JP3622431B2 - 給湯用ラドルおよび給湯方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの溶融金属をダイカストマシン等の竪鋳込型射出スリーブまたは横鋳込型射出スリーブに給湯する給湯用ラドルおよびこの給湯用ラドルを使用した給湯方法に係り、特に、酸化物の汚染されない清浄な溶湯を短時間で精度よく射出スリーブへ給湯できる給湯用ラドルや給湯方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金の溶融金属の溶湯をダイカストマシン等の射出スリーブに給湯する場合は、たとえば、ダイカストマシンの近傍に専用の保持炉を設置し、この保持炉からレードル(とりべ)により、一定量の溶湯を汲み取り計量、搬送、注湯を行なう方法が実用化の主流をなしており、たとえば、特公昭60−25220号公報に詳述されている。
【0003】
しかしながら、上記のようなレードルを使用する給湯方法では、次のような欠点がある。
(1)計量・搬送・注湯中に、溶湯が外気に曝され、酸化が進行するとともに、溶湯温度の低下を招く。
(2)射出スリーブの上部開口部より溶湯を注湯するため、溶湯の落下距離により空気の巻き込みを生じるとともに、泡立ちが起こり溶湯の清浄度が低下する。また、ダイカストマシン近くに大容量の保持炉を上部が開口したまま設置し、給湯作業が間欠的に行なわれるため、周囲への熱放散が大きく作業環境の悪化を招くばかりでなく、熱効率の低下を招来していた。
このため、密閉式で熱放散が少なく、かつ、一定の給湯量を能率良く射出スリーブへ供給できる溶融金属の給湯装置を開発する様々な試みがなされるようになった。
【0004】
たとえば、
▲1▼ 図5〜図7に示すように、上部を密閉したラドルの底面部に溶湯の出入口を設け、ラドルの内部を開閉弁を介して大気または真空装置に連通させ、ラドルの下部を溶湯内に浸漬し、ラドル内に溶湯を取り込んだ後、開閉弁を閉じて外気と遮断し、ラドル内の溶湯を排出するときは開閉弁を開いて底面部の出入口から落下させる方法(実開昭55−55256号公報)や、
▲2▼ 図8に示すように、下端部に設けた溶湯口を開閉自在なラドル内の溶湯を取り込み、溶湯口を閉じた状態で射出スリーブ内にラドル下部を挿入して排出を開始し、ラドルから排出され射出スリーブ内へ移された溶湯上面がラドル溶湯口より高くなってからラドルを上昇させ始め、溶湯の排出状態に対応させてラドルを上昇させ、溶湯口が常に射出スリーブ内の溶湯の上面部にあるような状態で給湯する給湯方法(特公平2−54183号公報)等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような給湯方法では、以下に説明するような問題がある。
(1)▲1▼の給湯方法については、
a.ラドルの下部の吸引口部の長さが短いため、竪鋳込型の竪型射出スリーブに注湯する際、射出スリーブの上部から注ぎ込むようになり落下高さが高いため、酸化物の発生や空気の溶湯内への巻き込みを惹起し、不純物を含んだ清浄でない溶湯を金型キャビティ内へ供給することになる。
b.図5(明細書添付の第1図)のような溶湯の出入口が絞られた形状の場合、溶湯は表面張力でラドルからの流出が防がれるが、表面張力に限界があって穴径を大きくできないので、溶湯の吸入や排出に時間がかかる。
c.図6(明細書添付の第2図)および図7(明細書添付の第3図)に示すような溶湯の出入口部に多孔板を設けた構造は、大口径の出入口に対応できるが、表面張力に耐えて溶湯が流出しないようにするためには、かなり細かな孔としなければならず、注湯の際にこの細かな孔が通過抵抗となってa.と同様に、溶湯を短時間に排出できない。
【0006】
(2)▲2▼の給湯方法については、
a.ラドル内に溶湯を導き入れるとき、弁棒を上昇させて導入口を開き保持炉の溶湯内にラドルを沈め、所望の給湯量になったとき弁棒を下げて導入口を閉じラドルの移送動作に移るが、ラドルを保持炉に浸漬していたためラドル外周面に付着した溶湯に酸化物が発生する。この酸化物が射出スリーブ内に落下混入し溶湯の清浄度を低下させる。
b.ラドルの搬送途中に、弁棒とラドルの弁座面のシール性が不完全であると溶湯が滴下し、作業環境を汚染するとともに給湯量が不正確となる。
【0007】
