JP3636229B2 - 手術用顕微鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば脳神経外科の手術においてのマイクロサージャリーに使用される手術用顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、手術手法や手術用具の発達に伴い、マイクロサージャリーが頻繁に行われるようになってきている。マイクロサージャリーにおいては、術部を拡大観察するために手術用顕微鏡装置が用いられる。手術用顕微鏡装置は、一般に、術部を拡大観察するための鏡体(顕微鏡)と、術者の所望する任意の位置に鏡体を移動し、かつ、所望の姿勢に変位可能な支持装置とを備えて構成されている。
【0003】
特に、脳神経外科の手術においては、その術部を様々な方向から観察するため、鏡体の位置や角度(姿勢)を頻繁に変える必要性がある。そこで、従来から、鏡体を迅速かつ正確に目的の位置に移動させて任意の姿勢をとらせるとともに、その鏡体の移動軌跡を限定可能な種々の支持装置が提案されている。
【0004】
その中でも、観察点を移動させないで、顕微鏡の鏡体を傾斜可能な支持装置として、特開平5−168648号公報および特開平5−215972号公報に提示されたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−168648号公報の支持装置は、顕微鏡の鏡体を傾斜させたときに鏡体の焦点位置を中心に傾斜させるべく設定される前側平行リンク機構の縦フレームの長さが長くなるために、その前側平行リンク機構が大きく突出して操作上の邪魔になる。また、前側平行リンク機構による顕微鏡鏡体の傾斜運動を他のリンク機構により下方の後側平行リンク機構に伝達しているので、それらリンク機構を設けることによって構造がかなり複雑になるとともに、その傾斜可動範囲も狭くなってしまう。さらには、顕微鏡の鏡体を焦点位置中心ではなく、鏡体の近傍を中心にわずかに傾斜させて視野移動を行おうとする場合でも、その全てのリンク機構およびカウンターエイトまでも連動して動く結果、その大きな慣性力に抗して動かさなければならないため、操作力が大きくなり、操作する際の動きが重くなる。
【0006】
一方、特開平5−215972号公報の支持装置においても、顕微鏡の鏡体の傾斜運動をリンク機構により伝達しているので、同じく構造が複雑になるとともに、顕微鏡鏡体の傾斜可動範囲も狭くなり、かつ、大きな操作力が必要となる。さらに、水平方向のバランスをとる重りが、顕微鏡の鏡体を移動させたときに反対側へ大きく突出する位置に配設されるため、その重りが手術中の操作の邪魔になる。
【0007】
すなわち、前述した両者のものとも、観察点を中心とした傾斜運動が可能な反面、その機構部が、他の機器に干渉したり、手術中に術者並びに補助者の邪魔になったりする。また、顕微鏡の鏡体の移動に大きな操作力を要して、大変、使いづらいものであった。
【0008】
本発明は前記課題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、観察点を中心とした顕微鏡鏡体の傾斜運動が可能であるにも拘らず、他の機器に干渉したり、手術中に術者並びに補助者の邪魔になったりすることが少なく、また、機構部分が大型化せず、運動機構部分の慣性力を小さくできて、顕微鏡の鏡体の移動を軽い力で行え、術者の疲労が軽減できる手術用顕微鏡装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、顕微鏡の鏡体(12)を支持し、その鏡体(12)を3次元的に移動可能で、かつ特定の移動軌跡に限定可能な手術用顕微鏡装置において、
臨床室の床や天井等の被設置部位に対して取り付けられ、鉛直軸(O0 )まわりに回動可能な支柱(1)と、
前記支柱(1)に対して、前記鉛直軸(O0 )と異なる回転軸(O1 )まわりに回動可能に接続され、複数のアーム(2a〜2d)を前記回転軸(O1 )を含む互いに平行な回転軸(O1 〜O4 )まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第1の平行四辺形リンク(2)と、
前記第1の平行四辺形リンク(2)の上方および下方の一方の側に配置され、前記支柱(1)に対し、前記回転軸(O1 )と平行な回転軸(O5 )まわりに回動可能に接続され、複数のアーム(3a〜3d)を前記回転軸(O5 )を含む互いに平行な回転軸(O5 〜O8 )まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第2の平行四辺形リンク(3)と、
前記第1の平行四辺形リンク(2)における面内においてその回転軸(O1 )とこれに隣接する一方の回転軸(O4 )とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク(3)における面内において前記回転軸(O1 )と回転軸(O4 )に対応したその第2の平行四辺形リンク(3)における前記回転軸(O5 )とこれに隣接する一方の回転軸(O8 )とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく、前記回転軸(O1 )を中心として回転する第1の平行四辺形リンク(2)における一方のアーム(2a)と前記回転軸(O5 )を中心とした前記第2の平行四辺形リンク(3)における一方のアーム(3a)との回動を連動させる第1の連動機構と、
前記第1の平行四辺形リンク(2)における面内においてその回転軸(O1 )とこれに隣接した他方の回転軸(O2 )とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク(3)における面内においてその回転軸(O5 )とこれに隣接する他方の回転軸(O6 )とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく前記回転軸(O1 )を中心として回動する前記第1の平行四辺形リンク(2)における他方のアーム(2b)と、前記回転軸(O5 )を中心として回動する前記第2の平行四辺形リンク(3)における他方のアーム(3b)の回動を連動させる第2の連動機構と、
前記第1の平行四辺形リンク(2)においての前記アーム(2b)に対辺するアーム(2d)に接続され、その先端に取り付けられる鏡体を、互いに直交する2つの回転軸(O9 ,O10)を中心に傾斜可能な第1の傾斜アームと、
前記第2の平行四辺形リンク(3)においての前記アーム(3b)に対辺するアーム(3d)に接続され、それぞれ前記回転軸(O9 ,O10)に平行な回転軸(O21,O12)を中心に傾斜可能な傾斜ロッド(25)を先端に取り付けた第2の傾斜アームと、
前記第1の傾斜アームと前記第2の傾斜アームとを運動伝達部材で連結し、前記第1の傾斜アームが前記回転軸(O 9 )のまわりに回転する角度に対応する角度で、前記第2の傾斜アームに接続された前記傾斜ロッド(25)を回転軸(O 21 )まわりに回転させると共に、前記第1の傾斜アームが回転軸(O 10 )を中心に回転する角度に対応する角度で、前記第2の傾斜アームに接続された前記傾斜ロッド(25)を回転軸(O 12 )のまわりに回転させる運動伝達機構と、
前記傾斜ロッド(25)の移動軌跡を前記被設置部位に対しての所定位置に限定可能な運動規制機構とを備え、
前記鉛直軸(O0 )を含む面と平行な面内で回転軸(O1 ,O4 ,O10)をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸(O5 ,O8 ,O12)をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して成ることを特徴とする手術用顕微鏡装置。
【0010】
【実施例】
図1ないし図10に従って、本発明の第1の実施例を説明する。
【0011】
(構成)
図1は、この第1の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体の概略的な構成を示している。同図中、1は支持装置における支柱であり、この支柱1は、支持台4に対して支持されている。支持台4は、底面にキャスターを有した底板4aと立柱4bとからなり、その立柱4bの上端部において、支柱1は、鉛直軸O0 を中心として回転自在に設けられている。支柱1の上部には、第1の平行四辺形リンク(機構)2が接続されており、その支柱1の下部には、第2の平行四辺形リンク(機構)3が接続されている。
【0012】
第1の平行四辺形リンク2は、平行四辺形を形成するようにアーム2a〜2dを配置し、これらを互いに平行な回転軸O1 〜O4 まわりに回動可能に接続してなるものであり、前記支柱1の上端部に上方支持部材5を介してその回転軸O1 まわりに回動可能に接続されている。ここで、回転軸O1 と鉛直軸O0 とは直交している。また、第2の平行四辺形リンク3は、平行四辺形を形成するようにアーム3a〜3dを配置し、これらを互いに平行な回転軸O5 〜O8 まわりに回動可能に接続してなるものであり、前記支柱1の下端部に下方支持部材6を介してその回転軸O5 まわりに回動可能に接続されている。ここで、回転軸O5 と鉛直軸O0 とは直交し、かつ前記回転軸O1 と平行である。つまり、第1の平行四辺形リンク2と第2の平行四辺形リンク3は、支柱1の上下に分離して配置されるとともに、相似的に対応関係をもって配置されている。そして、後述する第1の連動機構および第2の連動機構を介して相似的に連繋した変形動作を行うようになっている。
【0013】
つまり、第1の平行四辺形リンク2のアーム2aは、回転軸O1 下側一端から屈曲するアーム部を突き出す全体としてL字形の形状をしており、その突出アーム部の先端部分には、前記回転軸O1 と平行な回転軸O13が設けられ、この回転軸O13まわりに回動可能に第1の伝達ロッド7の上端が接続されている。ここで、紙面に平行な面内で回転軸O1 と回転軸O4 を結ぶ線分と、回転軸O1 と回転軸O13を結ぶ線分は直角をなしているが、これに限られるものではない。また、第2の平行四辺形リンク3の対応したアーム3aも、同様なL字形の形状をしており、その突出アーム部の先端部分には、回転軸O5 と平行な回転軸O14まわりに回動可能に第1の伝達ロッド7の下端が接続されている。ここで、紙面に平行な面内で回転軸O5 と回転軸O8 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O14を結ぶ線分は、前記同様に直角であるが、前述した第1の平行四辺形リンク2のアーム2aの屈曲して突出するアーム部のものと平行ならば、これに限られるものではない。
【0014】
このとき、紙面に平行な面内で、回転軸O1 と回転軸O4 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O8 を結ぶ線分は、常に平行をなしており、また、回転軸O1 ,05 ,O14,O13を順次結ぶ各線分が、平行四辺形を形成している。
【0015】
そして、この実施例では、アーム2a,3aと、第1の伝達ロッド7により、回動力を伝達して連動する第1の連動機構が構成されている。
【0016】
同様にして、第1の平行四辺形リンク2におけるアーム2bの回転軸O2 と、第2の平行四辺形リンク3におけるアーム3bの回転軸O6 とは、それに対して回動可能な第2の伝達ロッド8によって接続されている。つまり、紙面に平行な面内で、回転軸O1 と回転軸O2 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O6 を結ぶ線分とは、常に平行をなす関係にあるように設定されている。そして、この実施例では、アーム2b,3bと、第2の伝達ロッド8により、回動力を伝達して連動する第2の連動機構が構成されている。
【0017】
第1の平行四辺形リンク2におけるアーム2dの一端には、紙面に平行な面内にあり、鉛直軸O0 と交差し、回転軸O3 と回転軸O4 を結ぶ線分上の回転軸O9 まわりにおいて回動可能に支持された接続ブロック9が設けられている。この接続ブロック9には、第3の平行四辺形リンク機構10が接続されている。すなわち、アーム10a〜10eおよび接続ブロック9を紙面に垂直な回転軸O15〜O19、O31、O32まわりにそれぞれ回動可能に接続することにより、2連式の平行四辺形リンク機構を形成してなる。この実施例では、これら接続ブロック9と第3の平行四辺形リンク機構10により、互いに直交する2つの回転軸O9 ,O10を中心に傾斜可能な傾斜機構としての第1の傾斜アーム11が構成されている。
【0018】
ここで、顕微鏡鏡体(以下、鏡体という。)12は、その観察光軸が、紙面に平行な面内で、回転軸O17と回転軸O18を結ぶ線分を通る回転軸O20と一致しており、かつアーム10eの下方突出端部に対して前記回転軸O20まわりに回動可能に取り付けられた鏡体支持アーム13を介して支持されている。これにより、鏡体12は、回転軸O9 、回転軸O20、および回転軸O9 と回転軸O20の交点T1を通る紙面に垂直な仮想の回転軸O10まわりにそれぞれ回動可能である。なお、ここで、回転軸O9 、回転軸O10、回転軸O20まわりのそれぞれの自重による回転モーメントが、常に、ゼロになるべく重量配分されている。
【0019】
第2の平行四辺形リンクにおけるアーム3dに対して固定的に接続された固定台20には、紙面に平行な面内にあり、鉛直軸O0 と交差し、回転軸O9 と平行な回転軸O21まわりに回動可能に支持された回転ブロック21が接続されており、この回転ブロック21には、回転軸O10と平行であり、かつ回転軸O21と直交する回転軸O12まわりに回動可能に接続された座22が設けられている。そして、この実施例では、これら固定台20と回転ブロック21および座22により、傾斜機構としての第2の傾斜アーム15を構成している。
【0020】
前記座22には、スライドロッド23の一端が接続されており、このスライドロッド23の他端部には、前記座22に対して回転軸O20を含む紙面に平行な面内で回転軸O12と直交する回転軸O23まわりに回動可能にジョイント24が接続されている。この実施例では、スライドロッド23とジョイント24により傾斜機構としての傾斜ロッド25が構成されている。なお、ここで、回転軸O21、回転軸O12、回転軸O23まわりのそれぞれの自重による回転モーメントは常にゼロになるべく重量配分されている。
【0021】
前記鏡体12の回転軸O9 ,O10まわりの傾斜運動を直接的に前記傾斜ロッド25の回転軸O21,O12まわりの傾斜運動に同一比で伝達する可撓性の運動伝達部材が設けられている。すなわち、前記第1の傾斜アーム11における接続ブロック9には、回転軸O9 と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26aが設けられており、このプーリー26aには、それぞれ反対側から巻き付けたワイヤー27a,27bの巻込み端を固定している。この各ワイヤー27a,27bの導出端側は、それぞれ可撓性のアウターチューブ28a,28bの内部に摺動可能に挿通されて案内されるようになっている。アウターチューブ28a,28bの各一端部は固定金具29aを介してアーム2dに対して固定されている。接続ブロック9は、プーリー26aの回転によって回転させられる。
