回動してその上端と該加熱庫との間にスチーム排気用の隙間を形成する加熱庫閉鎖用のスライド扉を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のスチームコンベクションオーブンは、使用者による上記スライド扉の開放開始を検知する扉開放検知手段と、スチーム使用中に該扉開放検知手段によってスライド扉の開放開始が検知された場合に、上記加熱庫内のスチームを加熱庫外に強制排気する排気手段とをさらに具備することとしてもよい。
あるいは、上記加熱庫内のスチームを凝縮させて加熱庫外へ排出する凝縮器をさらに具備することとしてもよい。
さらに、本発明のスチームコンベクションオーブンは、上記扉開放検知手段として、上記スライド扉の把手の内側に設けられたプッシュスイッチを採用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態及び実施例】
次に、本発明に係るスチームコンベクションオーブンの好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、前述した従来のスチームコンベクションオーブンと同様な部材については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0010】
図1〜図3は、第1実施例のスチームコンベクションオーブンの扉を開けた様子を示す説明図(側方から見た図)である。図1に示すように、本実施例のスチームコンベクションオーブンは、主に、スライド扉30、ガイドレール32、ロック装置34、ガススプリング36等を含んで構成される。スライド扉30の内側下端には、回転可能なローラ38が両側に設けられている。また、このローラ38は、加熱庫1の前面両側に取り付けられたガイドレール32にガイドされ、ガイドレール32上を摺動する。したがって、スライド扉30は、ガイドレール32に沿って上下方向にスライド移動することができる。このガイドレール32は下方にいくにしたがって曲線が形成されている。スライド扉30の上部には、ロック装置34が設けられている。このロック装置34は、スライド扉30に設けられた係止部と係合することにより、スライド扉30を加熱庫1に対して固定することができる。なお、ロック装置34のロックを解除する方法として、把手40にプッシュ式の解除装置を設ければ、把手40を握るだけでロックを解除することができる。
また、スライド扉30の中段部内側には、ガススプリング36のロッド36Aの端部が取り付けられている。一方、ガススプリング36のポッド36Bの端部は、加熱庫1の内側に取り付けられている。このガススプリング36は、スライド中のスライド扉30の動きが円滑となるように支持するとともに、開放時のスライド扉30が下方へと移動しないように支持する。
【0011】
上記の構成において、調理者がスライド扉30を開いた場合の作用は以下の通りである。先ず、調理者がスライド扉30を開ける場合は、スライド扉30の上部の把手40を手前に引く。すると、図2に示すように、スライド扉30は、一端、つまり、下端であるローラ38を中心に、上端30Aが矢印方向に回動し、加熱庫1との間にスチーム排気用の隙間42を形成する。この結果、スチームを使用している場合、加熱庫1内のスチームは、隙間42から徐々に上方へ逃がされ、排気フードによって厨房外へ排出される。
そして、図3に示すように、調理者がスライド扉30をガイドレール32に沿って上方にスライドさせて引き上げる途中においても、スチームは上方へと排出されていく。但し、スライド扉30が遮蔽板の役目を果たすので、加熱庫1の正面方向に漏れ出るスチームは、少なくてすむ。また、スライド扉30は、ガススプリング36によって支持されているので、スライド扉30を持ち上げる際は、比較的少ない力で持ち上げることができる。
【0012】
このように、本実施例では、スライド扉30を開けたときに、先ず、上端30Aと加熱庫1との間に隙間42を形成し、この隙間42からスチームをある程度、逃がしてからスライド扉30を上方にスライドさせて開けるようにしている。即ち、スライド扉30の開放動作の結果として、加熱庫1内のスチームを隙間42から上方に逃がした後に、スライド扉30を開けることになる。このために、スライド扉30の開放の際にスチームや熱気が正面方向に一気に吹き出すといった事態を防止できる。これにより、厨房内の環境の悪化、調理者が火傷を負うといった事態を防止することができる。
【0013】
次いで、本発明に係るスチームコンベクションオーブンの第2実施例について説明する。図4は本発明の第2実施例に係るスチームコンベクションオーブンの制御系のブロック図である。図5は第2実施例のスチームコンベクションオーブンの排気手段周辺を示した説明図である。
【0014】
図4に示すように、本実施例のスチームコンベクションオーブンは、扉開放検知手段14、制御部16、排気手段18、凝縮器19、加熱部・スチーム供給部20を有している点が第1実施例と異なる。扉開放検知手段14は、調理者の扉の開放開始、つまり、使用者が扉を開こうとするのを検知するものであり、例えば、スチームコンベクションオーブンの把手の内側に設けられたプッシュスイッチ等を利用することができる。このため、調理者がスライド扉30を開けようとして把手を握ると、プッシュスイッチがオンされ、スライド扉30の開放開始を表す旨の信号が制御部16に伝達される。
