JP3603133B2 - 有機フッ素基と反応性官能基を有する多面体有機ケイ素化合物とその製造方法、およびその成膜材料と形成された膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機フッ素基(ペルフルオロアルキル基)と反応性官能基を有するカゴ型多面体構造の有機ケイ素化合物とその製造方法、およびこの多面体有機ケイ素化合物からなる成膜材料、形成された膜に関する。本発明の多面体有機ケイ素化合物は、乾式成膜法と湿式成膜法のどちらも適用可能な成膜材料として有用であり、誘電率および屈折率が低く、撥水撥油性を示し、バターニングが可能で、耐熱性および耐火性に優れた高硬度の膜を形成することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリオルガノシロキサンはシロキサン結合のケイ素に有機基が結合したポリマーであり、優れた耐熱性や耐寒性などの温度特性、および撥水性などの界面特性を有し、シリコーン樹脂、ゴム、油などの形態で従来から広い分野で使用されている。このオルガノポリシロキサンの構造単位には1官能性から4官能性までの4種類の構造単位があり、この構造単位に応じて鎖状構造、環状構造、カゴ状構造や三次元網目構造の化合物が形成される。このなかで、カゴ状構造物は主に3官能性基(RSiO3/2)の構造単位からなる化合物であり、(ポリ)シルセスキオキサン(silsesquioxane)と呼ばれている。この化合物は通常の単一化合物の重合体とは異なった性質を有しているので、新たな用途を含めた幅広い利用が期待されている。
【0003】
このポリシルセスキオキサンは一般に3官能型シランモノマーの加水分解と脱水縮合によって得られるが、これを成膜材料として使用する場合、加水分解後も残留するアルキル基の組成を変化させたり、または、このアルキル基に各種の置換基を導入することによって膜の特性を変化させることが可能であり、4官能型シランモノマーから得られる無機質のシリカ膜よりも広い範囲に利用できる可能性がある。例えば、アルキル基にフッ素基を導入することにより有機フッ素基に固有の撥水・撥油性を有する膜を得ることができる。
【0004】
【発明の解決課題】
しかし、これまで有機フッ素基を含有した3官能型シランモノマーから従来の方法で合成された成膜材料は高分子体が得られないために膜の硬度が低く実用に耐えない。また、水分に対する安定牲が低く、保存中に変性または析出等を生じるなどの難点があった。また、その重合体を成膜材料として利用することは行われていない。
【0005】
本発明は、従来の上記課題を解決したものであって、ペルフルオロアルキル基と官能性反応基を有する多面体カゴ型有機ケイ素化合物(シルセスキオキサン)およびその製造方法を提供するものである。すなわち、本発明によれば、ペルフルオロアルキル基を含有した3官能型シランモノマーを重合体原料として用いることができ、しかも膜の硬度が大きく成膜性および基材との密着性に優れ、撥水撥油性を有する膜を形成することができ、かつ溶液状態で安定に保存できるペルフルオロアルキル基を有する多面体カゴ型有機ケイ素化合物が提供される。なお、以下の説明において、本発明の多面体カゴ型有機ケイ素化合物を単に多面体有機ケイ素化合物と略称する場合がある。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は、以下の構成からなるペルフルオロアルキル基を有する多面体カゴ型有機ケイ素化合物に関するものである。
(1)下記一般式(I)または(II)で示され、ペルフルオロアルキル基と反応性官能基を有し、多面体カゴ型構造を有することを特徴とする有機ケイ素化合物。
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−(CH2)b−SiO1.5]z …(I)
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−X2−(CH2)b−SiO1.5]z …(II)
式中、Rfは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、
X1およびX2は-CH2-、-O-、-N(R)-、-S-、-SO2N(R)-、-CO2-、または-CON(R')- (Rは反応性官能基、R'は水素または炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基)から選ばれた2価結合基、
Rはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、または水素から選ばれた反応性官能基、
aは1〜10の整数、
bは0〜10の整数、
mおよびzは1〜19の整数であってm+zが4〜20の整数である。
【0007】
本発明の上記多面体カゴ型有機ケイ素化合物(I)は以下の態様を含む。
(2)上記一般式(I)において、ペルフルオロアルキル基の炭素数が1〜8であり、結合基X1が-CH2-、-CONH-、または-SO2N(C3H7)-であって、a=1〜5である上記(1)に記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物。