【0022】
同様に、第2の傾斜アーム15の回転ブロック21には、回転軸O21と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26bが設けられており、これには、前記アウターチューブ28a,28bを通じて導かれてきた前記ワイヤー27a,27bの各他端がそれぞれ反対側から巻き付けられるとともに、その周面に固定されている。前記アウターチューブ28a,28bの他端部は、固定金具29bを介して前記固定台20に対して固定されている。回転ブロック21は、プーリー26bの回転によって回転する。
【0023】
前述した第1の傾斜アーム11における接続ブロック9には、これに対するアーム10bに回転軸O32と同軸的に連結して配設された同じく回転部材としてのプーリー26cが設けられており、このプーリー26cには、それぞれ反対側から端部を巻き付け、その先端を固定したワイヤー27c,27dが設けられている。このワイヤー27c,27dはそれぞれ前述したものとは別の可撓性のアウターチューブ28c,28dの内部に摺動可能に挿通されて案内されるようになっている。アウターチューブ28c,28dの各端部は固定金具29cを介して接続ブロック9に対して固定されている。接続ブロック9は、プーリー26cと一体的に回転するようになっている。
【0024】
同様に、第2の傾斜アーム15の座22には、回転軸O12と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26dが設けられており、このプーリー26dには前記ワイヤー27c,27dの他端側が反対側から巻き付けられとともに、その先端がプーリー26dに固定されている。このワイヤー27c,27dをガイドする前記アウターチューブ28c,28dの端部は固定金具29dを介して回転ブロック21に固定されている。第2の傾斜アーム15の座22は、プーリー26dと一体的に回転するようになっている。
【0025】
ここで、前記プーリー26aとプーリー26bは、同一方向から見た場合において、その一方のプーリーを回動させたとき、他方のプーリーが同じ方向に回動すべく向きにワイヤー27a,27bが巻かれているとともに、その回転角度が等しくなるべく、両プーリー26a,26bは、同一の径で形成されている。
【0026】
同様に、前記プーリー26c,26dは、同一方向から見た場合において、一方のプーリーを回動させたとき、他方のプーリーが同じ方向に回動すべく向きにワイヤー27c,27dが巻かれているとともに、その回転角度が等しくなるべく両プーリー26c,26dは、同一の径に形成されている。
【0027】
そして、この実施例では、これらプーリー26a〜26d、ワイヤー27a〜27d、アウターチューブ28a〜28d、固定金具29a〜29dにより、運動伝達機構57を構成し、その可撓性で単一の長尺な伝達部材からなるワイヤー27a〜27dは、ガイド手段としてのアウターチューブ28a〜28dを通じて、座屈やたわみがなくその軸方向に進退するように案内される構成である。なお、ここで、ワイヤー27a〜27dは、1本の単線であっても、芯線の有無に拘らずより線であってもよい。
【0028】
前記支持台4の台部4aには、鉛直軸O25まわりに回動可能に支持されている垂直シャフト30が設けられている。また、これには、アーム31a〜31dを互いに平行な回転軸O26〜O29まわりに回動可能に接続してなる固定用平行四辺形リンク31が、その回転軸O26まわりに回動可能に設けた旋回バー32を介して連結されている。ここで、回転軸O26は、前記鉛直軸O25に対して垂直であり、また、垂直シャフト30には、その鉛直軸O25まわりの回動を規制(制動)する電磁ブレーキが配設され、また、アーム31aとアーム31bには、回転軸O26まわりの回動を規制する後述の電磁ブレーキが配設されている。
【0029】
前記傾斜ロッド25のジョイント24の上端には、ロッド33の一端が連結されている。このロッド33の他端は、前記固定用平行四辺形リンク31のアーム31dの一端に連結されている。そして、この傾斜ロッド25は、鉛直軸O25を含む紙面に平行な面内にあり、回転軸O28と回転軸O29を結ぶ線分を通る線上において各部に対して回動可能に接続されている。
【0030】
このロッド33の一端は、前記傾斜ロッド25のジョイント24に対して、回転軸O23と直交する回転軸O24まわりに回動可能に接続されている。この実施例では、これら垂直シャフト30、固定用平行四辺形リンク31、旋回バー32およびロッド33および後述の電磁ブレーキにより運動規制機構40が構成されている。ここで、前記運動規制機構40の、回転軸O25、O26、O30まわりのそれぞれの自重による回転モーメントが、常にゼロになるべく、重量配分で構成されている。
【0031】
また、図1で示すように、前述した鉛直軸O0 を含む紙面に平行な面内で、回転軸O1 、O4 、O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で、回転軸O5 、O8 、O12をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して構成されている。ここで相似比は、
(△O1 ,O4 ,010)/(△5 、O8 、012)=C
となっている。Cは、定数である。
【0032】
次に、細部の構成について説明する。図1において、37aは、支持台4に配設され、その支持台4に対する支柱1の回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキである。
【0033】
第1の傾斜アーム11および第1の平行四辺形リンク2のアーム2dとの接続部には、第1の傾斜アーム11の接続ブロック9に突出して形成される第1の回転ロッド38が設けられている。この第1の回転ロッド38は、前記アーム2dの内部に配設されたベアリングに嵌挿されることにより、回転軸O9 まわりに回動可能である。また、アーム2dには、電磁ブレーキ37dが配設され、この電磁ブレーキ37dはアーム2dに対する前記第1の回転ロッド38の回動を電気的に規制する。
【0034】
接続ブロック9にも、電磁ブレーキ37eが配設され、電磁ブレーキ37eは接続ブロック9に対するアーム10aの回動を電気的に制動可能なものである。
【0035】
鏡体支持アーム13にも、鏡体支持アーム13のアーム10eに対する回転軸O20まわりの回転を規制可能な電磁ブレーキ37fが配設されている。
【0036】
次に、図2に従い、上方支持部材5の部分の詳細を説明する。この図2は、図1の矢印a方向から見た回転軸O1 を含む部分の断面を示すものである。
【0037】
すなわち、上方支持部材5には、上方シャフト34がベアリング36aを介して回転軸O1 まわりに回動可能に支持されており、その上方シャフト34は、前記上方支持部材5に配設された電磁ブレーキ37bにより電気的に規制可能である。前記アーム2aは、前記上方シャフト34の外周にベアリング36bを介して回転軸O1 まわりに回動可能に支持されている。前記アーム2bは、上方シャフト34に設けたフランジ部に対してねじにより固定されている。
【0038】
次に、図3に従い、下方支持部材6の部分の詳細を説明する。この図3は、図1の矢印b方向から見た回転軸O5 を含む部分の断面を示すものである。
【0039】
すなわち、前記下方支持部材6には、下方シャフト35が、ベアリング36cを介して回転軸O5 まわりに回動可能に支持されており、その下方シャフト35は、前記下方支持部材6に配設された電磁ブレーキ37cにより電気的に規制可能である。前記アーム3aは、前記下方シャフト35のフランジ部に対してねじにより固定されている。また、前記アーム3bは、前記下方シャフト35の外周にベアリング36dを介して回転軸O5 まわりに回動可能に支持されている。
【0040】
次に、図4に従い、第2の平行リンク3、第2の傾斜アーム15、傾斜ロッド25および運動規制機構40の詳細な構成について説明する。
【0041】
図4中、T2は、回転軸O12と回転軸O21との交点、S2は、回転軸O23、回転軸O24、回転軸O30の交点を示している。第2の平行四辺形リンク3のアーム3dにはねじ軸41が固定され、このねじ軸41には、カウンターウエイト39が軸線方向に移動可能に支持されている。前記カウンターウエイト39は、第1の平行四辺形リンク2、第2の平行四辺形リンク3を連動させたとき、回転軸O0 ,O1 まわりの回転モーメントが、常にゼロになるべく位置および重量配分がなされている。
【0042】
同図中、43は、前記座22に配設され傾斜ロッド25のスライドロッド23を回転軸O23の方向に電気的に移動可能な傾斜ロッド駆動部であり、44は、傾斜ロッド駆動部43に接続された前記傾斜ロッド駆動部43の駆動量を検出することにより、T2とS2間の直線距離R2を算出する傾斜ロッド位置検出部である。
【0043】
また、支持台4には、支持台4に対する垂直シャフト30の回転軸O25まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37gが配設されている。また、固定用平行四辺形リンク31を構成するアーム31a,31bには、アーム31a,31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37h,37iがそれぞれ配設されている。
【0044】
また、アーム31aと旋回バー32のそれぞれには、回転軸O26およびO25まわりの回転モーメントを相殺すべく設ける補助ウエイト42a,42bが固定されている。
【0045】
次に、鏡体12および電気回路の構成を図5を参照して説明する。まず、同図中、50は対物レンズであり、これは、図示しないズームレンズ、結像レンズ、接眼レンズよりなる左右観察光路51R,51L上に設置され、そのレンズ間隔を変えることにより、物体側の焦点距離が変更可能なものであり、対物レンズ50は、対物レンズ駆動部52に対して機械的に接続されていて、それにより焦点距離の調節されるようになっている。また、53は、例えばエンコーダからなる対物レンズ位置検出手段であり、これも前記対物レンズ50に機械的に接続されている。図中T1は、回転軸O9 、回転軸O10、回転軸O20の交点であり、点Pは、観察光軸、すなわち回転軸O20と鏡体12の焦点面との交点であり、RfはT1と点Pとの間の直線距離であり、fは前記対物レンズ50の焦点距離を示している。
【0046】
前記対物レンズ駆動部52および対物レンズ位置検出手段53は、制御部54に接続される。鏡体12にはグリップ55が設けられており、これには水平方向フリースイッチSW1、上下方向フリースイッチSW2、全方向フリースイッチSW3、鏡体球面傾斜スイッチSW4、傾斜中心点設定スイッチSW5などを有し、これらのスイッチも前記制御部54に接続されている。また、制御部54には、前記傾斜ロッド駆動部43および傾斜ロッド位置検出部44も接続されている。
【0047】
さらに、電磁ブレーキ37a,37cは、水平動電磁ブレーキ駆動回路56aを介し、電磁ブレーキ37bは、上下動電磁ブレーキ駆動回路56bを介し、電磁ブレーキ37d、37eは、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56cを介し、電磁ブレーキ37fは光軸回転電磁ブレーキ駆動回路56dを介し、電磁ブレーキ37g、37h、37iは、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eを介して、それぞれ前記制御部54に接続される。
【0048】
(作用)
この第1の実施例の手術用顕微鏡装置における作用を説明する。この手術用顕微鏡装置にあっては、鏡体12の3次元的な移動および直交する3軸まわりの傾斜(以下6自由度の動き)、略水平面内の動き、略上下動、観察光軸上の一点を中心とした傾斜動が、手術スタイルに応じて種々、選択可能なものである。以下、これらを順に説明する。
【0049】
[6自由度の動き]
最初に、グリップ55の全方向フリースイッチSW3を押すと、制御部54はそれに応じた信号が入力され、水平動電磁ブレーキ駆動回路56a、上下動電磁ブレーキ駆動回路56b、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56c、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eおよび光軸回転電磁ブレーキ駆動回路56dに対して信号を出力し、全ての電磁ブレーキ37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37iのブレーキ作用を解除する。
【0050】
電磁ブレーキ37aのブレーキ作用が解除されると、支柱1が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になり、このため、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して、鏡体12が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になる。
【0051】
図2に示す電磁ブレーキ37bが解除されると、アーム2bが上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能になり、このため、アーム2cを介してアーム2dがアーム2aに対して回転軸O4 まわりにアーム2bと平行を保ちながら回動可能となる。従って、鏡体12は、第1の傾斜アーム11を介してアーム2aに対して回転軸O4 まわりに回動可能となる。
【0052】
図3で示す前記電磁ブレーキ37cが解除されると、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能になり、第1の伝達ロッド7により接続されたアーム2aが上方支持部材5に対し回転軸O1 まわりに回動可能となる。従って、鏡体12は、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して全体的に上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能となる。
【0053】
従って、これらの鏡体12の3方向の回動の組み合わせにより、鏡体12は、3次元的に移動可能な状況になる。
【0054】
一方、電磁ブレーキ37dが解除されると、第1の傾斜アーム11は、アーム2dに対して、回転軸O9 まわりに回動可能となる。電磁ブレーキ37eが開放されると、平行四辺形リンク機構10のアーム10aは、接続ブロック9に対して、回転軸O31まわりに回動可能となり、アーム10b〜10dにて接続されるアーム10eは、アーム10aと平行に回転軸O10を中心に傾斜動可能となる。また、電磁ブレーキ37fが開放されると、鏡体12は、鏡体支持部材13を介して、アーム10eの回転軸O20まわりに回動可能になる。すなわち、鏡体12は、回転軸O9 と回転軸O10との交点T1を中心とした転動が可能となる。
【0055】
