JP3644445B2 - 画像読取信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージセンサで読み取った画像信号を増幅し、ついで増幅出力をサンプルホールドする画像読取信号処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、イメージセンサからの複数の画像読取信号を時系列化して取り出す画像読取信号処理装置の全体を示す図である。図4において、30はイメージセンサ、31A〜31Mは二重相関サンプリング回路、32A〜32Mはサンプルホールド回路、33A〜33Mはスイッチ、34はバッファ、35は出力端子、A,B,Mはそれぞれ1つの画像読取信号に対する処理チャンネルである。
【0003】
二重相関サンプリング回路31A〜31Mは、まだイメージセンサ30から画像読取信号が入力されない段階で、入力側の図示しない寄生容量等に存在する入力バイアス電圧を入力しておき、次に、入力バイアス電圧に画像読取信号が重畳されたものが入力された時には、先に入力しておいた入力バイアス電圧を差し引いた分(即ち、画像読取信号)だけを増幅した出力を得る回路である。サンプルホールド回路32A〜32Mは、二重相関サンプリング回路31A〜31Mの出力を保持しておく回路である。
【0004】
処理チャンネルAを例にとると、まず、イメージセンサ30の或る1つの画像読取素子からの入力信号(画像読取信号)を、二重相関サンプリング回路31Aで増幅し、サンプルホールド回路32Aで保持する。このようにして、各処理チャンネルA〜Mのサンプルホールド回路32A〜32Mには、イメージセンサ30の各画像読取素子からの画像読取信号の増幅出力が保持されるが、スイッチ33A〜33Mを順次オンし、バッファ34を経て出力端子35に取り出すと、1列に時系列化された信号となる。
【0005】
この時系列化信号は、出来るだけ休止期間なく連続して出力されることが要求される。もし休止期間があると、その休止期間中は次の回路がデータを取り込まないよう制御をする必要があり、制御が面倒となるからである。また、休止期間を設けると、出力期間中のクロック周波数を大にしてやらなければならないが、そうすると最終段のバッファの周波数帯域を広くしてやる必要が出て来るからである。
【0006】
しかし、連続して出力しようとする場合、サンプルホールド回路に問題点が出てくる。というのは、サンプルホールド回路では、ホールドしているデータを出力している間に、サンプリングした次のデータをホールドするということは出来ない。従って、各処理チャンネルでのサンプリングやサンプルホールドを、同一の制御信号で制御しようとすると、サンプリングしている間は出力を停止しなければならないことになる。そのようなことを回避するために、各処理チャンネルのサンプルホールド回路を、2重にすることが考えられている。以下、二重相関サンプリング回路,サンプルホールド回路について、順に説明する。
【0007】
(二重相関サンプリング回路)
図2は、従来の二重相関サンプリング回路の1例を示す図である。図2において、1はイメージセンサ、2はフォトダイオード、3はバイアス電源、4は容量、5はTFT(薄膜トランジスタ)、6は容量、7は入力信号線、8は二重相関サンプリング回路、9はリセットスイッチ、10は入力バイアス電源、11はオペアンプ、12はスイッチ、13,14はコンデンサ、15はローパスフィルタ、16は抵抗、17はコンデンサ、18はバッファ、19は直流再生用コンデンサ、20はスイッチ、21は出力基準電源、22はバッファ、23は出力端子、24は駆動パルス発生器である。
【0008】
イメージセンサ1には、カソードにバイアス電源3の正極が接続され、アノードがTFT5のドレインに接続されたフォトダイオード2が設けられていて、これが光を検出する。フォトダイオード2は1つしか描いてないが、実際には多数設けられている。フォトダイオード2のアノードに描かれている容量4は、フォトダイオード2の自己容量とTFT5のドレイン側寄生容量の合計容量を表している。また、TFT5には、点線で記したように、ゲートとドレインDとの間およびゲートとソースSとの間には、ゲートとオーバーラップするために生ずる容量が、僅かではあるが存在している。容量6は、TFT5のソース側寄生容量とICで構成されている二重相関サンプリング回路8の入力容量の合計容量を表している。
【0009】
二重相関サンプリング回路8はICとして構成され、その中の各スイッチはアナログスイッチで構成される。駆動パルス発生器24は、TFT5および各スイッチのオン,オフを制御するパルスを発生する。入力信号線7には、リセットスイッチ9を介して入力バイアス電源10が接続されている。オペアンプ11は、負帰還回路としてスイッチ12とコンデンサ13を具え、スイッチ12がオンされた時にはバッファ(ゲイン1倍)として動作し、スイッチ12がオフされた時には、コンデンサ14,13の容量比で決まるゲインの増幅器として動作する。負帰還回路が二重にされているのは、オペアンプ11で二重相関サンプリングをさせるためである。