【0008】
本発明の上記多面体カゴ型有機ケイ素化合物(II)は以下の態様を含む。
(3)上記一般式(II)において、ペルフルオロアルキル基の炭素数が1〜8であり、結合基X1が-CH2-、-CONH-、または-SO2N(C3H7)-であって、a=1〜5、反応性官能基RがH-、CH2(O)CH-、CH2C(CH3)COO-、CH2CHCOO-、CH2CH-、またはNH2-、結合基X2が-CH2O-、-CH2-、または-C3H6-、b=0〜5である上記(1)に記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物。
【0009】
さらに本発明は、上記多面体カゴ型有機ケイ素化合物を製造する以下の製造方法に関する。
(4)下記一般式(III)および(IV)、または一般式(III)および(V)で示される2種のケイ素化合物を、溶媒中、塩基性化合物を触媒として加水分解および縮合することにより上記一般式(I)または(II)の化合物を製造することを特徴とする多面体カゴ型有機ケイ素化合物の製造方法。
Rf−X1−(CH2)a−Si(Y)3 …(III)
R−(CH2)b−Si(Y)3 …(IV)
R−X2−(CH2)b−Si(Y)3 …(V)
式中、Yは炭素数1〜5のアルコキシ基または塩素であり、Rf、R、X1、X2、a、bは上記(1)に示すものと同じ。
(5)塩基性化合物が金属水酸化物、アミン化合物または四級アンモニウム塩水酸化物である上記(4)に記載する製造方法。
(6)塩基性化合物の使用量が、一般式(III)、(IV)、(V)の化合物おのおの1molに対して1.0×10-5〜2molであり、かつ1〜20molの水を加える上記(4)または(5)に記載する製造方法。
(7)加水分解および縮合反応を10〜150℃の温度下で行う上記(4)〜(6)の何れかに記載する製造方法。
【0010】
さらに、本発明は上記多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる以下の材料ないし各種の膜に関する。
(8)上記(1)〜(3)の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる、または、この多面体カゴ型有機ケイ素化合物を溶媒に溶解してなる成膜材料。
(9)上記(1)〜(3)の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる低誘電率膜、低反射膜、撥水・撥油膜および/またはパターニング用膜。
(10)上記(1)〜(3)の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる架橋剤材料、重合体材料またはレジスト材料。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を実施態様に即して具体的に説明する。
( A ) 多面体カゴ型有機ケイ素化合物
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の一般式(I)または(II)で示される化合物であり、ペルフルオロアルキル基と反応性官能基を有する多面体カゴ型構造の有機ケイ素化合物である。
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−(CH2)b−SiO1.5]z …(I)
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−X2−(CH2)b−SiO1.5]z …(II)
式中、Rfは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、X1およびX2は以下に示す群から選ばれた2価結合基、Rは以下に示す群から選ばれた反応性官能基、aは1〜10の整数、bは0〜10の整数、mおよびzは1〜19の整数であってm+zが4〜20の整数である。
【0012】
上記一般式(I)または(II)において、結合基X1およびX2は-CH2-、-O-、-CH2O-、-N(R)-、-S-、-SO2N(R)-、-CO2-、または-CON(R')- (ここでRは反応性官能基、R'は水素または炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基)から選ばれた2価結合基である。また、反応性官能基Rはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、水素から選ばれたものである。
【0013】
上記有機ケイ素化合物の好ましい例としては、上記一般式(I)(II)において、ペルフルオロアルキル基の炭素数が1〜8であり、結合基X1が−CH2−,−CONH−または−SO2N(C3H7)−であってa=1〜5であり、またさらに、反応性官能基RがH−、CH2(O)CH−、CH2CHCOO−、CH2C(CH3)COO−、CH2CH−またはNH2−であり、結合基X2が−CH2O−、−CH2−または−C3H6−であってb=0〜5の化合物などである。