本発明では、こうした欠点をなくし、短時間で確実に正確な給湯量の供給ができる給湯用ラドルを有する給湯装置や給湯方法を提供することを意図している。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、第1の発明の給湯用ラドルは、金型装置の金型キャビティへ溶融金属の溶湯を射出する射出スリーブへ溶湯を供給する給湯用ラドルであって、該給湯用ラドルは、溶湯を貯蔵する貯湯室と、該貯湯室の水平底面を貫通し該水平底面の上下方向に延在し外径が該底面内径よりも小さな溶湯吸入・排出兼用の導管とを備え、直径が該導管外径よりも大きい水平円板と該水平円板の外周に下垂する円筒状の堰板とで逆凹状に形成され、該導管の上端開口部の上部に一定の間隙を介して該上端開口部を被覆する遮断板を該貯湯室内に固設し、該貯湯室の上部開口部をシール材を介して被覆する蓋板を設けるとともに、該蓋板を貫通して該貯湯室内の気体を吸引する吸引管を該貯湯室に接続し、かつ、該吸引管に開閉弁を介在させて真空吸引装置を接続するとともに、該吸引管途中に不活性ガス流量制御手段を介在させて不活性ガス供給装置に連結される不活性ガス供給管を接続し、該給湯用ラドルの傾動・移送手段を備えた構成とした。
【0009】
また、第2の発明では、第1の発明において、遮断板を蓋板より垂下した垂直管の下端部に固設し、該下端部と遮断板とを連通するとともに、不活性ガス供給装置に接続された不活性ガス供給管を該垂直管に連結して不活性ガスを該遮断板下方に注入できるようにした。
【0010】
さらに、第3の発明では、第1の発明の給湯用ラドルを保持炉まで移送して、導管下端部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して該保持炉内の溶湯を貯湯室内に真空吸引し、該貯湯室内の圧力を検知するかまたは該給湯用ラドルの重量を検知して該貯湯室に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したとき真空吸引を停止してその状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、水平または傾転した射出スリーブ内に該貯湯室の下部を挿入した後に、不活性ガスを該貯湯室内に注入して溶湯上面を加圧し該貯湯室内の溶湯を排出するようにした。
【0011】
そして、第4の発明の給湯方法では、第2の発明の給湯用ラドルを保持炉まで移送して、導管下端部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して該保持炉内の溶湯を貯湯室内に真空吸引し、該貯湯室内の圧力を検知するかまたは該給湯用ラドルの重量を検知して該貯湯室に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したとき真空吸引を停止してその状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、水平または傾転した射出スリーブ内に該貯湯室の下部を挿入した後に、不活性ガスを該貯湯室内に注入して溶湯上面を加圧し該貯湯室内の溶湯を排出する給湯方法であって、保持炉内での溶湯吸引時以外ならびに射出スリーブへの溶湯排出時以外には垂直管に不活性ガスを供給して、円筒状の堰板と導管の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯の酸化を防止するようにした。
【0012】
【発明の実施の形態】
第1の発明では、金型装置の金型キャビティへ溶融金属の溶湯を射出する射出スリーブへ溶湯を供給する給湯用ラドルであって、該給湯用ラドルは、溶湯を貯蔵する貯湯室と、該貯湯室の水平底面を貫通し該水平底面の上下方向に延在し外径が該底面内径よりも小さな溶湯吸入・排出兼用の導管とを備え、直径が該導管外径よりも大きい水平円板と該水平円板の外周に下垂する円筒状の堰板とで逆凹状に形成され、該導管の上端開口部の上部に一定の間隙を介して該上端開口部を被覆する遮断板を該貯湯室内に固設し、該貯湯室の上部開口部をシール材を介して被覆する蓋板を設けるとともに、該蓋板を貫通して該貯湯室内の気体を吸引する吸引管を該貯湯室に接続し、かつ、該吸引管に開閉弁を介在させて真空吸引装置を接続するとともに、該吸引管途中に不活性ガス流量制御手段を介在させて不活性ガス供給装置に連結される不活性ガス供給管を接続し、該給湯用ラドルの傾動・移送手段を備えた