ここで、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iのブレーキ作用はすべて解除されているため、垂直シャフト30の支持台4に対する回転軸O25まわり、固定用平行リンク31のアーム31a,31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動が可能となる。アーム31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動は、アーム31cによりアーム31dのアーム31aに対する回転軸O29まわりの回動へと伝達される。従って、ロッド33もアーム31aに対して回転軸O29まわりに回動し、かつ、ロッド33はアーム31dに対して回転軸O30まわりに回動可能である。従って、鏡体12の動きを規制するものはない状態である。
【0056】
すなわち、3次元的な移動と直交する3軸まわりの傾斜によって鏡体12は、6自由度の動きが可能となる。
【0057】
次に、前述の、鏡体12の6自由度の動きと連動する作用について説明する。アーム2bの上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動により、第2の伝達ロッド8に接続されているアーム3bは、下方支持部材6に対し回転軸O5 まわりにアーム2bと常に平行を保ちながら回動する。そして、アーム3cによりアーム3bに対して平行に接続されたアーム3dもアーム3aに対し回転軸O8 まわりに回動する。このとき、アーム3dは、常にアーム2dと平行を保っている。
【0058】
アーム3aの下方支持部材6に対する回転軸O5 まわりの回動により、アーム3dも下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動する。また、傾斜ロッド25も、第2の傾斜アーム15を介してアーム3dとともに移動する。
【0059】
すなわち、アーム2aとアーム3a、アーム2dとアーム3dは常に平行を保ちながら移動し、鉛直軸O0 を含む紙面に平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形とは常に相似形を保っている。このとき、アーム3dに支持されたカウンターウエイト39は、鏡体12の移動に対し、常に回転モーメントを相殺する位置に移動する。
【0060】
これらの各部材の動きにより、回転モーメントは、常に相殺された状態で鏡体12の6自由度の動きが可能となる。
【0061】
[略水平面内の動き]
脊椎等の手術中において、鏡体12をほぼ水平方向にのみ頻繁に移動させたい場合、術者がグリップ55を握り水平方向フリースイッチSW1を押すと、制御部54は、その信号を入力し、水平動電磁ブレーキ駆動回路56a、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eおよび光軸回転電磁ブレーキ駆動回路56dのみに信号を出力して、電磁ブレーキ37a,37c,37f,37g,37h,37iのブレーキ作用のみを解除する。
【0062】
すなわち、電磁ブレーキ37aが解除されると、支柱1が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になり、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して、鏡体12が床面に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になる。
【0063】
電磁ブレーキ37cが解除されると、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能になり、第1の伝達ロッド7により接続されたアーム2aが上方支持部材5に対し回転軸O1 まわりに回動可能となる。従って、鏡体12は第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して上方支持部材5対して回転軸O1 まわりに回動可能となる。
【0064】
また、電磁ブレーキ37fが解除されると、鏡体12は、鏡体支持部材13を介して、アーム10eに対して回転軸O20まわりに回動可能になる。
【0065】
さらに、電磁ブレーキ37g〜37iも、解除されているため、運動規制機構40は、鏡体12の動きを規制しない。
【0066】
ここで、電磁ブレーキ37bは固定状態であり、第1の平行四辺形リンク2のアーム2bは上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動が規制されているため、アーム2dは常時紙面に平行な面内で一定の角度を保った状態である。
【0067】
すなわち、図6(a)に示すように、アーム2dは、回転軸O1 を中心に回転軸O1 と回転軸O4 間の距離R3を半径とした円弧上を常にその平行を保って移動可能となる。
【0068】
そして、回転軸O9 と回転軸O10の交点T1は、紙面と平行な面内で、回転軸O1 を通り、回転軸O9 と平行な直線I上で回転軸O1 から鏡体12側に回転軸O4 と回転軸O10との間の距離R4離れた点Y1を中心として、回転軸O1 と回転軸O4 間の距離R3を半径とする円弧Z1上を移動する。
【0069】
ここで、第1の傾斜アーム11の電磁ブレーキ37d,37eのブレーキ作用が固定された状態にあるため、鏡体12は、回転軸O9 、回転軸O10まわりの傾斜を規制されている。従って、鏡体12は、傾斜することなく、その円弧状の軌跡に沿って移動する。
【0070】
これと支柱1の支持台4に対しての鉛直軸O0 まわりの回動を組み合わせることにより略水平面内の動きが可能となる。図6(b)は、図6(a)に対して、鏡体12を右方向に移動した場合を示している。
【0071】
この実施例では、鏡体12は、紙面内での略水平動時に円弧上を移動するため、観察光軸方向に上下動を伴うが、実際の手術で必要とされる水平動幅はかなり小さく、この上下動は、ほとんど問題にならない。
【0072】
[略上下動]
脳神経外科等における開孔部分を通しての深部の手術においては、その手術中に手前側と奥側とを見るために視野をずらさずに、素早く観察光軸方向に鏡体12を移動させたい場合がある。この場合には、術者がグリップ55の上下動フリースイッチSW2を押す。すると、制御部54は信号を入力し、上下動電磁ブレーキ駆動回路56b、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56e、および光軸回転電磁ブレーキ駆動回路56dのみに信号を出力し、電磁ブレーキ37b,37g,37h,37iおよび37fのみのブレーキ作用を解除する。
【0073】
つまり、電磁ブレーキ37bが解除されると、アーム2bが上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能となり、アーム2cを介してアーム2dがアーム2aに対して回転軸O4 まわりにアーム2bと平行を保ちながら回動可能となる。従って、鏡体12は第1の傾斜アーム11を介してアーム2aに対して回転軸O4 まわりに回動可能となる。
【0074】
電磁ブレーキ37fが開放されると、鏡体12は鏡体支持部材13を介して、アーム10eに対して回転軸O20まわりに回動可能になる。
【0075】
また、電磁ブレーキ37g〜37iも、解除されているため、運動規制機構40は傾斜ロッド25の移動および傾斜によるS2のいかなる動きにも追従可能である。
【0076】
この状態は、前述の略水平面内の動きと同じく、鏡体12は回転軸O9 、回転軸O10まわりの傾斜を規制されている。また、電磁ブレーキ37cも固定状態であり、第2平行四辺形リンク3のアーム3aは、回転軸O1 まわりの回動が規制されている。すなわち、第1の伝達ロッド7により連結される第1の平行四辺形リンク2のアーム2aも回転軸O5 まわりの回動も固定されている。
【0077】
このため、図7(a)に示すように、アーム2dは、常時紙面に平行な面内で回転軸O4 まわりにのみ回動可能となる。従って、回転軸O9 と回転軸O10の交点T1は、回転軸O4 を中心として回転軸O4 と回転軸O10との間の距離R4を半径とした円弧Z2上のみ移動可能である。図7(b)は、図7(a)に対して鏡体12を下方に移動させた場合を示している。
【0078】
この実施例では、鏡体12は上下動時に円弧上移動するため、観察光軸の傾斜による観察視野のズレが起こるが、実際の手術で必要とされる上下動幅はかなり小さくこの視野のズレは、ほとんど問題にならない。
【0079】
[観察光軸上の一点を中心とした傾斜動]
この場合には、グリップ55の鏡体球面傾斜動フリースイッチSW4を押すと、制御部54はその信号を入力し、水平動電磁ブレーキ駆動回路56a、上下動電磁ブレーキ駆動回路56b、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56c、光軸回転電磁ブレーキ駆動回路56dのみに信号を出力し、それらの電磁ブレーキ37a、37b、37c、37d、37e、37fのブレーキ作用のみが解除される。これは前述の6自由度の動きの場合に対して、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iのみ固定とした状態である。
【0080】
従って、図8(a)において、傾斜ロッド25は、点S2の移動を拘束され、S2を中心に傾斜のみ可能となる。ここで、点T2は、S2とT2の距離R2を半径とした球面上を動く。T2の動きは、前述のアームの作用と同様に伝達され、第1の傾斜アーム11の回転軸O9 とO10の交点T1は、交点T2の移動距離に前述の相似な三角形の比の定数であるCを乗した距離だけ反対方向に移動する。
【0081】
傾斜ロッド25の傾斜は、可撓性のワイヤー27a〜27dを用いた運動伝達機構57により、その動きが鏡体12に伝達され、その鏡体12の相似的な動きとなって現れる。以下に、その作用を図1および図4に従い説明する。
【0082】
すなわち、傾斜ロッド25が回転軸O12まわりに回動すると、第2の傾斜アーム15の座22と一体に配設されたプーリー26dも一体になり回動する。その結果、プーリー26dの回動方向によりワイヤー27c,27dのいずれか一方が引っ張られ、そのワイヤーは両端部を固定金具29dおよび固定金具29cにより回転ブロック21dおよび接続ブロック9に固定されることによりワイヤーに沿った方向の移動を規制されたいずれかのアウターチューブ28c,28d内をスライドし、第1の傾斜アーム11のアーム10bと一体に配設されたプーリー26cを前記プーリー26dと同一方向に同一角度で回動させる。一方、引っ張られない側のワイヤーも、それぞれプーリー26d,26cの回動を1対1で遊び無く伝達する働きをする。アーム10bの回動は平行四辺形リンク機構10によりアーム10eの回転軸O10まわりの回動として伝達される。従って,鏡体12はその回転軸O10まわりに座22の回転軸O12まわりの傾斜と同一方向に同一角度で回動する。
【0083】
また、傾斜ロッド25が回転軸O21まわりに回動すると、第2の傾斜アーム15の回転ブロック21に配設されたプーリー26bも一体になり回動する。回動方向によりワイヤー27a,27bのいずれかが引っ張られ、そのワイヤーは両端部を固定金具29bおよび固定金具29aにより固定台20dおよびアーム2dに固定されることにより、そのワイヤーに沿った方向の移動を規制されたアウターチューブ28aあるいは他のアウターチューブ28b内をスライドし、第1の傾斜アーム11の接続ブロック9と一体に配設されたプーリー26aを前記プーリー26bと同一方向に同一角度で回動させる。一方、引っ張られない側のワイヤーも、それぞれプーリー26b,26aの回動を1対1で遊び無く伝達する働きをする。従って,鏡体12は、第1の傾斜アーム11を介して回転軸O9 まわりに回転ブロック21の回転軸O21まわりの傾斜と同一方向に同一角度で回動する。
【0084】
すなわち、傾斜ロッド25の回転軸O23と、平行四辺形リンク機構10におけるアーム10eの観察光軸と同軸な回転軸O20とが、常に平行に保つ。
【0085】
このため、図8(a)に示すように、観察光軸と同軸な回転軸O20の上のT1から、R2×C=R1の距離の点S1を中心に鏡体12が傾斜可能となる。図8(b)は、図8(a)に対し鏡体12を右側に傾斜させた場合を示している。
【0086】
また、グリップ55の傾斜中心点設定スイッチSW5を押すと、対物レンズ位置検出部53からの対物レンズ位置信号および傾斜ロッド位置検出部44からの傾斜ロッド位置信号が制御部54に入力される。そして、制御部54内で対物レンズ位置信号からT1と鏡体12の焦点面における観察光軸上の点Pの距離Rfを算出し、また傾斜ロッド位置信号からT2とS2の距離R2を算出する。そして距離R2を相似三角形の比であるC倍した値R2×C=R1と前記Rfを比較し、両者が等しくなるように、傾斜ロッド25を移動させるべく、駆動信号が傾斜ロッド駆動部43に出力され、傾斜ロッド駆動部43では図示しないモーターが回動し、図示しない減速機を介して、傾斜ロッド25のスライドロッド23を回転軸O23の軸線上を必要な方向に必要な距離移動させる。
【0087】
この駆動信号が傾斜ロッド駆動部43に出力されている間、制御部54は、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eにも起動信号を出力して、電磁ブレーキ37g,37h,37iのブレーキ作用を解除し、かつ、その他の電磁ブレーキ37a〜37fは固定している。
【0088】
この作用により、術者が鏡体12の傾斜中心点としたい点を鏡体12の観察視野中心に合わせ、かつ図示しないスイッチにより対物レンズ50の焦点距離を変化させ、その点に焦点を合わせて(図5中、点P)、グリップ55の傾斜中心点設定スイッチSW5を押せば、S1がPと一致するように移動し、自動的に鏡体12の傾斜中心点が目的とする点に設定される。
【0089】
(実施例の効果)
この実施例では、単一の平行四辺形リンク機構とはせずに第1の平行四辺形リンク2と第2の平行四辺形リンク3とに分離して構成し、これらを上下に配置したため、単一の平行四辺形リンク機構とした場合に比べて、鏡体12の移動に伴い突出する部材である、特に第2の平行四辺形リンク3およびカウンターウエイト39が床面近傍に配置することが可能となる。すなわち、回転軸O5 より上方部分はコンパクトな構成にすることができる結果、手術中に必要とされる上方の空間を充分に広く確保することができる。
【0090】
また、カウンターウエイト39が下方に配置されているため、全体の重心位置も低くなり、安定性が増し、より安全である。
【0091】
また、前述したように、単一の平行四辺形リンク機構とした場合に比較して、支柱1の回転軸O1 まわりの、突出長さを短くすることができるから、その運動部の慣性モーメントを小さくして軽く操作することができる。
【0092】
また、第1の平行四辺形リンク2と第2の平行四辺形リンク3の動きを連動する第1の連動機構および第2の連動機構が、アーム2a,3aと第1の伝達ロッド7、およびアーム2b,3bと第2の伝達ロッド8によりそれぞれ構成されている。このため、その伝達において鏡体12の視野ズレの原因となる遊びがないとともに剛性がある。したがって、第1の平行四辺形リンク2と第2の平行四辺形リンク3の動きを確実に連動させることができる。また、その構成が簡単である。