【0010】
すなわち、まず入力バイアス電圧を入力しておき(第1回サンプリング)、次にその入力バイアス電圧に画像読取信号が重畳されたものを入力し(第2回サンプリング)、その差分を増幅する。
【0011】
(1)入力バイアス電圧の入力
TFT5をオフにした状態でリセットスイッチ9を一定期間オンすると、容量6は、入力バイアス電源10によって充電され、入力バイアス電圧V10となる。リセットスイッチ9をオフした後スイッチ12をオンすると、オペアンプ11はバッファとして動作し、その出力電圧は、入力バイアス電圧V10にオペアンプ11自身のオフセットが加わった電圧となる。反転入力端子のコンデンサ14は、負帰還により同じ電圧に充電される。オペアンプ11自身のオフセットはV10に比して充分小さいとすると、それは無視できるから、コンデンサ14の充電電圧は入力バイアス電圧V10と等しい。
【0012】
オペアンプ11の出力V10は、ローパスフィルタ15およびバッファ18を経て、直流再生用コンデンサ19に印加される。このとき、スイッチ20もオンされていて、出力基準電源21が直流再生用コンデンサ19の逆方向から印加される。出力基準電源21の電圧をV21とすると、直流再生用コンデンサ19の極板間には、
V10−V21
の電圧が充電される。この後、スイッチ20はオフとされる。
【0013】
なお、ローパスフィルタ15は、ノイズを低減するために設けられている。増幅器の遮断周波数は、製造上のバラツキとか寄生容量等で多少変動するため、一般に仕様よりも余裕を持つよう大きめに設計してある。オペアンプ11も、通常そのように設計してある。そのため、必要とされる帯域外のノイズも増幅してしまうので、それらを低減する必要があるからである。
【0014】
バッファ18は、ローパスフィルタ15から見た入力側のインピーダンスを大にすると共に、直流再生用コンデンサ19から出力側を見たインピーダンスを小にするために設けられている。もし、バッファ18がないと、直流再生用コンデンサ19がローパスフィルタ15の負荷として接続されている形となり、ローパスフィルタ15の遮断周波数を低下させ、周波数帯域を狭くするおそれがあるからである。
【0015】
(2)入力バイアス電圧+入力信号の入力
フォトダイオード2に入射した光量に応じて電流が流れ、容量4が充電され、これが画像読取信号ΔVとなる。TFT5がオンされると、容量6の電圧V10に画像読取信号ΔVが重畳されたものが、オペアンプ11に入力される。オペアンプ11での増幅度A11を仮に100倍とすると、出力電圧は
V10+100×ΔV
となる。
【0016】
これが、ローパスフィルタ15およびバッファ18を経て直流再生用コンデンサ19に印加される。直流再生用コンデンサ19には、先程(V10−V21)の電圧が充電されているから、それを差し引いた電圧、即ち
(V10+100×ΔV)−(V10−V21)=100×ΔV+V21
なる電圧がバッファ22の入力に印加されることになる。従って、出力端子23に得られる出力は、100×ΔV+V21である。
【0017】
図3は、前記の画像読取信号処理装置におけるタイムチャートである。実線の波形は暗時(光入射のない時)の波形、一点鎖線の波形は光入射時の波形である。以下、時間を追って動作を説明する。
【0018】
(1)時間t1 〜t2
時間t1 で、図3(b)に示すように、TFTゲート駆動信号がONとされると、ゲート信号がゲートからドレインまたはソースへ漏れ込むというフィードスルー現象が生ずる。漏れ込んで来た信号(電荷)により、容量6の充電電圧がその分上昇する。図3(c)の波形が時間t1 で波形c−1の如く上昇しているのは、その電圧(フィードスルー電圧)を表している。暗時であれば入力はフィードスルー電圧だけであるが、光入射時であれば、それに入力信号ΔVが重畳されて一点鎖線の波形となる。
【0019】
オペアンプ11は、フィードスルー電圧も含めて、図3(d)に示すように増幅する。その増幅出力が入力されるローパスフィルタ15の出力は、図3(e)のように、オペアンプ11の出力値に向かって時定数をもって上昇してゆく。
【0020】
(2)時間t2 〜t4
時間t2 で、図3(b)に示すようにTFTゲート駆動信号がOFFとされると、フィードスルー現象により、ONした時に容量6に漏れ込んでいたと同量の電荷が漏れ出るから、図3(c)に示すように、入力信号線7の電位は漏れ出た電荷に相当する電圧(フィードスルー電圧)だけ低下する。オペアンプ11の出力波形も、それに対応して低下する。ローパスフィルタ15の出力は、フィードスルー電圧の増幅値を含む高い値から、その分が消滅したオペアンプ11の出力値に向かって、時定数に従って減少する。