【0014】
本発明に係る有機ケイ素化合物の具体例として以下の化合物が挙げられる。
(1) [C4F9−SO2N(C3H7)−(CH2)3SiO1.5]9 [CH2(O)CHCH2O−(CH2)3−SiO1.5]1
(2) [CF3−CH2−CH2SiO1.5]7 [CH2C(CH3)COO(CH2)3−SiO1.5]1
(3) [C8F17−CH2−CH2SiO1.5]6 [CH2CH−SiO1.5]2
(4) [CF3−CH2−CH2SiO1.5]8 [NH2−C3H6−SiO1.5]8
(5) [C8F17−SO2N(C3H7)−(CH2)3SiO1.5]1 [CH2CH−SiO1.5]11
(6) [CF3CF2−CH2−CH2SiO1.5]9 [H−SiO1.5]3
(7) [C7F15CONH(CH2)3SiO1.5]11[CH2CH−SiO1.5]1
(8) [C7F15CO2(CH2)3SiO1.5]8[CH2(O)CHCH2O(CH2)3SiO1.5]2
【0015】
本発明の多面体有機ケイ素化合物は、反応性官能基を有し、いわゆる反応性のモノマーとして利用することができ、このような官能基を分子中に持たせることによって高分子化が可能である。従って、上記一般式(I)(II)の有機ケイ素化合物を重合して得られるポリマーは成膜性に優れており、しかも膜強度が大きい。また、本発明の化合物はこの反応性官能基を利用して他の化合物と共重合させることによって多様な化合物を得ることがきるので様々な用途への応用が可能である。しかも、この官能基の導入量は原料の配合比によって任意に調整できるので、架橋剤的な使用も可能になる。さらに、多面体構造(カゴ型構造)を維持したままで高分子化することができるので、カゴ型構造体の特性を維持したままその性能を向上することができる。
【0016】
また、本発明の多面体有機ケイ素化合物は各種の成膜材料として有用である。この化合物は有機溶媒に対する溶解性に優れているので、溶夜の状態で用いることができ、スピンコート、浸漬、あるいはスプレーなど各種の湿式成膜法に容易に利用できる。さらに、固体状態で真空蒸着による乾式成膜法にも利用することができる。
【0017】
本発明の多面体有機ケイ素化合物から形成された膜は、多面体構造の周囲に存在するペルフルオロアルキル基によって優れた撥水性・撥油性を有する。しかも、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂とは異なり、分子骨格が水素結合の可能なシロキサン結合(−Si−O−Si−)によって形成されるため、この膜は各種基材との密着牲に優れている。
【0018】
さらに、この膜はシロキサン結合に固有の高い硬度と優れた耐熱性および耐火性をも有する。従って、これまでに無い優れた密着性と高硬度および耐熱性を備えた撥水・撥油膜を形成することができる。この撥水・撥油性の膜は、例えばガラスや繊維などのコーティング剤などの用途に有用である。
【0019】
この膜は、撥水・撥油性に加えて、屈折率と誘電率が低いので、低反射膜および低誘電率膜としても有用である。低反射膜は、例えば、TV ブラウン管や各種ディスプレイ装置(CRT、液晶、EL、プラズマ等)の表面に画質向上の表面処理として施すことができる。低誘電率膜は、例えば、半導体素子の層間絶縁膜などに有用である。
【0020】
また、本発明の多面体有機ケイ素化合物から形成される膜は、一定温度で気化するので、レーザ等の熱によるパターニングにも適しており、精密に(高い解像度で)パターニングすることができる。この膜は有機溶媒に溶解することができるので、パターニングした後に必要に応じてエッチングにより除去することもでさる。従って、例えば、半導体素子の微細加工などのレジストとして使用することができる。
【0021】
( B ) 製造方法
本発明の一般式(I),(II)で示される多面体有機ケイ素化合物は、以下の一般式(III)および(IV)で示される2種の3官能型ケイ素化合物、あるいは一般式(III)および(V)で示される2種の3官能型ケイ素化合物を、溶媒中で塩基性化合物を触媒として加水分解および縮合することにより製造することができる。
Rf−X1−(CH2)a−Si(Y)3 ・・・(III)
R−(CH2)b−Si(Y)3 ・・・(IV)
R−X2−(CH2)b−Si(Y)3 ・・・(V)
ここで、式中、Yは炭素数1〜5のアルコキシ基または塩素、好ましくはメトキシ基、エトキシ基または塩素であり、Rf,X1,X2,a,bは既に示したとおりである。
【0022】
上記(III)と(IV)の2種の3官能型ケイ素化合物、または上記(III)と(V)の2種の3官能型ケイ素化合物を、溶媒中で塩基性化合物を触媒として加水分解し縮合することにより、Siに結合するアルコキシ基または塩素が離脱して酸素と置換し、1つのケイ素に対して3/2の酸素が配位した−SiO1.5基を有するシルセスキオキサンとなり、一般式(I)または(II)の多面体構造の有機ケイ素化合物となる。