【0093】
一方、運動伝達機構57は、プーリー26a〜26d、ワイヤー27a〜27d、アウターチューブ28a〜28d、固定金具29a〜29dにより構成されているため、運動伝達機構57が軽量でコンパクトな構成のものとなり、例えば、連続的にリンクを連結したリンク式連鎖機構等に比べて、鏡体12を移動させる際の力量(慣性力)が軽いとともに、手術用顕微鏡装置全体の軽量化にもつながる。
【0094】
また、第1の傾斜アーム11は、平行四辺形リンク機構10で構成されているため、第1の傾斜アーム11に鏡体12を接続したときの回転軸O9 、回転軸O10まわりの回転モーメントは、第1の傾斜アーム11の各アームにより相殺されている。したがって、運動伝達部材は、鏡体12の傾斜の変位量のみ伝達しているので、そのワイヤーに回転モーメントによる張力がかからないため、ワイヤーとアウターチューブの間の摩擦が小さく、鏡体12を傾斜させる力量が軽い。また、運動伝達部材のワイヤー27a〜27bが仮に破断しても、鏡体12に回転モーメントが生じることがなく、手術の続行が可能である。
【0095】
ところで、前述した特開平5−168648号公報に記載されている従来の観察点を移動させないで、鏡体を傾斜可能なスタンド装置においては、開孔部の開口縁を傾斜中心点として、その開孔部の深部を観察する場合は、図11に示すように、鏡体12を移動させ、鏡体12から物体側に距離Rp離れた傾斜中心点S1が開口の中心に位置するように設定し、鏡体12の焦点を深部の観察点Mに合わせて使用していた。
【0096】
しかしながら、図12に示すように、深部の観察点Mを中心に鏡体12を傾斜させようとした場合においては、鏡体12から傾斜中心点S1までの距離Rpは固定されているため、鏡体12と体表面の距離Wが短くなってしまい術具を持っての作業性が大変、悪くなる。
【0097】
また、術中、図11の状態から図12の状態に変更して使用する場合、術者は、鏡体12の傾斜中心点S1を移動させるために鏡体12を移動させる作業が必要となり、大変煩わしいものであった。
【0098】
しかるに、この実施例では、回転軸O12,O21,O23の交点S2が回転軸O23上を移動可能な傾斜ロッド駆動部43を有するため、鏡体12の位置を移動させずに、傾斜ロッド駆動部43を移動させることにより、その鏡体12の傾斜中心点S1が鏡体12に対し、観察光軸上の任意の点に移動可能となる。従って、鏡体12と体表面の距離Wを変化させないで、鏡体12の傾斜中心点S1が変更可能であり、手術の状況に応じての作業性を損ねない。
【0099】
さらに、この実施例では、鏡体12の焦点位置を検出する対物レンズ位置検出部53、傾斜ロッド25の位置を検出する傾斜ロッド位置検出部44、鏡体12の焦点位置を変化させる対物レンズ駆動部52、回転軸O23上において、回転軸O12,O21,O23の交点S2が移動可能な傾斜ロッド駆動部43、および前記対物レンズ位置検出部53および傾斜ロッド位置検出部44からの信号を入力し、前記傾斜ロッド駆動部43に傾斜ロッド25を必要な距離移動させるべく信号を出力する制御部54を備える事により、術者は傾斜中心点に設定したい部位を視野中心に合わせ、その点に焦点を合わせ傾斜中心点設定スイッチSW5を押すだけで自動的に鏡体12の傾斜中心が設定される。従って、目的部位に正確かつ容易に傾斜中心点S1を設定可能であり、煩わしい操作を要せず、手術時間の短縮および術者の疲労の軽減につながる。
【0100】
また、従来の特開平5−168648号公報に記載されている装置には、一点を中心に鏡体を傾斜させる事は可能であるが、手術中に焦点をずらさないでの視野の水平方向への移動、或いは視野をずらさないでの素早い鏡体の光軸方向の移動といった動きが出来ない。
【0101】
さらに、この実施例では、平行四辺形リンクにより支持される手術用顕微鏡において、鉛直軸O0 まわりに第1の平行四辺形リンク2を支持する支柱1と、前記支柱1の回動を規制する電磁ブレーキ37aと、前記支柱1に配設された回転軸O1 により第1の平行四辺形リンク2を構成するアーム2aと2bを回動可能に支持するとともに、前記アーム2a,2bの回転軸O1 まわりの回動を規制可能な電磁ブレーキ37c、37bを有し、前記電磁ブレーキ37aと37cを連動して作動、37bを独立して作動可能な制御部54を有しているため、観察光軸上の中心とした傾斜動以外に略水平面内の動き、略上下動が可能となり、様々な手術に対して汎用性が高いとともに術中に術者の疲労の軽減につながる。
【0102】
また、特開平5−215972号公報に記載の制御ユニットでは、運動規制機構は電気式にロック可能な摺動ユニットとロック手段からなり、ロック手段は鉛直な回転軸まわりに回動可能に接続させた水平面内を動く、2つのアームにより構成されているため、床面が傾斜している場合、すなわち、台脚および制御ユニット全体が傾斜している場合、2つアームを接続する回転軸も傾斜するため、アームは重力により自然移動する。こうなると、鏡体を支持するアームのバランスが崩れ鏡体の移動に大きな操作力が必要になる。また、ロックエレメントを解除した場合、アンバランスにより視野がずれるといった現象を招き、術者が手術に集中することができないといった問題があった。
【0103】
しかしながら、この実施例のものでは、運動規制機構40は、鉛直軸O25まわりに回動可能な垂直シャフト30と、垂直シャフト30に旋回バー32を介して接続された鉛直軸O25と直角な回転軸O26まわりに回動可能に支持されるとともに、変形可能な固定用平行四辺形リンク31と、固定用平行四辺形リンクのアーム31dに接続され回転軸O30まわりに回動可能なロッド33よりなり、鉛直軸O25、回転軸O26、回転軸O30まわりの回転モーメントが相殺されるように構成されているため、運動規制機構40が床面に対して傾斜しても各回転軸まわりに回転モーメントが生じることがなく、上記問題は発生しない。したがって術者が手術に集中することができる。
【0104】
図13および図14は、回転軸O9 ,O10を中心とする鏡体12の動きを、傾斜ロッド25に伝達するための、他の実施例による運動伝達機構157を示す。図13に示すように、本実施例の運動伝達機構157は、上側部分と下側部分とが対称構造に形成されている。このため、主として運動伝達機構157の上側部分について説明する。
【0105】
図14に示すように、回転軸O9 を中心とする鏡体12の回転方向の動きを伝達するため、この運動伝達機構157は、回転軸O9 と同軸に、接続ブロック9に固定されたプーリー120と、回転軸O9 と直交する回転軸O4 と同軸に、アーム2dに回動可能に取付けられたプーリー121と、これらのプーリー120,121間に巻きかけられた可撓性のワイヤ122と、互いに軸線が直交する2つのプーリー120,121間で、ワイヤ122の方向を変換するためのアイドルプーリー123a,123bとを備える。
【0106】
プーリー120は接続ブロック9と共に、アーム2dから突出する中空円筒状の延長部124上に回転可能に装着されている。また、プーリー123a,123bは、アーム2dに固定されたL字状のブラケット125に回転自在に装着されており、ワイヤ122を介してプーリー120の回転を滑らかにプーリー121に伝達することができる。
【0107】
更に、アーム2aの下端部には、回転軸O1 と同軸にプーリー126が回転自在に装着されている。このアーム2aの上下の端部に配置されたプーリー121,126間にはベルト127が巻きかけられている。
【0108】
図13に示すように、運動伝達機構157の下側部分も同様に形成されており、支柱1の下端部の回転軸O5 上に配置されたプーリーに、ベルト128を介してプーリー126から回転運動が伝達される。回転軸O5 に配置されたプーリーからは、上記の上側部分と同様に、回転軸O8 上に配置されたプーリーおよびベルトを介して傾斜ロッド25に伝達される。下側部分については、上記の上側部分に対応する部材の符号に“′(ダッシュ符号)”を付して、その詳細な説明を省略する。
【0109】
したがって、鏡体12が傾斜すなわち回転軸O9 を中心として回動すると、接続ブロック9も回動し、この回動角は、プーリー120から、ワイヤ122を介してプーリー121に伝達され、更に、ベルト127を介してプーリー126に伝達される。このプーリー126からは、ベルト128により運動伝達機構157の下側部分を介して傾斜ロッド25に伝達される。
【0110】
一方、鏡体12の回転軸O10(図1)を中心とした回動を傾斜ロッド25に伝達するため、本実施例の運動伝達機構157は、回転軸O9 上に沿って配置されたスライド軸130を備える。このスライド軸130は、アーム2dの延長部124内に配置されたリニアガイド131により、回転軸O9 の方向に沿って摺動自在に案内される。このスライド軸130の外側端部は、一端をアーム10bに枢着された連接ロッド132に枢着されている。これらのスライド軸130と連接ロッド132とは、第3の平行四辺形リンク10と平行な平面内で運動する。したがって、このスライド軸130とアーム10bと連接ロッド132とにより、第1スライダクランク機構が形成される。
【0111】
図14に示すように、延長部124内に配置されているスライド軸130の端部は、ベアリング133により、プッシュロッド134に対して回転軸O9 を中心として回転自在に連結されている。延長部124の外方に突出するこのプッシュロッド134の端部からは、延長部134aが直角に延びている。
【0112】
また、第1の平行四辺形リンク2のアーム2aとアーム2dとの枢着部を通る回転軸O4 と同軸に、プーリー135が設けられており、このプーリー135からは、耳部136が突出する。この耳部136の先端部と、上記プッシュロッド134の延長部134aの先端部とが、それぞれ連接ロッド137に枢着されている。したがって、プッシュロッド134と耳部136と連接ロッド137とにより、第2のスライダークランク機構が形成される。この第2のスライダークランク機構、第1の平行四辺形リンク2と平行な平面内で運動する。
【0113】
更に、アーム2aの下端部には、プーリー126と同軸に配置された回転自在なプーリー139が取付けられている。ベルト140が、アーム2aの上端部と下端部とに配置された2つのプーリー135,139に巻きかけられる。プーリー139の動きは、ベルト141を介して運動伝達機構157の下側部分に伝達される。この下側部分については、図13中に、上記の上側部分に対応する部材の符号に“′(ダッシュ符号)”を付して、その詳細な説明を省略する。
【0114】
したがって、鏡体12が回転軸O10を中心として回動すると、第3の平行四辺形リンク10のアーム10bが回転軸O32を中心として回動する。このアーム10bの回転運動は、連接ロッド132により、スライド軸130およびプッシュロッド134の直線運動に変換される。更に、プッシュロッド134の直線運動は、連接ロッド137により、プーリー135の回転運動に変換され、この回転運動がベルト140とプーリー139とベルト141とを介して、運動伝達機構157の下側部分に伝達され、回転軸O12を中心として傾斜ロッド25が回動される。
【0115】
スライド軸130とプッシュロッド134との間にベアリング133が介装されているため、接続ブロック9が回転軸O9 を中心として回動しても、この回転運動はプッシュロッド134には伝達されない。すなわちアーム10bと連接ロッド132とスライド軸130とで形成される第1のスライダクランク機構の運動は、プッシュロッド134と連接ロッド137とプーリー135とで形成される第2のスライダクランク機構の運動と干渉することない。第1,第2のスライダクランク機構は、回転軸O9 を中心としてそれぞれ独自に運動することができる。
【0116】
図15ないし図19に従って、本発明の第2の実施例を説明する。
【0117】
(構成)
図15はこの第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体の概略的な構成を示しており、同図中、65は、天井に設置された支持台であり、これには、支柱1が鉛直軸O0 まわりに回動可能に支持されている。2はアーム2a〜2dを互いに平行な回転軸O1 〜O4 まわりに順次回動可能に接続して連結してなる第1の平行四辺形リンクである。前述した第1の実施例と同様の構成をなす第1の平行四辺形リンク2は、支柱1の下部に設けた上方支持部材5を介して、前記鉛直軸O0 と直交した回転軸O1 まわりに回動可能に接続されている。
【0118】
3は、第2の平行四辺形リンクであり、これも前述した第1の実施例と同様にアーム3a〜3dを互いに平行な回転軸O5 〜O8 まわりに回動可能に接続してなり、前記支柱1の上部に設けた下方支持部材6を介して回転軸O5 まわりに回動可能に接続されている。ここでの回転軸O5 は、前記鉛直軸O0 と直交し、かつ前記回転軸O1 とは平行である。
【0119】
また、第1の平行四辺形リンク2のアーム2aには、前記回転軸O1 と同軸上のスプロケット66aが配設されており、アーム3aには、回転軸O5 と同軸上に前記スプロケット66aと同一径のスプロケット66bが配設されている。このスプロケット66a,66bの間には、チェーン67aを掛け渡すことにより、相互に連結されている。このとき、紙面に平行な面内の、回転軸O1 と回転軸O4 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O8 を結ぶ線分が、常に、平行をなすようにしている。そして、この第2の実施例では、アーム2a,3aと、スプロケット66a,66bと、チェーン67aにより、第1の連動機構が構成されている。
【0120】
同様に、第1の平行四辺形リンク2における他のアーム2bには、回転軸O1 と同軸上にスプロケット66cが配設されており、アーム3bには、回転軸O5 と同軸上にスプロケット66cと同一径のスプロケット66dが配設されている。そして、このスプロケット66c,66dの間には、チェーン67bを掛け渡すことにより相互に連結されている。このとき、紙面に平行な面内の回転軸O1と回転軸O2を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O6 を結ぶ線分が、常に、平行をなしている。そして、この第2の実施例では、アーム2b,3bと、スプロケット66c,66dと、チェーン67bにより、第2の連動機構が構成されている。 前述した第1の実施例における平行リンク10を省略し、この代わりに、L字型の接続アーム69の構造とする。つまり、この接続アーム69は、アーム2dに対し、紙面に平行な面内にあり、回転軸O3 と回転軸O4 を結ぶ線分上に一致する回転軸O9 まわりに回動可能に支持される(図16を参照)。この接続アーム68の先端には、回転軸O9 と直交する回転軸O10まわりに回動可能な傾斜ブロック69が支持されている。この実施例では、これら接続アーム68と傾斜ブロック69により、第1の傾斜アーム11が構成されている。鏡体12は、傾斜ブロック69に対して回転軸O9 と回転軸O10の交点T1を通り、両回転軸に直交する回転軸O20と、その観察光軸が一致しており、かつ傾斜ブロック69に対して回転軸O20まわりに回動可能に鏡体支持アーム13を介して、支持されている。これにより、鏡体12は、それぞれ直交する3つの回転軸O20,O9 ,O10まわりにそれぞれ回動可能である。ここで、回転軸O20まわりのそれぞれの自重による回転モーメントは、常にゼロになるべく重量配分されている。
