JP3616269B2 - 針状ベーマイトの製造方法及び針状ベーマイト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばゴムやプラスチックの補強性、耐熱性、難燃性等を向上させるためのフィラーとして利用されるとともに、耐熱性針状アルミナの前駆体として、耐熱性針状アルミナを生成させるために使用される針状ベーマイトの製造方法に関するものである。より詳しくは、硬度を比較的低くしたことにより、加工機の損耗を少なくすることができるとともに、製造された針状ベーマイトを400〜1400℃の温度で焼成することにより、針状形態を維持したアルミナを生成させることができる針状ベーマイトの製造方法及び針状ベーマイトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の針状ベーマイトの製造方法としては、特開昭55−116622号公報に開示されている、少なくとも部分的に超微細ベーマイト形態にあるアルミナの製造方法が知られている。この製造方法は、例えば活性アルミナを原料とし、それを硝酸や硝酸アンモニウムを入れたオートクレーブに導入して撹拌し、150℃で24時間加熱するものである。それにより、薄片状形態の超微細ベーマイトを含有するアルミナ懸濁液を得ることができる。
【0003】
また、特開平6−263436号公報では、針状ベーマイト微粒子の製造方法について開示されている。この製造方法によれば、過酸化水素及び/又はアルカリ金属過酸化物を含むアルカリ性溶液中で水溶性アルミニウム化合物を加水分解し、生成した擬似ベーマイトゾルを過酸化水素の共存下で水熱処理することにより針状ベーマイトを得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の特開昭55−116622号公報に開示されている製造方法では、その変換率(収率)が40〜70%程度と低いうえ、反応時間も比較的長かったことから経済的でなかった。さらに、製造に際してpHの低い硝酸や硝酸アンモニウム等を使用するために、オートクレーブが容易に腐食されてしまうという問題があった。
【0005】
一方、特開平6−263436号公報に開示されている製造方法では、製造方法が比較的複雑であるうえ、使用される原料が比較的高価であったことから、製造する際に手間と費用を多く必要とするものであった。さらに、この製造方法では、擬似ベーマイトゾルを経由することから、得られるベーマイトは極微粒となり、その平均粒子長さ(長径)が約360nmと短く、プラスチックの補強材等に使用する場合の使用範囲が大幅に限定されてしまっていた。
【0006】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、収率を高め、反応時間を短縮することができるとともに、製造設備の腐食を防止することができる針状ベーマイトの製造方法を提供することにある。その他の目的とするところは、平均粒子長さが1μm以上の針状ベーマイトを安価に、しかも容易に製造することができる針状ベーマイトの製造方法及び針状ベーマイトを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の針状ベーマイトの製造方法は、マグネシウム化合物としての酢酸マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合割合をモル比で1:0.5〜1:20とし、水の存在かつ中性下で加圧状態にし、190〜250℃の温度で反応させるものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の針状ベーマイトは、請求項1に記載の製造方法で得られた針状ベーマイトであって、アスペクト比が5〜30であり、平均粒子長さ(長径)が1〜10μmの範囲内であるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
針状ベーマイト(AlO(OH))は、ゴムやプラスチックの材料と混合して成形することにより、それらの素材に高い補強性、耐熱性、難燃性等の性質を付与することができるフィラーとして利用することができる。この針状ベーマイトは上記のようにフィラーとして使用することにより、素材の補強性、耐熱性、難燃性等を向上させることができるとともに、比較的硬度を低くさせることができる。このため、加工機の損耗を少なくすることが可能である。また、この針状ベーマイトは耐熱性針状アルミナの前駆体として耐熱性針状アルミナを生成させることができ、製造された針状ベーマイトを400〜1400℃の温度で焼成することにより、針状形態を維持した針状アルミナを生成させることができる。
【0010】
この針状ベーマイトは、好ましくはアスペクト比が5〜30の針状の結晶である。このアスペクト比が5未満のベーマイトは、針状の形態とは言い難い。逆にアスペクト比が30を越えるベーマイトは、針状粒子同士が互いに絡まり合って融着し、巨大な粒子が生成することから好ましくない。また、この針状ベーマイトは微視的には針状の形態であるが、巨視的には紡錘状若しくはヘラ状の形態、又は針状の結晶が扇状に結合した形態であってもよい。さらに巨視的には、粉状であるのが好ましい。
【0011】
さらに、この針状ベーマイトの平均粒子長さ(長径)は1μm以上であり、好ましくは1〜10μmの範囲内である。この実施形態の針状ベーマイトは、擬似ベーマイトゾルを経由しない製造方法により製造されることから、その平均粒子長さは1μm未満にはならない。逆に平均粒子長さが10μmを越える針状ベーマイトを製造する場合には、その針状ベーマイトの生成過程において、針状粒子同士が互いに絡まり合って融着し、巨大な粒子が生成してしまうおそれがある。
【0012】
針状ベーマイトは、マグネシウム化合物と水酸化アルミニウムとを混合し、撹拌しながら又は静置して、オートクレーブ内又はハニカム形状等の所定形状を有する圧力容器内に入れ、水の存在下で加圧状態にし、190〜250℃の温度範囲でそれらの成分を反応(水熱合成)させることにより製造される。
【0013】
マグネシウム化合物は、原子半径が比較的小さいマグネシウムを供給することにより、アスペクト比の高い針状の結晶形態を形成させるために反応系に添加される。すなわち、マグネシウムを供給せずに、従来行われていたように、アルカリ性水溶液中で水熱合成することによってベーマイトを生成させる場合には、板状の結晶形態のベーマイトが生成されていた。これに対して、マグネシウム化合物を添加することによって、ベーマイトの結晶が生成する過程で、供給されたマグネシウムがベーマイトの層状構造間にインターカレートされた後、そこから容易に脱離することにより層状構造間が押し潰され、最終的にアスペクト比の高い針状の結晶形態が形成されるようになる。
