JP3635689B2 - 冷媒蒸発器 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は冷媒通路を金属薄板の積層構造により形成する積層型の冷媒蒸発器に関するもので、特に冷媒通路内を流れる内部冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器に関するものであり、自動車用空調装置の冷凍サイクルの冷媒蒸発器として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特開平5−196321号公報において、冷媒通路内を流れる内部冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器を提案している。上記公報記載のものは、通常の冷媒−空気間の熱交換をおこなう主熱交換部の他に、蒸発器入口側の冷媒と蒸発器出口側の冷媒とを熱交換させて、主熱交換部の入口タンク内に流入する冷媒の乾き度を小さくする、副熱交換部(冷媒−冷媒熱交換部)を設けている。
【0003】
この副熱交換部の作用により主熱交換部の入口タンク内に流入する冷媒の乾き度を大幅に小さくして、入口タンク内における冷媒が液単相に近い状態にすることにより、入口タンクから多数のチューブに冷媒を分配する際に、各チューブに均一に液冷媒を分配できる。しかも、各チューブ内面が液冷媒で覆われた状態となり、チューブ内面での熱伝達率が向上し、これらのことが相まって蒸発器の冷却性能を向上できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報記載のものは、冷媒通路を構成する金属薄板を積層してろう付けにより一体構造に接合して製造されるようになっているが、本発明者らの実験、検討によれば、その製造に際し、副熱交換部(冷媒−冷媒熱交換部)においては、冷媒の分配、集合を行う複数のタンク部を同一の金属薄板に形成しているので、この複数のタンク部の形成に伴って、冷媒の流れが金属薄板の表面上で偏って流れることが分かった。
【0005】
このような冷媒流れの偏りによって、副熱交換部の伝熱面積を有効に活用できず、熱交換性能が低下するという問題があった。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、冷媒通路内を流れる冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器において、冷媒の流れの偏りを低減して、副熱交換部の熱交換性能を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1記載の発明では、冷媒通路(7a)内を流れる冷媒と前記冷媒通路(7a)の外部を流れる被冷却流体とを熱交換させる主熱交換部(7)と、
前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の入口側に流入する入口側冷媒と、前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒とを熱交換させる副熱交換部(8)とを有し、
前記主及び副熱交換部(7、8)の冷媒通路(7a、8a、8b)は金属薄板(7b、8c)の積層構造により形成されており、
前記副熱交換部(8)には、前記入口側冷媒が流れる入口側冷媒通路(8a)と、前記出口側冷媒が流れる出口側冷媒通路(8b)が前記金属薄板(8c)の表裏両側に交互に形成されており、
前記副熱交換部(8)の前記金属薄板(8c)の一端部側に、前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒を前記出口側冷媒通路(8b)に流入させる入口側タンク(8f)が形成されており、
また前記副熱交換部(8)の前記金属薄板(8c)の一端部側には、前記入口側タンク(8f)に隣接して、前記入口側冷媒通路(8a)の出口側タンク(8e)および中継タンク(8i)が形成されており、
前記出口側冷媒通路(8b)は、前記入口側タンク(8f)から流入する出口側冷媒が並列に流れる多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)を有しており、前記入口側タンク(8f)と前記分岐通路(8b−1〜8b−10)との間の冷媒流路は、前記出口側タンク(8e)および前記中継タンク(8i)の部分を除いて、前記金属薄板(8c)の一端部側の幅方向の略全域にわたって形成されている冷媒蒸発器を特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の冷媒蒸発器において、前記金属薄板(8c)の一端部側の幅方向において、前記出口側タンク(8e)が略中央部に位置し、前記入口側タンク(8f)が一方の端部に位置し、前記中継タンク(8i)が他方の端部に位置しており、
前記入口側タンク(8f)と前記分岐通路(8b−1〜8b−10)との間の冷媒流路が、前記幅方向において前記出口側タンク(8e)および前記中継タンク(8i)のそれぞれ両側に形成されていることを特徴とする。
【0008】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0009】