構成としたため、貯湯室内の真空吸引により給湯用ラドル内への溶湯の取り込みが完了し、導管が保持炉の溶湯表面から離れる位置まで給湯用ラドルを上昇させると円筒状の堰板と導管の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯に大気圧が作用してバランスした状態であり、取り込み完了後、射出スリーブ位置までの移送に際して、貯湯室内の溶湯が給湯用ラドルの外部へ漏出することが無いばかりでなく、射出スリーブへの注湯の際に貯湯室内の溶湯を排出する導管の内径に任意の大きな直径を選定することが出来るため、従来技術に比べて排出流量が大きく注湯時間が短時間で終わり、溶湯の温度降下や酸化を少なく出来る。また、導管の下端部先端のみ保持炉の溶湯に浸漬しラドル本体(貯湯室)を溶湯内に浸漬する必要はないから、ラドル本体(貯湯室)外周面に溶湯の付着がなく付着溶湯の酸化物を最小に止めることができるので、射出スリーブへ注湯する溶湯の清浄度が高い。射出スリーブへの給湯用ラドル内の溶湯の排出には、不活性ガスの流量を任意に変えつつ注入し加圧して行なうことができるので、貯湯室内の溶湯の酸化が防止されるばかりでなく、溶湯落下の際の泡立ちや溶湯への空気巻き込みを少なく出来、酸化物や不純物を含まない清浄な溶湯を供給出来る。また、溶湯排出直前まで不活性ガスを供給するので、射出スリーブ内を不活性ガス雰囲気に出来るため、給湯時の酸化を防止でいきる。
【0013】
また、第2の発明では、第1の発明において、遮断板を蓋板より垂下した垂直管の下端部に固設し、該下端部と遮断板とを連通するとともに、不活性ガス供給装置に接続された不活性ガス供給管を該垂直管に連結して不活性ガスを該遮断板下方に注入できるようにしたので、上述の作用効果を発揮するばかりでなく、保持炉内での溶湯吸引時以外ならびに射出スリーブへの溶湯排出時以外には垂直管に不活性ガスを供給して、円筒状の堰板と導管の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯の酸化を防止することが出来る。
【0014】
そして、第3の発明では、第1の発明で述べた作用効果が発揮され、第4の発明では第2の発明で述べた作用効果が発揮される。
【0015】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細について説明する。図1〜図4はいずれも本発明の実施例に係り、図1は第1実施例を示す給湯用ラドルの全体構成図、図2は第2実施例を示す給湯用ラドルの全体構成図、図3は給湯方法の工程を示す説明図、図4は給湯量の制御を示す説明図である。
【0016】
なお、図5〜図8は従来技術の実施例に係り、図5はラドルの縦断面図、図6は他の実施例を示すラドルの縦断面図、図7は図6の平面図、図8は従来技術の他の実施例に係るラドルの縦断面図である。
【0017】
図1に示すように、第1実施例を示す給湯用ラドル100は、大きく分けると下方向に縮径した垂直円筒容器状に形成された貯湯室110と、貯湯室110の底面板110aの中央部に貫通して高さ中間部で接続され直径が底面板110aの直径に比べて遙かに小さい内径を有する垂直状態の筒状の導管112とよりなる。
【0018】
一方、貯湯室110の上端部には、シール材117を介在させて蓋板118が被覆されて貯湯室110の上部フランジとボルトナット接合されるとともに、給湯用ラドル100の全体を移送したり傾動させたりするために搬送用アーム200と接合される。蓋板118の下面中央部より下方に垂下したサポート116の下端部には、導管112外径よりも大きい水平円板114aと水平板114aの外周下部に下垂する円筒状の堰板114bとで逆凹状に形成された遮断板114が、導管112の上端開口部の上部に一定の間隙を介して該上端開口部を被覆するように固設される。
【0019】
さらに、蓋板118に蓋板118を貫通する吸引口118aを設けて真空吸引装置130と連結され貯湯室110内のガスを吸引するための吸引管120を接続し、吸引管120の途中には、開閉弁120aを配設する。また、吸引管120は途中で分岐され、不活性ガス供給管170および開閉弁170aを介して不活性供給装置180と連結される。なお、搬送用アーム200は、図示しない多関節ロボットに連結される。
【0020】