【0014】
マグネシウム化合物としては、好ましくは酢酸マグネシウムが使用される。さらに、水に溶解したときに中性になることから、酢酸マグネシウムを使用するのが特に好ましい。
【0015】
また、例えば、あらかじめ水酸化マグネシウムと酢酸を反応させて、酢酸マグネシウムを生成させ、それを使用することも可能である。
【0016】
水酸化アルミニウムは、針状ベーマイトの構成成分を供給するために反応系に添加される。この水酸化アルミニウムとしては、アルマイトの製造過程において産業廃棄物として廃棄処分されるものを再利用して使用するのが特に好ましい。
【0017】
水は針状ベーマイトの生成反応の場を提供するとともに、水熱合成を行わせるために反応系に添加される。
針状ベーマイトの生成反応の反応系におけるマグネシウム化合物と水酸化アルミニウムとの混合割合は、針状ベーマイトを効率よく製造するために、好ましくはモル比で1:0.5〜1:20、さらに好ましくは1:2〜1:10である。この混合割合がモル比でマグネシウム化合物1に対して水酸化アルミニウムが0.5未満の場合、マグネシウム化合物が過剰であることから経済的でない。逆にマグネシウム化合物1に対して水酸化アルミニウムが20を越える場合、ベーマイトの結晶形態を針状に形成させることができないおそれがある。また、マグネシウム化合物1に対して水酸化アルミニウムが10を越える場合には、ベーマイトの針状結晶が凝集しやすくなり、粉状の製品とはならないおそれがある。
【0018】
針状ベーマイトの生成反応の反応系における水の混合割合は、水酸化アルミニウムの添加量に対して、好ましくは重量比で1〜10倍量、さらに好ましくは2〜4倍量である。この水の混合割合が水酸化アルミニウムの添加量に対して重量比で1倍量未満の場合、反応系における水が少ないことから水熱合成を充分に行わせることができない。逆に10倍量を越える場合、マグネシウム化合物及び水酸化アルミニウムの濃度が低下することから、アスペクト比の高い針状結晶を得ることが困難になるとともに、経済性、生産性が低下するおそれがある。
【0019】
混合されたマグネシウム化合物及び水酸化アルミニウムを撹拌しながら反応させる場合、反応系の各成分を均一にするとともに反応効率を向上させるために、撹拌装置を用いて、好ましくは回転数150rpm以下で撹拌される。この撹拌における回転数が150rpmを越える場合には、生成される針状ベーマイトに専断力が働いて結晶が破壊され、アスペクト比の高い針状結晶を得ることができないおそれがある。
【0020】
針状ベーマイトの生成反応は、オートクレーブ等の圧力容器内で190〜250℃、好ましくは200〜220℃の温度で反応させる。この反応温度が190℃未満の場合、生成されるベーマイトは粒状の形態になり、針状ベーマイトを得ることができない。逆に250℃を越える場合、大量のエネルギーを必要とすることから経済的でない。
【0021】
針状ベーマイトの生成反応における加熱時間は、好ましくは3〜24時間である。さらに、撹拌しながら加熱する場合の加熱時間は5〜12時間が好ましく、静置して加熱する場合の加熱時間は10〜24時間が好ましい。この加熱時間が3時間未満の場合、充分な量の針状ベーマイトを生成させることができない。逆に24時間を超える場合、エネルギーを大量に消費するとともに、時間が浪費されることから経済的でない。
【0022】
さらに、目的に応じて、アミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加して反応させてもよい。このとき、アミン化合物は針状ベーマイトの反応系における水熱合成を促進させるとともに、長径と短径との比が2〜10である紡錘状又はヘラ状形態の針状ベーマイト(以下、紡錘状又はヘラ状ベーマイトと記載する)を生成させることができる。このアミン化合物としては、例えばトリエタノールアミン、メチルアミン、ジアシルアミン、トリアシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、N−エチルアニリン、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられ、特に好ましくはトリエタノールアミンが使用される。
【0023】
アミン化合物の添加量は、好ましくは水の総重量の10〜100重量%、さらに好ましくは水の総重量の40〜60重量%である。このアミン化合物の添加量が水の総重量の10重量%未満の場合、針状ベーマイトの結晶の先端が鋭利に成長し、紡錘状又はヘラ状の形態とはなり難くなる。逆に100重量%を越える場合、水熱合成が大幅に抑制されるおそれがある。
【0024】
また、目的に応じて、カルシウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加して反応させてもよい。このとき、カルシウム化合物は針状ベーマイト同士を扇状に結合させ、扇状形態の針状ベーマイト(以下、扇状ベーマイトと記載する)を生成させることができる。このカルシウム化合物としては、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられ、特に好ましくは酢酸カルシウムが使用される。
【0025】
カルシウム化合物の添加量は、好ましくはマグネシウム化合物の総重量の5〜250重量%、さらに好ましくは25〜100重量%である。このカルシウム化合物の添加量がマグネシウム化合物の総重量の5重量%未満の場合、針状ベーマイト同士が結合し難いことから、扇状形態とはなり難くなる。逆に250重量%を越える場合、多量の針状ベーマイトが結合して平板状になってしまうおそれがある。
【0026】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法は、マグネシウム化合物と水酸化アルミニウムとを水の存在下で加圧状態にし、190〜250℃の温度で反応させるものである。このため、マグネシウムが迅速にベーマイトの層状構造間にインターカレートされ、さらにそこから容易に脱離して針状ベーマイトを形成することができることから、収率を高め、反応時間を確実に短縮することができる。さらに、硝酸や硝酸アンモニウム等のpHの低い成分を反応系に添加しないことから、オートクレーブ等の製造設備の腐食を防止することができて経済的である。
【0027】
また、アスペクト比が5〜30の針状の結晶を確実に製造できることから、ゴムやプラスチックの素材に補強性、耐熱性、難燃性等の優れた性質を付与することができる。さらに、それらの素材の硬度を比較的低くすることが可能であることから、加工機の損耗を少なくすることができる。加えて、製造時に擬似ベーマイトゾルを経由しないことから、製造された針状ベーマイトの平均粒子長さが1μm以上となり、高品質な針状ベーマイトを安価に、しかも容易に製造することが可能である。