【発明の作用効果】
請求項1、2記載の発明によれば、上記技術的手段を有しているため、主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒を入口側タンク(8f)から出口側冷媒通路(8b)の多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入させるとき、出口側タンク(8e)および中継タンク(8i)の部分を除いて、金属薄板(8c)の一端部側の幅方向の略全域にわたって形成された流路を通して、多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入させることができる。
【0010】
そのため、この多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入する冷媒流量の偏りを僅少にできる。
これにより、金属薄板(8c)の伝熱面積全体を有効に活用して、出口側冷媒通路(8b)のガス冷媒と、入口側冷媒通路(8a)内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができ、副熱交換部(8)の熱交換性能を向上できる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を図に示す実施例について説明する。図1は本発明による冷媒蒸発器を適用した自動車用空調装置の冷凍サイクルを示しており、1は圧縮機で、電磁クラッチ2を介して自動車用エンジン(駆動源、図示せず)により駆動されるものである。
【0012】
3は凝縮器で、圧縮機1から吐出された高温、高圧のガス冷媒を冷却ファン(図示せず)の送風空気と熱交換して冷却し、凝縮するものである。4は凝縮器3で凝縮した液冷媒を溜めて液冷媒のみをサイクル下流側へ導出する受液器、5は冷媒の減圧手段を構成する温度作動式膨張弁で、5aはその感温筒である。6は本発明による積層型の冷媒蒸発器である。
【0013】
この蒸発器6は、冷媒通路7a内を流れる冷媒と前記冷媒通路7aの外部を流れる空調用送風空気(被冷却流体)とを熱交換させる主熱交換部7と、
この主熱交換部7の冷媒通路7aの入口側に流入する冷媒と、前記主熱交換部7の冷媒通路7aの出口側から流出する冷媒とを熱交換させる副熱交換部8とを有している。
【0014】
ここで、副熱交換部8において、8aは前記主熱交換部7の冷媒通路7aの入口側に流入する冷媒が流れる入口側冷媒通路を示し、8bは前記主熱交換部7の冷媒通路7aの出口側から流出する冷媒が流れる出口側冷媒通路を示す。従って、副熱交換部8は冷媒−冷媒熱交換部を構成することになる。一方、主熱交換部7は送風空気から冷媒が吸熱して蒸発する冷媒蒸発部(冷媒−空気熱交換部)を構成することになる。
【0015】
9は副熱交換部8の入口側冷媒通路8aと主熱交換部7の冷媒通路7aの入口部との間に蛇行状に形成された微小断面積の絞り通路で、一般にキャピラリチューブと称されている減圧手段の役割を果たす。但し、この絞り通路9による減圧度合いは膨張弁5の減圧度合いよりも小さく設定されており、この絞り通路9はその上流側と下流側との間に冷媒の圧力差を設けて、副熱交換部8における入口側冷媒通路8aの冷媒温度と、出口側冷媒通路8bの冷媒温度との間に、高低の温度差をつけることにより、両通路8a、8b間の熱交換を良好に行わせるものである。
【0016】
10は定圧弁で、冬季の如く冷凍サイクル熱負荷が著しく低下して、その前後の圧力差が設定値以下になると、開弁して受液器4からの液冷媒を所定量減圧して直接主熱交換部7の冷媒通路7aの入口に流入させるものである。
冬季の低負荷条件時には、凝縮器3での冷媒圧力が低下して、凝縮器3と蒸発器6との間の圧力差に占める絞り通路9の抵抗が大となって、冷媒流量が小となる。しかも、車室内空気を循環させる内気循環モードでは、小流量の冷媒が比較的高温の内気から吸熱して、主熱交換部7の出口冷媒温度が入口冷媒温度より高くなってしまうことがある。その結果、副熱交換部8で、主熱交換部7の出口冷媒により入口側冷媒を加熱するという不具合が生じる。
【0017】
そこで、このような低負荷条件下では、前記定圧弁10を開弁して、上記不具合の発生を防止するようにしてある。
前記主及び副熱交換部7、8及び絞り通路9は金属薄板の積層構造により形成されており、その具体的構造は基本的には特開平5−196321号公報と同じでよいので、以下積層構造の概略を図2、3、4により説明すると、主熱交換部7では、金属薄板7b、具体的にはアルミニュウム心材(A3003)の両面にろう材(A4104)をクラッドした両面クラッド材を所定形状に成形して、これを2枚1組として多数組積層した上で、ろう付けにより接合することにより多数の冷媒通路7aを並列に形成するものである。
【0018】
この多数の冷媒通路7aはそれぞれ図1、2の上方でUターンするU形状のものであり、この各U形状の冷媒通路7aの入口部及び出口部はそれぞれ通路下方部に形成された入口側タンク部7c、出口側タンク部7dの開口部にて相互にコア奥行き方向で連通するようになっている。
また、主熱交換部7では、隣接する冷媒通路7aの外面側相互の間隙にコルゲートフィン(フィン手段)11を接合して空気側の伝熱面積の増大を図るようになっている。