【0023】
従来、酸触媒の存在下でシラン化合物を重合することが知られているが、一般にぺルフルオロアルキル基を有するシラン化合物は加水分解と縮合が進んで重合度が増加するにつれて有機溶媒への溶解度が極端に低下する。このため、従来法ではアルキル基が十分に置換せず、シラン化合物に比べて加水分解と縮合反応の進行が遅く、多面体構造になるまで縮合を十分に進行させることが難しい。
【0024】
一方、本発明の製造方法は、溶媒中で塩基性化合物を触媒として用いることにより、好ましくは、O,N,FおよびClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒を用いると共に水および塩基性化合物の存在下に加水分解と縮合反応を進行させることにより、3官能型ケイ素化合物を原料として従来法では困難であったベルフルオロアルキル基を有する多面体構造を持つポリシロキサン化合物の合成を可能とした。
【0025】
反応触媒として用いる塩基性化合物としては、水酸化物ないしアミンの1種または2種以上を用いることができる。水酸化物は金属水酸化物、水酸化アンモニウムあるいは第四級アンモニウム水酸化物のいずれでもよい。アミンは第三級アミンが好ましい。塩基性化合物の具体例としては、KOH、NaOH、LiOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)2、Ba(OH)2などのアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニアガスでもよい)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジンなどのアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム水酸化物が挙げられる。なお、シラン化合物の加水分解触媒として、従来は一般に酸(塩酸、硝酸などの鉱酸)が使用されてきたが、酸触媒を使用した場合には反応が部分的にしか進行せず、ペルフルオロアルキル基を有する多面体有機ケイ素化合物を得ることはできない。
【0026】
塩基性化合物の使用量は、一般式(III),(IV),(V)に示す原料モノマーおのおの1molに対して1.0×10−5〜2mol、好ましくは1×10−3〜1molが適当であり、かつ水の量は1〜20mol、好ましくは1.5〜6molが適当である。塩基性化合物の量が多すぎると多面体構造が得られなかったり、ゲル化を生ずることがある。また、少なすぎると反応が十分に進行せず、未反応物の割合が多くなる。水は原料モノマーの加水分解に必要である。原料モノマー1molの加水分解には3molの水が必要であるが、水が1molより少ないと、加水分解と縮合が十分に進行しない。一方、水が多すぎると原料モノマーと溶媒が相分離を起こし、目的とする化合物を形成しない。
【0027】
反応溶媒は、O、N、F、Clから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒が好ましい。この溶媒は原料モノマーと生成ポリマーのどちらも良好に溶解するものが使用される。このような溶媒としてはアルコール類、ケトン類、エーテル類、フッ素化および/もしくは塩素化炭化水素類、アミン類、アミド類などを用いることができる。なお、アミン系溶媒は触媒および溶媒の両方として機能しうる。溶媒は2種以上の混合溶媒としてもよい。
【0028】
好ましい溶媒の具体例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、イソホロン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0029】
加水分解および縮合反応は、例えば、原料モノマーのシラン化合物を上記の有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に、塩基性化合物の水溶液を滴下するか、塩基性化合物と水を一緒または別々に滴下または添加することにより行われる。ただし、反応方法はこれに限らない。
【0030】
反応は10〜150℃の温度下が適当であり、収率を高めるには50〜120℃が好ましい。反応時間は加水分解と縮合反応が可及的に完結する時間が適当であり、これは反応温度によっても異なるが、通常は1〜72時間程度である。生成物は有機溶媒と水からなる媒質に溶解した状態で得られる。この生成物を反応液から単離するには、例えば、有機溶媒と水を留去し、残渣を適当な方法(例えば抽出、再沈殿、蒸留、クロマトグラフィー)により精製すればよい。または、反応液をそのまま、例えば単に不溶物を濾過しただけで、成膜材料として使用することができる。また、反応液から水と触媒の塩基牲化合物を適当な方法(例えば、留去、抽出、水洗等)で除去し、生成物が有機溶媒に溶解した溶液にしてもよい。この溶液状態で長期間保存し、成膜材料として使用することができる。
【0031】
