JP3612565B2 - 路面状況判定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、路面状況判定方法、さらに詳しくは道路交通において、車への路面情報提供による運転の安全性向上、あるいは道路管理において積雪、凍結などの情報提供による除雪などの道路管理作業の効率化などに寄与する技術として、汎用的な可視カメラで得られる可視画像を利用して、そのために必要な路面状態情報を自動的かつ非接触で検出し、関連の施設にその情報を提供することを可能にする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、路面の湿潤、乾燥、積雪、凍結などの路面状態を判別する方法として種々の装置が開発されている。例えば非接触で検出できる方法では、レーザ光の反射特性の変化を利用する方法、マイクロ波や赤外線を用いる方法などがあるが、いずれも測定範囲が比較的狭い領域に限定されたり、路面状態によって種類分けが必要となったりして、路面のような面的に広い領域に渡って路面状態を監視したいと言うニーズには必ずしも応えられていないのが現状である。また、比較的広範囲が検査できる赤外線カメラを利用した方法ではコスト的に高価となるなどの欠点もある。
【0003】
これに対して、可視カメラを用いる方法は、監視領域という点で100〜150mの比較的広範囲が検査可能である上に、コスト的にも比較的安価となる。また、可視カメラそのものは路面検知とは別の目的、例えば、交通量や事故の監視などの目的で既に多数取り付けられている状況にあり、また、道路の高度情報化の流れの中で、今後も路線毎に比較的密に取り付けられることが予想されている。そのため、可視カメラの設置自的の1つとしてこの路面状況把握機能が付加できれば、コスト面で非常に有益な道路運用支援システムとなり得る。
【0004】
しかしながら、可視カメラの画像により種々の環境条件の中で路面の状態を正確に且つ信頼性よく検出して行くのはいくつかの難しい課題がある。一般に用いられる方法は取得した路面画像の色、輝度、それらの分布である模様などの基本要素に加え、更にそれらを加工した情報を基にそれぞれに対応した閾値を設定し判別を行なうものであるが、外乱、すなわち天候などの環境条件の変化、例えば明るさや太陽の照射角度などに対して、最適な閾値が変動し、誤検知をしばしば生じさせることとなる。
【0005】
そのため、これらの環境条件変動に対して強い判定手法を構築すべく外乱団子となる天候条件、すなわち、晴天、くもり、夜間などの環境条件にそれぞれ対応して検如したい路面状態の画像を予め取得し、それらを基準画像として貯えておき、新たに撮像した検査画像と差分比較することにより、検査画像がどの基準画像に最も近いかを演算することで環境条件の変動に強い可視画像式路面状況把握装置における路面状況判定方法を既に提案している(特願2000−354863)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、あらゆる環境条件の変化を予め考慮しておくのは事実上不可能であり、100%の正解を保証することは困難である。その場合、誤検出が車の運行に対して害を及ほすことが無いよう、例えば判定が難しい場合は車の運行に対して安全側の指示をだすなど、システムとしての信頼性を確保していくことが重要な課題となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこでこの発明は、前記の課題を解決するため、誤検出する可能性がある場合を検出するとともに、その場合は無理に判定結果を1つに絞り込まずに複数の候補の中から安全側の判定結果を選定し、出力とすることで路面情報提供装置としての信頼性を確保するものである。すなわち、請求項1の発明は、検知したい路面状態に対応した湿潤、積雪画像などを外乱因子となる晴天、くもり、夜間などの天候条件にそれぞれ対応して予め撮像し、それらを基準画像として貯えておき、新たに撮像した検査画像と差分比較することにより、検査画像がどの基準画像に最も近いかを数学的に演算することにより検査画像における路面状態を判別する路面状況判定方法であって、演算で計算される検査画像と複数の基準画像との数学的距離の中から最も近い第1番目の候補対象と次に距離が近い第2番目候補とを判定し、両者の比が予め設定された値以上の場合は第1番目の候補を、それ以下の場合は両者の候補の中から車に対して安全側の指示に対応する候補を選択することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、第1候補と第2候補の距離比の設定値を1.5〜2としたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1はこの発明に係る路面状況把握装置の機器構成を示すブロック図である。路面画像を撮影するための通常のTVカメラ10が路面を俯瞰するように路側に取り付けられ、その映像出力信号をデジタル化するためのA/D変換器18、その画像データを処理するための画像処理装置11と、基準画像を保管しておくための基準画像メモリ部12、基準画像作成時に必要な検査画像メモリ部17及び画像処理結果を真に路面状況を判定するための演算処理装置13、判定結果を外部に出力するための表示部14及びインターフェイス部15、並びに全体の機器を制御するための制御装置16からなる。