【0019】
同様に、副熱交換部8においても、金属薄板8c、具体的にはアルミニュウム心材の両面にろう材をクラッドした両面クラッド材を所定形状に成形して、これを多数枚積層してろう付けにより接合することにより、この多数枚の積層構造の金属薄板8cの間に、前記入口側冷媒通路8aと、出口側冷媒通路8bを交互に形成するようになっている。
【0020】
ここで、副熱交換部8の端板12には配管コネクタ部材13が接合されるようになっており、この配管コネクタ部材13には、膨張弁5で減圧された気液2相冷媒が流入する入口管13aと、蒸発器6から圧縮機1側へ吸入されるガス冷媒が流出する出口管13bと、絞り通路9の下流側を定圧弁10の下流側に接続する接続管13cとが配設されている。
【0021】
そして、この入口管13aからの冷媒は、金属薄板8cの上部に形成された、入口側冷媒通路8aの入口側タンク部8dに流入するようになっており、この入口側タンク部8dはそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。
一方、金属薄板8cの下部に入口側冷媒通路8aの出口側タンク部8eが形成されており、この出口側タンク部8eもそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。そして、上部の入口側タンク部8dから下部の出口側タンク部8eに向かって、入口側冷媒通路8aが蛇行状に形成されている。
【0022】
また、前記した絞り通路9は、主熱交換部7のうち最も副熱交換部8寄りの金属薄板7b′と、主、副両熱交換部7、8の中間に介在された肉厚の中間プレート14との間に形成されるようになっている。
副熱交換部8の入口側冷媒通路8aの出口側タンク部8eから流出した冷媒は中間プレート14に形成された通路穴(図示せず)を通り、次に絞り通路9の入口部9aに流入する。
【0023】
そして、上記絞り通路9を通過した後、絞り通路9の出口部9bから冷媒は中間プレート14に形成された別の通路穴14a(図4参照)を通り、再度副熱交換部8側へ流入し、その後、中継タンク部8iを通過して中間プレート14に形成された、さらに別の通路穴である冷媒入口穴16を通り、主熱交換部7の入口側タンク部7cに流入する。
【0024】
そして、ここから冷媒は主熱交換部7の各冷媒通路7aをUターン状に流れ、その後出口側タンク部7dに集合するようになっている。
この出口側タンク部7dに集合した冷媒は、中間プレート14に形成された別の通路穴(図示せず)を通り、副熱交換部8の金属薄板8cの下部に形成された、出口側冷媒通路8bの入口側タンク部8fに流入するようになっており、この入口側タンク部8fはそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。
【0025】
一方、金属薄板8cの上部に出口側冷媒通路8bの出口側タンク部8gが形成されており、この出口側タンク部8gもそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。そして、下部の入口側タンク部8fから上部の出口側タンク部8gに向かって、出口側冷媒通路8bが形成されている。
副熱交換部8において、入口側冷媒通路8aと出口側冷媒通路8bは多数枚積層された金属薄板8cの表裏両側に交互に形成されている。出口側冷媒通路8bの出口側タンク部8gから冷媒は配管コネクタ部材13の出口管13bへ流出する。15は主熱交換部7の端板である。
【0026】
一方、副熱交換部8の端板12においては、上記冷媒入口穴16に対向する部位に穴12aが開けられており、この端板12の穴12aに、内部洩れ検査用検査治具(図示せず)の取付座18が一体に接合されている。この取付座18は雌ねじ18aを有し、この雌ねじ18aにより、上記冷媒入口穴16を閉塞可能な検査治具を挿入できる大きさを持った治具挿入穴19を設定している。
【0027】
20は治具挿入穴19を密封するための密封部材をなす蓋体で、雄ねじ20aを有し、この雄ねじ20aにより蓋体20は取付座18の雌ねじ18aに脱着可能に取付けられる。また、21は取付座18と蓋体20との間のシール用Oリング(シール部材)である。
本実施例では、蒸発器6をアルミニュウムの一体ろう付けで製造するようにしてあるので、冷間鍛造、切削加工等の必要な厚肉部品である配管コネクタ部材13及び取付座18、さらにはろう材の不要なコルゲートフィン11を除く他の薄板形状の部品は、すべてろう材(A4104)を心材(A3003)の両面にクラッドしたアルミニュウム両面クラッド材から成形されている。
【0028】
厚肉部品の配管コネクタ部材13および取付座18と、コルゲートフィン11はろう材をクラッドしてないアルミニュウムベア材(A3003)で成形している。
蒸発器6の製造にあたっては、主熱交換部7と副熱交換部8とを、主熱交換部7が下方、その上方に副熱交換部8が位置するように、この両者7、8を積層して、この両者7、8の積層組付体を縦方向の組付治具により保持して、蒸発器6全体の積層状態を維持する。
【0029】