上記多面体シロキサン化合物を29Si−NMRおよびGPCを用いて分析すると、29Si−NMR測定では1つのケイ素原子に対してシロキサン結合(Si−O−Si結合)を3つ持つ、R−Si(O−Si−)3骨格に帰属する単一ピークのみが得られる。また、GPCでは各化合物の重合度(一定のm、z値)を示すピークが得られた。これらの結果から、上記シロキサン化合物はカゴ型多面体構造を有することがわかる。なお、この多面体シロキサン化合物のm、z値、すなわち重合度は主として3官能型ケイ素化合物の配合に依存する。
【0032】
【実施例および比較例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0033】
〔実施例1〕
[C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5]9 [CH2(O)CHCH2O(CH2)3SiO1.5]1 の合成
磁気攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500cm3三つ口フラスコに、C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiCl3:51.6g、およびCH2(O)CHCH2O(CH2)3Si(OCH3)3:2.6g、および溶媒のアセトン250gを入れ、50℃に保持しながら、これに1N−NaOH水溶液18.3gを滴下した。滴下終了後、15時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置いて溶媒および低沸点物を留去し白色紛を得た(収量79%)。この白色粉をさらに再沈殿によって精製した。
【0034】
この精製物について、GPCによる分子量分布を測定(shodex KF801+802カラム使用,溶離液:テトラヒドロフラン0.75cm3/min)したところ16.26minに一本のピークが得られた。このピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の元素分析結果、IRスペクトル(特徴的ピークのみ、以下同じ)、および、29Si−NMRスペクトル(標準物質:TMS,溶媒:アセトン,以下同じ)は各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピ−ク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。これらのことにより、得られた化合物は[C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5]9 [CH2(O)CHCH2O(CH2)3SiO1.5]1と同定された。
【0035】
さらに、精製した生成物の熱特性を測定した(TG−8110:RIGAKU製を用いたTG−DTA測定)。この測定において、空気中で室温から10℃/minで昇温を行い、300℃までの重量減少は5%以下と安定な熱特性を示し、さらに昇温を続けると300℃以下で吸熱と共に急激な重量減少を示した。450℃まで加熱した後の残留物は5%以下と殆どが揮発していた。また、測定後のアルミパンは試料を入れる前と外観上変化は見られず、残留物および着色等は認められなかった。
【0036】
【表1】
【0037】
〔実施例2〕
[CF3CH2CH2SiO1.5]7 [CH2C(CH3)COO(CH2)3SiO1.5]1 の合成
実施例1と同様の反応装置を用い、CF3CH2CH2Si(OCH3)3:21.8g、CH2C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3:3.5g、および溶媒のアセトン25gを入れ、30℃に保持しながら、これに0.1N−KOHを3.1g滴下した。滴下終了後、24時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結きせた。次いで反応液を減圧下に置いて低沸点物を留去し白色粉を得た(収量70%)。この白色粉をさらに再沈殿によって精製した。
この精製物について実施例1と同様にGPCによる分子量分布を測定したところ一本のピークが得られた。このピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の分析結果、IRスペクトル、29Si−NMRスペクトルは各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能牲シロキサンのピークと一致した。これらのことにより、得られた化合物は [CF3CH2CH2SiO1.5]7 [CH2C(CH3)COO(CH2)3SiO1.5]1と同定された。
【0038】
【表2】
【0039】
〔実施例3〕
[C8F17CH2CH2SiO1.5]6 [CH2CHSiO1.5]2 の合成