【0028】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、マグネシウム化合物として、酢酸マグネシウムを反応系に添加することにより、アスペクト比の高い針状形態のベーマイトを確実に生成させることができる。
【0029】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、アルマイトの製造過程で排出される水酸化アルミニウムを利用することによって、産業廃棄物を有効に再利用することができるうえ経済的である。
【0030】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、マグネシウム化合物と水酸化アルミニウムとの混合割合をモル比で1:0.5〜1:20とすることによって、針状ベーマイトを効率よく製造することができる。さらに、前記混合割合を1:2〜1:10とすることによって、さらに効率よく針状ベーマイトを製造することができるとともに、確実に粉状の製品とすることができる。
【0031】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、水の混合割合を水酸化アルミニウムの添加量に対して、重量比で1〜10倍量とすることによって、水熱合成を確実に進行させることができるとともに、生産性を高く維持しつつアスペクト比の高い針状ベーマイトを確実に製造することができる。さらに、前記混合割合を水酸化アルミニウムの添加量に対して、重量比で2〜4倍量とすることによって、上記の効果を一層向上させることができる。
【0032】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、混合されたマグネシウム化合物及び水酸化アルミニウムを撹拌しながら反応させることによって、反応効率を向上させることができることから、反応時間を大幅に短縮することができる。さらに、撹拌時の回転数を150rpm以下とすることによって、生成されつつある針状ベーマイトに物理的な専断力が働き難いことから、アスペクト比の高い針状結晶を生成することができる。
【0033】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、針状ベーマイトを製造する際の加熱温度を200〜220℃にすることによって、針状ベーマイトを効率よく製造することができるうえ、エネルギー消費を少なくできることから経済的である。
【0034】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、針状ベーマイトを製造する際の反応時間を3〜24時間とすることによって、充分な量の針状ベーマイトを生成させつつ、エネルギー及び時間の浪費を少なくできることから経済的である。
【0035】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、目的に応じてアミン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することによって、水熱合成を一層促進させるとともに、紡錘状又はヘラ状ベーマイトを生成させることができる。さらに、アミン化合物としてトリエタノールアミンを使用することによって、上記の効果を一層向上させることができる。加えて、アミン化合物の添加量を水の総重量の10〜100重量%とすることによって、水熱合成を促進しつつ、紡錘状又はヘラ状形態のベーマイトを確実に生成させることができる。そのうえ、アミン化合物の添加量を水の総重量の40〜60重量%とすることによって、上記の効果をより一層向上させることができる。
【0036】
・ 実施形態の針状ベーマイトの製造方法によれば、目的に応じてカルシウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することによって、扇状ベーマイトを生成させることができる。さらに、カルシウム化合物として酢酸カルシウムを使用することによって、上記の効果を一層向上させることができる。加えて、カルシウム化合物の添加量をマグネシウム化合物の総重量の5〜250重量%とすることによって、扇状形態のベーマイトを確実に生成させることができる。そのうえ、カルシウム化合物の添加量をマグネシウム化合物の総重量の25〜100重量%とすることによって、上記の効果をより一層向上させることができる。
【0037】
【実施例】
以下、前記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.92kg、水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を4.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を150rpmの回転数で撹拌しながら、昇温速度80℃/時間で205℃まで加熱し、その温度及び圧力を5時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0038】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が3.0μm、アスペクト比が20の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例2)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.55kg、水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を5.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を150rpmの回転数で撹拌しながら、昇温速度80℃/時間で205℃まで加熱し、その温度及び圧力を5時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0039】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が2.7μm、アスペクト比が15の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例3)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.46kg、水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を2.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を静置下において、昇温速度80℃/時間で205℃まで加熱し、その温度及び圧力を10時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0040】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が2.5μm、アスペクト比が12の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例4)