その後、前記縦方向の組付治具により上記両熱交換部7、8の積層状態を維持しながら、この組付体を真空炉中に搬入して、アルミニュウムクラッド材のろう材融点以上に加熱して、組付体各部の接合部分をろう付けにより一体に接合し、蒸発器6全体を一体構造にする。
ところで、本発明者らは、副熱交換部8の冷媒通路8a、8bを構成する金属薄板8cの形状について、先ず最初に、図5に示す形状のものを試作、検討した。すなわち、図5(a)は金属薄板8cのうち、出口側冷媒通路8b側の面の一端側を示しており、この出口側冷媒通路8bの入口側タンク8fからガス冷媒が冷媒通路8bに流入し、この通路8bを流れるのであるが、この通路8bは、並列に形成された多数(図示の例は10本)の分岐通路8b−1〜8b−10に分岐している。
【0030】
一方、上記入口側タンク8fと、分岐通路8b−1〜8b−10との間には、上記タンク8f以外の他のタンク8e、8iが存在しており、この他のタンク8e、8iとの冷媒通路の区画のために、隔壁8j、8kを形成している。
ところが、この隔壁8jの形成により、図示上半部の通路8b−1〜8b−5に向かうガス冷媒は、通路断面積の狭い通路8mを通過しなければならず、この狭い通路8mの存在によって、上半部の分岐通路8b−1〜8b−5を通過する冷媒流量が図5(c)に示すように著しく減少することが分かった。
【0031】
なお、図5(b)の矢印の大きさは各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量を模式的に示している。
以上の結果、出口側冷媒通路8bの各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量に、図5(c)に示す大きな差(偏り)が発生するので、金属薄板8cの伝熱面積全体を有効に活用することができない。そのため、出口側冷媒通路8bのガス冷媒と、入口側冷媒通路8a内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができず、副熱交換部8の熱交換性能の低下を招く。
【0032】
そこで、本発明においては、図6(a)に示すように、隔壁8jの形状を改良して、中継タンク8iの外縁側に冷媒迂回通路8nを形成するようにしたものである。すなわち、金属薄板8cの一端部側において、中継タンク8i、出口側タンク8eの部分を除いて、幅方向(図5、6の上下方向)の略全域にわたって、入口側タンク8fと分岐通路8b−1〜8b−10との間の冷媒流路を形成している。
【0033】
従って、金属薄板8cの幅方向において、中継タンク8iおよび出口側タンク8eの両側に、入口側タンク8fと分岐通路8b−1〜8b−10との間の冷媒流路が形成されることになる。
特に、上記冷媒迂回通路8nの追加により、前述の冷媒流量の少ない上半部の分岐通路8b−1〜8b−5に対して、ガス冷媒は、前記通路断面積の狭い通路8mの他に、通路8nも同時に通って流れることがてきる。そのため、上半部の分岐通路8b−1〜8b−5に向かう冷媒流量を大幅に増加でき、図6(c)に示すように、各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量の差(偏り)を僅少にできる。
【0034】
これにより、金属薄板8cの伝熱面積全体を有効に活用して、出口側冷媒通路8bのガス冷媒と、入口側冷媒通路8a内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができ、熱交換性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明蒸発器を含む冷凍サイクル図である。
【図2】本発明蒸発器の一実施例を示す斜視図である。
【図3】図2の蒸発器の分解斜視図である。
【図4】図2、3の蒸発器において、検査治具用取付座部分の断面構造を示す要部断面図である。
【図5】(a)は本発明に至る前段階で検討した副熱交換部の金属薄板の要部正面図、(b)はこの金属薄板積層後の通路断面形状を示す断面図、(c)は(a)、(b)の金属薄板における冷媒流量の説明図である。
【図6】(a)は本発明による副熱交換部の金属薄板の位置実施例を示す要部正面図、(b)はこの金属薄板積層後の通路断面形状を示す断面図、(c)は(a)、(b)の金属薄板における冷媒流量の説明図である。
【符号の説明】
6…蒸発器、7…主熱交換部、7a…冷媒通路、7b…金属薄板、
8…副熱交換部、8a…入口側冷媒通路、8b…出口側冷媒通路、
8b−1〜8b−10…分岐通路、8c…金属薄板、
8d、8f…入口側タンク、8e、8g…出口側タンク、8i…中継タンク。
【産業上の利用分野】
本発明は冷媒通路を金属薄板の積層構造により形成する積層型の冷媒蒸発器に関するもので、特に冷媒通路内を流れる内部冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器に関するものであり、自動車用空調装置の冷凍サイクルの冷媒蒸発器として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特開平5−196321号公報において、冷媒通路内を流れる内部冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器を提案している。上記公報記載のものは、通常の冷媒−空気間の熱交換をおこなう主熱交換部の他に、蒸発器入口側の冷媒と蒸発器出口側の冷媒とを熱交換させて、主熱交換部の入口タンク内に流入する冷媒の乾き度を小さくする、副熱交換部(冷媒−冷媒熱交換部)を設けている。