【0121】
21は、第2の平行四辺形リンク3のアーム3dに接続された固定台20に対し、紙面に平行な面内にあり、前記回転軸O9 と平行な回転軸O21まわりに回動可能に支持された回転ブロックであり、22は、その回転ブロック21に対し、回転軸O10と平行であり、かつ回転軸O21と直交する回転軸O12まわりに回動可能に接続された座である。前述した第1の実施例と同様、この実施例でも、これら固定台20と回転ブロック21および座22により、第2の傾斜アーム15が構成されている。ここで、T2は、前記回転軸O12と回転軸O21の交点を示している。
【0122】
70は、前記座22に固定されたロッドであり、その端部には、前記座22に対して、回転軸O21に直交する回転軸O23まわりに回動可能にジョイント24が接続されている。ここで、回転軸O23まわりの自重による回転モーメントは常にゼロになるべく重量配分されている。そして、この実施例では、これらロッド70とジョイント24により、傾斜ロッド25を構成している。
【0123】
また、前記ロッド70の中間部には、傾斜ウエイト71が取り付けられている。ここで、回転軸O9 と回転軸O21まわりの自重による回転モーメントはそれぞれ方向が逆で、絶対値が等しくなるべく、重量配分されている。
【0124】
同様に、回転軸O10と回転軸O12まわりの自重による回転モーメントも、それぞれ方向が逆で、絶対値が等しくなるべく、重量配分がなされている。
【0125】
第1の傾斜アーム11と第2の傾斜アーム15はその回転方向および回転角度が常に同一比で伝達する油圧の運動伝達部材により構成した以下のような運動伝達機構によって連結されている。
【0126】
すなわち、図17で示すように、72aは、第1の平行四辺形リンク2のアーム2dに配設された後述する油圧駆動部であり、第1の傾斜アーム11を構成する接続アーム68のアーム2dに対する回転軸O9 まわりの回動を、接続されたチューブ73a内に封入された油の変位へと変換する。同様に、72bは、第2平行四辺形リンク3のアーム3dに接続された固定台20に配設された後述する油圧駆動部であり、第2の傾斜アーム15を構成する回転ブロック21の固定台20に対する回転軸O21まわりの回動を、接続されたチューブ73a内に封入された油の変位へと変換する。ここでの油圧駆動部72a,72bは、同一方向から見た場合の回転軸O9 まわりの第1の傾斜アーム11の回転方向および回転角度と、回転軸O21まわりの第2の傾斜アーム15の回転方向および回転角度が、常に等しくなるように構成されている。
【0127】
72cは、第1の傾斜アーム11の接続アーム68に配設された後述する油圧駆動部であり、傾斜ブロック69の接続アーム68に対する回転軸O10まわりの回動を、接続されたチューブ73b内に封入された油の変位へと変換する。同様に、72dは、第2の傾斜アーム15の回転ブロック21に配設された後述する油圧駆動部であり、座22の回転ブロック21に対する回転軸O12まわりの回動を、接続されたチューブ73b内に封入された油の変位へと変換する。ここでの油圧駆動部72c,72dは、同一方向から見た場合の回転軸O10まわりの傾斜ブロック69の回転方向および回転角度と、回転軸O21まわりの座22の回転方向および回転角度が、常に等しくなるように構成されている。
【0128】
本実施例では、後で詳述する、油圧駆動部72a〜72dと、油圧を伝達するチューブ73a,73bにより運動伝達機構が構成される。
【0129】
40は、第1の実施例に対し上下反対向きに支持台65に接続された運動規制機構で、第1の実施例と同様の構成であり、回転軸O23、O24、O30の交点S2にて傾斜ロッド25に接続されている。図中R2は、S2とT2間の直線距離を示している。
【0130】
また、第1の実施例と同様に鉛直軸O0 を含む紙面に平行な面内で回転軸O1 、O4 、O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 、O8 、O12をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して構成されている。ここで相似比は
(△O1 ,O4 ,O10)/(△O5 ,O8 ,O12)=C
となっている。Cは定数である。
【0131】
次に、各部の詳細な説明をする。
【0132】
図15において、37aは、支持台65に配設され、支持台65に対する支柱1の回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキである。
【0133】
次に、第1の傾斜アーム11および第1平行四辺形リンク2のアーム2dとの接続部の構成を説明する。
【0134】
38は、第1の傾斜アーム11の接続アーム68に突出して形成された第1の回転ロッドであり、前記アーム2dの内部に配設されたベアリングに挿嵌され、回転軸O9 まわりに回動可能である。37dはアーム2dに配設され、アーム2dに対する前記第1の回転ロッド38の回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキである。
【0135】
37eは、接続アーム68に配設され、接続アーム68に対する傾斜ブロック69の回転軸O10まわりの回動を電気的に制動可能な電磁ブレーキである。
【0136】
37fは、鏡体支持アーム13の傾斜ブロック69に対する回転軸O20まわりの回動を規制可能な電磁ブレーキである。
【0137】
39は、アーム3dに第1の実施例と同様に接続されたカウンターウエイトである。上方支持部材5は第1の実施例の図2を上下逆にした構成であり、アーム2bの上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動を電気的に規制可能な図示しない電磁ブレーキ120bが配設されている。
【0138】
下方支持部材6は第1の実施例の図3を上下逆にした構成であり、アーム3aの下方支持部材6に対する回転軸O5 まわりの回動を電気的に規制可能な図示しない電磁ブレーキ120cが配設されている。
【0139】
図16は図15の矢印H方向から見た図である。本図において、第1の傾斜アーム11および第2の傾斜アーム15は、鉛直軸O0 に対して紙面内で上下にずれて配設されており、より詳しくは、回転軸O9 と回転軸O21は互いに平行であり、回転軸O9 とO10の交点T1と回転軸O21と回転軸O12の交点T2を結ぶ線分は、鉛直軸O0 を通り、紙面内でT1と鉛直軸O0 間の距離と、T2と鉛直軸O0 間の距離の比は、前述の図14にて説明した鉛直軸O0 を含む紙面と平行な面内で回転軸O1 、O4 、O10をそれぞれ結ぶ三角形と、回転軸O5 、O8 、O12をそれぞれ結ぶ三角形の相似比である「C」と等しくなっている。
【0140】
図17は、油圧駆動部72a、72bおよびチューブ73aの詳細を示す図である。まず、油圧駆動部72aは、内部に油圧シリンダー95aと、ピストン96aと、回動を直動および直動を回動に変換可能なクランク機構97aを有している。クランク機構97aは円盤98aとロッド99aにより構成されており、円盤98aは図16の第1の傾斜アーム11を構成する接続アーム68と一体となり、アーム2dに対して回転軸O9 まわりに回動可能となっている。
【0141】
同様に油圧駆動部72bも、内部に油圧シリンダー95bと、ピストン96bと、回動を直動および直動を回動に変換可能なクランク機構97bを有している。クランク機構97bは、円盤98bとロッド99bにより構成されており、円盤98bは、図14の第2の傾斜アーム15を構成する回転ブロック21と一体となり、固定台20に対して回転軸O21まわりに回動可能となっている。前記油圧シリンダー95aと油圧シリンダー95bは、可撓性のチューブ73aにより密封した状態で連通して接続され、油圧シリンダー95a,95bとチューブ73aの内部には油100が充填されている。
【0142】
ここで、円盤98a,98bおよびロッド99a,99bは同一形状であり、油圧シリンダー95a,95bの断面積も同一である。
【0143】
油圧駆動部72a,72bは、同一方向から見た場合の回転軸O9 まわりの第1の傾斜アーム11の回転方向および回転角度と、回転軸O21まわりの第2の傾斜アーム15の回転方向、および回転角度が、常に等しくなるべく構成されている。
【0144】
前述の油圧駆動部72c,72dおよびチューブ73bも油圧駆動部72a,72bおよびチューブ73aと同様の構成であり、その説明は省略する。
【0145】
以上の如く、前記鏡体12の回転軸O9 ,O10まわりの傾斜運動を直接的に前記傾斜ロッド25の回転軸O21,O12まわりの傾斜運動に同一比で伝達する可撓性の油圧式の運動伝達部材により運動伝達機構を構成している。
【0146】
図18は、鏡体12および電気回路の構成を示す図である。同図中、50は、前述した第1の実施例と同様の対物レンズであり、対物レンズ駆動部52に機械的に接続されている。
【0147】
前記対物レンズ駆動部52は、制御部74に接続される。75は鏡体12に接続されたグリップであり、全方向フリースイッチSW3、鏡体球面傾斜スイッチSW4を有し、これらのスイッチも前記制御部74に接続されている。
【0148】
さらに、電磁ブレーキ37a、37d〜37f、120b、129cはスタンド電磁ブレーキ駆動回路76を介して、電磁ブレーキ37g〜37iは運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eを介して制御部74に接続される。
【0149】
(作用)
本実施例の手術用顕微鏡は、第1の実施例と同様の6自由度の動きと、観察光軸上の一点を中心とした傾斜運動が可能である。以下、これらを順に説明する。
[6自由度の動き]
グリップ75の全方向フリースイッチSW3を押すと、制御部74は信号を入力し、スタンド電気ブレーキ駆動回路76および運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eに信号を出力し、全ての電磁ブレーキ37a,37d〜37i,120b,120cを解除する。
【0150】
電磁ブレーキ37aが解除されると、支柱1が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になり、第1平行四辺形リンク2および第1傾斜アーム11を介して、鏡体12が支持台4に対して回転軸O0 まわりに回動可能になる。
【0151】
電磁ブレーキ120bが解除されると、アーム2bが上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能になると、アーム2cを介してアーム2dがアーム2aに対して回転軸O4 まわりにアーム2bと平行を保ち回動可能となる。従って、鏡体12は、第1の傾斜アーム11を介してアーム2aに対して回転軸O4 まわりに回動可能となる。
【0152】
電磁ブレーキ120cが解除されると、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能になり、アーム3aに配設されたスプロケット66bが回動可能となる。スプロケット66bの回動はチェーン67aにより、アーム2aに配設されたスプロケット66aに伝達され、アーム2aは、上方支持部材5に対し回転軸O1 まわりに回動可能となる。従って、鏡体12は第1の傾斜アーム11を介して上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能となる。このとき、アーム3aとアーム2aは常に平行を保っている。
【0153】
従って、前述した第1の実施例の場合と同様に、これらの3つの回動を組み合わせにより、鏡体12は3次元的に移動可能となる。
【0154】
電磁ブレーキ37dが開放されると、第1の傾斜アーム11の接続アーム68はアーム2dに対して回転軸O9 を中心に回動可能となる。また、電磁ブレーキ37eが開放されると、傾斜ブロック69は、接続アーム68に対して、回転軸O10まわりに回動可能となる。また、電磁ブレーキ37fが開放されると、鏡体12は、鏡体支持部材13を介して、傾斜ブロック69に対して回転軸O20まわりに回動可能になる。
【0155】
すなわち、鏡体12は、3つの回転軸O9 ,O10,O20の交点T1を中心として転動可能となる。
【0156】
ここで,運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iは、すべて解除されているため、第1の実施例と同様に、鏡体12の動きを規制するものはない状態である。
【0157】
すなわち、3次元的な移動と直交する3軸まわりの傾斜によって鏡体12は、6自由度の動きが可能となる。
【0158】
次に、前述の6自由度の動きと連動する作用について説明する。
【0159】
アーム2bの上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりに回動により、アーム2bに配設されたスプロケット66cが回動可能となる。スプロケット66cの回動は、チェーン67bにより、アーム3bに配設されたスプロケット66dに伝達され、アーム3bは、下方支持部材6に対し回転軸O5 まわりにアーム2bと常に平行を保ち回動する。そして、アーム3cによりアーム3bに対し平行に接続されたアーム3dもアーム3aに対し回転軸O8 まわりに回動する。このとき、アーム3dは、常にアーム2dと平行を保っている。
【0160】
アーム3aの下方支持部材6に対する回転軸O5 まわりに回動により、アーム3dも下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動する。
【0161】
また、傾斜ロッド25は、第2の傾斜アーム15を介してアーム3dとともに移動する。
【0162】
すなわち、アーム2aとアーム3a、アーム2dとアーム3dは、常に平行を保ち移動し、鉛直軸O0 を含む紙面と平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形とは常に相似形を保っている。
【0163】
このとき、アーム3dに支持されたカウンターウエイトは鏡体12の移動に対し常に回転モーメントを相殺する位置に移動する。
【0164】
鏡体12の傾斜動においては、回転軸O9 、回転軸O10まわりの回転モーメントは常に鏡体12を鉛直に垂下する方向に働いている。一方、回転軸O21,O12まわりの回転モーメントは傾斜ロッド25に配設された傾斜ウエイト71を常に鉛直に垂下する方向すなわち回転軸O9 ,O10まわりの回転モーメントとそれぞれ反対向きに働いており、傾斜ウエイト71の重量配分によりそれぞれの回転モーメント絶対値は等しくなっているため、運動伝達部材である油圧機構により相互の回転モーメントを伝達すると、回転モーメントは相殺される。