【0010】
TVカメラ10は検出範囲である数10mから100数十mの路面が視野に入るように路側上方にポールあるいはガントリ上に設置される。路面画像は画像処理装置等の装置本体が設置されている建屋まで、場合によっては数10km信号線で送られる。TVカメラ10は色の情報も取る必要があるため通常はカラーカメラを使用する。画像の取得サイクルは通常1秒間に30画面である。画像処理装置11に入力された映像信号はA/D変換後、制御装置16のコントロールによって後述する方法によって画像処理され、その結果は演算処理装置13に入力される。演算処理装置13は基準画像メモリ部12に保管されている基準画像を参照しながら、これも後述する手順により処理、演算され、その結果に基づき路面状態が判定され、表示部14や他の装置ヘインターフェイス部15を介して出力される。
【0011】
次に本装置で実行される画像処理内容について詳述する。先ず、基準画像の取得について原理杓なところを説明する。基準画特徴量算出の基となる基準画像は基本的には対象とする路面における乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結などの路面状態に対応して取得され、画像処理により基準画特徴量に変換される。しかし、本路面状況把握装置は屋外面像が対象であり、そのため太陽の位置や雲の状態、周囲の建物などにより路面への照射環境条件が大きく変動し、それにしたがって画像の状態も変動する。同じ路面状態でも特に日が射した状態と曇天時ではその画像状態が大きく異なり、単純な検査画像のみに頼った多変量解析では判定が難しくなる。そのため、図2に一部示すように、晴天時の乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結、同様に曇天時の乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結、更に夜間照明下における乾燥、湿潤、水膜、積雪、凍結、必要ならば晴天時、及び曇天時を更に2ないし3の環境状態に別けてそれぞれに対応した路面状態を取得し、基準画特徴量算出のための基準画像としている。更に晴天時では太陽の位置によっても画像が変化するため、大まかな時間帯域による基準画像の収得も対象の路面によっては必要になる。
【0012】
以上の基準画特徴量の取得時期であるが、前記全てのケースについて短期間に取得することは非常に困難であり、ある程度時間をかけて整備して行く必要がある。基本的には人手を介して行うことになるが、検査画像には判定結果が記録、表示されており、また、全ての画像について実施する必要は無く、代表的なケースについてデータを概観すればよく、操作は比較的簡単である。このようにして順次基準画特徴量を充実させて行くことで、少なくとも1シーズン後には路面状態把握装置として十分な判定の信頼性を有するものに向上して行くこととなる。
【0013】
次に検査画像から路面状況を判定する方法について図2のフローに基づき説明する。先ず、入力画像の中から処理すべき路面の画像が検査画像として抽出される。これは予め路面画像に基づき設定された処理に従うものである。次に、画像処理装置11により検査画像と基準画像との差分画像が演算・取得される。この差分画像を基に以下の特徴量を抽出する。
(1)輝度及びその分散
画像の輝度IはカラーカメラのRGB信号を基に、例えば以下の式で算出できる。
Figure 0003612565
(2)色差およびその分散
画線の色HはカラーカメラのRGB信号を基に、例えば以下の式で算出できる。
Figure 0003612565
(3)テクスチャ
テクスチャとは積雪時、車の轍で生じる縦縞の模様や、湿潤、水膜発生時においてカメラ視野の手前と後方との問で生じる反射強度の勾配(偏向特性が原因)、新雪における粒状的な輝度分布など、路面に生じる模様を微分処理などで数値的な特徴量に変換した量を指す。
【0014】
画像特徴量の算出については色々工夫がなされているが、この発明に直接孫るものでないため詳述はしないが、基本的には一般に利用されている画像解析ツールで求められる特徴量が利用可能である。このような特徴量抽出処理を前記の差分画像に行ない特徴量を求める。このようにして求めた特徴量を多次元空間の座標として考え、それそれの座標値からその基準画像に対する座標点が決まる。この操作を複数の基準画像に対して実施することで、多次元空間内に同数の座標点が求められ、この中から原点と各座標点までの長さが最も短いものに対応する基準画像が求める路面状態を表わすこととなる。この演算の概念的な様子を図3に示す。図中の基準画特徴量の広がりとは、同じ路面及び環境条件における複数画像の統計的ばらつきを示すもので、特徴点と記入している点がその平均を示す座標となる。
【0015】
以上のように基準画像と検査画像との間の特徴量空間における距離で判定する方法においては、最も距離が近い第1候補と次に近い第2候補の距離とが大きく離れている場合は第1候補が求める路面状態である可能性は高く、これを正解として出力できる。しかしながら、第1候補と第2候補との距離比が小さい場合は両者の画線上の差異は基本的に少なく、両者の距離差が前述した環境変化のばらつきの範囲に入ってしまう場合が生じ、第1候補が正解である可能性は上記場合より低くなる。すなわち単に距離が最も近い状態を出力するだけでは誤判定の原因となる。よって、判定結果の確からしさの指標として、この第1候補と第2候補との距離比を取ることが有効と考えられる。