実施例1と同様の反応装置を用い、C8F17CH2CH2Si(OCH3)3:28.4g、CH2CHSi(OCH3)3 :2.5g、および溶媒のトリクロロトリフルオロエタン300gを入れ、30℃に保持しながら、これに10%テトラヒドロアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液5.2gおよび水4gを滴下した。滴下終了後、24時間攪拌し加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置いて溶媒および低沸点物を留去し白色粉を得た(収量72%)。この白色紛をさらに再沈殿によって精製した。この精製物について、実施例1と同様にGPCによる分子量分布を測定し、ピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の元素分析結果、IRスペクトル、および29Si−NMRスペクトルは各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。これらのことから、得られた化合物は[C8F17CH2CH2SiO1.5]6 [CH2CHSiO1.5]2と同定された。
【0040】
【表3】
【0041】
〔実施例4〕
[CF3CH2CH2SiO1.5]8 [H2NC3H6SiO1.5]8 の合成
実施例1と同様の反応装置を用い、CF3CH2CH2Si(OCH3)3:10.9g、H2NC3H6Si(OC2H5)3:11.1g、溶媒の1,4ジオキサン154gを入れ、90℃に保持しながら、これに1N−KOHを8.5g滴下した。滴下終了後、6時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置き溶媒と低沸点物を留去し白色粉を得た(収量55%)。この白色粉をさらに再沈殿によって精製した。この精製物について、実施例1と同様にGPCによる分子量分布を測定し、ピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の元素分析結果、IRスペクトル、および、29Si−NMRスペクトルは各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。これらのことから、得られた化合物は [CF3CH2CH2SiO1.5]8 [H2NC3H6SiO1.5]8 と同定された。
【0042】
【表4】
【0043】
〔実施例5〕
[C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5]1 [CH2CHSiO1.5]11 の合成
実施例1と同様の反応装置を用い、C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3Si(OC2H5):7.5g、CH2CHSi(OCH3)3:16.3g、および溶媒のテトラヒドロフラン215gを入れ、30℃に保持しながら、これに0.1N−NaOHを6.5g滴下した。滴下終了、6時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置いて溶媒と低沸点物を留去し白色粉を得た(収量55%)。この白色粉をさらに再沈殿によって精製した。この精製物について、実施例1と同様にGPCによる分子量分布を測定し、ピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の元素分析結果、IRスペクトル、および29Si−NMRスペクトルは各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。これらのことから、得られた化合物は [C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5]1 [CH2CHSiO1.5]11と同定された。
【0044】
【表5】
【0045】
〔実施例6〕
[CF3CF2−CH2−CH2SiO1.5]9 [H−SiO1.5]3 の合成
実施例1と同様の反応装置を用い、CF3CF2CH2CH2Si(OCH3)3:13.4g、HSi(OCH3)3:2.0g、溶媒のアセトン30gを入れ、50℃に保持しながら約30minかけて、これに0.1N−NaOHを3.5gを滴下し、滴下終了後、24時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置いて溶媒と低沸点物を留去し白色粉を得た(収量71%)。この白色粉をさらに再沈殿によって精製した。この精製物について、実施例1と同様にGPCによる分子量分布を測定し、ピークの溶出時間をポリスチレン換算して分子量を概算したところ上記化合物の分子量に相当した。また、この化合物の元素分析結果、IRスペクトル、および29Si−NMRスペクトルは各々次のとおりであった。なお、29Si−NMRスペクトルでは強い一本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。これらのことから、得られた化合物は [CF3CF2−CH2−CH2SiO1.5]9 [H−SiO1.5]3と同定された。
【0046】
【表6】
【0047】
〔比較例1〕
