JP3635961B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用駆動力制御装置に関し、特に、運転者の意思(アクセル操作状況)に応じたドライバ要求トルクと、車輪のスリップ状態に応じた制御要求トルクとのうちの小さい方に基づいて、エンジンのスロットル開度と燃料カット気筒数(燃料の供給を停止する気筒の個数)とを制御することによりエンジントルクを制御するようになっている装置において、排気系の触媒に対する負担を軽減できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両加速時の駆動輪に過度なスリップが生じている場合には、運転者のアクセル操作そのものに応じてスロットル開度を決めるのではなく、スリップが抑制され駆動力が安定して路面に伝わるような制御要求トルク(TCS要求トルク)を求め、そのTCS要求トルクに基づいてスロットル開度や燃料カット気筒数を制御する、いわゆるトラクションコントロールシステム(TCS;Traction Control System )が存在する。
【0003】
即ち、スロットル開度や燃料カット気筒数を増減することによりエンジンの駆動力を調整可能なエンジンコントローラの他に、TCSコントローラを設けていて、そのTCSコントローラは、例えば駆動輪と従動輪との車輪速差に基づいて駆動輪のスリップ状態を判断し、そのスリップ状態が過度な場合には駆動力制御を実行し、過度なスリップを抑制できる適切なスロットル開度等を演算し、その演算されたスロットル開度等を表す信号を、エンジンコントローラに出力するようになっていた。
【0004】
そして、エンジンコントローラは、運転者のアクセル操作に応じたドライバ要求トルクを実現するためのスロットル開度と、TCSコントローラから供給されたスロットル開度とを比較し、そのうちの小さい方(エンジントルクが小さくなる方)を選択(セレクトロー)し、その選択されたスロットル開度に基づいて実際のスロットル開度を調整する、という構成が一般的であった。このように、エンジンコントローラにおいて、ドライバ要求トルクとTCSコントローラ出力とのうちの小さい方のスロットル開度が選択されれば、エンジントルクが過大になって過度なスリップが発生することを抑制することができる。
【0005】
一方、TCSコントローラとしては、上記のように演算されたTCS要求トルクに基づいてスロットル開度及び燃料カット気筒数の両方を決定し、それらスロットル開度及び燃料カット気筒数の両方をエンジンコントローラに出力するという構成が一般的であるが、本発明者等は、TCSコントローラ側ではTCS要求トルクの演算までを行い、そのTCS要求トルクをエンジンコントローラに出力し、エンジンコントローラ側で、TCS要求トルクとドライバ要求トルクとのうちの小さい方を目標トルクとして選択し、その目標トルクに基づいてエンジントルクを制御する、いわゆるトルク要求方式の駆動力制御装置を開発した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなトルク要求方式の駆動力制御装置の場合、最終的に選択された目標トルクを短時間のうちに実現するためのスロットル開度及び燃料カット気筒数を求め、その求めたスロットル開度及び燃料カット気筒数に応じた制御信号をエンジン側に出力することになる。つまり、選択された目標トルクが、ドライバ要求トルク又はTCS要求トルクのいずれであっても、エンジンコントローラ内では、目標トルクを実現するために必要なスロットル開度及び燃料カット気筒数を求めるというのが基本構成となる。
【0007】
かかる基本構成において、目標トルクとしてTCS要求トルクが選択されている場合、スロットル開度及び燃料カット気筒数の両方を制御することは駆動輪のスリップ状態を早期に抑制することができるため、望ましい制御内容である。ちなみに、スロットル開度の縮小だけでエンジントルクを減少させようとすると、エンジントルクは一次遅れの形で変化するため目標値に収束するまでに比較的時間を要するが、燃料カットも併用するとその一次遅れ分が補われて比較的短時間のうちに目標値に収束することができる。
【0008】
そして、上記基本構成のままであれば、ドライバ要求トルクが選択されている場合にも、スロットル開度及び燃料カット気筒数の両方を制御して同様にエンジントルクを短時間のうちに目標値に収束させることになる。