【0021】
図2の出力端子23からの出力は、図示しないサンプルホールド回路に送られて、ホールドされる。時間t2 〜t4 間の時間t3 でサンプリングすると、暗時には出力E1 に対応した値が得られ、光入射時には出力E2 に対応した値が得られる。
【0022】
(3)時間t4
時間t4 でリセットスイッチ9がオンされると、入力信号線7上の入力がリセットされる。
【0023】
(サンプルホールド回路)
図5は、サンプルホールド回路を2重にした従来例である。図5において、40は第1のサンプルホールド回路、41は第2のサンプルホールド回路、42はオペアンプ、43はスイッチ、44,44Bはコンデンサ、45,46はスイッチ、47はスイッチ、48はコンデンサ、49,50はスイッチ、51はオペアンプ、52は出力端子である。各スイッチは、例えばMOSFET等のアナログスイッチで構成される。
【0024】
オペアンプ42の反転入力端子(−)は、スイッチ43を介してオペアンプ42の出力端子と接続されると共に、コンデンサ44,スイッチ45の順に接続された回路を経て固定電位(アース)と接続される。また、コンデンサ44とスイッチ45の接続点は、スイッチ46を介してオペアンプ42の出力端子と接続される。オペアンプ42の出力はスイッチ47を介してサンプルホールド用のコンデンサ48と接続され、両者の接続点はスイッチ49を介してオペアンプ51の入力に接続される。オペアンプ51は、出力端子と反転入力端子(−)とが接続され、バッファとして動作させられている。なお、第2のサンプルホールド回路41は、第1のサンプルホールド回路40と同様の構成である。
【0025】
第1のサンプルホールド回路40の動作は、次の通りである。入力端子39には、二重相関サンプリング回路からの出力が入力されるが、二重相関サンプリング回路に入力バイアス電圧だけを入力する時には、スイッチ43,45をオン、スイッチ46,47,49をオフにしておく。すると、オペアンプ42には100%の負帰還がかけられているのでバッファとして動作し、入力バイアス電圧をVi ,オペアンプ42自身のオフセット電圧をVioとすると、非反転入力端子(+)に入力されたVi +Vioと同じ大きさの電圧が、オペアンプ42の出力に現れる。コンデンサ44はその電圧(Vi +Vio)に充電される。
【0026】
次に、スイッチ43,45をオフ、スイッチ46,47をオン、スイッチ49をオフにしておいて、画像読取信号を入力した時の二重相関サンプリング回路からの出力VS を、入力端子39に入力する。すると、入力は、VS +Vi +Vioとなる。この時のオペアンプ42の出力電圧をV42とすると、V42にコンデンサ44の充電電圧(Vi +Vio)を加えた電圧(V42+Vi +Vio)が、反転入力端子(−)に入力される。オペアンプ42は、次式が成り立つように動作する。
VS +Vi +Vio=V42+Vi +Vio
従って、V42=VS となり、スイッチ47がオンされると、入力信号VS がコンデンサ48に充電されて、サンプルホールドされる。
【0027】
保持された電圧は、その後スイッチ49がオンされた時に、オペアンプ51を経て出力端子52に取り出される。第1のサンプルホールド回路40から出力している間に、第2のサンプルホールド回路41を動作させて、次のデータをホールドすることが出来る。
【0028】
なお、画像読取信号処理装置に関する従来の文献としては、例えば、特開昭62−185458号公報,特開昭62−135775号公報等がある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の技術には、次のような問題点があった。すなわち、図2の二重相関サンプリング回路では、ローパスフィルタの出力側にバッファを2個設ける構成となっているので、回路規模が大となると共に、消費電力が多くなるという点である。具体的には、図2を見れば分かるように、ローパスフィルタ15の後段に2個のバッファ18,22が設けられでいるが、これらを構成するには多くの回路素子を必要とすると共に、それらを動作させる電力を必要とし消費電力が多くなる。また、バッファ自身が、そもそもリニアリティを悪化させたりノイズを発生したりするので、これは少ない方がよい。
【0030】