【0003】
この副熱交換部の作用により主熱交換部の入口タンク内に流入する冷媒の乾き度を大幅に小さくして、入口タンク内における冷媒が液単相に近い状態にすることにより、入口タンクから多数のチューブに冷媒を分配する際に、各チューブに均一に液冷媒を分配できる。しかも、各チューブ内面が液冷媒で覆われた状態となり、チューブ内面での熱伝達率が向上し、これらのことが相まって蒸発器の冷却性能を向上できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報記載のものは、冷媒通路を構成する金属薄板を積層してろう付けにより一体構造に接合して製造されるようになっているが、本発明者らの実験、検討によれば、その製造に際し、副熱交換部(冷媒−冷媒熱交換部)においては、冷媒の分配、集合を行う複数のタンク部を同一の金属薄板に形成しているので、この複数のタンク部の形成に伴って、冷媒の流れが金属薄板の表面上で偏って流れることが分かった。
【0005】
このような冷媒流れの偏りによって、副熱交換部の伝熱面積を有効に活用できず、熱交換性能が低下するという問題があった。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、冷媒通路内を流れる冷媒同志で熱交換を行う副熱交換部を有する積層型の冷媒蒸発器において、冷媒の流れの偏りを低減して、副熱交換部の熱交換性能を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1記載の発明では、冷媒通路(7a)内を流れる冷媒と前記冷媒通路(7a)の外部を流れる被冷却流体とを熱交換させる主熱交換部(7)と、
前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の入口側に流入する入口側冷媒と、前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒とを熱交換させる副熱交換部(8)とを有し、
前記主及び副熱交換部(7、8)の冷媒通路(7a、8a、8b)は金属薄板(7b、8c)の積層構造により形成されており、
前記副熱交換部(8)には、前記入口側冷媒が流れる入口側冷媒通路(8a)と、前記出口側冷媒が流れる出口側冷媒通路(8b)が前記金属薄板(8c)の表裏両側に交互に形成されており、
前記副熱交換部(8)の前記金属薄板(8c)の一端部側に、前記主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒を前記出口側冷媒通路(8b)に流入させる入口側タンク(8f)が形成されており、
また前記副熱交換部(8)の前記金属薄板(8c)の一端部側には、前記入口側タンク(8f)に隣接して、前記入口側冷媒通路(8a)の出口側タンク(8e)および中継タンク(8i)が形成されており、
前記出口側冷媒通路(8b)は、前記入口側タンク(8f)から流入する出口側冷媒が並列に流れる多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)を有しており、前記入口側タンク(8f)と前記分岐通路(8b−1〜8b−10)との間の冷媒流路は、前記出口側タンク(8e)および前記中継タンク(8i)の部分を除いて、前記金属薄板(8c)の一端部側の幅方向の略全域にわたって形成されている冷媒蒸発器を特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の冷媒蒸発器において、前記金属薄板(8c)の一端部側の幅方向において、前記出口側タンク(8e)が略中央部に位置し、前記入口側タンク(8f)が一方の端部に位置し、前記中継タンク(8i)が他方の端部に位置しており、
前記入口側タンク(8f)と前記分岐通路(8b−1〜8b−10)との間の冷媒流路が、前記幅方向において前記出口側タンク(8e)および前記中継タンク(8i)のそれぞれ両側に形成されていることを特徴とする。
【0008】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0009】
【発明の作用効果】
請求項1、2記載の発明によれば、上記技術的手段を有しているため、主熱交換部(7)の冷媒通路(7a)の出口側から流出する出口側冷媒を入口側タンク(8f)から出口側冷媒通路(8b)の多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入させるとき、出口側タンク(8e)および中継タンク(8i)の部分を除いて、金属薄板(8c)の一端部側の幅方向の略全域にわたって形成された流路を通して、多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入させることができる。
【0010】
そのため、この多数の分岐通路(8b−1〜8b−10)に流入する冷媒流量の偏りを僅少にできる。