搬送用アーム200の先端部には、給湯用ラドル100(貯湯室110、サポート116、遮断板114および導管112)の重量および給湯用ラドル110内に取り込まれた溶湯重量の合計を計測する重量検知手段210が設けられる。なお、貯湯室110の頂部の蓋板118に繋がれた吸引管120以降の重量の影響を排除するため、吸引管120の蓋板近傍をフレキシブルな伸縮管120Aとする。重量検知手段210として、市販のロードセルやマグネセル等のセンサが使用される。
【0021】
一方、図2は第2実施例を示す給湯用ラドル100Aであり、図1の第1実施例の給湯用ラドル100と異なる点のみを述べると、遮断板114を支持するサポート116に代えて垂直管116Aを設け、遮断板114および蓋板118を貫通して設けた垂直管116Aに、不活性ガス供給装置180と連通する不活性ガス供給管172を接続し、途中に開閉弁170bを設けたことである。このように構成することによって、堰板114bと導管112の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯液面に不活性ガスを吹き付けることによって導管112より侵入してくる大気をパージして、溶湯の酸化を防止することが出来る。
なお、図2の第2実施例には、重量検知手段210および伸縮管120Aがないが、図1の実施例と同様に設けてもよいのは勿論である。
【0022】
このように構成された給湯用ラドル100、100Aを用いて、保持炉F内に貯蔵された溶融金属(溶湯)Mを、たとえば、竪型射出スリーブ内や横型射出スリーブ内に所要の給湯量を注湯する給湯方法について、以下に説明する。
【0023】
図3は、給湯方法の作業手順の工程を説明するもので、工程(a)より工程(k)までの順序で、順次、作業を実施する。
まず、工程(a)では、給湯用ラドル100の導管112の下部を保持炉Fの溶湯液面の中に浸漬する。浸漬する深さは、導管112mmの下端が溶湯液面から5mm〜〜30mm程度になるようにし、底面板110aがしない負荷さとする。この後、真空吸引装置130を駆動して重量検知手段210で重量を測定しつつ、あるいは、重量検知手段210が装備されていない場合には貯湯室110内の負圧を検知することによって、給湯用ラドル100内に取り込んだ溶湯重量が、所定の重量になるまで給湯用ラドル100内のガスを吸引し、導管112の下部開口部を経由して保持炉Fの溶湯を貯湯室110内に取り込む。
【0024】
給湯用ラドル100に規定量の溶湯Mを取り込んだ後、真空吸引を停止し、そのままの状態を保持しつつ、保持炉Fより給湯用ラドル100を引き上げ(工程(b))、傾動した射出スリーブの傾斜角まで傾転し(工程(c))、堰板114bと導管112の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯Mの一部を外部へ廃棄した後、給湯用ラドル100を垂直状態に復帰する(工程(d))。その後、射出スリーブSの位置まで給湯用ラドル100を移送する(工程(e))。
【0025】
次に、工程(f)では、傾動した射出スリーブSの傾斜角に合わせて垂直状態の給湯用ラドル100を傾転し、射出スリーブSの中に導管112を下降する(工程(g))。次に、開閉弁170aを開いて、たとえば、窒素ガスのような不活性ガスを不活性ガス供給管170および吸引管120を経由して貯湯室110内に注入して、貯湯室110内部の負圧を増圧し大気圧まで上げるか、または、大気圧以上の加圧して、給湯用ラドル100(貯湯室110)内の溶湯Mを射出スリーブS内に排出する(工程(h))。排湯に際して、不活性ガスの流量を自由にコントロールすることによって、射出スリーブへの任意の注湯が可能となり、泡立ちや空気巻き込みの無い静かな注湯が可能となって、鋳造欠陥の無い優れた品質の成形品が得られる。また、排湯開始と同時に給湯用ラドル100を上昇させ、射出スリーブS内の湯面の上昇と給湯用ラドル100の上昇を同期させることで溶湯の落下高さを低く一定に保ち、より静かな注湯を行なう。
【0026】
そして、給湯用ラドル100内の溶湯Mの排出が完了した後、給湯用ラドル100を射出スリーブSより上昇させ(工程(i))、給湯用ラドル100を傾転状態から垂直状態に復帰させる(工程(j))。この状態で、貯湯室112の下部に導管112の上部開口部上端よりもやや低い液面をもつ溶湯が残留した状態となり、第2実施例(図2)においては垂直管116A内に不活性ガスを流すことにより、導管112と遮断板114との間に残留する溶湯(表面)の酸化が防止される。その後、給湯用ラドル100を再び、保持炉Fへ移送し、次のショットに備えて給湯作業を行なう(工程(k))。