【0016】
図4に実際の路面状態と当該装置により測定・判定した路面状態との関係において、第1候補と第2候補の正解割合の−例を示す。図から少なくとも第2候補の距離が第1候補の距離の2倍以上離れている場合には(以下k=第2候補の距離/第1候補の距離と称し、この場合はk≧2とする)第1候補が100%正解であることが分かる。また、k≧1.5に対しても第1侯補が正解である割合は高い。
【0017】
それに対してk<1.5の領域においては第2侯補が正解である場合が増加する。これより、kなる指標を判定結果の確からしさの指標として利用することが妥当であり、具体的にはk≧1.5〜2に対して第1候補の判定結果を出力とすることができる。
【0018】
一方、k<1.5の場合に対しては第1候補が正解である場合が依然高いものの、第2候補が正解である場合も増えてくるため、正確な決定は難しくなる。その場合は情報提供の対象者に対して安全側、すなわち、たとえその情報が間違っていてもより安全な方に対応できる情報にして提供することが求められる。例えば、第1候補が「湿潤」、第2候補が「凍結」と判定された場合、第2候補の凍結を出力すれば、たとえ実際の路面が湿潤であっても運転者は速度を緩めるため事故に結びつくことはない。
【0019】
以上のように、装置としての正解率は若干低下するものの、第1候補と第2候補との距離比kを用いて情報提供者に対してより信頼性のある情報提供が可能となる利点を実現できることになる。この場合のkの設定値については対象とするサービスの内容によって決める必要があり、より安全側が求められる場合はkを大きめに、多少の間違いが許容される場合は小さめに設定するなどの対応が可能となる。さらには候補の種類によってこの値を変えることも可能である。例えば「湿潤」と「凍結」、「乾燥」と「湿潤」との判定では前者のほうがより安全側の判定が要求されるためkは大きめに設定し、後者は誤判定に対する影響度が小さいため正解率を確保する意味でkを小さめに設定することができる。
【0020】
以上がこの発明の主眼とするところを第1候補と第2候補の2つの場合について説明したが、当然条件によっては第3候補以降もこの範疇に入ってくる場合も出てくる。しかし、その場合も前記で説明した同じ過程によって出力を判定することができる。
【0021】
前記では説明しなかったが、判定要素(特徴量)として、特に凍結などの判定に有効な路面温度を利用する揚合も当然考えられ、前記特徹量空間の1つとして加えればその信頼性はさらに向上するものと考えられる。
【0022】
【発明の効果】
この発明によれば、以上説明したように、可視画線式路面状況把握装置にこの発明の判定方法を用いることにより、従来、天候などの環境条件の変動によっては誤検加が発生し、信頼面で難があった可視画像式に対して、外乱因子となる天候条件、すなわち、晴天、くもり、夜間などの環境条件にそれぞれ対応した路面基準画像を貯え、それを基に検査画像と差分比較し、どの基準画像に最も近いかを演算で求めて路面状態を判別するとともに、複数の基準画像との近さ加減を数量的に把握し、その判定候補同士の差が外乱による変動範囲として予め実験によって設定された値に入る場合には、それら候補の中から提供する情報としてより安全側の状態を選ぶことで、前記環境変動の影響が大幅に軽減され、路面状況把握装置として十分な信頼性を有する装置を提供できることになる。そのため、本来、コストや汎用性、多機能性(他の機能と併用)などの面で優れていた可視画像式の特徴を生かす形で実用化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す、路面状況把握装置の機器構成を示すブロック図である。
【図2】基準路面画像作成フローである。
【図3】画像特徴量空間における画像比較を示す図面である。
【図4】第1候補と第2候補との正解割合を示す図面である。
【符号の説明】
10 TVカメラ
11 画像処理装置
12 基準画像メモリ部
13 演算処理装置
14 表示部
15 インターフェイス部
16 制御装置
17 検査画像メモリ部
18 A/D変換器

Claims (2)

  1. 路面を俯瞰するように取り付けられた可視カメラからの路面映像信号をもとに、ある路面範囲における路面の湿潤、乾燥などの状態を検知する可視画像式路面状況把握装置において、検知したい路面状態に対応した湿潤、積雪画像などを外乱因子となる晴天、くもり、夜間などの天候条件にそれぞれ対応して予め撮像し、それらを基準画像として貯えておき、新たに撮像した検査画像と差分比較することにより、検査画像がどの基準画像に最も近いかを数学的に演算することにより検査画像における路面状態を判別する路面状況判定方法であって、前記演算で計算される検査画像と複数の基準画像との数学的距離の中から最も近い第1番目の候補対象と次に距離が近い第2番目候補とを判定し、両者の比が予め設定された値以上の場合は第1番目の候補を、それ以下の場合は両者の候補の中から車に対して安全側の指示に対応する候補を選択することを特徴とする路面状況判定方法。
  2. 第1候補と第2候補の距離比の設定値を1.5〜2とした請求項1記載の路面状況判定方法。
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