これにより、金属薄板(8c)の伝熱面積全体を有効に活用して、出口側冷媒通路(8b)のガス冷媒と、入口側冷媒通路(8a)内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができ、副熱交換部(8)の熱交換性能を向上できる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を図に示す実施例について説明する。図1は本発明による冷媒蒸発器を適用した自動車用空調装置の冷凍サイクルを示しており、1は圧縮機で、電磁クラッチ2を介して自動車用エンジン(駆動源、図示せず)により駆動されるものである。
【0012】
3は凝縮器で、圧縮機1から吐出された高温、高圧のガス冷媒を冷却ファン(図示せず)の送風空気と熱交換して冷却し、凝縮するものである。4は凝縮器3で凝縮した液冷媒を溜めて液冷媒のみをサイクル下流側へ導出する受液器、5は冷媒の減圧手段を構成する温度作動式膨張弁で、5aはその感温筒である。6は本発明による積層型の冷媒蒸発器である。
【0013】
この蒸発器6は、冷媒通路7a内を流れる冷媒と前記冷媒通路7aの外部を流れる空調用送風空気(被冷却流体)とを熱交換させる主熱交換部7と、
この主熱交換部7の冷媒通路7aの入口側に流入する冷媒と、前記主熱交換部7の冷媒通路7aの出口側から流出する冷媒とを熱交換させる副熱交換部8とを有している。
【0014】
ここで、副熱交換部8において、8aは前記主熱交換部7の冷媒通路7aの入口側に流入する冷媒が流れる入口側冷媒通路を示し、8bは前記主熱交換部7の冷媒通路7aの出口側から流出する冷媒が流れる出口側冷媒通路を示す。従って、副熱交換部8は冷媒−冷媒熱交換部を構成することになる。一方、主熱交換部7は送風空気から冷媒が吸熱して蒸発する冷媒蒸発部(冷媒−空気熱交換部)を構成することになる。
【0015】
9は副熱交換部8の入口側冷媒通路8aと主熱交換部7の冷媒通路7aの入口部との間に蛇行状に形成された微小断面積の絞り通路で、一般にキャピラリチューブと称されている減圧手段の役割を果たす。但し、この絞り通路9による減圧度合いは膨張弁5の減圧度合いよりも小さく設定されており、この絞り通路9はその上流側と下流側との間に冷媒の圧力差を設けて、副熱交換部8における入口側冷媒通路8aの冷媒温度と、出口側冷媒通路8bの冷媒温度との間に、高低の温度差をつけることにより、両通路8a、8b間の熱交換を良好に行わせるものである。
【0016】
10は定圧弁で、冬季の如く冷凍サイクル熱負荷が著しく低下して、その前後の圧力差が設定値以下になると、開弁して受液器4からの液冷媒を所定量減圧して直接主熱交換部7の冷媒通路7aの入口に流入させるものである。
冬季の低負荷条件時には、凝縮器3での冷媒圧力が低下して、凝縮器3と蒸発器6との間の圧力差に占める絞り通路9の抵抗が大となって、冷媒流量が小となる。しかも、車室内空気を循環させる内気循環モードでは、小流量の冷媒が比較的高温の内気から吸熱して、主熱交換部7の出口冷媒温度が入口冷媒温度より高くなってしまうことがある。その結果、副熱交換部8で、主熱交換部7の出口冷媒により入口側冷媒を加熱するという不具合が生じる。
【0017】
そこで、このような低負荷条件下では、前記定圧弁10を開弁して、上記不具合の発生を防止するようにしてある。
前記主及び副熱交換部7、8及び絞り通路9は金属薄板の積層構造により形成されており、その具体的構造は基本的には特開平5−196321号公報と同じでよいので、以下積層構造の概略を図2、3、4により説明すると、主熱交換部7では、金属薄板7b、具体的にはアルミニュウム心材(A3003)の両面にろう材(A4104)をクラッドした両面クラッド材を所定形状に成形して、これを2枚1組として多数組積層した上で、ろう付けにより接合することにより多数の冷媒通路7aを並列に形成するものである。
【0018】
この多数の冷媒通路7aはそれぞれ図1、2の上方でUターンするU形状のものであり、この各U形状の冷媒通路7aの入口部及び出口部はそれぞれ通路下方部に形成された入口側タンク部7c、出口側タンク部7dの開口部にて相互にコア奥行き方向で連通するようになっている。
また、主熱交換部7では、隣接する冷媒通路7aの外面側相互の間隙にコルゲートフィン(フィン手段)11を接合して空気側の伝熱面積の増大を図るようになっている。
【0019】
同様に、副熱交換部8においても、金属薄板8c、具体的にはアルミニュウム心材の両面にろう材をクラッドした両面クラッド材を所定形状に成形して、これを多数枚積層してろう付けにより接合することにより、この多数枚の積層構造の金属薄板8cの間に、前記入口側冷媒通路8aと、出口側冷媒通路8bを交互に形成するようになっている。
【0020】
ここで、副熱交換部8の端板12には配管コネクタ部材13が接合されるようになっており、この配管コネクタ部材13には、膨張弁5で減圧された気液2相冷媒が流入する入口管13aと、蒸発器6から圧縮機1側へ吸入されるガス冷媒が流出する出口管13bと、絞り通路9の下流側を定圧弁10の下流側に接続する接続管13cとが配設されている。
【0021】