【0165】
これらの各部材の動きにより、回転モーメントは常に相殺された状態で鏡体12の6自由度の動きが可能となる。
【0166】
[観察光軸上の一点を中心とした傾斜動]
グリップ75の鏡体球面傾斜動フリースイッチSW4を押すと、制御部74は、信号を入力し、スタンド電磁ブレーキ駆動回路76のみに信号を出力し、電磁ブレーキ37a,37d〜37f,120b,120cのブレーキ作用が解除される。すなわち、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g〜37iのみ固定状態である。
【0167】
従って、第1の実施例と同様に傾斜ロッド25は、回転軸O23、O24、O30の交点S2の移動が拘束され、S2を中心に傾斜のみ可能となる。ここで、点T2はS2とT2の距離R2を半径とした球面上を動く。T2の動きは前述のアームの作用と同様に伝達され、第1傾斜アームの回転軸O9 と回転軸O10の交点T1はT2の移動距離に前述の相似な三角形の比であるCを乗した距離だけ反対方向に移動する。
【0168】
傾斜ロッド25の傾斜動は、油圧駆動部72a〜72dおよびチューブ73a,73bよりなる運動伝達部材により第1の傾斜アーム11に伝達される。以下に、その作用を図17に従い説明する。
【0169】
すなわち、傾斜ロッド25を回転軸O21まわりを回動させると、固定台20に配設された油圧駆動部72b内のクランク機構97bにより、回転ブロック21の固定台20に対する回転軸O21まわりの回動は、ピストン96bの油圧シリンダー95bに対する直動に変換される。これにより油圧シリンダー95b内の油100が加圧され、チューブ73aを通して油圧の作用によりアーム2dに配設された油圧駆動部72aへ伝達され、ピストン96aが油圧シリンダー95aに対して直動する。さらに、ピストン96aの直動はクランク機構97aにより、接続アーム68のアーム2dに対する回転軸O9 まわりの回動へと変換される。このとき、接続アーム68のアーム2dに対する回転軸O9 まわりの回動は、回転ブロック21の固定台20に対する回転軸O21まわりの回動と同一方向かつ同一角度である。
【0170】
同様に、傾斜ロッド25の回転軸O12まわり回動も、回転ブロック21に配設された油圧駆動部72bとチューブ73bと接続アーム68に配設された油圧駆動部72cにより傾斜ブロック69の接続アーム68に対する回転軸O10まわりの回動へと変換される。このとき、傾斜ブロック69の接続アーム68に対する回転軸O10まわりの回動は、座22の回転ブロック21に対する回転軸O12まわりの回動と同一方向かつ同一角度である。このため、回転軸O20とO23は常に平行を保っている。
【0171】
従って、観察光軸と同軸な回転軸O20上のT1からR2×C=R1の距離の点S1を中心に鏡体12が傾斜可能となる。
【0172】
(効果)
この第2の本実施例での第1および第2連動機構は、アーム2a,3aとスプロケット66a,66bとチェーン67aと、アーム2b、3bとスプロケット66c,66dとチェーン67bより構成されているため、回転軸O1 と回転軸O5 を結ぶ直線に対して突出が少なく小型化が可能である。
【0173】
また、この実施例では、運動伝達部材は、油圧駆動部72a〜72d、チューブ73a,73bにより構成されているため、回転軸まわりの回動方向に関係なく1つのチューブを介して回動が伝達されるので、構造がシンプルである。また、油圧を用いているため、回動の伝達に遊びがなく、観察光軸上の一点を中心とした鏡体の正確な傾斜が可能である。
【0174】
さらに、この実施例では、第1の傾斜アームはアーム2dに対し回転軸O9 まわりに回動可能な接続アーム68と、接続アーム68に対し回転軸O9 と直交する回転軸O10まわりに回動可能な傾斜ブロック69により構成されているため、構造がシンプルで、手術の邪魔にならない。
【0175】
また、第1の傾斜アーム11および鏡体12は、運動伝達部材を介し傾斜ロッド25の傾斜ウエイト71によりバランスが保たれる構造になっているため、鏡体12の重量による回転モーメントを相殺するための構造を第1傾斜アーム11に設ける必要がない。すなわち、第1の傾斜アーム11の軽量化あるいは小型化が可能となる。この軽量化は、鏡体12の移動に必要な力量(慣性力)を低減でき術中術者の疲労を低減することができる。また、小型化は当然ながら大きな効果がある。
【0176】
さらには、第1の傾斜アーム11と第2傾斜アーム15は、図16に示したように紙面内の上下方向にずらして構成する事も可能であり、手術室内の最適な空間に配置することができる。
【0177】
また、この実施例では、支持台65を天井に配したため、術者および他の機器との干渉がない。
【0178】
次に、図20ないし図23に従って、本発明の第3の実施例を説明する。
【0179】
(構成)
図20は、この第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体の概略的な構成を示している。この第3の実施例は、前述した第1の実施例における第2の平行四辺形リンク3、運動規制機構40ならびにそれに伴う電気的な構成が異なるものである。
【0180】
4は、支持台、1は支柱、2は第1の平行四辺形リンク、5は上方支持部材、6は下方支持部材であり、これらは、第1の実施例のものと同様な構成のものである。
【0181】
3は、第2の平行四辺形リンクであり、これは、4つのアーム3a〜3dを互いに平行な回転軸O5 〜O8 まわりにそれぞれ回動可能に接続して構成されている。ここでのアーム3aは、回転軸O5 に対して、回転軸O8 とは反対側に延長されている。このアーム3aは、回転軸O5 と回転軸O8 を通る直線上にあり、この延長部分の先端には、回転軸O5 に対して回転軸O8 と反対側で回転軸O5 と平行な回転軸O50まわりにアーム3eを回動可能に接続している。アーム3cは、回転軸O6 に対して回転軸O7 とは反対側に延長され、この回転軸O6 と回転軸O7 を通る直線上にあり、この延長部先端には、回転軸O6 に対して回転軸O7 とは反対側の位置で前記回転軸O6 と平行な回転軸O51まわりにアーム3eを回動可能に接続している。ここで、紙面に平行な平行四辺形リンクの面内での、回転軸O5 と回転軸O6 を結ぶ線分と、回転軸O50と回転軸O51とを結ぶ線分とは、互いに平行である。すなわち、アーム3dは、回転軸O5 を中心として、第1の実施例の場合に対して、180度反転した位置に配置されている。また、アーム3eには、第1の実施例と同様に、カウンターウエイト39が配置して接続されている。
【0182】
この第3の実施例は、第1の連動機構および第2の連動機構は、第1の実施例と同様に、それぞれアーム2a,3aと、第1の伝達ロッド7およびアーム2b,3bと、第2の伝達ロッド8により構成されている。
【0183】
また、11は平行四辺形リンク機構10により構成された第1の傾斜アームであり、57は運動伝達部材であり、これらの構成は、前述した第1の実施例のものと同様である。
【0184】
15は回転軸O5 を中心に第1の実施例の場合とは180度反転して、アーム3dに接続された第2の傾斜アームであり、第1の実施例のものに対して、次のようなものが追加されている。つまり、固定台20に配設された、回転ブロック21を回転軸O21まわりに電気的に回動可能なティルト駆動部102aと、固定台20に配設され、回転ブロック21と前記ティルト駆動部102aを電気的に接続あるいは分離可能な電磁クラッチ101aとを設けている。
【0185】
さらに、回転ブロック21に配設され、座22を回転軸O12まわりに電気的に回動可能なティルト駆動部102bと、回転ブロック21に配設され、座22と前記ティルト駆動部102bを電気的に接続あるいは分離可能な電磁クラッチ101bを設けている。
【0186】
傾斜ロッド25の構成は、前述した第2の実施例と同様である。
【0187】
前記支持台4に対して鉛直軸O25まわりに回動可能に支持されている垂直シャフト30には、固定用平行四辺形リンク31が接続されている。この固定用平行四辺形リンク31はアーム31a〜31dを互いに平行な回転軸O26〜O29まわりに回動可能に接続してなる平行四辺形リンクであり、その回転軸O26まわりに回動可能に旋回バー32を介して前記垂直シャフト30に接続されている。ここでの回転軸O26と鉛直軸O25とは垂直に交差している。
【0188】
81は、L字形アームであり、これは、固定用平行四辺形リンク31のアーム31dに対し、鉛直軸O25を含む紙面に平行な面内にあり、回転軸O28と回転軸O29を結ぶ線分上の回転軸O30まわりに回動可能に支持されている。また、このL字形アーム81には、前記回転軸O30と直交する回転軸O52まわりに回動可能にU字形アーム82が支持されており、このU字形アーム82は、回転軸O52と直交する回転軸O53まわりに回動可能で、かつ回転軸O53の軸線方向にスライド可能な後述する接続手段を介して、前記傾斜ロッド25のジョイント24に対して、回転軸O24まわりに回動可能に接続されている。
【0189】
この第3の実施例では、これら、垂直シャフト30、固定用平行四辺形リンク31、旋回バー32、ロッド33、L字形アーム81、U字形アーム82及び後述する接続手段、後述する電磁ブレーキ、後述する角度検出手段、後述する駆動部により、運動規制機構40を構成している。この運動規制機構40は、回転軸O25、O26、O30、O52、O53まわりのそれぞれの自重による回転モーメント常にゼロになるべく重量配分されている。
【0190】
本実施例でも、第1の実施例と向きは異なるが、鉛直軸O0 を含む紙面と平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して構成されている。ここで、相似比は、
(△O1 ,O4 ,O10)/(△O5 ,O8 ,O12)=C
となっている。Cは定数である。
【0191】
次に、各部の詳細な説明をする。図20において、37a、37d、37e、37fは、第1の実施例と同様に接続された電磁ブレーキである。
【0192】
上方支持部材5は、図2に示すような第1の実施例と同様の構成であり、アーム2bの上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37bが配設されている。
【0193】
下方支持部材6は、図3に示すような第1の実施例と同様の構成であり、アーム3aの下方支持部材6に対する回転軸O5 まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37cが配設されている。
【0194】
105は、第1の傾斜アーム11のアーム10eに配設され、鏡体支持アーム13のアーム10eに対する回転軸O20まわりの回転角度を検出する、例えばエンコーダよりなる鏡体角度検出手段である。
【0195】
次に、図21に従い、運動規制機構40の詳細な構成を説明する。すなわち、垂直シャフト30には、垂直シャフト30の支持台4に対する回転軸O25の回転を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37gが配設されており、さらに、電磁ブレーキ37gを介して支持台4には、垂直シャフト30を支持台4に対して鉛直軸O25まわりに電気的に駆動させる駆動部84aが設けられている。また、85aは垂直シャフト30の支持台4に対する回転軸O25まわりの回転角度を検出する、例えばエンコーダよりなる角度検出手段である。固定用平行四辺形リンク31を構成するアーム31a,31bには、そのアーム31a,31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動を電気的に規制する電磁ブレーキ37h,37iがそれぞれ配設されている。また、84b,84cはそのアーム31a,31bを旋回バー32に対して回転軸O26まわりに電気的に駆動させる駆動部であり、85b,85cはアーム31a、31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回転角度を検出する、例えばエンコーダよりなる角度検出手段である。42aは、アーム31aに配設された補助ウエイトである。
【0196】
37jは、L字形アーム81の、アーム31dに対する回転軸O30まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキであり、37kは、U字形アーム82のL字形アーム81に対する回転軸O52まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキである。84dは、L字形アーム81をアーム31dに対して回転軸O30まわりに電気的に駆動させる駆動部であり、84eは、U字形アームをL字形アーム81に対して回転軸O52まわりに電気的に駆動させる駆動部である。85dは、L字形アーム81のアーム31dに対する回転軸O30まわりの回転角度を検出する、例えばエンコーダーよりなる角度検出手段であり、85eは、U字形アームのL字形アームに対する回転軸O25まわりの回転角度を検出する、例えばエンコーダーよりなる角度検出手段である。
【0197】
86は、U字形アーム82に回転軸O53と同軸上に配設されたガイドシャフト、87は、ガイドシャフト86に外挿され、回転軸O53の軸線方向に回動せずにスライド可能なスライドリングであり、スライドリング87のガイドシャフト86に対する回転軸O53の軸線方向の移動を規制する、例えばプッシュプルソレノイドよりなる固定手段88、およびスライドリング87のガイドシャフト86に対する回転軸O53の軸線方向の位置を検出する、例えばリニアエンコーダーよりなる位置検出手段89が接続されている。
【0198】
90は、前記スライドリング87に外挿され前記回転軸O53まわりに回動可能な回転リングであり、傾斜ロッド25を構成するジョイント24に対し回転軸O24まわりに回動可能に接続されている。ここで回転軸O53は回転軸O24と直交している。
【0199】
これらガイドシャフト86、スライドリング87、固定手段88、位置検出手段89、回転リング90により接続手段83が構成されている。
【0200】
図中、S2は、回転軸O23,O24とO53の交点、S3は、回転軸O30,O52とO53の交点を示している。
【0201】
図22は、鏡体12および電気回路の構成を示す図である。
【0202】
50は、第1の実施例と同様の対物レンズであり、対物レンズ駆動部52に機械的に接続されている。
【0203】
S1は、第2の実施例にて説明したように、第1の傾斜アームの回転軸O9 とO10の交点T1から回転軸O20上で下方にR1の距離離れた点であり、この点を中心に鏡体12は傾斜可能である。Pは、回転軸O20と焦点面の交点である。
【0204】
91は、図示しないメモリー回路を有する制御部であり、前記対物レンズ駆動部52が接続されている。95は、鏡体12に接続されたグリップであり、全方向フリースイッチSW3、鏡体球面傾斜スイッチSW4、直線移動SW6、移動軌跡設定SW7、焦点距離リセットスイッチSW8を有し、これらのスイッチも前記制御部91に接続されている。
【0205】