水酸化マグネシウムを0.13kg、酢酸を0.26kg及び水を1.0kg混合した酢酸マグネシウム水溶液に、水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を4.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を静置下において、昇温速度80℃/時間で215℃まで加熱し、その温度及び圧力を10時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0041】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が3.0μm、アスペクト比が17の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例5)
水酸化マグネシウムを0.25kg、酢酸を0.51kg及び水を1.0kg混合した酢酸マグネシウム水溶液に、水酸化アルミニウムを2.0kg、トリエタノールアミンを2.0kg及び水を4.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を静置下において、昇温速度80℃/時間で215℃まで加熱し、その温度及び圧力を10時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0042】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が3.0μm、長径と短径との比が5.0、アスペクト比が10のヘラ状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例6)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.69kg、酢酸カルシウムを0.37kg、水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を5.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を静置下において、昇温速度80℃/時間で215℃まで加熱し、その温度及び圧力を10時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0043】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が3.0μm、長径と短径との比が2.0、アスペクト比が7の扇状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例7)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.92kg、平均粒径10μmの水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を4.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を150rpmの回転数で撹拌しながら、昇温速度80℃/時間で190℃まで加熱し、その温度及び圧力を5時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0044】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が10.0μm、アスペクト比が25の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
(実施例8)
酢酸マグネシウム・4水和物を0.92kg、平均粒径1μmの水酸化アルミニウムを2.0kg及び水を4.0kg秤量し、オートクレーブ内に入れて混合した。この混合液を150rpmの回転数で撹拌しながら、昇温速度80℃/時間で190℃まで加熱し、その温度及び圧力を4時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。撹拌を止め、反応液を自然冷却した後、濾過することにより反応生成物を収集した。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより白色固体を得た。
【0045】
この白色固体(ベーマイト)の物性を調べたところ、長径が1.0μm、アスペクト比が5の針状の形態であった。また、針状ベーマイトの収率はほぼ100%であった。一方、製造終了後のオートクレーブ内において、腐食は確認されなかった。
【0046】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記温度は200〜220℃である請求項1に記載の針状ベーマイトの製造方法。
【0047】
このように構成した場合、より一層収率を高め、反応時間を短縮することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1,2に記載の発明によれば、収率を高め、反応時間を短縮することができるとともに、製造設備の腐食を防止することができる。さらに、平均粒子長さが1μm以上の針状ベーマイトを安価に、しかも容易に製造することができる。
Claims (2)
- マグネシウム化合物としての酢酸マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合割合をモル比で1:0.5〜1:20とし、水の存在かつ中性下で加圧状態にし、190〜250℃の温度で反応させる針状ベーマイトの製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られた針状ベーマイトであって、
アスペクト比が5〜30であり、平均粒子長さ(長径)が1〜10μmの範囲内である針状ベーマイト。
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