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像読取信号処理装置は、入力側に、入力バイアス電源に接続され入力をリセットするリセットスイッチを有する増幅段と、前記増幅段の出力が入力され、抵抗と第1のスイッチを介して接続された第1のコンデンサとで構成されるローパスフィルタと、前記ローパスフィルタに直列接続された直流再生用コンデンサと、前記直流再生用コンデンサの後段に接続され、入力側に第2のスイッチを介して出力基準電源が接続されているバッファ接続オペアンプと、前記出力基準電源を投入する時は前記第2のスイッチをオンし、前記第1のスイッチをオフし、それ以外の時は前記第2のスイッチをオフし、前記第1のスイッチをオンするスイッチ駆動手段とを備えた二重相関サンプリング回路を有する構成となっている。
【0032】
上記構成の画像読取信号処理装置において、出力基準電源を投入する時は第2のスイッチをオンし、第1のスイッチをオフし、それ以外の時は第2のスイッチをオフし、第1のスイッチをオンすることで、キャンセル用の直流電圧を印加する時には、直流再生用コンデンサがローパスフィルタを構成するコンデンサとして兼用される。これにより、ローパスフィルタと直流再生用コンデンサとの間に接続されていたバッファを不用とすることが出来、回路規模を小にすると共に消費電力を小にすることが出来る。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取信号処理装置に使用する二重相関サンプリング回路の構成例を示す図である。符号は図2のものに対応し、26はスイッチ、27はコンデンサである。本構成例に係る二重相関サンプリング回路は、前記した問題点、即ちローパスフィルタの出力側にバッファを2個設ける構成となっているので、回路規模が大となると共に、消費電力が多くなるという問題点を解決するために為されたものである。
【0035】
従来例(図2)では、ローパスフィルタ15を構成するコンデンサとしては、入力バイアス電圧だけを入力する時でも入力信号を重畳したものを入力する時でも、常にコンデンサ17を使用していた。従って、スイッチ20をオンしている入力バイアス電圧入力時には、もしバッファ18が無ければ、直流再生用コンデンサ19もコンデンサ17と共にローパスフィルタ15を構成するコンデンサとして作用してしまい、遮断周波数を狂わすことになってしまっていた。
【0036】
直流再生用コンデンサ19の容量がローパスフィルタ15側に影響を及ぼさないようにするために、バッファ18が挿入されていた訳であるが、本実施形態では、入力バイアス電圧入力時には、スイッチ26をオフしてコンデンサ27を切り離し、直流再生用コンデンサ19をローパスフィルタ15構成用のコンデンサとして兼用するようにしている。そのため、バッファ18を設ける必要がなくなった。以下、動作を説明する。
【0037】
(1)入力バイアス電圧の入力
オペアンプ11の出力V10が出て来るまでの動作は、図2の従来例と同じであるので、その説明は省略する。入力バイアス電圧入力時には、スイッチ26はオフされ、スイッチ20はオンされている。抵抗16と直流再生用コンデンサ19とによりローパスフィルタが構成され、ノイズが低減される。直流再生用コンデンサ19の極板間には、従来と同様、
V10−V21
の電圧が充電される。この後、スイッチ20はオフとされる。
【0038】
(2)入力バイアス電圧+入力信号の入力
この時には、スイッチ26がオンされ、スイッチ20は既にオフされているから、抵抗16とコンデンサ27とでローパスフィルタ15が構成される。TFT5がオンされると、容量6の電圧V10に画像読取信号ΔVが重畳されたものが、オペアンプ11に入力される。オペアンプ11での増幅度A11を仮に100倍とすると、出力電圧は、
V10+100×ΔV
となる。これが、前記構成のローパスフィルタ15でノイズ低減され、直流再生用コンデンサ19に印加される。これ以後の動作は、従来例と同様である。
【0039】
上述した動作から分かるように、本実施形態に係る画像読取信号処理装置においては、入力バイアス電圧入力時と入力バイアス電圧+入力信号の入力時とで、ローパスフィルタを構成するコンデンサが異なるので、それぞれの場合で遮断周波数を異ならせることが出来る。因みに、入力バイアス電圧は、リセットスイッチ9をオンした後の電圧(V10)であり、これは略一定であるので、直流再生用コンデンサ19に充電される電圧も略一定である。従って、時定数を小にする必要はそれほどない。このことを踏まえれば、直流再生用コンデンサ19の容量をコンデンサ27の容量よりも大にして、この時の時定数を大にしても差し支えないから、そのようにしてランダムノイズを低減することが可能となる。
【0040】
スイッチ26をオンするのは、スイッチ20をオフしてからと説明している理由は、直流再生用コンデンサ19の充電電圧(V10−V21)を変化させないようにするためである。もし、スイッチ26をオンした後にスイッチ20をオフすると、両方がオンしている期間が存在し、その期間では、出力基準電源21,直流再生用コンデンサ19,コンデンサ27から成る閉回路が形成されてしまう。すると、直流再生用コンデンサ19はこの閉回路で放電し、その充電電圧が変化してしまう。