しかし、ドライバ要求トルクが選択されているということは、ドライバ要求トルクそのものが、過度なスリップを抑制できるTCS要求トルクを下回っているということであるから、ドライバ要求トルクが急激に減少したために、実際のエンジントルクがそのドライバ要求トルクに遅れて減少したとしても、車両挙動が不安定になるようなことは招かない。むしろ、トラクションコントロールシステムを有さない通常の車両と比較すると、加速走行から定速走行に移行する際の加速度の減じ方が急峻過ぎてしまい、運転者に違和感を与える可能性がある。そして、エンジンの燃料カットは、例えば6気筒のうちの3気筒には燃料を供給しないという少ない気筒数でエンジンを稼働させる状況を招き、排気温度を上昇させる副作用があり、これが頻繁に生じると排気系の触媒に対する負担が大きくなってしまうという不具合もある。
【0009】
本発明は、このような技術的課題に着目してなされたものであって、車両挙動が不安定になるような不具合を招くことなく、排気系の触媒に対する負担を軽減することができる車両用駆動力制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、運転者の意思に応じたドライバ要求トルクと、車輪のスリップ状態に応じた制御要求トルクとのうちの小さい方を目標トルクとして選択し、エンジントルクが前記目標トルクに一致するように、エンジンのスロットル開度と燃料カット気筒数とを制御するようになっている車両用駆動力制御装置において、前記制御要求トルクとして前記車輪の過大なスリップを抑制するのに適したトルクが演算されている場合であっても、前記ドライバ要求トルクが前記制御要求トルクよりも小さい場合には、前記エンジンの燃料カットを禁止するようにしたものである。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項2に係る発明は、運転者のアクセル操作に応じたドライバ要求トルクを検出するドライバ要求トルク検出手段と、車輪のスリップ状態に応じて制御要求トルクを演算する制御要求トルク演算手段と、前記ドライバ要求トルクと前記制御要求トルクとのうちの小さい方を目標トルクとして選択する選択手段と、前記目標トルクに基づいてエンジンのスロットル開度と燃料カット気筒数との目標値を決定しそれらスロットル開度と燃料カット気筒数とを制御するエンジントルク制御手段と、を備えた車両用駆動力制御装置において、前記制御要求トルク演算手段は、前記車輪のスリップが過大であると判断される場合にはその過大なスリップを抑制するのに適したトルクを前記制御要求トルクとして演算し、前記車輪のスリップが過大でないと判断される場合には前記制御要求トルクを設定可能な最大値にするようになっており、前記エンジントルク制御手段は、前記制御要求トルク演算手段における前記判断の結果が前記いずれの場合であっても、前記ドライバ要求トルクが前記制御要求トルクよりも小さい場合には、前記エンジンの燃料カットを禁止するようにしたものである。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2に係る発明である車両用駆動力制御装置において、前記ドライバ要求トルクが所定のしきい値以下の場合には、前記エンジンの燃料カットを許可するようにした。
即ち、運転者がアクセルペダルを完全に戻したため、エンジンのスロットル開度が全閉になるような場合には、大きな減速度が欲しいのであるから、ドライバ要求トルクが極小さい(例えば、零)場合には、ドライバ要求トルクが制御要求トルクよりも小さいという判定が成立していたとしても、燃料カットを許可することにより、エンジントルクを急激に低下させて大きなエンジンブレーキを発生させることが望ましいからである。
【0013】
そして、請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3に係る発明である車両用駆動力制御装置において、車速、エンジン回転数及び冷却水温度のうちの少なくとも一つに基づいて前記エンジンの燃料カットが必要であるか否かを判定し、その燃料カットが必要であると判定された場合には、前記エンジンの燃料カットを許可するようにした。
【0014】