そして、この入口管13aからの冷媒は、金属薄板8cの上部に形成された、入口側冷媒通路8aの入口側タンク部8dに流入するようになっており、この入口側タンク部8dはそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。
一方、金属薄板8cの下部に入口側冷媒通路8aの出口側タンク部8eが形成されており、この出口側タンク部8eもそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。そして、上部の入口側タンク部8dから下部の出口側タンク部8eに向かって、入口側冷媒通路8aが蛇行状に形成されている。
【0022】
また、前記した絞り通路9は、主熱交換部7のうち最も副熱交換部8寄りの金属薄板7b′と、主、副両熱交換部7、8の中間に介在された肉厚の中間プレート14との間に形成されるようになっている。
副熱交換部8の入口側冷媒通路8aの出口側タンク部8eから流出した冷媒は中間プレート14に形成された通路穴(図示せず)を通り、次に絞り通路9の入口部9aに流入する。
【0023】
そして、上記絞り通路9を通過した後、絞り通路9の出口部9bから冷媒は中間プレート14に形成された別の通路穴14a(図4参照)を通り、再度副熱交換部8側へ流入し、その後、中継タンク部8iを通過して中間プレート14に形成された、さらに別の通路穴である冷媒入口穴16を通り、主熱交換部7の入口側タンク部7cに流入する。
【0024】
そして、ここから冷媒は主熱交換部7の各冷媒通路7aをUターン状に流れ、その後出口側タンク部7dに集合するようになっている。
この出口側タンク部7dに集合した冷媒は、中間プレート14に形成された別の通路穴(図示せず)を通り、副熱交換部8の金属薄板8cの下部に形成された、出口側冷媒通路8bの入口側タンク部8fに流入するようになっており、この入口側タンク部8fはそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。
【0025】
一方、金属薄板8cの上部に出口側冷媒通路8bの出口側タンク部8gが形成されており、この出口側タンク部8gもそれ自身の開口部にてコア奥行き方向に連通している。そして、下部の入口側タンク部8fから上部の出口側タンク部8gに向かって、出口側冷媒通路8bが形成されている。
副熱交換部8において、入口側冷媒通路8aと出口側冷媒通路8bは多数枚積層された金属薄板8cの表裏両側に交互に形成されている。出口側冷媒通路8bの出口側タンク部8gから冷媒は配管コネクタ部材13の出口管13bへ流出する。15は主熱交換部7の端板である。
【0026】
一方、副熱交換部8の端板12においては、上記冷媒入口穴16に対向する部位に穴12aが開けられており、この端板12の穴12aに、内部洩れ検査用検査治具(図示せず)の取付座18が一体に接合されている。この取付座18は雌ねじ18aを有し、この雌ねじ18aにより、上記冷媒入口穴16を閉塞可能な検査治具を挿入できる大きさを持った治具挿入穴19を設定している。
【0027】
20は治具挿入穴19を密封するための密封部材をなす蓋体で、雄ねじ20aを有し、この雄ねじ20aにより蓋体20は取付座18の雌ねじ18aに脱着可能に取付けられる。また、21は取付座18と蓋体20との間のシール用Oリング(シール部材)である。
本実施例では、蒸発器6をアルミニュウムの一体ろう付けで製造するようにしてあるので、冷間鍛造、切削加工等の必要な厚肉部品である配管コネクタ部材13及び取付座18、さらにはろう材の不要なコルゲートフィン11を除く他の薄板形状の部品は、すべてろう材(A4104)を心材(A3003)の両面にクラッドしたアルミニュウム両面クラッド材から成形されている。
【0028】
厚肉部品の配管コネクタ部材13および取付座18と、コルゲートフィン11はろう材をクラッドしてないアルミニュウムベア材(A3003)で成形している。
蒸発器6の製造にあたっては、主熱交換部7と副熱交換部8とを、主熱交換部7が下方、その上方に副熱交換部8が位置するように、この両者7、8を積層して、この両者7、8の積層組付体を縦方向の組付治具により保持して、蒸発器6全体の積層状態を維持する。
【0029】
その後、前記縦方向の組付治具により上記両熱交換部7、8の積層状態を維持しながら、この組付体を真空炉中に搬入して、アルミニュウムクラッド材のろう材融点以上に加熱して、組付体各部の接合部分をろう付けにより一体に接合し、蒸発器6全体を一体構造にする。
ところで、本発明者らは、副熱交換部8の冷媒通路8a、8bを構成する金属薄板8cの形状について、先ず最初に、図5に示す形状のものを試作、検討した。すなわち、図5(a)は金属薄板8cのうち、出口側冷媒通路8b側の面の一端側を示しており、この出口側冷媒通路8bの入口側タンク8fからガス冷媒が冷媒通路8bに流入し、この通路8bを流れるのであるが、この通路8bは、並列に形成された多数(図示の例は10本)の分岐通路8b−1〜8b−10に分岐している。
【0030】
一方、上記入口側タンク8fと、分岐通路8b−1〜8b−10との間には、上記タンク8f以外の他のタンク8e、8iが存在しており、この他のタンク8e、8iとの冷媒通路の区画のために、隔壁8j、8kを形成している。