さらには、電磁ブレーキ37a〜37cはスタンド電磁ブレーキ駆動回路76aを、電磁ブレーキ37d,37eは、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56cを介して、電磁ブレーキ37g〜37iは運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eを、電磁ブレーキ37j〜37kは運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56fを、固定手段88は、固定手段駆動回路92を介して制御部91に接続される。
【0206】
また、回転角度検出手段85a〜85e、位置検出手段89、駆動部84a〜84eも制御部91に接続されている。
【0207】
電磁クラッチ101a,101b、ティルト駆動部102a、102b、鏡体角度検出手段105も制御部91に接続されている。電磁クラッチ101a,101bは、制御部91から信号を入力したときのみ、接続される構成である。
【0208】
106はX−Yの2方向の入力が可能なジョイスティックであり、これも制御部91に接続されている。
【0209】
(作用)
以下に本実施例の作用について説明する。
【0210】
本実施例では、第2の実施例と同様に6自由度の動きおよび鏡体の観察光軸上の一点を中心とした傾斜が可能なばかりでなく、それ以外に観察視野を目的とする2点間を結ぶ直線上のみの移動と電動視野移動が可能である。
【0211】
[6自由度の動き]
グリップ95の全方向フリースイッチSW3を押すと、制御部91は信号を入力し、スタンド電磁ブレーキ駆動回路76a、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56cおよび運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eに信号を出力し、電磁ブレーキ37a〜37iのみを解除する。この時電磁クラッチ101a,101bは作動せず、それぞれ回転ブロック21に対してティルト駆動部102aを、座22に対してティルト駆動部102bを分離している。従って、回転ブロック21は固定台20に対し回転軸O21まわりに、座22は回転ブロック21に対し回転軸O12まわりに回動可能である。
【0212】
電磁ブレーキ37a,37b及び37cが開放されると、支柱1が支持台4に対して回転軸O0 まわりに、第1の平行四辺形リンク2のアーム2bが、アーム2aに対して回転軸O4 まわりに、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能となる。これらの作用は第1の実施例と同様に伝達され、鏡体12は3次元的に移動可能となる。
【0213】
電磁ブレーキ37d,37e,37fが開放されると、第1の実施例と同様の作用により鏡体12は、回転軸O9 、O10及びO20の交点T1を中心として転動可能となる。
【0214】
第1の傾斜アーム11の傾斜動を、第2の傾斜アーム15の傾斜動へと伝達する作用は、第1の実施例と同様であり、その説明は省略する。
【0215】
一方、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iはすべて解除されているため、第1の実施例と同様に鏡体12の移動を規制するものはない状態である。
【0216】
すなわち、3次元的な移動と直交する3軸まわりの傾斜によって鏡体12は6自由度の動きが可能となる。
【0217】
鏡体12の6自由度の動きと連動する作用も、第1の実施例と同様であり、アーム2aとアーム3a、アーム2dとアーム3d、3eは常に平行を保ち移動し、鉛直軸O0 を含む紙面と平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形とは常に相似形を保っている。このとき、アーム3eに支持されたカウンターウエイト39は鏡体12の移動に対し常に回転モーメントを相殺する位置に移動する。
【0218】
これらの各部材の動きにより、回転モーメントは常に相殺された状態で鏡体12の6自由度の動きが可能となる。
【0219】
[観察光軸上の一点を中心とした傾斜動]
グリップ95の鏡体球面傾斜動フリースイッチSW4を押すと、制御部91は信号を入力し、スタンド電磁ブレーキ駆動回路76a及びティルト電磁ブレーキ駆動回路56cに信号を出力し、電磁ブレーキ37a〜37fのみが解除される。すなわち運動規制機構40の電磁ブレーキ37g〜37kおよび固定手段88は固定状態である。このとき、電磁クラッチ101a、101bは作動せず、それぞれ回転ブロック21に対してティルト駆動部102aを、座22に対してティルト駆動部102bを分離している。従って、回転ブロック21は固定台20に対し回転軸O21まわりに、座22は回転ブロック21に対し回転軸O12まわりに回動可能である。
【0220】
従って、第1の実施例と同様に図20において傾斜ロッド25は回転軸O23とO24の交点S2の移動が拘束され、S2を中心に傾斜のみ可能となる。ここで、点T2はS2とT2の距離R2を半径とした球面上を動く。T2の動きは第1の実施例と同様に伝達され、第1の傾斜アーム11の回転軸O9 とO10の交点T1はT2の移動距離に前述の相似な三角形の比の値である「C」を乗した距離だけ移動する。
【0221】
傾斜ロッド25の傾斜も第1の実施例と同様に観察光軸と同軸な回転軸O20に常に平行になるように伝達されている。
【0222】
このため、観察光軸上のT1からR2×C=R1の距離の点S1を中心に鏡体12が傾斜可能となる。
【0223】
次に、本実施例に特有の、2点間を結ぶ直線上のみの観察視野移動について説明する。
【0224】
術部が広範囲におよび、鏡体12を一箇所に固定した時の観察視野内では手術ができない場合や、離れた2点間を往復観察する場合には、目的とする2点間を結ぶ直線上のみ観察視野が移動するように設定する。
【0225】
この作用は、まず、術者がグリップ95の焦点距離リセットスイッチSW8を押す。すると、制御部91は焦点距離リセットスイッチSW8からの信号を入力し、対物レンズ位置検出手段53からの信号を入力し、予め記憶されている鏡体12の傾斜中心点S1と現在の焦点位置である点Pを比較し、対物レンズ50の焦点距離を変化させることにより、この2点を一致させるべく駆動信号を対物レンズ駆動部52に出力する。
【0226】
そして、全方向フリースイッチSW3を押し、目的とする1つ目の観察点が視野中心になり、かつ、その点に焦点が合うように鏡体12を移動させた後、全方向フリースイッチSW3を放し、次に、移動軌跡設定スイッチSW7を一度押すと、移動軌跡設定スイッチSW7から制御部91に信号が出力され、制御部91では運動規制機構40に配設された角度検出手段85a〜85e、位置検出手段89からの位置信号を入力して、点S2の3次元座標(X1,Y1,Z1)を算出し、その値を制御部内の図示しないメモリー回路に格納する。つぎに、前述と同様に全方向フリースイッチSW3を押し、目的とする2つ目の観察点が視野中心になり、かつ、その点に焦点が合うように鏡体12を移動させた後、もう一度、移動軌跡設定スイッチSW7を押すと、前述した同様に制御部91は、角度検出手段85a〜85e、位置検出手段89からの位置信号を入力して、点S2の3次元座標(X2,Y2,Z2)を算出する。そして、制御部91は、メモリー内の座標(X1,Y1,Z1)と座標(X2,Y2,Z2)を通る以下の式(1)で与えられる直線とこの2点の中点PM(XM,YM,ZM)を演算する。
【0227】
(X−X1)/(X2−X1)=(Y−Y1)/(Y2−Y1)=(Z−Z1)/(Z2−Z1)・・・(1)
そして、前記中点PM(XM,YM,ZM)の座標に回転軸O30,O52とO53の交点S3を一致させるために必要な点S3の移動方向および移動距離を算出し、この値に従い、駆動部84a〜84cに駆動信号を出力する。また、ガイドシャフト86と同軸の回転軸O53を前記式(1)で算出された直線と一致させる為に必要な回転軸O53の傾斜角度および方向を算出し、この値に従い駆動部84d、84eに駆動信号を出力しL字形アーム81を回転軸O30まわりに、U字形アーム82を回転軸O52まわりに必要な角度回転させる。すなわち、この作用により、点(X1,Y1,Z1)と点(X2,Y2,Z2)を結ぶ直線と回転軸O53が一致し、点S3が中点PMと一致する。
【0228】
つぎに、直線移動スイッチSW6を押すと、制御部91に信号が入力され、制御部91から固定手段駆動回路92を介して固定手段88の固定を解除する。また、制御部91はスタンド電磁ブレーキ駆動回路76a及びティルト電磁ブレーキ駆動回路56cに信号を出力し、電磁ブレーキ37a〜37fのブレーキ作用を解除する。このとき、電磁クラッチ101a,101bは作動せず、それぞれ回転ブロック21に対してティルト駆動部102aを、座22に対してティルト駆動部102bを分離している。従って、回転ブロック21は固定台20に対し回転軸O21まわりに、座22は回転ブロック21に対し回転軸O12まわりに回動可能である。
【0229】
すなわち、スライドリング87はガイドシャフト86に沿って移動可能となり、S2は回転軸O53上の2点(X1,Y1,Z1)と(X2,Y2,Z2)を結ぶ直線上のみ移動可能となる。これによって鏡体12の焦点面における観察視野の中心である点Pは、予め設定された2点を結ぶ直線上のみ移動可能となる。
【0230】
つぎに、電動視野移動について説明する。
【0231】
術中において、ジョイスティック106をX方向が、鏡体12の左右観察光軸51R、51Lを含む面と平行になるように床面に配置する。術中がジョイスティック106を足で操作すると、ジョイスティック106から制御部91に信号が出力され、制御部91は鏡体角度検出手段105からの角度信号を入力し、鏡体12の左右観察光路51R、51Lを含む面のアーム10eに対する角度を算出する。これと同時に、制御部91は、電磁クラッチ101a,101bに信号を出力し、ティルト駆動部102aと回転ブロック21、ティルト駆動部102bと座22を接続する。この時制御部91は、ティルト電磁ブレーキ駆動回路56c、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eに信号を出力し、電磁ブレーキ37d,37e,37f,37g〜37iのブレーキ作用を解除する。
【0232】
そして、制御部91は、ジョイスティック106の操作方向の信号と、前述の鏡体12の左右観察光路51R、51Lを含む面のアーム10eに対する角度情報により、ティルト駆動部102aと102bの2方向の駆動の合成により、傾斜ロッド25をジョイスティック106の操作方向と一致した方向に傾斜させるために必要な、ティルト駆動部102a、102bを駆動する速度を算出する。そしてティルト駆動部102a,102bにそれぞれ必要な速度で駆動すべく駆動信号を出力する。
【0233】
このとき、運動規制機構40は電磁ブレーキ37g〜37iが解除されているため傾斜ロッド25の傾斜は規制されない。そして、電磁ブレーキ37d,37fが解除されているため、鏡体12は回転軸O9及びO10まわりに回動可能である。
【0234】
したがって、ティルト駆動部102aを駆動させると、電磁クラッチ101aを介して回転ロッド21が固定台20に対して回転軸O21まわりに回動する。同様にティルト駆動部102bを駆動させると電磁クラッチ101bを介して座22が回転ブロック21に対して回転軸O12まわりに回動する。これら回転ブロック21及び座22の回動は前述のように運動伝達機構57にてそれぞれ接続ブロック9のアーム2dに対する回転軸O9 まわりの、アーム10bの接続ブロック9に対する回転軸O32まわりの回動へと伝達される。
【0235】
従って鏡体12はジョイスティック106の操作方向と同一の方向になるべく回転軸O9 及びO10まわりに回動する。
【0236】
本実施例では、ガイドシャフト86は直線状の形状であったが、術式に応じて例えば脳神経外科においては、患者の頭部に沿った円弧状をしていても良い。
【0237】
また、上記実施例における電動視野移動は、第2の傾斜アーム15に接続されたティルト駆動部102a,102bにより、運動伝達機構57を介して鏡体12を傾斜するものであるが、これとは異なる方法で電気作動部材を作動させることができる。すなわち、スタンド電磁ブレーキ駆動回路76aに接続される電磁ブレーキ37a〜37fを解除し、運動規制機構40に配設された駆動部84a〜84cを駆動し、傾斜ロッド25を平行に移動させる。これにより、運動伝達機構57の作用を通じて、鏡体12も平行に移動される。
【0238】
(実施例の効果)
この第3の実施例では、第2の傾斜アーム15を鉛直軸O0 に対して、鏡体12側へ配設したため、鉛直軸O0 に対して鏡体12と反対側への突出が少なく他の機器に干渉したり助手の邪魔にならない。
【0239】
また、電動視野移動のティルト駆動部102a、102bは、第1の傾斜アーム11にではなく、第2の傾斜アーム15に配設され運動伝達機構57の運動伝達部材により、第1の傾斜アーム11に伝達されているため、第1の傾斜アーム11は小型であり、術中邪魔にならない。また、第1の傾斜アーム11の軽量化にもなり、鏡体12を移動させる操作力(慣性力)を増加させることもない。
【0240】
ところで、従来鏡体を水平或いは垂直方向のみに鏡体の移動軌跡が設定可能な手術用顕微鏡が特開平4−154442号公報に開示されている。これは、眼科手術のように垂直方向で大きく移動させたいとき、また、背骨の脊髄を手術する場合のように水平方向で大きく移動させたいときに有益なスタンド装置を提供せんとするものである。
【0241】
しかし、リンクの構成が複雑となり、装置の大型化を招き、手術中の術者にとって邪魔になったり、また、他の機器と干渉する問題がある。
【0242】
鏡体部はそれぞれに予め設定された軌跡上のみ移動可能であり様々な術式に応じてその軌跡を変更することができない。
【0243】
また、脊髄の手術において、術中、患者が固定されている手術台を傾斜させることがあり、脊髄の向きが水平方向と一致しない場合は、鏡体部を水平方向に移動させたのでは、大きく焦点が変わってしまい、有効な機能ではなくなってしまう。
【0244】
しかるに、本実施例では、運動規制機構40を、ガイドシャフト86とスライドリング87よりなる鏡体12の移動軌跡を限定する案内手段と、案内手段を移動させる垂直シャフト30、固定用平行四辺形リンク31、L字形アーム81、U字形アーム82、及び駆動部84a〜84eよりなる移動手段を備えているため、術中において、容易に術者が観察視野を任意の2点間を結ぶ直線上のみ移動するように設定できる為、術式に限定されることがなく、いかなる手術のも対応でき手術時間の短縮および術者の疲労の軽減につながる。
【0245】
(付記) 前述した各実施例の説明によれば、特許請求の範囲の記載の内容のものの他に以下にような事項も得られる。
【0246】
(1)顕微鏡の鏡体12を支持し、その鏡体12を3次元的に移動可能で、かつ特定の移動軌跡に限定可能な手術用顕微鏡装置において、
臨床室の床や天井等の被設置部位に対して取り付けられ、鉛直軸O0 まわりに回動可能な支柱1と、