即ち、例えば極端な高速走行になった場合、極端にエンジンが高回転状態になった場合、冷却水が極端に高温になった場合等には、それらを解消するために燃料カットをすることが望ましいのであるから、車速等に基づいて燃料カットが必要であると判定された場合には、ドライバ要求トルクが制御要求トルクよりも小さかったとしても、エンジンの燃料カットをすることが望ましいからである。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動力制御の実行中、つまり、制御要求トルクとして車輪の過大なスリップを抑制するのに適したトルクが演算されている場合であっても、ドライバ要求トルクが制御要求トルクを下回った結果、そのドライバ要求トルクに一致するようにエンジントルクが制御されるようになると、エンジンの燃料カットが禁止され、エンジンのスロットル開度だけが制御されるようにしたため、燃料カットの回数が減少し、それだけ排気系の触媒に対する負担を軽減することができ、しかも、燃料カットを禁止するのはドライバ要求トルクが制御要求トルクよりも小さいときだけであるから、車両挙動に対する悪影響もないという効果がある。
【0016】
特に、請求項3、4に係る発明にあっては、他の条件により燃料カットが必要であると判断できる場合にはそれを許可するようにしたため、燃料カットが禁止される場合をより的確に限定することができるという効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図4は本発明の一実施の形態を示す図であって、この実施の形態は、本発明に係る車両用駆動力制御装置を、TCSを搭載した車両1に適用したものである。
【0018】
先ず、構成を説明すると、図1に示すように、この車両1は、エンジン2の駆動力が前輪WFL、WFRに伝達され、後輪WRL、WRRは従動輪であるいわゆるFF車であり、エンジン2の給気管3には電子制御式のスロットル4が設けられ、このスロットル4の開度が、エンジンコントローラ10から供給されるスロットル制御信号SCによって制御されるようになっており、また、エンジン2の複数の気筒のうち燃料がカットされる気筒の本数が、エンジンコントローラ10から供給される燃料カット制御信号FCによって制御されるようになっている。
【0019】
また、車両1には、運転者のアクセルペダルの踏み込み量を検出し、その踏み込み量を表すアクセル開度信号AC を生成し出力するアクセル開度センサ5と、エンジン2の回転数を検出しエンジン回転数信号Nとして出力するエンジン回転数センサ6と、各車輪WFL〜WRRの車輪速を検出し車輪速信号VwFL、VwFR、VwRL、VwRRとして出力する車輪速センサ7FL、7FR、7RL、7RRとが設けられている。
【0020】
一方、エンジンコントローラ10は、実際にはマイクロコンピュータや必要なインタフェース回路、ROM、RAM等によって構成されているが、その機能構成をブロック図で表すと図1のようになる。但し、図1では、エンジンコントローラ10の機能のうち、本実施の形態で重要な機能のみを表している。
そして、エンジンコントローラ10は、ドライバ要求トルク演算部11を備えており、このドライバ要求トルク演算部11には、アクセル開度信号AC が供給されるようになっている。このドライバ要求トルク演算部11は、アクセル開度信号AC に基づいて運転者の意思に応じたドライバ要求トルクTD を演算し出力するようになっている。
【0021】
ドライバ要求トルクTD は、目標トルク選択部12に入力されるようになっている。この目標トルク選択部12には、後述するTCSコントローラ20から、TCS要求トルクTT も入力されるようになっている。そして、目標トルク選択部12は、ドライバ要求トルクTD とTCS要求トルクTT とを比較し、そのうちの小さい方を目標トルクTC として選択し、その目標トルクTC が、制御出力演算部13に入力されるようになっている。
【0022】
また、目標トルク選択部12は、TCS要求トルクTT がドライバ要求トルクTD よりも小さくてTCS要求トルクTT が目標トルクTC として選択された場合には、燃料カット制御禁止フラグFを“0”に設定する一方、ドライバ要求トルクTD がTCS要求トルクTT よりも小さくてドライバ要求トルクTD が目標トルクTC として選択された場合には、燃料カット制御禁止フラグFを“1”に設定するようになっていて、その燃料カット制御禁止フラグFも、制御出力演算部13に出力するようになっている。