磁気攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた100cm3三つ口フラスコに、CF3CH2CH2Si(OCH3)3:21.8g、CH2C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3:3.5g、および溶媒のアセトン25gを入れ、30℃に保持しながら、これに0.1N−HClを6.2g滴下し、滴下終了後24時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。次いで反応液を減圧下に置いて溶媒と低沸点物を留去し、高粘性の淡黄色物を得た(収量79%)。
この化合物について、実施例1と同様にGPCによる分子量分布測定を行ったところ、モノマーピークを含む複数のピークが得られた。また、29Si−NMRスペクトルでは、(29Si−NMR:δ(ppm)=−45.0,−53.2,−60.9)の強い3本のピークが得られ、そのピーク位置はモノマーおよび1、2官能性シロキサンのピークと一致した。
【0048】
〔比較例2〕
容量300cm3の三つ口フラスコを用いた以外は比較例1と同様の反応装置を用い、C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3Si(OCH3)3:50.3g、CH2(O)CHCH2O(CH2)3Si(OCH3)3:2.6g、および溶媒のテトラヒドロフラン158.7gを入れ、50℃に保持しながら、これに約30分かけて0.01N−NaOH水溶液0.9gを滴下した。滴下終了後、72時間攪拌して加水分解および縮合反応を完結させた。得られたサンプルを比較例1と同様にGPCによる分子量分布を測定したところモノマーピークを含む複数のピークが得られた。
【0049】
〔比較例3〕
比較例2と同様の反応装置を用い、CF3CHCH2Si(OCH3)3:21.8g、CH2CHSi(OCH3)3:20.7g、および溶媒6.0gと水98gを滴下したところゲル化した。
【0050】
〔実施例7〕
実施例1に示した反応溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過して不溶物を除去した。この溶液を溶媒の揮発を防ぐようにしたスピンコータを用い、回転速度5000rpmでシリコン基板上に塗布した。これを200℃で30分保持することにより乾燥させ、膜を形成した。乾燥後の膜厚を走査型電子顕微鏡を用いて測定したところ、膜厚は0.3μmであった。得られた膜は無色透明であり、孔や突起のない平滑な面であった。この膜上に直径2mmの円形電極を金蒸着して作製し、この金電極とシリコン基板に挟まれた部分の静電容量を測定し(日本ヒューレット・パッカード社LCRメータ:4284A使用)、誘電率を求めたところ、この膜の誘電率は3.2であった。
【0051】
〔実施例8〕
実施例3で得られた白色固形分を小型真空蒸着装置(日本真空社:LUMINO)を用いて0.00005Paの条件下でシリコン基板上へ蒸着して膜厚0.2μmの膜を得た。この誘電率を実施例6と同様に測定したところ3.1であった。
【0052】
〔比較例4〕
比較例1と同様の反応装置を用い、CH2C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3:14.5g、アセトン58gを入れ、50℃に保持しながら約30分かけて、これに1N−NaOH水溶液3.0gを滴下した。滴下終了後、15時間保持して加水分解および縮合反応を完結させた。得られた反応液を実施例6と同様に誘電率測定したところ3.5であった。
【0053】
〔実施例9〕
実施例1に示した反応溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過して不溶物を除去した。この溶液を溶媒の揮発を防ぐようにしたスピンコータを用い、回転速度5000rpmでガラス基板上に塗布した。これを200℃で30分保持することにより乾燥させ均一な膜を形成した。
この膜について水に対する接触角を接触角測定器を使用して測定した。測定は室温下で直径約2μlの水滴をマイクロシリンジの針先につくり、これを塗布面に滴下させ、この時生じる液面と塗布面との角度を測定することにより行った。この接触角は80度であった。また反射率を測定した、反射率の測定は塗布面の背面に黒色テープを装着して背面からの反射を防止した反射率測定装置を用い、波長240nm〜800nmの範囲を測定した。この反射率は1.5%であった。
【0054】
〔比較例5〕
10%のテトラエトキシシラン加水分解溶液を0.45μmのメンプレンフィルターで濾過して不溶物を除去した。この溶液を溶媒の揮発を防ぐようにしたスピンコータを用い、回転速度5000rpmでガラス基板上に塗布した。これを200℃で30分保持することにより乾燥させ均一なSiO2膜を形成した。この膜について水に対する接触角を実施例8と同様にして測定したところ、接触角は42度であった。また、反射率を実施例8と同様に測定したところこの反射率は5%であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の有機ケイ素化合物は構造中に存在する反応性官能基によって高分子化が可能であり、従って成膜性に優れた膜強度の大きい被膜を形成することができる。また、本発明の化合物は反応性官能基を利用して他の化合物との多様な共重合化合物を得ることがきるので、幅広い用途の材料を得ることができ、架橋剤としても用いることができる。
