JP3609686B2 - 椅子等の電動アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は理美容椅子、デンタル椅子、メディカル椅子等の椅子の座部を昇降させたり背凭れを起伏させるためのアクチュエータであって、駆動源としてモータを使用した椅子等の電動アクチュエータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に電動アクチュエータを用いて座部を昇降させるようにした理美容椅子を示す。
1は基台、2は基台1に立設された支持板1aの上端に一端が軸支された第1アーム、3は前記支持板1aの中間部に一端が軸支され、かつ、前記第1アーム2と平行に配置された第2アーム、4は前記第1、第2アーム2,3の先端が軸支された座部アーム、5は該座部アーム4に対して回動自在に軸支された椅子本体、6は基部6aが前記支持板1aに軸支され、シリンダ6bが前記座部アーム4に軸支された電動アクチュエータである。
【0003】
前記した構成に基づいて動作を説明するに、実線の状態(椅子本体5が下降位置)において、電動アクチュエータ6のモータに通電すると、該電動アクチュエータ6のシリンダが伸長されて第1、第2のアーム2,3が平行回動して椅子本体5を二点鎖線で示すように上昇させる。また、逆に二点鎖線の状態にある椅子本体5を下降させるには、前記電動アクチュエータ6のモータを逆回転させることにより実線の状態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来の電動アクチュエータにあっては、シリンダカバーとして筒状のパイプを金属の無垢材に孔を形成したものであるため、該シリンダカバーの加工やシリンダの周囲に取付ける手段が簡単ではなく、工程の増加に伴うコストの上昇を招いた。
【0005】
また、前記シリンダカバー内を移動するシリンダ部を形成するために、主に樹脂製ナット部品を金属パイプ材や鋳物またはダイカストのブロック材で接合固定しているために、部品点数が増えて精度が劣化すると共にコストが高くなってしまうといった問題もあった。
【0006】
さらに、停電等でモータへの通電が遮断された場合には、シリンダが途中で停止した状態となって、特に、高所で停止してしまった場合には、被施術者が椅子から下りられなくなるといった問題も発生した。
【0007】
また、スクリューネジを使用した場合には、スクリュー軸方向の軸受け間の距離や精度の確保が難しく、スクリュー軸の回転に伴ってスクリュー軸が軸方向に移動するガタを生じて座り心地を不愉快にしたり、かつ、部品の加工や組立も高精度としなければならないといった問題もあった。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、シリンダカバーの製造が簡単でありコストの低減が図れ、また、シリンダを樹脂成形したことにより軽量化が図れ、さらに停電時には手動で駆動することができる、かつ、組立簡単な椅子等の電動アクチュエータを提供せんとするにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の椅子等の電動アクチュエータは前記した目的を達成せんとするもので、その手段は、ハウジングから突出した出力軸の端面に工具を差し込むための溝が形成されたモータと、該モータの回転力によって回転するスクリューネジと、該スクリューネジの雄ネジに噛合されスクリューネジの回転に伴って前後進するシリンダと、前記モータ側の一端が固定され前記シリンダを前後進自在に支持する少なくとも2枚以上のプレス加工品を組み合わせたシリンダカバーとから構成したものである。
【0010】
また、前記シリンダを筒状の合成樹脂によって構成することが望ましく、さらに、前記シリンダカバーにおける先端内周面に複数個の突条が形成され、該突条に前記シリンダの外周面が接触した状態で進退するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る椅子等の電動アクチュエータの一実施の形態を図1、図2と共に説明する。
7はモータにして、該モータ7と一体化されたハウジング7aから露出している出力軸7bの端面にマイナスドライバー等の工具を差し込むための溝7bが形成されている。なお、前記ハウジング7aの後端には理美容椅子の基台側に取付けるための孔が形成された突起7aが形成されている。
【0012】
8は前記モータ7の出力軸7bに取付けられたウオームギア、9は該ウオームギア8と噛合されるウオームホイールギア、10は一端に前記ウオームホイールギア9が固定されたスクリューネジにして、後端はハウジング7a内に固定されたラジアルベアリング11に軸受けされ、前記ウオームホイールギア9を挟んだ反対側はラジアルベアリング12およびスラストベアリング13によって軸受けされている。なお、スクリューネジ10には後述するシリンダ14と噛合される雄ネジ10aが形成されている。
【0013】
14は前記スクリューネジ10の雄ネジ10aに螺合される雌ネジ14aが形成された筒状のシリンダにして、合成樹脂によって形成されている。15は半筒状に2つに分割された同じ形状のシリンダカバーにして、金属板をプレス加工によって形成し、かつ、互いの接合面は重なり合うように形成されている。そして、このシリンダカバー15の一端が前記ハウジング7aに固定されている。
【0014】
なお、図示したシリンダカバー15は正面から見た形状が八角形のものであるが、プレス加工によって形成しているので、円形、四角形等の種々の形状に構成できることは当然のことであり、また、前記した実施の形態にあっては、2枚のプレス加工品によってシリンダカバー15を形成した場合について説明したが、プレス加工品は2枚に限定されるものではなく、3枚以上であってもよい。