【0023】
制御出力演算部13は、目標トルクTC を実現するために必要なスロットル開度及び燃料カット気筒数の目標値SC* 、FC* を求め、それらスロットル開度及び燃料カット気筒数の目標値に対応するスロットル制御信号SC及び燃料カット制御信号FCを生成し、スロットル4及びエンジン2に出力するようになっている。
【0024】
ただし、制御出力演算部13は、燃料カット制御禁止フラグFが“0”である場合には、スロットル開度及び燃料カット気筒数の両方の目標値SC* 、FC* を求め、それに応じてスロットル制御信号SC及び燃料カット制御信号FCを出力するようになっているが、燃料カット制御禁止フラグFが“1”である場合には、スロットル開度の目標値SC* のみを求め、それに応じてスロットル制御信号SCを出力し、燃料カット制御信号FCとしては燃料カット気筒数を零とする信号を出力する(つまり、目標値FC* =0とする)ようになっている。
【0025】
さらに、制御出力演算部13には、エンジン回転数センサ6からエンジン回転数信号Nが入力されるとともに、エンジン2の冷却水の温度を検出する温度センサ15から水温検出信号TW が入力されるようになっている。そして、制御出力演算部13は、エンジン回転数信号N及び水温検出信号TW に基づいて、エンジン2の燃料カットが必要な状況であるか否かを判定し、燃料カットが必要な状況であると判定された場合には、その判定を優先し、目標トルクTC 及び燃料カット制御禁止フラグFに関係なく、所定気筒数の燃料カットを行なってエンジントルクを減少させるようになっている。なお、本実施の形態では、エンジン回転数が所定回転数を越えて極端に高回転である場合、及び、冷却水温が所定水温を越えて極端に高温である場合、のいずれか一方が成立したときに、燃料カットが必要な状況であると判定するようになっている。
【0026】
そして、本実施の形態では、エンジンコントローラ10の他に、TCSコントローラ20を備えている。なお、このTCSコントローラ20も、実際にはマイクロコンピュータや必要なインタフェース回路、ROM、RAM等によって構成されている。
TCSコントローラ20は、従動輪である後輪WRL、WRR用の車輪速センサ7RL、7RRから車輪速信号VwRL、VwRRが入力され、その平均値に例えば所定の定数を乗じることにより、駆動輪の目標車輪速VO を求める目標車輪速演算部21と、駆動輪である前輪WFL、WFR用の車輪速センサ7FL、7FRから車輪速信号VwFL、VwFRが入力され、その平均値VA を演算する平均値演算部22と、目標車輪速VO と平均値VA との差(VA −VO )を求めることにより、前輪WFL、WFRの理想的な車輪速に対するスリップ量Sを演算するスリップ量演算部23と、を備えている。
【0027】
さらに、TCSコントローラ20は、スリップ量Sに基づいて、制御要求トルクとしてのTCS要求トルクTT を演算し出力するTCS要求トルク演算部24を備えている。目標エンジントルク演算部24は、スリップ量Sの絶対値が、前輪WFL、WFRのスリップが過大であると判断できる所定のしきい値S* (>0)を越えているか否かを判定し、それが越えていないと判定された場合には、TCS要求トルクTT を設定可能な最大値にする一方、それが越えていると判定された場合には、過大なスリップを抑制するのに適したTCS要求トルクTT を演算し出力するようになっている。そして、TCS要求トルクTT は、上述したように、エンジンコントローラ10の目標トルク選択部12に入力されるようになっている。
【0028】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図2はエンジンコントローラ10内で実行される処理の概要を示すフローチャートであり、先ずそのステップ101において、エンジン回転数信号N及び温度検出信号TW を読み込み、ステップ102に移行し、それらエンジン回転数信号N及び温度検出信号TW に基づいて、エンジンの燃料カット(F/C)が必要であるか否かを判定する。このステップ102の判定が「YES」の場合には、ステップ103に移行する。ステップ103では、高過ぎるエンジン回転数又は冷却水温度を強制的に低減させるために、燃料カット制御を実行する。ステップ103に移行した場合には、ステップ104の以降の処理は実行せず、これで図2の処理を終了する。