【0041】
リセットスイッチ9は、MOSFETを用いたアナログスイッチで構成されるが、オンされたとき、MOSFETのチャンネル部分は抵抗体として働く。そこからは熱電子雑音(kTCノイズ)が発生するので、入力バイアス電圧を入力してから入力信号を取り入れるまでの間にリセットスイッチ9をオンすると、この熱電子雑音によって、S/N比が大幅に悪くなる。従って、リセットスイッチ9のオンは、入力バイアス電圧を入力する前に済ませておく必要がある。
【0042】
また、TFT5をオンしている期間にスイッチ26またはスイッチ20をオンしていると、フィードスルーによる電圧を増幅したことで飽和したオペアンプ11の出力電圧で、コンデンサ27または直流再生用コンデンサ19が充電され、元の電圧に戻るまで暫くの時間を要するので高速動作が出来なくなる。従って、TFT5のオン期間中は、スイッチ20,26は、共にオフしておくことが望ましい。なお、入力バイアス電源10と出力基準電源21とは、別々に設けてあるが、動作条件によっては共通とすることも出来る。
【0043】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明に係る画像読取信号処理装置によれば、次のような効果を奏する。すなわち、二重相関サンプリング回路内の直流再生用コンデンサを、キャンセル用の直流電圧を印加する時には、ローパスフィルタを構成するコンデンサとしても利用することで、ローパスフィルタと直流再生用コンデンサとの間に接続されていたバッファを不用とすることが出来るため、回路規模を小にすると共に消費電力を小にすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る画像読取信号処理装置に使用する二重相関サンプリング回路の構成例を示す図
【図2】 従来の二重相関サンプリング回路の1例を示す図
【図3】 従来の二重相関サンプリング回路におけるタイムチャート
【図4】 イメージセンサからの複数の画像読取信号を時系列化して取り出す画像読取信号処理装置の全体を示す図
【図5】 サンプリングホールド回路を2重にした従来例を示す図
【符号の説明】
1…イメージセンサ、2…フォトダイオード、3…バイアス電源、4…容量、5…TFT、6…容量、7…入力信号線、8…二重相関サンプリング回路、9…リセットスイッチ、10…入力バイアス電源、11…オペアンプ、12…スイッチ、13,14…コンデンサ、15…ローパスフィルタ、16…抵抗、17…コンデンサ、18…バッファ、19…直流再生用コンデンサ、20…スイッチ、21…出力基準電源、22…バッファ、23…出力端子、24…駆動パルス発生器、26…スイッチ、27…コンデンサ、30…イメージセンサ、31A〜31M…二重相関サンプリング回路、32A〜32M…サンプルホールド回路、33A〜33M…スイッチ33、34…バッファ、35…出力端子、39…入力端子、40A,40B…二重相関サンプリング回路、41A,41B…サンプルホールド回路、42…オペアンプ、43…スイッチ、44…コンデンサ、45,46…スイッチ、47…スイッチ、48…コンデンサ、49,50…スイッチ、51…オペアンプ、52…出力端子
Claims (3)
- 入力側に、入力バイアス電源に接続され入力をリセットするリセットスイッチを有する増幅段と、
前記増幅段の出力が入力され、抵抗と第1のスイッチを介して接続された第1のコンデンサとで構成されるローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタに直列接続された直流再生用コンデンサと、
前記直流再生用コンデンサの後段に接続され、入力側に第2のスイッチを介して出力基準電源が接続されているバッファ接続オペアンプと、
前記出力基準電源を投入する時は第2のスイッチをオンし、第1のスイッチをオフし、それ以外の時は第2のスイッチをオフし、第1のスイッチをオンするスイッチ駆動手段と
を備えた二重相関サンプリング回路を有することを特徴とする画像読取信号処理装置。 - 前記スイッチ駆動手段は、前記第2のスイッチをオフした後に前記第1のスイッチをオンする
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取信号処理装置。 - 前記スイッチ駆動手段は、前記増幅段への入力を行っている期間には、前記第1,第2のスイッチを共にオフとしておく
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取信号処理装置。
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