ところが、この隔壁8jの形成により、図示上半部の通路8b−1〜8b−5に向かうガス冷媒は、通路断面積の狭い通路8mを通過しなければならず、この狭い通路8mの存在によって、上半部の分岐通路8b−1〜8b−5を通過する冷媒流量が図5(c)に示すように著しく減少することが分かった。
【0031】
なお、図5(b)の矢印の大きさは各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量を模式的に示している。
以上の結果、出口側冷媒通路8bの各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量に、図5(c)に示す大きな差(偏り)が発生するので、金属薄板8cの伝熱面積全体を有効に活用することができない。そのため、出口側冷媒通路8bのガス冷媒と、入口側冷媒通路8a内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができず、副熱交換部8の熱交換性能の低下を招く。
【0032】
そこで、本発明においては、図6(a)に示すように、隔壁8jの形状を改良して、中継タンク8iの外縁側に冷媒迂回通路8nを形成するようにしたものである。すなわち、金属薄板8cの一端部側において、中継タンク8i、出口側タンク8eの部分を除いて、幅方向(図5、6の上下方向)の略全域にわたって、入口側タンク8fと分岐通路8b−1〜8b−10との間の冷媒流路を形成している。
【0033】
従って、金属薄板8cの幅方向において、中継タンク8iおよび出口側タンク8eの両側に、入口側タンク8fと分岐通路8b−1〜8b−10との間の冷媒流路が形成されることになる。
特に、上記冷媒迂回通路8nの追加により、前述の冷媒流量の少ない上半部の分岐通路8b−1〜8b−5に対して、ガス冷媒は、前記通路断面積の狭い通路8mの他に、通路8nも同時に通って流れることがてきる。そのため、上半部の分岐通路8b−1〜8b−5に向かう冷媒流量を大幅に増加でき、図6(c)に示すように、各分岐通路8b−1〜8b−10の冷媒流量の差(偏り)を僅少にできる。
【0034】
これにより、金属薄板8cの伝熱面積全体を有効に活用して、出口側冷媒通路8bのガス冷媒と、入口側冷媒通路8a内の冷媒(乾き度の小さい気液2相冷媒)との熱交換を効率よく行うことができ、熱交換性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明蒸発器を含む冷凍サイクル図である。
【図2】本発明蒸発器の一実施例を示す斜視図である。
【図3】図2の蒸発器の分解斜視図である。
【図4】図2、3の蒸発器において、検査治具用取付座部分の断面構造を示す要部断面図である。
【図5】(a)は本発明に至る前段階で検討した副熱交換部の金属薄板の要部正面図、(b)はこの金属薄板積層後の通路断面形状を示す断面図、(c)は(a)、(b)の金属薄板における冷媒流量の説明図である。
【図6】(a)は本発明による副熱交換部の金属薄板の位置実施例を示す要部正面図、(b)はこの金属薄板積層後の通路断面形状を示す断面図、(c)は(a)、(b)の金属薄板における冷媒流量の説明図である。
【符号の説明】
6…蒸発器、7…主熱交換部、7a…冷媒通路、7b…金属薄板、
8…副熱交換部、8a…入口側冷媒通路、8b…出口側冷媒通路、
8b−1〜8b−10…分岐通路、8c…金属薄板、
8d、8f…入口側タンク、8e、8g…出口側タンク、8i…中継タンク。
Claims (2)
- 冷媒通路内を流れる冷媒と前記冷媒通路の外部を流れる被冷却流体とを熱交換させる主熱交換部と、
前記主熱交換部の冷媒通路の入口側に流入する入口側冷媒と、前記主熱交換部の冷媒通路の出口側から流出する出口側冷媒とを熱交換させる副熱交換部とを有し、
前記主及び副熱交換部の冷媒通路は金属薄板の積層構造により形成されており、
前記副熱交換部には、前記入口側冷媒が流れる入口側冷媒通路と、前記出口側冷媒が流れる出口側冷媒通路が前記金属薄板の表裏両側に交互に形成されており、
前記副熱交換部の前記金属薄板の一端部側に、前記主熱交換部の冷媒通路の出口側から流出する出口側冷媒を前記出口側冷媒通路に流入させる入口側タンクが形成されており、
また前記副熱交換部の前記金属薄板の一端部側には、前記入口側タンクに隣接して、前記入口側冷媒通路の出口側タンクおよび中継タンクが形成されており、前記出口側冷媒通路は、前記入口側タンクから流入する出口側冷媒が並列に流れる多数の分岐通路を有しており、
前記入口側タンクと前記分岐通路との間の冷媒流路は、前記出口側タンクおよび前記中継タンクの部分を除いて、前記金属薄板の一端部側の幅方向の略全域にわたって形成されていることを特徴とする冷媒蒸発器。 - 前記金属薄板の一端部側の幅方向において、前記出口側タンクが略中央部に位置し、前記入口側タンクが一方の端部に位置し、前記中継タンクが他方の端部に位置しており、
前記入口側タンクと前記分岐通路との間の冷媒流路が、前記幅方向において前記出口側タンクおよび前記中継タンクのそれぞれ両側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷媒蒸発器。
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