【0029】
これに対し、ステップ102の判定が「NO」の場合には、ステップ104に移行し、TCS要求トルクTT 及びドライバ要求トルクTD を読み込み、次いでステップ105に移行し、TCS要求トルクTT がドライバ要求トルクTD よりも大きいか否かを判定し、この判定が「YES」の場合(TT >TD )には、ステップ106に移行し、目標トルクTC にドライバ要求トルクTD を代入し、燃料カット制御禁止フラグFを“1”にセットする。
【0030】
一方、ステップ105の判定が「NO」の場合(TT ≦TD )には、ステップ107に移行し、目標トルクTC にTCS要求トルクTT を代入し、燃料カット制御禁止フラグFを“0”にセットする。
そして、ステップ106又は107からステップ108に移行し、ここで、目標トルクTC に基づいて、スロットル開度の目標値SC* を設定する。このステップ108では、車種やエンジン形式に基づいて予め作成したスロットル開度とエンジントルクとの間の関係を表すマップを参照することにより、スロットル開度の目標値SC* を求める。
【0031】
次いで、ステップ109に移行し、燃料カット制御禁止フラグFが“1”であるか否かを判定し、この判定が「YES」の場合(F=1)には、ステップ110に移行し、燃料カット気筒数の目標値FC* を零とする。
しかし、ステップ109の判定が「NO」の場合(F=0)には、ステップ111に移行し、スロットル開度の目標値SC* に基づき、その時点におけるエンジントルクの推定値TP*を演算する。即ち、後述のステップ113において、目標値SC* に基づいたスロットル制御信号SCが出力され、スロットル4の開度が減少すると、エンジントルクは、目標トルクTC に向かって、図3に二点鎖線で示すような一次遅れ特性に従って減少する。従って、減少を開始したときのエンジントルクの値と、一次遅れ特性の時定数等の定数と、減少を開始した時点からの経過時間とに基づけば、現時点tn におけるエンジントルクの推定値TP*は求めることができるのである。
【0032】
そして、ステップ112に移行し、ステップ111で求めた推定値TP*に基づいて、燃料カット気筒数の目標値FC* を演算する。即ち、図3からも判るように、現時刻tn における目標トルクTC と推定値TP* との差(TP*−TC )の分だけトルクが過剰なのであるから、エンジン2の気筒数をCN とすれば、その気筒数CN のうち、差(TP*−TC )に相当する分だけトルクを発生させる気筒数を減らせば、エンジントルクは目標値TC に一致するはずである。
【0033】
よって、目標値FC* は、
FC* ={(TP*−TC )/TP*}×CN ……(1)
となる。ただし、上記(1)式によって求められた目標値FC* は、殆どの場合整数にはならないから、これを量子化(例えば小数点以下を切り捨てる)して整数値にする必要がある。
【0034】
そして、ステップ110又は112から、ステップ113に移行し、スロットル開度の目標値SC* に対応したスロットル制御信号SCと、燃料カット気筒数の目標値FC* に対応した燃料カット制御信号FCとを出力する。これで、今回の図2の処理を終了し、次の割り込みタイミングになったら、上記ステップ101から再び処理を開始する。
【0035】
次に、図4に従って全体的な動作を説明すると、時刻t0 において加速走行中であった車両が、その加速走行をさらに続けているものとし、駆動輪には過大なスリップは生じていないものとする。この状態では、TCSコントローラ20において特にトラクションコントロールは不要であると判断されるから、TCSはオフとなり、TCSコントローラ20からエンジンコントローラ10に出力されるTCS目標トルクTT は最大値となる(図4の時刻t0 〜t1 間の破線部分参照)。
【0036】
一方、エンジンコントローラ10内では、アクセル開度信号AC に基づいてドライバ要求トルクTD が演算され、そのドライバ要求トルクTD とTCSコントローラ20から供給されるTCS目標トルクTT とが比較されるが、この時点ではTCS目標トルクTT は最大値となっているから、TD <TT と判定され、目標トルクTC としてドライバ要求トルクTD が選択され(図4の時刻t0 〜t1 間の一点鎖線部分参照)、燃料カット制御禁止フラグFは“1”にセットされ、そのドライバ要求トルクTD に応じて、エンジントルクは増加する。