【0027】
なお、第2実施例において、垂直管116Aを通じて不活性ガスを供給するのは、保持炉内での溶湯吸引時以外ならびに射出スリーブへの溶湯排出時以外には、いつも流しておくことが望ましい。
また、上記で説明した図2の工程は、竪型射出スリーブへの給湯方法を説明しているが、これに拘泥することなく、横型の射出スリーブへ給湯することも出来る。
【0028】
以上が一連の作業工程であり、給湯用ラドル100への溶湯の取り込み量については、上記の第1実施例の図1では、重量検知手段210を用いて重量測定しつつ給湯用ラドル100内に所定の溶湯量を取り込む方法を示したが、第2実施例の図2で示したように重量検知手段210を備えていない給湯用ラドルにおいては、貯湯室110内の吸引ガス圧を制御して溶湯取り込み量を制御することも出来る。
【0029】
次に、射出スリーブSへ注湯する溶湯量に制御について、図4に基づいて説明する。図4は、給湯量の制御を示す説明図であり、図4(1)は溶湯用ラドル100の保持炉Fでの供給および傾動動作が終了した状態で、工程(d)に相当する。このときの貯湯室に充満する溶湯量をAとする。一方、図4(2)は排湯完了後の溶湯用ラドル100の状態を示し、工程(i)に相当する。このときの溶湯溜の溶湯量をBとすると、1回の給湯量Wは、A−Bとなる。
【0030】
B量は、工程(c)や工程(i)において毎回の傾動角度が一定であれば、同一の値となるから、測定によりあらかじめ把握しておく。一方、A量は、真空吸引により貯湯室110内に取り込まれる溶湯量であり、貯湯室溶湯液面レベルと堰板114b〜導管112の上部開口部外周側壁間に存在する溶湯の液面レベルとのレベル差と貯湯室112内負圧とが一定の関係にあることから、吸引時の負圧を制御することによりA量を制御可能であり、1回の給湯量W=A−Bを所望の値に制御することが出来る。
【0031】
従来技術では図5や図6に示すラドル3の下端部の溶湯出入口6の口径が表面張力に耐えて溶湯の流出を防ぐために、最大でも5mm〜10mm程度に抑えられていたため、溶湯のラドル内への流入やラドル内からの排出に時間がかかり、能率が低く異物が詰まりやすい等の欠点があった。しかし、本発明では、導管上端開口部の上部に一定の間隙(たとえば、10mm程度)を設けて遮断板114を配設し、貯湯室内溶湯の排湯後に堰板114b〜導管112の上部開口部外周側壁間(これを、「溶湯溜」という)に若干の溶湯が残留する構成としたため、導管112の口径を一挙に30mm〜50mm以上にまで拡大することが出来て、上記した溶湯の流入排出が短時間に実施されることになった。
また、本発明の給湯用ラドルおよび給湯方法は、これまで述べてきた竪型射出ダイカストマシンばからでなく、横型射出ダイカストマシンへの応用も可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、下記のような優れた効果を発揮する。
(1)溶湯溜に作用する大気圧により、給湯用ラドルに溶湯を入れた後の移送途中に給湯用ラドルからの溶湯が漏出することはない。
(2)導管口径を従来技術の数倍にすることが出来るので、給湯用ラドルの溶湯の流入・排出が短時間で実施されるから、高能率である。
(3)導管下端部周辺のみを保持炉に浸漬する給湯方法であり、貯湯室の外周に溶湯が付着しない。また、射出スリーブへの注湯完了後に溶湯溜に残存する溶湯があるため、貯湯室内部および導管内部が空気と触れることを防いで不必要な酸化物の生成を防止出来る。
(4)不活性ガス流量制御手段を装備したので、射出スリーブへの給湯時に射出スリーブを不活性ガス雰囲気にして酸化を防ぐとともに、射出スリーブへの任意の注湯が可能となり、泡立ちや空気巻き込みの無い静かな注湯が可能となって、鋳造欠陥の無い優れた品質の成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る給湯用ラドルの全体構成図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る給湯用ラドルの全体構成図である。