前記支柱1に対して、前記鉛直軸O0 と異なる回転軸O1 まわりに回動可能に接続され、複数のアーム2a〜2dを前記回転軸O1 を含む互いに平行な回転軸O1 〜O4 まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第1の平行四辺形リンク2と、
前記第1の平行四辺形リンク2の上方および下方の一方の側に配置され、前記支柱1に対し、前記回転軸O1 と平行な回転軸O5 まわりに回動可能に接続され、複数のアーム3a〜3dを前記回転軸O5 を含む互いに平行な回転軸O5 〜O8 まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第2の平行四辺形リンク3と、
前記第1の平行四辺形リンク2における面内においてその回転軸O1 とこれに隣接する一方の回転軸O4 とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク3における面内において前記回転軸O1 と回転軸O4 に対応したその第2の平行四辺形リンク3における前記回転軸O5 とこれに隣接する一方の回転軸O8 とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく、前記回転軸O1 を中心として回転する第1の平行四辺形リンク2における一方のアーム2aと前記回転軸O5 を中心とした前記第2の平行四辺形リンク3における一方のアーム3aとの回動を連動させる第1の連動機構と、
前記第1の平行四辺形リンク2における面内においてその回転軸O1 とこれに隣接した他方の回転軸O2 とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク3における面内においてその回転軸O5 とこれに隣接する他方の回転軸O6 とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく前記回転軸O1 を中心として回動する前記第1の平行四辺形リンク2における他方のアーム2bと、前記回転軸O5 を中心として回動する前記第2の平行四辺形リンク3における他方のアーム3bの回動を連動させる第2の連動機構と、
前記第1の平行四辺形リンク2においての前記アーム2bに対辺するアーム2dに接続され、その先端に取り付けられる鏡体を、互いに直交する2つの回転軸O9 ,O10を中心に傾斜可能な第1の傾斜アームと、
前記第2の平行四辺形リンク3においての前記アーム3bに対辺するのアーム3dに接続され、それぞれ前記回転軸O9 ,O10に平行な回転軸O21,O12を中心に傾斜可能な傾斜ロッド25を先端に取り付けた第2の傾斜アームと、
前記鏡体の回転軸O9 ,O10まわりの傾斜運動を直接的に前記傾斜ロッド25の回転軸O21,O12まわりの傾斜運動に同一比で伝達する可撓性の運動伝達部材により構成した運動伝達機構と、
前記傾斜ロッド25の移動軌跡を前記被設置部位に対しての所定位置に限定可能な運動規制機構とを備え、
前記鉛直軸O0 を含む面と平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して成ることを特徴とする手術用顕微鏡装置。
【0247】
(2)前記第1の連動機構は、アーム2aと、アーム3aと、このアーム2aとアーム3aを接続する第1の伝達ロッド7とよりなり、前記第2の連動機構は、アーム2bと、アーム3bと、このアーム2bとアーム3bを接続する第2の伝達ロッド8とよりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0248】
(3)前記第1の連動機構は、アーム2aとアーム3aにそれぞれ接続されたスプロケット66a,66bと、両スプロケット66a,66bを連結するチェーン67aとよりなり、前記第2の連動機構は、アーム2bとアーム3bにそれぞれ接続されたスプロケット66c,66dと、両スプロケット66c,66dを連結するチェーン67bよりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0249】
(4)前記第1の傾斜アームは、平行四辺形リンク機構10よりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0250】
(5)前記第1の傾斜アームは、回転軸O9 まわりに回動可能な接続アーム68と前記接続アーム68に接続された回転軸O10まわりに可動可能な傾斜ブロック69よりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0251】
(6)前記運動伝達機構は、回転軸まわりに回動する回動部材と、前記回動部材に接続された運動伝達用ワイヤーと、このワイヤーを長さ方向に移動可能に内挿し両端を固定部材に固定されたアウターチューブとを具備して構成されることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0252】
(7)前記運動伝達機構は、第1の傾斜アームと第1の平行四辺形リンクとに配置されて、回転軸O10まわりの鏡体12の回動を、第1の平行四辺形リンク2における1の回転軸O4 まわりの回動に変換する2つのスライダクランク機構を備えることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0253】
(8)前記運動伝達機構は、回転軸O0 まわりの鏡体の回動を、第1の平行四辺形リンク2における1の回転軸O4 まわりの回動に変換する2つのプーリーとこれらのプーリー間に巻きかけられた可撓性のワイヤと、2つのプーリー間で可撓性のワイヤの方向を変換するアイドルプーリとを備える(7)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0254】
(9)前記運動伝達部材は、回転軸まわりの回動を直動に変換、及び直動を回転軸まわりの回動に変換するとともにその動きを油圧に変換可能な油圧駆動部と、この油圧を伝達するチューブよりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0255】
(10)前記運動伝達部材は、回転軸まわりに回動する回動部材に接続されその回動部材の動きを長さ方向の動きに変換して伝達するワイヤーからなり、このワイヤーはこれを長さ方向に移動可能に内挿し、両端を固定部材に固定されたアウターチューブによって案内されることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0256】
(11)前記運動伝達部材は、回転軸まわりの回動を直動に変換、及び直動を回転軸まわりの回動に変換するとともにその動きを油圧に変換可能な油圧駆動部の油圧を伝達する手段、例えば可撓性のチューブよりなることを特徴とする(1)項に記載の手術用顕微鏡装置。
【0257】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、手術用顕微鏡装置にその観察点を中心とした鏡体の傾斜が可能な機構を備えても、その鏡体を支持する機構が大型化せず、コンパクト化することができる。また、その鏡体の移動を軽い力で行える。すなわち、他の機器に干渉したり、手術中に術者並びに補助者に邪魔になったりすることなく、かつ術者の疲労を大幅に軽減する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体を概略的に示す側面図。
【図2】図1の矢印a方向から見た回転軸O1 を含む部分の断面図。
【図3】図1の矢印b方向から見た回転軸O5 を含む部分の断面図。
【図4】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の第2の平行リンク、第2の傾斜アーム、傾斜ロッドおよび運動規制機構の部分を詳細に示す斜視図。
【図5】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体および電気回路の構成を示す説明図。
【図6】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体を略水平面内で動かすときの動きの説明図。
【図7】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体を略上下に動かすときの動きの説明図。
【図8】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体を観察光軸上の一点を中心とした傾斜動の動きの説明図。
【図9】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の運動伝達機構部の拡大図。
【図10】同じく、第1の実施例における手術用顕微鏡装置の運動規制機構部の拡大図。
【図11】従前の開孔部の深部を観察する場合の説明図。
【図12】深部の観察点を中心に鏡体を傾斜させるようにした場合の作業の説明図。
【図13】他の実施例による運動伝達機構を用いた手術用顕微鏡装置の全体を概略的に示す図。
【図14】図13の運動伝達機構の上側部分の拡大図。
【図15】本発明の第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体を概略的に示す側面図。
【図16】同じく、第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体を概略的に示す平面図。
【図17】同じく、第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置における油圧駆動部の構成の説明図。
【図18】同じく、第2の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体および電気回路の構成を示す説明図。
【図19】同じく、第2の実施例に係る手術用顕微鏡装置における要部の拡大図。
【図20】本発明の第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置の全体を概略的に示す側面図。
【図21】同じく、第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置における運動規制機構の部分の詳細な斜視図。
【図22】同じく、第3の実施例における手術用顕微鏡装置の鏡体および電気回路の構成を示す説明図。
【図23】同じく、第3の実施例に係る手術用顕微鏡装置における運動規制部の拡大図。
【符号の説明】
1…支柱、2…第1の平行四辺形リンク、2a〜2d…アーム、3…第2の平行四辺形リンク、3a〜3d…アーム、4…支持台、7…第1の伝達ロッド、8…第2の伝達ロッド、10…平行四辺形リンク機構、12…鏡体、25…傾斜ロッド、66a,66b,66c,66d…スプロケット、67a,67b…チェーン、68…接続アーム、69…傾斜ブロック、Oi …回転軸。

Claims (1)

  1. 顕微鏡の鏡体(12)を支持し、その鏡体(12)を3次元的に移動可能で、かつ特定の移動軌跡に限定可能な手術用顕微鏡装置において、
    臨床室の床や天井等の被設置部位に対して取り付けられ、鉛直軸(O0 )まわりに回動可能な支柱(1)と、
    前記支柱(1)に対して、前記鉛直軸(O0 )と異なる回転軸(O1 )まわりに回動可能に接続され、複数のアーム(2a〜2d)を前記回転軸(O1 )を含む互いに平行な回転軸(O1 〜O4 )まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第1の平行四辺形リンク(2)と、
    前記第1の平行四辺形リンク(2)の上方および下方の一方の側に配置され、前記支柱(1)に対し、前記回転軸(O1 )と平行な回転軸(O5 )まわりに回動可能に接続され、複数のアーム(3a〜3d)を前記回転軸(O5 )を含む互いに平行な回転軸(O5 〜O8 )まわりにそれぞれ回動可能に接続してなる第2の平行四辺形リンク(3)と、
    前記第1の平行四辺形リンク(2)における面内においてその回転軸(O1 )とこれに隣接する一方の回転軸(O4 )とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク(3)における面内において前記回転軸(O1 )と回転軸(O4 )に対応したその第2の平行四辺形リンク(3)における前記回転軸(O5 )とこれに隣接する一方の回転軸(O8 )とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく、前記回転軸(O1 )を中心として回転する第1の平行四辺形リンク(2)における一方のアーム(2a)と前記回転軸(O5 )を中心とした前記第2の平行四辺形リンク(3)における一方のアーム(3a)との回動を連動させる第1の連動機構と、
    前記第1の平行四辺形リンク(2)における面内においてその回転軸(O1 )とこれに隣接した他方の回転軸(O2 )とを結ぶ線分に平行な線分と、前記第2の平行四辺形リンク(3)における面内においてその回転軸(O5 )とこれに隣接する他方の回転軸(O6 )とを結ぶ線分に平行な線分とが、常に平行になるべく前記回転軸(O1 )を中心として回動する前記第1の平行四辺形リンク(2)における他方のアーム(2b)と、前記回転軸(O5 )を中心として回動する前記第2の平行四辺形リンク(3)における他方のアーム(3b)の回動を連動させる第2の連動機構と、
    前記第1の平行四辺形リンク(2)においての前記アーム(2b)に対辺するアーム(2d)に接続され、その先端に取り付けられる鏡体を、互いに直交する2つの回転軸(O9 ,O10)を中心に傾斜可能な第1の傾斜アームと、
    前記第2の平行四辺形リンク(3)においての前記アーム(3b)に対辺するアーム(3d)に接続され、それぞれ前記回転軸(O9 ,O10)に平行な回転軸(O21,O12)を中心に傾斜可能な傾斜ロッド(25)を先端に取り付けた第2の傾斜アームと、
    前記第1の傾斜アームと前記第2の傾斜アームとを運動伝達部材で連結し、前記第1の傾斜アームが前記回転軸(O 9 )のまわりに回転する角度に対応する角度で、前記第2の傾斜アームに接続された前記傾斜ロッド(25)を回転軸(O 21 )まわりに回転させると共に、前記第1の傾斜アームが回転軸(O 10 )を中心に回転する角度に対応する角度で、前記第2の傾斜アームに接続された前記傾斜ロッド(25)を回転軸(O 12 )のまわりに回転させる運動伝達機構と、
    前記傾斜ロッド(25)の移動軌跡を前記被設置部位に対しての所定位置に限定可能な運動規制機構とを備え、
    前記鉛直軸(O0 )を含む面と平行な面内で回転軸(O1 ,O4 ,O10)をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸(O5 ,O8 ,O12)をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して成ることを特徴とする手術用顕微鏡装置。
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