【0037】
このような加速走行状態が続き、時刻t1 に至った時点で、駆動輪のスリップ状態が大きくなったと判断され、TCS制御がオンになったものとする。
すると、TCSコントローラ20においてスリップ状態を抑制するために必要なTCS要求トルクTT が演算されるようになり(図4の時刻t1 〜t2 間の破線部分参照)、これがエンジンコントローラ10内でドライバ要求トルクTD と比較されるが、この場合はTT <TD と判断されるから、目標トルクTC としてTCS要求トルクTT が選択される(図4の時刻t1 〜t2 間の一点鎖線部分参照)。また、同時に、燃料カット制御禁止フラグFは“0”にセットされる。
【0038】
その結果、スロットル開度及び燃料カット気筒数の両方が制御されるから、実際のエンジントルクは、目標トルクTC を略正確に追従するようになり、駆動輪の過度なスリップは極短時間のうちに解消される。
そして、運転者がアクセルペダルの踏み込み量を緩くしたため、ドライバ要求トルクTD が増加から減少に転じ、時刻t2 において、ドライバ要求トルクTD とTCS要求トルクTT とが一致し、その時刻t2 以降もしばらくの間ドライバ要求トルクTD が減少し続けたとする。
【0039】
すると、時刻t2 以降は、ドライバ要求トルクTD が目標トルクTC として選択され(図4の時刻t2 以降の一点鎖線部分参照)、その目標トルクTC に一致するようにエンジントルクが制御されるようになる。しかし、この場合は、燃料カット制御禁止フラグFが“1”であるため、エンジンコントローラ10は、スロットル開度のみを、目標トルクTC が得られるような開度に調整する。このため、実際のエンジントルクTR (≒推定値TP )は、図4中に二点鎖線で示すように、一次遅れのカーブを描きながら減少して目標トルクTC に収束していくようになる。
【0040】
即ち、この場合は、TCS制御の実行中であっても、運転者によるアクセルペダルの操作が緩和されたために、ドライバ要求トルクTD が駆動輪の過度なスリップを抑制するための上限値であるTCS要求トルクTT を下回っているから、時刻t2 の経過後に極短時間のうちにエンジントルクが減少して目標トルクTC (ドライバ要求トルクTD )に一致しなくても、駆動輪のスリップ状態が過度になる等の不具合は招かない。
【0041】
むしろ、この場合の運転者によるアクセルペダルの操作は、加速走行から定速走行に移行した場合(例えば、入線路から高速道路に合流する際、A/T車がキックダウンで急加速し、流れに乗った後にアクセルペダルの踏み込み量を緩めて定速走行に移行したような場合)を想定しており、従って、ドライバ要求トルクTD がTCS要求トルクTT を下回ったからといって急激にエンジントルクを減少させてしまうと、運転者に却って違和感を与えてしまうのである。
【0042】
そして、本実施の形態の構成であれば、燃料カットが行なわれる頻度を小さくできるから、それだけ排気系の触媒に与える負担を軽減でき、触媒の高寿命化が図られるという利点がある。
ここで、本実施の形態では、アクセル開度センサ5及びドライバ要求トルク演算部11がドライバ要求トルク検出手段に対応し、目標車輪速演算部21、平均値演算部22、スリップ量演算部23及びTCS要求トルク演算部24が制御要求トルク演算手段に対応し、目標トルク選択部12及びステップ104〜107の処理が選択手段に対応し、制御出力演算部13及びステップ108〜113の処理がエンジントルク制御手段に対応する。
【0043】
なお、上記実施の形態では、ステップ102において、エンジン回転数及び冷却水温度に基づいて燃料カットが必要であるか否かを判定し、ここで「YES」と判定された場合には優先的に燃料カットを行なうような構成としているため、燃料カットを禁止する場合をより的確に限定することができるが、これに代えて又はこれとともに、車速に基づいて燃料カットが必要であるか否かを判定し、その判定が「YES」の場合には優先的に燃料カットを行なうような構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、上述のような優先的に燃料カットが必要であると判定されなかった場合には、ドライバ要求トルクTD がTCS要求トルクTT よりも小さければ燃料カットを禁止するような構成としているが、運転者が急減速を望んでいる場合には、むしろ燃料カットを行なった方がよい場合もある。そこで、ドライバ要求トルクTD がTCS要求トルクTT よりも小さくても、そのドライバ要求トルクTD が、運転者が急減速を望んでいると判断できる所定のしきい値(例えば、アクセルペダルの踏み込み量が零又は極小になったときのドライバ要求トルク)以下の場合には、燃料カットを許可して、エンジントルクが速やかに減少するようにすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の全体構成を示す図である。