さらに、溶液状態で保存しても変性や析出物を生ずることがなく、溶解性も良好に維持される。また、溶夜の状態で用いることができるので各種の湿式成膜法に利用でき、乾式成膜法にも利用することができる。
また、本発明の多面体有機ケイ素化合物から形成された膜は撥水性・撥油性を有し、基材との密着牲に優れている。この膜はシロキサン結合に固有の高い硬度と優れた耐熱性と耐火性を有する。また、この膜は屈折率と誘竜率が低いので低反射膜や誘電体膜として有用である。さらに、この膜はレーザ等の熱によるパターニングにも適し、また、有機溶媒に溶解することができるので、レジストとしても使用することができる。
また、本発明の製造方法によれば、一般式(I)または(II)に示される上記有機ケイ素化合物を容易に製造することができる。
Claims (10)
- 下記一般式(I)または(II)で示され、ペルフルオロアルキル基と反応性官能基を有し、多面体カゴ型構造を有することを特徴とする有機ケイ素化合物。
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−(CH2)b−SiO1.5]z …(I)
[Rf−X1−(CH2)a−SiO1.5]m [R−X2−(CH2)b−SiO1.5]z …(II)
式中、Rfは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、
X1およびX2は - CH 2 - 、 - O - 、 - N ( R )- 、 - S - 、 - SO 2 N ( R )- 、 - CO 2 - 、または - CON ( R ')- (Rは反応性官能基、R ' は水素または炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基)から選ばれた2価結合基、
Rはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、または水素から選ばれた反応性官能基、
aは1〜10の整数、
bは0〜10の整数、
mおよびzは1〜19の整数であってm+zが4〜20の整数である。 - 上記一般式(I)において、ペルフルオロアルキル基の炭素数が1〜8であり、結合基X1が-CH2-、-CONH-、または-SO2N(C3H7)-であって、a=1〜5である請求項1に記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物。
- 上記一般式(II)において、ペルフルオロアルキル基の炭素数が1〜8であり、結合基X1が-CH2-、-CONH-、または-SO2N(C3H7)-であって、a=1〜5、反応性官能基RがH-、CH2(O)CH-、CH2C(CH3)COO-、CH2CHCOO-、CH2CH-、またはNH2-、結合基X2が-CH2O-、-CH2-、または-C3H6-、b=0〜5である請求項1に記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物。
- 下記一般式(III)および(IV)、または一般式(III)および(V)で示される2種のケイ素化合物を、溶媒中、塩基性化合物を触媒として加水分解および縮合することにより上記一般式(I)または(II)の化合物を製造することを特徴とする多面体カゴ型有機ケイ素化合物の製造方法。
Rf−X1−(CH2)a−Si(Y)3 …(III)
R−(CH2)b−Si(Y)3 …(IV)
R−X2−(CH2)b−Si(Y)3 …(V)
式中、Yは炭素数1〜5のアルコキシ基または塩素であり、Rf、R、X1、X2、a、bは請求項1に示すものと同じ。 - 塩基性化合物が金属水酸化物、アミン化合物または四級アンモニウム塩水酸化物である請求項4に記載する製造方法。
- 塩基性化合物の使用量が、一般式(III)、(IV)、(V)の化合物おのおの1molに対して1.0×10-5〜2molであり、かつ1〜20molの水を加える請求項4または5に記載する製造方法。
- 加水分解および縮合反応を10〜150℃の温度下で行う請求項4〜6の何れかに記載する製造方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる、または、この多面体カゴ型有機ケイ素化合物を溶媒に溶解してなる成膜材料。
- 請求項1〜3の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる低誘電率膜、低反射膜、撥水・撥油膜および/またはパターニング用膜。
- 請求項1〜3の何れかに記載する多面体カゴ型有機ケイ素化合物からなる架橋剤材料、重合体材料またはレジスト材料。
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