【0015】
また、前記シリンダカバー15における開放側である先端内周面には、複数個所の突条15aが形成されている。従って、シリンダ14とシリンダカバー15とは前記突条15aのみで接触することとなるので、シリンダ14がスクリューネジ10の回転によって進退する際に、シリンダカバー15との接触面積が少なくなってスムーズな移動が行われる。
【0016】
16はクローズ配線のマイクロスイッチ、17はオープン配線のマイクロスイッチにして、前記シリンダカバー15の基部側と先端側に形成された孔15b,15cに操作片16a,17aが臨むように取付けられている。従って、図示するシリンダ14が下降(図示において左方向に移動)する状態における直後に、マイクロスイッチ16の操作片16aがシリンダ14の基部によって押上げられるとオフ状態となって下死点であることを検出するので、これ以上のシリンダ14の下降を止めるためモータ7を停止させる。
【0017】
一方、スクリューネジ10の回転によってシリンダ14が突出すると、前記マイクロスイッチ16の操作片16aがシリンダ14によってオフ状態となり、かつ、シリンダ14がさらに突出して該シリンダ14の基部からマイクロスイッチ17の操作片17aが離脱すると、該マイクロスイッチ17はオフ状態となり上死点であることを検出し、これ以上のシリンダ14の吐出止めるためモータ7を停止させる。
【0018】
図3は第2の実施の形態を示し、前記した第1の実施の形態と相違する点は、スクリューネジ10の基部側にスラストベアリング18を前記ラジアルベアリング11と並列にし配置し、これにより、スクリューネジ10のガタツキを防止すること、および、スクリューネジ10の基部端面に波形座金19をネジ19aによって固定し、該波形座金19によって軸受けへの予圧を調整できるようにしたことである。なお、この実施の形態にあっては、マイクロスイッチ16,17の記載を省略してある。
【0019】
このように構成した電動アクチュエータは、モータ7を回転することによりウオームギア8、ウオームホイールギア9を介してスクリューネジ10が回転するので、該回転に伴ってシリンダ14はシリンダカバー15にガイドされた状態で前進、後退する。従って、図4に示す理美容椅子のアクチュエータ6として使用することによって椅子本体5を上昇、下降させることができる。
【0020】
また、椅子本体5の上昇過程において、マイクロスイッチ17の操作片17aがシリンダ14の後端から外れると、該マイクロスイッチ17がオフとなってモータ7への通電を遮断し、椅子本体7の上昇は停止する。また、逆に下降過程においてマイクロスイッチ16の操作片16aがシリンダ14の後端に乗り上げると、該マイクロスイッチ16がオフとなってモータ7への通電を遮断し、椅子本体7の下降は停止する。
【0021】
さらに、何らかの理由によって椅子本体5の上昇、下降途中、あるいは上昇位置において、モータ7への通電が遮断された場合、椅子本体5から降りるのに危険が伴うが、本発明にあっては、モータ7の出力軸7bに形成された溝7bにドライバーを差し込み回転することで、スクリューネジ10を回転させることができるので、椅子本体5を最下降位置まで下降させて着座している被施術者を安全に椅子本体5から降ろすことができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は前記したように、シリンダを摺動自在に支持するシリンダカバーを少なくとも2枚以上のプレス加工品で形成したことにより、シリンダカバーの製作が非常に簡単となり、また、プレス加工品であることから下死点および上死点を検出するためのマイクロスイッチの取付けが簡単に行えるものである。
【0023】
また、シリンダを合成樹脂の中空体で構成したことにより、軽量化が図れると共にコストの低減が図れ、さらに、モータの出力軸に工具を差し込むための溝を形成したことにより、何らかの原因でモータへの通電が遮断しても、モータの出力軸を工具によって回転することで、椅子本体を下降させて被施術者を安全に降ろすことができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る椅子等の電動アクチュエータの第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】側面から見た状態の正面図である。
【図3】第2の実施の形態の断面図である。
【図4】電動アクチュエータによって上下動する理美容椅子の側面図である。
【符号の説明】
7 モータ
7b 出力軸
7b
10 スクリューネジ
14 シリンダ
15 シリンダカバー

Claims (3)

  1. ハウジングから突出した出力軸の端面に工具を差し込むための溝が形成されたモータと、該モータの回転力によって回転するスクリューネジと、該スクリューネジの雄ネジに噛合されスクリューネジの回転に伴って前後進するシリンダと、前記モータ側の一端が固定され前記シリンダを前後進自在に支持する少なくとも2枚以上のプレス加工品を組み合わせたシリンダカバーとから構成したことを特徴とする椅子等の電動アクチュエータ。
  2. 前記シリンダを筒状の合成樹脂によって構成したことを特徴とする請求項1記載の椅子等の電動アクチュエータ。
  3. 前記シリンダカバーにおける先端内周面に複数個の突条が形成され、該突条に前記シリンダの外周面が接触した状態で進退することを特徴とする請求項1記載の椅子等の電動アクチュエータ。
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