また、図5に示すように、本実施例のスチームコンベクションオーブンでは、排気手段として、加熱庫1からL字型に延びる排気筒10に排気ファン26が設けられている。また、排気筒10の排気ファン26から外側寄りの部分には、凝縮器27が取り付けられている。この凝縮器27は、排気ファン26により排気筒10に導かれたスチームを冷却・凝縮して水とする。
【0015】
このような構成において、制御部16に扉開放検知手段14からスライド扉30の開放開始を表す信号が入力されると、制御部16は、排気手段18を作動させるとともに、加熱部・スチーム供給部20に対して加熱及びスチームの供給を停止する指示信号を出力する。すると、排気ファン26は加熱庫1内部の雰囲気を凝縮器27へと吸引するように回転するとともに、凝縮器27は、内蔵された熱交換装置によってスチームの冷却を開始する。
この結果、スライド扉30の開放時に、加熱庫1内のスチームの一部は、図2に示す隙間42から徐々に上方へ逃がされ、又、加熱庫1内に残存しているスチームは排気手段18によって凝縮器19に強制的に導入され凝縮して水となり、下水から排出される。このため、加熱庫1の正面から吹き出されるスチームをさらに低減することができ、スライド扉30の開放時に調理者がスチームの吹き出しを避けるために一時退避しなければならないといった不便さを解消することができる。また、スチームが凝縮されて水として排出されるため、大型の排気フード等の特別な室内換気対策を施す必要もなくなる。
【0016】
なお、本実施例では、排気ファン26によって強制的に排気するようにしているが、スチームコンベクションオーブンの機種や設計によっては加熱庫1内の圧力、あるいは温度差によるヘッドを利用して、自然排気でスチームを凝縮器27に導くこともできる。また、排気筒10を設置することなく、加熱庫1に直接、凝縮器を設置してもよい。さらに、凝縮器27を設置することなく、排気手段のみを設置してもよい。
【0017】
以上、本発明について好適な実施例を挙げて説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、変更が可能である。例えば、第2実施例では、扉開放検知手段14として、把手に設けたプッシュスイッチを利用しているが、スライド扉30と本体枠との間に設けられた磁気センサ等、調理者の扉開放開始動作を検知できれば、どのようなものでもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スチーム使用中に扉を開けた場合でも、加熱庫正面から放出されるスチームが少なくてすむので、厨房内環境の悪化、調理者が火傷を負うといった事態が防止できる。また、扉の開放時に調理者がスチームコンベクションオーブンから退避する必要がなくなるので、厨房内での作業効率の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のスチームコンベクションオーブンの扉を開けた様子を示す説明図(側方から見た図)である。
【図2】第1実施例のスチームコンベクションオーブンの扉を開けた様子を示す説明図(側方から見た図)である。
【図3】第1実施例のスチームコンベクションオーブンの扉を開けた様子を示す説明図(側方から見た図)である。
【図4】本発明の第2実施例に係るスチームコンベクションオーブンの制御系のブロック図である。
【図5】第2実施例のスチームコンベクションオーブンの排気手段周辺を示した説明図である。
【図6】従来のスチームコンベクションオーブンの構成を示す側面断面図である。
【図7】従来のスチームコンベクションオーブンの扉を開放した場合を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 加熱庫 3 ガスバーナ(加熱部)
6 ボイラ(スチーム供給部)
10 排気筒 14 扉開放検知手段
16 制御部 18 排気手段
19 27 凝縮器
20 加熱部・スチーム供給部
26 排気ファン(排気手段)
30 スライド扉 32 ガイドレール
34 ロック装置 36 ガススプリング
38 ローラ 40 把手
42 隙間
Claims (2)
- 食物を加熱調理する加熱庫を含むスチームコンベクションオーブンにおいて;
該加熱庫にスライド自在に設けられたスライド扉であって、開放時にその下端を中心に回動してその上端と該加熱庫との間にスチーム排気用の隙間を形成するスライド扉を具備することを特徴とするスチームコンベクションオーブン。 - 使用者による上記スライド扉の開放開始を検知する扉開放検知手段と、
スチーム使用中に該扉開放検知手段によってスライド扉の開放開始が検知された場合に、上記加熱庫内のスチームを加熱庫外に強制排気する排気手段とをさらに具備する請求項1記載のスチームコンベクションオーブン。
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