【図2】エンジンコントローラにおける処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】エンジントルクの減少特性を示す波形図である。
【図4】実施の形態の全体動作を説明する波形図である。
【符号の説明】
1 車両
2 エンジン
4 スロットル
5 アクセル開度センサ
6 エンジン回転数センサ
7FL〜7RR 車輪速センサ
10 エンジンコントローラ
11 ドライバ要求トルク演算部
12 目標トルク選択部
13 制御出力演算部
15 温度センサ
20 TCSコントローラ
21 目標車輪速演算部
22 平均値演算部
23 スリップ量演算部
24 TCS要求トルク演算部
Claims (4)
- 運転者の意思に応じたドライバ要求トルクと、車輪のスリップ状態に応じた制御要求トルクとのうちの小さい方を目標トルクとして選択し、エンジントルクが前記目標トルクに一致するように、エンジンのスロットル開度と燃料カット気筒数とを制御するようになっている車両用駆動力制御装置において、
前記制御要求トルクとして前記車輪の過大なスリップを抑制するのに適したトルクが演算されている場合であっても、前記ドライバ要求トルクが前記制御要求トルクよりも小さい場合には、前記エンジンの燃料カットを禁止するようになっていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 運転者のアクセル操作に応じたドライバ要求トルクを検出するドライバ要求トルク検出手段と、車輪のスリップ状態に応じて制御要求トルクを演算する制御要求トルク演算手段と、前記ドライバ要求トルクと前記制御要求トルクとのうちの小さい方を目標トルクとして選択する選択手段と、前記目標トルクに基づいてエンジンのスロットル開度と燃料カット気筒数との目標値を決定しそれらスロットル開度と燃料カット気筒数とを制御するエンジントルク制御手段と、を備えた車両用駆動力制御装置において、
前記制御要求トルク演算手段は、前記車輪のスリップが過大であると判断される場合にはその過大なスリップを抑制するのに適したトルクを前記制御要求トルクとして演算し、前記車輪のスリップが過大でないと判断される場合には前記制御要求トルクを設定可能な最大値にするようになっており、
前記エンジントルク制御手段は、前記制御要求トルク演算手段における前記判断の結果が前記いずれの場合であっても、前記ドライバ要求トルクが前記制御要求トルクよりも小さい場合には、前記エンジンの燃料カットを禁止するようになっていることを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 前記ドライバ要求トルクが所定のしきい値以下の場合には、前記エンジンの燃料カットを許可するようになっている請求項1又は請求項2記載の車両用駆動力制御装置。
- 車速、エンジン回転数及び冷却水温度のうちの少なくとも一つに基づいて前記エンジンの燃料カットが必要であるか否かを判定し、その燃料カットが必要であると判定された場合には、前記エンジンの燃料カットを許可するようになっている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用駆動力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01753399A JP3635961B2 (ja) | 1999-01-26 | 1999-01-26 | 車両用駆動力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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