【図3】本発明の実施例に係る給湯方法を工程を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係る給湯量の制御を示す説明図である。
【図5】従来のラドルの縦断面図である。
【図6】従来のラドルの縦断面図である。
【図7】図9の平面図である。
【図8】従来の他の実施例に係るラドルの縦断面図である。
【符号の説明】
3 ラドル
6 溶湯出入口
9 多孔板
100 給湯用ラドル
100A 給湯用ラドル
110 貯湯室
110a 底面板(底板)
112 導管
114 遮断板
114a 水平円板
114b 堰板
116 サポート
116A 垂直管
117 シール材
118 蓋板
118a 吸引口
120 吸引管
120A 伸縮管
120a 開閉弁
130 真空吸引装置
170 不活性ガス供給管
170a 開閉弁
170b 開閉弁
172 不活性ガス供給管
180 不活性ガス供給装置
200 搬送用アーム
210 重量検知手段(ロードセル、マグネセル)
300 電磁弁
M 溶融金属(溶湯)
F 保持炉
S 射出スリーブ

Claims (4)

  1. 金型装置の金型キャビティへ溶融金属の溶湯を射出する射出スリーブへ溶湯を供給する給湯用ラドルであって、
    該給湯用ラドルは、溶湯を貯蔵する貯湯室と、該貯湯室の水平底面を貫通し該水平底面の上下方向に延在し外径が該底面内径よりも小さな溶湯吸入・排出兼用の導管とを備え、
    直径が該導管外径よりも大きい水平円板と該水平円板の外周に下垂する円筒状の堰板とで逆凹状に形成され、該導管の上端開口部の上部に一定の間隙を介して該上端開口部を被覆する遮断板を該貯湯室内に固設し、
    該貯湯室の上部開口部をシール材を介して被覆する蓋板を設けるとともに、該蓋板を貫通して該貯湯室内の気体を吸引する吸引管を該貯湯室に接続し、かつ、該吸引管に開閉弁を介在させて真空吸引装置を接続するとともに、該吸引管途中に不活性ガス流量制御手段を介在させて不活性ガス供給装置に連結される不活性ガス供給管を接続し、
    該給湯用ラドルの傾動・移送手段を備えたことを特徴とする給湯用ラドル。
  2. 遮断板を蓋板より垂下した垂直管の下端部に固設し、該下端部と遮断板とを連通するとともに、不活性ガス供給装置に接続された不活性ガス供給管を該垂直管に連結して不活性ガスを該遮断板下方に注入できるようにした請求項1記載の給湯用ラドル。
  3. 請求項1記載の給湯用ラドルを保持炉まで移送して、導管下端部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して該保持炉内の溶湯を貯湯室内に真空吸引し、該貯湯室内の圧力を検知するかまたは該給湯用ラドルの重量を検知して該貯湯室に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したとき真空吸引を停止してその状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、水平または傾転した射出スリーブ内に該貯湯室の下部を挿入した後に、不活性ガスを該貯湯室内に注入して溶湯上面を加圧し該貯湯室内の溶湯を排出する給湯方法。
  4. 請求項2記載の給湯用ラドルを保持炉まで移送して、導管下端部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して該保持炉内の溶湯を貯湯室内に真空吸引し、該貯湯室内の圧力を検知するかまたは該給湯用ラドルの重量を検知して該貯湯室に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したとき真空吸引を停止してその状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、水平または傾転した射出スリーブ内に該貯湯室の下部を挿入した後に、不活性ガスを該貯湯室内に注入して溶湯上面を加圧し該貯湯室内の溶湯を排出する給湯方法であって、
    保持炉内での溶湯吸引時以外ならびに射出スリーブへの溶湯排出時以外には垂直管に不活性ガスを供給して、円筒状の堰板と導管の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯の酸化を防止する給湯方法。
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